2005年に城咲仁が芸能界デビューし12年、世間に広く浸透したホストという職業。しかし、一般の女性が知らないこともまだまだ多い。ホストは、お客さんを好きになってしまうことはあるのか? お金持ちはどんなふうにホストクラブで遊ぶのか? また、女の裏を知り尽くすホストが思う「デキる女」と「デキない女」の違いは? そんなあれこれを、20歳からホストクラブ「愛 本店」一筋15年、最高月収は「フェラーリが買えるくらい」という超人気ホストであり、同店の取締役として部下を率いるマネージャーとしての顔も持つ、壱氏に伺った。
ホタテ漁師から歌舞伎町ホストへ「売れた決め手は脱毛です」
――壱さんがホストを目指したきっかけは、何だったのでしょう?
壱氏(以下、壱) 先に東京でホストをしていた友達に紹介されたんです。それまでは地元・青森でホタテ漁師をはじめ、さまざまな仕事をしていました。
――数あるホストクラブの中から愛本店を選んだ理由は?
壱 紹介してくれた友達のお店だと、後輩になるから嫌だなと(笑)。そうしたら友達が、「愛本店がいいんじゃない?」と薦めてくれて。当時からテレビで愛本店は有名でした。その頃は城咲仁さんがいらっしゃって、オーラが半端なかったです。満卓で、城咲さんが通るとほかのホストが接客中のお客様でもバッと見ていました。遠い存在でしたが、そこを目指そうと。
ただ、入りたての頃は本当に大変でした。先輩方がみなヤクザのようで(笑)。恰幅のいい方も多く、哀川翔さんみたいな、だぶだぶのダブルのスーツや、マオカラーのスーツを着ていたりして。実際怖かったですから。先輩にも怒られ、お客様にも怒られてと。入って2カ月で65キロあった体重が7キロ落ちました。十二指腸潰瘍にもなって。
――よく辞めよう、と思いませんでしたね。
壱 辞めたらこの世界を教えてくれた友達にバカにされる、という意地でしたね。入店して4カ月目に僕の初めての誕生日があったのですが、いらっしゃるはずのお客様がすべてドタキャンになってしまって。最初の誕生日はつらかったですね。でも、次の誕生日ではシャンパンタワーをさせていただきました。
――人気の出たきっかけは何でしたか?
壱 ヒゲの脱毛です。僕は本当にヒゲが濃くて、冗談抜きにカールおじさんみたいだったんです。剃ってお店に行っても、30~40分くらいで、うっすら青くなっちゃうくらい。脱毛したらお客様に付いていただけるようになって。
――お客さんを好きになってしまったことはありますか?
壱 ありますよ。付き合ったお客様もいます。僕自身は「外に遊びに行くぞ、出会いを求めるぞ!」というのをしないタイプで。ここが出会いの場でもありますね。僕に限らず、そういうホストは多いと思います。お相手の方は遊び慣れた方だったので、「売り上げがプライドでしょ」と付き合ったあとでもお店に来てくれましたね。
――愛本店で一番高いお酒は「1500万円」のブラックパールと伺いましたが、壱さんは注文を受けたことはありますか?
壱 ないです。入れたいですね(笑)。僕が入れていただいたお酒で一番高いのはロマネ・コンティです。当時は800万円でした。ブラックパールもそうですが、このあたりの価格帯になるとほぼ飾り※ですね。もちろん、飲んでもいいのですが。
※飾り:実際には飲まず、中身が入った状態でホストのついた卓に置く「勲章」のような役割として使うこと
――ホストは、さまざまな女性の裏表を見る職業でもありますが、アラサー・アラフォーの働く女性たちがうまく恋愛するためのポイントを、5つ挙げるとした何になりますか?
壱 まず1点目ですが、女性に限らずお互いの「歩みより」が大切だと思います。僕は女性と食事に行く機会が多いのですが、その際に「(お会計を)出してよ」という方がいらっしゃるんですね。男がお金を払うのは当たり前、というのは僕自身わかるのですが、それを「出してよ」と表現するのはどうなのかなと。
――そういうことを言ってしまう女性というのは、「『出してよ』という私も受け止めて」という甘えなのでしょうね。
壱 そうだと思います。ただ、こういうときの言葉の選び方ひとつで印象は変わりますよね。互いの立場を思いやって言葉を選ぶことが大切です。
2点目はプライドを出しすぎないことですね。特にバリバリ働く女性ほど、男性ホルモンが強くなってきてしまいますが、男の人に甘えられるようにすることです。3点目は、男の人も、どんな人も一皮むいたら甘えん坊なので、甘えられる場所を作るといいですね。
――2点目が「女性が甘える」、3点目が「男性に甘えさせる」と、甘え・甘えられの関係を築くということですね。
壱 そうですね。なのですが、男性が甘えてくると「そういうことやっちゃうの?」「そんな立場なのに?」「プライドないの?」「え、何?」みないな空気感を出しちゃう女性が多かったりするんですね。そのような態度を取られると、男は想像以上に堪えるものなんです。
4点目は「胃袋」ですね。「今どき手作りご飯?」みたいな風潮になっているからこそ、効きますね。バリバリ働いている男性ほど外食が多いですから、人が作ったものに飢えているんです。最後の5点目は「玉袋」。このあたりはグーグル先生に聞いていただければノウハウがすでに数多に出ているかと思います(笑)。ただ、「玉袋」関連も結局、1点目に挙げた「歩みより」につながりますね。どちらかだけが一方的に奉仕するという関係では、うまくいきませんから。
今と昔で異なる「ホストに求められる接客対応」
――愛本店に来るお客さんは、経営者やキャリアを積んだ方も多いそうですが、そのような方はどんな接客を望むのでしょうか?
壱 以前と今では若干違うところもありますね。昔はお客様がホストに怒ることがありましたが今はほとんどなくなりました。「怒っても楽しくないから飲もうよ」という雰囲気になったところはあるかと思います。それでも、「バカになりたい、羽目を外したい」という方は変わらず多いですね。「私、今日100万円持ってきたから、これでやって」と言われるお客様もいます。
ただそんな、「羽目を外されたい」というときも、こちら側が友達感覚にならないことは、とても大切ですね。経営者の女性にそういうことをしてしまうと、飲まれながらも醒めてしまうんです。その場は笑って過ごしても、次からは連絡が来なくなってしまいます。
――シビアですね。そのために気を付けられていることはありますか?
壱 普段のクセは出てしまいます。例えばですけれど、プライベートで緩んだ言葉使いをしていたら、どれだけ気を張っていても、お酒飲んで酔っ払うと、ふとした拍子にそれは出てしまいます。そういった、端々を見ている経営者の方はいらっしゃるな、と感じます。例えば僕の場合は常に、「お客さん」、でなく「お客様」です。プライベートでも、文字で書く時も常にそうしています。
――自分の部下の育成で、頭を悩ませている上司は多いですよね。壱さんご自身も取締役という立場で、グループ長も務めていますが、ホスト業界のマネジメントはどのようになっているのでしょうか?
壱 かつてのホスト業界はワンマンというか、トップダウン型だったんです。「上の言うことは絶対、お客さまの言うことも絶対」と。今ならパワハラ、となるようなことも当たり前でした。そんな中、gd※で行っているマネジメント講座『ホストの学校』で学んだ内容と、自分の経験則が合わさることで、ずいぶん仕事をやりやすくなりました。
※gd:グループダンディ。愛本店をはじめ全国で31のホストクラブを運営
――どういった点でやりやすさを感じますか?
壱 今までは、新しく入っている20代の子が何を考えているかがよくわからなかったんです。話をしても、「聞いてないな」っていうのがわかって、どうしたものかと思っていました。
――ホスト業界に限らず多くの上司が抱える悩みですね。
壱 そうですよね。「言ってやろう、教えてやろう」という、自分の気持ちが相手に伝わってしまうと、相手が聞く耳を持たなくなる。というのは、『ホストの学校』から得たことです。長くやっていて、また、成功体験があると、どうしても「これがいいんだよ」になってしまうんですよね。
――成功している上司であればあるほど、つい、「こうすればいいんだから!」とやってしまいたくなる気持ちはあるでしょうね。
壱 でも、それだと通じないんです。まずは相手に寄り添って普通の会話をし、信頼関係を築いてから仕事の話を練り込まないと、無理なんだなというのがわかりましたね。『ホストの学校』を受ける前までは「僕は物言いがきつい方なので嫌われ役の方が向いている」と思っていて、「お父さん役(ムチ)」だな、と思っていたんですが、なにも嫌われ役にならなくてもマネジメントはできるのだな、と気づけたのはとてもよい経験でしたね。
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壱さんも学んだ『ホストの学校』。もっと聞きたい方のために向けた、“女性版”『ホストの学校』がある。
『ホストの学校』はその名の通り、もともとgdのCOO・巻田隆之氏が「売れるホストと売れないホストは何が違うのだろう?」という疑問から始まった、NLP(米国の心理学の1つ)などを駆使し作り上げた「売れっ子ホストになるための教育プログラム」。仕事柄どうしても若くして大金を手にしてしまうホストを「束ねる」という管理スキルが、ホストクラブの運営には欠かせないため、同プログラムでは「マネージャー育成」にまで踏み込んでいる。
もともとは、gdグループ内での教育だった『ホストの学校』も、その後、他店ホストだけでなく、今では一般企業の管理職男性の受講も多い。そして3月24日には、初めて女性限定の『ホストの学校』が開校される。壱氏は「マネージメントを学ぶ機会はなかなかありません。特に女性の場合、受けたくても受けられない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。ぜひ新しい学びの機会を、『愛本店』という異世界で体感していただけばうれしいです」と話す。
(石徹白 未亜)
・クラブ愛 本店
・ホストの学校
・女性版ホストの学校 3/24開校
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