
『ジャッカス』シリーズの顔であるジョニー・ノックスヴィル。全米では知らない人はいない超人気スターだ。
仮設トイレごとバンジージャンプして全身ウンコまみれになるわ、牛の精液を一気飲みするわ、常に体を張った過激なギャグをカマしてきた『ジャッカス』。放送コードや映画倫理なんかクソくらえとばかりに、ジャッカスのメンバーたちがお下劣ネタの数々に挑戦する姿はある種のすがすがしさ、何事にもとらわれない荘厳さすら感じさせる。2000年に米国の有料ケーブルTV「MTV」の番組として人気に火がついた『ジャッカス』。さらにスケールアップした劇場版はどれも全米で大ヒットを記録した。劇場版第4弾となる最新作『ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中』はジャッカスの中心メンバーであるジョニー・ノックスヴィル主演のロードムービー仕立て。86歳のおじいちゃんが8歳になるかわいい孫を連れて、父親探しの旅に出るという内容だ。「もしかして感動作?」と思わせておいて、特殊メイクでおじいちゃんに化けたジョニーと子役が、行く先々で一般市民にドッキリを仕掛けていく。妻の死体を土葬するのを引っ越し業者に手伝わせたり、ストリップバーでチンコをぶらぶらさせて大騒ぎするなど、相変わらずのやりたい放題ぶりである。来日したジョニーに日刊サイゾーは単独インタビューを敢行。「お笑いとメディアの関係」についてジョニーに尋ねたところ、ものすごく真剣に答えてくれたのだ。
──全米を代表するドル箱スターでありながら、常に体を張り続けるジョニーさんにお会いできて光栄です。
ジョニー いやいや、とんでもない。僕も大好きな日本にまた来ることができて、とってもハッピーなんだ(笑)。
──これまで、とことん過激な笑いを追求してきた『ジャッカス』ですが、今回はロードムービー仕立て。過激さの追求よりも、一般の人たちがジャッカス的な笑いを目撃した瞬間のリアクションの面白さに比重を置いています。これまで以上に過激なネタに挑み続けると体が持たない、観客もドン引きしちゃうよということからスタイルを変えたんでしょうか?

ハートウォーミングなロードムービーに見せかけて、ジジイとクソガキのコンビでとんでもないドッキリを仕掛けまくる。
ジョニー う~ん、決してそういうわけじゃないよ。僕は体を張ったネタが大好きなんだ。体を使ったギャグは国境を越えて世界中の人たちを楽しませることができると思っているしね。でも、今回は新しい試みとして、ドラマとドッキリを融合させたものに挑んでみたんだ。おじいちゃんと小さな孫という誰からも愛されるキャラの2人組が、とんでもないことを各地でやらかすというね(笑)。それでドラマ部分を先に撮影して、いつもの体を張ったネタは後半2~3週間に回したんだ。というのも体を張ったネタで大ケガしてしまうと撮影中止になっちゃうからね。それで子役のジャクソン・ニコルくんと一緒にドラマ部分を先に撮っていたら、予想以上におじいちゃんと孫が旅を通して絆で結ばれていく様子がいい感じで撮れちゃったんだ。ドラマ部分を生かすために、お笑いの部分がちょっぴり控えめになったかもしれないね。
──作品としての完成度を高めるためにお笑いとドラマ要素の配分に気を遣ったけれど、新しい笑いに挑戦し続けるというスタンスは変わらないわけですね。
ジョニー うん、そういうこと。過激なギャグはもうやりたくないとか、そういうことではないんだ。いつもほどの大ケガじゃなかったけど、今回も肩を痛めたし、ヒジ骨折したし、指のケガで2度手術したしね。でも、僕はそういったスタントによるギャグはやめようとは思わない。今でも新しいネタを考えているところだよ。
──今日はジョニーさんに折り入ってお聞きしたいテーマがあるんです。最近の日本では、ちょっと過激なお笑い番組やドラマがあるとBPO(放送倫理・番組向上機構)という査問機関に視聴者が通報するか、スポンサー企業にクレームが寄せられ、BPOが具体的に審議する前に番組製作者が放送内容を自粛してしまうという状況に陥っています。『ジャッカス』にも相当のクレームがあったと思いますが、製作者でもあるジョニーさんは、どのように対応していたんでしょうか?

いつもは陽気なジョニー兄貴だが、自分たちの命懸けの笑いを政治家が利用したことには怒り心頭なのだった。
ジョニー (通訳に質問内容を2度聞いてから)ゴメン、ゴメン。マジメな質問のようだから、確認させてもらったよ。そうだね、米国でもやっぱり同じような状況なんだ。番組内容に不快感を覚えた視聴者からのクレームって、やっぱり来るんだ。査問機関に訴えるまでしなくても、クレームが高まれば、放送内容は自粛することになるし、番組は中止にもなる。これは米国でも一緒だよ。『ジャッカス』は、もともとは(放送規制の少ない)有料ケーブルTVで放映されていたわけなんだけど、苦情が多かっただけではなく、『ジャッカス』のネタを真似した視聴者がケガをするというよろしくない事態が起きてしまった。このことに対し、コネチカット州の上院議員であるジョセフ・リーバーマンってヤツが『ジャッカス』のことを執拗に攻撃してきて、放映反対運動が起きたんだ。問題が起きてから10カ月後、MTV側が『ジャッカス』に対していろいろと厳しいルールを課することを決めてきた。MTV側が決めたルールは僕らが納得したものではなかったし、僕らはそういったルールの中でネタをやることに抵抗を感じたんだよ。『ジャッカス』のテレビ放映が終了したのには、そういう経緯があったんだ。
──それで『ジャッカス』はテレビから劇場版へと表現の場を移したわけなんですね。
ジョニー 『ジャッカス』のテレビ放映が終わった真相をもうひとつ言うなら、その年が選挙の年だったということもあるんだ。政治家ってヤツらは選挙が近づくと、やたらとハリウッドを攻撃してくるんだよ。犯罪や教育問題と違って、ハリウッドを攻撃しても実のある答えはないことが分かっていながら、ヤツらはやるんだよ。人気番組や人気タレントを叩くことで、マスコミに取り上げられようとするんだ。
──純粋な笑いを追求する『ジャッカス』と違って、政治家の言動って動機が不純だなぁ。『ジャッカス』のお笑いに対するポリシーについて教えてください。もし、メンバーの誰かが今までにない超おもろいネタを考えついたとします。でも、そのネタがあまりにも社会的モラルから逸脱している場合はどうしますか?
ジョニー 僕らはお笑いに関しては、常に高い高いボーダーを掲げているよ。その高いボーダーをどう飛び越えていくか、そのことに僕らは懸命に取り組んできたんだ。面白いネタを誰かが考えついたら、何をおいてもまずやってみる(笑)。それは誰が考えついたネタかってことは関係ないんだ。誰が考えたネタであれ、みんなを爆笑させることが僕らの喜びだからね。え~と、劇場版の第1作で、お尻の穴にミニカーを突っ込んだネタは観た?

特殊メイクで86歳のジジイに大変身。アカデミー賞メイキャップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされました。
──はい、肛門にミニカーを押し込んだまま、病院でレントゲン写真を撮ってもらう爆笑ネタでしたよね。
ジョニー そうそう(笑)。あのネタは、もともとはスティーヴォーが思いついたネタだったんだ。コンドームに入れたミニカーをお尻の穴に挿入したらどうなるかというね。でも、そのネタのことを知ったスティーヴォーの父親が「自分の息子がそんなバカげたことをするなんて許さん!」と激怒して、それでスティーヴォーは「親とは縁が切れない。俺にはできない」って言いだしたんだ。スティーヴォーは、ほかにもさんざんひどいネタやってるのに(苦笑)。でも、それはボツにするにはあまりにも惜しいネタだった。それでライアン・ダンが「じゃあ、俺が代わりにやるよ」ってミニカーを自分の尻に突っ込んだのさ(笑)。面白いネタがあれば、まずやってみる。体を張ったネタで、みんなを笑わせる。それが僕らジャッカスのポリシーなんだよ。
──いい話だなぁ。全身ケガだらけだそうですが、体は大丈夫ですか?
ジョニー 毎回、傷だらけになるからね。過去にはポコチン(※ここだけ日本語)を骨折したこともあるよ(笑)。あちこち痛いけれど、体当たりギャグはこれからもずっと続けていくつもりさ。
(取材・文=長野辰次、撮影=名鹿祥史)

『ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中』
プロデューサー/スパイク・ジョーンズ、ジョニー・ノックスヴィル、ジェフ・トレメイン、デレク・フリーダ 監督/ジェフ・トレメイン 出演/ジョニー・ノックスヴィル、ジャクソン・ニコル 配給/パラマウント ピクチャーズ ジャパン PG-12 3月29日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
(c) MMXIII Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.
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http://www.jackassmovie.jp>
●ジョニー・ノックスヴィル
1971年米国テネシー州生まれ。2000~2002年に米国の有料ケーブルTV「MTV」で放映された『ジャッカス』の中心メンバーであり、共同製作者。劇場版『ジャッカス・ザ・ムービー』(02)、『Jackass Number Two』(06)、『ジャッカス3D』(10)はどれも全米初登場1位となる大ヒットを記録。そして『ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中』(13)はシリーズ最大のヒットとなる1億4900万ドルを稼ぎ出した。俳優としてファレリー兄弟監督の『リンガー!替え玉★選手権』(05)やアーノルド・シュワルツェネッガー主演作『ラストスタンド』(13)などにも出演している。