落ち着いたモノトーンの配色でまとめられた表紙デザインに「総額200万円以上177名様豪華プレゼント!」「本当に『効く化粧品』発表」など、相変わらず身も蓋もない現実主義な力強い見出しが並ぶ今月の「GINGER」(幻冬舎)。その一方、白ニットを着て、ボーっとした表情を読者に向けるカバーガール・綾瀬はるかは、「最新!深堀インタビュー 今、揺れています」という不穏なタイトルの企画に登場しているとのこと。何やら胸騒ぎを覚える表紙ですが、早速、本誌の中身をチェックしていきましょう~。
<トピックス>
◎読者8000人が本当に知りたかったコト!SNSじゃわからない おしゃれの裏側
◎話題の銀座コリドー街って本当に出会いがあるの!?
◎香里奈主演! 年末年始スーパーリアルな着回しSpecial
■GINGER女子とSNS
まず見ていきたいのが、メイン特集の「SNSじゃわからないおしゃれの裏側」です。なんと読者8,000人にアンケートを行い、「真冬のリアルコスパ服、何買う?」「厚着の冬でも女っぽい配色って?」「ほっこりしがちな防寒アイテム、どう着る?」「トレンド冬服をこなれ見えさせる方法は?」といったファッションに関する疑問を集めたとのこと。編集部も「単なるファッション誌ではなくなっている」と自信満々で、「おしゃれなコーデを見るだけなら、SNSでも十分かもしれない。でも、雑誌でこその切り口や独自の提案がきっとある、と信じています」と熱く語っています。
しかし、コスパ服として「ZARA」を推したり、今季の注目色「スモーキーブルー」コーディネートを紹介するなど、“ありがち”なページが続きます。はて? 一体どこらへんが「SNSじゃわからない」箇所なの? と思ったのですが、よくよく誌面を読み込んでみると、とにかく尋常じゃないほどに、説明が具体的で丁寧。例えば、「流行のマキシ丈コート。バランスよく着こなす方法は?」という読者からの質問に、誌面2ページを割いて徹底回答しているんですが、「1.縦ラインが強調される落ち感素材をセレクト」「2.チェックストールで目線を上に集める!」……といった具合に、コーディネートを完成させるための8つのプロセスを、それぞれどういった理由でその手順が必要なのかという解説まで付けて紹介しています。確かにSNSでおしゃれコーディネートを発信する人も、普通ここまでの長文投稿はしないだけに、こういった細部のテクニックは、「SNSじゃわからない」かもしれません。
そもそもSNS上で見られるオシャレコーディネートは、キラキラした“完成系”として発信されているものだと思います。もちろんその“裏側”には、完成系に至るまでの泥臭い過程(例えば、予算と相談しながら服をお得にゲットする、鏡の前でああでもないこうでもないと1人ファッションショーを繰り返す、写真を上手に加工する……など)があるわけです。その部分にフォーカスを当てるのは、やはり現実主義を貫く「GINGER」ならではの視点かもしれませんが、裏を返せば、「GINGER」読者には「センスがない」と言い切っているような気も? さすがは夢を見させてくれない女性誌です。
■待ちに待った恋愛企画なのに……ときめき要素ゼロ!?
恋愛要素がほぼゼロの「GINGER」に、待ちに待った恋愛企画が登場です! 首都圏に住む働くアラサー女子を読者層に想定しているのか、「気になる婚活スポット」として「銀座コリドー街」を紹介し、「話題の銀座コリドー街って本当に出会いがあるの!?」と題して、女性2名が潜入取材を敢行しています。
早速ページを開いてみると、最初は、男性に声をかけられて一緒にお酒を飲んだり、大企業勤めの男性の名刺をゲットしたり、LINE交換したりと楽しげなレポートだったものの、途中からどんどん雲行きが怪しくなっていきます。2軒目に向かう道中で酔っ払いに絡まれたり、チャラい男から自宅飲みに誘われたり、終電を逃してタクシー難民になったり……と、あまりに夢のない展開が続き、ときめき要素は皆無……! そもそもコリドー街って、婚活スポットというよりはナンパスポットですよね? 編集部も「(男性は)彼女というより、飲み友達を探しに来ている」「友達を探すくらいの軽い気持ちで行ってみて!」と前置きしつつ、「ステキな人と出会えたら朝までコースも正解!」などと、身も蓋もなくワンナイトラブをオススメする始末でした。
確かに東京の真ん中で働くアラサー女子には、そんな夜の思い出が1つや2つあるだろうし、もはや結婚に夢もあこがれも抱いていないかもしれません。しかし女性誌の恋愛企画としては、やはり夢というか、純愛度数が低すぎますし、まったく心が踊りません! 読者がこのページを読んでも、「楽しそー!コリドー街行きたーい!」とはならないのでは? しかし、最後に書かれたアドバイスは大変現実的で参考になりますので、もしコリドー街に繰り出す機会があれば参考にしてみてください。「タクシー乗り場は長蛇の列。電車が賢明」「駅まで少し距離があるので、時間に余裕を」……ですって!
■スーパーリアルなローテンション
最後に、タイトルだけでおなかいっぱいになりそうな「香里奈主演!年末年始スーパーリアルな着回しSpecial」を見ていきましょう。タートルネックニット、ボーダーカットソー、ロングカーディガンなど、読者サポーター8000人が選んだ、わりと地味めなリアルクローズアイテムを使った30コーデを紹介しているのですが、なんというか、香里奈が着てもやっぱり地味なんです!
「デート」や「イベント」のシチュエーションで紹介されているコーデも、確かにほかのページより“ちょっとだけ”いいもの、“ちょっとだけ”垢抜けてはいるものの、全体的に地味めな色合いで見てるこちら側としても、テンションが上がりません。女性誌なんだから、もう少し華やかで気持ちの上がる誌面にしてもいいんじゃないかしらと思うのですが、そこは「スーパーリアル」にこだわった結果なのかもしれません。
写真に添えられているキャッチは、読者アンケートからの抜粋だそうですが、これまた「大晦日は友達集まってカウントダウンに参加する予定です」「早めに帰省して高校の同級生たちと集まる予定。一年に一度の楽しみです」「仕事を忘れてオフモード。ずっと忙しかったので家でのんびり過ごします!」などなど、本当に普通の、リアルな読者の声。あこがれは一切抱かず、わかるわかる~と共感を覚えてしまいました。
そんな毎回“これでもか!”というほどに、現実的な企画を浴びせてくる「GINGER」ですが、今月号では、それとは対極にある非現実的な“占い”を3本立ての大ボリュームで掲載していました。ラストで突然スピリチュアルをかましてくるあたり、「GINGER」女子は現実世界に疲弊しているのでは。彼女たちの心中が少々心配になってしまいました。
(橘まり子)

