

2017年3月18日公開のアニメ映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』で、ヒロインのココネ(声:高畑充希)の幼なじみ・モリオの声を演じる満島真之介さん。ドラマ『夏目漱石の妻』(NHK)、映画『オーバー・フェンス』や「コカ・コーラ」のCMなどに出演し、最近メキメキ頭角を現している注目の俳優です。その満島さんに直撃し、『ひるね姫』のこと、役者の仕事のこと、プライベートなことなど語っていただきました。
――今作では、ヒロインの幼なじみで理系男子のモリオの声を演じられていますね。テレビアニメ『僕だけがいない街』(フジテレビ系)でもアフレコをしていましたが、声の演技での役作りはどのようにしていますか?
満島真之介さん(以下、満島) モリオは岡山県出身なので、彼が岡山でどんなふうに生きてきたのかを想像するのが大切だなと。岡山ならではの景色を見て、空気を吸って、育ってきたんだな、と想像しながら演じました。僕は岡山に何度か行ったことがあるので、あの場所で生きてきた青年が何を見てきたかということは体感できたし、理系の大学に通う彼が、里帰りして、最先端の技術を地元の友人に見せて「すごいとだろ!」と言いたい気持ちもわかります。モリオの技術が、将来、地元の活性化などにつながっていくのかなと考えたりもしましたね。
――モリオの将来まで具体的に想像して役作りをされていたんですね。声の収録現場はいかがでしたか?
満島 実写の仕事は、俳優として自分の皮膚、細胞まで、全て演技に反映させる仕事で、外見も含めて、自分が役としてどういう状態かを表現するものだと思うんです。でも、声優は心の持ち方が重要。実写は髪形や衣裳など外見に助けられますが、声の仕事はそれがないんです。呼吸、話し方、声質など、全然ごまかしようがなくて、その人自身が丸ごと出てしまうような気がします。人は、外見は気にするけど、自分の声と向き合うことってあまりないんじゃないかと思うんです。声優の仕事は初めてではありませんが、劇場用アニメのアフレコは初だったので、監督に身を委ねながら、自分の声としっかり向き合うことができて良かったです。
――声優の仕事は、自分の声を新たに発見できるんですね。
満島 そういう気がします。自分がどんなふうに、どんなリズムで話しているのか、言葉につまったり、息を飲んだりする時はどういう時なのか……などを知ることができます。あと、アフレコは声を出すタイミングが決まっているので、自分が経験したことのないタイミングで言葉を発しながら、声の流れみたいなものができあがっていくんです。モリオのタイミングで僕の生きた声を乗せていくという作業。モリオはこういう人間だから、こういうふうに演じるというのではなく、モリオという人物に僕の今まで生きてきた声を預けます!という感じです。
――ところで、満島さんは好きなアニメはありますか?
満島 そんなに詳しいわけではないのですが、僕が小学生の頃『ONE PIECE』(フジテレビ系)が始まったんですよ。あと『忍たま乱太郎』(NHK Eテレ)も見ていましたね。あの頃はただ楽しくて笑って見ていましたけど、今こうやってアフレコの仕事で声優さんに会うと「あのキャラの声の人だ!」とうれしくなったり、アフレコをしながら「自分が子どもの頃に夢中だったアニメは、こうして大人たちが懸命に作り上げていたんだな」と感動しています。
――声の吹き替えをやりたいくらいお気に入りのキャラクターはいますか?
満島 ときめき系のアニメの声優をやってみたいですね。実写では、ラブな内容のものは恥ずかしいのですが、アニメだったら演じてみたい。僕の実生活と正反対の、胸キュン系の物語で、僕が演じるキャラクターに対して女の子たちが「キャアアア!」というような(笑)、甘い言葉を囁くとか、挑戦してみたいです。実写だとやりたい役は全然違ってくるんですけどね。
――実写では、どんな役を演じたいと思っていますか?
満島 出会いを大切にしているので役を限定したくはないのですが、もしできるとしたら学校の先生を演じたいです。小学校の先生で、できれば1年の担任。入学したばかりのフレッシュな子どもたちと共演したい。水谷豊さんの主演ドラマ『熱中時代』(日本テレビ系)みたいな役をやりたいんですよ。ああいう感じのドラマって、最近少ないので。でも、そろそろ教育についても見直される時期なのではないかなあと思っているんです。
――実写とアニメの仕事では、やりがいや楽しさの質は違いますか?
満島 アニメは完全フィクションの世界で、実写はフィクションでも生で俳優が演じているので、そこにはかなり差があります。お客さんに物語を届けるというのは一緒だけど、そこに至るまでの工程が違うんです。アニメの吹き替えの現場は、主演も助演も演じる人がみんな一緒のブースの入るのですが、それが驚きだったし、とても楽しかった。仕事のあと、みんなで食事に行ったりして、声優の仕事のこと、この業界に入ったきっかけなどいろんな話を聞きました。これまで、俳優と声優の間には見えない壁があるような気がしていたので、その壁をとっぱらうというか、扉を開きたかったんです。お互いに刺激を受けたり、影響を与えたりして、何かおもしろいことができるんじゃないかと。アニメと実写の垣根を越えて作品を作りたいです。
――プロデューサーにもなれそうな目線ですね。仕事を楽しまれているようですが、私生活ではどんなことに興味があるのですか?
満島 おしゃべりです(笑)。僕は、こんな感じでずっとしゃべっているのが好きなんですよ。討論でも打ち合わせでもない、ゴールのないおしゃべりが好きです。話題は何でもよくて、例えば「この水のペットボトルのデザインは何で青いんだ?」「緑でもいいじゃないか」「でも、緑はお茶のペットボトルに多いよね」なんて他愛もない話から、「ペットボトルのない社会というのはどうなるだろう」と、どんどん話が深くなっていくんです。まったく話が尽きません。
そもそも、満島家は僕だけでなく父も話好きなので、おしゃべりが絶えない家族です。家族間で自分の目標について語ったり、お客さんが来ると必ず顔を出しておしゃべりしたりしていました。子どもの頃、大人の話を聞くのが大好きでした。自分は体験していないことも、時代を超越して楽しめますから。また、会ったことない人や、もう亡くなった著名な方の言葉は本を通して学んでいます。今、自分の中では開高健さんがブームで、ほかに金子光晴さん、山之口貘さんも読んでいます。本を通して人生を知るのが最近の喜び。でも信じられないですよ、20歳まで小説ひとつ読んだことなかったのに(笑)。
――では最後に、『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』への思いを聞かせてください。
満島 いろんな年代の方に見ていただきたいですし、海外の人、世界中の人に見てほしいですね。そして見てくださった方に感想を聞きたい。正直、劇場の前に立って出てきた方、一人ひとりとおしゃべりしたいくらいです(笑)。ぜひ、感想をいろいろ聞かせてください。
映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』
岡山県の女子高生のココネの特技は昼寝。でも、あるときから同じ夢を繰り返し見るように。そして、東京オリンピックの3日前、突然、父が警察に連行されてしまい、戸惑うココネ。「なぜ?」と、次々浮かび上がる謎を解く鍵が自分の夢にあると気付いた彼女は、幼なじみの大学生モリオを頼って、父を助けるために東京へ!
公式サイト
満島真之介(みつしま・しんのすけ)
1989年、沖縄生まれ。2010年舞台『おそるべき親たち』で俳優デビュー。ドラマ『梅ちゃん先生』(NHK)、『恋愛時代』(日本テレビ系)、映画『オーバー・フェンス』、『ひるね姫』など。最新作は『無限の住人』(17年4月29日公開予定)『忍びの国』(17年7月1日公開予定)。
