乳首解放とヒジャブが同居する街ニューヨーク 大切なのは、あなたがどんな格好をしたいのかということ、そして他者を尊重すること

ニューヨークは人種も宗教もモノの考え方もさまざまな850万人の集合体。かつ、それぞれが自己を主張しながら生きている。その一例が街中での「乳首とヒジャブの同居」だ。

ニューヨークは女性が公の場でトップレスになる、つまり乳首を見せることが違法ではない。仮に筆者がシャツを脱ぎ捨て、上半身ハダカでブロードウェイを闊歩し、デパートでショッピングし、レストランで食事したとしても逮捕されない。

とは言え日常生活でトップレスになる女性はさすがにそうはいない。しかし年に何度かは堂々と乳首を公開する女性たちに巡り会える日がある。

◎乳首を解放する人びと

毎年初夏、ニューヨークのコニーアイランドと呼ばれる地区で“マーメイド・パレード”が開催される。老若男女が人魚や海神ポセイドンの仮装でボードウォークを練り歩く楽しいイベントだ。女性の多くはカラフルな人魚風のボトムにブラ・トップ姿だが、中にはトップレスで乳首に趣向を凝らしたキラキラのシールを貼る人、ボディペイントを施して乳首を公開する人もいる。

数年前のマーメイド・パレードの日、筆者は混んだタイムズスクエアの駅でパレード帰りと思われる人魚姿の女性を見掛けた。乳首は長い髪の毛によって微妙な塩梅で覆われているだけだったが、その女性は友人たちとおしゃべりしながら、ごく当たり前に地下鉄に乗り込んだ。

2年前の夏にはタイムズスクエアに“デスヌーダス”と呼ばれる女性たちが突如表れ、市行政を巻き込む大騒ぎとなった。パンティと派手な髪飾りだけを身に着けたヌードの女性たちが全身を星条旗カラーの赤・青・白でペイントし、観光客と記念写真を撮ってチップを稼ぐのだ。女性のほとんどがラティーノだったため、スペイン語でハダカを意味するdesnudasと呼ばれた。

先に書いたようにニューヨークでは女性のトップレスは合法だ。市長や一部の市民が「子どもも訪れる場所なのに!」と眉を潜めながらも規制する方法がなく、しばらくは放置となった。結果、「びっくりして後ずさる子ども+デレデレで撮影するお父さん」の図などがメディアで報じられた。最終的には市が「人の多いタイムズスクエアで通行人の流れを遮断している」という理由でデスヌーダスが客引きできるエリアを限定し、結果、以前ほどの客を惹き付けることが出来なくなり,デスヌーダスは自然消滅してしまった。

毎年8月には“ゴー・トップレス”のマーチが開催される。意図は「男性はトップレスになれるのに女性はなれない状況を改善し、権利の平等を目指す」というものだ。ニューヨークでは合法とは言え、社会通念上、女性が日常生活でトップレスになることははまだ難しい。そこで参加者は「乳首のプライド」「完全平等!」といったプラカードを掲げ、トップレスでマーチする。

一方、乳首を見せることはフェミニズムに反すると解釈する人々もいる。先日、フェミニストとして知られるイギリスの女優エマ・ワトソンが、乳首が透けて見えるバーバリーのボレロ姿の写真を公開したところ、「フェミニストのはずじゃなかったの?」という批判が起きている。

エマ・ワトソンがフェミニストか否かはともかく、昨今、女性セレブたちのドレスの胸元のカットがどんどん深くなっているのは周知のとおりだ。少しかがんだだけで乳房が飛び出し、パパラッチされることもしょっちゅうだ。

それを逆手に取ったのがラッパーのニッキー・ミナージである。先日、ミュグレー、ジヴァンシーというハイファッションをまといながら意図的に片方の乳房を剥き出しにした写真を公開した。ただし乳首を見せるとメディアに掲載されないためか、乳首にはシールが貼られている。

◎増えるムスリム人口→ヒジャブの自己主張

単なる楽しみのためであったり、ビジネス目的だったり、フェミニズムであったり、はたまたショッキング効果であったり。理由はさまざまながら女性の露出度がどんどん上昇している今、逆に「隠す」美を追求し、世界に発信し始めたのがムスリム女性たちだ。

ニューヨークと周辺都市部はムスリム人口が多い。正確な数は不明ながら推定60万人もしくはそれ以上とも言われている。出身国は中東、アフリカ、アジア、東ヨーロッパと様々で、アメリカ生まれの二世も少なくない。ニューヨーク市内に限ると公立学校の生徒の10%はムスリムと発表されている。そのため教育庁から保護者に向けたお知らせの文書にはアラビア語バージョンがあり、イスラム教の2つの祭日が休校となっている。

アメリカに暮らす若いムスリム女性のファッションは祖国の文化や各家庭の方針によっていろいろで決して画一ではない。ニューヨーク市内で見掛ける女性のヒジャブは色も巻き方もバリエーションがある。ヒジャブに合わせる着衣も出身国の民族衣装もあれば、現代アメリカの一般的な服装もある。先日、筆者は地下鉄で黒いヒジャブ+黒いアディダスのトラックジャケット+ジーンズというヒップホップ・ファッションの若い女性を見掛けた。小学生の女の子がピンクや花柄のヒジャブを被っていることもある。制服にヒジャブの中高生もいる。ヒジャブに比べると少ないが目だけを出したニカブ姿の女性、ヒジャブを被らず髪は見せるが、タンクトップやミニスカートなど露出度の高い服装を避ける女性もいる。

こうした若い女性たちはイスラムの教義とアメリカ文化を折り合わせていく。

昨年の11月、ミネソタ州のミス・ミネソタ・コンテストにソマリア生まれ、アメリカ育ちの大学生、ハリマ・アデンが出場した。アデンはヒジャブ姿でステージに立ち、水着コンテストの部では、ムスリム女性が水浴の際に身に付ける、全身と髪を覆う水着のブルキニを着た。

アデンは優勝こそ逃したものの、ケイト・モスやカーリー・クロスが所属する一流モデル・エージェンシー、IMGモデルズにスカウトされ、先月イタリアで開催されたミラノ・ファッションウィークのランウェイに登場した。

昨年のリオ・オリンピックでは、ニューヨークをベースに活動するフェンシング選手、イブティハジ・ムハマッドがヒジャブ姿で出場し、USAチームは銅メダルを獲得した。種目を問わずオリンピックUSAチーム初のヒジャブ着用選手となったムハマッドはアフリカン・アメリカンだ。父親がイスラム教に改宗し、ムハマッドもイスラム教徒として育った。

毎年11月にフロリダ州で開催されるアマチュア・ボクシング大会に、昨年は弱冠16歳の少女、アマイヤ・ザファーも出場するはずだった。ところが当日になって大会側はヘッドギアの下のヒジャブ、長袖のシャツ、足首までのレギンスは規則違反であるとしてザファーを失格とした。

自動的に対戦相手の15歳の選手アリーヤ・チャーボニアの勝利となったが、成り行きに納得できなかったチャーボニアは「こんなの不公平。勝者はあなたよ」と、勝利のベルトをザファーに渡した。ムスリムと非ムスリムがスポーツを介してお互いへの敬意と友情を芽生えさせたのだ。

大会側は、ユニフォーム規定は安全性に基づいており、イスラムの服装を認めると他の宗教の選手も同様のことを望むだろうとコメントした。

アメリカのムスリム人口は増え続けている。アメリカで女性の自立や可能性を学んだ少女や女性たちは今後、あらゆるフィールドに挑戦していくものと思われる。その際、スポーツも含めてヒジャブや長袖が馴染まないものもあるのかもしれないが、まずは「危ないに違いない」という思い込みを排し、実地的、科学的に検証していく必要があるだろう。

それを実践したのがナイキだ。ナイキはムスリム女性アスリート向けのヒジャブ “Nike Pro Hijab”を開発した。通気性を重視した素材を用い、激しい動きでずれる巻くタイプではなく、被るスタイルとなっている。

◎地下鉄で座り合わせるタンクトップとヒジャブ

アメリカは何事も極端に振れる国だ。トップレス擁護者や、カメラの前で乳房を露にするセレブがいる一方で、信仰を理由に髪や肌を隠すムスリム女性の存在と権利も徐々に認められ始めている。トランプの大統領当選直後、ヒジャブを被った女性へのヘイト・クライムがあり、一時的に娘にヒジャブを被らせなかった母親たちもいた。同時にムスリムへのいわれなき迫害があるからこそ、ムスリムとしての自覚を強めた女性も多い。

もっとも、ムスリム女性には同胞からのプレッシャーもある。もう何年も前のことではあるが、当時、大学生だったムスリムの友人はヒジャブを被っていなかった。被りなさいという母親を説得し、母親も祖国ではなくニューヨークで生活する若い女性である娘の心情を理解して許可してくれたとのこと。ある日、この友人と食料品店に入るとムスリムの店主が友人に「君はなぜ何も被らない?」と詰問した。店主の背後にはニカブを着た妻とおぼしき女性が控えていた。筆者はこの時、アメリカの都市部に暮らすムスリム女性の非常に微妙な生活背景を垣間見たのだった。

それでも多彩な人々の集合体であるニューヨークのような都市部では、基本的には互いの信仰・思想・指向・嗜好に異議を唱えることなく共存が為されている。良い意味での個人主義だ。ニューヨークでは、今夏もタンクトップにショートパンツの女性とヒジャブの女性が道や地下鉄でごく当たり前に鉢合わせ、ごく当たり前にすれ違う、そんな光景がきっと見られるのである。

■ 堂本かおる
ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

乳首解放とヒジャブが同居する街ニューヨーク 大切なのは、あなたがどんな格好をしたいのかということ、そして他者を尊重すること

ニューヨークは人種も宗教もモノの考え方もさまざまな850万人の集合体。かつ、それぞれが自己を主張しながら生きている。その一例が街中での「乳首とヒジャブの同居」だ。

ニューヨークは女性が公の場でトップレスになる、つまり乳首を見せることが違法ではない。仮に筆者がシャツを脱ぎ捨て、上半身ハダカでブロードウェイを闊歩し、デパートでショッピングし、レストランで食事したとしても逮捕されない。

とは言え日常生活でトップレスになる女性はさすがにそうはいない。しかし年に何度かは堂々と乳首を公開する女性たちに巡り会える日がある。

◎乳首を解放する人びと

毎年初夏、ニューヨークのコニーアイランドと呼ばれる地区で“マーメイド・パレード”が開催される。老若男女が人魚や海神ポセイドンの仮装でボードウォークを練り歩く楽しいイベントだ。女性の多くはカラフルな人魚風のボトムにブラ・トップ姿だが、中にはトップレスで乳首に趣向を凝らしたキラキラのシールを貼る人、ボディペイントを施して乳首を公開する人もいる。

数年前のマーメイド・パレードの日、筆者は混んだタイムズスクエアの駅でパレード帰りと思われる人魚姿の女性を見掛けた。乳首は長い髪の毛によって微妙な塩梅で覆われているだけだったが、その女性は友人たちとおしゃべりしながら、ごく当たり前に地下鉄に乗り込んだ。

2年前の夏にはタイムズスクエアに“デスヌーダス”と呼ばれる女性たちが突如表れ、市行政を巻き込む大騒ぎとなった。パンティと派手な髪飾りだけを身に着けたヌードの女性たちが全身を星条旗カラーの赤・青・白でペイントし、観光客と記念写真を撮ってチップを稼ぐのだ。女性のほとんどがラティーノだったため、スペイン語でハダカを意味するdesnudasと呼ばれた。

先に書いたようにニューヨークでは女性のトップレスは合法だ。市長や一部の市民が「子どもも訪れる場所なのに!」と眉を潜めながらも規制する方法がなく、しばらくは放置となった。結果、「びっくりして後ずさる子ども+デレデレで撮影するお父さん」の図などがメディアで報じられた。最終的には市が「人の多いタイムズスクエアで通行人の流れを遮断している」という理由でデスヌーダスが客引きできるエリアを限定し、結果、以前ほどの客を惹き付けることが出来なくなり,デスヌーダスは自然消滅してしまった。

毎年8月には“ゴー・トップレス”のマーチが開催される。意図は「男性はトップレスになれるのに女性はなれない状況を改善し、権利の平等を目指す」というものだ。ニューヨークでは合法とは言え、社会通念上、女性が日常生活でトップレスになることははまだ難しい。そこで参加者は「乳首のプライド」「完全平等!」といったプラカードを掲げ、トップレスでマーチする。

一方、乳首を見せることはフェミニズムに反すると解釈する人々もいる。先日、フェミニストとして知られるイギリスの女優エマ・ワトソンが、乳首が透けて見えるバーバリーのボレロ姿の写真を公開したところ、「フェミニストのはずじゃなかったの?」という批判が起きている。

エマ・ワトソンがフェミニストか否かはともかく、昨今、女性セレブたちのドレスの胸元のカットがどんどん深くなっているのは周知のとおりだ。少しかがんだだけで乳房が飛び出し、パパラッチされることもしょっちゅうだ。

それを逆手に取ったのがラッパーのニッキー・ミナージである。先日、ミュグレー、ジヴァンシーというハイファッションをまといながら意図的に片方の乳房を剥き出しにした写真を公開した。ただし乳首を見せるとメディアに掲載されないためか、乳首にはシールが貼られている。

◎増えるムスリム人口→ヒジャブの自己主張

単なる楽しみのためであったり、ビジネス目的だったり、フェミニズムであったり、はたまたショッキング効果であったり。理由はさまざまながら女性の露出度がどんどん上昇している今、逆に「隠す」美を追求し、世界に発信し始めたのがムスリム女性たちだ。

ニューヨークと周辺都市部はムスリム人口が多い。正確な数は不明ながら推定60万人もしくはそれ以上とも言われている。出身国は中東、アフリカ、アジア、東ヨーロッパと様々で、アメリカ生まれの二世も少なくない。ニューヨーク市内に限ると公立学校の生徒の10%はムスリムと発表されている。そのため教育庁から保護者に向けたお知らせの文書にはアラビア語バージョンがあり、イスラム教の2つの祭日が休校となっている。

アメリカに暮らす若いムスリム女性のファッションは祖国の文化や各家庭の方針によっていろいろで決して画一ではない。ニューヨーク市内で見掛ける女性のヒジャブは色も巻き方もバリエーションがある。ヒジャブに合わせる着衣も出身国の民族衣装もあれば、現代アメリカの一般的な服装もある。先日、筆者は地下鉄で黒いヒジャブ+黒いアディダスのトラックジャケット+ジーンズというヒップホップ・ファッションの若い女性を見掛けた。小学生の女の子がピンクや花柄のヒジャブを被っていることもある。制服にヒジャブの中高生もいる。ヒジャブに比べると少ないが目だけを出したニカブ姿の女性、ヒジャブを被らず髪は見せるが、タンクトップやミニスカートなど露出度の高い服装を避ける女性もいる。

こうした若い女性たちはイスラムの教義とアメリカ文化を折り合わせていく。

昨年の11月、ミネソタ州のミス・ミネソタ・コンテストにソマリア生まれ、アメリカ育ちの大学生、ハリマ・アデンが出場した。アデンはヒジャブ姿でステージに立ち、水着コンテストの部では、ムスリム女性が水浴の際に身に付ける、全身と髪を覆う水着のブルキニを着た。

アデンは優勝こそ逃したものの、ケイト・モスやカーリー・クロスが所属する一流モデル・エージェンシー、IMGモデルズにスカウトされ、先月イタリアで開催されたミラノ・ファッションウィークのランウェイに登場した。

昨年のリオ・オリンピックでは、ニューヨークをベースに活動するフェンシング選手、イブティハジ・ムハマッドがヒジャブ姿で出場し、USAチームは銅メダルを獲得した。種目を問わずオリンピックUSAチーム初のヒジャブ着用選手となったムハマッドはアフリカン・アメリカンだ。父親がイスラム教に改宗し、ムハマッドもイスラム教徒として育った。

毎年11月にフロリダ州で開催されるアマチュア・ボクシング大会に、昨年は弱冠16歳の少女、アマイヤ・ザファーも出場するはずだった。ところが当日になって大会側はヘッドギアの下のヒジャブ、長袖のシャツ、足首までのレギンスは規則違反であるとしてザファーを失格とした。

自動的に対戦相手の15歳の選手アリーヤ・チャーボニアの勝利となったが、成り行きに納得できなかったチャーボニアは「こんなの不公平。勝者はあなたよ」と、勝利のベルトをザファーに渡した。ムスリムと非ムスリムがスポーツを介してお互いへの敬意と友情を芽生えさせたのだ。

大会側は、ユニフォーム規定は安全性に基づいており、イスラムの服装を認めると他の宗教の選手も同様のことを望むだろうとコメントした。

アメリカのムスリム人口は増え続けている。アメリカで女性の自立や可能性を学んだ少女や女性たちは今後、あらゆるフィールドに挑戦していくものと思われる。その際、スポーツも含めてヒジャブや長袖が馴染まないものもあるのかもしれないが、まずは「危ないに違いない」という思い込みを排し、実地的、科学的に検証していく必要があるだろう。

それを実践したのがナイキだ。ナイキはムスリム女性アスリート向けのヒジャブ “Nike Pro Hijab”を開発した。通気性を重視した素材を用い、激しい動きでずれる巻くタイプではなく、被るスタイルとなっている。

◎地下鉄で座り合わせるタンクトップとヒジャブ

アメリカは何事も極端に振れる国だ。トップレス擁護者や、カメラの前で乳房を露にするセレブがいる一方で、信仰を理由に髪や肌を隠すムスリム女性の存在と権利も徐々に認められ始めている。トランプの大統領当選直後、ヒジャブを被った女性へのヘイト・クライムがあり、一時的に娘にヒジャブを被らせなかった母親たちもいた。同時にムスリムへのいわれなき迫害があるからこそ、ムスリムとしての自覚を強めた女性も多い。

もっとも、ムスリム女性には同胞からのプレッシャーもある。もう何年も前のことではあるが、当時、大学生だったムスリムの友人はヒジャブを被っていなかった。被りなさいという母親を説得し、母親も祖国ではなくニューヨークで生活する若い女性である娘の心情を理解して許可してくれたとのこと。ある日、この友人と食料品店に入るとムスリムの店主が友人に「君はなぜ何も被らない?」と詰問した。店主の背後にはニカブを着た妻とおぼしき女性が控えていた。筆者はこの時、アメリカの都市部に暮らすムスリム女性の非常に微妙な生活背景を垣間見たのだった。

それでも多彩な人々の集合体であるニューヨークのような都市部では、基本的には互いの信仰・思想・指向・嗜好に異議を唱えることなく共存が為されている。良い意味での個人主義だ。ニューヨークでは、今夏もタンクトップにショートパンツの女性とヒジャブの女性が道や地下鉄でごく当たり前に鉢合わせ、ごく当たり前にすれ違う、そんな光景がきっと見られるのである。

■ 堂本かおる
ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

終わらないクルクル、強制退会メール……不具合だらけの「DAZN」が起こす“本当に恐ろしい問題”とは

終わらないクルクル、強制退会メール……不具合だらけの「DAZN」が起こす本当に恐ろしい問題とはの画像1
DAZN公式サイトより
 10年間で2,100億円という莫大な金額でJリーグの放映権を取得したイギリスのライブストリーミングサービスDAZN(ダゾーン)。月額1,890円(税込)で、サッカーだけでも伊セリエA、独ブンデスリーガ、仏リーグ1、ブラジル全国選手権など、数え切れないほどのコンテンツが視聴可能だ。他にも野球、バスケットボール、テニス、ダーツ、格闘技と、全世界のスポーツ全てを網羅できると話題になっている。  しかし、スポーツファンの期待を一身に受けたDAZNだったが、今シーズンJ1の開幕戦で不具合が相次ぎ、2試合が視聴不可能。これについてDAZNは謝罪会見を開き、特殊なエラーが生じたためであり、サーバーのキャパシティの問題ではないと釈明した。その後、ミスなのか故意なのかはハッキリしないが、退会ボタンが消えてしまうという不具合も発生している。  そして第2節が終了した4日、JリーグがDAZNは「J1、J2ともに第2節全試合のライブ配信、見逃し配信で不具合は発生しなかった」と発表した。しかし、本当に不具合は発生しなかったのだろうか? 「不具合とは何かという問題ですよね。確かに配信中止になった試合はありませんでした。しかし、ネット環境が完璧ではない利用者からは『読み込み中にすぐになってしまい、クルクル(進捗インジケータ)ばかり見せ続けられた』という声が多々上がっています。Jリーグの試合が行われるスタジアムに作られたDAZN特設ブースの大型テレビでも、ずっとクルクルが回っており、スタッフさんも気まずそうでしたよ」(スポーツライター)  さらにDAZNの問題は続く。一部の利用者に“退会完了メール”を送ってしまったのだ。これに関しては対応が早かったために事なきを得たが、Jリーグが開幕して2週間でこの不具合の数は多すぎる。本当にDAZNに任せて大丈夫なのだろうか? 「視聴環境自体は、さすがに良くなっていくはずです。他の国ではあまり聞かれない不具合ばかりですから。ですが、実は問題はそこではないんですよ。現在、DAZNはヨーロッパチャンピオンズリーグの放映権も、スカパー!から奪おうとしていると言われています。今シーズンからJリーグを奪われ、チャンピオンズリーグを奪われ、他のスポーツも放送されたのではなスカパー!はたまらないでしょう。スカパー!のスポーツチャンネルは廃れてしまうかもしれません。そうなると、Jは契約が切れる10年後、現在の年間210億円ではなく、DAZNにとんでもない安価で買い叩かれてしまうかもしれないんですよ。何せ競合相手がいなくなってしまうんですから。今は巨額のDAZNマネーでウハウハの日本サッカー界ですが、もしかしたら暗黒の未来が待っているかもしれませんよ」(同)  10年間で2,100億円という金額は、残念ながらJリーグでは採算が取れないと言われており、10年後にDAZNが同じ契約をしてくれるとは考えづらい。現在、大物外国人を獲得するなど、Jリーグには“DAZNバブル”が起きている。しかし、このバブルは将来的に日本サッカーを苦しめる10年間になってしまうかもしれない。 (文=沢野奈津夫)

“AV出演疑惑”声優・新田恵海が意味深発言「下ろせない重い荷物は、必ずしも苦痛なものではない」

 昨年4月にAV出演疑惑が報じられた声優の“えみつん”こと新田恵海が、騒動後初となる5thシングル「ROCKET HEART」(emitsun)を4月19日に発売。これが告知されると、ノーダメージぶりにネット上で驚きの声が上がった。  新田の新曲リリースは、昨年2月に発売されたシングル「盟約の彼方」以来、1年2カ月ぶり。公開されたMVでは、ショートパンツ姿で風を受けながら軽やかな歌声を響かせている。  大人気アニメ『ラブライブ!』の主人公役を務め、アイドルユニット「μ’s」のセンターとして『NHK紅白歌合戦』にも出場した新田。しかし昨年4月、素人モノAV作品に出演する「みく 20才 専門学生」が新田に酷似していると大騒ぎに。さらに翌月、この「みく」が出演する31分の蔵出し動画がネット上で配信され、「1本だけじゃなかったのか!」とファンを驚愕させた。  なお、この疑惑に対し、所属事務所は「調査をしている最中ではありますが、新田恵海本人ではないという結論に至りました」と“完全否定”の姿勢を貫いている。だが、新田のTwitterは、昨年4月の更新を最後に、停止したままだ。 「騒動前の新田は、ぽっちゃりというか、ほとんどデブの領域でしたが、騒動を境にやつれたようにみるみる痩せていった。『ROCKET HEART』のMVでも別人のように痩せており、ファンも心配している。また、『痩せたことで、AVに寄ってきた』という声も。確かに騒動前よりも、『みく』にルックスが近づいている印象です」(芸能記者)  ニューシングルとアーティストブックの発売にあたり、5月に全国で「特典お渡し会」を開催する新田。本人がファンに直接、ポストカードを手渡しするというが、ネット上では「えみつんが嫌な目に遭わなきゃいいけど……」と心配の声が上がっている。 「一般的なドルヲタに比べ、声優には過激なファンが多いとも。新田は騒動数日後の昨年4月9日、長野県でお渡し会を行いましたが、ネット上に殺害予告が書き込まれたため、警察が出動する騒ぎに。新田はファンの前に姿を現したものの、イベントはたった15分で終了したとか。今度の接触イベントにも、緊張が走りそうです」(同)  新曲の発売にあたり、「誰だって1人では背負いきれないことっていろいろあれば、誰もがいろいろなものを背負って生きていると思います。その荷物を背負って歩き続ける強さを持ってなきゃいけない。でも、下ろせない重い荷物は、必ずしも苦痛なものではないんです」と意味深なコメントを寄せている新田。一時は引退説もささやかれていただけに、ニューシングル発売の朗報にはファンも一安心だろう。

酒井法子、ファンミ開催も「テレビ復帰」遠い――元夫・高相祐一は「懲役1年の実刑判決」

 歌手としてデビューして31年目を迎えた酒井法子(46)の新作アルバム『NORIKO BOX』が、3月15日に発売される。なんと、CD7枚にDVDが付いて1万9,940円。普通のアルバムの約6倍の値段だ。

 1カ月前の2月14日、酒井は自身の46回目の誕生日を祝ったファンミーティングを開き、「お誕生日、バレンタイン、そしてデビュー30周年の締めくくりも兼ねまして、皆様に楽しいひと時を過ごして頂ければ幸いです。暖かいお力添えを宜しくお願い致します」とコメントを寄せていた。会場には、男性ファンが目立ったが、中学生らしきファンや海外からのファンの姿も。酒井が一番華やかに芸能活動をしている頃の、“ハッピ”を着た親衛隊も最前列に参加していた。彼女にとっては1991年の誕生日以来、26年ぶりのファンの集いだったそうだ。

 しかし、酒井にとって気の毒なのは、どうしても覚せい剤事件のカゲが消えないことだ。酒井が、夫だった高相祐一(49)とともに、覚せい剤取締法違反で逮捕され、懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を受けたのは8年前の2009年。翌年には、長男を連れて離婚もしている。だがこの高相という男は、いつまでたっても元妻・酒井の足を引っ張り続けているのだ。

 高相は12年にも、麻薬を含む液体を所持した疑いで逮捕、さらに昨年11月、自宅マンションで危険ドラッグの使用・所持で三度目の逮捕をされた。そしてこの3月には、懲役1年の実刑判決を受けている。裁判長は「執行猶予期間後の犯罪、覚醒剤よりも軽い薬物使用という事を勘案しても刑の猶予はできず、実刑は免れない」と結論付けていた。高相が問題を起こすたびに、その都度、酒井の名前が取りざたされてしまうのは、同情してしまう。

 そして、もう1つ、芸能界から薬物汚染がなくならないことも、酒井の本格復帰を遠ざけている。歌手・ASKA(59)、元プロ野球選手・清原和博(49)、元俳優・高知東生(52)らが、逮捕されるたびに、やはり引き合いに出される。かつて、大麻や覚せい剤で逮捕暦のあるほかの芸能人が“シレッ”とした顔でテレビに出演しているのに、酒井はいまだにそれがかなわない。

 アイドルとして輝いていた頃が、よもやの覚せい剤逮捕されたというギャップが大きすぎたというのもあるだろうが、高相には、元妻と子どものためにも、きっぱり覚せい剤とは縁を切ってほしいものだ。

石川敏男(いしかわ・としお)
昭和21年11月10日生まれ。東京都出身。『ザ・ワイド』(日本テレビ系)の芸能デスク兼芸能リポーターとして活躍、現在は読売テレビ『す・またん』に出演中。 松竹宣伝部、『女性セブン』(小学館)『週刊女性』(主婦と生活社)の芸能記者から芸能レポーターへと転身。

我が子を十字架刑や水責めに…… 中国で“狂育”ママ・パパが暴走中!

我が子を十字架刑や水責めに…… 中国で狂育ママ・パパが暴走中!の画像1
十字架に磔にされた男の子。近所の人の話によると、数時間もこのまま放っておかれたという
 中国は人口が多いだけに競争が激しく、高学歴でないと出世も難しいため、一般的に親は自分の子どもに対して、日本以上に教育熱心である。そんな中、教育というよりもせっかんとしか言いようのない出来事が起こった。  2月末、中国のSNS上に1枚の写真がアップされた。場所は内陸部にある大都市・重慶の衣料品市場。路上で一人の男の子がプラスチックケースの上にひざまずき、まるで磔(はりつけ)の刑のように木に縛りつけられている。両腕が縛られている横棒は身長の3倍ほどもあり、そのまま歩いたりしたらどこかに引っかかって危険なほど。  地元紙「重慶晩報」などによると、男の子は市場で果物店を営む夫婦の息子で、小学校に通う10歳。親の言うことを聞かずに学校の宿題をやらなかったことから、怒った母親が罰として磔の刑にしたのだという。  写真を見た重慶晩報の記者が現場に駆けつけ、父親に話を聞こうとしたが、友人たちと市場で酒盛りをしていたためけんもほろろで、「あれは単なる冗談だ。あれくらいしないと、宿題をやらないからな」と言い放ったという。  それだけではなく、子どもの写真を撮ってネットにアップした相手に対して「プライバシーの侵害だ」と逆ギレする始末。こういった罰が子どもに対して、心理的にどのような悪影響を及ぼすかなど、まったく考えていないようだった。
我が子を十字架刑や水責めに…… 中国で狂育ママ・パパが暴走中!の画像2
ひもで縛り上げられ、川に放り込まれた子ども。大人でも、これは怖い……
 中国では最近、子どもに対する折檻がたびたび起こっており、2月27日には四川省眉山市で、父親が7歳の息子をひもで縛り上げて川に放り込むという事件があった。  中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏は、中国人の子どもの教育に対する考え方についてこのように説明する。 「中国では年金制度が確立しておらず、親は年を取ったら子どもに老後の面倒を見てもらうのが当然と考えています。いい老後を送るためには、子どもが大きくなったら、たくさん稼いでもらわないといけない。そのためには学歴が必要で、だから中国人の親たちは子どもの教育に熱心になるのです」  しかし、こういったせっかんは教育ではなく“狂育“としか言いようがない。1979年に一人っ子政策が始まって以来、中国の子どもは“小皇帝”などと呼ばれ、親から甘やかされて育つケースが多かったが、鬼畜のような親の元に生まれた子どもは悲惨である。 (文=佐久間賢三)

ふんどし姿で走り回る國村隼は悪魔か救世主か? 殺人事件を“神の視点”で捉えた『哭声 コクソン』

ふんどし姿で走り回る國村隼は悪魔か救世主か? 殺人事件を神の視点で捉えた『哭声 コクソン』の画像1
國村隼演じる“山の中の男”は悪魔崇拝者なのか、それとも悪魔払い師なのか。キリストの復活を思わせるシーンもあり。
 風俗嬢を専門に狙った実在の連続殺人鬼を主人公にした『チェイサー』(08)、中国と北朝鮮との国境沿いに暮らす朝鮮族が経済的な貧しさゆえに犯罪に手を染める実情を追った『哀しき獣』(10)と、韓国の鬼才ナ・ホンジン監督は殺人者の心情に異様なまでに肉迫してきた。長編3作目となる『哭声 コクソン』は前2作とは真逆の立場に立った作品だ。恐ろしい事件になぜ巻き込まれてしまったのかという、被害者側の立場から猟奇殺人事件を捉えたものとなっている。物語の重要なキーパーソンを國村隼が演じており、國村はふんどし姿で生肉を喰らい、山野を駆け回る大熱演を見せ、韓国のメジャーな映画賞「青龍映画賞」(助演男優賞、人気スター賞)を外国人として初受賞。作品も難解な内容ながら、リピーターが続出し、韓国で700万人を動員する大ヒット作となっている。 『哭声 コクソン』は単純にジャンル分けすることができない作品だ。物語の序盤は、静かな村で一家惨殺事件が起きる殺人ミステリーとしてスタートする。最初は毒キノコを食べた村人が幻覚症状を起こして身内を殺傷沙汰に追い込んだ偶発的な事故かと思われていたが、同じような事件が村で多発。気のいい駐在員のジョング(カァク・ドウォン)は、山で暮らす男(國村隼)が怪しいという噂を耳にする。ジョングが山の中にある男の家を調べると、一連の事件現場の写真がなぜか部屋に貼ってあり、禍々しい呪術用具が並べてあった。その日以来、ジョングの愛娘ヒョジン(キム・ファニ)の様子がおかしくなる。娘が暴言を吐き、暴れ回る姿は、まるでオカルト映画『エクソシスト』(74)で悪魔に取り憑かれた少女リーガンのようだった。  藁にもすがる思いでジョングはソウルから祈祷師イルグァン(ファン・ジョンミン)を呼ぶ。山の中の怪しい男とイルグァンとの間で激しく繰り広げられる呪術バトル。さらには事件現場に度々出没していた若い女ムミョン(チョン・ウヒ)がジョングの前に現われ、「もうすぐお前の家に悪霊が入る」と告げる。一体、村に災いを招いたのは誰なのか? 山の中の男やこの女は何者なのか? なぜ罪のない我が娘が悪霊に狙われることになったのか、そして娘を救うためにはどうすればいいのか。途方に暮れるジョングと同様に、2時間36分にわたって本作を見続けた我々も迷宮の中に迷い込み、この難事件をどうすれば解決に導くことができるのかを考えざるを得ない。  これまでの追いつ追われつの怒濤の肉弾アクションから一転、難解な哲学・宗教学を思わせるミステリー作品に本作を仕立てたナ・ホンジン監督。4年間の準備期間を要したという脚本づくりの難しさを2017年1月の来日時にこう語った。 ナ・ホンジン「前作までは事件を犯罪者側に集中して描いてきたため、被害者の立場を深く描くことができていないことに気づいたんです。なぜ彼らは恐ろしい事件に巻き込まれることになってしまったのか、そのことを考えてみようというのが始まりでした。でも、その理由を探ってみても現実の世界だけでは解答は見つかりませんでした。そこで超自然的なものを扱ったところ、今回のような作品になったんです。事件の数々の原因を遡っていくと神の存在にまで突き当たったわけです。人間は神が生み出したものなら、人間の消滅にも神が関係しているに違いないと。これまでの作品以上に詳細なリサーチが必要となり、世界中の様々な宗教についての本を読み、またシャーマンなど神に関わる人たちへの取材を4年間にわたって重ねたんです。脚本を書き上げる途中、これを映画にするのは無理だと途方に暮れたこともありましたが、ようやく生まれたのが『コクソン』なんです」
ふんどし姿で走り回る國村隼は悪魔か救世主か? 殺人事件を神の視点で捉えた『哭声 コクソン』の画像2
現代医学では娘は助けられない? ジョング(カァク・ドウォン)は民間信仰に救いを求めるが……。
 村人たちの間では、連続する殺人事件の元凶は山で暮らす怪しい日本人だと噂が広がる。村にある教会の神父は「あの人は日本から来た有名な大学の教授で、僧侶でもある」と男のことを擁護するが、祈祷師のイルグァンによれば、男はもはや生きた人間ではないという。悪霊についての研究を続けているうちに、男自身が悪魔的な存在になってしまったらしい。國村隼が演じる男は、生きているのか死んでいるのかすら分からない、得体の知れない異人として描かれている。久々にコワモテ系俳優としての本領を遺憾なく発揮してみせた國村は、シネマート新宿で行なわれたジャパンプレミアでこうコメントしている。 國村隼「ナ・ホンジン監督の前2作はもちろん、今回の脚本も抜群に面白いことから出演を決めました。脚本を読んだ段階ですっぽんぽんになることは分かっていましたが、でもこの役は他の役者には渡したくないなと思ったんです。自分からナ・ホンジン監督の作品の中へ飛び込んでいったので、ひどいことをやらされたという意識はないですよ(笑)。僕が演じた役は人間なのか、人間ならざるものなのかも分からない存在。従来のような役づくりでアプローチしても意味がないキャラクターでした。例えるなら、コクソンという池に波紋を起こす石みたいなもの、というイメージで演じたんです」  どこかうさん臭い祈祷師イルグァンを演じているのは、『新しき世界』(13)や『ベテラン』(15)などで知られる韓国映画界のスター俳優ファン・ジョンミン。ソウルからコクソンへとやってきたイルグァンは正義の悪魔払い師なのか、それとも腹黒い俗物人間なのか。彼もまた非常にグレーゾーンな存在である。ファン・ジョンミンと國村隼との過剰な呪術合戦が物語中盤の見せ場となっているが、韓国ではこういった民間での呪術信仰が今なお盛んらしい。 ナ・ホンジン「韓国ではキリスト教や仏教を信仰している人でも、みんな占いが大好きで、よく祈祷師に占ってもらい、占いの結果が悪いと厄払いをしてもらうんです。韓国のシャーマニズムは4兆ウォン産業ともいわれています。日本円にすると4000億円ですね。韓国の映画市場の2倍もあるんです。シャーマニズムは田舎だけでなく、都会の人も熱心に信じています。田舎では厄払いしているとすぐ周囲にバレるから、むしろ都会のほうが盛んなぐらいなんです」
ふんどし姿で走り回る國村隼は悪魔か救世主か? 殺人事件を神の視点で捉えた『哭声 コクソン』の画像3
祈祷師のイルグァン(ファン・ジョンミン)は“山の中の男”を呪い殺そうとするも、二転三転する結末が待っていた。
 ロケ撮影を行なった韓国の南西部・谷城(コクソン)もまた重要な意味を持っている。デヴィッド・リンチ監督の『ツイン・ピークス』(90~91)のような山間の小さな村だが、ナ・ホンジン監督の母方の祖母が暮らしていた土地で、ナ・ホンジン監督は子どもの頃によく遊びに行っていたそうだ。韓国では山深いこの地方はもっとも開発が遅れており、また朝鮮戦争の激戦地でもあった。夜になると山から北軍が降りてきて食料の提供を命じ、朝になると山に戻った北軍に代わって南軍が現われ、北軍に協力した村人たちを処刑したという。昼と夜とで支配者が変わる二重支配の地域だった。この地域では今も虐殺に遭った遺族側と虐殺に加担した側とが一緒に暮らしているという。  物語の後半にこの映画を象徴するシーンがある。警察官のジョングは血の気の多い村の若者たちを引き連れ、山で暮らす日本人らしき男を追い詰めた挙げ句、車で跳ね飛ばしてしまう。ジョングは警察官でありながら、息の絶えた男を車道から崖下へと放り棄てる。一抹の罪悪感を感じながらも、これで娘を救えるはずだと安堵するジョング。だが、その一部始終を山の上から若い女ムヒョンが見つめていた。そして、ムヒョンのいる山の上にはさらに大空が広がっている。男が放り棄てられた奈落、ジョングたち人間が生きている現実の世界、そのすべてを見ている天上界……と1シーンが何層にもレイヤー化されて描かれている。死者たちが蠢く冥界、罪深き人間界、無言を貫く神たちの佇む天国……と、結局この映画はどの立場からこの物語を見つめ、自分なりの解釈を見出すかということでしか結末を迎えることはできない。  肝心の主人公であるジョングにとっては、もはや誰が神で誰が悪魔なのかはささいな問題だった。苦しむひとり娘を救うことさえできれば、それ以外のことはどうでもよかった。メタボ体型でおっとりとしたジョングだが、最後の最後に娘を守るために猛ダッシュすることになる。ジョングが考えうる回答はそれ以外にはありえなかった。ナ・ホンジン監督はいう。「この映画を観た人、それぞれが考えた解釈。その全てが正解なんです」と。 (文=長野辰次)
ふんどし姿で走り回る國村隼は悪魔か救世主か? 殺人事件を神の視点で捉えた『哭声 コクソン』の画像4
『哭声 コクソン』 監督・脚本/ナ・ホンジン 出演/クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼、チョン・ウヒ 配給/クロックワークス 3月11日(土)よりシネマート新宿ほかにて公開 (c)2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORAITION http://kokuson.com

もののけと肉体関係を結ぶという至高の背徳感! 小泉八雲の世界を実写化した官能ホラー『雪女』の画像5
『パンドラ映画館』電子書籍発売中! 日刊サイゾーの人気連載『パンドラ映画館』が電子書籍になりました。 詳細はこちらから!

テレ朝『サヨナラ、きりたんぽ』騒動、「テレビでも“ちんこ”はいいけど“ちんぽ”はNG」

秋元康原作『サヨナラ、きりたんぽ』に秋田県が激怒! 一因は「ぽ」に「テカっている印象」かの画像1
 テレビ朝日が4月から放送を予定しているAKB48・渡辺麻友主演連続ドラマ『サヨナラ、きりたんぽ』が秋田県から抗議を受け、タイトルを撤回した。  同ドラマの企画・原作は、AKB48総合プロデューサーの秋元康氏が担当。脚本は映画『桐島、部活やめるってよ』(2012)の喜安浩平氏。  テレ朝のホームページに当初掲載されていた紹介文によれば、渡辺が演じるのは、竹細工の製造販売をしている桐山さおり。婚活に精を出すも、そこで出会う男性は妻がいたり、酒乱やDV男など、ダメ男ばかり。裏切られたさおりは、復讐のためそんな男たちの下腹部を切断する狂気の女と変貌するという。  さらに、「1936年、日本中を震撼させた女がいた…!愛するがゆえに、男の下腹部を切断した“阿部定”。その衝撃から、約80年。まゆゆが、第二の“阿部定”となる…!?」との告知文も(現在は削除)。女性が男性器を切断する理由は全く違えど、どうやら1936年に起きた“阿部定事件”がモチーフのようだ。  この内容から、タイトルの「きりたんぽ」が、秋田県の郷土料理であるきりたんぽを男性器に見立てているのは明白。案の定、秋田県は「きりたんぽの印象を損なう恐れがある」として、タイトルの変更と、劇中できりたんぽを男性器に見立て使用しないよう申し入れ、テレ朝側がこれを了承。併せて「放送前とはいえ、秋田県の皆様に、ご不快な思いを与えてしまい、申し訳ありませんでした」と謝罪した。  この騒動に、ネット上では「そりゃ怒るわ」「下品で無礼」「テレ朝もよくこのタイトルでGOだしたな」といった声が上が相次いでいる。また、新たなタイトルを検討中の同作に対し、「『サヨナラ、いぶりがっこ』はどうか」「もう『サヨナラ、ちんぽ』でいいよ」など、新タイトルを出し合う大喜利状態に発展している。  なお、2008年には、きりたんぽをモチーフとした「きりちんぽ」なるマスコットに批判が相次ぎ、携帯ストラップなどのグッズが発売中止となる騒動が起きている。  一方、沖縄銘菓・ちんすこうをモチーフにした菓子「ちんこすこう」は、2006年の発売以来、大ヒット。当時、メーカー開発者は、「きりちんぽ」の失敗について「名前が独り歩きしてしまい、キャラのかわいらしさやユーモアが伝わらなかったんでしょうね。名前の末尾も、ウチが使っている『こ』ならかわいいけど、『ぽ』ではテカっているような、リアルな感じがありますし……」と分析していた。 「確かに、『こ』はいいけど、『ぽ』は下品すぎるという風潮があります。テレビ業界でも、『ちんこ』はそのまま放送していますが、『ちんぽ』は規制音を入れるという暗黙のルールが。今回、『サヨナラ、きりたんぽ』が、秋田県民以外からも『悪ふざけが過ぎる』『下品』などと批判された背景には、『ぽ』の作用も少なからずありそう。ちなみに昨年まで、秋田出身の元AV女優・瀬奈まおが考案した『きりたんぽん』というゆるキャラも活動していましたが、これに秋田県から抗議が寄せられたという話は聞きません」(芸能記者)  NHKのニュースでも騒動が報じられるなど、放送前から大きな話題となっている同ドラマ。もしや、秋元氏がしかけた炎上商法……?

「そういうこと!」、関西Jr.道枝の異例の大抜てきにファンは納得

 2017年4月期のドラマ『母になる』(日本テレビ系)に、Hey!Say!JUMP中島裕翔と関西ジャニーズJr.の道枝駿佑が出演することが発表された。同ドラマは、9年前に誘拐された息子と再会し、空白の時間を埋めようと奮闘する母・柏崎結衣(沢尻エリカ)を中心に、3人の女性が“母になる”ことに悩み、葛藤する姿を描いている。道枝はこれがドラマ初挑戦ながら、誘拐された13歳の少年・柏崎広に大抜てき。中島は、柏崎の面倒を見ている児童福祉司役を演じる。

 このニュースが3月8日に発表されると、ジャニーズファンの間では……

■続きを読む

カテゴリー: 未分類

『東京タラレバ娘』2週連続自己最低! 「30歳なのに全員幼稚」な登場人物に視聴者呆れ!?

 吉高由里子主演の『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)第8話が3月8日に放送され、平均視聴率10.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録したことがわかった。第7話の10.8%で自己最低を記録していたが、今回はさらに0.3ポイント減。またこのところ、「放送終了後も、ネット掲示板などが大荒れしている」(芸能ライター)という。

 同ドラマは、漫画家・東村アキコ氏の同題作品が原作で、30歳独身の主人公・鎌田倫子(吉高)が、同級生の山川香(榮倉奈々)、鳥居小雪(大島優子)とともに“女子会”を開いては不毛な“タラレバ話”で盛り上がる日々の中、モデル・KEY(坂口健太郎)との出会いを機に、恋愛や仕事と向き合っていく姿が描かれている。

「第8話では、香に妊娠疑惑が浮上。香は元カレのバンドマン・涼(平岡祐太)の“セカンドポジション”に甘んじていたのですが、ある日、生理がきていないことに気づきます。涼は、『責任を取る』と言ったものの、香がのちは妊娠していなかったことが発覚すると、『よかった~』『やっぱよく考えたら俺、まだ父親になる覚悟ないわ』と発言。このシーンに、視聴者は『クズすぎて不快』『だったら避妊しろよ!』などと怒りの声を上げ、あくまでドラマながら、“炎上”の様相を呈しました」(同)

 前週は、小雪の不倫相手・丸井良男(田中圭)が、家庭に対する身勝手な不満を漏らすというシーンに、視聴者から怒りの声が噴出していた。

「こういった視聴者の間で物議を醸しそうな“クズ男キャラ”は、話題性を高め、視聴率アップにもつながりそうなものですが、同ドラマでは、メインキャストの女性キャラクターも、視聴者から総スカンを食らっています。香に対しては、『避妊してなかったくせに、慌てるとかバカなの?』『子どもがいれば本命の彼女から“略奪”できるって考え方、最低』といった声が出ていましたし、また不倫中の小雪や、彼女たちと馴れ合う倫子にイライラを爆発させる人も少なくありません。『全員30歳とは思えないほどクズで幼稚』『考え方が甘くて呆れる』といった声が上がるなど、視聴者の共感を得られずにいるのです。原作は累計260万部突破の人気コミックですが、キャラもストーリーも同じドラマは受け入れられていないようです」(同)

 今期の他ドラマが1ケタ台を連発している中、『東京タラレバ娘』は2ケタをキープ。現在までの平均視聴率は11.7%とまずまずで、「同じく10~12%台で推移している草なぎ剛主演の『嘘の戦争』(フジテレビ系)と比較しても、わずかにリードしている」(同)という。とはいえ、ここにきて自己最低を2週連続で更新してしまったのは痛いところだけに、ラストスパートでまさかの失速となってしまわなければいいのだが……。