
乃木坂46『透明な色(Type-A)』(ソニー・ミュージックレコーズ)
【リアルサウンドより】
2014年、アイドルシーンは更なる盛り上がりを見せた。BABYMETALやでんぱ組.incの大躍進や、アイドルカルチャーの定着化と市場拡大…。今回はこれらをトピックごとに分け、振り返って行きたい。
BABYMETALとでんぱ組.incの躍進
メタルとアイドルの融合を掲げたBABYMETALは、2014年に最も大きく飛躍を遂げたアイドルグループだ。2月発売の1stアルバム『BABYMETAL』は、iTunes Storeにおいて7ヵ国のロックアルバムチャートでベスト10入りを果たし、7月からはフランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、日本を巡るワールドツアーを行った。イギリスのSonisphere Festivalでは約5万人の観客の前でパフォーマンスを披露。さらにレディー・ガガのライブツアーにも帯同し、ロンドンで開催したワンマンライブでは約5000人を動員。9月には幕張メッセにて2daysのワンマンライブも開催した。
メンバーそれぞれにオタク属性があるでんぱ組.incは、5月に武道館での単独公演を開催し、約1万人を動員。台湾や香港など海外公演も多数行い、10月からは地上派初の冠番組「でんぱジャック World Wide Akihabara」(フジ系)がスタートした。
両グループに共通しているのは、メタルと電波ソングといった音楽的コンセプトを中心に据えていること。こうしたコンセプトが根幹にあることで、数多くいるアイドルとの差別化ができている。その上で海外フェスに出演したり、世界観を壊さない範囲で別ジャンルのカルチャーを取り入れたりと、訴求する層を積極的に広げているのが、成功の大きな要因となっている。
乃木坂、モー娘、しゃちほこ、橋本環奈…ジャンルの定着化と市場の拡大
BABYMETALとでんぱ組だけではない。それ以外にもここ1年で大きく知名度を上げたアイドルは数多い。例えば乃木坂46は「2014年オリコン年間シングルランキング」のトップ10に2枚のシングルを送り込み、8月には明治神宮野球場(3万人を動員)で単独コンサートを開催。モーニング娘。'14は約4年ぶりに横浜アリーナ(1万2000人を動員)で単独コンサートを開催した。
チームしゃちほこ、9nine、ベイビーレイズ、スマイレージなど、武道館(キャパ約6000~1万人)で単独公演を行うグループも急増した。また、Dream5は企画枠ながら紅白歌合戦への出演を決め、橋本環奈が所属していることで有名なRev. from DVLはZepp DiverCity(キャパ約2400人)での単独ライブを開催。東京パフォーマンスドールは全国Zeppツアーを成功させた。
ゆるめるモ!、lyrical schoolと、インディーズであっても恵比寿LIQUIDROOM(キャパ約900人)でワンマンライブを行うグループも増加した。
8月に開催された国内最大規模のアイドルフェス『TOKYO IDOL FESTIVAL 2014』の動員数は2日間でのべ4万1000人を突破した。
これらの状況から、「アイドルというジャンル自体のファンが増えた」「1000人以上の規模の会場を埋めるほどの一定の固定ファンが、多くのアイドルにつくようになった」「複数のアイドルが好きな"DD"のアイドルファンが増えた」ということが言えるのではないだろうか。AKB48が『RIVER』で本格的なブレイクを果たしてから5年。ようやくシーンが確立し、市場が大きく広がりつつある、という風に見て良さそうだ。
圧倒的トップをひた走るAKB48
先日、2014年オリコンシングルランキングが発表された。そのトップ10は以下の通り。括弧内は推定累積売上数。
1位 AKB48「ラブラドール・レトリバー」(178.7万枚)
2位 AKB48「希望的リフレイン」(115.7万枚)
3位 AKB48「前しか向かねえ」( 115.4万枚)
4位 AKB48「鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの」(108.6万枚)
5位 AKB48「心のプラカード」(105.8万枚)
6位 嵐「GUTS!」(60.5万枚)
7位 嵐「Bittersweet」(59.2万枚)
8位 乃木坂46「何度目の青空か?」(57.8万枚)
9位 EXILE TRIBE「THE REVOLUTION」(57.3万枚)
10位 乃木坂46 「気づいたら片想い」(54.7万枚)
1位から5位までをAKB48が独占し、その全てがミリオンヒット、という結果になった。昨年よりも総数は下がっているが、握手会襲撃事件や大島優子の卒業がありながらもこの結果を出せていることは、トップアイドルとしてのポジションが依然揺ぎ無いことを証明している。
また、選抜総選挙の投票総数も前年に比べ約4万票以上増加した。投票のルールについては、投票用シリアルナンバーカードが封入されたCDのバージョンが増えたり、当選枠が拡大したりなど、年々細かい変更が行われている。が、それらを考慮しても、AKB48がアイドルの中でダントツの人気があることは変わらないだろう。
AKB48のトップはそのままに、その他のアイドルの人気も上がり、アイドル市場が大きく広がった2014年。では2015年はどうなるのか、次回のコラムで予想してみよう。
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■岡島紳士(おかじま・しんし)
(@ok_jm)
1980年生まれ。アイドル専門ライター。著書、共著に『グループアイドル進化論』、『AKB48最強考察』、『アイドル10年史』『アイドル楽曲ディスクガイド』など。埼玉県主催「メディア/アイドルミュージアム」のアドバイザーと、会期中に行われた全9回の番組&イベントMCを担当。DVDマガジン
『IDOL NEWSING vol.1』を手掛けている。
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