米ベストセラーとなった、名門大のレイプ事件のノンフィクションと、売れっ子女性クリエイターの“戦記”

 2017年には、正式にドナルド・トランプ大統領が生まれることになる。1つの転機を迎えたアメリカで、近年ベストセラーになった2冊を紹介したい。

■『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』(ジョン・クラカワー著・菅野楽章翻訳、亜紀書房)

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 『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』は、10~12年に連続して明るみに出た、米名門大学の強豪アメフトチームに所属する男子学生たちが起こした複数のレイプ事件の深層を探ったノンフィクション。戦地取材の経験もあるジャーナリストが、長期にわたり関係者に綿密に取材し、全米でベストセラーとなっている。本作は、専門家への取材や、最新の統計研究にも触れることで、一般に持たれがちな「レイプ犯罪」に対する偏った認識を修正してくれる一冊でもある。

 近年米国では、大学生、特に入学したばかりの女子学生が高い確率でレイプ被害に遭っていることが「キャンパスレイプ」と呼ばれ、大きな社会問題になっている。これは日本で似たケースも見られるが、本書で取り上げられた事件は、少し事情が異なる。加害者とされた男子学生たちは、この地域のスターであり、シンボルのような存在でもあるモンタナ大学のアメフトチーム「グリズリーズ」のメンバーだった。

 同時期、同じ大学で起こったアジア系男性によるレイプ事件は、圧倒的に被害女性へ同情が寄せられた一方で、「グリズリーズ」メンバーの起こした事件は、地域やメディアを巻き込み、加害者が「守られている」ように見える。主な理由は、「彼らが、レイプするほど女性に不自由するはずがない」「女性はレイプされたとよく嘘をつく」「アルコールや薬物の入った若い男女の諍いである」といったものだ。

 本書には、女性がレイプをでっち上げた事件も含め、複数の事件が取り上げられている。その中で最も詳しく描かれた事件の加害者は、「グリズリーズ」の中でもスター的存在で、男女問わず人気があり、友人や家族から紳士的なスポーツマンだと思われていた。しかし一方で、過去にもレイプ未遂を起こし(男女含むグループが、彼の犯行を必死で止め、未遂となった)、自分の罪を認め、被害者に謝罪した後でも、周囲にはそのこと自体を隠し、「前から性交渉があり、合意の上だった」と平然と事実無根の中傷を続けるような一面もあったのだ。

 レイプ犯罪というと、“異性との関係をうまく築けない男性が、見知らぬ女性を襲う”というケースが、1つの典型のように思える。しかし、レイプの85%が顔見知りによる犯行で、加害者がモテそうなタイプであることも珍しくなく、そして、その被害のほとんどが届けられていないと推定されているデータを見れば、むしろ、本書に取り上げられたようなケースの方が典型的であるといえる。少数の“隠れレイピスト”が、訴えられないことを隠れみのに犯罪を繰り返すため、多数の被害者を生み出しているのが実情だ。

 米国女性の19.3%、男性の1.7%がレイプ被害を受けた経験があるという、米疾病予防センターの報告書を引きつつ、この犯罪における「女性の虚偽報告の高さ」を検証する研究も取り上げる。著者は、被害報告が虚偽である可能性が、特別に高いわけではないことを、データに基づいて淡々と示していく。本書での結論は、「レイプ被害者が話を信じてもらえないことで受けるダメージは、少なくとも、無実の男性がレイプで不当に訴えられて受けるダメージと同じ」「そして疑いなく、前者の方が後者よりもはるかに頻繁に起こっている」と書かれている。

 私がもし男性だったら、雰囲気で一夜を共にした女性に、後から唐突にレイプ被害を訴えられるのは怖いし、先に挙げたようなデータは、そんな悪意ある女性に都合が良いように思えるかもしれない。しかし、本書を読めば、女性がレイプ被害を訴えるメリットは、そう大きくはないことがわかる。PTSD(心的外傷後ストレス障害)にさいなまれ、周囲の中傷に耐えながら、次の被害者を生まないよう自身を奮い立たせている女性が多く存在する。そして、レイプ犯罪は、男性にとっても人ごととは言えない。本書では、“隠れレイピスト”は児童への虐待率が高いことも示されている。自分の子どもや恋人が、そして自分自身が被害に遭わないとはまったく言い切れないのだ。

 米国でも、また日本でも、表に出ているレイプ犯罪は氷山の一角で、その裾野には膨大な同様の犯罪、そしてグレーケースが眠っていることは想像に難くない。裁判に関わった市民陪審員は、著者の取材に“女性が死ぬまで抵抗すれば、レイプ事件は認められる”という趣旨の感想を漏らす。被害者が普通に生き延び、加害者には当たり前に罪を負わせられる世界になるまでの道のりの長さ、荷の重さを思うと暗澹たる気持ちになるが、一人ひとりがレイプ犯罪に対する正確な知識を持つことが、その道の荷物を少しずつ分け合うことにつながるのだと信じたい。

■『ありがちな女じゃない』(レナ・ダナム著・山崎まどか訳、河出書房新社)

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 その重い荷物を人一倍抱えながら、パワフルに歩いている女性の1人が、エッセイ『ありがちな女じゃない』の著者、レナ・ダナムだ。

 『ありがちな女じゃない』は、27歳で米誌「TIME」の“世界で最も影響力のある100人”に選ばれたレナ・ダナムによる初めてのエッセイ。13年、ドラマ『Girls/ガールズ』で脚本・監督・主演を務め、ゴールデン・グローブ賞(テレビの部)でミュージカル・コメディー部門の作品賞・主演女優賞を受賞した彼女は、日本での知名度はまだ高いとはいえないが、米国では若い世代を代表するクリエイターの1人として注目を集めている。

 そんな華やかな経歴を持つレナのエッセイは、9歳の時「高校卒業までは処女でいる」と誓いを立てたものの、19歳になるまで、その誓いが脅かされるような機会自体がなかったという、地味な話から始まる。大学を卒業しても定職に就かず、何の展望もないまま「成功したい」と野心だけを持て余していた時期の焦燥、太りすぎてマタニティウェアしか着られるものがなかったこと、ダイエットと摂食障害、映画監督としてハリウッドデビューして出会った業界のおじさんたち(レナいわく“若いエキス吸い取りじじい”)に認められたくて消耗したことなど、順風満帆にキャリアを積んでいるように見える彼女の、格好いいとはいえないエピソードが、適度なユーモアと品のなさで痛快に語られている。

 本書が、単なる才能あふれる成功した女性のありがちなエッセイに終わらないのは、自分の失敗や黒歴史、みっともない動揺を、自虐でもなく、「自分の一部」としてカラッと振り返っているところだ。親しい女友達に明かすような語り口で、イケてない初体験を語るレナにつられて、読者も彼女と会話するように、普段は忘れている恥ずかしい行動、恥ずかしい経験を記憶の底から取り出し、ほとんどの記憶は笑い飛ばすことができるだろう。

 基本的にはユーモアたっぷりに、軽快につづられる本書だが、笑い飛ばせない過去については、真剣に振り返る。学生時代、彼女が顔見知りから受けたキャンパス・レイプと、その後遺症について語った「バリー」の章も、その1つだ。

 被害を受けたとき酩酊状態だったレナは、『ミズーラ』でレポートされた被害者と同じように、「自身の経験はレイプと呼ぶほどではない」「たいしたことではない」と自分に言い聞かせ、笑い話として扱おうとしていた。しかし、大人になった彼女は、友人や恋人との会話をきっかけに、その経験でどんなに傷ついていたかを初めて自覚することになる。おそらく米国でも、本章で書かれたことが、レイプかどうかについては意見が分かれるところだろう。それでも、「第三者からどう思われても、自分はその経験で傷ついている」という事実を受け入れることの大切さに気付かされる。

 レナが「この本はそんな私が戦う最前線からお届けする、希望に満ちた緊急メッセージなの」と書くように、『ありがちな女じゃない』は、少女時代から現在に至るまで、人一倍たくさんのものと戦ってきた現代女性の戦記だ。全戦全勝ではない、立ち直れないと思えるほどの経験もオープンにした彼女の言葉の端々から感じられるのは、自慢や自虐ではない。多かれ少なかれ、同じような壁にぶつかる同世代の女性たちに向けた、「何回負けても、そして負けたことを認めても、自分が駄目になるわけではない」というメッセージだ。そのエールは、海を越えて私たちにも届く。日本で生きる女性たちが歩む道も明るくし、勇気づけてくれるだろう。
(保田夏子)

中国人漫画家、コミケ初参戦で「二次創作文化に神道の精神を見た」!?

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孫向文Twitterより
 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。  昨年12月29~31日、毎年恒例の「コミックマーケット」が開催されましたが、僕も初めて参加しました。出品したのは「じゃぽにずむ」という和風のイラスト集です。もともと「ジャポニズム」とは19世紀にヨーロッパで興隆した日本文化の流行のことで、ゴッホやモネなど印象派の画家が浮世絵に影響を受けた絵画を発表しました。僕は中国人ならではの感覚で日本文化を描き、かわいらしさを感じさせるために題名をひらがな表記にしました。「じゃぽにずむ」は開場から3時間ほどで60冊以上が売れ、自分が描いた和風の作品が日本の方々に受け入れられたことを大きな誇りに感じました。  似たようなイベントは中国でも開催されているのですが、実情は大きく異なります。例えば「漫画展覧会」という同人誌即売会は入場料が80~150元(約1,500~2,500円)程度かかるため、誰もが気軽には参加できるものではありません。二次創作やコスプレは認められているものの、創作物の自主制作は法律で禁止されており、検閲を通さないと作者が逮捕される恐れがあります。そのため、漫画展覧会には、オリジナル作はごくわずかしか出展されません。また性表現や政治表現に対する規制も厳しく、会場内には大勢の警察官や警備員が配置され、規制に引っかかった作品はただちに没収されます。その代わり、政府が漫画家に発注した共産党政権の正統性を訴えるプロパガンダ作品が数多く陳列されています。  僕も大学時代、読み終わった日本のアニメ雑誌を漫画展覧会で販売したことがあるのですが、警備員から「わいせつ商品だ」「表紙に女性の胸とお尻ばかり載っている。不健全だ」などと警告され、販売中止の処分を受けました。しかし、雑誌の表紙に掲載されていたのはアニメキャラの水着姿やパンチラ程度のもの。その一方、著作権を無視して日本産のキャラクターを使用したグッズを売り出すサークルや、日本の漫画やアニメを違法アップロードして広告収益を稼ぐ企業ブースが軒を連ねていました。僕はこの時、政府のゆがんだ体制を軽蔑しました。 ■日本の宗教は寛容な精神を持つ  現在ではアジアやヨーロッパ諸国でも行われている同人誌イベントですが、やはり表現の豊富さは日本のコミケの作品が突出しているように感じます。そのため、コミケにはユニークな作品を求める中国人や欧米人が多数訪れます。僕の近著『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)にも書いたのですが、日本に豊かな表現力が芽生えたのは、宗教が大きく関係していると思います。欧米諸国ではキリスト教、中東諸国ではイスラム教、東南アジアでは仏教と、各地域の土着宗教は、その土地の文化に大きな影響を与えます。現在の中国では「中国共産党」が宗教のような影響を及ぼしているのですが、それぞれの宗教には大抵さまざまな戒律が存在し、現在のイスラム教徒によるテロを見ればわかるように、互いが相いれない要因になっています。  一方、日本土着の神道は、もともとは外国渡来の仏教と「神仏習合」と称して融合したり、本来は禁欲主義の僧侶が配偶者を持つことを許可したりと、非常に寛容性が強い宗教です。世界中で信仰されるキリスト教やイスラム教が日本で普及しないのは、これらの宗教の戒律が神道の精神と合わないためだと思います。  日本神話に登場する神々は、飲酒、肉食、性行為など自由に振る舞い、一神教の神のように人間に戒律を授けたり、天罰を与えたりすることはほとんどありません。神話の時代から、日本では自由な表現が認められているのです。しかし、僕は将来に不安を感じています。以前、とあるゲームショーの会場内で、中東系と思わしき外国人男性が「同性愛反対」と書かれたプラカードを掲げ、行列に並ぶ人々に向けて抗議を行っていました。僕は自分の宗教上の理由で外国文化を批判する人物は、その国に滞在する資格はないと思うのですが、諸外国の文化の影響からか、日本の創作物に対しても、徐々に規制が強まってきた印象があります。そして世界中から多くの人々が訪れる2020年の東京五輪開催に向けて、規制を厳しくしようという潮流は、今後さらに強まることが予想されます。  山田太郎前衆議院議員は、毎回コミケが開催されるたびに、表現の自由を訴える街宣活動を行っています。今後、外国人の意見を優先して日本の創作物表現に対する規制強化を提案する政党や代議士が出現するかもしれませんが、そのような意見が浸透することは絶対に防ぐべきです。神道を根本とした表現の自由は、日本の大切な文化です。そのような「日本の宝物」に干渉しようとする人物は、国政に携わる資格がないと僕は思います。 ◆「チャイナめった斬り」過去記事はこちらから
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)、『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

中居正広の『サムガ』最終回でかけられた「SMAP」は、ビクターが用意した特別バージョンだった!

 中居正広がパーソナリティを務めるラジオ番組『中居正広のSome girl’ SMAP』(ニッポン放送)が、2016年12月31日に最終回を迎えた。奇しくも“SMAP解散当日”のオンエアーとなり、オープニングでは「なんで31日だったんだろうねぇ~」と本音を漏らしながらも、「ちょっと、お話ししましょうか?」と切り出した。

 グループのリーダーである中居は「人間の真価を問われる1年だった」などと、解散騒動に言及。決断に至った背景は詳しく語らず、「誰も悪くないんです」と周囲の人を守った上で、「メンバーは、今年1年本当によく頑張りました」「よく踏ん張ったと思います。(中略)最後まで、あの……。しっかりSMAPを務めたと……

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中居正広の『サムガ』最終回でかけられた「SMAP」は、ビクターが用意した特別バージョンだった!

 中居正広がパーソナリティを務めるラジオ番組『中居正広のSome girl’ SMAP』(ニッポン放送)が、2016年12月31日に最終回を迎えた。奇しくも“SMAP解散当日”のオンエアーとなり、オープニングでは「なんで31日だったんだろうねぇ~」と本音を漏らしながらも、「ちょっと、お話ししましょうか?」と切り出した。

 グループのリーダーである中居は「人間の真価を問われる1年だった」などと、解散騒動に言及。決断に至った背景は詳しく語らず、「誰も悪くないんです」と周囲の人を守った上で、「メンバーは、今年1年本当によく頑張りました」「よく踏ん張ったと思います。(中略)最後まで、あの……。しっかりSMAPを務めたと……

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「あっという間に死ぬ」ローラ、米『バイオハザード』出演シーンが「ショボい」と失笑の渦

 12月23日、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の映画『バイオハザード:ザ・ファイナル』が公開された。今作はシリーズ完結編であると同時に、モデルでタレントのローラが出演していることでも話題になっている。だが、映画館を訪れた観客からは、ローラの扱いの“ショボさ”に失笑が漏れているようだ。

「公開前は“ついにハリウッドデビュー”などと騒がれたり、都内で行われたワールドプレミアでは主演のミラと一緒に登場したりと、いかにも重要な役どころを演じたかのように喧伝されていました。しかし、フタを開けてみれば、ただのチョイ役ですよ。出演時間は、トータルでも5分程度」(映画ライター)

 ローラが演じたのは、ミラ演じる主人公・アリスと共に戦う女戦士コバルト。役のために肉体改造に取り組んだことが報じられたほか、彼女のインスタグラムでは、南アフリカでの撮影の様子も公開されていた。

「ローラとミラの絡みは1回、セリフも一言だけ。あっという間に死んじゃうので、そりゃ登場時間が短いのも当たり前ですよね(笑)。しかし、『ローラは実はチョイ役なのでは?』というのは、10月に予告編の映像が公開されたときからささやかれていました。重要な役どころといいながら、ローラが予告編に登場したのはほんの一瞬でしたから」(同)

 そんなローラには、ネット上で「気の毒」といった同情の声がないわけではない。

「しかし、よく考えてみてください。世界的に無名で、女優としてのキャリアもないローラに、世界的な大ヒットシリーズ映画の主要キャストのオファーが届くわけがないじゃないですか。“ハリウッドデビュー”の箔をつけたかったローラ側から、製作側に“チョイ役でもいいから”と声をかけたと考えるのが妥当です。製作側としても、バイオハザードシリーズは、興行収入が本国アメリカより日本の方が上回っているので、適当な役でも与えて、とりあえず出しとけ、ということになったのでは。以前にも、同シリーズに歌手の中島美嘉がやはりチョイ役で出演したことがありますが、それと同じでしょう」(同)

 なんとも拍子抜けのハリウッドデビューとなったローラ。今後、本格的に女優業に進出していくのだろうか。

「あっという間に死ぬ」ローラ、米『バイオハザード』出演シーンが「ショボい」と失笑の渦

 12月23日、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の映画『バイオハザード:ザ・ファイナル』が公開された。今作はシリーズ完結編であると同時に、モデルでタレントのローラが出演していることでも話題になっている。だが、映画館を訪れた観客からは、ローラの扱いの“ショボさ”に失笑が漏れているようだ。

「公開前は“ついにハリウッドデビュー”などと騒がれたり、都内で行われたワールドプレミアでは主演のミラと一緒に登場したりと、いかにも重要な役どころを演じたかのように喧伝されていました。しかし、フタを開けてみれば、ただのチョイ役ですよ。出演時間は、トータルでも5分程度」(映画ライター)

 ローラが演じたのは、ミラ演じる主人公・アリスと共に戦う女戦士コバルト。役のために肉体改造に取り組んだことが報じられたほか、彼女のインスタグラムでは、南アフリカでの撮影の様子も公開されていた。

「ローラとミラの絡みは1回、セリフも一言だけ。あっという間に死んじゃうので、そりゃ登場時間が短いのも当たり前ですよね(笑)。しかし、『ローラは実はチョイ役なのでは?』というのは、10月に予告編の映像が公開されたときからささやかれていました。重要な役どころといいながら、ローラが予告編に登場したのはほんの一瞬でしたから」(同)

 そんなローラには、ネット上で「気の毒」といった同情の声がないわけではない。

「しかし、よく考えてみてください。世界的に無名で、女優としてのキャリアもないローラに、世界的な大ヒットシリーズ映画の主要キャストのオファーが届くわけがないじゃないですか。“ハリウッドデビュー”の箔をつけたかったローラ側から、製作側に“チョイ役でもいいから”と声をかけたと考えるのが妥当です。製作側としても、バイオハザードシリーズは、興行収入が本国アメリカより日本の方が上回っているので、適当な役でも与えて、とりあえず出しとけ、ということになったのでは。以前にも、同シリーズに歌手の中島美嘉がやはりチョイ役で出演したことがありますが、それと同じでしょう」(同)

 なんとも拍子抜けのハリウッドデビューとなったローラ。今後、本格的に女優業に進出していくのだろうか。

ドラマ『銀と金』に出てくるギャンブルの合法と違法の境目とは?

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

<今回のドラマ>
『銀と金』(テレビ東京系/土曜日深夜0時20分~)

■お菓子や食事など、その場ですぐに消費できる物を賭けるのは合法

 1月7日より放送される、福本伸行の漫画が原作のドラマ『銀と金』。うだつの上がらない青年・森田鉄雄(池松壮亮)が、裏社会を仕切る大物フィクサー平井銀二(リリー・フランキー)と出会い、欲望渦巻く裏社会へ足を踏み入れていく様を描いたサスペンスだが、競馬、ポーカー、麻雀など、各種ギャンブルが登場する。先月、「カジノ法案」が可決、成立し、数年後には日本にもカジノが誕生する見通しとなったが、日本におけるギャンブルの合法と違法の違いは何か、アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いた。

 まず、日本においては原則としてギャンブルは違法だという。

「日本の刑法では、『賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する』(刑法185条本文)と規定されており、賭博、つまりギャンブルをした人は賭博罪で罰せられることになっています」

 一方で、「一時の娯楽に供する物、すなわちお菓子や食事など、その場ですぐに消費できる物を賭けた場合は、例外的にギャンブルが合法とされる」と岩沙弁護士はいう。例えば、バラエティー番組『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の人気コーナー「ゴチになります!」のように、仲間内で、負けたら食事代をおごるというゲームは違法ではないのだ。また競馬、競艇、宝くじ等の公営ギャンブルやパチンコは合法である。

「パチンコは通常、パチンコ店とは別の景品交換所で景品と現金を交換できるため、賭博罪にあたるのではないか、との見解もあります。もっとも、政府は、平成28 年11月18日に衆議院に送付した答弁書において、パチンコ店は、風営法に基づき必要な規制が行われており、その範囲内の営業については、刑法の賭博罪に該当しないとの見解を示しました。

 また、合法とされるギャンブルとして、特別に法律で認められている場合があります。例えば、競馬は競馬法、競艇はモーターボート競走法、宝くじは当せん金付証票法で認められています」

 では、賭け麻雀やポーカーはどうかというと、これらの例外に当たらないギャンブルなので、原則通り違法となる。ただし、賭け麻雀については、全国的に広く行われていることもあって、賭ける金額が多くなければ、警察や検察はあえて逮捕や起訴をしないのが現状だそうだ。

 しかしながら、「これは単に見逃してもらっているだけであって、違法であることに変わりはありません」ということなので、調子に乗って賭け金をつり上げていくと、逮捕される可能性もある。違法なギャンブルはドラマの中での疑似体験にとどめておくのが無難だろう。

アディーレ法律事務所

ドラマ『銀と金』に出てくるギャンブルの合法と違法の境目とは?

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

<今回のドラマ>
『銀と金』(テレビ東京系/土曜日深夜0時20分~)

■お菓子や食事など、その場ですぐに消費できる物を賭けるのは合法

 1月7日より放送される、福本伸行の漫画が原作のドラマ『銀と金』。うだつの上がらない青年・森田鉄雄(池松壮亮)が、裏社会を仕切る大物フィクサー平井銀二(リリー・フランキー)と出会い、欲望渦巻く裏社会へ足を踏み入れていく様を描いたサスペンスだが、競馬、ポーカー、麻雀など、各種ギャンブルが登場する。先月、「カジノ法案」が可決、成立し、数年後には日本にもカジノが誕生する見通しとなったが、日本におけるギャンブルの合法と違法の違いは何か、アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いた。

 まず、日本においては原則としてギャンブルは違法だという。

「日本の刑法では、『賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する』(刑法185条本文)と規定されており、賭博、つまりギャンブルをした人は賭博罪で罰せられることになっています」

 一方で、「一時の娯楽に供する物、すなわちお菓子や食事など、その場ですぐに消費できる物を賭けた場合は、例外的にギャンブルが合法とされる」と岩沙弁護士はいう。例えば、バラエティー番組『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の人気コーナー「ゴチになります!」のように、仲間内で、負けたら食事代をおごるというゲームは違法ではないのだ。また競馬、競艇、宝くじ等の公営ギャンブルやパチンコは合法である。

「パチンコは通常、パチンコ店とは別の景品交換所で景品と現金を交換できるため、賭博罪にあたるのではないか、との見解もあります。もっとも、政府は、平成28 年11月18日に衆議院に送付した答弁書において、パチンコ店は、風営法に基づき必要な規制が行われており、その範囲内の営業については、刑法の賭博罪に該当しないとの見解を示しました。

 また、合法とされるギャンブルとして、特別に法律で認められている場合があります。例えば、競馬は競馬法、競艇はモーターボート競走法、宝くじは当せん金付証票法で認められています」

 では、賭け麻雀やポーカーはどうかというと、これらの例外に当たらないギャンブルなので、原則通り違法となる。ただし、賭け麻雀については、全国的に広く行われていることもあって、賭ける金額が多くなければ、警察や検察はあえて逮捕や起訴をしないのが現状だそうだ。

 しかしながら、「これは単に見逃してもらっているだけであって、違法であることに変わりはありません」ということなので、調子に乗って賭け金をつり上げていくと、逮捕される可能性もある。違法なギャンブルはドラマの中での疑似体験にとどめておくのが無難だろう。

アディーレ法律事務所

セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ……多摩川の河原で「新春・七草クエスト」

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春の七草を多摩川の河原で探してみました。
1月7日に、1年の無病息災を願って食べる七草粥。春の七草を摘んで、お粥に入れて食べるというこの風習は、平安時代から行われていたほど古く、『御伽草子』にも説話が語られているそうだ。  春の七草といえば、最近はスーパーなどでもセットになって売られているが、やっぱり自分で探してこその縁起物だろう。そこで、野草に詳しい友人が1月3日に多摩川の河原で七草集めをするというので、それに参加させてもらうことにした。
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10名ほどが集まった春の七草摘みの会。この7種類を探します。
 当日はその友人に教わることで、苦労することなく七草をゲットするはずだったのだが、なんと主催者がインフルエンザで欠席。急遽、引率者なしの遠足に。無病息災を願うための七草粥だが、その七草を集めるためには健康でなければならないのだなと、新年早々に人生の摂理を学んだ気分である。  とりあえず、集合場所に集まった人達と河原へと移動し、七草を探す冒険がスタート。7つの草を探すなんて、なんだかドラゴンボール集めみたいだ。
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探そうぜ、七草。
 ここで春の七草について説明すると、小学生の頃に誰もが覚えたあの7種の名前は、現在は正式名称ではないものもある。 芹:セリ=これはそのままセリ。野菜としても販売されている。 薺:ナズナ=これもそのままナズナ。通称ペンペン草。 御形:ゴギョウ(オギョウ)=ハハコグサのこと。咳や喉の痛みに良いとされ、草餅に使われることもあったとか。 繁縷:ハコベラ=ハコベのこと。ウシハコベ、コハコベなどの種類があり、七草はコハコベとされている。 仏座:ホトケノザ=タビラコ(コオニタビラコ)のことで、ホトケノザという名前の植物もあるが、これは別種となる。 菘:スズナ=カブのこと。野生のカブって生えているんですかね。 蘿蔔:スズシロ=ダイコンのこと。これも野草じゃなくて野菜だよね。  どこでも生えている野草から、どこでも売っている野菜までさまざまだが、さて何種類が多摩川の河原で見つかるのだろうか?
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まずは、河原の石がゴロゴロしている場所を探してみます。
 一番簡単に見つかったのは、ペンペン草ことナズナ。小さくて白い花と、特徴的なペンペンしたくなる種が付いていたので、これは楽勝で見つかった。  観賞用ではなく食べるためなので、できれば花の咲いてない若葉がいいのだが、葉っぱだけだとなんの草なのかよくわからないのが七草集めの難しいところ。特にこの時期は「ロゼット状」といって、地面にビタっと葉っぱが広がっているだけで、植物の種類を同定するための情報が圧倒的に足りないのだ。
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花と種があればわかりやすいナズナ。
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ロゼット状の葉っぱだけだと、ナズナなんだかタンポポなんだか判断がつかない。
 続いて見つけたのは、ハコベラことハコベ。きっとコハコベ。小学生の頃に生き物係(バンドではない)としてニワトリやウサギのために集めていた草だが、今日は私のご飯となるのだ。
hakobe
ハコベラの「ラ」は、歴史上どのタイミングでなくなったのだろう?
 続いては、なかなか見つからないのでは、との前評判だったゴギョウことハハコグサ。黄色いポンポンみたいな花が咲いていれば探しやすいのだが、この時期にはそれがないのだ。  同定のポイントは、猫の舌のような形と、猫の耳のような産毛だニャー。這いつくばって探したところ、似たような草がたくさんあるなかで、きっとこれだろうというものを発見。素人による同定なので確実ではないが(これを「素人同定」と呼ぶ)、これがゴギョウということでいいだろう。
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中央のモサモサしているのがゴギョウのはず。家で育てて答え合わせをするというのも楽しいかもしれない。このモサモサが気持ち良いね。
 続いてはスズナ、スズシロ。カブとダイコンである。これは野草ではなく野菜なので、河原よりも八百屋で探すべき植物だろう。誰だよ、これを七草に入れたのは。  だが、スズナは大丈夫。野生のダイコンなんて生えてないよーと思ってしまいがちだが、ここ多摩川の河原でいえば、これが結構生えているんだな。
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河原に生えるダイコン。
 栽培されているものの種が飛んで、海辺で野生化したものがハマダイコン。となると、これはカワラダイコンと呼ぶべきだろうか。
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引っこ抜いてみれば、ほらダイコンだ。
 立派な根っこ。土の柔らかい場所なら、もっと大きなダイコンも生えている。  このようにダイコンならいくらでも生えているのだが、野生のカブは見たことがないと参加者全員が口をそろえる。どうせ生えていないからと、自宅の畑からカブを持参してきた人も。  ダイコンの葉っぱはギザギザしているが、カブの葉っぱは丸っこいのか。
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葉っぱまで美味しそうなカブ。
 こういう葉っぱが生えてないかなーと探してみると、さっきのダイコンよりも明らかにカブ寄りの葉っぱを発見。  もしかして、これは幻の野生カブなのでは!
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葉っぱの形がカブっぽい!
 ドキドキしながら抜いてみると……これは……ダイコン!  葉っぱが丸いので期待したけれど、ダイコンとコマツナあたりの交雑種だったかな。でもまあ細長いカブの品種もあるので、カブということにしておこうか。「イワシの頭も信心から」というが、「細めのスズナも信心から」だ。
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スリムなカブだと信じよう。
 続いて探すのはセリ。これは休耕田のような湿地に生える食草なので、水の溜まった場所の回りを探してみるものの、これがなかなか見つからない。このあたりはセリの好む土壌とはちょっと違うかな。  セリの代わりにやたらと生えているのが、外来種のオランダガラシ。いわゆるクレソンである。  春の七草が選出された時代から何百年もたっているんだから、もうクレソンに世代交代してもいいような気がする。いや、でもやっぱりセリを見つけたい。多摩川のセリ、タマガワのセリ!  さんざん探してようやく見つけたー! と思ったけどちょっと違うか。
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うーん、似ているけれど違うかな。
 ダメだ、セリっぽい草なら生えているけれど、これぞセリというやつが見つからない。セリはドクゼリというその名の通り毒草があるので素人同定が危険なターゲット。あせりは禁物である。……セリだけに。  川沿いにだいぶ歩き回り、こりゃもうダメかなーとあきらめかけたその時、草むらの中で探していたアイツを発見!  八百屋で売っているセリとはちょっと違うが、これこそが野生のセリの姿。葉っぱをちぎって嗅いでみれば、まさにセリの香り。念のため根っこを確認して芋状になっていないことを確認(芋状ならドクゼリ)。  どうにかセリを狩って、新年早々競り勝ったということで、こりゃ縁起がいいわい。
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そっと一株だけいただきました。
 これで、残すはホトケノザだけである。野草の図鑑に載っているホトケノザならいくらでも見つかるのだが、春の七草でいうホトケノザはタビラコ(コオニタビラコ)というタンポポに似た草のこと。これが全然見つからない。  黄色い小さな花が咲いていれば見つけることもできるだろうが、図鑑の写真のように都合よく咲いていないのが野草というもの。田んぼの畔などに生える草らしいので、探している場所が悪いのだが。
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探しているのはこのホトケノザではない。
 参加者の話だと、なんでもタビラコは全国的に数が減っているそうで、場当たり的に探すのは難しいらしい。今日のところは仏様に適当な草に座っていただき、それをホトケノザとしておこう。
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これはカラシナかな。いやナズナなのか。仏様、これでお許しください。
 そんなこんなで、見つけられた七草は以下の通り。 ○芹:セリ ○薺:ナズナ ○御形:ゴギョウ(オギョウ) ○繁縷:ハコベラ ×仏座:ホトケノザ △菘:スズナ ○蘿蔔  あのカブっぽい葉っぱのダイコンをスズナと呼んでいいのか微妙だが、その辺りは自己満足の世界なので良しとすれば、7種類中6種なのでなかなかの好成績ではなかろうか。まあ7種類そろえても願いをかなえてくれる龍が出てくるわけでもないしね。  七草以外で見つけた食草は、ヨモギ、クレソン、タネツケバナ、ノビル、タンポポ、カラシナなど多数。正調の七草にこだわらなければ、その辺の公園でも7種類の食べられる野草は見つけられると思うので、「世界に一組だけの七草」を探すくらいの気持ちで楽しむのがいいんじゃないですかね。八宝菜や五目そばだって、何が入っていてもいいわけだし、そもそも地域によって生えている草なんて違う訳だし。でもまあ、やっぱりホトケノザも見つけたかったなー。  とにもかくにも天気の良い日に野草を探すのは、とても気持ちよかった。年末年始の休みでなまった体を動かし、暴飲暴食をした胃を休ませるのには最適の風習だなと実感した次第である。
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多摩川で集めた七草の粥。ありがたや。
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個人的に好きな野草はカラシナです。
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自家製アンチョビとカラシナのパスタ。大変おいしゅうございました。
(取材・文=玉置豊)

セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ……多摩川の河原で「新春・七草クエスト」

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春の七草を多摩川の河原で探してみました。
1月7日に、1年の無病息災を願って食べる七草粥。春の七草を摘んで、お粥に入れて食べるというこの風習は、平安時代から行われていたほど古く、『御伽草子』にも説話が語られているそうだ。  春の七草といえば、最近はスーパーなどでもセットになって売られているが、やっぱり自分で探してこその縁起物だろう。そこで、野草に詳しい友人が1月3日に多摩川の河原で七草集めをするというので、それに参加させてもらうことにした。
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10名ほどが集まった春の七草摘みの会。この7種類を探します。
 当日はその友人に教わることで、苦労することなく七草をゲットするはずだったのだが、なんと主催者がインフルエンザで欠席。急遽、引率者なしの遠足に。無病息災を願うための七草粥だが、その七草を集めるためには健康でなければならないのだなと、新年早々に人生の摂理を学んだ気分である。  とりあえず、集合場所に集まった人達と河原へと移動し、七草を探す冒険がスタート。7つの草を探すなんて、なんだかドラゴンボール集めみたいだ。
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探そうぜ、七草。
 ここで春の七草について説明すると、小学生の頃に誰もが覚えたあの7種の名前は、現在は正式名称ではないものもある。 芹:セリ=これはそのままセリ。野菜としても販売されている。 薺:ナズナ=これもそのままナズナ。通称ペンペン草。 御形:ゴギョウ(オギョウ)=ハハコグサのこと。咳や喉の痛みに良いとされ、草餅に使われることもあったとか。 繁縷:ハコベラ=ハコベのこと。ウシハコベ、コハコベなどの種類があり、七草はコハコベとされている。 仏座:ホトケノザ=タビラコ(コオニタビラコ)のことで、ホトケノザという名前の植物もあるが、これは別種となる。 菘:スズナ=カブのこと。野生のカブって生えているんですかね。 蘿蔔:スズシロ=ダイコンのこと。これも野草じゃなくて野菜だよね。  どこでも生えている野草から、どこでも売っている野菜までさまざまだが、さて何種類が多摩川の河原で見つかるのだろうか?
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まずは、河原の石がゴロゴロしている場所を探してみます。
 一番簡単に見つかったのは、ペンペン草ことナズナ。小さくて白い花と、特徴的なペンペンしたくなる種が付いていたので、これは楽勝で見つかった。  観賞用ではなく食べるためなので、できれば花の咲いてない若葉がいいのだが、葉っぱだけだとなんの草なのかよくわからないのが七草集めの難しいところ。特にこの時期は「ロゼット状」といって、地面にビタっと葉っぱが広がっているだけで、植物の種類を同定するための情報が圧倒的に足りないのだ。
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花と種があればわかりやすいナズナ。
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ロゼット状の葉っぱだけだと、ナズナなんだかタンポポなんだか判断がつかない。
 続いて見つけたのは、ハコベラことハコベ。きっとコハコベ。小学生の頃に生き物係(バンドではない)としてニワトリやウサギのために集めていた草だが、今日は私のご飯となるのだ。
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ハコベラの「ラ」は、歴史上どのタイミングでなくなったのだろう?
 続いては、なかなか見つからないのでは、との前評判だったゴギョウことハハコグサ。黄色いポンポンみたいな花が咲いていれば探しやすいのだが、この時期にはそれがないのだ。  同定のポイントは、猫の舌のような形と、猫の耳のような産毛だニャー。這いつくばって探したところ、似たような草がたくさんあるなかで、きっとこれだろうというものを発見。素人による同定なので確実ではないが(これを「素人同定」と呼ぶ)、これがゴギョウということでいいだろう。
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中央のモサモサしているのがゴギョウのはず。家で育てて答え合わせをするというのも楽しいかもしれない。このモサモサが気持ち良いね。
 続いてはスズナ、スズシロ。カブとダイコンである。これは野草ではなく野菜なので、河原よりも八百屋で探すべき植物だろう。誰だよ、これを七草に入れたのは。  だが、スズナは大丈夫。野生のダイコンなんて生えてないよーと思ってしまいがちだが、ここ多摩川の河原でいえば、これが結構生えているんだな。
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河原に生えるダイコン。
 栽培されているものの種が飛んで、海辺で野生化したものがハマダイコン。となると、これはカワラダイコンと呼ぶべきだろうか。
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引っこ抜いてみれば、ほらダイコンだ。
 立派な根っこ。土の柔らかい場所なら、もっと大きなダイコンも生えている。  このようにダイコンならいくらでも生えているのだが、野生のカブは見たことがないと参加者全員が口をそろえる。どうせ生えていないからと、自宅の畑からカブを持参してきた人も。  ダイコンの葉っぱはギザギザしているが、カブの葉っぱは丸っこいのか。
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葉っぱまで美味しそうなカブ。
 こういう葉っぱが生えてないかなーと探してみると、さっきのダイコンよりも明らかにカブ寄りの葉っぱを発見。  もしかして、これは幻の野生カブなのでは!
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葉っぱの形がカブっぽい!
 ドキドキしながら抜いてみると……これは……ダイコン!  葉っぱが丸いので期待したけれど、ダイコンとコマツナあたりの交雑種だったかな。でもまあ細長いカブの品種もあるので、カブということにしておこうか。「イワシの頭も信心から」というが、「細めのスズナも信心から」だ。
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スリムなカブだと信じよう。
 続いて探すのはセリ。これは休耕田のような湿地に生える食草なので、水の溜まった場所の回りを探してみるものの、これがなかなか見つからない。このあたりはセリの好む土壌とはちょっと違うかな。  セリの代わりにやたらと生えているのが、外来種のオランダガラシ。いわゆるクレソンである。  春の七草が選出された時代から何百年もたっているんだから、もうクレソンに世代交代してもいいような気がする。いや、でもやっぱりセリを見つけたい。多摩川のセリ、タマガワのセリ!  さんざん探してようやく見つけたー! と思ったけどちょっと違うか。
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うーん、似ているけれど違うかな。
 ダメだ、セリっぽい草なら生えているけれど、これぞセリというやつが見つからない。セリはドクゼリというその名の通り毒草があるので素人同定が危険なターゲット。あせりは禁物である。……セリだけに。  川沿いにだいぶ歩き回り、こりゃもうダメかなーとあきらめかけたその時、草むらの中で探していたアイツを発見!  八百屋で売っているセリとはちょっと違うが、これこそが野生のセリの姿。葉っぱをちぎって嗅いでみれば、まさにセリの香り。念のため根っこを確認して芋状になっていないことを確認(芋状ならドクゼリ)。  どうにかセリを狩って、新年早々競り勝ったということで、こりゃ縁起がいいわい。
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そっと一株だけいただきました。
 これで、残すはホトケノザだけである。野草の図鑑に載っているホトケノザならいくらでも見つかるのだが、春の七草でいうホトケノザはタビラコ(コオニタビラコ)というタンポポに似た草のこと。これが全然見つからない。  黄色い小さな花が咲いていれば見つけることもできるだろうが、図鑑の写真のように都合よく咲いていないのが野草というもの。田んぼの畔などに生える草らしいので、探している場所が悪いのだが。
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探しているのはこのホトケノザではない。
 参加者の話だと、なんでもタビラコは全国的に数が減っているそうで、場当たり的に探すのは難しいらしい。今日のところは仏様に適当な草に座っていただき、それをホトケノザとしておこう。
218
これはカラシナかな。いやナズナなのか。仏様、これでお許しください。
 そんなこんなで、見つけられた七草は以下の通り。 ○芹:セリ ○薺:ナズナ ○御形:ゴギョウ(オギョウ) ○繁縷:ハコベラ ×仏座:ホトケノザ △菘:スズナ ○蘿蔔  あのカブっぽい葉っぱのダイコンをスズナと呼んでいいのか微妙だが、その辺りは自己満足の世界なので良しとすれば、7種類中6種なのでなかなかの好成績ではなかろうか。まあ7種類そろえても願いをかなえてくれる龍が出てくるわけでもないしね。  七草以外で見つけた食草は、ヨモギ、クレソン、タネツケバナ、ノビル、タンポポ、カラシナなど多数。正調の七草にこだわらなければ、その辺の公園でも7種類の食べられる野草は見つけられると思うので、「世界に一組だけの七草」を探すくらいの気持ちで楽しむのがいいんじゃないですかね。八宝菜や五目そばだって、何が入っていてもいいわけだし、そもそも地域によって生えている草なんて違う訳だし。でもまあ、やっぱりホトケノザも見つけたかったなー。  とにもかくにも天気の良い日に野草を探すのは、とても気持ちよかった。年末年始の休みでなまった体を動かし、暴飲暴食をした胃を休ませるのには最適の風習だなと実感した次第である。
446
多摩川で集めた七草の粥。ありがたや。
442
個人的に好きな野草はカラシナです。
IMGP3612
自家製アンチョビとカラシナのパスタ。大変おいしゅうございました。
(取材・文=玉置豊)