『“隠れビッチ”やってました。』男性からチヤホヤされる気持ちよさで満たされていた20代/あらいぴろよさんインタビュー

 “ビッチ”という言葉は誰彼かまわずセックスをやりまくっている女性だけをさすものではなくなっています。複数の男性に粉をかける、気を引くだけ引いておいてフる、本命にフラれた時用のキープ君を複数つなぎとめておく、などなど「自分に都合の良いように男を利用する」態度は、おおむね“ビッチ”認定されるものだと思います。露出度の高い扇情的な服装で歩いているから“ビッチ”だなんてことはないわけですね。人は見た目が100パーセント? いやいや見た目じゃわからん。

 でも、どうして“隠れビッチ”は、そんなふうに複数の男性の恋心を搾取しようとするのか? 相手を傷つけている自覚はあるのか?

清楚に見せかけておいて実は……な“隠れビッチ”だった過去を分析し、10年にわたる克服の軌跡を描いたコミックエッセイ『“隠れビッチ”やってました。』(光文社)の著者、イラストレーターのあらいぴろよさんは、かつての自分の「ありのまま」を見つめた結果、「ありのままの自分をまず変えないとダメだな」と気付いたと言います。

あらいぴろよさんは20~23歳の数年間、知り合った男性たちみんなに気がある素振りをして自分を好きにさせ、告白されてフるという悪魔的所業を繰り返していました。どうしてそんなにモテたのかというと、自ら積極的にモテに行っていたから。

基本的なファッションは3パターン(カジュアル・女子アナ・堀北真希)、露出はせず「透け感のあるサラサラした素材」「寒色系」「靴や小物にこだわる」を心がけたシンプルな洋服を相手によって着まわし、本来の性格とは違う「おしとやかで清純な小動物系」の自分を演出。「さ行でホメて」、「は行でリアクション」「ほほえみ」のテクニックを駆使し、あらゆる男性の恋心を次々にゲットする無双ぶりだったそうです。自称“男性からチヤホヤされるのが生き甲斐なクズ女”。ちなみに“モテ”と“カラダ目的”は異なることを心得ていて、性的な関係は誰とも持たずに、告白されたらゲームセット、と決めていました。

 こう言っては失礼ですが、ぴろよさんは大変可愛らしいけれども、飛びぬけた美人とか目立つタイプではありません。モテのコツは、あくまでも「男ウケの良さそうな服装」「男ウケの良さそうな性格」に擬態することだと思い知らされます。ただし、これは自分の好きな相手に好かれるテクニックではなく、どうでもいい相手からモテるためのテクでしかなく、ぴろよさん自身、「本性を見抜かれそうな賢い感じの男の人には近付かないようにしていた」とのこと。

「自分に自信ないからってね 男に逃げるのやめなさい 女じゃなくて、ちゃんとした人間になりなさい」

「心の隙間に男をねじこんでるだけじゃん 遊びじゃなきゃ依存してもいいわけ?」

「あんたって本当にコンプレックスの塊よね あんた自身を肯定させるために彼氏を利用してるだけでしょ」

 擬態していたのも、恋心を搾取していたのも、結婚に至った夫を束縛し怒鳴り散らしていたのも、原因は自分にあった。友人たちから容赦ない指摘を何度も受けて、少しずつぴろよさんは内面に目を向けていきます。

 さて、彼女はいかにして“隠れビッチ”な自分から脱したのでしょうか。現在は結婚7年めであり一児の母となったぴろよさんに、お話を伺いました。

◎産後うつの時期に描き続けた

――『“隠れビッチ”やってました。』って、ライトなコミックエッセイだと思って読み始めると、とんでもないことになりますよね。途中からすごく重いタッチになりますし、否応なく読者も自分自身に向き合わされます。描いていて、つらかった場面はありますか。

あらい 1章と最終章を描くのが特につらかったですね。1章は自分が1番グズグズな隠れビッチだった20歳そこそこの時期を描いているので、その当時に関わった人たちへの申し訳なさと、自分の幼稚さが腹立たしくて苦しくなりました。10年近く前のことなので、薄れていた記憶を思い出す作業も大変でした。最終章は、自分のもっとも汚い部分を探っていかなければいけないので苦しかったです。

――隠れビッチ化した原因が、生い立ちにあると。実父から理不尽な暴力を受けて育って、でも実母はそんな実父を愛していて離れられないし……という。そういった生育環境で、自分がどう歪んだのかを最終章では深くまで掘り下げていて。

あらい 光文社の担当編集の方が、グイグイくるんですよ。ほんと篠山紀信さんみたいに「いいよいいよ~、ここもっと掘りさげてみようか」って。じゃあ、もう少し描いてみようか……と、ちょっとずつ追加してるうちに「ヤベ、描きすぎたな」って。でも、自らの被虐待経験まで掘り下げていかないと、なぜ隠れビッチになってしまったのか、そんなに愛に飢えているのかの説明がつかないので。

実は最初はもっとキレイにまとめたストーリーの予定で、隠れビッチだったけど素敵な旦那様と出会って結婚して、子供も産まれてキャッキャ☆ウフフみたいな。そのネームを読んだ編集さんが、「なんですかこれ。誰もこんなの読まないと思います」とバッサリで、確かに自分でも「こんなの読まねえな」と思ったので(苦笑)、どんどん書き直して……結局、最初に声をかけていただいてから、完成まで2年半くらいかかってしまいました。

――お子さんはもうすぐ3歳ですよね。ということは、出産直後から育児しながらこの作品を描いていたということでしょうか。

あらい そうです。当時は産後うつで文字もロクに読めなかったり、文章が前後で合わなくなったりしてたんですけど、逆に、そんな極限状態だったからここまで描けたんだと思います。産後、自分が親になってみて、かつて親から受けた嫌な記憶、悪い出来事がフラッシュバックするようになっていたので。「100%今しか描けない!」という状況でした。

◎「チヤホヤされたい」と「ふたりになるのは怖い」の狭間

――“隠れビッチ”時代は実は短くて、20~23歳前後までの数年間。

あらい 今からおよそ10年前、エンジン全開でその場しのぎの生活で、将来のことよりも「今日は3人くらいに告白されたいなぁ~」ってことくらいしか考えていませんでした。

――当時はひとり暮らしではなく、お友達と住んでいたんですよね。

あらい 実家を出て、ゲイの男友達とレズビアンの女友達と3人でルームシェアしていたんです。ひとり暮らしはチャレンジしたものの、怖くて続きませんでした。もし万が一この家が父にバレて奇襲でもされたら、ひとりだと太刀打ちできない怖さがあったのと、ひとりがやたら寂しくて「このままだと寂しさに負けて、毎日男を連れ込むようになるな」と思って。そういうことをしたくないから、友達と一緒に暮らすことにしました。

――“隠れビッチ”は、清純派に擬態したビッチですが、“ヤリマン”とは違うからセックスはしないわけですよね。本には、ヤリマンゆえ傷付いてしまう女性も登場しますが、ぴろよさんはなぜセックスしなかったんでしょうか?

あらい どうしても病気が怖いし、妊娠も怖かった。好きな相手、というか信頼できる相手でないと、セックスのその先にあるはずの未来がないと思っていたので。あと、父がいきなりキレて暴力的になる人だったので、男性とふたりきりになるのがまだ怖かったんです。だから自分に好意のある男性とデートはしても、家には入れませんでした。防犯意識ですね。

当時の私は、男性に対して“野蛮”というイメージがあって。だけど、「男の人ってすっごいチヤホヤしてくれて気持ちいい!」「信用はしないけど、もっと褒めて~!」と、怖いと好きの狭間にいました。

ですから、ボディタッチとか、手を繋ぐくらいのスキンシップは目的達成のためならしてましたけど、ふたりで暗がりは歩けない、公園の木陰みたいな暗い場所に近づきそうになると、「あっち行こ!」と方向を変えて避けてました。

男の人を家に入れたくないのはもうひとつ、自分のキレイな部分しか見せたくなかったからというのもあります。たとえばお酒を飲んで酔ったり、興奮してるようなところは見せられないと思っていました。

――擬態していない素の自分を、男性には見せられなかった?

あらい 見せたくない、自分のそういう部分は「汚い」って思っていました。父はお酒が大好きなアル中まがいの人だったんですけど、酔っ払うと動物的になるというか、欲望がむきだしになってすごく気持ち悪いんですよね。その姿を鮮明に覚えてるから、私にもそういう部分があるのかもしれないと思うと……。家に呼んだら素が出ちゃうかもしれないから、呼べない。それもあって当時は友達とルームシェアをしていたわけなんですよね。

――シェアメイトのお友達とはお酒を飲む描写がありましたよね。

あらい 安心して意識をなくせるのは彼らといる時だけでしたね。チヤホヤしてくれる男性と一緒の時はかわいこぶってノンアルコールで「飲めないの~」って言ってました。酔っ払っちゃうと防犯できないし、素が剥き出しになるのはイヤだし。「飲みなよ」って言われても「じゃ、また次のデートの時にね☆」って。

私自身、そんなにお酒が好きなわけじゃなくて、今は全然飲まないんです。お酒を飲んで気持ちよくなるのも嫌いじゃないんですけど、私は飲み始めるとベロベロになるまで止まらなくなるし。20歳そこそこの頃は未成年が大人ぶりたくてお酒飲んだりタバコ吸うのと同じ感覚があったし、お酒の力を借りてごまかしたいことが多かったので嗜んでいただけというか。

――作中にはヤリマンのアヤさんという女性が登場しますが。

あらい はい。アヤは、相手から確実な好意が確認できないのにセックスができちゃう人で、私はどうしても理解できませんでした。「病気になったら、妊娠したらどうすんの? お前は何も考えてない!」って、よく喧嘩してました。

セックスすることの見返りを求めてしまう人は、ヤリマンには向いていないと私は思うんです。純粋に「セックスしたい!」でヤッたらおしまい! ってスポーツ感覚なら誰としてもいいと思うんですけど、「セックスしたんだから愛して」って求めてしまう人は、ヤリマンには向いてないんじゃないかなぁ、と。アヤはセックスすることで相手の男性に認められると思ってしまっていたから、それだったらセフレじゃなくてちゃんと付き合って、健全にヤリまくればいいのにって。

――でもアヤさんは「ちゃんと付き合いたい」けど、男の人は「都合のいいセフレでいてほしい」って状況だったんですよね。

あらい だから余計、片方だけが「愛されたくてセックス」しちゃったら、すれ違いますよね。セックスすることで、アヤは「認めてもらえて嬉しい」、男の人は「ヤレて嬉しい」。お互いそこで目的達成、満たされちゃうので、アヤが最終的に求めている「恋人関係」には到達できない。これを解決するには、禁欲しかない! と私は思ってました。とか言いつつ、アヤはその後私より早く心の傷を見直すことに成功し、ちゃんと良い人と出会って結婚して、今じゃ先輩ママです。

――『ワタシはぜったいに虐待しませんからね!』(主婦の友社)に、アヤさんがちょこっと登場していますね。

あらい そうです。私が夫と付き合いはじめた時には、アヤにももうちゃんと彼氏がいて、その後結婚し、ふたりの子供に恵まれて現在は幸せに暮らしています。本当に友人の幸せがとても嬉しいです。

では、あらいぴろよさんはどのようにして隠れビッチを辞められたのでしょうか。さらに本命彼氏(現在の夫)と出会い一対一のお付き合いを始めたものの、独占欲や嫉妬、度を越した愛情確認行為などをしてしまい、うまくいきません。モテや恋愛以前にまず自分自身と向き合うことが必要だったのです。続きは、6月6日更新の中篇でお楽しみください。

■あらいぴろよさん

 

Kis-My-Ft2が『魁!ミュージック』でスペシャルインタビュー! 6月6日(火)ジャニーズアイドル出演情報

――翌日にジャニーズアイドルが出演予定の番組情報をお届けします。見逃さないように、録画予約をお忘れなく!

※一部を除き、首都圏の放送情報を元に構成しています。
※番組編成、及び放送日時は変更になることがあります。最新情報は番組公式サイト等をご確認ください。

●TOKIO

8:00~ 9:55 『白熱ライブビビット』(TBS系) 国分太一
11:25~11:30 『国分太一のおさんぽジャパン』(フジテレビ系) 国分太一
18:55~19:25 『Rの法則』(NHK Eテレ) 山口達也

※『幸せ!ボンビーガール』(日本テレビ系、山口達也)は放送休止。

●V6

8:15~ 9:54 『あさイチ』(NHK総合) 井ノ原快彦
24:58~25:28 『アメージパング!』(TBS系)

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展開が遅すぎた……視聴率6.7%に沈む綾野剛『フランケンシュタインの恋』際だつ長所と短所

展開が遅すぎた……視聴率6.7%に沈む綾野剛『フランケンシュタインの恋』際だつ長所と短所の画像1
日本テレビ系『フランケンシュタインの恋』番組サイトより
 日曜ドラマ『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系)は第7話。視聴率は6.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と相変わらず低調ですが、ようやく物語が動き出して見やすいドラマになってきました。  今回は、怪物・深志研(綾野剛)が大衆の面前でその正体を暴かれ、暴走してしまうお話。洋邦問わず、あらゆる“怪物モノ”ストーリーの定番展開なので、プロット以前の設定の強度だけで成立できちゃう回だったように思います。  そして考えるのは、ここまで長かったなーということです。『フランケンシュタインの恋』にとって、このエピソードは最初の転換点になっています。ここまで6話かけて、山を降りた怪物がどのように最初のコミュニティとファーストコンタクトを取ったかが説明されたに過ぎません。まず1人が受け入れ、その周囲の正体を知る人間が受け入れ、正体は知らないけど仲間だから共存する人々が現れる。その次の段階として、最初のコミュニティと世間一般との対立が発生するわけですが、そこまでで7話を費やしてしまっている。  今となっては、ですけど、この「大衆バレ→暴走」展開を3~4話目で持ってこられれば、もう少し興味を持って追いかける視聴者を維持できたんじゃないかと思います。  別に、そういう型通りのドラマが見たい、というわけでもないのですが、何しろこの作品の第1話は「ザ・型通り」ともいうべき型通りっぷりで始まりました(記事参照)。だからこそ、怪物と美少女・継実(二階堂ふみ)のかわいらしさが際立って、好作を期待させるスタートだったのです。  で、6話を費やした状況説明が成功していたかといえば、そうでもないように思います。  まずSFとして、怪物の肉体構造や殺傷能力についての説明が曖昧すぎるんです。曖昧なら曖昧でボヤかしておけばいいんですが、曖昧なままけっこう強引に押し付けてくる。怪物が両手から発する純白毒々胞子も暗黒毒々胞子も、触ってしまえば確実に人を殺す。でもそれは、怪物の顔面から生えたキノコから抽出した謎リキッドを経口で投与すれば、確実に治る。怪物は胞子の放出を自制することはできないが、一方で意図的に胞子パワーを炸裂させて悪漢を倒したり(第1話)、樹木にキノコの花を咲かせたりできる(第4話)。このへんはドラマが勝手に決めたルールなので、視聴者は従うしかないんですが、法則が明確じゃないのでヤバさが伝わってこないんです。ヤバさが伝わってこないと、怪物の悲しみも論理的に伝わってこない。  加えて、怪物が拠りどころとしているラジオの悩み相談で繰り返される天草(新井浩史)のお説教も、ちょっとピントがズレているように感じます。こちらは心を射抜かれたいと思って聞いているのに、心の柔らかい部分のちょっと横の肉の部分を叩かれているようで、居心地が悪い。なぜかといえば、天草の言葉が、私たちが初めて出会ったキャラクターの行動に裏打ちされたものではないからです。ドラマがあらかじめ用意していた「言いたいこと」が、キャラクターを通さずに訴えられてくる。私たちはドラマの登場人物の言葉を聞きたいのであって、スタッフや脚本家の言いたいことを直接聞きたいわけではないのです。  そしてこれがもっとも重大な弱点だと思うんですが、そもそもの怪物と美少女の「恋」も曖昧です。2人が、どういう気持ちなのか伝わってこない。「恋」って元来、楽しいものなはずなのに、2人とも全然楽しそうじゃない。楽しそうじゃないから、その裏にある切なさも伝わりにくくなってる。  と、なんやかんや言ってますが、全然ダメなドラマじゃないのが、『フランケンシュタインの恋』のややこしいところなんです。主演の綾野剛をはじめとして、お芝居の説得力は非常に充実していますし、キャラクターの造形も平板でなく、それぞれに個性とリアリティが同居しています。画面の雰囲気も悪くない。  今回、「自分の体内に菌を保有している」と知った怪物が、殺菌スプレーを飲もうとするシーンがありました。上で述べた通りSFとしての説明が曖昧なので、それを飲むと怪物はどうなるのか、視聴者は予測できません。毒を飲んで自殺したようにバターンと倒れるのか、布団からキノコが消えたように消滅するのか、あるいは毒手に触れた人間のようにカピカピになって意識を失うのか、たぶん誰もわからないと思う。でも、シーンの強さだけで怪物の悲しみが伝わってきてしまう。ドラマの芝居と画面が強いとは、そういうことです。  ここまで長所と短所が両立しているドラマも珍しいなーと思ったら、去年冬の『IQ246』(TBS系)第9話で似たようなこと書いてました(記事参照)。別に珍しくないみたい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

とんねるず・石橋貴明が「嫌いな芸人」連覇! フジ新体制で“レギュラー全滅”待ったなし!?

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 2日発売の「日経エンタテインメント!」(日経BP社)が、恒例の「一番嫌いなお笑い芸人ランキング」を発表。昨年に引き続き、とんねるずの石橋貴明が連覇した。  前回、江頭2:50を抑えて首位になってしまった石橋だが、今年も2位の江頭と大差をつけ、1位に。相方の木梨憲武は圏外ながら、コンビ名のとんねるずも13位にランクインしている。 「暴力的な芸風が時代に合わず、すっかり嫌われ者となってしまった石橋ですが、世間の“嫌フジテレビ”の風潮も好感度を下げている要因。フジが嫌われ続ける限り、全盛期のフジの象徴とも言える石橋も嫌われ続けるということです」(テレビ誌記者)  石橋といえば、2014年3月に深夜番組『リシリな夜』(TBS系)が終了して以来、レギュラーは『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)のみに。同番組もここ最近は概ね平均視聴率5~7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を漂い、裏番組の『秘密のケンミンSHOW』(日本テレビ系)、『緊急取調室』(テレビ朝日系)などに太刀打ちできていない。 「フジの日枝久会長ととんねるずがズブズブの関係であることから、『みなさんのおかげ』は視聴率に左右されず約30年も続いてきた。しかし、その日枝会長も今月の株主総会で退任を発表。さらに、ランキングの連覇で“嫌われ芸人”として定着してしまった。とんねるずにとって、レギュラー全滅の危機です」(同)  打ち切り間近と言われる『みなさんのおかげ』だが、理由はほかにもあるという。フジは2日、『FNS27時間テレビ2017』(9月放送予定)のテーマが「にほんのれきし」であると発表。“お笑い”に特化したこれまでとは全く異なり、「日本人で良かったな、と心に染みる27時間を目指す」としている。 「日枝会長のみならず、亀山千広社長も退任するフジですが、『27時間テレビ』のリニューアルは、新体制をアピールするためのパフォーマンスともっぱら。フジは今後、随所で新体制を強調していくと見られているが、中でも『みなさんのおかげ』の終了は、日枝会長の独裁体制の終焉を、株主やスポンサーに手っ取り早くアピールすることができる」(同)  また、フジは5日、前日の『みなさんのおかげ』収録中に、おぎやはぎ・小木博明が転倒し、右鎖骨を骨折したと発表。同番組は、2012年にもずんのやすが第2腰椎破裂骨折などのケガを負っており、企画の乱暴さに批判が相次いでいる。  恩人・日枝会長の退任決定に続き、“嫌われキャラ”まで定着してしまった石橋及びとんねるず。“日枝氏のおかげ”で続いた最後のレギュラー番組は、あっけなく終了してしまうのだろうか?

高級クラブで繰り広げられる女同士の戦いは、なぜ醜くければ醜いほど興奮するのか?

 “女の戦い”をテーマにした小説は、その内容が醜ければ醜いほど、面白いのかもしれない。相手に対して、ライバル心とともに、“尊敬”の気持ちを持ち、正々堂々と勝負をする爽やかな物語も、人々の感動を呼ぶだろうが、どうやって相手を蹴落そうか、どうすれば相手より勝ることができるのかと、決して自分の本心は表に出さずに、虎視眈々と計画を練る女たちの駆け引きは、非常に面白い。傍観者としては、笑顔の裏で何を考えているのかわからない女に、興味を引かれるものだ。

 女の戦いが繰り広げられている作品の舞台といえば、高級クラブである。一流ホステス同士の戦いというテーマは、テレビドラマや漫画などあらゆる作品で使われているが、今回ご紹介する『濡れ蜜アフター』(二見書房)は、作者自身が長年ホステスをしてきたため、非常にリアリティのあるシーンが多く盛り込まれている。

 舞台は六本木にある人気クラブ。元アイドルだったママが経営するクラブ「ヴァッカス」では、毎晩きらびやかで美しい女性たちが、客の心を癒やしている。

 主人公の沙雪は、夜の仕事が初めてのため、テーブルについてもドジばかり。人気ナンバーワンの薫に、入店2日目でこっぴどく怒られ、5歳年下の現役女子大生ホステスのエマには、おいしいところを持って行かれる始末だ。

 最初は、客のエッチなイタズラにも困った顔をして応じるだけであった沙雪だが、先輩がどのように接客しているのかを観察、分析することで、ホステスとして着実にステップアップしていく。

 ホステスたちの仕事は店内だけに留まらない。毎日の営業電話、同伴やアフターなどに行くこともあれば、時に客と寝ることもある。この“寝る”タイミングを計るのも、一流ホステスの大事な仕事の一部なのだ。早すぎては客が満足して逃げられてしまうし、遅すぎてもしびれを切らして逃げられてしまう。

 もちろん顧客の情報を把握しておくのもホステスとして大事な要素である。薫は、客一人ひとりの情報を丁寧にメモした手帳を持っているそうだ。

 そんな話を、薫の上客である橋本とのアフター先で聞いていた沙雪だったが、そのまま酔いつぶれ、橋本のセカンドハウスで目を覚ます。そして、そこへ現れた店のママとともに、沙雪は橋本に抱かれてしまうのだった。

 ある日、沙雪はママからとある提案をされる。薫は、水面下で独立を企てており、それを阻止するために、例の顧客情報が詰まっている手帳の情報を盗んでくれ、というのだ—―。

 客からホステスへのセクハラまがいの官能シーンもあるが、それ以上に、沙雪が身ひとつでホステスとして上り詰めてゆく様子は、読んでいて爽快である。入店したての頃は、あどけなくオドオドしていた沙雪だが、5年の月日を経て、薫を蹴落そうとまで考えるほどにしたたかに成長するのだ。

 美しい夜の蝶たちが、相手を蹴落とすために盗聴や盗み撮りをしたりと醜い姿を晒し、「アンタ」「チキショウ!」などと汚い言葉を撒き散らしながら戦う姿は圧巻である。そんなふうに楽しめる理由は、自分自身が決してその世界へ足を踏み入れることができないから、そして、我々は日々、自らの醜さが表に出てしまわないよう取り繕うことに、ストレスを感じているからだろう。

 そんな女たちが裸一貫で戦う“ファンタジー”に、私たち同性はそそられるような気がするのだ。
(いしいのりえ)

「非がないのに逃げるだろうか?」「レッドカードは不合理」……浦和・槙野智章を追走した済州選手が“真相”を激白

「非がないのに逃げるだろうか?」「レッドカードは不合理」……浦和・槙野智章を追走した済州選手が真相を激白の画像1
済州ユナイテッドFC公式サイトより
 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の決勝トーナメント1回戦。浦和レッズと済州(チェジュ)ユナイテッドの試合で起きた乱闘劇が波紋を呼んでいる。延長戦の末、浦和に3-0で敗れた済州だが、ベンチにいた控え選手がピッチを横断して浦和の阿部勇樹に肘打ちを食らわせたり、試合終了直後に槙野智章を追い回すなど、騒動に。済州は試合後を含め、3人が退場処分となった。日本に限らず、海外メディアも「恥ずべき暴動」と済州を批判的に報じているが、そんな中、渦中の人物が「スポーツ朝鮮」のインタビューに応じた。  トラブルについて赤裸々に語ったのは、試合終了後に槙野を追いかけ回して退場になったクォン・ハンジンだ。  クォン・ハンジンは、済州が興奮状態に陥ったきっかけは審判のジャッジだったと証言。 「審判のせいにはしたくないけれど、あまりに一方的だった。相手がファウルをしても笛を吹かず、私たちが普通のプレーしていたらファウルを取られた。チョ・ヨンヒョンは普通のプレーをしていたのに退場させられたから、チーム全体が興奮した」  そもそも済州は、Kリーグの中でもフェアプレーに定評がある。Kリーグが独自の基準で定めているフェアプレー指数なるもので毎回上位をキープし、激しさを売り物にするスタイルでもない。  また、クォン・ハンジンはかつて、柏レイソル、湘南ベルマーレ、ザスパクサツ群馬などJリーグでプレー。日本を熟知し、チョ・ソンファン監督と記者会見に同席するほど、その人間性はチームから信頼されている。にもかかわらず、なぜ「チーム全体の興奮」が乱闘劇にまで発展してしまったのか?  「クォン・スンヒョンが相手の選手と神経戦を繰り広げていると、(浦和の)ズラタンが指で3-0のスコアを形作り、『お前らは終わった』と言った。“F”から始まる暴言まで吐いた」  さらには、人種差別的な発言をする選手もいたのだという。阿部に肘打ちを食らわして退場処分となったペク・トンギュは、それを遠くから見ていて侮辱されていると感じたそうだ。記事では、浦和の武藤雄樹が済州ベンチに向かって挑発的なポーズを取っている様子を“証拠写真”付きで伝えている。  最も衝撃的なのは、試合終了後の乱闘に関してだ。クォン・ハンジンは、浦和のスタッフたちが済州ベンチ側でペットボトルを投げて歓声を上げた行為を「勝利したチームが絶対にしてはいけない行為」と指摘。 「その時、槙野と武藤が済州の監督とコーチ、選手たちを見て両腕を上げて声を上げながら大きくパフォーマンスをしたんだ。自分のベンチやサポーターの前に行ってやればいいのに。それなのに私たちのベンチの前に来て過激な行動をしたのは、誰が見ても挑発だ」と、浦和に非があると主張した。挙げ句の果てには、問題の“追走”についても、こう言ってのけたのである。 「日本の選手たちがこちらに来て『槙野が悪かった。申し訳ない。理解してくれ』と言ってきた。その最中にも槙野が指を3つ立てるなどパフォーマンスを続けた。だから追いかけたんだ。自分に非がなければ、どうして逃げたりするだろうか? 審判が僕にレッドカードを与えるのは不合理だ」  自分や済洲のチームメイトではなく、原因を審判や槙野になすりつけるこれらの発言が浮き彫りにするのは、クォン・ハンジンの厚顔無恥ぶりだろう。済州は当日の行動が不適切だったと公式に認めており、クォン・ハンジンも「興奮してフェアプレーができなかったのは、明らかに反省すべきこと」と話しているが、本当に反省しているのか勘繰りたくなるくらいだ。  浦和は今回の乱闘劇に関し、アジアサッカー連盟(AFC)に意見書を提出したが、済州も騒動に関する調査・分析を終えており、資料をマッチコミッショナーに提出する予定だ。“当事者”であるクォン・ハンジンの証言がどのような影響を及ぼすのか注目したい。 (文=S-KOREA) ●参考記事 ・「乱闘騒ぎ」に「全滅」。なぜKリーグは見苦しく恥ずかしい「醜態」ばかりを晒すのか (http://s-korea.jp/archives/16465?zo) ・「前代未聞の暴挙」「国際的な恥」ACL浦和対済州の乱闘劇を韓国メディアはどう報じたのか (http://s-korea.jp/archives/16442?zo

「非がないのに逃げるだろうか?」「レッドカードは不合理」……浦和・槙野智章を追走した済州選手が“真相”を激白

「非がないのに逃げるだろうか?」「レッドカードは不合理」……浦和・槙野智章を追走した済州選手が真相を激白の画像1
済州ユナイテッドFC公式サイトより
 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の決勝トーナメント1回戦。浦和レッズと済州(チェジュ)ユナイテッドの試合で起きた乱闘劇が波紋を呼んでいる。延長戦の末、浦和に3-0で敗れた済州だが、ベンチにいた控え選手がピッチを横断して浦和の阿部勇樹に肘打ちを食らわせたり、試合終了直後に槙野智章を追い回すなど、騒動に。済州は試合後を含め、3人が退場処分となった。日本に限らず、海外メディアも「恥ずべき暴動」と済州を批判的に報じているが、そんな中、渦中の人物が「スポーツ朝鮮」のインタビューに応じた。  トラブルについて赤裸々に語ったのは、試合終了後に槙野を追いかけ回して退場になったクォン・ハンジンだ。  クォン・ハンジンは、済州が興奮状態に陥ったきっかけは審判のジャッジだったと証言。 「審判のせいにはしたくないけれど、あまりに一方的だった。相手がファウルをしても笛を吹かず、私たちが普通のプレーしていたらファウルを取られた。チョ・ヨンヒョンは普通のプレーをしていたのに退場させられたから、チーム全体が興奮した」  そもそも済州は、Kリーグの中でもフェアプレーに定評がある。Kリーグが独自の基準で定めているフェアプレー指数なるもので毎回上位をキープし、激しさを売り物にするスタイルでもない。  また、クォン・ハンジンはかつて、柏レイソル、湘南ベルマーレ、ザスパクサツ群馬などJリーグでプレー。日本を熟知し、チョ・ソンファン監督と記者会見に同席するほど、その人間性はチームから信頼されている。にもかかわらず、なぜ「チーム全体の興奮」が乱闘劇にまで発展してしまったのか?  「クォン・スンヒョンが相手の選手と神経戦を繰り広げていると、(浦和の)ズラタンが指で3-0のスコアを形作り、『お前らは終わった』と言った。“F”から始まる暴言まで吐いた」  さらには、人種差別的な発言をする選手もいたのだという。阿部に肘打ちを食らわして退場処分となったペク・トンギュは、それを遠くから見ていて侮辱されていると感じたそうだ。記事では、浦和の武藤雄樹が済州ベンチに向かって挑発的なポーズを取っている様子を“証拠写真”付きで伝えている。  最も衝撃的なのは、試合終了後の乱闘に関してだ。クォン・ハンジンは、浦和のスタッフたちが済州ベンチ側でペットボトルを投げて歓声を上げた行為を「勝利したチームが絶対にしてはいけない行為」と指摘。 「その時、槙野と武藤が済州の監督とコーチ、選手たちを見て両腕を上げて声を上げながら大きくパフォーマンスをしたんだ。自分のベンチやサポーターの前に行ってやればいいのに。それなのに私たちのベンチの前に来て過激な行動をしたのは、誰が見ても挑発だ」と、浦和に非があると主張した。挙げ句の果てには、問題の“追走”についても、こう言ってのけたのである。 「日本の選手たちがこちらに来て『槙野が悪かった。申し訳ない。理解してくれ』と言ってきた。その最中にも槙野が指を3つ立てるなどパフォーマンスを続けた。だから追いかけたんだ。自分に非がなければ、どうして逃げたりするだろうか? 審判が僕にレッドカードを与えるのは不合理だ」  自分や済洲のチームメイトではなく、原因を審判や槙野になすりつけるこれらの発言が浮き彫りにするのは、クォン・ハンジンの厚顔無恥ぶりだろう。済州は当日の行動が不適切だったと公式に認めており、クォン・ハンジンも「興奮してフェアプレーができなかったのは、明らかに反省すべきこと」と話しているが、本当に反省しているのか勘繰りたくなるくらいだ。  浦和は今回の乱闘劇に関し、アジアサッカー連盟(AFC)に意見書を提出したが、済州も騒動に関する調査・分析を終えており、資料をマッチコミッショナーに提出する予定だ。“当事者”であるクォン・ハンジンの証言がどのような影響を及ぼすのか注目したい。 (文=S-KOREA) ●参考記事 ・「乱闘騒ぎ」に「全滅」。なぜKリーグは見苦しく恥ずかしい「醜態」ばかりを晒すのか (http://s-korea.jp/archives/16465?zo) ・「前代未聞の暴挙」「国際的な恥」ACL浦和対済州の乱闘劇を韓国メディアはどう報じたのか (http://s-korea.jp/archives/16442?zo

食べても痩せる? 管理栄養士が明かす、意外なダイエットメニューとは?

 夏も近づき薄着になる季節、そろそろダイエットを始めないと……と思っているあなた! 食べても痩せる食品があったらいいですよね。実は、意外に身近なところにあったんです。それは「ぬか漬け」。しかも、手が汚れず、たった1日漬けるだけでおいしいぬか漬けができちゃうキットがあるんです。そんな「天然酵母入りぬか床セット」を監修した、管理栄養士の木下あおい先生に、なぜぬか漬けがダイエットにつながるのか、さまざまな疑問をぶつけてみました。

【疑問1】ぬか漬けを食べると痩せるって本当?

「きれいにダイエットするためには“代謝”が重要。消化吸収の90%は小腸で行われています。ぬか漬けに豊富に含まれる乳酸菌で腸を健康に保てば、栄養を上手に吸収できて、血液サラサラに。さらに、ぬか漬けには糖質をエネルギーに変えるビタミンB1も豊富に含まれているので、燃焼をサポートして元気になりますし、サラサラの血液で全身の循環がスムーズになると、老廃物も滞りなく排出されます。体に脂肪をためこまないので、自然と痩せられるという仕組みです。おいしく健康的にダイエットをサポートしてくれるので、一石二鳥ですね」

【疑問2】食べて痩せるなんて本当?

「私も以前は、自分が美しくなることにばかり固執して、過剰なカロリー制限をしていた時期がありました。カロリーと体重のことばかりを考えて、ごはんを抜いてお菓子を食べる生活で、体は疲れやすくお肌はボロボロになってしまったんです。感情の起伏も激しくなり、少しのことでイライラしていました。体が痩せても不健康で機嫌も悪いというのでは“キレイ”とは程遠いですよね。そんな自分が徹底的に嫌になって、少しずつ食生活を改善して今に至ります。キレイになりたい気持ちは痛いほどよくわかりますが、痩せるためには健康でないと、継続的な美しさが手に入りませんよ」

【疑問3】挫折せずにダイエットを続けるコツは?

「食べて痩せるダイエットは、続けることが大事。一汁三菜を基本に、そこにぬか漬けを加えると栄養価も上がって、代謝促進にも効果的です。とはいえ、イチからぬか床を起こして毎日かき混ぜるなんて手間がかかりすぎて挫折しそう、というぬか漬け初心者には、『天然酵母入りぬか床セット』をおすすめします。すでに調合してあるぬかに、水と天然酵母を加えて、袋の外からもむだけで準備OK。旬の野菜や果物を入れて、冷蔵庫で24時間置けば出来上がりです。作ったぬかは約1カ月繰り返し使用可能。天然酵母は、みかんから抽出しているので、さわやかな香りも魅力です。これでぬか漬けのおいしさを覚えて、次は自家製ぬか床にチャレンジしてみるのもいいですね」

木下あおい
(社)日本インナービューティーダイエット協会理事長、インナービューティープランナー、管理栄養士。女性の内側からの美を追求し、腸に優しい健康食を提案。運営するダイエットサロンは予約が取れないほどの人気。著書に『人生を変えるレシピ』(宝島社)など。

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※用意するもの
天然酵母入りぬか床セット
・混合ぬか……………1袋
・天然酵母……………1袋
・専用ジッパー袋……1袋
水 ……………………250ml

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手順
1.専用ジッパー袋に付属の混合ぬかを入れます。 process1
2. 水250mlを加えます。
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3.袋の外から両手でもむようにして、混合ぬかがしっとりするまで混ぜます。
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4.天然酵母を加え、袋の外からしっかりともみ込み、みその固さにします。
process4
5.お好みの野菜を入れ、ぬかが密着するよう軽くもみます。
process5
6.袋の空気を抜いてジッパーを閉じます。
process6
7. 冷蔵庫で24時間保存すれば、おいしいぬか漬の出来上がり!
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天然酵母入りぬか床セット 

※この記事はPR記事です

お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!

お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像1
サラッと書いているように見えるけど、いつまでたっても五條市。いつまでたっても十津川村が数時間続く。
 このお尻が痛くなる旅は価値がある。  日本一の長距離バスとして知られる奈良交通の路線「八木新宮線」。またの名を「新宮特急」とも呼ばれるこのバスは、近鉄の大和八木駅から紀伊半島の山々を巡り、熊野灘を望む紀勢本線の新宮駅前までを結ぶ。  その全長は約166キロ。停留所は167カ所。所要時間は6時間を超える長距離路線だ。  昨今、鉄道に代わって安価な高速バス網が発展したことで、長距離を走るバスというものは増えている。でも、それらは大都市と地方を結ぶ、いわば高速バス。それに対して、この八木新宮線は、あくまで一般路線バス。つまり、そこいらを走っているバスが、超長大な路線になったというヤツである。  実はこのバス。以前より興味はあったものの、乗ることは躊躇していた。というのも、単なる路線バスである。6時間も乗っていれば、かなりお尻が痛くなりそうだ。おまけに、その間に休憩は3回あるものの、車内にトイレはついていない。実際に使用するかしないかは別として、トイレの有無は重要である。途中から我慢しながら乗らなければならないとすれば、精神的にも身体的にもあまりよくなさそうである。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像2
大和八木駅前で出発を待つバス。京都から1時間あまりの町で新宮行きの表示は、やはり期待と不安が募る。
 そうした理由から躊躇していた路線だが、今回、別件で新宮まで取材に行かねばならぬ機会を得た。運賃はともかくとして、とにかく多くの時間を使わねばならぬ路線。ここの機会を逃せば、もう乗ることはないと考えて、まずは出発地の大和八木駅へと向かった。  1日に3便が運行されているこの路線だが、その後の行動を考えると、便利なのは午前9時15分に大和八木駅を出発するバスだろう。そう考えて、前泊して向かうことに。  大和八木駅は橿原神宮という名所もある橿原市のターミナル。とはいえ、車社会の今、市内には人の影も少ない。おまけに、泊まった旅館には1988年の「なら・シルクロード博覧会」の文字がある張り紙もあり、なんだか悠久の歴史を知らせてくれる。
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以前よりよい車両になったというけれど、やはり路線バス。リクライニングもしないし狭い。
■椅子のグレードは高いけど、やっぱりキツい  さて、乗車である。赤字のため廃止も危惧されるこの路線。観光向けの需要の拡大も図っているのか「168バスハイク乗車券」という割引き切符も販売中。2日間有効のこの乗車券を用いると、大和八木駅~新宮駅間6,190円が5,250円と大幅にディスカウントされるのである。  そんな乗車券を手に、やってきたバスに乗車。乗客は10人ほど。いったい、このバスに乗ってどこに行くのだろうか、興味は尽きない。  まず乗って安心したのは、椅子である。路線バスとはいえども、椅子はグレードアップされている。だからといって、乗り心地がよいわけではない。ずっと座っているとエコノミークラス症候群になりそうな、でも適度な狭さである。もし乗る場合には、脚を伸ばしやすい最後尾の座席を選ぶのが賢明だと思った。  こうして発車したバスで流れる自動音声のアナウンスは、路線が公的支援によって維持されていることを説明し、乗車を呼びかける。  長大な路線とはいえ、最初は一般の路線と大差はない。幾人かの乗客が短距離を乗っては降りていく。  そんな路線の本格的な凄さが見えてくるのは、五條バスセンターでの休憩が終わってからである。ここから先、バスがずんずんと入っていくのは山の中。走っている路線は国道168号線と、国道ではあるものの急峻な道だ。  時折、待避所に入って一般車両を先に通しながら、バスは山の中を進んでいく。紀ノ川水系(丹生川)と熊野川水系(十津川)の分水嶺となる天辻峠にさしかかれば、いよいよ「よくこんなところに道を通したな~」という雰囲気だ。  今でこそ舗装されて整備された道になっているわけだが、かつての南朝勢力や幕末の志士たちも通ったこの道。よくもまあ、こんなところを進もうと思ったものだと歴史の深さが感じられてくる。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像4
ここ発電所があったのだが洪水で流されて再建中なのだとか。発電所消滅とかにわかに信じがたい。
 そうして、バスがようやく五條市を超えて十津川村へと入っていくと、見えてくるのは巨大な土木工事が行われている光景だ。この沿線は2011年の大水害で甚大な被害を受けた地域。その復旧工事はいまだに続いている。途中、バスはスピードを緩め、運転手が「このあたりまで水が来た」などと説明をしながら進んでいく。
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国道の改良工事が進んだ結果、峡谷に天空を結ぶ橋のようなものが次々と建設されている。
 この復旧工事にあたっては、新たな道路の建設も進んでいる。急峻な谷間の道に突然現れるのは、巨大な橋げた。頑丈な橋を建設し水害に耐えうるような高度に道を新しく作る方向で工事が進んでいるようだ。そのため、バスはグルグルと回りながら高規格の道路と、合間の集落とをゆきつ戻りつ進んでいく。
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ようやく20分の休憩。でも、バスを下りてもコンビニなんてないので食糧の準備は欠かせない。
■この吊り橋、舐めてかかると怖い!  そんな路線の中で、必ず寄りたい観光スポットが谷瀬の吊り橋。ここでは20分休憩時間が設けられているため、急げば渡って帰ってくることができるというわけだ。
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特に誰かが見張っているわけじゃないので、突然団体客が来たらロープが切れるんじゃないかと不安に。
 次に、ここに来るのはいつのことかわからない。ここは渡っておくしかない。そう考えて橋に向かった筆者であるが、この橋はヤバい。日本一の長さは別に譲ったとはいえ、全長297メートル。川面からの高さは54メートルの吊り橋である。渡ろうとすると「20名以上は同時に渡らないで」の注意書きが。観光シーズンには見張りの人が出るのだろうが、この日は見ている人もおらず。突然、観光バスでもやってきてゾロゾロと渡り始めたら……などとネガティブなことを考えながら歩みを進める。  きっと、多くの人は最初の数十メートルは「なんだこんなものか」とタカをくくるだろう。敷かれている板切れは頼りなさそうだが、特段危険な感じはしないからだ。
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20分の休憩のうちに向こうまで渡って戻って来ることができるのか……。
 だが、中央あたりに来ると「これ、ヤバいんじゃないか……」と、突然恐怖心が湧き上がってくる。中央に来ると、にわかに揺れが強くなってくるのである。「これは危険だ」と立ち止まれば、ふと見てしまう足元。明らかに高い! そして怖い! 最良の手段は、恐怖心が募る前に駆け抜けること。戻りも猛ダッシュすることである……。  そんなアクティビティも堪能できる路線。今回、十津川温泉を越え和歌山県まで乗り通したのは、筆者だけ。残りの乗客はすべて、十津川で下りてしまった。どうも普段から、乗り通しを目的としている観光客を除けば、こんなものらしい。行政からの補助がなければ運行が困難な路線であることは確かだろう。
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ようやくたどり着いた新宮の海岸……は、メチャクチャ荒波なので泳ぐどころか近寄るだけでも危険。
 とはいえ、6時間を超えて紀伊半島の秘境を越えていくという充実感はたまらない。何しろ、まだ都会の雰囲気のある大和八木駅を後に、十津川の峡谷を越えて、新宮に達すれば、そこは荒波が打ち寄せる太平洋。これだけで日本の広さというものを感じることができるはずだ。
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新宮駅前のバスターミナルは時間の止まったようなレトロ感。これだけでも見る価値がある。
 6時間を超えて乗り通すことだけで、達成感を得られるこの路線。時間さえあれば、誰にでも挑戦できるから、一度は乗ってみてもよいだろう。ただ、トイレがないので水分補給だけは、よく考えて!! (文=昼間たかし)

お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!

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サラッと書いているように見えるけど、いつまでたっても五條市。いつまでたっても十津川村が数時間続く。
 このお尻が痛くなる旅は価値がある。  日本一の長距離バスとして知られる奈良交通の路線「八木新宮線」。またの名を「新宮特急」とも呼ばれるこのバスは、近鉄の大和八木駅から紀伊半島の山々を巡り、熊野灘を望む紀勢本線の新宮駅前までを結ぶ。  その全長は約166キロ。停留所は167カ所。所要時間は6時間を超える長距離路線だ。  昨今、鉄道に代わって安価な高速バス網が発展したことで、長距離を走るバスというものは増えている。でも、それらは大都市と地方を結ぶ、いわば高速バス。それに対して、この八木新宮線は、あくまで一般路線バス。つまり、そこいらを走っているバスが、超長大な路線になったというヤツである。  実はこのバス。以前より興味はあったものの、乗ることは躊躇していた。というのも、単なる路線バスである。6時間も乗っていれば、かなりお尻が痛くなりそうだ。おまけに、その間に休憩は3回あるものの、車内にトイレはついていない。実際に使用するかしないかは別として、トイレの有無は重要である。途中から我慢しながら乗らなければならないとすれば、精神的にも身体的にもあまりよくなさそうである。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像2
大和八木駅前で出発を待つバス。京都から1時間あまりの町で新宮行きの表示は、やはり期待と不安が募る。
 そうした理由から躊躇していた路線だが、今回、別件で新宮まで取材に行かねばならぬ機会を得た。運賃はともかくとして、とにかく多くの時間を使わねばならぬ路線。ここの機会を逃せば、もう乗ることはないと考えて、まずは出発地の大和八木駅へと向かった。  1日に3便が運行されているこの路線だが、その後の行動を考えると、便利なのは午前9時15分に大和八木駅を出発するバスだろう。そう考えて、前泊して向かうことに。  大和八木駅は橿原神宮という名所もある橿原市のターミナル。とはいえ、車社会の今、市内には人の影も少ない。おまけに、泊まった旅館には1988年の「なら・シルクロード博覧会」の文字がある張り紙もあり、なんだか悠久の歴史を知らせてくれる。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像3
以前よりよい車両になったというけれど、やはり路線バス。リクライニングもしないし狭い。
■椅子のグレードは高いけど、やっぱりキツい  さて、乗車である。赤字のため廃止も危惧されるこの路線。観光向けの需要の拡大も図っているのか「168バスハイク乗車券」という割引き切符も販売中。2日間有効のこの乗車券を用いると、大和八木駅~新宮駅間6,190円が5,250円と大幅にディスカウントされるのである。  そんな乗車券を手に、やってきたバスに乗車。乗客は10人ほど。いったい、このバスに乗ってどこに行くのだろうか、興味は尽きない。  まず乗って安心したのは、椅子である。路線バスとはいえども、椅子はグレードアップされている。だからといって、乗り心地がよいわけではない。ずっと座っているとエコノミークラス症候群になりそうな、でも適度な狭さである。もし乗る場合には、脚を伸ばしやすい最後尾の座席を選ぶのが賢明だと思った。  こうして発車したバスで流れる自動音声のアナウンスは、路線が公的支援によって維持されていることを説明し、乗車を呼びかける。  長大な路線とはいえ、最初は一般の路線と大差はない。幾人かの乗客が短距離を乗っては降りていく。  そんな路線の本格的な凄さが見えてくるのは、五條バスセンターでの休憩が終わってからである。ここから先、バスがずんずんと入っていくのは山の中。走っている路線は国道168号線と、国道ではあるものの急峻な道だ。  時折、待避所に入って一般車両を先に通しながら、バスは山の中を進んでいく。紀ノ川水系(丹生川)と熊野川水系(十津川)の分水嶺となる天辻峠にさしかかれば、いよいよ「よくこんなところに道を通したな~」という雰囲気だ。  今でこそ舗装されて整備された道になっているわけだが、かつての南朝勢力や幕末の志士たちも通ったこの道。よくもまあ、こんなところを進もうと思ったものだと歴史の深さが感じられてくる。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像4
ここ発電所があったのだが洪水で流されて再建中なのだとか。発電所消滅とかにわかに信じがたい。
 そうして、バスがようやく五條市を超えて十津川村へと入っていくと、見えてくるのは巨大な土木工事が行われている光景だ。この沿線は2011年の大水害で甚大な被害を受けた地域。その復旧工事はいまだに続いている。途中、バスはスピードを緩め、運転手が「このあたりまで水が来た」などと説明をしながら進んでいく。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像5
国道の改良工事が進んだ結果、峡谷に天空を結ぶ橋のようなものが次々と建設されている。
 この復旧工事にあたっては、新たな道路の建設も進んでいる。急峻な谷間の道に突然現れるのは、巨大な橋げた。頑丈な橋を建設し水害に耐えうるような高度に道を新しく作る方向で工事が進んでいるようだ。そのため、バスはグルグルと回りながら高規格の道路と、合間の集落とをゆきつ戻りつ進んでいく。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像6
ようやく20分の休憩。でも、バスを下りてもコンビニなんてないので食糧の準備は欠かせない。
■この吊り橋、舐めてかかると怖い!  そんな路線の中で、必ず寄りたい観光スポットが谷瀬の吊り橋。ここでは20分休憩時間が設けられているため、急げば渡って帰ってくることができるというわけだ。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像7
特に誰かが見張っているわけじゃないので、突然団体客が来たらロープが切れるんじゃないかと不安に。
 次に、ここに来るのはいつのことかわからない。ここは渡っておくしかない。そう考えて橋に向かった筆者であるが、この橋はヤバい。日本一の長さは別に譲ったとはいえ、全長297メートル。川面からの高さは54メートルの吊り橋である。渡ろうとすると「20名以上は同時に渡らないで」の注意書きが。観光シーズンには見張りの人が出るのだろうが、この日は見ている人もおらず。突然、観光バスでもやってきてゾロゾロと渡り始めたら……などとネガティブなことを考えながら歩みを進める。  きっと、多くの人は最初の数十メートルは「なんだこんなものか」とタカをくくるだろう。敷かれている板切れは頼りなさそうだが、特段危険な感じはしないからだ。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像8
20分の休憩のうちに向こうまで渡って戻って来ることができるのか……。
 だが、中央あたりに来ると「これ、ヤバいんじゃないか……」と、突然恐怖心が湧き上がってくる。中央に来ると、にわかに揺れが強くなってくるのである。「これは危険だ」と立ち止まれば、ふと見てしまう足元。明らかに高い! そして怖い! 最良の手段は、恐怖心が募る前に駆け抜けること。戻りも猛ダッシュすることである……。  そんなアクティビティも堪能できる路線。今回、十津川温泉を越え和歌山県まで乗り通したのは、筆者だけ。残りの乗客はすべて、十津川で下りてしまった。どうも普段から、乗り通しを目的としている観光客を除けば、こんなものらしい。行政からの補助がなければ運行が困難な路線であることは確かだろう。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像9
ようやくたどり着いた新宮の海岸……は、メチャクチャ荒波なので泳ぐどころか近寄るだけでも危険。
 とはいえ、6時間を超えて紀伊半島の秘境を越えていくという充実感はたまらない。何しろ、まだ都会の雰囲気のある大和八木駅を後に、十津川の峡谷を越えて、新宮に達すれば、そこは荒波が打ち寄せる太平洋。これだけで日本の広さというものを感じることができるはずだ。
お尻の痛さと、トイレへの不安と戦う6時間超えのバスの旅……日本最長距離「新宮特急」はやっぱりスゴかった!の画像10
新宮駅前のバスターミナルは時間の止まったようなレトロ感。これだけでも見る価値がある。
 6時間を超えて乗り通すことだけで、達成感を得られるこの路線。時間さえあれば、誰にでも挑戦できるから、一度は乗ってみてもよいだろう。ただ、トイレがないので水分補給だけは、よく考えて!! (文=昼間たかし)