2カ月に一度のママたちの紅白オシャレ合戦、「nina’s」(祥伝社)。年末年始はオシャレママたちが血沸き肉躍る季節であることをご存じでしょうか。なぜならイベントがめじろ押しだから!! この時期のコストコ/IKEAは、血眼でカートを操るママたちの戦場と化しております。というわけで、今号の特集は「メモリアルイベントをHAPPYプロデュース!」。リードには「子どもが生まれると、記念日は増えるもの。あっという間に過ぎる毎日を大切に刻むために、メモリアルな日を私たちらしくお祝い!」とあります。まさかこんなところで“何でもないようなことが幸せだったと思う”といったTHE虎舞竜理論に出合うとは……!! あっという間に過ぎる毎日や二度とは戻れない夜には、二度と戻らないほうが幸せだったりすると思うのですが、どうでしょう??
<トピックス>
◎特集 メモリアルイベントをHAPPYプロデュース!
◎すてきなママのはじめてイベント
◎男の子ママVS女の子ママ 冬おしゃれ対決SNAP
■これはもう記念日地獄
リードに絡んでもしょうがないので、さっそく中身を。この「メモリアルイベントをHAPPYプロデュース!」特集、PART1には「すてきなママのはじめてイベント」として、出産後はじめてのイベントをオシャレママたちはどう過ごしたのかというインタビューが掲載され、PART2の「みんなのメモリアルイベントテク拝見」は各イベントをどのように過ごし、どのように記録に収めたのか、人気読者ママたちのイベント写真を使って紹介しています。
お誕生日、ハロウィン、クリスマス、お正月は当たり前。ハーフバースデー、1000日記念なんて謎なイベントから、お食い初め、節分、端午/桃の節句など“日本の伝統行事も大事にしてます系”まで、みなさん気合入れまくり。とにかく飾りものにこだわるのがオシャレママのお約束で、「壁の文字はウールレターで製作」「娘のイメージに合わせてガーランドも手作り」「インスタ映えするマダムモーの鯉のぼり」と、知らない横文字に支配されています。
今日びママはここまでやんのかい……と慄くはまだ早い。PART1に出てくる女優・野波麻帆のインタビューでとどめを刺されます。「次女の誕生日は長女のお姉ちゃん1年記念日でもあるから、長女にもプレゼントとしてずっと欲しがっていたシルバニアファミリーの赤ちゃんをあげました」と、冒頭から新しい概念「お姉ちゃん1年記念日」にやられます。さらに夫も「去年のクリスマスはサンタクロースに夫自ら変身して『我が家に忍び込みプレゼントを置いていく』様子を撮影して娘たちを喜ばせていました。細身の夫のお腹にタオルをぐるぐる巻いて太らせて、娘たちには全然バレませんでしたよ」と、新劇の俳優ばりの役作り。「2人とも、初ギフトはバニラの香りのするフランスの赤ちゃん人形」「最近は雨の日にお菓子を作っていて」「1年に1度、おばあちゃんが1人でやっている商店街の写真館で家族写真を撮る」……。資本を大量に投下せずとも、工夫、センス、手間暇で豊かな生活は醸し出される。オシャレママたちにとって、その発表の場が「記念日」なのでしょう。イベントにかこつければ、いやらしさなく家事育児への日々の努力を存分にアピールできる。今更ながら「nina’s」の、その手のママたちの虚栄心のくすぐり方、エゲつないわ~。
■ぶっちゃけ、着たい服とかないのでは……
あれは16年9月号だったでしょうか……、「nina’s」に現れた「男児持ちママと女児持ちママの着回し企画」。男児持ちワーキングママはドタバタの日々を送っていたのに対し、女児持ち専業主婦は文化度高めのゆったりとした毎日を過ごしており、妄想企画とはいえなんて作為的なのだとビックリしたものです。そちらが好評だったのでしょうか、今号にもまた男児ママと女児ママの対立ページがありました。その名も「男の子ママVS女の子ママ 冬おしゃれ対決SNAP」。「男の子ママ、女の子ママならではの、それぞれのファッションの工夫と楽しみ方、そして、個性が光る親子ファッションにズームしていきます」とはリードの弁。子どもの性別で母親のファッションが変わるなんてあまり聞いたことありませんけど、どうやらヒントは子どもとの「リンクコーデ」にあるようです。
たとえば「男の子ママはミリタリーカラーVS女の子ママは柄リンクで楽しむ」などは読んで字のごとし。「ラブリーな花柄や暖色系のチェックなど、女の子ママは柄コーデでお目立ち」「男の子ママは、冬のトレンドミリタリーでcoolめに!」と、子どものスタイルに親が合わせていくタイプ。「スニーカー履きこなし対決」は同じスニーカーというアイテムでありながら、女の子ママは「スリッポンで抜け感」「デニム×ホワイトをベレー帽で冬らしく」と見た目重視なのに対し、男の子ママは「ガチスニーカーでいつでも走れるコーデ!」「男の子ママのアクセは小ぶりで目立つものを(引っ張られる心配のないもの)」と機能優先。その他「デザイン<色が、男の子リンクの法則」「女の子のママだからこそ、ヒールも取り入れるように」など、男の子(のママ)だから女の子(のママ)だからという基準でファッションを決めている方のなんと多いこと!
オシャレは自由……では決してないことがよくわかった「男の子ママVS女の子ママ 冬おしゃれ対決SNAP」。“ママになっても好きな服を着たい”というオシャレさんの嘆きをよく耳にしますが、「nina’s」におけるオシャレとは、個人の願望や嗜好よりも、“周囲の人にどんな風に見られるか”“幸せなママに見られるか”に重きが置かれているんです。「nina’s」の男の子ママ、女の子ママのジェンダー観はベタですが、そこに自分をハメこむことで型通りの幸せが手に入ったような気持ちになる。子どもに寄せたファッションをする喜びはおそらくそこにあるのでしょう。子どもは最高で最強のアクセサリーになり得ることを、こんな形で「nina’s」は教えてくれます。
(西澤千央)

