新井浩文の元気なTwitterに、「オイシイ獲物」と芸能マスコミ高評価

『赤い季節』(ユニバーサルミュー
ジック)

 新鋭女優・二階堂ふみとの交際で一躍話題の人となった俳優の新井浩文。16歳も年が離れた女性との恋愛、そして無類のアイドル好きということもあり、業界内では「あいつはロリコン俳優かよ!」(映画関係者)という声も数多く上がっているという。しかし、それよりも話題になっているのが、スポーツ紙に熱愛をすっぱ抜かれる前に、自らTwitterで情報を発信したという手法だ。その裏には、ある名優から直伝された「スキャンダル対策法」があったという。

 2001年、窪塚洋介主演の映画『GO』で役者デビューした新井。その後も地道に俳優業に勤しみ、現在は映画にドラマに引っ張りだこの状態だ。一方で、AKB48など女性アイドルグループの熱心なファンとしても有名で、「今回の報道が出た時、新井の顔写真を見た多くのオタクたちが『あいつ、会場で見たことがある!』と口々に言っていました」(芸能ライター)。

呼び捨てにしてる感じをなくす方法は? 新ローマ教皇の呼び名は「教皇フランシスコ」だが……

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フランシスコ
 3月13日、初の中南米出身となるローマ教皇が選出された。就任ミサでは、権威の象徴である指輪に伝統的な金ではなく金メッキを施した銀のものを用いたり、出身国・アルゼンチンの人々に「(就任ミサに)お金がかかるから来ないで」と呼びかけたり、これまでにない行動が注目を集めている。  しかし、それ以上に気になるのが新教皇の名前の読みと敬称である。日本のマスメディアの多くが「ローマ法王」という言葉を使っているが、カトリック教会が「ローマ教皇」の名称を用い、マスメディアにも「教皇」の統一を求め「ローマ法王庁大使館」の名称変更を日本国政府に求めているのは、よく知られている。  今回、新たに教皇の名前をめぐっては「どっちが正しいんだ?」と多くの人が疑問に思った。BBCからイタリア国営放送まで、多くのメディアがネット中継を行っていたため、新教皇が選出されるとTwitterでも多くの人が呟いた。が、ツイートには「フランチェスコ」と「フランシスコ」の記述が混在していた。  今回の教皇名の由来は、12世紀のイタリアの聖人「アッシジのフランチェスコ」である。新教皇の発表の際にもイタリア語で「フランチェスコ」と発音していた。ところが、日本のカトリック教会では「アッシジのフランチェスコ」を「アッシジの聖フランシスコ」と呼称していることもあり、日本のカトリック中央協議会は「フランシスコ」の呼称で統一してほしいと呼びかけた。  由来となった聖人は、信者ならずともキリスト教のありがたい坊さんとして名前を知っている人は多いハズ。でも多くの人は「アッシジのフランチェスコ」で覚えているハズで「フランシスコ」の呼称には、なんか違和感が(ちなみに、バチカンの公用語であるラテン語だと「フランキスクス」らしい……)。  というわけで、正確な呼称はどれが正しいのか「ローマ法王庁大使館」に電話で聞いてみた。  電話で「あの、新しいローマ教皇の名前の呼び方なんですが……」と聞いたところ 「ああ、“フランシスコ”ですよ」 と、即答。聞けば、けっこうな数の問い合わせの電話があったらしい(親切に「フランス語なら……、英語なら……」と発音してくれたけど、流ちょうすぎて聞き取れなかった)。加えて 「2世が現れて初めて1世の呼称が使われるので、フランシスコ1世じゃないですよ」 とも。当初、海外でも「フランシスコ1世」と呼称され、日本でもカトリック中央協議会が同様の呼称を用いると発表したが、最終的に法王庁の意向を受けて1世をつけないことが決まった。  結果、新教皇を呼称する時、あるいは文字で表記する時には「教皇フランシスコ」、日本のマスメディアでは「法王フランシスコ」となる。  ううむ、なんだか呼び捨てにしているみたいで、ものすごい違和感を感じてしまうが「ローマ法王庁大使館」に聞いたら 「それで、問題ないです」 とのこと。ちなみに、ローマ教皇に対する尊称は「台下」という聞き慣れない言葉が用いられる。これは、高位の聖職者に対する尊称で、日本政府は「ローマ法王フランシスコ台下」の表記を用いている。「台下」は仏教では、大本山の門主などに用いられるものなので、ちょうど釣り合いが取れるということらしい。でも、いちいちニュースなどで「ローマ法王フランシスコ台下」と呼んでいたら、なんとも仰々しい感じも。  やっぱり「フランシスコ1世」でよかったんじゃない? (取材・文=昼間たかし)

「アポロが月から連れてきた少年」アイドルたちの名(迷)キャッチコピー

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『DREAM PRICE 1000 ピーター 夜と朝のあいだ
に』/ソニー・ミュージックハウス

 昔からアイドルを売り出す方法の1つに、「キャッチコピー」がある。現在、国民的アイドルになっているAKB48は「会いに行けるアイドル」。そして、ももいろクローバーZは「週末ヒロイン」。AKBは、専用の劇場や握手会などで身近に接することができるアイドルとして、ももクロは学業優先で週末に活動を行っているアイドルとして、それぞれキャッチコピーがつけられたわけだ。

 このようなアイドルのコピーは、一体いつ頃生まれたのだろうか。70~80年代のアイドル黄金時代に量産されたのは間違いないだろう。天地真理(61)の「ソニーの白雪姫」、山口百恵(54)の「大きなソニー、大きな新人」、松田聖子(51)の「抱きしめたいミス・ソニー」、石川さゆり(55)の「コロムビア・プリンセス」など、当時はレコード会社の社名を冠にしたキャッチコピーがあった。

昔はこのくらい平気でした……伏せ字にする気のないヤバイ印刷所の実態『パソパラチャット』1998年12月号

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『パソパラチャット』1998年12月号
(メディアックス)
 いつの頃から、雑誌でヤバいネタを書きにくくなったような気がする。かれこれ30年くらい雑誌好きとして人生を送っていると、“雑誌=ちょっとくらい人の悪口を書いても平気なもの”というのが常識だと思っていた。読者はそれを求めているはずだし、ターゲットにされたほうも笑って許してくれる……。でも、もうそんな時代は終わっていた。先日、ある雑誌で筆が滑って、看板作家を喰って嫁にした某編集長の話とか、挨拶代わりに女性編集者のおっぱい揉んでも怒られなかった某編集部(すでに廃刊)の話とか書いて入稿したら「やめてください!」と速攻怒られた。う~ん、もう時代は変わってしまったのか。  そんな昔を懐かしみながら、今回紹介するのは『パソパラチャット』(メディアックス)1998年12月号である。この雑誌は、91年に日本初のエロゲー専門誌として創刊された『パソコンパラダイス』の姉妹誌である。エロゲーを扱う本誌に対して、こちらのメインになっていたのがエロライトノベルとエロアニメである。  思えば、当時はオタク向けのエロコンテンツが伸びまくっていた時代だった。今でもエロアニメの一大レーベルとして知られる「ピンクパイナップル」が誕生したのは94年(最初のリリース作は『同級生』『マジカルトワイライト』『美しき性の伝道師麗々』……時代を感じます)のこと。90年代の後半には、当時の親会社だったKSSは西五反田に自社ビルを建てて、1、2階にはCD・ビデオ・ゲーム販売店ソフトガレージを出店。当時、筆者は東急池上線沿いに住んでいて「エロアニメってのは、随分と儲かるんだな……」と思ったモノだ。もっとも、あんまり客は入っていなくて、近隣の大学生の遊び場と化していたのだが。
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梅津泰臣版のキャシャーンは今でも名作だと思っています。
乳揺れが……。
 そうした時代背景もあって成立していた本書。今読み返すと「『殻の中の小鳥』からメイドブームがこうなるとは、思わなかったなあ……」とか「『AKITE』はフツーに面白いアニメじゃったよ……(原作・脚本・キャラクターデザイン・監督すべてが梅津泰臣)」とか、懐古厨な感覚に陥っていく。
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かかしあさひろの名を聞いて思い出すのは、出版社の在庫処分の場だったコミケの企業ブースで
嫌そうな顔してサイン会していた姿。昔の企業ブースは面白かったなあ、
新声社が潰れた後とか。
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当時からインターネットの記事が掲載されているなんて考えてみれば最先端だね。
 でも当時、この雑誌の購買意欲をそそっていたのは、そこではなかった。この雑誌、エロアニメの情報を看板にしながら、モノクロページはやりたい放題だったのである。中でも際立っていたのが、この号にも掲載されているシリーズ連載「ヲタク国勢調査」である。この企画は、ヲタクの自虐趣味を全開にしながら人の悪口も書きまくるという、今だったら絶対に編集者がビビってやらない企画である。  クレジットには「文カいたヤツ:ヨッシーアイランド/絵カいたヤツ:かかしあさひろ」とある。  今じゃ、代表作は『暴れん坊少納言』になっているかかしだけど、当時はエロマンガ家で、更科修一郎とかと一緒にマンガ・雑誌批評同人の形態でヤバげなことばっかり書いてコミケの評論スペースを賑わしていた頃。  そんな人脈によって生まれたとおぼしき企画ゆえ、「夏の思い出し」のタイトルでコミケについて語るのかと思いきや、冒頭から「もう現役復帰不可能な事、萩原○至のごとしじゃよ~」と、仕事するのがイヤだというボヤきを延々と綴る。そんな調子で始まる企画でまずネタにされているのが、「ヤバい印刷所」。このネタ、印刷所の会社名を伏せ字にしながらも、まったく隠す気なんてない。  せっかくだから引用してみるが「(ヤバい印刷所の)栄光の一位に輝いたのはなんと栄○印刷」として「とりあえず印刷屋の親父のくせに愛人3人も囲うの禁止」と、こんなところでライター生命を削らなくても……と思ってしまうような無茶な「批評」を。まあ、愛人ネタならまだいいだろうけど、ほかの印刷所への言及はほとんど営業妨害のレベル。「○○○○館」には「名簿転売の元祖。本が上がらなかったり、原稿が帰ってこないくらいならまだ良いが、借金のかたに名簿の転売は勘弁」だし、「○陽社」には「乱丁、落丁、が多いのは愛嬌で済まされるが、払った金より安い紙になってんのは許せん」……過去の事情を知らない人が読んだら「そうだったのか!」と半ば信じてしまうこと請け合いである。
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ページをめくるごとに思うのは、こーゆーものばっかり見てたら、
こんなオッサンになっちまったという自省だよ。
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この頃から、こんな同人誌ばっかり買っていたら、人生がこうなったでござるよ……自省。
 以前、印刷機マニアな某印刷所の人に「印刷所の歴史って誰かまとめないんですかねえ」と話したら「みんなしゃべりたがらないんだよね」と返された体験がある筆者も半ば信じてしまったぞ(あくまで印刷所ネタは引用ですからね!)  さて、1998年のコミケの際にちょっと騒ぎになったのが、「某イ○○エ○大使館」が「○チスのコスプレ」に抗議したとかしなかったとかいう一件。一応、夏のコミケの総括企画ということもあってか、その点にも触れているのだが「2日目のミリタリーブースは、まるでA○DS患者の寄り合い所帯みたいな雰囲気だった」とか書いてある。いやいや、散々「炎上」している筆者であるが、もし「日刊サイゾー」にこんなこと書いたら、炎上じゃなくて出禁は間違いないよ(おそらく、校閲でストップだけどね)。  冒頭に、人の悪口が書きにくくなった現在について記したわけだが、この企画が清々しいのは基本的に噂と悪口をネタに昇華しきっていることにある。ゆえに「よく、こんなこと書けるな」と思うネタはまだまだ止まらない。「オールジャンルとは名ばかりのエロゲー専門即売会コミックキ○ッ○ル」が、悪名高い○ロッコ○ーから運営母体を変えた件に触れた部分では「○ロッコ○ーのK社長にしてみれば自社で安く買い叩いた版権グッズを高く売るための格付け用イベントだったはずなんじゃが、やり方を真似する会社が出てきてうまみが減って」云々とかと、まったく伏せ字の意味がない。そして、やり方を真似した会社に対しても「○-BOOKSは、経営者がガ○タンク君から変わった途端に攻めの経営姿勢ですな」とか。いや、文章がよっぽど攻めの姿勢なわけですが……。ほかにも本文で「最近トンと噂に上らぬプリンス黒メガネ」と書きつつ、挿絵で「RED」って王冠つけた王子が書いてあるしサ。  やっぱり、雑誌の価値はほかのメディアでは躊躇することをガッツリと文字にできることにあると再認識させてくれるこの記事。もう、こんな時代ってこないんだろうなあ。 (文=昼間たかし/文中敬称略)

『ER』の伝説的ヒールから、テレビドラマの監督に出世したポール・マクレーン

髪型の変化に応じて演じる役をかえる潔さ!

――夢中になった映画やドラマに出演していた、あの人。パタッと見なくなったけど、やっぱり気になる~!! そんなアナタのために、サイゾーウーマンの海外特派員・JULIEが、噂のあの人の仕事からプライベートまで、現地で情報をかき集めてきました!

■今回のターゲット
ポール・マクレーン(『ER緊急救命室』のロバート・ロマノ役など)

 大都会シカゴにある病院の緊急救命室を舞台に、献身的に働く医師とスタッフの姿をドキュメンタリー・タッチで描き、世界中で大ヒットしたテレビドラマ『ER緊急救命室』。同作で、腕はいいが口が悪い一匹狼の外科医ロバート・ロマノ役を演じたのがポール・マクレーンです。病院が舞台のドラマはメロドラマになりがちと言われることが多いですが、ロマノの存在で湿っぽくならず、よりリアルに描けたとも評価されています。

サイエントロジーをモデルにした『ザ・マスター』人間は何かに依存しなくては生きていけない?

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新興宗教の教団一家を描いた『ザ・マスター』。
心理療法で人々を悩みから解放していくが、
教団が大きくなるにつれて在り方が変わっていく。
 トム・クルーズがセックス教団の教祖を演じた『マグノリア』(99)や石油王とうさん臭い伝道師との関係を描いた『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)など、ポール・トーマス・アンダーソン監督の作品では救済を願う主人公と信仰の関係が度々モチーフとなってきた。ベネチア映画祭監督賞を受賞した『ザ・マスター』に登場する“マスター”は、サイエントロジーの創始者であるL・ロン・ハバードをモデルにしたもの。戦場から帰国したものの自分の居場所を見つけることができずにいる主人公がカルト教団の教祖に出会い、ズブズブの関係に陥っていく様子が描かれる。  太平洋戦争が終わり、日本兵を相手に戦ってきた米国海軍兵のフレディ(ホアキン・フェニックス)は本国に帰還する。しかし、戦時中に機械油に柑橘類を絞ったオリジナルカクテルを発案し、すっかり自家製カクテルが手放せなくなってしまった。機械油を主原料にしたそのカクテルは通常のアルコールよりも強烈で、陰鬱な気分を一気に吹き飛ばすことができるが、体にいいわけがない。すっかりアルコール依存症になってしまったフレディは、ようやく見つけた職場で暴れてしまい、ホームレス状態となってしまう。たまたま出航しようとしていたクルーズ船に乗り込んでタダ酒にありつこうとするが、その船はカルト宗教団体「ザ・コーズ」のもので、教祖である“マスター”ことランカスター(フィリップ・シーモア・ホフマン)とフレディは対面。ランカスターは密航者であるフレディを歓迎し、しかも“メソッド”と呼ばれる心理療法で猛烈な虚無感に悩まされていたフレディの苦しみを和らげてくれた。お礼にフレディはオリジナルカクテルを振る舞い、ランカスターもその味の虜になる。年齢差のある2人だが、妙にウマが合い、フレディはそのまま教団に居着いてしまう。
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心的外傷を抱えるフレディ(ホアキン・フェニックス)は教祖ランカスター
(フィリップ・シーモア・ホフマン)の懐の深さに魅了されていく。
 心の問題を抱えた人々がランカスターの元に集まってくる。ランカスターは被験者に暗示をかけ、被験者の過去から前世へと遡っていき、不安の原因を探り当てていく。不安の原因が分かり、安堵する被験者たち。「単なる催眠術ではないのか?」と疑問を唱える記者が現われるが、その手の邪魔者は戦場帰りのフレディが有無を言わさず強制排除していく。悩める者たちを優しく救うランカスターが教団の表の顔、トラブルを力づくで処理するフレディが裏の顔となり、「ザ・コーズ」は信者数を増やしていく。教団においてフレディの存在は欠かせないものになっていく。  ランカスターの妻ペギー(エイミー・アダムス)は部外者の居候であるフレディのことを煙たく思うが、ランカスターはフレディを自分の片腕として寵愛する。教団が大きくなればなるほど、フレディが作ってくれるあのオリジナルカクテルを呑まずにはいられないからだ。多くの信者たちを悩みから解放していくランカスターだが、ランカスター自身の苦しみを理解し、分かち合ってくれるのはフレディしかいない。コドクな王様とそのコドクを癒す道化師のように、ランカスターとフレディは相互依存することで関係を深めていく。  ジョン・トラボルタ主演のトンデモSF映画『バトルフィールド・アース』(00)の原作者であるL・ロン・ハバードの素顔とサンエントロジーの内幕をバンバン暴いた実録ものかと興味津々で観始めたが、サイエントロジーはあくまでもランカスターが作った教団のモデルにとどめ、心的外傷を抱えた戦場帰りの男と新興宗教の教祖との風変わりな友情ものとしてドラマは展開していく。やがて教団が大きくなり、2人の関係は変わらざるを得なくなってくる。教団が社会に大きな影響力を持つようになったこともあり、ペギーはフレディに酒を断ち、教団の一員らしく規律を守るよう命じる。ランカスターもフレディに教団の後継者になることを望む。だが、それはフレディが求めていたものではなかった。より自由に、依存せずに生きられる広い世界へとフレディは飛び出していく。
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教団に息苦しさを感じ、飛び出してしまったフレディ。
だが、“マスター”なしでの生活は、フレディに虚しさを覚えさせるだけだった。
 「(新興宗教に)特に興味を持つことはなかった。多分、そういう人たちはある信条に賛同し、彼らは本当にそれを信じているんだろう。でも、ある時点で、権力に魅せられて堕落する者が出てくる。そういう人がグループを先導し、神と言われるものを作り出していく。それが僕の新興宗教に対する考えだ」。そうコメントしているのは、フレディ役を演じたホアキン・フェニックス。かつて両親が共に新興宗教「神の子供たち」の宣教師を務め、兄リヴァー・フェニックスを薬物の過剰摂取で失ったという過去を持つホアキン。ヤラセドキュメンタリー『容疑者、ホアキン・フェニックス』(10)で「罪深きこの人生やり直させてくれ♪」と自作のラップを披露する姿も、自分の中に巣食う苛立ちを持て余し続ける今回のフレディ役もホアキン自身の持つリアルな側面のように感じられる。  薬物、アルコール、セックス、過食、ギャンブル、職場、スマホ、占い……。現代人は大なり小なり、何かに依存せずには生きていけない。心の目を開いてくれるはずの宗教も盲目的に信仰するようになれば、それはただの宗教依存になってしまう。新興宗教を立ち上げた“マスター”ことランカスターも自分自身を救済してくれる存在を欲していた。ランカスターはエネルギッシュに人々に接する一方、自分の内面の弱さをちゃんと自覚していた。ランカスターのそんな部分も含めてフレディは人間味を感じていた。教団から束縛されることを嫌って放浪の旅に出たフレディだが、結局のところランカスター以上に心が惹かれる人物に出会うことはできない。物語の終わりに2人は再会する。英国に拠点を構えた教団はフレディの想像を遥かに上回る組織に成長を遂げ、かつて宗教家として人々の苦しみに耳を傾けていたランカスターは巨大企業のCEOのようになっていた。もはやランカスターはコドクに打ち震えるちっぽけな心はどこかに置いてきたのだろうか? それとも、もっと別な新しい依存の対象を見つけたのだろうか? (文=長野辰次) the_master4.jpg 『ザ・マスター』 監督・脚本・製作/ポール・トーマス・アンダーソン 音楽/ジョニー・グリーンウッド 出演/ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ローラ・ダーン R15 配給/ファントム・フィルム 3月22日(金)よりTOHOシネマズ・シャンテ、新宿バルト9ほか全国ロードショー  (C)MMXII by Western Film Company LLC All Rights Reserved. <http://themastermovie.jp> ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第214回]閉塞化した世界を笑い飛ばす、常識破りの怪作! メタメタおかしい底抜け脱線ホラー『キャビン』 [第213回]若松孝二監督が銀幕に遺した“高貴で穢れた楽園”芸能ものの血が騒ぐ男たちの饗宴『千年の愉楽』 [第212回]裏方スーパースター列伝、あの超絶技が蘇る!『セックスの向こう側 AV男優という生き方』 [第211回]いつもヘラヘラしていた変なヤツ『横道世之介』和製『フォレスト・ガンプ』を思わせる青春回顧録 [第210回]奥西死刑囚は“村社会”を守るための生贄にされた!? 名張毒ぶどう酒事件の闇に迫る再現ドラマ『約束』 [第209回]9.11テロの首謀者ビンラディン抹殺作戦の全貌! アメリカの夜明けは遠く『ゼロ・ダーク・サーティ』 [第208回]チェルノブイリ“立ち入り制限区域”で撮影敢行! オルガ・キュリレンコ主演の社会派作品『故郷よ』 [第207回]“明るい不登校児”のガラパゴスな団地ライフ! 中村義洋監督の箱庭映画『みなさん、さようなら』 [第206回]いつまでもバカやって、尻を追っかけていたい! ぬいぐるみの『テッド』は“永遠のエロ中学生” [第205回]石原慎太郎原作の異色ミステリー『青木ヶ原』ままならない人生の中で出会った恋人たちの行方 [第204回]陶酔と記憶の向こう岸にある世界に3Dで迫る! 松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ』 [第203回]あの低視聴率ドラマ『鈴木先生』が映画版に! “鈴木式教育メソッド”は世界を変えられるか? 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ジャニーズ御用雑誌で赤西仁のダメ夫記事――「離婚させたい」一同の思惑

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「女性セブン」3月28日号(小学館)
【サイゾーウーマンより】 下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る! 第168回(3/15~19発売号より)  福島原発で停電事故が起き、使用済み燃料プールの冷却システムが止まったという。安全基準の温度を超えるまで4日間は大丈夫と東電は言うが、現時点でも原因はわからず復旧していない模様だ。こんな会社に原発を再稼動させていいのだろうか。 1位「黒木メイサ 『イクメンになれぬ赤西仁』で窮余の電話」(「女性セブン」3月28日号) 2位「ビッグダディ さよらなら小豆島…離婚そして“一家離散”へ!」(「女性自身」4月2日号) 3位「古村比呂 激怒させた布施博『再婚相手の手紙』」(「女性セブン」3月28日号)  昨年9月に長女を授かった黒木メイサと赤西仁。昨年末までは2人揃ってメイサの故郷・沖縄で育児に勤しんでいたようだが、案の定、暗雲が立ち込めているようで――。  大河ドラマ出演の妻に対し、ほぼ無職の夫。だから当初は赤西が子育てを担当するという臆測もあったが、最近になって夜遊びを解禁! で、全然イクメンではないと散発的に報道される始末だ。そして今回の「セブン」である。現在の2人の様子がかなり詳しく書かれている。  それによると、メイサと赤西は現在、都内の高級住宅街の家賃60万円ほどのマンションに住んでいる。しかし、部屋には夜な夜な派手な若者が出入りし、大音量で音楽を鳴らしたり、朝まで電気が点いていたりという、イクメンどころの騒ぎではないらしい。さらにメイサには子どもを預けるほど信頼できる友人がいない。そのため、メイサは娘を連れ1人沖縄に飛び、娘を母親に預け、3週間後に再び単身沖縄に娘を迎えに行ったこともあったという。しかも、そこに赤西の姿はなかった。そんな生活を続けるわけにはいかない。窮余の策として、ついに母親に助けを求めた。仕事を持つ母親だったが3月中旬、なんと沖縄から片道チケットで上京、ベビーシッターが見つかるまで孫の面倒を見るというのだ。

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資生堂、中国事業の失速で業績不振と大混乱 ネット通販主導の社長は2年でクビ

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) ルノアールの素晴らしき従業員教育の賜物 絶妙なタイミングでお茶が出てくるワケ 維新の会と関西財界の利権の構図…大阪市営地下鉄民営化で露呈!?市民にしわ寄せか ユニクロはブラック企業か?朝7時出社、大量業務でも残業超過するとボーナス減… ■特にオススメ記事はこちら! 資生堂、中国事業の失速で業績不振 ネット通販主導の社長は2年でクビと大混乱 - Business Journal(3月19日)
資生堂
ユーザガイドもわかりづらい気が。
(「ワタシプラスHP」より)
 2012年4月21日、資生堂はネット通販サイト「ワタシプラス」を開始した。資生堂の製品2600アイテムをネットで買えるほか、動画を使って美容部員からカウンセリングを受けることもでき、化粧品のネット店舗の機能を備えている。  ネット通販への進出はほかの業界では当たり前のことだが、資生堂にとっては不磨の大典に相当するビジネスモデルの大転換を意味した。満を持して勝負に出た末川久幸社長(当時53)を、名門企業の若きエースといって経済紙・誌は大いに持ち上げた。  だが、末川社長の挑戦はあっけなく挫折した。3月31日付で社長を退任し、相談役に退くと共に、前田新造会長(66)が4月1日付で社長に復帰する。末川氏は11年4月、52歳の若さで社長に就いたが、わずか2年で退任という、異例の事態となった。  末川氏は退任理由について「2月ごろから体調に不安を感じ、社長として今後、全力疾走できないと判断した」と説明したが、「四半期ごとに業績を下方修正せねばならず、それが精神的に重くのしかかっていた」と、業績不振が原因だったことを認めた。事実上の“解任”とする見方すらある。社長が「自分で考えて行動したくても体力的に続かない」(末川本人)なら、辞任するしかないだろう。  辞任の背景には、海外事業の柱としてきた中国事業の失速がある。沖縄県・尖閣諸島の国有化で中国の反日感情に火がつき、資生堂製品は買い控えに遭った。現地では資生堂イコール日本というイメージが強かっただけに、その影響は大きかった。12年7~9月は前年同月比10%の減収、10~12月は同20%近い減収になった。このため13年1月末に主要拠点の1つ、鎌倉工場(神奈川県鎌倉市)の閉鎖など大規模なリストラを余儀なくされた。  中国の販売の失速ばかりがクローズアップされているが、より深刻なのは国内の化粧品事業だ。売上高は6年連続で減少し、12年3月期は3538億円と6年間で1000億円近く目減りした。13年3月期も、依然として落ち込みに歯止めがかからない。  資生堂が開示している国内化粧品販売会社の売上高によると、12年4月は前年同期月で26%減少した。12年で前年実績を上回ったのは9月と10月の2回だけ。ほかの月はマイナスだった。  資生堂の販売チャンネルが競争力を失ったことを、数字が如実に示している。だから、ビジネスモデルの大転換に踏み切ったのだ。  1923(大正12)年に構築した資生堂化粧品連鎖店(チェーンストア制度)は、資生堂の聖域である。今でいうボランタリー・チェーンだ。1915年に事業を受け継いだ創業者、福原有信氏の3男の信三氏は、経営の主軸を創業事業である医薬品から化粧品に切り替えた。化粧品を売るために全国にチェーンストアを広げていった。  1927(昭和2)年に株式会社資生堂が設立され、信三氏が初代社長に就任した。ビューティコンサルタントの前身ともいえるミス・シセイドウの派遣や、チェーン店と化粧品を愛用する女性を会員とする「花椿会」を発足させたりした。資生堂のビジネスモデルは大正から昭和初期にかけて完成した。信三氏は“中興の祖”と呼ばれた。  化粧人口が急激に増えた高度成長時代には、このビジネスモデルは比類なき力を発揮した。日本全国に花椿と唐草模様の看板を掲げた販売網を築くことで業績を伸ばした。専門店チェーンと百貨店の化粧品売り場を2本柱に、トップメーカーとしての地位を不動のものにした。 ●資生堂を支えたチェーンストア制  しかし、その成功体験があまりに大きすぎたために、流通機構の激変に即応できなかった。97年に、販売店に定価販売を順守させる再販制度が全廃されたことから、化粧品の価格競争が激化した。ここ10年間は低価格商品を多く取り扱うドラッグストアが、化粧品&トイレタリー(洗面用具など)製品の販売チャンネルの主流になった。  調査会社の富士経済によると12年(暦年)の国内化粧品売上高は、前年比ほぼ横ばいの2兆2769億円。ピーク時の07年(2兆3423億円)を654億円も下回った。販売チャンネル別ではドラッグストアが6517億円で国内市場の28%を占めた。ネット通販の普及で通信販売は3089億円で化粧品市場の13%を占めるまでになった。ドクターシーラボなど、通販に軸足を置く化粧品メーカーの伸びが著しい。  流通網の激変に伴い、資生堂の国内売り上げに占める専門店の比率は、90年代の40%超えから25%程度にまで縮んだ。専門店は経営者の高齢化や地域商店街の衰退に加え、若い女性に受け入れられないという深刻な悩みを抱えている。若い女性から資生堂の商品は「おばさんブランド」と酷評されている。  経営陣は手をこまねいていたわけではない。創業者の孫の福原義春氏(社長在任87~97年、現・相談役)は10年間社長をやり、97年に弦間明氏(同97~01年)に社長の座を譲った。再販制度全廃の影響が大きいことに危機感を抱いた福原氏は、01年に池田守男氏(同01~05年)を社長に起用した。ここから資生堂の大改革が始まる。  池田氏は、牧師になるため東京神学大学神学部で学んだ、異色の経歴の持ち主。歴代5人の社長に秘書や総務の責任者として仕え、経営中枢を歩いてきた。福原社長時代の後半に取締役秘書室長となり、側近として重きをなした。  池田氏はチェーン店のテコ入れ策を打ち出した。当時、チェーン店は全国に2万5000店あったが、レジ一体型の販売時点情報管理(POS)端末を導入した。横並びだったリベート制を見直し、売り上げに応じて差がつくようにした。他の業界ではとうの昔に取り入れている競争原理に基づく区分だが、資生堂の歴史では画期的なことだった。  池田氏は社長退任後、キリスト教系の東洋英和女学院の理事長・院長となり、聖職者になるという、若い頃の思いを果たした。  池田氏が後継として起用したのが前田新造氏(同05~11年)。副社長、専務、常務14人を飛び越えて平取締役からの大抜擢で、まさにサプライズ人事だった。前田氏は経営企画室長として、池田改革の参謀役を務めた。まさに、前田氏は池田改革の第2走者としてバトンを託された。  前田氏は中国市場にシフトした。彼が社長に就任してから、中国での事業は年率20~30%の勢いで伸びた。12年3月期に全売上高の13%に当たる891億円を中国での売り上げが占め、地域別では日本、米州に次ぐ規模となった。中国市場はドル箱となった。 「アジアを代表するグローバルプレーヤー」を目標に、18年同期には海外の売り上げの比率を50%以上に高める中期計画を掲げ、成長エンジンは完全に海外市場に移った。  次の成長ステージに入るために、改革のバトンを渡された第3走者が末川久幸氏だ。末川氏は経営企画部長として前田氏の参謀役を務めた。池田氏の参謀役だった前田氏が社長になったのと、まったく同じパターンである。  末川氏は3代にわたる資生堂一家である。祖父は資生堂の専務、両親も、そして末川氏の妻も資生堂に勤めていたという。 ●全国の加盟店がネット直販に猛反発! これが引き金に  大正時代から続く販売組織、チェーン店を基本とするビジネスモデルからの大転換。これが末川社長の使命だった。資生堂の成長を支えてきた全国各地の専門店への配慮から、資生堂がエンドユーザーに直接販売することは、ご法度だった。通販はタブー視されてきた。  だが、国内の販売チャンネルが競争力を失った現在、ネット販売への参入は避けて通れない道だった。新社長に就任した末川氏は、11年4月からスタートした第2次3カ年計画の柱に、ネット通販事業への参入を据えた。1年の準備期間を経て、12年4月、ネット通販サイト「ワタシプラス」を開始した。  予想されたことだが、専門店からの反発はすさまじかった。トラブルは開始後まもなく発生した。 「オンラインショップで、今すぐお買い物してみませんか」。資生堂は、登録した会員に対して、こんな内容のメールを配信。化粧品販売店にしてみれば、長年築いてきた顧客を資生堂が奪おうとする行為に映った。これに激怒した化粧品専門店の業界団体である全国化粧品小売業協同組合連合会は、組合員に対して新制度への移行作業を中止するよう指示を出す寸前までいった。  資生堂は慌ててメールの記述を見直したが、結局、ネット通販は出足からつまづいた。ネット通販の売り上げが伸び、化粧品専門店の売り上げが減れば、リアル店舗とネット通販の対立が再燃する可能性は高かった。一口にビジネスモデルの転換というが、双方とも生き残りがかかっているだけに口で言うほど簡単ではないのだ。  その結果、ネット通販を主導してきた末川氏を見捨てて、あっさりクビにし、前田氏が再登板するという今回の変則的なトップ人事となった。  しかし、これまで、前田氏と末川氏が二人三脚で改革に取り組んできたことは明らかだ。経営は結果責任である。トップとして結果を出せなかったと判断したのであれば、末川氏だけでなく、前田氏も一緒に引責辞任するのが筋である。歴代社長である福原、弦間、池田の3人の相談役に報告して、時計の針を逆に戻す人事が了承されたが、結局、人事権を握っているのは福原義春・名誉会長兼相談役なのではないのか。  資生堂の社長交代で浮かび上がったのは、名門という、豊かなイメージとは裏腹な、極端な人材不足である。町内会でもあるまいし、仲間内でトップの椅子をタライ回しにして良い結果が出るほど、経営は甘くはない。 (文=編集部) ■おすすめ記事 ルノアールの素晴らしき従業員教育の賜物 絶妙なタイミングでお茶が出てくるワケ 維新の会と関西財界の利権の構図…大阪市営地下鉄民営化で露呈!?市民にしわ寄せか ユニクロはブラック企業か?朝7時出社、大量業務でも残業超過するとボーナス減… Android立役者退任のグーグル、PC+モバイル+クラウド融合OSという野望 誰が「J-POP」を殺したのか?