記録よりも記憶に残る“裏方夫婦”の映画年代記! 『ハロルドとリリアン』がいたから名作は生まれた

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ハロルド&リリアン・マイケルソン夫妻。ヒッチコックもコッポラもハリウッドの監督たちはこぞって、この夫婦に協力を求めた。
 日本語の“裏方さん”にあたる外国語を調べたことがあるが、なかなかピンとくる言葉に出逢えなかった。英語だとunsung heroという言い回しがあるが、どうも脚光を浴びそびれた人、記録に残らなかった人、という残念な意味合いが感じられてしまう。日本語の“裏方さん”には親しみと敬意が込められているが、欧米文化にはそういった感覚はないのか。そんな疑問に答えてくれたのが、現在公開中のドキュメンタリー映画『ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー』だった。 『ハロルドとリリアン』の主人公であるハロルド・マイケルソン&リリアン・マイケルソンは、それぞれ絵コンテ作家、リサーチャーとして戦後のハリウッド黄金時代に大活躍した伝説の裏方夫婦だった。夫ハロルドの絵コンテ作家としての凄さがよく分かるのは、旧約聖書の出エジプト記を実写化した『十戒』(56)の海がまっぷたつに割れるシーン。映画史に残るこの名シーンを、イメージボードにしてまず描いてみせたのがハロルドだった。  第二次世界大戦中、欧州戦線で爆撃機に乗ったハロルドはそのときの体験から、あらゆる事物を俯瞰した視点から描く感覚を身に付けていた。『十戒』が大ヒットしたことから、ハロルドの評判はうなぎ昇りとなり、ロバート・ワイズ監督の『ウエスト・サイド物語』(61)、ヒッチコック監督の『鳥』(63)、マイク・ニコルズ監督の『卒業』(68)などで素晴しい絵コンテを生み出すことになる。とりわけ動物パニックものの先駆作『鳥』はハロルドの鳥瞰的視点が大きな役割を果たしていることが、彼の絵コンテと『鳥』の名シーンを見比べてみることでよく分かる。  ハロルドと同じ米国南部マイアミ生まれのリリアンは幼い頃に親から虐待され施設で育ったものの、読書好きな利発な女の子だった。戦争から故郷に戻ってきたハロルドはリリアンと交際するようになるが、施設育ちであることを理由にハロルドの親族は2人の交際に大反対。逆にそれが火に油を注ぐことになり、ハロルドとリリアンは新天地を求めて知人がいないハリウッドへ移り住む。大手映画会社の美術部門の見習いスタッフとしてハロルドは働き始め、ビンボーだったけど、2人は3人の子宝に恵まれる。やがて絵コンテ作家として活躍し始めたハロルドの紹介で、リリアンは映画会社内にあるライブラリーでボランティアとして働くことに。  このライブラリーで、リリアンは類い稀なる才能を発揮する。ただ映画スタッフに頼まれた資料を用意するだけでなく、リリアンは映画監督がどんな資料を欲しているのか、またどんな資料があれば映画にリアリティーがもたらされ、面白い映画に膨らんでいくのかを的確に把握していた。ホラーサスペンス『ローズマリーの赤ちゃん』(68)ではブードゥー教など世界中に伝わる怪しい宗教や呪術について丹念にリサーチした。資料がなければ自分で資料を作成し、麻薬王の一代記『スカーフェイス』(83)では裏社会の人間を取材することで麻薬コネクションの内情を入手した。もちろん、夫ハロルドの絵コンテの参考になる情報を提供することも怠らない。2人がタッグを組むことで、普通のスタッフが請け負うよりも数倍もの相乗効果が作品にもたらせられた。
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絵コンテ作家として目覚ましい才能を発揮したハロルド。脚本にはない視覚的なアイデアを絵コンテに詰め込んだ。
 ハリウッドの黄金時代も終わり、かつてのスタジオシステムは弱体化していくことになるが、それに反比例するかのようにハロルドとリリアンは映画業界に欠かせない存在となっていく。スタジオシステムが機能していた時代は、撮影スタジオに行けばスタジオ内には多彩なスタッフが常駐しており、新作映画の情報が入るやいなや、有能なスタッフが様々なアイデアと共に馳せ参じてくれた。スタジオシステムが縮小していく中で、ハロルドとリリアンは夫婦でその役割を果たす。退屈なシナリオを抱えて困っていた監督も、この夫婦にお願いすれば、ハロルドがイマジネーション溢れるイメージボードを描き、リリアンが物語に深みを持たせる面白い資料を用意してくれた。困ったときの神頼みならぬ、ハロルド&リリアン頼みだった。  ヒッチコック監督の代表作『サイコ』(60)のシャワーシーンの絵コンテを描いたことでソール・バスは有名だが、ハロルドは彼ほど世間には名前を知られてはいない。ソール・バスは映画タイトルや映画ポスターの他にも幅広く商業デザイナーとして活躍し、ひとりのアーティストとして認識されていたが、ハロルドは映画界の裏方職人に徹していたからだ。また、絵コンテ作家は裏方中の裏方であり、実写映画では絵コンテ作家の名前はクレジットされなかった。映画監督たちの多くは、できれば名シーンを考えた手柄を自分のものにしておきたかった。リリアンも同じだった。ライブラリーで黙々と資料集めに尽力するリサーチャーも、エンドロールにクレジットされる機会は少ない。でも、面白い映画ができ、ギャランティーが支払われ、家族が食べていける、慎ましい幸せをハロルド&リリアンは望んだ。  裏方人生を歩んできたハロルドに転機が訪れる。撮影用のセットが崩壊する事故が起き、ハロルドは両足に大きな傷を負い、撮影現場に出るのが難しくなってしまう。一時期は酒に溺れたハロルドだが、リリアンから「酒をやめないと離婚よ」と脅されて、あっさり更生。若手の面倒見もよかったことから、ハロルドはプロダクションデザイナーとして美術部門を統括する立場に格上げされることに。SF映画『スター・トレック』(79)で、晴れてハロルドはアカデミー賞美術賞に初ノミネートされる。「アカデミー賞にノミネートされたお陰で、いろんな仕事がくるようになった。成功作がひとつあれば、他の失敗作を黙っていられるからいい」とユーモアたっぷりに語る様子もまた、ハロルドらしい。
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リサーチャーとして監督たちから絶大な信頼を得たリリアン。彼女のライブラリーは今も美術監督組合内に併設されている。
 一方のリリアンはスタジオシステムが縮小されていく中、自分でライブラリーを運営することを決意する。リリアンのライブラリーには、資料を探しにくる若いスタッフや、明るい性格のリリアンとの談話を楽しみにしている映画監督たちが集まり、サロン的な役割も果たすようになる。しゃがれ声で有名なミュージシャンのトム・ウエイツも若い頃に出入りし、デヴィッド・リンチ監督は借りた資料を丁寧に元にあった棚に戻そうと努めた。リリアンに呼び出された元麻薬王と麻薬取締官がお互いの素性を知らずに鉢合わせることもあった。リリアンが司書を務める映画図書館を舞台に、三谷幸喜あたりがワンシチュエーションの脚本を書いたら、すっごく面白いドラマになりそうだ。  ハロルドが87歳で亡くなるまで、60年間にわたって夫婦生活を続けたハロルドとリリアン。恋愛映画の主人公カップルと同じくらい、顔合わせがコロコロと変わるハリウッドでは非常に珍しい。ハロルドとリリアンの夫婦仲を深く結びつけたのは3人の息子たちだった。中でも長男が自閉症だったことから、夫婦は人一倍の愛情を子どもたちに注いだ。そして仕事仲間に対しても家族のように接し、彼らが手掛ける新しい映画に喜んで参加した。ハロルド&リリアンと長く親友として交流を続けたコメディ監督のメル・ブルックスや俳優のダニー・デヴィートらは、楽しげに夫婦のこと、作品づくりのことを振り返る。ハロルド&リリアンは、記録ではなく記憶に残るハリウッドカップルだった。  裏方さんのことを英語ではunsung hero、歌に歌われることのない英雄と呼ぶ。でもハロルドとリリアンが作品づくりに励んでいる姿は、まるで2人でお気に入りの歌をハモっているかのようだ。歌に歌われるよりも、歌を歌うほうがずっと楽しい。ハロルド&リリアンはすごく当たり前のことに気づかせてくれる。『ハロルドとリリアン』には裏方さんに対する最上級の敬意と愛情が込められている。 (文=長野辰次)
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『ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー』 エグゼクティブ・プロデューサー/ダニー・デヴィート 監督・脚本/ダニエル・レイム 出演/ハロルド&リリアン・マイケルソン、フランシス・F・コッポラ、メル・ブルックス、ダニー・デヴィート、アルフレッド・ヒッチコック、デヴィッド・リンチ 配給/ココロヲ・動かす・映画社 5月27日より恵比寿YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー中 (C)2015 ADAMA FILMS All Rights Reserved http://www.harold-lillian.com

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「婦人公論」の「体の不調」特集で暴れる、冨士眞奈美・吉行和子・仲代達矢ら“あっけらかん”としたアラ80

fujinkouoron170613

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は「不調のサインを見逃さない」。キャッチフレーズには「40代から70代の『体の節目』」とあります。「40代に入ると徹夜はできないし、深酒できないし、どんなに疲れていても熟睡できない……」と、この手の話題なら3時間はぶっ通しで話せるようになる、それが中高年たるものの矜持。冒頭のアンケート「私の体の“曲がり角”は?」にも、「私の不調」が生き生きとページに踊っています。そんな中、最も心を掴まれたのが「不調のどん底で考えていたこと」にあった、「年齢的なものだから仕方ない。それに、あんなにキレイな歌手だって尿もれパッドとかきっと使っているはず。そう思えば明るい気持ちになれる」(53歳主婦)という一文。どん底の人間を救う尿もれパッド……これはサラサーティのCMを務めたRIKACOの偉業を讃えるべきでは……。

<トピックス>

◎特集 不調のサインを見逃さない

◎冨士眞奈美×吉行和子 人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね

◎仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために

■「和子っぺ」という愛称のほのぼの昭和感

 こちらの特集、40代以降の女性の体の変化と病気の関係を医学的見地から語るものや、がんと宣告された人のルポ、脳梗塞から生還した磯野貴理子のインタビューなど、ほとんどが「病気」や「体調」を真正面から捉えたものですが、座談会「人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね」だけ毛色が違います。女優の冨士眞奈美、吉行和子、エッセイストの関容子による「仲よし3人、気ままにおしゃべり」と銘打たれておりますが、これを「気まま」という言葉で片づけていいのか……。

 冨士と吉行といえば、芸能界でも有名な仲よしコンビ。関とも40年来の付き合いなのだそう。一応「元気に過ごすために、日々心がけていることは?」というテーマはあるものの、話が進むにつれて完全に脱線。台本の台詞を覚えるのが大変という話で、てっきり「こういう努力をしている」といった女優魂エピソードが出てくるのかと思いきや、「私なんか、受験生向けの記憶促進器具というのがある、と聞いて、慌てて買いに行ったの」(吉行)、「えーっ。そんなのあるの?」(冨士)、「そしたら、結局ウォークマンみたいなものなのよ。自分でしゃべったのを耳から聴いて覚えなさい、ってなわけなの」(吉行)、「なぁーんだ。つまんないの」(冨士)。

 料理をまったくしないことでおなじみの吉行を、「この人、キッチンを何百万もかけて改装して、汚すのがいやだから使わないの」と冨士がイジれば、吉行が「何百万じゃないわよ、何十万よ。面白く言わないでよ」と軽くキレる。その後も冨士の盛りグセはとどまるところを知らず、

「和子っぺが私の家に一度だけ来たことあるのね、そのときにこめかみから血を流してるから、私びっくりして、『どうしたの?』って聞いたら、鍼を200本くらい打ったらしいの」(冨士)

「それは、嘘だと思うけどね」(吉行)

「本当よ。頭のてっぺんとか、瞼の上とか、こめかみとか、もう鍼だらけになって(中略)両側のこめかみから血をタラーっとたらして、家に来たの」(冨士)

「その話は私、信じないな」(吉行)

 この鍼で流血の話は水掛け論が続き、最終的には「今日子ちゃん(故岸田今日子)が、もういないけど、いたら覚えてるわよ、その話。おかげで元気なの、この人」(冨士)と死者まで引っ張り出してくる始末。このやりとりで意外だったのは「和子っぺが私の家に一度だけ来た」というところ。40年来の付き合いで何でも話す仲なのに、その距離感はお互い守り合っているんだなぁと。これこそが長く友情関係を続ける秘訣なのかも。そしてこういう会話ができる相手がいるからこそ「元気で長く生きよう」と思えるのでしょうね。

 “アラ80女”のかしましい座談会のあとは、これまた80代俳優のインタビュー。「仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために」のインタビュアーは、奇しくも先ほどのページに登場していたエッセイストの関容子です。

 6月3日に封切りとなる映画『海辺のリア』の宣伝を兼ねていますが、仲代の生い立ちや無名塾立ち上げエピソードなどかなり盛りだくさん。幼少期に戦争を体験し「爆弾が毎日東京に落ちて、逃げ回っていた。戦争に対する反感の思いは強烈にあります。『鬼畜米英』なんて言っていたのが、8月15日を境に、大人たちが一挙に親米派になったもんですから。その頃から、私にはニヒリズムが備わったわけです」と本人が語るように、仲代の視点はどこか社会に対してケンカ腰。「40歳を過ぎたころ、新しい役者を育てたいと思って、『無名塾』を始めました。妻で女優の宮崎恭子が演出して、私が主演して、教え子たちが周りを固める。そうしたら新聞記者から『ファミリー劇場だ』と言われて、『それがなんでいけないんだ』と喧嘩しました。すると、しばらく批評を書いてくれなくなったりした」。

 こんな調子で熱く、力強く舞台の話をしていたと思えば、役者に必要なものは「運」と「血」であるというくだりで「私の父親が不倫の子という話もあります。祖母が若妻だった時分、『旅回りの團十郎』と言われたいい男の役者と逃げて、生まれたのが私の父だとか。確証はないんですけどね。(中略)また、母方の祖父がスパイで、中国人に扮していた、というのは確かなんです」と、夏休みに祖母宅に泊まりに行くと布団の中で「お前もねぇ、時代が時代だったらお姫様だったかもしれないんだよ~うちは藤原の家系だからね~」と繰り返し話すウチのばあちゃん並みのファンタジー。「旅回りの團十郎」「祖父がスパイ」も、布団の中で聞かされた匂いがプンプンします!

「これからやりたい芝居が、まだ30本ほど、とても全部は実現できないけれど、あれこれ考えるのが楽しくて。気力だけはあります。85歳で引退すると言っていましたが、84になった今も演じ足りない。だって、自分はまだ下手なんですよ」

 80代になっても「鍼打ってこめかみから血ぃ流しながらうちまで来た」「オマエはすぐ話を盛る」と言い争う友達関係、80代になってもまだまだ自分は下手、もっと演じたいという仕事への渇望……まったく趣向の異なる座談会/インタビューながら、長く元気に生きる人間に共通する、一周まわった“あっけらかん”を見せつけられた思いです。そしてその“あっけらかん”は、選ばれた人間にのみ与えられた妙技なのだということも。(西澤千央)

「婦人公論」の「体の不調」特集で暴れる、冨士眞奈美・吉行和子・仲代達矢ら“あっけらかん”としたアラ80

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 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は「不調のサインを見逃さない」。キャッチフレーズには「40代から70代の『体の節目』」とあります。「40代に入ると徹夜はできないし、深酒できないし、どんなに疲れていても熟睡できない……」と、この手の話題なら3時間はぶっ通しで話せるようになる、それが中高年たるものの矜持。冒頭のアンケート「私の体の“曲がり角”は?」にも、「私の不調」が生き生きとページに踊っています。そんな中、最も心を掴まれたのが「不調のどん底で考えていたこと」にあった、「年齢的なものだから仕方ない。それに、あんなにキレイな歌手だって尿もれパッドとかきっと使っているはず。そう思えば明るい気持ちになれる」(53歳主婦)という一文。どん底の人間を救う尿もれパッド……これはサラサーティのCMを務めたRIKACOの偉業を讃えるべきでは……。

<トピックス>

◎特集 不調のサインを見逃さない

◎冨士眞奈美×吉行和子 人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね

◎仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために

■「和子っぺ」という愛称のほのぼの昭和感

 こちらの特集、40代以降の女性の体の変化と病気の関係を医学的見地から語るものや、がんと宣告された人のルポ、脳梗塞から生還した磯野貴理子のインタビューなど、ほとんどが「病気」や「体調」を真正面から捉えたものですが、座談会「人生後半から大切なのは食事、運動、そしてときめきよね」だけ毛色が違います。女優の冨士眞奈美、吉行和子、エッセイストの関容子による「仲よし3人、気ままにおしゃべり」と銘打たれておりますが、これを「気まま」という言葉で片づけていいのか……。

 冨士と吉行といえば、芸能界でも有名な仲よしコンビ。関とも40年来の付き合いなのだそう。一応「元気に過ごすために、日々心がけていることは?」というテーマはあるものの、話が進むにつれて完全に脱線。台本の台詞を覚えるのが大変という話で、てっきり「こういう努力をしている」といった女優魂エピソードが出てくるのかと思いきや、「私なんか、受験生向けの記憶促進器具というのがある、と聞いて、慌てて買いに行ったの」(吉行)、「えーっ。そんなのあるの?」(冨士)、「そしたら、結局ウォークマンみたいなものなのよ。自分でしゃべったのを耳から聴いて覚えなさい、ってなわけなの」(吉行)、「なぁーんだ。つまんないの」(冨士)。

 料理をまったくしないことでおなじみの吉行を、「この人、キッチンを何百万もかけて改装して、汚すのがいやだから使わないの」と冨士がイジれば、吉行が「何百万じゃないわよ、何十万よ。面白く言わないでよ」と軽くキレる。その後も冨士の盛りグセはとどまるところを知らず、

「和子っぺが私の家に一度だけ来たことあるのね、そのときにこめかみから血を流してるから、私びっくりして、『どうしたの?』って聞いたら、鍼を200本くらい打ったらしいの」(冨士)

「それは、嘘だと思うけどね」(吉行)

「本当よ。頭のてっぺんとか、瞼の上とか、こめかみとか、もう鍼だらけになって(中略)両側のこめかみから血をタラーっとたらして、家に来たの」(冨士)

「その話は私、信じないな」(吉行)

 この鍼で流血の話は水掛け論が続き、最終的には「今日子ちゃん(故岸田今日子)が、もういないけど、いたら覚えてるわよ、その話。おかげで元気なの、この人」(冨士)と死者まで引っ張り出してくる始末。このやりとりで意外だったのは「和子っぺが私の家に一度だけ来た」というところ。40年来の付き合いで何でも話す仲なのに、その距離感はお互い守り合っているんだなぁと。これこそが長く友情関係を続ける秘訣なのかも。そしてこういう会話ができる相手がいるからこそ「元気で長く生きよう」と思えるのでしょうね。

 “アラ80女”のかしましい座談会のあとは、これまた80代俳優のインタビュー。「仲代達矢 演じ続ける。悪しきものへ抵抗するために」のインタビュアーは、奇しくも先ほどのページに登場していたエッセイストの関容子です。

 6月3日に封切りとなる映画『海辺のリア』の宣伝を兼ねていますが、仲代の生い立ちや無名塾立ち上げエピソードなどかなり盛りだくさん。幼少期に戦争を体験し「爆弾が毎日東京に落ちて、逃げ回っていた。戦争に対する反感の思いは強烈にあります。『鬼畜米英』なんて言っていたのが、8月15日を境に、大人たちが一挙に親米派になったもんですから。その頃から、私にはニヒリズムが備わったわけです」と本人が語るように、仲代の視点はどこか社会に対してケンカ腰。「40歳を過ぎたころ、新しい役者を育てたいと思って、『無名塾』を始めました。妻で女優の宮崎恭子が演出して、私が主演して、教え子たちが周りを固める。そうしたら新聞記者から『ファミリー劇場だ』と言われて、『それがなんでいけないんだ』と喧嘩しました。すると、しばらく批評を書いてくれなくなったりした」。

 こんな調子で熱く、力強く舞台の話をしていたと思えば、役者に必要なものは「運」と「血」であるというくだりで「私の父親が不倫の子という話もあります。祖母が若妻だった時分、『旅回りの團十郎』と言われたいい男の役者と逃げて、生まれたのが私の父だとか。確証はないんですけどね。(中略)また、母方の祖父がスパイで、中国人に扮していた、というのは確かなんです」と、夏休みに祖母宅に泊まりに行くと布団の中で「お前もねぇ、時代が時代だったらお姫様だったかもしれないんだよ~うちは藤原の家系だからね~」と繰り返し話すウチのばあちゃん並みのファンタジー。「旅回りの團十郎」「祖父がスパイ」も、布団の中で聞かされた匂いがプンプンします!

「これからやりたい芝居が、まだ30本ほど、とても全部は実現できないけれど、あれこれ考えるのが楽しくて。気力だけはあります。85歳で引退すると言っていましたが、84になった今も演じ足りない。だって、自分はまだ下手なんですよ」

 80代になっても「鍼打ってこめかみから血ぃ流しながらうちまで来た」「オマエはすぐ話を盛る」と言い争う友達関係、80代になってもまだまだ自分は下手、もっと演じたいという仕事への渇望……まったく趣向の異なる座談会/インタビューながら、長く元気に生きる人間に共通する、一周まわった“あっけらかん”を見せつけられた思いです。そしてその“あっけらかん”は、選ばれた人間にのみ与えられた妙技なのだということも。(西澤千央)

実写『鋼の錬金術師』の役作りだった!?『ダウンタウンDX』で夏菜の鼻が「元に戻った」と話題

実写『鋼の錬金術師』の役作りだった!?『ダウンタウンDX』で夏菜の鼻が「元に戻った」と話題の画像1
インスタグラムより
 朝ドラ女優の夏菜(28)が、1日放送のバラエティ番組『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)に出演。放送中、ネット上では「鼻が元に戻った」との指摘であふれた。  自宅でワインを飲みながらテレビゲームをするのにハマッているという夏菜。ワインは1日に1~2本空けるといい、「植木鉢に突っ込んだり」「両親に捜索願い出されちゃったりとかぁ」と、酒にまつわる失敗談を披露した。  夏菜といえば、昨年6月期のドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)に出演した際、ネット上で「鼻が変わって別人のよう」「額から鼻がはえてる」と大騒ぎに。本人はこの指摘に反応していないものの、すっかり“整形疑惑”のイメージが定着してしまった。  しかし今回、夏菜の顔がアップで映ると、「鼻またいじった?」「鼻の違和感がなくなった」「鼻に入れてたもの抜いた?」という声が相次いだ。 「整形疑惑が騒がれたのと同時期に、Hey! Say! JUMP・山田涼介主演の実写映画『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』(12月公開予定)がイタリアでクランクイン。夏菜もマリア・ロス少尉役で出演している。同映画は、外国人設定のキャラクターを日本人が演じることへの批判が相次いでおり、夏菜の鼻には“役作り説”も浮上しています」(芸能記者)  夏菜のインスタグラムを見ると、今年3月から4月の間に、鼻筋のラインが以前の状態に近づいたようにも。不自然さがなくなり、以前のかわいらしい表情に戻った印象だ。 「3月9日の投稿で、パスポートの写真とともに『今日からあまり電波の届かないところに』と綴っている夏菜ですが、4月4日まで更新がないことから、この間に鼻筋を戻すために手が加えられたのではないかとウワサされている。なんにせよ、不自然な鼻はファンからも不評でしたから、自然な状態に戻ってよかったですね」(同)  5年前のNHK連続テレビ小説『純と愛』で主役に抜擢されたものの、ブレークには至らなかった夏菜。しかし、もし鼻筋の変化が“役作り”なのだとしたら、大した“女優魂”と言えそうだ。

Twitterの超有名肉食女子【暇な女子大生のちんぽの食べログ】が、まさかまさかのAV化決定!!

Twitterの超有名肉食女子【暇な女子大生のちんぽの食べログ】が、まさかまさかのAV化決定!!の画像1
 皆さんは【暇な女子大生】(https://Twitter.com/bored_jd)という人物をご存知でしょうか? Twitterに突如として現れた超肉食の現役慶応女子大生。高学歴のエリート男性のみに発情し、その男性との情事を記録する「ち○ぽの食べログ」を運営。出会い系アプリ【tinder】を駆使し日夜エリートとの優勝(=SEX)を繰り返し、Twitterを通してその様子を発信している女性なんです。フォロワー数はあっという間に20万人に迫る勢い、まさに時代の寵児と言っても過言ではないでしょう。そんな彼女ですが、すでにさまざまなメディアで取り上げられていて注目度は高いものの、その正体は一切謎に包まれたままとなっています。  しかし、謎に包まれていた【暇な女子大生】が突如としてAV界に電撃参戦を果たしたのです。それはKMPから7月に発売されることが決定している【フォロワー数およそ20万!!Twi●terで話題のエリート喰い女子大生本人初監修AV!!素人膣ドカタと「ち●ぽのレビュー」をしよう!!】の、監修を勤めたというのです! 「そもそも弊社のスタッフの一人が、彼女の一フォロワーだったんです。エロくてエンターテイメント性に富んでいますからね。そこで『どうやったら彼女とSEXできるんだろう?』という気持ちになったので、今回の企画を考えました」
Twitterの超有名肉食女子【暇な女子大生のちんぽの食べログ】が、まさかまさかのAV化決定!!の画像2
 企画のスタートを話してくれたのは、KMPの担当者。今回はスムーズにいろいろ話してくれました、ありがとうございます(普段からこうならいいのに……)。当然、Twitter上の人物であるが故、アプローチはTwitterからだったそうです。 「基本的に身バレしたくないということで、顔出しはNG。打ち合わせも、現場にも同席は叶いませんでした。誰も彼女に会っていないんですよ(笑)。なのでメールや電話でディティールを教えてもらい、作品に昇華していきました。彼女の体験談がふんだんに盛り込まれています」  徹底したプロテクトも、彼女の活動を続けていく上では不可欠な行為なのでしょう。しかし、気になるのは彼女の体験談が盛り込まれているという部分です。【暇な女子大生】がどうやってエリートチンポにアプローチをかけ、実際に優勝しているのかが赤裸々に映像化されているみたいです! これは気になって仕方がない!!  ちなみに【暇な女子大生】は独特の言い回しで自身の活動を表現しています。一例を挙げてみると…。 優勝する=SEXする ちんぽの食べログ=SEXの記録 膣ピク=興奮でマ○コがピクピクすること 膣キュン=性的に魅力を感じること 膣ドカタ=マ○コをフルに使って頑張る女性 かけもち○ぽ=1日に2回優勝すること  うん、独特! ですが、これだけポップに表現されるとなんだか頭にスッと入ってきますね。こういった言葉を使って、今回のAVをプロデュースしたのでしょう。  KMPではすでに特設ページが公開され、彼女と今作の情報がオープンになっています。なんと素性が極秘の彼女が応じた、独占電話インタビューの内容も公開されているんです! 公式サイト:http://www.km-produce.com/bored_jd/  いや~、気になる! この作品を観ておけば、もし【暇な女子大生】と遭遇しても彼女の興奮するツボがすべて手に取るようにわかる=優勝(SEX)できるというわけですよ。まさに【暇な女子大生】の取り扱い説明書ですね。彼女とのSEXを熱望する諸君、このチャンスを逃してはいけない!!  あ……【暇な女子大生】って……そっか、エリート(高学歴)にしか興奮しないんだっけ……。 ※但しエリート(高学歴)に限る!!■

オリビア・ニュートン=ジョンがん再発で、「大麻オイルで治療」宣言の娘に批難集中

  「フィジカル」や「そよ風の誘惑」といった数々のヒット曲で知られるオリビア・ニュートン=ジョン(68)が先月末、がんの再発を告白した。5月に入ってすぐ「健康上の理由」でツアーを延期していたことから、ファンもある程度予想はしていたようだが、それでも大きなショックを受けている人が多い。そんな中で、オリビアの娘クロエ・ラタンジー(31)は「治療にはカンナビスオイルを使う」と宣言。クロエがオリビアの金で大麻農場の経営を始めたばかりであることから、「絶好のプロモーション・チャンス」と皮肉る声も上がっている。

 80年代のディスコシーンを代表するアップテンポな「フィジカル」のMVでナイスなレオタード姿を披露するなど、健康的なイメージのオリビアが乳がんを発症したのは1992年のこと。父親を肝がんで亡くした週末に、自身も告知を受けたが、当時6歳だった一人娘のクロエのためにと、果敢に治療に挑んだ。寛解後には、乳房だけでなく、脇の下のリンパ節や胸の筋肉の膜などを切除する非定型的根治的乳房切除術や化学療法を受けたことを明かしている。

 その後、オリビアは乳がんの啓蒙活動を行うようになり、オーストラリアのメルボルンに「オリビア・ニュートン=ジョン がん&ウェルネス・センター」を設立。最新の治療を提供するだけでなく、研究のための寄付金を集めるチャリティーを開催したり、がん患者に捧げるアルバムをリリースするなど、「がんサバイバー」として数多くのがん患者に手を差し伸べてきた。13年には姉のロナ・ニュートン=ジョンを脳腫瘍で亡くし落ち込んだものの、姉の名前をつけた基金を立ち上げ、さらに積極的に活動するようになった。

 一方で私生活では、95年にクロエの父である一人目の夫と離婚。その後、カメラマンのパトリック・マクダーモットと交際するが、9年目の05年に破局。エコやハーブに詳しいプロデューサーで実業家のジョン・イースターリングと08年に再婚してからは落ち着いたように思われたが、今度は愛娘クロエに悩まされるようになる。クロエは10代で「自分は母ほどきれいじゃない」という思い込みから拒食症になり、美容整形を繰り返すようになった。やがて1日130ドル(約1万4,000円)をコカインに費やす薬物依存・アルコール依存に陥り、オリビアは深く心を痛めた。

 その後、クロエは13年に7カ月間のリハビリ入院で健康を取り戻したと伝えられ、15年にはオリビアのヒット曲「Magic」(80)をリワークした「You Have To Believe」を母娘でデュエットしたMVが話題になった。だがその後も歌手としてはパッとせず、露出度の高い服やビキニを着た写真ばかりをインスタグラムに投稿することで注目されるように。次第に「お騒がせ二世セレブ」として好奇の目で見られることが多くなった。

 そんなクロエは、昨年末に突然「大麻農場を経営するために、婚約者と共にオレゴン州に移住した」と発表。もちろん合法だが、オリビアが資金を提供したとうわさされたため、代理人が「新しい土地に移り、家を建てるための資金を貸した。大麻ビジネスに対するものではない」と否定。「あまりにも突拍子もないことをするので、オリビアが心配している」という報道も流れたが、クロエは「医療用大麻は正しく使用すればミラクルな効果が期待できると、母も喜んでいる」と一蹴した。

 大麻農場経営者の道を歩みだしたクロエは、今年3月には豪女性誌「Woman’s Day」で、「18歳で豊胸手術を受けた。顔や唇にフィラー(ヒアルロン酸、コラーゲンなど)を入れたけど除去した」「昨年、1万ドルかけて再び豊胸手術を受けた。断酒、断薬のご褒美に」と、これまでの美容整形歴を激白。同月には自身のインスタグラムに、オリビアが苦笑いしながら「ハニー、いい加減にして」と言う動画を投稿し、31歳にもなった娘からの苦労が絶えないオリビアに世間の同情が集まった。

 娘の言動に頭を痛めつつも、アクティブなオリビアはコンサートツアーの予定を組んだ。が、先月9日、オリビアのFacebook公式ページに彼女のマネジメント・チームが「坐骨神経痛がひどく、5月のコンサートを延期しなければならなくなった。日程が調整でき次第、新しい公演スケジュールを発表する。ご迷惑をおかけして申し訳ない」という声明を発表。

 5月半ばには豪タブロイド紙「New Idea」が「オリビアは歩けないし、ベッドから起き上がることもできない。それほど激しい痛みに襲われている」と報道。インスタグラムに「レッドブルを飲む魔女」というセクシー写真を投稿した娘のことも心配していると伝えられ、ファンからは「娘からの過度のストレスと、それほどひどい痛み。がんが再発していなければいいけれど……」と心配する声が上がった。

 そしてそんな不安は、的中してしまう。5月30日、Facebookに「6月に予定していたUS/カナダコンサートツアーはすべて延期しなければならなくなった」「乳がんが、骨盤の中央にある仙骨に転移したと診断された」と告白する声明文が投稿されたのだ。「自然療法、短期間の放射線治療を受け、年内に復帰できる見込み。絶対に元気になって戻ってきます」「担当医やナチュラル・セラピスト、オリビア・ニュートン=ジョン がん&ウェルネス・センターの医療チームと話し合って治療法を決めた」「新しいコンサート日程は数週間のうちに発表する予定」と前向きに明かしたが、25年前に発症した乳がんのまさかの転移は、ファンだけでなく世界中の人々に大きなショックを与えた。

 翌31日、今度はクロエがインスタグラムに声明文を投稿。「みんな、愛とサポートをありがとう。わたしにとって親友でもあるママは元気になるから!」と感謝の気持ちを述べ、「わたしがよく話題にする、あの薬を使うことになったの。CBDオイルよ! ほかにも自然療法、現代医療を組み合わせて、がんに打ち勝つわ」と明かした。

 CBDオイルとは、医療大麻のこと。大麻は主に、マリファナ的な作用を引き起こすTHC成分と、気持ちを落ち着かせるCBD成分のバランスによって薬用型とそれ以外に分類される。CBDは抗精神病薬としても効果を持つほか、炎症や嘔吐、痙攣などの緩和、がん細胞の成長の抑制作用もあるとされ、医療への利用が注目されている。

 大麻農場を経営し始めたばかりのクロエにとっては、ぜひとも母にCBDオイルを使ってもらいたいところだろう。自分の農場でつくったオイルで、苦労をかけっぱなしの母親を元気にしたいと思っているのかもしれない。しかしネット上は、この声明に強く反発。「大麻農場を経営するヤク中の声明ね」「母親のピンチまでをも自分の売名に利用しようとするなんて、恥を知れ!」「CBDでがん細胞を消滅させることはできない。誤解を受ける人がいるだろうから、もう口を開くな」といった激しい非難や、「拒食症とか精神的に病んでる気の毒な子かと思ってたけど、ただのナルシストの奇人だね」「母親のがん転移を喜んでるみたいで不愉快。普通、ショックで声明なんて出せないでしょ」と呆れの声が上がっている。

 クロエが武術のインストラクター、ジェームズ・ドリスキルと婚約した6年前に、インタビューで「孫がほしい!」と切望していたオリビア。のちにジェームズは既婚者であることが判明したため破局してしまったが、オリビアはきっと今もクロエが落ち着いて家庭を持ってほしいと願っているに違いない。オリビアが再び健康を取り戻し、心休まる日が来ることを願わずにはいられない。

オリビア・ニュートン=ジョンがん再発で、「大麻オイルで治療」宣言の娘に批難集中

  「フィジカル」や「そよ風の誘惑」といった数々のヒット曲で知られるオリビア・ニュートン=ジョン(68)が先月末、がんの再発を告白した。5月に入ってすぐ「健康上の理由」でツアーを延期していたことから、ファンもある程度予想はしていたようだが、それでも大きなショックを受けている人が多い。そんな中で、オリビアの娘クロエ・ラタンジー(31)は「治療にはカンナビスオイルを使う」と宣言。クロエがオリビアの金で大麻農場の経営を始めたばかりであることから、「絶好のプロモーション・チャンス」と皮肉る声も上がっている。

 80年代のディスコシーンを代表するアップテンポな「フィジカル」のMVでナイスなレオタード姿を披露するなど、健康的なイメージのオリビアが乳がんを発症したのは1992年のこと。父親を肝がんで亡くした週末に、自身も告知を受けたが、当時6歳だった一人娘のクロエのためにと、果敢に治療に挑んだ。寛解後には、乳房だけでなく、脇の下のリンパ節や胸の筋肉の膜などを切除する非定型的根治的乳房切除術や化学療法を受けたことを明かしている。

 その後、オリビアは乳がんの啓蒙活動を行うようになり、オーストラリアのメルボルンに「オリビア・ニュートン=ジョン がん&ウェルネス・センター」を設立。最新の治療を提供するだけでなく、研究のための寄付金を集めるチャリティーを開催したり、がん患者に捧げるアルバムをリリースするなど、「がんサバイバー」として数多くのがん患者に手を差し伸べてきた。13年には姉のロナ・ニュートン=ジョンを脳腫瘍で亡くし落ち込んだものの、姉の名前をつけた基金を立ち上げ、さらに積極的に活動するようになった。

 一方で私生活では、95年にクロエの父である一人目の夫と離婚。その後、カメラマンのパトリック・マクダーモットと交際するが、9年目の05年に破局。エコやハーブに詳しいプロデューサーで実業家のジョン・イースターリングと08年に再婚してからは落ち着いたように思われたが、今度は愛娘クロエに悩まされるようになる。クロエは10代で「自分は母ほどきれいじゃない」という思い込みから拒食症になり、美容整形を繰り返すようになった。やがて1日130ドル(約1万4,000円)をコカインに費やす薬物依存・アルコール依存に陥り、オリビアは深く心を痛めた。

 その後、クロエは13年に7カ月間のリハビリ入院で健康を取り戻したと伝えられ、15年にはオリビアのヒット曲「Magic」(80)をリワークした「You Have To Believe」を母娘でデュエットしたMVが話題になった。だがその後も歌手としてはパッとせず、露出度の高い服やビキニを着た写真ばかりをインスタグラムに投稿することで注目されるように。次第に「お騒がせ二世セレブ」として好奇の目で見られることが多くなった。

 そんなクロエは、昨年末に突然「大麻農場を経営するために、婚約者と共にオレゴン州に移住した」と発表。もちろん合法だが、オリビアが資金を提供したとうわさされたため、代理人が「新しい土地に移り、家を建てるための資金を貸した。大麻ビジネスに対するものではない」と否定。「あまりにも突拍子もないことをするので、オリビアが心配している」という報道も流れたが、クロエは「医療用大麻は正しく使用すればミラクルな効果が期待できると、母も喜んでいる」と一蹴した。

 大麻農場経営者の道を歩みだしたクロエは、今年3月には豪女性誌「Woman’s Day」で、「18歳で豊胸手術を受けた。顔や唇にフィラー(ヒアルロン酸、コラーゲンなど)を入れたけど除去した」「昨年、1万ドルかけて再び豊胸手術を受けた。断酒、断薬のご褒美に」と、これまでの美容整形歴を激白。同月には自身のインスタグラムに、オリビアが苦笑いしながら「ハニー、いい加減にして」と言う動画を投稿し、31歳にもなった娘からの苦労が絶えないオリビアに世間の同情が集まった。

 娘の言動に頭を痛めつつも、アクティブなオリビアはコンサートツアーの予定を組んだ。が、先月9日、オリビアのFacebook公式ページに彼女のマネジメント・チームが「坐骨神経痛がひどく、5月のコンサートを延期しなければならなくなった。日程が調整でき次第、新しい公演スケジュールを発表する。ご迷惑をおかけして申し訳ない」という声明を発表。

 5月半ばには豪タブロイド紙「New Idea」が「オリビアは歩けないし、ベッドから起き上がることもできない。それほど激しい痛みに襲われている」と報道。インスタグラムに「レッドブルを飲む魔女」というセクシー写真を投稿した娘のことも心配していると伝えられ、ファンからは「娘からの過度のストレスと、それほどひどい痛み。がんが再発していなければいいけれど……」と心配する声が上がった。

 そしてそんな不安は、的中してしまう。5月30日、Facebookに「6月に予定していたUS/カナダコンサートツアーはすべて延期しなければならなくなった」「乳がんが、骨盤の中央にある仙骨に転移したと診断された」と告白する声明文が投稿されたのだ。「自然療法、短期間の放射線治療を受け、年内に復帰できる見込み。絶対に元気になって戻ってきます」「担当医やナチュラル・セラピスト、オリビア・ニュートン=ジョン がん&ウェルネス・センターの医療チームと話し合って治療法を決めた」「新しいコンサート日程は数週間のうちに発表する予定」と前向きに明かしたが、25年前に発症した乳がんのまさかの転移は、ファンだけでなく世界中の人々に大きなショックを与えた。

 翌31日、今度はクロエがインスタグラムに声明文を投稿。「みんな、愛とサポートをありがとう。わたしにとって親友でもあるママは元気になるから!」と感謝の気持ちを述べ、「わたしがよく話題にする、あの薬を使うことになったの。CBDオイルよ! ほかにも自然療法、現代医療を組み合わせて、がんに打ち勝つわ」と明かした。

 CBDオイルとは、医療大麻のこと。大麻は主に、マリファナ的な作用を引き起こすTHC成分と、気持ちを落ち着かせるCBD成分のバランスによって薬用型とそれ以外に分類される。CBDは抗精神病薬としても効果を持つほか、炎症や嘔吐、痙攣などの緩和、がん細胞の成長の抑制作用もあるとされ、医療への利用が注目されている。

 大麻農場を経営し始めたばかりのクロエにとっては、ぜひとも母にCBDオイルを使ってもらいたいところだろう。自分の農場でつくったオイルで、苦労をかけっぱなしの母親を元気にしたいと思っているのかもしれない。しかしネット上は、この声明に強く反発。「大麻農場を経営するヤク中の声明ね」「母親のピンチまでをも自分の売名に利用しようとするなんて、恥を知れ!」「CBDでがん細胞を消滅させることはできない。誤解を受ける人がいるだろうから、もう口を開くな」といった激しい非難や、「拒食症とか精神的に病んでる気の毒な子かと思ってたけど、ただのナルシストの奇人だね」「母親のがん転移を喜んでるみたいで不愉快。普通、ショックで声明なんて出せないでしょ」と呆れの声が上がっている。

 クロエが武術のインストラクター、ジェームズ・ドリスキルと婚約した6年前に、インタビューで「孫がほしい!」と切望していたオリビア。のちにジェームズは既婚者であることが判明したため破局してしまったが、オリビアはきっと今もクロエが落ち着いて家庭を持ってほしいと願っているに違いない。オリビアが再び健康を取り戻し、心休まる日が来ることを願わずにはいられない。

答えは求めない――「禅寺密着」が可視化した、NHK『ドキュメント72時間』の独特な構造

答えは求めない――「禅寺密着回」が可視化した、NHK『ドキュメント72時間』の独特な構造の画像1
『ドキュメント72時間』NHK
 お寺で行われている修行の過酷さは、われわれには想像がつかない。宮城県仙台市にある福聚山 慈眼寺の住職・塩沼亮潤氏は「大峯千日回峰行」に入る時、師から「最低3回は生きるか死ぬかの瀬戸際を通過しなければいけない」と言われ、事実、死を覚悟するような瀬戸際を3度くぐり抜けたという。  一方で、昨今はカジュアルな形で開放されているお寺も少なくない。俗世間を離れ、禅寺修行に参加する現代人たち。自分自身と向き合う貴重な場としても機能しているのだ。 ■サーティワンアイスクリームに“生きるありがたさ”を感じる女性  5月26日に放送された『ドキュメント72時間』(NHK)のテーマは「禅寺修行、始めてみました。」。京都府亀岡市にある「宝泉寺」では1泊数千円~という手軽な形で禅寺修行の受け入れを行っており、今回、番組は大型連休を利用して修行に訪れた参加者の3日間(72時間)に密着している。  宝泉寺では、禅の基本が学べる3泊4日のコースが人気だそう。この短い期間に基本を身に着けるのだから、締めるところは締めなければならない。修行体験へ入る前、お寺から参加者たちへ「下山日まで、つらいことがあっても、すべて修行と受け取ってやり遂げましょう」と注意事項が伝えられている。  そうして、まず始まったのは座禅。否応なしに場の空気は一変するが、15分で終了する。続いて1時間半の休憩タイムが設けられていたから、いささか拍子抜けしてしまった。初めての人でも無理なくこなせるよう、意図的にゆるめのスケジュールが組まれていたのだ。  ここで参加者たちに話を聞いてみると、元レースクイーンで、現在はフランスでフリーのカメラマンとして活動している女性は、禅寺修行に取り組んだきっかけを笑顔で語ってくれた。 「集団生活って、大人になってどうなんだろうって思いません? ……(番組スタッフに目をやって)会社に属されてるとちょっと思わないかもしれないですけど、私は個人で生きてる人間なので、どうなのかなと思って(ニコッ)」  千葉県から参加した舞台役者の女性は、修行5日目で家族に電話。ホームシックゆえに、母親の声を聞いて涙を流してしまった。 「声聞いて、泣いちゃいましたね(笑)。あー、やばい。また、きちゃいますね……」  岡山県から来た保育士の女性は、休憩時間を利用して、外のサーティワンアイスクリームへアイスを食べに行ったという。 「めっちゃおいしかったです(笑)。これが、ありがたいということなんですね……」  パッと見は朴訥とした感じのある男性、実は元ホストであった。月に数千万円稼いだこともある実績の持ち主だ。 「お金で遊んだりとかモノ買ったりするのも人より全然できたと思うんスけど、それもなんか飽きちゃう。あとは“無の境地”を手に入れたいなと、ちょっと(笑)」  ものすごくカジュアルな形で禅寺修行の受け入れが行われていることは、存分に伝わってきた。 ■修行体験したからって“答え”なんか見つからない  もちろん、深い事情を抱えて修行に励む者もいる。22歳の女性は、かつて警察官になりたいという夢を抱えていたそうだ。 「警察官、パトカーに乗りたいという夢を持っているのに、私は人をひいてしまった。……それを思ったときに、自分は警察官になる資格もないし、パトカーに乗れないと思って(泣)」  これからどう生きていけばいいのか迷ってしまった彼女。自身の事情を知っている人から離れれば、本当に自分がしたいことが見えてくるのでは? と、お寺へやって来たのだ。  契約社員として働く40代の既婚女性は、子どもが3人いるという。この女性、お寺へ来た本当の理由を家族に伝えていない。現在のご主人とは再婚で、前夫は離婚した後に自殺してしまったそうだ。 「実は今日、命日なんですよ。お寺っていうのもあるから、供養ではないですけど、ちょっとそういうのを考えたいなと思って」  宝泉寺の住職は、こう語っている。 「ここで自分の問題が解決するとかいうことは、そんなにないと思いますよ。ただ一回、荷物を下ろして、自分の生命力を高めて、それでもう一回荷物を持って自分の人生を生きていくというね。そこに意味があるわけですよ」  やはり、修行体験で“答え”を導き出すのは難しい。無の境地やこれからの道筋を、3泊4日の修行で手にするなんて、そもそも無茶な話だろう。 ■『ドキュメント72時間』の独特な構造  結論ありきで制作されるドキュメントは少なくない。そんな中、『ドキュメント72時間』の構成は新鮮だ。結論はあまり重要ではなく、とにかく72時間カメラを回すだけ。この手法が評判を呼び、今ではノンフィクションとして独特の立ち位置を確立した。 “答え”はあまり重要ではなく、迷える現代人を受け入れるままの禅寺。カメラを回し続けて素材は提供するものの、結論は視聴者へ委ねる『ドキュメント72時間』。  今回のテーマ「禅寺修行、始めてみました。」は、この番組の構造そのものと、驚くほどにリンクしていた感がある。うがった見方をすれば、ちょっとした特別回だったように思う。 (文=寺西ジャジューカ)

『孤独のグルメ Season6』第8話 中華系の羊……? 想像のつかない味で視聴者の胃袋が大混乱

『孤独のグルメ Season6』第8話 中華系の羊……? 想像のつかない味で視聴者の胃袋が大混乱の画像1
テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
 さあ、今週もやってきました深夜の飯テロの時間。今週のゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)は、どれだけ食べてくれるのか。どうせ番組を見たら夜食を食べちゃうのはわかっているので、今回からは夕飯を食べずにオンエア待機をしてみることに。みなさんも、番組視聴のために夕飯を抜いてみてはいかがでしょうか?  さて、今回ゴローちゃんがやってきたのは御徒町。「この通りか……」とメモを見ているあたり、新規顧客のようです。「電話の話の通りなら、けっこうな大仕事になりそうだが」と、今回のゴローちゃんはやる気です。  いや、いつもやる気はあるのでしょうが、あんまり儲けようとギラギラしていないんですよね。でも、その誠実さこそが、仕事がうまく回っている理由かもしれません。  その新規顧客は、宝石加工の会社。社長を演じるゲストは岡田浩暉です。今回、デパートの催事に出店するということになり「どこからどう手をつけていいのやら」ということなのです。ゴローちゃん、雑貨商かと思いきや、内装込みのトータルな仕事の多いこと。要は、手広くやってるんですよねえ。社員を使えばもっと儲かりそうなものでしょうが、人を使うことのストレスを考えると、今の状態がよいのでしょう。 「原石を加工するところを見せたい」などなど、希望や情熱を語り続ける岡田社長。キャラクターが、社長というにはちょっと怪しげな雰囲気なのが、味があってよいです。でも、そんなキャラだから、情熱的な言葉もホントかな? と、ちょっと疑わしい。おそらく、それもワザとなんでしょうけどね。  ともあれ、情熱を語られ大仕事だと気合を入れたゴローちゃん。気合が入れば腹も減ります。 「飲食店は……宝石街にメシ屋はないか」  いろいろとメシ屋はあるはずですが、ゴローちゃんのお眼鏡にかなう店がないということなんでしょう。ラーメン、インド料理に、居酒屋ランチとピンとこないままにさまよっていたところに、飛び込んできたのは「羊」の文字。 「中華系の羊料理ということか……」 「いいような気がする。いやきっといい……ぜんぜんわかんないけど……この胸騒ぎを俺は抑えられない」  期待値優先で、果敢に店に飛び込むのが松重ゴローちゃんの持ち味です。  入ったお店は、おやキレイ。「台湾の洒落た食堂っていった感じ」と、感想を一言。 「ここ、俺的に前例のない店だ、ここは注文の組み立てが難しい」  ランチタイムでも、ただセットを注文してお茶を濁したりはしないのがゴローちゃんなのだと、その精神をあらためて知る瞬間です。 「前菜から順にいくか、先回りでメインを決めるか……」  ええと、まだランチタイムですよね。今日の仕事はもう終わりという気分で食べるのでしょうか。いや、それができるのも、個人経営者の特権です。  まず、目についたのは点心。それすらも、餃子か小籠包か、おやきか……。とにかくこちらのお店、ラム推しなのですが、それが余計にゴローちゃんの迷いを呼ぶのです。  いろいろとメニューを読むゴローちゃんですが、中華料理ならではの、文字だけでは想像できないもの多数。「アウトオブ想像力……」という言葉が出るのも当然です。  かくして、ようやく決まったファーストオーダーは、ラム肉と長ネギ炒め、ラム肉焼売、白身魚とラム肉のスープ、白いご飯。加えて、オススメの3番。そこに薬味の醤も3種類まとめて注文です。 「吉と出るか、凶と出るか……」  いやいや、いつも大満足で食べているんだから、今回も大丈夫でしょ。  果たして、この店、配膳は結構早い。瞬く間に注文したメニューがテーブルに並びます。  ここで気づくのは、けっこう白いご飯の量が多いこと。この時点で早くも頼みすぎているような気も。 「おお、すごい。テーブルに羊の群れだ」 「まずは、大将から頂こう」  箸を付けるのは、ラム肉と長ネギ炒め。 「おお、よしよし、中華の炒めもの界に、まだこんな逸材が隠れていたのか……」  これは、ご飯も進む味。見るとご飯は、麦ご飯ではありませんか。 「やっぱりドンピシャ、麦飯ってのも案外いいぞ……」  ああ、とんでもないスピードで、ご飯が……。 「ほうら、これは間違いないヤツだ」 「ここで醤投下……」  長ネギ炒めに投入されるのは、山椒しょうゆ。 「初めてだが、使える……」  今回のゴローちゃん。スゴく駆け足で満足に至っている感じです。  続いて手を付けるラム肉焼売は、黒酢で。 「こいつはたまげた。いわゆるシュウマイとは別物。こいつは確かに羊、だがうまい……」 「ラムで点心。そんなワザがあったのか、まるで底なし沼だ」  ううむ、見ているほうは、まったく味が想像できません。ただただ、うまいことだけはわかります。もう視聴者の脳内は「いつ、この店に行こうか」だけなのではないでしょうか。  ここで「何にかけてもおいしい」といわれた山椒しょうゆを、白ご飯にかけるゴローちゃん。一気にご飯は進みます。 「俺は今、猛烈に感動している。衝撃の山椒しょうゆご飯……」  いや、いったいどんなうまさなんだ!? 続いて手をつけるキノコの醤もおいしそうだけど、味の想像がつきません。そんな感じに視聴者を置いてけぼりで、ゴローちゃんの箸は進みます。  そして、漬け物で口をリセットしつつ、箸は動き続けます。スープを口にすれば「こういうタイプ初めてかも」と、またまた感動。 「透き通るようにうまい、魚と羊が奏でる弦楽二重奏……」  いや、だからどんなうまさなんだろう。 「中華料理の中で、羊たちが、こんなにも生き生きと輝いている……ラム醤の食卓最高」  満足に次ぐ満足のゴローちゃんですが、こうなれば胃袋は全開。 「御徒町ラム肉フェスティバル。これでお開きは寂しいな……」  さあ来た。ゴローちゃんの本気モード。スペアリブのハーフサイズと麦ご飯のハーフサイズを追加注文し、祭りはさらに続きます。  かくてやってきたスペアリブは、クミンまみれという視聴者の胃袋を直撃する見た目。もうダメです。飯テロでどうしようもなくなった胃袋を、ラーメンか何かで満たそうと思っていたんです。でも、猛烈に食べたいのはラム肉。思わず、深夜にラム肉を食べられるところはないのかと検索してしまうではありませんか。 「落ち着け落ち着け、散々食ってるのに何を焦ってるんだ」 「油がガツンときた。この強烈なパンチこそスペアリブだ。うまいな~」  この「うまいな~」の一言が、ガチモード。ホントにおいしかったのでしょう。  そこに唐辛子の醤をつけて「これだ!」と開眼するゴローちゃん。まったく落ち着きを失い、ただただ食らうのです。 「おほ~きた、クミンの刺激かける唐辛子の刺激……」 「豚のスペアリブとは異次元のうまさ」  そして楽しんだラストは、残った長ネギ炒めをご飯に載せた特製ラム丼です。そこに、残った山椒しょうゆもまぜれば、完全に至福の味。 「この丼いいぞ~、どんどんかっこみたくなるうまさだ……」 「御徒町でこんな店を発見できたのは、偶然というより奇跡だ……」  通常の感動を10とすれば、今回のゴローちゃんの感動は30くらいというところでしょうか。  ゴローちゃんは満足ですが、困ったのは視聴者。何しろうまいのは明らかなのに、想像できない味に困惑したハズ。登場店は、放送後は混雑するのが常。行列はしたくないとは思いつつも、今回ばかりは行ってみなくてはと心に決めた神回でした。 (文=昼間たかし)

細眉&化粧顔の亀梨和也『ボク、運命の人です。』に見た、日テレ土ドラの不思議「現象」

 今回ツッコませていただくのは、土曜ドラマ『ボク、運命の人です。』(日本テレビ系)。

 KAT-TUN・亀梨和也×山下智久の共演が発表された際に、歓喜した女性は多かったはず。なにせ2人のドラマ共演は、『野ブタ。をプロデュース』(2005年、同)以来。30代以上の女性であれば、この共演に胸が高鳴るのは当然だろう。もしかしたら、ジャニーズに日頃興味のない「非ジャニオタ」の女性たちが、ジャニーズに色めき立った最後の瞬間が、この2人によるユニット「修二と彰」だったかもしれないと思うほど、その瞬間的なきらめきは強烈だった。

 さらに、脚本家は『プロポーズ大作戦』(07、フジテレビ系)の金子茂樹。10年前に三上博史扮する妖精に手助けしてもらった山Pが、今度は「神」になってしまったという縁も楽しい。内容などはどうあれ、絶対に作品を見守ろうと思った。

 だが、あまりにも期待が大きかったためか、序盤は「あれ? なんか違う……」と感じてしまうこともあった。

 山Pのダルそうで、抑揚のない不思議ちゃんしゃべりは、『野ブタ』の彰を思い出させるものだったし、亀梨の頑張りも微笑ましい。しかし、いやに細眉で化粧感のあるサラリーマン・亀梨と、短髪具合が逆にオネエ感を漂わせている山Pの風貌に、おそらく多くの視聴者も時の流れを感じたことだろう。「そりゃそうだよな」という思いと、「でも、2人ともいつもこんな感じだっけ?」という違和感があった。しかし、その違和感は、ドラマが進むにつれてどんどん薄くなっていった。

 さらに、5月26日放送分『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演した「亀と山P」を見て、驚いた。肩の力を抜き、ユルく、しかし、キラキラ笑顔でアイドルしてみせる姿は、ドラマが始まる前に期待していた、いまだに忘れられない『野ブタ』の頃の2人だったからだ。

 そして、気づいた。どういうわけか、日テレドラマでは、ときどきこういうおかしなことが起こるということを。

 普段のテレビ番組における亀梨は、『ボク、運命の人です。』序盤で見せたような、細眉&メイク顔ではない。そして、ドラマの放送回が進むとともに、どんどんナチュラルに顔は変わっていった。

 実は同じく日テレ土曜ドラマで、Hey!Say!JUMP・山田涼介主演の『理想の息子』(12年)『金田一少年の事件簿N』(14年)でも、やはり序盤は馴染んでいない不自然な髪形やメイク顔が気になったが、回が進むとともにナチュラルになっていき、後半はかなり良いビジュアルに仕上がっていたのだ。

 思えば、日テレ土曜ドラマといえば、嵐・大野智の『怪物くん』(10年)や亀梨の『妖怪人間ベム』(11年)、関ジャニ∞・丸山隆平の『地獄先生ぬ~べ~』などを作ってきた枠。もしかして、二次元キャラクターを演じるにあたり「本人」「ジャニーズ」を遠ざけようと、ドラマスタート時に、メイクや髪を盛り盛りにして作り込みすぎて、違和感ある見た目になってしまっているのではないだろうか。

 単なる妄想、言いがかりかもしれないが、序盤よりもずっと見やすくなっている亀と山P。どうせなら、『ミュージックステーション』に登場したビジュアルで、ドラマも最初から見たかった。
(田幸和歌子)