ダウンタウン松本人志の「タレント組合」発言は“罠”? 「実際、動いたらつるし上げを……」

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 ダウンタウンの松本人志が持ち出した「タレント組合」をめぐって、一部の芸人が「罠だった」と漏らしている。テレビ番組で松本が「日本タレント組合みたいなものを作ったほうがいい」と言ったことを真に受け、吉本興業の後輩芸人らタレント約40名が組合構想を広げようとしたが、その途端に所属事務所からつるし上げを食らったというのだ。 「二度の会合で意見交換をしたんですが、すぐにその動きを事務所にキャッチされてしまったんです。松本さんはフォローどころか、僕らを悪者みたいに言っていたと聞くので、こうなることをわかっていたんじゃないかと。つまり、組合作りを希望する面々をあぶり出す罠だったんです」(組合作りに賛同した芸人)  これ以上の詳しい話は「クビになるかもしれないんで、勘弁してください」と言って、芸人は口を閉ざしてしまったが、発端は松本が2月19日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、「芸能界に労働組合のような組織が必要だ」と訴えたことだ。  番組は宗教団体「幸福の科学」に出家した女優・清水富美加の騒動がテーマで、清水が待遇面の不満を漏らしていたという話になった際、松本は自身が所属事務所に対して強気にギャラ交渉を行っていたことを告白。その上で、タレント組合の結成を持ち出した。  実際、海外では、こうした組合は多数存在する。制作会社や芸能プロが一方的な力を持つことへの対抗策となるものだが、日本では多くの芸能プロが暴力団傘下から派生した歴史があり、「事務所に逆らうと業界から追放される」という絶対服従の図式のまま、今日に至る。事実、松本の提案で集まったというタレントも即座に圧力を受け「一瞬にして空中分解した」と前出芸人は話していた。  ただ、番組では「松本さんが作るべき」と振られた松本が「いや、俺は組合と戦う側やから」と冗談を言って、けむに巻いていた。 「まったく売れてないときからケンカしてたもんね。『クビにせえや!』って」と事務所と対等に渡り合ったことを自慢してはいたが、本気で矢面に立つ気はサラサラないようでもあった。  芸人が察した“罠”という説に、長く業界で仕事をするベテランマネジャーも同意する。 「こういうのは、事務所サイドの大御所とか優等生タレントが、たまにやるんだよ。若手の味方をして独立とか組合をけしかけて、どれぐらい忠誠心があるか確かめる。『やるなら応援するよ』と言って、実際にはその人間を上に告発するんだ。80年代の漫才ブームのとき、島田紳助が吉本内に組合を作ろうとして潰されたって話があるけど、これも実は島田による“釣り”だったとされている。実際、島田は干されるどころか、大出世しているんだからね。2年前、小栗旬が『干される覚悟で労働組合を作る』なんて言ってたのも、それを言わせた大先輩の俳優がいたって話だ。実際に組合を作るなんて動きは、1ミリもなかっただろ? 松本さんの話も、そういうこと。こうやって、いずれ吉本興業の役員サイドに入るんだろうね。そういう人の言うことを真に受けると、大変だよ」  この見立てが正しければ、なんとも恐ろしい業界だ。前出の芸人は今回の件で「この世界に入って一番、怖い思いをした」とまで言っていた。松本発言に端を発した組合構想は、わずか10日足らずで消滅。宗教団体に逃げ出すタレントが出てくるのも、当然のことなのかもしれない。 (文=ハイセーヤスダ/NEWSIDER Tokyo)

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 ダウンタウンの松本人志が持ち出した「タレント組合」をめぐって、一部の芸人が「罠だった」と漏らしている。テレビ番組で松本が「日本タレント組合みたいなものを作ったほうがいい」と言ったことを真に受け、吉本興業の後輩芸人らタレント約40名が組合構想を広げようとしたが、その途端に所属事務所からつるし上げを食らったというのだ。 「二度の会合で意見交換をしたんですが、すぐにその動きを事務所にキャッチされてしまったんです。松本さんはフォローどころか、僕らを悪者みたいに言っていたと聞くので、こうなることをわかっていたんじゃないかと。つまり、組合作りを希望する面々をあぶり出す罠だったんです」(組合作りに賛同した芸人)  これ以上の詳しい話は「クビになるかもしれないんで、勘弁してください」と言って、芸人は口を閉ざしてしまったが、発端は松本が2月19日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、「芸能界に労働組合のような組織が必要だ」と訴えたことだ。  番組は宗教団体「幸福の科学」に出家した女優・清水富美加の騒動がテーマで、清水が待遇面の不満を漏らしていたという話になった際、松本は自身が所属事務所に対して強気にギャラ交渉を行っていたことを告白。その上で、タレント組合の結成を持ち出した。  実際、海外では、こうした組合は多数存在する。制作会社や芸能プロが一方的な力を持つことへの対抗策となるものだが、日本では多くの芸能プロが暴力団傘下から派生した歴史があり、「事務所に逆らうと業界から追放される」という絶対服従の図式のまま、今日に至る。事実、松本の提案で集まったというタレントも即座に圧力を受け「一瞬にして空中分解した」と前出芸人は話していた。  ただ、番組では「松本さんが作るべき」と振られた松本が「いや、俺は組合と戦う側やから」と冗談を言って、けむに巻いていた。 「まったく売れてないときからケンカしてたもんね。『クビにせえや!』って」と事務所と対等に渡り合ったことを自慢してはいたが、本気で矢面に立つ気はサラサラないようでもあった。  芸人が察した“罠”という説に、長く業界で仕事をするベテランマネジャーも同意する。 「こういうのは、事務所サイドの大御所とか優等生タレントが、たまにやるんだよ。若手の味方をして独立とか組合をけしかけて、どれぐらい忠誠心があるか確かめる。『やるなら応援するよ』と言って、実際にはその人間を上に告発するんだ。80年代の漫才ブームのとき、島田紳助が吉本内に組合を作ろうとして潰されたって話があるけど、これも実は島田による“釣り”だったとされている。実際、島田は干されるどころか、大出世しているんだからね。2年前、小栗旬が『干される覚悟で労働組合を作る』なんて言ってたのも、それを言わせた大先輩の俳優がいたって話だ。実際に組合を作るなんて動きは、1ミリもなかっただろ? 松本さんの話も、そういうこと。こうやって、いずれ吉本興業の役員サイドに入るんだろうね。そういう人の言うことを真に受けると、大変だよ」  この見立てが正しければ、なんとも恐ろしい業界だ。前出の芸人は今回の件で「この世界に入って一番、怖い思いをした」とまで言っていた。松本発言に端を発した組合構想は、わずか10日足らずで消滅。宗教団体に逃げ出すタレントが出てくるのも、当然のことなのかもしれない。 (文=ハイセーヤスダ/NEWSIDER Tokyo)

『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』刊行記念インタビュー! ベテラン声優・岩田光央が語る声優業界の現実

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岩田光央
 アイドル的な活躍をする声優たちの増加により、増え続ける声優志望者……。近年の声優ブームにより、取り巻く環境が大きく変わった声優業界。はたして、現在の同業界をベテラン声優はどう考えているのか? 近著『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』(中央公論新社。以下、『声優道』)で、仕事の実情や声で生きていくための秘訣を綴った岩田光央氏に、詳しい話をうかがった。 ■声優志望者は自分と向き合えていない ──『声優道』を読んで興味深かったのは、いわゆる「声優になる方法」ではなく、岩田さんの実体験に基づいた「声優として生き続ける覚悟・心構え」が綴られていたことです。 岩田光央(以下、岩田) 現在、僕は講師という立場で声優志望の若者たちと接する機会が増えています。しかし、彼らと関わるようになって危機感を抱くようになりました。 ──危機感ですか。 岩田 危機感というと強い言葉に聞こえちゃうけど、心配になったんですよ。なぜなら、多くの生徒が声優を“漠然とした夢”のように捉えているからです。『声優はひとつの職業である』との認識が薄く、雲をつかむようなイメージで捉えている。でも、そんな状態で養成所や専門学校に通っても先が見えないと思うんですよね。 ──養成所や専門学校が増えたことで、声優への入口は大きく変わりました。ただ、本書を読んでいて、かえって声優を目指す人の多くが受動的になっているような印象を受けました。 岩田 昔に比べて、声優を目指す人の動機が軽くなったのかもしれません。でも、それは声優という職業が一般的になり、裾野が広がった証拠だと思います。これは歓迎すべきことですが、『声優は職業』という認識が薄いままだと、結果的に養成所や専門学校が潤うだけ。声優専門学校は、言い方を変えれば“職業訓練校”です。職業を訓練する学校に通っているんだと考えれば、漠然とした憧れだけではいられないはずです。別に『声優って厳しいんだぞ!』と過剰に煽るつもりはありません。声優に限らず、どの仕事も厳しいのは当然のこと。単純に、もっと客観的に理解してほしいんです。
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──昨今の声優ブームによって、華やかな部分だけを見て声優を目指す人も多そうです。 岩田 多いですね。華やかで目立つ部分を基準にしてしまうので『私はアニメ声じゃないから、声優にはなれないんでしょうか』と相談してくる生徒もいます。 ──その生徒にとっては「声優=アニメ」なんですね。 岩田 そう思い込んじゃってるんですよね。でも、違うでしょと。声優は声が必要とされる全般に関わっている。テレビやCMのナレーションも声優の仕事だし、デパートなどの館内放送、電車の停車駅を知らせる車内アナウンス、美術館や動物園の音声ガイダンスなど、多岐にわたります。  はたして、声優を目指す人たちが、こうした声をどんな意識で聞いているのか。本当に“声”で生活していきたいのならば、そこまで知った上で自分の特質を理解するべきです。先の生徒が目指しているのは、いわゆる『アニメ声優』ですが、アニメ声じゃないといけないわけじゃない。自分が目指している仕事にもかかわらず、理解を深める努力を怠っているんですよ。情報過多の時代であるがゆえに調べていない。自分と向き合えていない気がします。 ──「自分と向き合えていない」は「自分の声を理解していない」に通じる気がします。憧れや理想の声が先行し、その声に寄せる声優志望者が増えているのでは? ある専門学校の講師も「いまの生徒は『アニメの主人公』っぽい声しか出さない」と嘆いていたと聞きました。 岩田 僕も授業で経験ありますよ(笑)。少年役ならば、高山みなみさんや大谷育江さんを真似たような声を出す生徒が非常に多い。でも、真似では本人にかなうはずがないんですけどね。なぜ真似してしまうかというと、みんなが自分の個性に向き合っていないから。個性が分からず、自信が持てない。よく『自分には個性がない』と言う人がいますが、個性は有無ではなく“濃いか薄いか”です。まず、誰にでも個性があるということを理解してほしいのに、安易に人の真似に逃げてしまう。 ──たしかに「特徴的な声じゃないとダメ」「声色が少ないとダメ」みたいなイメージがあります。 岩田 僕で言えば、いくらあがいたところでこの声しかないんです。ないものをねだったところでどうしようもないし、この業界で生きていくと決めたならば“自分の声をどう商品化するか”を考えることが重要です。自分の声で勝負してダメだった場合と、人の真似をしてダメだった場合、負けたときにどちらが納得できるのか。全員が勝てる世界ではありませんからね。 ──一方、声優に大切な要素として『声優道』では“天分”を挙げていたのも印象的でした。 岩田 生まれながらのセンスや才能、いわゆる素質ですね。運動の素質がない人がアスリートになるのは難しいように、生まれつき持ち合わせた声の性質は、声優にとって強い武器となります。多くの生徒が『声優を漠然とした夢のように捉えている』と言いましたが、その通りで素質のない人が声優を目指そうとしているケースも目立ちます。しかも、自分に向き合っていないから、素質の有無に気がついていない。理解していれば、その上で声優になる方法はあるのか、あるならば、どのような努力をすればいいのか……など、必要な課題、生き残るヒントが見つかるかもしれないのに。 ──素質や適正について『声優道』で正直に触れたのは、岩田さんの優しさだと感じました。 岩田 絶対に言及するべきだと思いました。多くの専門学校や養成所では、はっきり言わないかもしれません。ビジネスである以上、利益を求めるのは当然ですからね。だからといって、専門学校や養成所を責めるのはお門違いです。声優という専門性の高い仕事を目指すならば、入学する前にもっと自分を分析しておく必要があると思います。 ■アイドル声優は“旬”にどう動くかが大切
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──それだけ、いまは声優という職業が華やかに見えるのかもしれません。もちろん、我々を含め、メディア側の取り上げ方にも問題があると思いますが……。 岩田 経済活動なので、取り上げるメディアが増えることは悪いことではありません。いまは本当にモノが売れない時代です。かつてはアニメDVDが1万枚売れましたが、現在は3,000枚売れれば良いのかなという時代。そこで、DVDで回収できなかった売り上げをイベント開催などで補っています。回収方法として、声優が表に出る需要が増えているのは事実であり、メディアが人気先行で取り上げるのもわかります。 ──声優が表に出る需要が高まったことで、いわゆる「アイドル声優」と呼ばれる声優が急増しています。この現状についてはどのようにお考えでしょうか? 岩田 歓迎しています。受け皿が広く深い業界になってきたなと感じています。 ──とはいえ、一過性の人気になる可能性も否めません。『声優道』で声優の旬の期間を「男性7年・女性5年のスパン」と書かれていますが、これは主にアイドル声優のことでしょうか? 岩田 たしかに、アイドル声優のカテゴリに多いです。彼らは人気に火がつくと急激に売れて、ラジオ、歌、イベント、グッズなどさまざまな展開が用意されるし、人気アニメやゲームの出演も一気に増えます。ただ、この人気は、いつか必ず飽きられる。ファンだけでなく起用する側も飽きてしまい、キャスティングの段階で『なんか新鮮味がないよね』と。そろそろ新しい子を……となるスパンが、男性7年・女性5年くらいだと感じています。 ──言葉は悪いですが“使い捨て”に近い印象です。 岩田 アイドル声優はそうですね。だからこそ、その時代や旬と合致したときに、どう動くかが大切だと思います。旬の人気にあぐらをかくか、注目されている段階で10年後、20年後も生き残ることができるように実力を身につけるかで大きく変わるでしょう。 ──「旬の人気」を「実力の人気」だと勘違いしたら消えてしまう。 岩田 消える可能性は高いでしょう。でも、本当に勘違いしやすいんですよ。人気が出てチヤホヤされると、人ってクレイジーになるんです。ある日突然、現場にサングラスで現れるようになった人もいて、『お前、夜なのに室内でサングラスかよ!』みたいな(笑)。でも、簡単に人を変えてしまうほど、見返りが大きいし、ゆがみやすい。スケジュールがパンパンに埋まって、お金を遣う暇もないし、変なところで大金を遣うようになった人もいます。 ──岩田さんもライブなどで熱狂的な人気を経験していますが、いまも一線で活躍を続けています。 岩田 僕は欲張りなんですよ。チヤホヤされることが大好きで、一方で声優として表現する醍醐味も大好き。だから、どちらの努力も惜しみなく続けてきたと思います。
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──やはり「チヤホヤされたい」だけだと危険ですか? 岩田 そんなことないですよ。ある有名な俳優さんの話になりますが、彼のモチベーションは『とにかくチヤホヤされたい』でしたから(笑)。彼が無名だった頃、何度か一緒にお芝居していたんですが、彼は一貫して『俺、チヤホヤされたいんすよ』と言ってたんです。その後、個性派俳優として大ブレイクした彼に『すごい活躍だね。もうかなわないよ』と告げたら、不機嫌そうに『俺、知ってんすよ。岩田さん、“ネオロマ(※)”とかいう作品で、チヤホヤされまくってるらしいじゃないすか』って(笑)。 ※ネオロマ:ネオロマンスシリーズ。コーエーテクモゲームスが展開する乙女ゲームの総称。「女性向け恋愛ゲーム」という分野を開拓し、岩田光央をはじめとする出演声優たちが毎年ライブイベントを開催するほどの大ヒットコンテンツとなった。 ──その俳優さんはかなり活躍してらっしゃいますが、岩田さんに嫉妬してたんですか? 岩田 そう(笑)。本当にコイツはすごいなと。彼にとってのチヤホヤって、それだけの動機付けなんです。本気でチヤホヤされたくて、そのために本気で努力を続けている。だから、いまでも一線で活躍できる。アイドル声優を目指す人も、彼みたいに本気で打ち込んでほしいですね。シンプルでいいんですよ。『人を感動させるために~』とか言われると、内心でふざけんなとか思っちゃいますから(笑)。良い意味で、自分の欲を大切にしてほしい。その結果が、人に感動を与える演技やパフォーマンスにつながるんです。 ■声優も声優事務所も、過渡期を迎えている ──人気商売になったことで、今後は声優たちもプライベートに気をつける必要がありそうです。 岩田 大手の芸能事務所は、所属している芸能人たちに注意を呼びかけているし、報じられた際の対処法がマニュアルとして存在しています。でも、この手の報道に対して、声優事務所はまだ経験が浅い。声優個人というよりも、危機管理とマスコミ対策は今後の声優事務所の課題といえるかもしれませんね。 ──そう考えると、声優も声優事務所もいま大きな転換期を迎えているように感じます。 岩田 過渡期でしょうね。ただ、わからないですよ。近い将来、AIに僕らの仕事が奪われる可能性だってありますから。僕自身、いつ仕事がなくなるかという危機感を抱いています。 ──『声優道』でも触れられていますが、岩田さんのキャリアをもってしても「危うい」と感じていらっしゃるのが印象的でした。その意図は、謙虚さなのか、自戒なのか、はたまた本心なのか……。 岩田 すべてですね。いまでも自分が生き残っているのは奇跡だと思っています。 ──「奇跡」と言いますが、『声優道』には声優として生き続けるための極意が数多く綴られていますよね。 岩田 そうなんですよ! だから、気になる方はぜひ『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』をお買い求めください! いっぱい売って、いっぱい印税もらいたいので、ぜひよろしくお願いします!(笑) (撮影:荻窪番長、ヘアメイク:梁取亜湖)
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声優道 死ぬまで「声」で食う極意』(中央公論新社)
■岩田光央(いわた・みつお) 1967年、埼玉県生まれ。声優。劇団こまどり、ミュージックステーションクリップ、大沢事務所を経て、アクロスエンタテインメント所属。『AKIRA』(金田正太郎)、『頭文字D』(武内樹)、『トリコ』(サニー)、『ONE PIECE』(イワンコフ)『ドラゴンボール』(シャンパ)など出演作多数。声優養成機関R&A Voice Actors Academy、ラジオ大阪声優&アナウンススクールなどで講師も務める。

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岩田光央
 アイドル的な活躍をする声優たちの増加により、増え続ける声優志望者……。近年の声優ブームにより、取り巻く環境が大きく変わった声優業界。はたして、現在の同業界をベテラン声優はどう考えているのか? 近著『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』(中央公論新社。以下、『声優道』)で、仕事の実情や声で生きていくための秘訣を綴った岩田光央氏に、詳しい話をうかがった。 ■声優志望者は自分と向き合えていない ──『声優道』を読んで興味深かったのは、いわゆる「声優になる方法」ではなく、岩田さんの実体験に基づいた「声優として生き続ける覚悟・心構え」が綴られていたことです。 岩田光央(以下、岩田) 現在、僕は講師という立場で声優志望の若者たちと接する機会が増えています。しかし、彼らと関わるようになって危機感を抱くようになりました。 ──危機感ですか。 岩田 危機感というと強い言葉に聞こえちゃうけど、心配になったんですよ。なぜなら、多くの生徒が声優を“漠然とした夢”のように捉えているからです。『声優はひとつの職業である』との認識が薄く、雲をつかむようなイメージで捉えている。でも、そんな状態で養成所や専門学校に通っても先が見えないと思うんですよね。 ──養成所や専門学校が増えたことで、声優への入口は大きく変わりました。ただ、本書を読んでいて、かえって声優を目指す人の多くが受動的になっているような印象を受けました。 岩田 昔に比べて、声優を目指す人の動機が軽くなったのかもしれません。でも、それは声優という職業が一般的になり、裾野が広がった証拠だと思います。これは歓迎すべきことですが、『声優は職業』という認識が薄いままだと、結果的に養成所や専門学校が潤うだけ。声優専門学校は、言い方を変えれば“職業訓練校”です。職業を訓練する学校に通っているんだと考えれば、漠然とした憧れだけではいられないはずです。別に『声優って厳しいんだぞ!』と過剰に煽るつもりはありません。声優に限らず、どの仕事も厳しいのは当然のこと。単純に、もっと客観的に理解してほしいんです。
『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』刊行記念インタビュー! ベテラン声優・岩田光央が語る声優業界の現実の画像2
──昨今の声優ブームによって、華やかな部分だけを見て声優を目指す人も多そうです。 岩田 多いですね。華やかで目立つ部分を基準にしてしまうので『私はアニメ声じゃないから、声優にはなれないんでしょうか』と相談してくる生徒もいます。 ──その生徒にとっては「声優=アニメ」なんですね。 岩田 そう思い込んじゃってるんですよね。でも、違うでしょと。声優は声が必要とされる全般に関わっている。テレビやCMのナレーションも声優の仕事だし、デパートなどの館内放送、電車の停車駅を知らせる車内アナウンス、美術館や動物園の音声ガイダンスなど、多岐にわたります。  はたして、声優を目指す人たちが、こうした声をどんな意識で聞いているのか。本当に“声”で生活していきたいのならば、そこまで知った上で自分の特質を理解するべきです。先の生徒が目指しているのは、いわゆる『アニメ声優』ですが、アニメ声じゃないといけないわけじゃない。自分が目指している仕事にもかかわらず、理解を深める努力を怠っているんですよ。情報過多の時代であるがゆえに調べていない。自分と向き合えていない気がします。 ──「自分と向き合えていない」は「自分の声を理解していない」に通じる気がします。憧れや理想の声が先行し、その声に寄せる声優志望者が増えているのでは? ある専門学校の講師も「いまの生徒は『アニメの主人公』っぽい声しか出さない」と嘆いていたと聞きました。 岩田 僕も授業で経験ありますよ(笑)。少年役ならば、高山みなみさんや大谷育江さんを真似たような声を出す生徒が非常に多い。でも、真似では本人にかなうはずがないんですけどね。なぜ真似してしまうかというと、みんなが自分の個性に向き合っていないから。個性が分からず、自信が持てない。よく『自分には個性がない』と言う人がいますが、個性は有無ではなく“濃いか薄いか”です。まず、誰にでも個性があるということを理解してほしいのに、安易に人の真似に逃げてしまう。 ──たしかに「特徴的な声じゃないとダメ」「声色が少ないとダメ」みたいなイメージがあります。 岩田 僕で言えば、いくらあがいたところでこの声しかないんです。ないものをねだったところでどうしようもないし、この業界で生きていくと決めたならば“自分の声をどう商品化するか”を考えることが重要です。自分の声で勝負してダメだった場合と、人の真似をしてダメだった場合、負けたときにどちらが納得できるのか。全員が勝てる世界ではありませんからね。 ──一方、声優に大切な要素として『声優道』では“天分”を挙げていたのも印象的でした。 岩田 生まれながらのセンスや才能、いわゆる素質ですね。運動の素質がない人がアスリートになるのは難しいように、生まれつき持ち合わせた声の性質は、声優にとって強い武器となります。多くの生徒が『声優を漠然とした夢のように捉えている』と言いましたが、その通りで素質のない人が声優を目指そうとしているケースも目立ちます。しかも、自分に向き合っていないから、素質の有無に気がついていない。理解していれば、その上で声優になる方法はあるのか、あるならば、どのような努力をすればいいのか……など、必要な課題、生き残るヒントが見つかるかもしれないのに。 ──素質や適正について『声優道』で正直に触れたのは、岩田さんの優しさだと感じました。 岩田 絶対に言及するべきだと思いました。多くの専門学校や養成所では、はっきり言わないかもしれません。ビジネスである以上、利益を求めるのは当然ですからね。だからといって、専門学校や養成所を責めるのはお門違いです。声優という専門性の高い仕事を目指すならば、入学する前にもっと自分を分析しておく必要があると思います。 ■アイドル声優は“旬”にどう動くかが大切
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──それだけ、いまは声優という職業が華やかに見えるのかもしれません。もちろん、我々を含め、メディア側の取り上げ方にも問題があると思いますが……。 岩田 経済活動なので、取り上げるメディアが増えることは悪いことではありません。いまは本当にモノが売れない時代です。かつてはアニメDVDが1万枚売れましたが、現在は3,000枚売れれば良いのかなという時代。そこで、DVDで回収できなかった売り上げをイベント開催などで補っています。回収方法として、声優が表に出る需要が増えているのは事実であり、メディアが人気先行で取り上げるのもわかります。 ──声優が表に出る需要が高まったことで、いわゆる「アイドル声優」と呼ばれる声優が急増しています。この現状についてはどのようにお考えでしょうか? 岩田 歓迎しています。受け皿が広く深い業界になってきたなと感じています。 ──とはいえ、一過性の人気になる可能性も否めません。『声優道』で声優の旬の期間を「男性7年・女性5年のスパン」と書かれていますが、これは主にアイドル声優のことでしょうか? 岩田 たしかに、アイドル声優のカテゴリに多いです。彼らは人気に火がつくと急激に売れて、ラジオ、歌、イベント、グッズなどさまざまな展開が用意されるし、人気アニメやゲームの出演も一気に増えます。ただ、この人気は、いつか必ず飽きられる。ファンだけでなく起用する側も飽きてしまい、キャスティングの段階で『なんか新鮮味がないよね』と。そろそろ新しい子を……となるスパンが、男性7年・女性5年くらいだと感じています。 ──言葉は悪いですが“使い捨て”に近い印象です。 岩田 アイドル声優はそうですね。だからこそ、その時代や旬と合致したときに、どう動くかが大切だと思います。旬の人気にあぐらをかくか、注目されている段階で10年後、20年後も生き残ることができるように実力を身につけるかで大きく変わるでしょう。 ──「旬の人気」を「実力の人気」だと勘違いしたら消えてしまう。 岩田 消える可能性は高いでしょう。でも、本当に勘違いしやすいんですよ。人気が出てチヤホヤされると、人ってクレイジーになるんです。ある日突然、現場にサングラスで現れるようになった人もいて、『お前、夜なのに室内でサングラスかよ!』みたいな(笑)。でも、簡単に人を変えてしまうほど、見返りが大きいし、ゆがみやすい。スケジュールがパンパンに埋まって、お金を遣う暇もないし、変なところで大金を遣うようになった人もいます。 ──岩田さんもライブなどで熱狂的な人気を経験していますが、いまも一線で活躍を続けています。 岩田 僕は欲張りなんですよ。チヤホヤされることが大好きで、一方で声優として表現する醍醐味も大好き。だから、どちらの努力も惜しみなく続けてきたと思います。
『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』刊行記念インタビュー! ベテラン声優・岩田光央が語る声優業界の現実の画像4
──やはり「チヤホヤされたい」だけだと危険ですか? 岩田 そんなことないですよ。ある有名な俳優さんの話になりますが、彼のモチベーションは『とにかくチヤホヤされたい』でしたから(笑)。彼が無名だった頃、何度か一緒にお芝居していたんですが、彼は一貫して『俺、チヤホヤされたいんすよ』と言ってたんです。その後、個性派俳優として大ブレイクした彼に『すごい活躍だね。もうかなわないよ』と告げたら、不機嫌そうに『俺、知ってんすよ。岩田さん、“ネオロマ(※)”とかいう作品で、チヤホヤされまくってるらしいじゃないすか』って(笑)。 ※ネオロマ:ネオロマンスシリーズ。コーエーテクモゲームスが展開する乙女ゲームの総称。「女性向け恋愛ゲーム」という分野を開拓し、岩田光央をはじめとする出演声優たちが毎年ライブイベントを開催するほどの大ヒットコンテンツとなった。 ──その俳優さんはかなり活躍してらっしゃいますが、岩田さんに嫉妬してたんですか? 岩田 そう(笑)。本当にコイツはすごいなと。彼にとってのチヤホヤって、それだけの動機付けなんです。本気でチヤホヤされたくて、そのために本気で努力を続けている。だから、いまでも一線で活躍できる。アイドル声優を目指す人も、彼みたいに本気で打ち込んでほしいですね。シンプルでいいんですよ。『人を感動させるために~』とか言われると、内心でふざけんなとか思っちゃいますから(笑)。良い意味で、自分の欲を大切にしてほしい。その結果が、人に感動を与える演技やパフォーマンスにつながるんです。 ■声優も声優事務所も、過渡期を迎えている ──人気商売になったことで、今後は声優たちもプライベートに気をつける必要がありそうです。 岩田 大手の芸能事務所は、所属している芸能人たちに注意を呼びかけているし、報じられた際の対処法がマニュアルとして存在しています。でも、この手の報道に対して、声優事務所はまだ経験が浅い。声優個人というよりも、危機管理とマスコミ対策は今後の声優事務所の課題といえるかもしれませんね。 ──そう考えると、声優も声優事務所もいま大きな転換期を迎えているように感じます。 岩田 過渡期でしょうね。ただ、わからないですよ。近い将来、AIに僕らの仕事が奪われる可能性だってありますから。僕自身、いつ仕事がなくなるかという危機感を抱いています。 ──『声優道』でも触れられていますが、岩田さんのキャリアをもってしても「危うい」と感じていらっしゃるのが印象的でした。その意図は、謙虚さなのか、自戒なのか、はたまた本心なのか……。 岩田 すべてですね。いまでも自分が生き残っているのは奇跡だと思っています。 ──「奇跡」と言いますが、『声優道』には声優として生き続けるための極意が数多く綴られていますよね。 岩田 そうなんですよ! だから、気になる方はぜひ『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』をお買い求めください! いっぱい売って、いっぱい印税もらいたいので、ぜひよろしくお願いします!(笑) (撮影:荻窪番長、ヘアメイク:梁取亜湖)
『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』刊行記念インタビュー! ベテラン声優・岩田光央が語る声優業界の現実の画像5
声優道 死ぬまで「声」で食う極意』(中央公論新社)
■岩田光央(いわた・みつお) 1967年、埼玉県生まれ。声優。劇団こまどり、ミュージックステーションクリップ、大沢事務所を経て、アクロスエンタテインメント所属。『AKIRA』(金田正太郎)、『頭文字D』(武内樹)、『トリコ』(サニー)、『ONE PIECE』(イワンコフ)『ドラゴンボール』(シャンパ)など出演作多数。声優養成機関R&A Voice Actors Academy、ラジオ大阪声優&アナウンススクールなどで講師も務める。

餌を撒くだけで不倫希望男がみるみる寄ってくる!既婚者同士の合コン現場がアツかった

「100発100中、喰えるんスよ! マジでウテウテの入れ食い状態! 熱い! ヤバイ! 間違いない!」  昨年、知り合いの既婚男性Y氏(40代前半)が、テニサーのようなテンションで教えてくれたのが、“既婚者合コン”なる出会いの場を斡旋するサイト『X』でした。一応サイト名は伏せますが、別に怪しい雰囲気のサイトでも、知る人ぞ知る的なサイトでもなく、Google検索窓に「既婚者 合コン」と打ち込めばすぐに出てくる、明るく健全な雰囲気のサイトです。表面上、背徳的要素を醸して不倫を煽るようなことは一切していません。  不倫の出会い系といえば、数年前に既婚者向け出会いサイト『アシュレイ・マディソン』が大流行&登録者の個人情報流出で大混乱、ブームが下火になったことは記憶に新しいところです。海外からやって来た不倫推奨サイトが沈没した後、男性を中心にふつふつとその名を知らしめていたのが『X』でした。  システムは非常にシンプルで、月に数回開催される飲み会に申し込み、参加するだけ。当日は、男女各3人ずつが座るテーブルがいくつかがあり、30分ごとに男性陣が各テーブルを順繰りに回るというもの。お見合パーティーの“回転寿司”の、グループバージョンと想像していただけたらわかりやすいかと思います。  価格は男性約7000円、女性約3000円。開催日は平日や土曜の昼か夜、日曜の昼が多く、「30代から40代前半の日」や、「45歳以上の日」、「年上女性と年下男性の日」、「年収800万円以上の男性の日」といったように、年齢や趣味嗜好により選べるようになっています。  まず苦労するのが、「申し込むこと」だと、T氏は言います。男性参加枠の約15席を巡り、予約の時点から水面下での戦いが繰り広げられているというのです。 「人気がありすぎて、男性枠は申し込み開始と共に即満員になってしまうんですよ。いつ予約が開始されるかわからないから、毎日30分おきに『X』のサイトを見て、新規申し込みが開始していないかをチェックしていた時期もあります。ここで知り合ったIT系の技術者には、『申し込みが開始したら、自動で申し込みができるプログラムを作った』という猛者もいたほどです」(T氏)  それほどまでの人気の理由はほかでもない、冒頭にもある通り、「とにかくヤレる。魚影が厚い濃い」(T氏)の一点に尽きるといいます。昨今のお見合いパーティーなどの婚活市場では、男性不足が深刻化しているといった報道もありますが、逆転現象がここでは起こっているのです。いや、逆転ではありません、『X』をチェックしてみると、女性側も開催日の1週間前には埋まってしまいますから、男女ともに人気の高さがうかがえます。 「僕の印象では、子どもも手が離れ、純粋な飲み友達を探しにきた女性50%、夫の浮気の腹いせに自分もヤッてしまおうと企む女性40%、残り10%は、継続的な不倫パートナーを欲している女性です。既婚者同士だから、こういうところに参加している=ヤリ目と認識してOKなんで、話が早いんスよね」(Y氏)  ギラつき系40代のY氏はそう言いますが、本当にそうなんでしょうか。マジでみんな、そんなにヤリたがっているものなんでしょうか? そこで、既婚・1歳と3歳の2児持ち30代女性である筆者が真偽を確かめるべく、ある土曜の昼下がり、既婚者合コンに参加してみました。 それは確かに合コンだった  このサイトの合コンはすべて異なる年齢制限が設けられているのですが、私が参加したのは男女ともに30代半ばから40代半ばまでの会です。その日の人数は、男女計25人ほど。男女各3人ずつが1テーブルに割り振られていました。座る場所は『X』スタッフが采配します。見た感じ、男性はランダムのようで、女性は近い年齢ごとに同じテーブルになるようになっていたように思います。  私のテーブル平均年齢は30代半ば。北関東から「午前中、仕事の研修ために都内に来た」からついでにここにも参加したという、全盛期の堂真理子(テレビ朝日アナウンサー)を彷彿とさせる女性(小6の息子アリ)と、10歳年上の夫がいる、山田優にアバズレ感をプラスした雰囲気の女性。いや、ふたりとも、まごうことなき垢抜け美人です。びっくりしました。  ふと見渡してみると、年齢層が高めな女性はそれなりに(ああ、40代後半なんだろうな、とか)わかるのですが、でも総じて魚住りえっぽいというか、可愛いんですよ。うさんくさいサクラ臭もまったくなし。これはレベルが高い! もしいつも女性陣がこのレベルなら、Y氏があんなに興奮するのも頷けます。  一方、男性陣はというと、Y氏のようなギラギラ系ばかりかと思いきや、みな、超普通。外見は好みがあるので言及しませんが、人畜無害な平均的男性ばかりです。一見、“不倫”とは無縁に見えるんですけど。  そして、いざ1回転目、乾杯の合図と共に会話開始です。 「どこに住んでいるの?」 「仕事は何しているの?」 「休みの日は何してる?」  当たり障りのない会話を、みな、緊張の面持ちで進めますが、いまいち盛り上がりに欠けます。つまらないと感じたのか、「このあと、予定があって」と、山田さんはここで帰宅してしまいました。  そして2回転目へ。ここから徐々に、『X』ならではのプレイスタイルが垣間見えるようになりました。そう、ここはおみパのような個人戦ではなく、“合コン”の場。つまり、3人1組で回っている男性陣のチームプレイがいかに仕上がっているか否かが、テーブルが盛り上がる決め手だったのです。特に2組目はチームプレイの良さが顕著だったので、盛り上がりました。たとえば、こんな具合に。 「さっきのテーブルで、俺は岡田将生に似てるって言われてて、彼は堂本剛に似てるって言われてて。で、彼だけ何も言われなくて(笑)」 「おいおいー! 俺だけおっさんだからってひどいよなー(笑)」 「どっ」となる、一同。面白いか否かは別として、イジったりイジられたり、盛り上げようとする努力は好感が持てます。ここでついつい私ってば、「いやいや、鈴木浩介に似てますよー大丈夫ですよ」なんて言ったばかりに「え? 誰?」「え? 蒼井優にフラれた人? え? 誰?」となって、プレイを乱してしまったんですが。  それは置いておいて、岡田が堂さんに夢中になり、山田優は去ってしまったので、鈴木と剛は私と喋る羽目に。剛が「この『X』をどうやって知ったのか」と聞くので、こう答えました。 「すごいハマっている知人男性が、オススメだと教えてくれたんです。鈴木さんはどうやって知ったんですか?」 すると鈴木、眼球をせわしなく左右に動かし、グラスを持つ手をぷるぷるさせながら、 「けっけけけけけけっっけっけけけけけっけ検索でっっ!」 と回答。そんなに動揺するなんて、一体なんて検索したんでしょう。<人妻 即ハメ 出会い>とかかな? さらに剛には参加動機を聞いてみると、不敵に笑い、なにやら語り始めました。 「俺には2人の師匠がいる。そのひとりは、団鬼六なんだ」 おお、さすがは既婚者合コン、話が早いどころの騒ぎではありません。「SMがお好きなんですか?」と聞くと、「ちょ(笑)違うから!」と、まるで私がバカみたいな反応。 「そうじゃなくて、団さんの思想に共鳴しているんだ。師匠って言っても会ったことないんだけど(笑)。いわゆる、エフィカシー的な話」 ……え? えふぃかしー? 「あとひとり、これはマジの師匠なんだけど、苫米地英人さん。彼が言う、自分の壁を取っ払うことを実践しに、ここに来たってわけ」  まさかの苫米地氏きたーーー! どうやら剛は、苫米地氏のセミナーの生徒のようです。まさかこんなところで、本サイトの運営会社・サイゾーのオーナーである苫米地氏の名前が出るとは思ってもみませんでした……。ひとしきり苫米地氏の話題で盛り上がったのち、3回転目。ここもチームプレイがよく、堂さんから「夫とは結婚する前から付き合い長いですからねー……」なんて発言を引き出すことに成功していました。  そして4回転目。酒が回って疲れたのか、それともコミュニケーション能力が低い男性ばかりが集まったのか、全く盛り上がらず。しかも私が、「今日は1歳と3歳の子どもを夫に預けて来た」と言うと、ワンボックスタイプの軽自動車に乗り、パズドラばっかやってそうなロバートの馬場裕之(料理が得意なメガネの人)といった風情の男が、こう言ったんです。 「え! 旦那さんに!? 大変じゃん。すごいことさせるね!?」  はあ? すごいことさせる? いや、おめえも子ども2人、奥さんに預けて、しかも仕事だって嘘こいてここに来てんだろが。つうか、なんで「夫が子どもを見る」=「大変なことをさせる」と文句言われなきゃなんねーの? と、小出愛氏の「イクメンとかいう言葉そのものが、妻にとっては邪魔でしかない」がよぎりつつ、反論。 「いやー普通に、私が見る日もあれば、夫が見る日もある、それだけですよ? 普通にやりませんかみなさん? しかも私はいつもやっていることですが、夫だけが大変なのですか? ねえ堂さん!」  優しい堂さんは「そうですよお! うちも夫はやりますよ」と味方についてくれました。その後、馬場と険悪になり、残り10分、会話なくデザートをもそもそと食べていると、終了の合図。ちなみにご飯はコースになっていて、美味しかったです。飲み放題ですしね。  2時間の飲み会が終了しましたが、ここからが、この“既婚者合コン”の本番だったのです。みな一斉に、まずは同じテーブルの人たちとLINE交換。それが終わると、男たちが他テーブルに移動し、続々とLINEを聞いてゆきます。堂さんには長蛇の列ができており、隣にいた私には、「堂さん並んでるし、その間にこいつのLINEも聞いておくか」くらいのテンションの男性数人から交換を要請されました。  なんだか、“不倫”なんて空気、全然感じなかったなー。みんな、やけにあっさりとしていて、ギラギラも、ガツガツもしていなかったなあ。そんなことを考えながら帰路についていると。前言撤回。なんと鈴木から、こんなLINEが来たのです。 <次に研修で都内に来るとき、教えてね。一緒にごはん食べよう。ナイフとフォークを使うお店がいいな> 堂さん宛のギラギラメッセージ、あんた送り先間違えているよ……。指摘してあげると、 <ごめんなさい。間違えましたm(_ _)m はるさんとは友達になりたいです!> と、こっちがフラれたみたいな一線を引かれてしまいました。ぎゃふん!  さて、鈴木以外からも、数人からもLINEが続々。 <タイプだと思ったので、またゆっくり話せたらいいなと思いました> <もっとゆっくり話ができれば良いな。今度ごはんでもどうですか?> <近く会えるならお願いします。空いている日あったら教えてください☆>  なるほど、男性側は合コン中はギラギラせず、餌を蒔くときだけ勢いをつける。あとは釣り糸を垂らし、女性が食いつくのを待つだけ。虎視眈々と、水面が揺れる瞬間だけを、狙う。一方の女性側は、お腹が空いていなければ食べなくていいし、空いたときに餌をつんつんとするだけで、男性側がすぐ釣り上げてくれると思います。どちらも過度にエネルギーを使わなくて済むから、傷もつかない。それが、既婚者合コンの正しいスタイルなのかもしれません。まあ、その後に修羅場が待ち受けているかもしれませんが。  一番気になったのは、なぜ堂さんのような美人できちんとした女性が来たのか、ということ。堂さんは国家資格取得のため大学院に進学しました。となると、子どもの年齢的に、院卒と同時に結婚したのでしょう。「夫とは付き合いが長い」と言っていましたから、男性は夫しか知らない可能生もあります。あれだけ美人ですから、自分が美しい女だという自覚はあると思います。だけど夫はその価値を大切にしてくれず、行き場のない承認欲求が募り、ちやほやを求め、ここに来たのかもしれません。そんな、「週刊大衆」の名物連載漫画『感じる人妻』のような世界が、本当にあるんだあ。  どうか堂さんには、しょうもない男の釣り糸に引っかからないでほしい――そうおせっかいに願いますが、それって美人な女友達と一緒にナンパされるブスが断るときの発想じゃん……。既婚女性のみなさま、たまには既婚者合コンに参加して、自分のモテ力を再確認してみるのもいいかもしれませんよ。きっと、明日への糧になります。