4月22日に57歳で急死した、世界的な人気アーティスト・プリンスの名前を悪用した詐欺疑惑が浮上している。音楽プロデューサーを自称する人物が、「お蔵入りとなったプリンス監修のアニメ映像」の商品化を各所に持ちかけ、ファンド形式で1口30万円の売り込みをかけているのだ。 話を持ちかけられた音楽関係者によると、「そのアニメは、プリンスが秘密裏にイギリスのアニメーターと組んで制作した60分ほどの作品という触れ込みで、タイトルは『ALL OR NOTHING』。中身は、主人公のプリンスが子どもたちを大スターに育てようとしたところ、その子どもはエイリアンで、音楽を通じて地球を征服しようとするもので、音楽バトルが軸となるそうです。すでに200人以上が出資を決めたとかいう話でしたが……」という。 しかし、プリンスの作品をリリースしている日本のユニバーサル・ミュージックの関係者に聞いても「聞いたことがない」とし、これはプリンスの熱狂的ファンで関連グッズコレクターのプリンス後藤氏も同様の回答だった。 「プリンスは、かつてのヒット映画『バットマン』(1989)のサントラを担当したとき、制作発表で物語の舞台になるゴッサムシティに住んでみたいとか言ってコミック原作を賛美していたこともありましたが、一番入れ込んでいたのは、作品よりもヒロインの女優キム・ベイシンガーで、交際にも発展したんです。アニメやコミックに強い関心があった人ではないですね」(後藤氏) もっとも、話を持ちかけられたという前出の音楽関係者は、「幻のアニメがあるかないか以前に、その自称プロデューサーがうさん臭いので話に乗らなかった」ともいう。 「彼はかつて、小室哲哉の名前を使って資金を集めたことが詐欺ではないかって疑われたこともあるトラブルメーカーですからね。最近は韓国のアイドルグループ・JYJ絡みで金を集ていたようですが、その周辺には元関東連合を自称する不良っぽい連中もいたりで、とても近づきたくなかったんです」(同) その自称プロデューサーは、プリンスのサインが入ったとする今年2月付の委任状のようなものを持ちながらも、「権利関係の書類は確認しているが、俺はそのアニメはまだ見ていない」などと話していたというから、なお怪しい話ではある。 「ウワサでは、この投資話の背後には音楽業界に出入りする九州の暴力団組織や神戸山口組などの裏社会関係者がいて、自称プロデューサーは強引に窓口役にさせられているともいわれていますが……」(同) もともと音楽業界では大物アーティストの死後、未発表作品が各所から噴出する便乗商法が出てくるのは毎度のことでもある。 「7年前にマイケル・ジャクソンが死んだときは、生前のマイケルと撮った写真を武器に、ある格闘技団体の役員が、ネットオークションなどで出回っている海賊盤のコピーを『幻のマスター音源だ』として高値で売りつけようとしたこともあった」(同) プリンスは死後、過去のアルバムなどが続々と売れて、死後2週では5作品が全英ヒットチャートのトップ10入り。海外ではプリンス自宅の「Vault」と名付けられた保管庫が開けられ、未発表曲の音源が多数確認されたというニュースも報じられ、その行方を左右する遺族、6人の兄弟姉妹たちの遺産分与に注目が集まっている。 当然ながらそこでも、日本発の怪しいアニメ話はまったく話題になっていない。 (文=ハイセーヤスダ/NEWSIDER Tokyo)
