
左から海上幕僚監部人事計画課 隈部隆3佐、陸上幕僚監部募集・援護課 堀裕次3佐、航空幕僚監部人事計画課 小路泰弘技官
最近、自衛隊の様子がどーもおかしい!
防衛省のオフィシャルマガジンである雑誌「MAMOR」(扶桑社)では、表紙にAKB48やアイドリング!!!、平野綾、吉木りさ、足立梨花といったグラビア誌顔負けのアイドルたちを起用してネット上などでも話題となっているし、ドラマ『空飛ぶ広報室』(TBS系)や映画『永遠の0』の撮影に全面協力、さらには人気萌えアニメ『ガールズ&パンツァー』のイベントに10式戦車の実車展示をするなど、やたらと柔らか~い広報活動を行っているのだ。
かつて、映画『野性の証明』や『戦国自衛隊』などは、撮影時に自衛隊の協力を得られなかったらしいけど、やはり自衛隊といえばお堅くてハードな男の世界、軟派な映画やアニメになんて簡単には協力してくれないイメージはある。「萌えアニメに協力して!」なんて言った日にゃあ、激怒されて戦車で追いかけられるんじゃないか!? ってなもんだ。
そんな自衛隊が、トレンディドラマ(死語)や萌えアニメに協力とは時代も変わったもんだ!
そして、さらなる一手として、自衛隊への志願者増を狙ったスマホアプリを開発したという。
自衛隊の募集といえば、“空に向けてズバーンと指を向けたポスター”というイメージが強いけど、いまやそれもスマホアプリで、という時代なのか!?
このアプリ、自衛隊の活動を学べるお堅い勉強アプリみたいなものではなく、自分の顔を撮影してさまざまな制服を着た自衛官アバターにはめ込み、ポーズをとらせて画像を作成。TwitterやFacebookに投稿することができるという……いかにも中高生たちが好きそうなアプリ!
……こんな、オタク&ヤングにすり寄ったかのような最近の自衛隊の広報戦略、一体どーなっているのか、自衛隊の募集広報担当の方を直撃してみた!
――自衛隊がスマホアプリをリリースということで、若干戸惑っているんですけど「やっぱり今、時代はアプリだろ!」みたいな意見が多かったんでしょうか?
「少子化が進んで若者の絶対数が減っている中、それでも自衛隊では普通の企業さんと比べて、より多くの人材を採用しなければならないんです。そこで、若者がどういうものに興味を持っているのかということを分析したところ、どうも1日10時間くらいスマホに触れているらしいと。そのスマホの中に、制服の自衛官のキャラクターが入り込んだら身近に感じてもらえるんじゃないかと思い、こういう形でアプリを制作しました」

アプリを起動し、まずはスマホのカメラで自分の顔を撮影。

撮影した写真をさまざまな制服を着た自衛官アバターにはめ込み、アクションや背景画像を選択。
――確かに興味は持ってもらえそうですけど、1日中スマホを手放せないような人ばっかり応募してきても困るんじゃないですか?
「程度の問題はあると思いますが(笑)。もちろん、応募してもらったからといって100%採用されるわけではなく、試験がありますからね」
――ところで、自衛隊に入隊してからもSNSをやってて大丈夫なんですか?
「最近ではSNSでのなりすましとか、炎上ということが問題になっていますので、そういったことには十分留意するように注意喚起はしておりますが、SNSを使用するのは自由です。実際、若い隊員たちは結構やっていると聞いています」
――自衛隊の採用試験って、どんなことをするんですか?
「それぞれの募集種目によっても違うんですけど、基本的には高校数学や国語、一般教養だったり、普通の入社試験と同じようなテストが行われています。それと面接ですね」
――その年によって自衛隊の応募人数も増減すると思いますが、どんな時期に応募者が増える、減る……みたいな傾向ってあるんですか?
「やはり、景気に左右されない安定した職業というイメージが強いので、世間全体の景気が悪い時には応募者が増えますし、景気がいい時には、応募者が減りますね」
――このアプリのほかにも、最近ではテレビドラマだったり、映画はアニメなどで自衛隊が取り上げられていますが、それを見て応募してきたという人もいるんでしょうか?
「具体的にアンケートを取っているわけではないんですが、いろいろ話を聞く中では『空飛ぶ広報室』を見て応募しました、という人も少なからずいるようですね」
――ちなみに『ガルパン』を見て入ったという人は……?
「『ガルパン』や『艦隊これくしょん』に憧れて……というのは、まだ聞いたことはないですけど(笑)。そういった作品で自衛隊に親しみを持ってもらって、志望動機のひとつになる……というような影響はあると思います」
――兵器マニア・軍事マニアといった人たちからの応募も多かったりしますか?
「まれにサバイバルゲームなどが大好きだという人はいますけど、特にマニアが多いということはないと思います。本当のマニアの方は、入隊しないで基地などで開催されるイベントに熱心に通ってくださっているんじゃないでしょうか」

アバターは、三幕の制服・男女各9種類、アクションは全12種類から選べる。

背景画像は、「10式戦車」「イージス艦みょうこう」「F-2戦闘機」など、実際の自衛隊装備全10種類。噴出しには、自由にメッセージを入力することもできる。

専用のARマーカーにかざすと、「自衛官になった未来の自分=アバター」が現れる!

作成した画像は、メールやSNSなどで送れる。
――ははぁー、確かに一般の人のほうが兵器にメチャクチャ詳しかったりしますからね。
「制服で街を歩いていると、時々マニアの方に話しかけられることがあるのですが、“旧・日本軍の兵器がどうで……”と熱く語られ、戸惑うことも少なくないです(笑)」
――現在のことについては知っていても、歴史的背景まではそこまで詳しく知らないでしょうからね。そういう意味では、今回のアプリはマニアックな要素を廃して、かわいらしいキャラクターと制服という、一般の人にも分かりやすい作りになっていますよね。
「あまり深いところには突っ込まないで、『自衛官の制服ってこんなに種類があるんだ』くらいの感覚で使ってみてもらいたいです」
――逆に、最近の柔らかめな広報活動に対して「さすがに柔らかすぎるんじゃないか?」というような意見はないですか?
「そういう意見は私の耳には入ってきていません。たとえば『ガルパン』や『ニコニコ超会議』といった、これまでだったら参加しないだろうというようなイベントに戦車を展示したりしていますが、大変好評を得ています。こういうことを入口として、興味を持ってもらえればうれしいですね」
――そういった親しみやすい広報活動や、東日本大震災での救助活動などでイメージアップしているのか、最近では婚活パーティーなどでも自衛官が人気ナンバー1となってるらしいですね。
「うーん、我々の時代とは違うなという感じですね。うらやましいですよ(笑)。でも、隊員が制服で歩いてキャーキャーいわれるかといえば、そんなことはまずないので、実感はあまりないですね」
――軍事マニアのおじさんに声をかけられるくらいで(笑)。
「雑誌やテレビ番組などでも『自衛官が人気』なんて取り上げられていますけど、ホントかなぁ~? と、ちょっと疑いの目を持ってしまいますけどね。若手の結婚率が高くなっているという実感もありませんし……。まあ、自衛隊という組織が若い女性の方たちからもある程度、認知・評価を頂いているとしたらうれしいことですね」
――このアプリなどをきっかけに自衛隊に興味を持った人たちに、自衛隊で働く上でオススメできるポイントと、でもここが大変だぞというポイントを教えてください。
「自衛隊というと、やっぱり延々とほふく前進をしたり、銃を持って走っているイメージがあると思いますが、実は自衛隊ほどいろんな職種がそろっている職場ってないんじゃないかと思います。体力がある人もない人も、勉強が好きな人も嫌いな人も、自分に合った職種を選ぶことができます。たとえば料理が好きだったら、そういう職種が用意されていますし」
――料理を専門に作っている隊員もいるんですか!?
「給養員というんですが、船の中などで料理を作る専門の隊員がいますね。あとは、子どもの頃に憧れていた戦車や飛行機を自分で操縦できるというのはほかでは味わえない体験なので、やはり魅力的ですよね(笑)」
――ボクなんかは自衛隊の生活というと、どうしても、『フルメタル・ジャケット』を想像しちゃいますけど、そんなことはないぞと。
「私も、普段は1日中パソコンに向かっている仕事ですからね。そういう事務職もありますので、体力に自信のない女性の方などでも、それに合った職種というのが見つけられると思います」
――逆に、ここは大変だ……という点は?
「やはり、団体生活が苦手な人にはキツイとは思いますね。どうしてもチームで動いていく仕事なので、そこには慣れてもらわないと大変じゃないかなと思います」
――最後に、こんな人材を求めてるぞ! というのを教えてください。
「やはり『国を守るぞ!』という気概を持って入ってきてくれる人が理想です!」
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正直、自衛隊員はみんな丸坊主で毎日地獄の行軍とかしているんだろう、くらいのザ・偏ったイメージしか持っていませんでしたが、料理を作る人、兵器の整備をする人、薬剤師、音楽を演奏する人……などなど、自衛隊員にもいろんな職種があるんですなぁ。
ボクもちょっと興味が出てきたぞ! ……と思ったものの、募集しているのは基本的に27歳以下の若者なんだそうな。もうボク、若者じゃないんだな……。
まあ、採用基準を満たしている人も、はみ出しちゃっている人も、とりあえず自衛隊アプリ「キミにエールAR」を使ってみたらいいんじゃないかな?
(取材・文=北村ヂン)
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スマホアプリ「未来のキミがキミを応援!“キミにエールAR”」
3月26日(水)リリース
無料(※ダウンロードや利用の際に発生する通信料は利用者負担となります)
iOS6.0 以降推奨 / Android OS ver 2.3.x 以降(ver4.x 推奨)
発信元:防衛省・自衛隊
自衛官募集ホームページ<
http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/>
アプリ紹介ページ<
http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/app/>
AppStore URL<
https://itunes.apple.com/jp/app/kiminieruar/id834024804?l=ja&ls=1&mt=8>
Google Play URL <
http://play.google.com/store/apps/details?id=jp.go.mod.yell>