『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』で開ける、パンドラの匣

 当連載は「独り寝のお作法」というタイトルではじめたものの、早々に何でもアリ状態になり、セックスについてセックスカルチャーについてアレコレ書いてきました(何度かお休みしましたが)。勢いでわーっと書き、掲載されてから「あわわわ、炎上したらどうしよう」と焦ったケースもちょいちょいあります。はい、小心者なんです。私はバイブレーターについては人より多少の知識はあるにしても、セックスを語る資格はないように思えてくるのです。でも、セックスについて語る資格がある人って、そもそもどういう人なんでしょう?

 身体の面から語るだけでは不十分だし、経験人数が多いからといってそれはあくまでも個人の体験でしかなく、AVの世界は一般の人のセックスと相関性がないとはいいませんが、必ずしもそれを映す鏡ではありません。人の性行動は社会と深く関わっているうえに、一刻もとどまることなく変わりつづけていますから、長きにわたって俯瞰して総合的に語れるとなると、ごくごく限られた人しかいません。

 こう書くと、どんどん自分の首が締められていきますね。その域に達した人以外はセックスを語るなと言いたいわけではないのです。個人的な見解に社会が凝縮されていることも多々ありますし。というエクスキューズを自分で用意して、私は今後も惑いつつ考えつつ、トライ&エラー上等!という気持ちで書きつづけるつもりですが、ときおり人生の先輩が俯瞰してくれたセックス論を読み、足元を踏み固めていく必要があります。発売直後から話題沸騰の『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(湯山玲子、二村ヒトシ著、幻冬舎)は私にとってそんな1冊になりそうです。

 読んでいると、自分が書いた記事が思い起こされ、「あのとき私はこういうことをいいたかったのか」「あの問題にはこういうアプローチがあったのか」と気づかされることが多く、目からウロコがバシバシ落ちました。それは、セックスで悩みがある人、恋愛でつまづきがちな人にとっても同様でしょう。自分の“うまくいかなさ”の原因に気づき、QOS(クオリティ・オブ・セックス)を上げるヒントに満ちています。

◎女性のオナニータブーはどうなった?

 今回は、本書の内容で私が膝を打った部分、印象に残った部分を、過去の拙記事を掘り返しながらお伝えいたします。私個人の備忘録のような内容になってしまったら、ごめんなさい。

●男たちからのONN勘違い質問に、この場を借りてハッキリお答えします!
●バイブフォビアを公言する男って、自分の無知と偏見が恥ずかしくないの?

 本書では「セックスは愛する男の人の手によって欲望を教えてもらうもの、から、女にも性欲があって当たり前という認識に変わっているので、自分で処理して何が悪い? というマスターベイション・タブーがなくなって、これまたBLなどの二次元に、リビドーを多く取られてしまっている」と書かれる一方、で「女性のマスターベイション・タブーは男性の思惑が大きい」とも論じられています。

 女性自身のマスターベイション・タブーはなくなったかのように見えて、フローリングの隙間に入り込んだ埃のようにまだまだ根強く残っていて、完全に払拭されるのはむずかしいように見えます。隙間に埃を押し込んでいるのは、おっしゃるとおり「男性の思惑」です。「オナニーする女性はさみしいから」「バイブを使う女性は、ほんとは男根がほしいのにそれが叶えられない気の毒な女」というストーリーの押し付けには、もううんざり。最近の掃除機は高性能なブラシと吸引力とで隙間からも埃を掻きだしてくれるそうですが、そうやってパワフルにタブーを払拭する何かがあるとすれば、それは女性の意識の変化にほかなりません。オナニーする女性を貶めながら、女性のオナニーをおかずにする男性はダサいよね、という意思表示は間違っていないと再認識しました。

 ほんとうにタブーがなくなる日がきたら、女性たちはどうなるんでしょうね。女性同士でもっとオナニーについての情報交換が盛んに行われようになるのかな。大っぴらに&あけすけにオナニーについて話す、いう意味ではありません。オナニーはとても個人的かつ、性嗜好を反映するために、とてもデリケートな体験です。それをべらべらしゃべるというのはタブーというよりデリカシーの問題。SNSとか、顔が見えない相手との情報交換のほうがイメージしやすいですね。

●セックスのため女はここまでしなきゃいけないの!? もうひとつのセックス特集

 本書では「an・an」のセックス特集が例にあげられていましたが、女性が女性に「男性への奉仕的セックス」を指南するコンテンツって至るところにありますよね。ネット記事にもゴロゴロあります。「彼にセックスの自信をつけさせる神テク4選」とか、「男性をセックス中にゾクゾクさせる女性のアソコになる方法」とか。男性を立てて自信を持てるよう導き(しかも、それとわからぬよう、さりげなく)、デリケートゾーンの透明感アップ&色素を薄くして「ほかの誰にも染められていないアソコ」アピールをする……って、何それ。

◎イニシアチブはどっちにある?

「女性が今、性的に解放されたなんていうのは嘘で、受け身の快感を知ってしまった男に対して、女の自分は気持ちよくなくても奉仕する役目になってしまっている」「受け身のオラオラであって、あいかわらずイニシアチブは男」ーー本書によるとズバリ、これが現在の日本のセックスです。それってもう奉仕ですらないですよね? ただの搾取としか思えませんし、男性のマスターベーションに女性が利用されているだけです。これはもはや、セックスと呼べないものですよね。こうした行為を指南する雑誌や記事は、最初からセックス特集ではなく滅私奉公特集だと思って読めば、腹が立たないのかもしれません。

●セックスにスピリチュアルな意味はいらない。まして母性はもっといらない

 男性を気持よくさせるエネルギーが図抜けている女優さんを指し、「母性」という言葉が使われている会話がありました。二村さんは「娘を抑圧したり息子を甘やかして癒着する母性の闇サイドとは違う、相手の依存を条件無しで肯定していく母性」といい、湯山さんもそれを「揺るぎのない大きさね」と受けているのですが、それって母性なんですか? 女性特有のものなんですか? このやりとりは、「男も母性を持ったほうがいい」と続きますが、母性=女性にそなわっているもの、相手を包み込むスケールの大きな心理状態でいるのが母たる存在、というのが前提とされているように見え、強い違和感を覚えました。別の話題で、二村さんが風俗嬢の女性の職業的親切心、探究心をまたも「母性」といって、湯山さんにたしなめられるシーンがあります。母性……何かもっとほかに適切な言葉があるような気がするのは、私だけでしょうか。

*   *   *

 ……と、挙げていくと実はキリがないのです。おそらく私は人よりセックスやマスターベーションについて考える時間が長めだと思うのですが、それでも「私にとってセックスってなんだっけ」「マスターベーションは?」「私はそれを今後もしつづけたいのだろうか?」「しつづけるとしたら、そのために必要なことって一体なに?」と、自問させられます。日本人のセックスを説かれていますが、問われているのはひとりひとりにとっての「私のセックス」。人によってはパンドラの匣を開けることになる確率高しです。覚悟のうえでどうぞ。

■桃子/オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』で開ける、パンドラの匣

 当連載は「独り寝のお作法」というタイトルではじめたものの、早々に何でもアリ状態になり、セックスについてセックスカルチャーについてアレコレ書いてきました(何度かお休みしましたが)。勢いでわーっと書き、掲載されてから「あわわわ、炎上したらどうしよう」と焦ったケースもちょいちょいあります。はい、小心者なんです。私はバイブレーターについては人より多少の知識はあるにしても、セックスを語る資格はないように思えてくるのです。でも、セックスについて語る資格がある人って、そもそもどういう人なんでしょう?

 身体の面から語るだけでは不十分だし、経験人数が多いからといってそれはあくまでも個人の体験でしかなく、AVの世界は一般の人のセックスと相関性がないとはいいませんが、必ずしもそれを映す鏡ではありません。人の性行動は社会と深く関わっているうえに、一刻もとどまることなく変わりつづけていますから、長きにわたって俯瞰して総合的に語れるとなると、ごくごく限られた人しかいません。

 こう書くと、どんどん自分の首が締められていきますね。その域に達した人以外はセックスを語るなと言いたいわけではないのです。個人的な見解に社会が凝縮されていることも多々ありますし。というエクスキューズを自分で用意して、私は今後も惑いつつ考えつつ、トライ&エラー上等!という気持ちで書きつづけるつもりですが、ときおり人生の先輩が俯瞰してくれたセックス論を読み、足元を踏み固めていく必要があります。発売直後から話題沸騰の『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(湯山玲子、二村ヒトシ著、幻冬舎)は私にとってそんな1冊になりそうです。

 読んでいると、自分が書いた記事が思い起こされ、「あのとき私はこういうことをいいたかったのか」「あの問題にはこういうアプローチがあったのか」と気づかされることが多く、目からウロコがバシバシ落ちました。それは、セックスで悩みがある人、恋愛でつまづきがちな人にとっても同様でしょう。自分の“うまくいかなさ”の原因に気づき、QOS(クオリティ・オブ・セックス)を上げるヒントに満ちています。

◎女性のオナニータブーはどうなった?

 今回は、本書の内容で私が膝を打った部分、印象に残った部分を、過去の拙記事を掘り返しながらお伝えいたします。私個人の備忘録のような内容になってしまったら、ごめんなさい。

●男たちからのONN勘違い質問に、この場を借りてハッキリお答えします!
●バイブフォビアを公言する男って、自分の無知と偏見が恥ずかしくないの?

 本書では「セックスは愛する男の人の手によって欲望を教えてもらうもの、から、女にも性欲があって当たり前という認識に変わっているので、自分で処理して何が悪い? というマスターベイション・タブーがなくなって、これまたBLなどの二次元に、リビドーを多く取られてしまっている」と書かれる一方、で「女性のマスターベイション・タブーは男性の思惑が大きい」とも論じられています。

 女性自身のマスターベイション・タブーはなくなったかのように見えて、フローリングの隙間に入り込んだ埃のようにまだまだ根強く残っていて、完全に払拭されるのはむずかしいように見えます。隙間に埃を押し込んでいるのは、おっしゃるとおり「男性の思惑」です。「オナニーする女性はさみしいから」「バイブを使う女性は、ほんとは男根がほしいのにそれが叶えられない気の毒な女」というストーリーの押し付けには、もううんざり。最近の掃除機は高性能なブラシと吸引力とで隙間からも埃を掻きだしてくれるそうですが、そうやってパワフルにタブーを払拭する何かがあるとすれば、それは女性の意識の変化にほかなりません。オナニーする女性を貶めながら、女性のオナニーをおかずにする男性はダサいよね、という意思表示は間違っていないと再認識しました。

 ほんとうにタブーがなくなる日がきたら、女性たちはどうなるんでしょうね。女性同士でもっとオナニーについての情報交換が盛んに行われようになるのかな。大っぴらに&あけすけにオナニーについて話す、いう意味ではありません。オナニーはとても個人的かつ、性嗜好を反映するために、とてもデリケートな体験です。それをべらべらしゃべるというのはタブーというよりデリカシーの問題。SNSとか、顔が見えない相手との情報交換のほうがイメージしやすいですね。

●セックスのため女はここまでしなきゃいけないの!? もうひとつのセックス特集

 本書では「an・an」のセックス特集が例にあげられていましたが、女性が女性に「男性への奉仕的セックス」を指南するコンテンツって至るところにありますよね。ネット記事にもゴロゴロあります。「彼にセックスの自信をつけさせる神テク4選」とか、「男性をセックス中にゾクゾクさせる女性のアソコになる方法」とか。男性を立てて自信を持てるよう導き(しかも、それとわからぬよう、さりげなく)、デリケートゾーンの透明感アップ&色素を薄くして「ほかの誰にも染められていないアソコ」アピールをする……って、何それ。

◎イニシアチブはどっちにある?

「女性が今、性的に解放されたなんていうのは嘘で、受け身の快感を知ってしまった男に対して、女の自分は気持ちよくなくても奉仕する役目になってしまっている」「受け身のオラオラであって、あいかわらずイニシアチブは男」ーー本書によるとズバリ、これが現在の日本のセックスです。それってもう奉仕ですらないですよね? ただの搾取としか思えませんし、男性のマスターベーションに女性が利用されているだけです。これはもはや、セックスと呼べないものですよね。こうした行為を指南する雑誌や記事は、最初からセックス特集ではなく滅私奉公特集だと思って読めば、腹が立たないのかもしれません。

●セックスにスピリチュアルな意味はいらない。まして母性はもっといらない

 男性を気持よくさせるエネルギーが図抜けている女優さんを指し、「母性」という言葉が使われている会話がありました。二村さんは「娘を抑圧したり息子を甘やかして癒着する母性の闇サイドとは違う、相手の依存を条件無しで肯定していく母性」といい、湯山さんもそれを「揺るぎのない大きさね」と受けているのですが、それって母性なんですか? 女性特有のものなんですか? このやりとりは、「男も母性を持ったほうがいい」と続きますが、母性=女性にそなわっているもの、相手を包み込むスケールの大きな心理状態でいるのが母たる存在、というのが前提とされているように見え、強い違和感を覚えました。別の話題で、二村さんが風俗嬢の女性の職業的親切心、探究心をまたも「母性」といって、湯山さんにたしなめられるシーンがあります。母性……何かもっとほかに適切な言葉があるような気がするのは、私だけでしょうか。

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 ……と、挙げていくと実はキリがないのです。おそらく私は人よりセックスやマスターベーションについて考える時間が長めだと思うのですが、それでも「私にとってセックスってなんだっけ」「マスターベーションは?」「私はそれを今後もしつづけたいのだろうか?」「しつづけるとしたら、そのために必要なことって一体なに?」と、自問させられます。日本人のセックスを説かれていますが、問われているのはひとりひとりにとっての「私のセックス」。人によってはパンドラの匣を開けることになる確率高しです。覚悟のうえでどうぞ。

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マスコミから袋叩きにされた渦中の男を密着取材!佐村河内氏主演の純愛ドキュメンタリー『FAKE』

FAKE_movie01
ゴーストライター問題で渦中の人となった佐村河内守氏が、沈黙を破って胸中を吐露する。
 テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ネットが伝える情報はどこまで正しいのか。事実を歪めている箇所はないか、どの程度の歪みなら許容できるのか。それらを見極める能力はメディアリテラシーと呼ばれ、情報が溢れる現代社会においてはとても重要なものとされている。また、判断を下すのは個人に委ねられているので、与えられた情報をどう受け止めるかは千差万別となる。“ゴーストライター”騒ぎで話題となった佐村河内守氏に長期密着取材したドキュメンタリー映画『FAKE』は、観客ひとり一人のメディアリテラシー能力を激しく問う作品だ。テレビのワイドショーや週刊誌の記事でしか触れることができなかった佐村河内氏が、カメラに向かって心情を告白する。彼の言葉はどこまで信憑性があるのかを確かめるため、観客はスクリーンに映し出された彼の表情や周囲の反応を凝視することになる。 “現代のベートーベン”ともてはやされながらも、2014年2月に掲載された週刊文春のスクープ記事をきっかけに全マスコミから袋叩きにされる状況に陥った佐村河内氏。聴覚に障害があることだけでなく、被曝二世であることさえも疑われるようになってしまった。世間の信頼をすっかり失ってしまった彼にカメラを向けたのは、ドキュメンタリー映画界の鬼才・森達也監督。劇場公開された『A』(98)と『A2』(01)ではオウム真理教の教団施設を訪ね、信者たちを長期取材した森監督が、久々に渦中の人物をクローズアップしたことでも話題を呼んでいる。  週刊文春によるスクープ後、謝罪会見を開いたものの、火に油を注いだ形となってしまった佐村河内氏。予定されていた仕事はすべてキャンセルとなり、自宅マンションで息を潜めるように暮らしている。外出することもままならない。あの日からすっかり人生が変わり、作曲する意欲も失ってしまった。そんな佐村河内氏にいつも通りに接しているのは、一匹の飼い猫と妻の香さんだけ。森監督は佐村河内氏と事前にメールでのやりとりを交わし、自宅に上がり込んでの密着取材を始める。「僕が撮りたいのは、あなたの怒りではなく哀しみなんです」という森監督の言葉に佐村河内氏はうなずいてみせる。森監督からの質問は、同席した香さんが手話通訳して伝えている。佐村河内氏にしてみれば、ようやく自分の味方になってくれるジャーナリストが現われたと思えたに違いない。  だが、森監督は「ドキュメンタリー作家はいじわるでないと務まらない」という信条の持ち主である。インタビューを始めてほどなく、「タバコが吸いたくなったな。ちょっと一服しません?」と佐村河内氏をベランダに誘い出す。香さんは喫煙しないので、ベランダは男2人だけだ。手話通訳なしで、どうコミュニケーションするのか。だが、佐村河内氏はこういった状況に慣れているらしく、「ゆっくりと話してくれれば口の形で分かります」と答える。ベランダに佇む男2人が、夕暮れの景色を眺めながらタバコをくゆらせている。中年男2人の何気ないシーンだが、取材する側とされる側との顔には出さない熾烈な綱引きがすでに始まっている。
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森達也監督にとっては、賛否両論となった共同監督作『311』以来となる5年ぶりのドキュメンタリー作品だ。
 佐村河内氏と森監督とが距離をいっきに縮めたのは、テレビという“マスメディア界の王様”の存在だった。佐村河内氏への取材を申し込んできたフジテレビの情報番組のスタッフ、さらに年末の特番に出演してほしいというやはりフジテレビのバラエティー番組のスタッフが立て続けにマンションを訪ねてくる。沢尻エリカが主演したフジテレビのドラマで、自分を揶揄した内容の回があったことを佐村河内氏は録画再生しながら苦情を漏らす。取材を申し込んだフジテレビの社員は低姿勢で「表現の自由ということで理解してほしい」と弁解する。テレビ局も様々な部署に分かれているので致し方ないと佐村河内氏は情報番組の取材はOKする。バラエティー番組のスタッフも「決して笑いのネタにするものではない」と番組の企画意図を懸命に説明する。スタッフの熱い眼差しに即答することは避けた佐村河内氏だったが、結局バラエティー番組への出演は見送った。  出演を断った佐村河内氏の代わりに、年末特番に出演したのは新垣隆氏だった。あの日以来、2人はすっかり明暗を分けてしまった。佐村河内氏のゴーストライターを務めていたことを告白した新垣氏は、今ではすっかりマスコミの寵児として人気者となっている。その年の暮れ、テレビの特番では新垣氏がお笑い芸人たちからツッコミを受け、スタジオ中の爆笑を集めていた。女性芸人を相手に壁ドンを決めるなど、新垣氏もノリノリでピエロ役を演じてみせている。仮に佐村河内氏が出演していたら、この番組はもっとマジメな内容になっていたのだろうか。佐村河内氏の釈明にきちんと時間を割いただろうか。一緒にテレビを観ていた森監督は言う。「テレビをつくっている彼らには信念や想いとかはない。出ている人をどう使って、面白くするかしかないんです」と。森監督はかつてフジテレビでドキュメンタリー番組を作っていたが、オウム真理教の扱い方をめぐってテレビ界を離れ、『A』『A2』を劇場公開したという経緯がある。手のひらを簡単に翻すマスコミによって痛い目に遭った佐村河内氏と、テレビの本質をズバリと突いた森監督との間には信頼関係が成立していた。  これまでマスコミではあまり触れられることのなかった妻の香さんだが、今回の密着ドキュメンタリーでは佐村河内氏の手話通訳を兼ねていることもあり、一緒にリビングにいることが多い。香さんは訪問者が現われる度にコーヒーを淹れ、ショートケーキをお皿に盛り、テーブルへと運ぶ。佐村河内氏はゴーストライター問題で大騒ぎになった時点で離婚することを申し出たが、香さんは「終わったことは仕方ないよ」と受け流したという。香さん本人ははっきり覚えていないのか照れくさいのか、「えっ?」ととぼけてみせ、「一緒にいたかったら、一緒にいただけ」とさりげない。すべてのプライドを失った男には、身内のさりげなさこそがいちばんの救いである。思わず涙ぐむ佐村河内氏。このドキュメンタリーは、どうやら逆境に置かれながらも支え合う夫婦の純愛ドラマでもあるようだ。
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佐村河内氏は聴覚障害があっても曲づくりには問題がないことをカメラの前で証明してみせる。
 そしてクライマックスシーンへ。沈黙を続けていた佐村河内氏の逆襲がついに始まる。久しぶりに佐村河内氏のマンションを訪ねた森監督は、そこで思いがけない状況に遭遇する。このシーン、実にドラマチックであり、佐村河内氏主演ドキュメンタリーのラストを飾るのに相応しい感動のエンディングとなっている。だが、エンドロールが流れ終わった最後の最後に、このドキュメンタリー全体をひっくり返してしまう強烈な仕掛けを森監督は用意している。  森監督は「テレビをつくっている人は、出ている人をどう面白くするしかない」と語ったが、映画屋はそうではないとは口にしていない。森監督も佐村河内氏という美味しい素材を使って、どれだけ面白いドキュメンタリー映画をつくるかを考えていたはずだ。ただ、表層的なテレビ番組とは違って、観た人によって様々な解釈が可能な重層的な映像作品を森監督は撮り上げている。ひとつの事象は見方次第によって玉虫のように違った輝きを放つ。『FAKE』は二度三度と見直すことで、その度に違った回答が得られるドキュメンタリーとなっている。 (文=長野辰次)
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『FAKE』 監督・撮影/森達也 プロデューサー/橋本佳子 撮影/山崎裕 編集/鈴尾啓太 配給/東風 6月4日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開 (c)2016「FAKE」製作委員会 http://www.fakemovie.jp

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『パンドラ映画館』電子書籍発売中! 日刊サイゾーの人気連載『パンドラ映画館』が電子書籍になりました。 詳細はこちらから!

「ゲス妻が許せば、ベッキー復活」って、誰が決めた!? サンミュージック“文書ばら撒き作戦”のナンセンス

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 タレントのベッキーが所属するサンミュージックプロダクションが18日の夜、川谷絵音の元妻・A子さんの代理人弁護士による文書を、マスコミ各社にファクスした。  19日発売の「週刊文春」(文藝春秋)は、「ベッキーに川谷元妻が抗議文を送った!」と題した記事を掲載。ベッキーがA子さんへの直接謝罪の2日前にテレビ収録を済ませていたことに対し、A子さんが強いショックを受け、サンミュージックに“抗議の書面”を送ったと報じている。  A子さんの代理人弁護士は、この記事の大半を事実と認めたうえで、「抗議文」という表現を否定し、「あくまでも社長に思いの丈を聞いて欲しいとの気持ちから書いた手紙」と訂正。A子さんは、ベッキーの直接謝罪を機に「全てを水に流した」といい、「A子さんの心境につきご説明させて頂くことで、今回の騒動の終焉とさせて頂きたい」と綴っている。  これを受け、「事態は完全に幕引きを迎えた」などと言い切る一部スポーツ紙も見受けられるが、ある芸能記者は、「このやり方は、論調のすり替え」と指摘する。 「サンミュージックは、『A子さんが許したから、ベッキーは復帰してもいい』とでも言いたげですが、全くのお門違い。そもそも騒動がここまで大きくなった背景には、“優等生キャラ”だったベッキーが不貞を働き、謝罪会見でウソをついて世間を欺き、この期に及んで『ありがとう文春』などとふざけたLINEが流出したことにあり、世間はそんな彼女を嫌いになったはず。サンミュージックは、A子さんがベッキーを許すことと、ベッキーがお茶の間に戻ることを混同させ、事態収束を図ろうとしているようですが、ベッキーが勝手に『復帰の絶対条件は、元夫人への直接謝罪』と定めただけで、視聴者には関係ありません。『中村昌也が水に流したのだから、矢口真里をキー局のレギュラーに戻して』と言われ、納得する視聴者がいるでしょうか?」(芸能記者)  弁護士コメントをマスコミにばら撒いたサンミュージックの行為は、全くのナンセンスといえそうだ。

「広瀬すずは性格悪い」「石原さとみはゾッとする」理解不能な“男性人気の高い”女性タレント

<p> 綾瀬はるかや新垣結衣、有村架純、広瀬すず……今年3月「ORICON STYLE」が発表した「恋人にしたい女性有名人ランキング2016」に名を連ねた、男性人気の高い今をときめく芸能人たち。しかし女性目線では、「なんでこの女がモテるの?」と思う人物もいるのではないだろうか? そこで今回は女性100名を対象に、「あり得ないと思う、男性が恋人にしたい女性タレント」を調査した。(Sagooooワークス調べ/調査地域:全国/調査対象:年齢不問・女性/有効回答数:100)。</p>

「広瀬すずは性格悪い」「石原さとみはゾッとする」理解不能な“男性人気の高い”女性タレント

<p> 綾瀬はるかや新垣結衣、有村架純、広瀬すず……今年3月「ORICON STYLE」が発表した「恋人にしたい女性有名人ランキング2016」に名を連ねた、男性人気の高い今をときめく芸能人たち。しかし女性目線では、「なんでこの女がモテるの?」と思う人物もいるのではないだろうか? そこで今回は女性100名を対象に、「あり得ないと思う、男性が恋人にしたい女性タレント」を調査した。(Sagooooワークス調べ/調査地域:全国/調査対象:年齢不問・女性/有効回答数:100)。</p>

逆上した妻が母親と共謀してツープラトン攻撃! 夫の不倫相手を路上で丸裸に

映像では、妻のわめき声と女性の泣き声しか聞こえない(YouTubeより)
 中国では、夫の浮気が発覚すると、時に修羅場となるようだ。しかも、妻が怒りをぶつけるのは夫ではなく、浮気相手の女性に対してで、殴る蹴るの大立ち回りを演じることもしばしば。  最近、ある動画がネット上で流布し、中国ネット民たちの冷笑を誘っている。撮影場所は不明だが、2人の女性がひとりの女性を相手に、暴力行為を働いているのだ。  夫を寝取られた妻が街中で浮気相手の女性を見つけると、母親と共謀して車から引っ張り出し、髪の毛を引っ張って地面に引きずり倒した。妻が女性を押さえつけ、母親がハサミで女性の服を切り裂いていく。しかも、女性の命ともいえる長い髪の毛までバサバサと切っていく。  母娘のツープラトン攻撃に抵抗できず、女性は顔を覆って泣き叫ぶだけ。勢いづいた2人は、下半身を覆っていた服まで無理やり脱がそうとしていく。周囲の人たちも母娘の勢いに臆したのか、誰も助けようとはしない。  壮絶な現場動画を見たネット民たちは、ただあきれるばかり。 「路上で服を切って裸にするのはやりすぎ。同じ女性だろ?」 「そもそも、夫をちゃんと管理できなかったのは自分の責任だ」 「まあ、奥さんがこんなだったら、浮気したくなる旦那の気持ちもわかる」  中国の不倫事情について、上海在住で中国人妻を持つ日本人男性は、このように説明する。 「中国では、結婚は愛情ではなく、相手の財力が重要。お互い愛情などないから、夫だけでなく妻も不倫に走るケースをよく聞きます。ただし、妻のほうは夫を若い女性に寝取られたら、自分が放り出されることになる。そうなると、一気に貧しい生活へと転落してしまう。だから、浮気が発覚した場合、夫ではなく相手女性に怒りの矛先が向かうようです。今回、母親まで暴力に加担したのは、自分の娘が離婚でもされたら、自分の老後の暮らしぶりにまで影響してくるからだと思われます」  ちなみにこの日本人男性は、妻が気の強い上海人女性で、普段から監視が厳しいため、とてもではないが浮気などできないという。  中国人男性の生活も、なかなか厳しいようだ。 (取材・文=佐久間賢三)

逆上した妻が母親と共謀してツープラトン攻撃! 夫の不倫相手を路上で丸裸に

映像では、妻のわめき声と女性の泣き声しか聞こえない(YouTubeより)
 中国では、夫の浮気が発覚すると、時に修羅場となるようだ。しかも、妻が怒りをぶつけるのは夫ではなく、浮気相手の女性に対してで、殴る蹴るの大立ち回りを演じることもしばしば。  最近、ある動画がネット上で流布し、中国ネット民たちの冷笑を誘っている。撮影場所は不明だが、2人の女性がひとりの女性を相手に、暴力行為を働いているのだ。  夫を寝取られた妻が街中で浮気相手の女性を見つけると、母親と共謀して車から引っ張り出し、髪の毛を引っ張って地面に引きずり倒した。妻が女性を押さえつけ、母親がハサミで女性の服を切り裂いていく。しかも、女性の命ともいえる長い髪の毛までバサバサと切っていく。  母娘のツープラトン攻撃に抵抗できず、女性は顔を覆って泣き叫ぶだけ。勢いづいた2人は、下半身を覆っていた服まで無理やり脱がそうとしていく。周囲の人たちも母娘の勢いに臆したのか、誰も助けようとはしない。  壮絶な現場動画を見たネット民たちは、ただあきれるばかり。 「路上で服を切って裸にするのはやりすぎ。同じ女性だろ?」 「そもそも、夫をちゃんと管理できなかったのは自分の責任だ」 「まあ、奥さんがこんなだったら、浮気したくなる旦那の気持ちもわかる」  中国の不倫事情について、上海在住で中国人妻を持つ日本人男性は、このように説明する。 「中国では、結婚は愛情ではなく、相手の財力が重要。お互い愛情などないから、夫だけでなく妻も不倫に走るケースをよく聞きます。ただし、妻のほうは夫を若い女性に寝取られたら、自分が放り出されることになる。そうなると、一気に貧しい生活へと転落してしまう。だから、浮気が発覚した場合、夫ではなく相手女性に怒りの矛先が向かうようです。今回、母親まで暴力に加担したのは、自分の娘が離婚でもされたら、自分の老後の暮らしぶりにまで影響してくるからだと思われます」  ちなみにこの日本人男性は、妻が気の強い上海人女性で、普段から監視が厳しいため、とてもではないが浮気などできないという。  中国人男性の生活も、なかなか厳しいようだ。 (取材・文=佐久間賢三)

プレミア優勝・レスターは街ぐるみで冷静さを失っている! 岡崎慎司が歴史上の偉人に!?

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 岡崎慎司が所属するプレミアリーグ・レスターシティは、創設133年目にしてリーグ初優勝を飾り、スポーツ史に残る“世紀の番狂わせ”を演じた。  優勝に5,001倍のオッズをつけたブックメーカーは約15億円もの赤字を生み、スタジアムの近くに設置されている震度計では劇的なゴールが決まるたびに地震が計測された。さらには、シーズン開始前に1カ月の余命宣告を受けたサポーターの男性は、レスターの快進撃に刺激され1年以上も生き延びたというのだから、今回のレスターの偉業がどれほどすごいかがわかるだろう。 「レスターの人口は約33万人、なのに優勝パレードには参加者が25万人いたというんですから異常ですよね。街の外から来た人ももちろんいるでしょうが、単純計算で半分以上の住人が参加しているんですよ。どこに行ってもサッカーのことばかりで、みんな本当にうれしそうです。ここの人たちはお酒を飲みながら一生この話をし続けて生きていくんだろうなって感じましたね。岡崎は本当にすごいことを成し遂げましたよ」(スポーツライター)  今年の3月に松戸市で行われた琴奨菊の優勝パレードでさえ5万人と言われているのだから、25万人のすごさがわかるだろう。しかも、松戸市よりもはるかに人口の少ない都市で行われているのだからとんでもない。レスターの街では、日本では考えられないような出来事が次々と起こっているという。 「もはやレスターは町ぐるみで冷静さを失ってますよ! 眞子さまが通ったことでも知られるイギリスの名門レスター大学では、なんと一つひとつの建物に選手の名前がつけられることが決まりました。岡崎の名前がつけられる“シンジ・オカザキ・セミナー・ブロック”は、現在、同大学の元総長の名前がついているというのだから驚きです。岡崎に関してだと、“オカザキロード”を作るとも市長は宣言していましたね。ほかにも橋やビル、駅、交差点、坂など、さまざまな場所に選手の名前がつくといわれています。数年後にレスターの街に行ったら選手の名前だらけで、歴史上の偉人は全部レスターの選手だけみたいになっているかもしれませんね(笑)」(同)  Jリーグのどこのクラブが優勝しても、こんなことにはならないだろう。今回のレスター優勝のファンの喜びは、もしかしたらサッカー文化が根付いていない国に住む我々には想像がつかないことなのかもしれない。 (文=沢野奈津夫)

フジテレビがTwitter“偽画像”に釣られ赤っ恥! 『グッディ』インドネシアの鉄道を東武東上線として報道

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フジテレビ『直撃LIVE グッディ!』公式サイトより
 フジテレビの報道番組『直撃LIVE グッディ!』が18日、東京都板橋区・東武東上線の脱線事故を伝えるニュースで、インドネシアの脱線事故の画像を放送する大失態を犯した。  速報として、中継ヘリからの映像を中心に現場の状況を伝えた同番組だが、「脱線箇所とみられる車輪」「ツイッターより」とのテロップと共に、レールから外れた車輪に寄った画像を30秒間放送。同時に、司会の安藤優子は「明らかに車輪が内側に脱線しています。はずれています。現在ご覧いただいていますのは、脱線箇所をとらえた、一般の乗客の方の投稿映像です」「まさに投稿された映像には、そのはずれてせり上がってしまった金属板が映し出されていました」と伝えた。  しかし、これは一般人がいたずら心でTwitterに投稿した“釣り画像”。前日にジャカルタの報道機関「Sindotrijaya 104.6 FM」が投稿した画像を、この一般人が勝手に転載したものであった。  数年前から、Twitterの投稿画像を積極的にニュースで使用しているフジテレビ。この日も、同報道局(@fujitv_news)のアカウントは、問題の“釣り画像”を投稿した一般人に宛て、「大変なとき失礼します。フジテレビ報道局です。ご投稿されている画像についてお伺いしたいので一時的にフォローしていただけますか?」というメッセージを送っていることが確認できる。 「フジがまんまと引っかかった今回の画像ですが、注意深く見れば偽物だとわかったはず。実際、ネットユーザーの多くが“釣り画像”だと気付いていたため、ネットの拾い物を鵜呑みにしたフジの情報弱者ぶりが失笑を買っています。また、フジは結果的に、海外メディアの画像を無断使用してしまったことになりますから、当然謝罪が求められます」(IT誌ライター)  案の定、『グッディ!』放送後には、同報道局のアカウント宛てに「フジテレビってデマでも放送するんですね」「無断転載すら見抜けないマスゴミ」「しっかり取材しないからこうなんだよ」といった批判が相次いでいる。  ちなみに、テレビ朝日のTwitterアカウント「テレ朝news(@tv_asahi_news)」も、同じ一般人にフジと同様のメッセージを送っていたが、すぐに偽物と気付いたのか、現地取材の映像だけで速報を流していた。  平均視聴率1%台まで落ち込むなど、視聴者離れが留まらず、打ち切り間近ともささやかれる『グッディ!』。この程度の情報リテラシーで、番組の何を信じろというのだろうか?