
海外進出も目前に迫っているMAN WITH A MISSION。
【リアルサウンドより】
狼のかぶり物をしていることでも注目を集めるMAN WITH A MISSIONが、3月12日にニューアルバム『Tales of Purefly』をリリースし、2014年の秋にはEpic Recordsより全米デビューが決定している。海外では以前から、スリップノットやダフト・パンクなど、かぶり物をすることで人気に拍車をかけたバンドやユニットは少なくない。日本でもまた、同じ要素で人気になっているバンドは沢山いる。ここではそういったバンド達を「お面系バンド」という形で紹介するとともに、なぜ今、そういったバンドの人気が高まっているのかに迫りたい。
BEAT CRUSADERS
1997年から2010年にかけて活躍した日本のお面系バンドであり、海外ファンからの評価も高かったバンド。メンバー全員が自分の似顔絵が描かれたお面を被っていた。ストレートな英語詞と、洋楽の面白い部分を数多く取り入れたサウンドは、高く評価された。また、ライブでは素顔で演奏したり、卑猥なコール&レスポンスをすることから、その部分を楽しみに足を運ぶファンも少なくなかった。惜しまれつつも2010年に解散してしまったが、当時のメンバーは別々のプロジェクトで現在も活躍している。
MAN WITH A MISSION
エレクトロサウンドとロックを取り入れた、エモーショナルなミクスチャーサウンドと、物珍しい見た目で若年層のファンから人気を獲得している。ライブでも素顔を見せることはなく、MCもカタコトでおぼつかない日本語を話すなど、頑なにその匿名性を守っている。しかし色物という訳ではなく、ライブやフェスでの動員やCDの売り上げも高いことから、実力派のバンドであることが伺える。
FACT
1999年に結成。ハードコアやスクリーモ、スラッシュメタルなどの骨太の音を軸に、ドラムンベースなどダンスミュージックを混ぜ込んだ、多才なバンド。このバンドは日本よりも先に海外で評価され、2009年8月にイギリスのSonisphere Festivalに出演した。彼らはメジャーデビュー以降、能面を被った姿でミステリアスな雰囲気を演出しており、それもファンに人気の要因とされている。ライブでは素顔を見ることが出来るので、気になる方は行ってみることをおすすめする。
This is Not a Business
「オオカミの次は天狗バンド!」という公式ホームページの言葉や、「WITH A MISSION」という曲のタイトルからわかるように、明らかにこのブームに乗っかろうとしているバンド。だが、実力がないかと言えばそうではなく、ドラムレスであることを活かした、デジタルなダンスミュージックとラウドロックが融合したサウンドは評価が高く、今年の1月8日にファーストアルバム『WELCOME TO THE TENGU WORLD』をリリースし、まさにこれから人気を獲得していこうとしているバンドだ。
このように、お面やかぶり物をしたバンドは少なくないが、そこにはどのような意味合いがあるのか。ライター・物語評論家のさやわか氏は、お面系バンドについて以下のように分析する。
「お面系バンドには二つの意味合いがあります。ひとつは匿名性を高めるということ。お面系バンドでテクニックがあったり、玄人好みな音楽をやっていると、いったい誰がやっているんだろう、という興味が湧き、ミステリアスな魅力が高まります。BEAT CRUSADERSなどは、そういった側面が強かったバンドではないでしょうか。もうひとつは、キャラクターを付与して、新たな魅力を生み出すということ。たとえば聖飢魔IIなどが『俺たちは悪魔だ』とか言うのがこれに当たります。そして最近、流行しているお面系バンドに関しては、後者の意味合いが強くなっている印象です」
たしかに、ミステリアスであることで、より興味を持ってもらえる要素は大きい。では、キャラクター作りをすることが流行している背景にはどのような事情があるのだろうか。
「インターネットでニコニコ動画などが流行してから、マンガ的なキャラクターが歌っている、という体で作品を発表するミュージシャンが人気となっています。相対性理論やさよならポニーテールのようにイラスト主体のビジュアルを使うグループもそうですし、ボカロ作品で、キャラクターのイラストを描くのも、それに当たるでしょう。その動きと並行して、近年はアイドルのように『与えられたキャラクターを演じる』タイプのミュージシャンが人気を集めるようになってきました。そういった流行に乗るために、キャラ作りをするバンドが増えているのかと。しかしバンドの場合は、より自意識に対するこだわりがあるので、あくまでも『キャラ』としてやっているというのではなく、自分たちが演奏しているという側面を残しておきたいはずです。そこで彼らは、マンガ的な覆面を被ってキャラクターを付与しつつも、生身での演奏にこだわるという、いわば折衷案的な感じで現在のスタイルとなっているのではないでしょうか。MAN WITH A MISSIONなどは、その典型的なパターンかと思います」
この流れはロックバンドにとどまらず、メンバーの中にお面を被ったものが一人だけいるSEKAI NO OWARIや、アイドルなのにお面を被っているアリス十番など、バンドの枠を超えつつある。また、お面系バンドは後々、素顔を披露するケースも少なくない。BEAT CRUSADERSはすでに素顔を晒して、メンバーがそれぞれの場所で活躍をしている。現在お面を被っているバンドも、いずれはお面を脱ぐ瞬間が訪れるかもしれないので、その点にも注目すると、より楽しみが増すかもしれない。
(文=編集部)