ラッパーで音楽プロデューサー、ファッションデザイナー、実業家とあらゆる分野で大活躍のカニエ・ウェスト。今年のバレンタインデーにアルバム『The Life of Pablo』をリリースし、8月末から同アルバムを引っさげた『Saint Pablo Tour』をスタートした。ツアーはかなりのハードスケジュールだったが、カニエは順調にステージをこなし、その合間にファッション関連の仕事も行うなど、精力的に活動していた。しかし、最近、カニエの繊細な精神が少しずつ崩壊。とうとう錯乱してしまったのである。
10月22日にカリフォルニア州オークランドで行ったコンサートでは、突如、「フランク・オーシャンのアルバムがノミネートされなかったら、オレはグラミー賞には行かない」「アーティストとして、我々は共に闘わなくてはならないのだ!」と宣言。フランクは今年大ヒットしたアルバム『blonde』をグラミー賞の規定期日までに提出しなかったため、ノミネートされていない。しかし、フランクは黒人の作品がグラミーの年間最優秀賞に選ばれにくいことに対する抗議の意味を込めて、あえて提出しなかったと説明。それなのに「ノミネートしろ」というのは暴言にほかならず、カニエの怒りが論点がずれていると、世間では失笑が漏れていた。
今月3日には、ロサンゼルスで開催されたコンサートを45分で終了。スタッフに会場の照明を落とさせ、「オレの声はかすれてしまっている」「コンサートを最後までやることはできない。オレがパフォーマンスできないのに、きみたちにショーを見せるなんてことはできない」と説明したのだが、観客はブーイングをし、カニエコールが巻き起こった。しかしカニエは「すまない。みんな愛している」「みんなにはチケットの払い戻しをするよ。次はちゃんとやるから」と気弱に言い、ステージを去ってしまった。
そして、17日。カニエはカリフォルニア州サンノゼで行ったコンサートにて、今回の米大統領選は投票しなかったと明かした上で、「もし投票したならドナルド・トランプ」と激白。続けて「黒人たちよ、人種差別ばかりにムキになるのは、もうやめよう」「オレたちは、人種差別の国に住んでいるのだから。それがフ○ックな現実なんだ」と言い放ち、「でも、オレは女性の権利向上や同性愛者の結婚は支持する」と発言。観客を大いに混乱させた。
19日、カリフォルニア州サクラメントでのコンサートでは、1時間以上遅刻した上、今年の『MTV ビデオ・ミュージックビデオ・アワード』で、ビヨンセが「最優秀ビデオ賞を与えてくれなければパフォーマンスしない」と、主催者のであるMTVと交渉していたことを聞いたと言いだし、「MTV、フ○ック・ユー!」「ビヨンセやテイラー・スウィフトは素晴らしい。オレたちはみんな素晴らしい。みんな平等」「でも勝つために自分を見失い、駆け引きしすぎる」「勝つことなんてフ○ック! クールに見えることなんてフ○ック! クールでいることなんてフ○ック!」とまくし立てた。
そして、「オレは自分の命の危険を顧みず、また自分の成功、自分のキャリアを危険にさらしながらも、真実を伝えるためにここに送られてきた」と言い、親友だったビヨンセの夫、ジェイ・Zに向かって「電話くれよ、ブロウ(兄弟)」「なんで電話かけてきてくんないんだよ。お前はすごいモノ、持ってるんだろ? オレの頭に送るのはやめろよ、電話してくれよ。男らしくオレと話をしてくれ」と、意味不明なことを懇願。
その後、再びフランク・オーシャンの名前を出し、フランクの曲を流さない大手ラジオ局を批判。「ラジオなんて、フ○ック・ユーだ!」と盛大にののしった。また、大手ラジオ局が、売れっ子プロデューサーのDJキャレドと歌手ドレイクのコラボ曲「For Free」ばかり流すと主張。これは「キャレドが仕組んだ」陰謀だとし、「キャレド、おまえはマイアミ出身のヒットメーカーだろ? オレの頭に送り込んでくれるなよ。オレはただラジオの仕組みについて会話したいだけなんだ。キャレド、オマエは本物のニガーだ。キャレド、オマエは真のニガーだ。鍵を握るのはオマエだ」と発言。被害妄想的な電波な発言が次々と飛び出し、観客を大いに混乱させた。
このコンサートから2日後の21日。カニエは『Saint Pablo Tour』の残りの日程を全てキャンセルし、「チケット代はすべて払い戻す」とした。
米誌「People」は、消息筋の「カニエは力尽きた状態」「ツアーの合間に、自分のブランドのデザインをするなど、昼夜休むことなく働き詰めだった」「ワーカホリックのカニエだが、さすがにダウンしてしまった」という話を紹介。
そして、この日の夕方、米大手ゴシップ芸能サイト「TMZ」が、カニエが精神鑑定を受けるためUCLAメディカル・センターに措置入院させられたと報道したのである。
「TMZ」によると、カニエは21日の午後、フィジカルコンディションを見てもらっているトレーナーの家で、担当医から極度の睡眠不足についての診察を受けていたとのこと。その際、精神的に不安定となり、錯乱状態に陥ったため、911を要請。医師は「患者の名前はジム・ジョーンズ」と仮名を使い、「39歳、172cm、79キロ、睡眠不足と脱水のため、一過性の精神異常を起こしている」と伝えたようだ。
医師はまた、トレーナーが所有するジムで、カニエがスタッフに対して暴行を加えようとしたともいい、「5150」措置を取ることにしたそう。「5150」はカリフォルニア州警察が使っている無線コードの1つで、精神が錯乱し、自分や他人を傷つける恐れがある危険人物などを指すもの。「5150」措置とは、その危険人物を少なくとも72時間の厳戒体制のもと、精神科病棟に入院させ、精神鑑定を行うことである。カニエは救急隊員が到着した頃には落ち着いていたというが、病院に行くことに抵抗したため、手錠をかけられ、救急搬送されたとも報じられた。
複数の米大手メディアは、今回の精神崩壊のきっかけは、10月3日にパリで最愛の妻、キム・カーダシアンが被害に遭った拳銃強盗事件だとしている。そのキムは、カニエの錯乱騒動の最中、ニューヨークに滞在。拳銃強盗事件後初となるチャリティーイベントに出席するために、ロサンゼルスから離れていたのだ。しかし、カニエが措置入院させられたことを知り、すぐカニエの元に戻り、ずっと付き添っているそうだ。
カニエは残りのツアーをキャンセルしたことで3000万ドル(約33億円)のコンサート収入を得られなくなったほか、会場などへのキャンセル料や違約金を支払わなければならなくなり、かなりの損害を被ったと見られている。しかし「TMZ」によると、カニエはコンサートを行うにあたり、保険に加入しており、もし今回の「5150」措置で正式に「静養が必要な精神病」だと診断された場合、キャンセル料や違約金、カニエが得られるはずだったコンサート収入などが保険金で賄われる可能性が高いという。
カニエはコンサートで「頭に送り込むな」と発言をしていたことから、幻聴、幻覚の症状が出ているのではないかと心配する声も上がっている。しばらく休養することになるのか、はたまたすぐに復活するのか。ファンは心配しながら見守っている。




