
映画『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』公式サイトより
伝説的バトルコミック『聖闘士星矢』(原作・車田正美)が、今年6月にフルCG映画『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』として復活するということで、全国のマサミストたちが注目しています。
「聖闘士星矢」とは、1985年から1990年にかけて「週刊少年ジャンプ:(集英社)にて連載された、80年代を代表する少年漫画の一つ。星座をモチーフとしたプロテクター「聖衣(クロス)」をまとった美少年たちが、ギリシア神話の女神アテナの生まれ変わりである城戸沙織を守るべく、命がけのバトルに挑むという内容のアクション大作です。
本作の特徴はなんといっても、神話をベースとしたファンタジックな世界観と、端正なビジュアルのキャラクターたち。女子ウケする要素全開の本作は、メインターゲットの男子のみならず、今でいうところの「腐女子」層に大ウケし、大量の薄い同人誌が即売会で飛び交ったそうです。
ちなみに連載の当時の筆者は、カリカリの鼻たれ小学生。そんな大人の世界の盛り上がりとは別に、玩具メーカー・バンダイから発売されていた聖衣の着脱が可能なアクションフィギュア「聖闘士聖衣体系(セイントクロスシリーズ)」に大ハマりしていました。この玩具も大ヒットを記録したそうで、87年度男子玩具最大のヒット商品となりました。
そんな作品の人気は海外にも波及。特にフランスでの過熱ぶりは格別だったようで、当時、新刊が到着する船便を現地のファンが港で待ち構えていたという都市伝説もささやかれていました。
このようにビッグバン的大ヒットを記録した『星矢』だけあって、現在も玩具やアニメ、コミックなどさまざまなメディアでシリーズが展開中なのです。
しかし、あまりにも多岐にわたるメディア展開のために、「それぞれの作品の関係性や内容がよく分からん!」という人も多いはず。そこで、今回はざっくりと現在進行中の『聖闘士星矢』シリーズをチェックしてみたいとと思います!
●『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』

現在、「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で不定期連載中のコミック。手掛けるのは原作の車田正美。ということで、本作が原作コミックの正統な続編といえます。冥王ハーデスとの決戦で重傷を負った星矢は、ハーデスの呪いで余命3日! そこで、今まで星矢に救われ続けてきた沙織さんは一念発起して、星矢を救うべく立ち上がります。なんだかんだあって、243年前の前聖戦の時代にタイムスリップした沙織さんですが、なんとまたも赤ん坊の姿でアテナ神殿に降臨してしまうのでした! 瞬、紫龍、氷河、一輝といった青銅聖闘士も過去にタイムスリップし、先代ペガサスの聖闘士・天馬とともにハーデス軍との戦いに臨みます。
序盤は車田正美自身も手探りで続編を執筆している感もあった本作ですが、現代とストーリーがリンクするようになったあたりから徐々に筆が乗ってきた様子。ここ最近は「これぞ車田節!」とでもいうべき、ベタながらも熱い展開が続いています。歴史の闇に葬られた十三人目の黄金聖闘士・蛇つかい座の聖闘士が登場したり、劇場用アニメ『聖闘士星矢 天界編~序奏~』の設定やプロットを盛り込みつつ、それをブラッシュアップした先が読めない展開がたまりません。とりあえず『聖闘士星矢』の続編漫画が読みたい! という方には、ぜひ押さえていただきたい作品です。
●『聖闘士星矢Ω』

現在、テレビ朝日系列で放送中の「アニメ版の」続編ともいえるアニメ作品です。ファンなら周知の情報ですが、原作とアニメ版でかなり『聖闘士星矢』の設定は異なっています。
一例を挙げると、原作だと序盤のボスキャラ・教皇の正体は、13年前に当時の教皇であるシオンを暗殺したサガ……という設定でしたが、アニメ版では物語スタート開始の時点で前教皇シオンは存命。しかし、13年前にその弟であるアーレスをサガが暗殺にすり替わり。さらに、物語序盤の銀河戦争開始時にアーレスになりすましたサガが、シオンを暗殺し、アーレスとして教皇の座に就く……という、ややこしい設定になっています。
そのほか、原作には登場しなかった謎の聖闘士・鋼鉄聖闘士(スチールセイント)が出てきたり、「我が師の師は、我が師も同然!」という迷セリフが飛び出したりと、原作とほぼ同時進行で制作されていたがゆえに発生した設定の食い違いが多くあり、アニメ版『星矢』の世界と原作版『星矢』の世界は、パラレルワールドと言ってもいいかもしれません。
そこで、現在放送中の『Ω』は、思い切って「アニメ版」の設定をベースに、数年後の世界の物語を描いています。黄金聖闘士に出世した星矢や紫龍、新生聖衣で登場する氷河、瞬、一輝。ムウのあとを継いで白羊宮を守る貴鬼、後進を育てる二軍青銅聖闘士たち、白銀聖闘士にランクアップするヒドラの市様など、前作ファンには嬉しい要素のほか、まさの鋼鉄聖闘士復活など「アニメ版」愛にあふれる設定や展開が満載。土曜日早朝という、リアルタイムで見るにはなかなかつらい放送時間ではありますが、未見の方はぜひ一度チェックしてみてください!
●『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』

「週刊少年チャンピオン」にて連載されたコミックであり、作画を手掛けたのは車田正美作品の大ファンという漫画家・手代木史織。本作はペガサスの聖闘士・テンマと、冥王ハーデスとして覚醒してしまった親友・アローン。女神アテナとして覚醒した幼なじみの少女・サーシャの3人を中心に前聖戦の戦いを描く作品です。当初は、『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』と同じ物語を、異なる視点で描くという触れ込みでスタートした本作ですが、いつしかそれぞれ異なる展開を見せ始め、現在は同じ時代を舞台としながらもまったく異なるパラレルな存在となりました。
すっきりした絵柄と、原作リスペクトに満ちた内容となっており、古参ファンからも好評だったらしくOVAも全26話にわたって制作されました。現在、本作に登場する黄金聖闘士を主人公にしたオムニバス『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 外伝』が、「別冊少年チャンピオン」(秋田書店)にて連載中です。
●『聖闘士星矢 セインティア翔』

本作が、一番新しい「星矢」シリーズ作品です。主人公は、女神アテナを直に守る女性聖闘士である聖闘少女(セインティア)・子馬座(エクレウス)の翔。本来、女性聖闘士は女性であることを捨てるために仮面をかぶっていないといけない、という設定が存在しています。ということは、主人公は仮面女子? と思う熱心なファンもいるかと思いますが、そこはアテナの侍女という性格も持ったセインティアだけに、特別に素顔を出したままでも無問題!
物語は十二宮編後の時系列ということで、どうやらポセイドン編開始までの空白期間が描かれる本作は、現在「チャンピオンRED」(秋田書店)にて久織ちまきの作画で連載中。本編に連なる限りなく正伝に近い内容となっており、新たな聖闘士像をどう描くのか、気になりますね!
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というわけで、簡単ながら現在進行中の『聖闘士星矢』作品を振り返ってみました。今回紹介したタイトル以外にも、昨年完結した若かりし日の黄金聖闘士の活躍を描いた『英闘士星矢 EPISODE G』というコミックも存在しています。これらの作品をまとめて読めば、より『聖闘士星矢』の世界への理解が深まるはず!
ちなみに『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』は、原作屈指の人気エピソードである十二宮編を劇場用アニメとして再構成したものになるそうです。単純に2時間の映画として考えても、1ステージあたり10分弱でケリをつけないといけない、すさまじいドタバタマラソンになる気もしますが、そこはきっと原作を良改変することできちんとまとめ上げてくれるはず(いや、マジでお願いします)!
公開が今から楽しみですネ!
(文=龍崎珠樹)