彼氏がいなかった頃の話。
私の性生活は、それはそれは乱れたものだった。
男=性欲を発散するためのゴミ箱。
出逢う男みんなにそんなひどい扱いをしていたので、恋愛に発展することなどなかった。今の彼氏、サトル君に出逢うまでは。
ヤリマン。かつての私の称号である。
セックスがしたい。
セックスがしたい。
セックスがしたい………………。
まんこのうずき度が頂点に達した時、私のゴミ箱探しの旅が始まる。
旅はいつも、家にあるペットボトルにお茶を焼酎やウイスキー等のお酒で濃いめに割ったものをいれると同時に幕を開ける。
見た目はただのペットボトルのお茶だが、中身はお酒。
これが、旅のお供に欠かせない。
そしてこれが、その夜の戦闘力を高めるいわゆるちからのタネである。
一人クラブに行くのは、クラブ歴の長い私でもなかなかハードなミッションであった。
ヤリマンなのに緊張屋……
それでもやりたくて仕方ない。宝(おちんちん)を手に入れるには、ダンジョン(クラブ)へ潜り込むしかないのだ!
◎本音を言えば一人で行くのはキツい
男性と違い、女性専用の風俗がまだまだ主流じゃない今の世の中。
それに私にはお金がない。お金をほとんど使わなくても若いイケメンのちんこをゲットする可能性があるのが一人クラブである。
渋谷のクラブの入場料は、ゲストになると割引になる。(例:入場料1ドリンク付き千円→割引適用後は入場料1ドリンク付き五百円等)
ゲストになる方法は?
ツィッター等でクラブの名前と渋谷をスペース空けて検索するとその日のゲスト情報がずらっと出るしくみだ。
「○○のゲストでパーティー」というような合言葉のようなものを唱えるとディスカウントになるので、事前にチェックしてからクラブに行こう。どれでも自由に利用できる。(私がよく行っていたクラブはatomとcamelot)
営業時間にならなきゃつぶやいていないこともあるのでご注意!
クラブに入ってからの飲み代は、まだ酔いが足らない時は結構飲んだりするため三千円以上かかったりと中に入ってから高くつくこともしばしばあり。お酒をおごろうとしてくれる人もたまにいるが、タイプじゃない場合が多いので自腹に走り、私はすぐにクラブの中でお金がなくなった。
これらを参考に、一人クラブをする際は入場料と自分がクラブ内でしらけない程度に飲めるドリンク代をにぎりしめて行こう。
始発まで待てない人は帰りのタクシー代も……。
さて今回は実体験をもとに、女一人クラブの魅力をとことん赤裸々に書こうと思う。
「今から一人クラブ行くねん」
私は夜の渋谷を一人で徘徊しながら、関西にいる親友アイコ(仮名)に電話していた。
「キャハハッうける〜!」
アイコの笑い声で、一人クラブに行く緊張が少しでも和らいだ。
アイコとは小中高の同級生で、関西にいた頃一時期毎週のようにクラブに一緒に行っていたいわゆる戦友でもある。
戦友。そう、クラブはダンジョンであると同時に戦場でもある。
まんこ、ちんこをかけた闘いがその場で繰り広げられる。
純粋に音楽が好きとか踊りたくて来ている客やDJには申し訳ないが、クラブにいる女も男も発情期を迎えた猿のように見えることがしばしばある。もちろん、わたしも含めて。
親友と電話を切り、ペットボトルの酒を飲み干していざクラブへ入場。
その際、役に立つのがエア電話である。
「今クラブ着いたよー! うん、分かった中入るねー!」
こんな具合に友達とクラブで待ち合わせをしている女に見せかけ、ササッと入場料を支払う。
一人カラオケも一人ティータイムや外食も普段全く恥ずかしくないわたしが一人クラブはなんだか恥ずかしい。泥酔してしまえばいいのだが、泥酔していれば恥ずかしくもないが、ほろ酔い程度の時はエア電話エア待ち合わせをよくしていたのである。
しかし。
クラブの入り口で友達とエア電話して待ち合わせを装っても、クラブの中に入ると速攻こう聞いてくるヤツらがいる。
「あれ? 一人?」
ぎくっ。
一瞬焦るが赤ワイン片手に冷静に返す。
「いや、友達がもうすぐ来る」
「男ー?」
今では顔も覚えていない男子に聞かれ
「そう、男友達ー!」
と答えた。つまり、タイプじゃなかったのだ。その男子が自分の好きなタイプじゃないから男が来る設定にしておいたのだ。ヤリマンだけど当然、好きなタイプの男としかしない。お互いにマッチングしたときしかヤれないのがセックスだ。
さて。
一人クラブだが、この夜はたまたまちょっと早い時間にやって来てしまいクラブの中はまだ空いていた。
イケメンを探す気力が起こらないくらい客がまだ少ない。
これは大変だ。
一人でクラブに来たことがバレバレである。
本来ならば、一人クラブのオススメの時間帯は一人でいることがばれにくく他の客とカモフラージュする混雑時である(夜中の1時以降)。この日はちょっと早めに来てしまった。
わたしは考えた。
混雑するまでどうやって人が全然まだいないクラブで一人過ごすか。
「もしもし」
わたしがテンション低めの声で電話する相手は……
「あれっ? まこ、今クラブちゃうん?」
またもやアイコであった。
「せやねん。クラブやねん。でもさ、うち今クラブのどこにおるか知ってる?」
「知らん(笑)」
そりゃそうだ。知るわけない。
「うち、実は今さ、地下のロッカールームでロッカーとロッカーにはさまれてるんよ。クラブおそろしいくらいにまだ人がおらんくて一人クラブなのが周りにバレバレでさ(笑)。ロッカーに挟まれて一人で赤ワイン飲んでまーす♩」
わたしは、ロッカーとロッカーの間にあるわずかなスペースに隠れ、人目をしのんでいた。
「何やってるねん(笑)クラブ来て! うけるー」
うけてもらえてよかった。
アイコの明るい声に救われる。
しかし自分でもクラブに来てロッカーとロッカーの間に挟まれて赤ワインを一人で飲んでいる自分に笑えた。
かれこれ一時間以上、アイコと長電話をした後、再びクラブのダンスフロアへ戻った。
ダンスなんてしないんだけど。
わたしが欲しいのはちんこだけだ!!!!!
◎あくまでも「ちんこ」として扱い、「まんこ」として振る舞う
赤ワインをおかわりしているとまたさっきの男が話しかけてきた。
「あれ? やっぱり一人じゃん(笑)」
やっぱり。余計なお世話だ、と心の中で返し、逃げるように別のフロアへ。
赤ワインを飲みながら、だいぶいい感じに酔ってきたことに気づく。
さて、早くちんこを探そう。ちんこを!!!
「こんばんはー」
突然現れたのは爽やかな超イケメン。
「一人?」
イケメンに聞かれるとわたしは素直にうなずいた。
「一緒に俺らと飲もうよ!」
よっしゃ、獲物(イケメンのちんこ)GETだぜ!
イケメンは友達と一緒だった。
「俺の名前はユウジ。こっちはタカシ。名前なんて言うの?」
名前を聞かれわたしの暴走は急に加速する。
「わたしの名前? おまんこだよ」
「えっ?」
イケメンたちは目が点になる。笑っているけどあきらかに引いている。
「だからお・ま・ん・子ちゃんでーす!」
わたしは叫んだ。
ただやりたいんだこっちは。
別に名乗らなくたっていいだろう?
「あーたもやりたいんでしょ? ほら、自己紹介とかどうだっていいからちんこ触らせてよ」
わたしがギラギラとユウジに言いよると、引いていたはずだけどユウジはすんなりと触らせてくれた。ユウジもやりたいのだ。やりたくてクラブに来ているのだ。ただそれだけ。
ユウジのズボンの中へ手を突っ込み、形や大きさ、触感を調べる。
「生かよ!」
ユウジが叫ぶ。
当たり前だ。パンツごしにちんこを触っても意味ない。生で触って確かめる事に意義がある。
これ、ふざけてるわけではなく実はものすごく一人クラブにおいて大事な作業なのだ。好きでもない行きずりの男とわりきってやるのだから、見た目がタイプだったら次は体もタイプかどうか確かめなくてはならない。心より体重視。いや、ハッキリ言おう。ちんこ重視である。ちんこ。大きすぎても小さすぎてもよくないし形も自分の好みがあるのだ。これだけは譲れない。ワガママにさせてくれ。
「ようし合格! さあわたしの家に行きましょう!」
ユウジのズボンを戻して偉そうにわたしが言う。
ユウジもまんざらでもない笑顔ですんなりついてくる。なんで怒らないんだコイツは、と思わないでもない。女が同じことをされたら絶対怒る。わたしだって怒るかもしれない。
そしてユウジは
「俺、先クラブ出るわわ」
と友人に言い残し、わたし達はタクシーに乗り込んだ。
宝(超絶イケメンのちんこ)をゲットしたわたしはいわば勇者である。
その夜、股を開き、ユウジに何度もいかせていただき「一人クラブでイケメンはちんこを捕まえる」ミッション終了である。
この日はたまたま宝を手に入れることができたが、不漁の日もあるのでご注意!
■緑丘まこ
兵庫県育ちのアラサー女。
漫画とゲームとオナニーをこよなく愛する。
センベロ居酒屋やレトロなレストランを発掘するのが休日の楽しみである。