初婚活から初産まで「STORY」のアラフォー“初めて”企画のリアルとズレ

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「STORY」2012年10月号(光文社)

 林真理子先生渾身のファースト写真集『美女入門スペシャル 桃栗三年美女三十年』(マガジンハウス)が、ついに発売となりました。マリコハヤシ史上最高の仕上がりということですので、ファンもアンチも一見の価値ありそうです(案の定amazonレビューは荒れておりましたが)。

 連載「出好き、ネコ好き、私好き」でも、全身全霊で宣伝されています。「『ハヤシさん、年をとってからキレイになったのはなぜですか』私は平然と答える。『やっと内面の美が外に出てきたっていうことじゃないでしょうか』」などなど、センセイ一流の一発ギャグをかましておりました。その後、言い訳するように「内面の美はすなわち“個性”」などと解説されていましたが、正直センセイから、そんな「もーともーと特別なオンリ~ワ~ン」みたいなしゃらくせえフレーズは聞きたくないですね。センセイの美は自己都合というか、要するに相対的な価値観の産物なのですから、「金と労力と優秀なスタッフと激しい思い込みで手に入れた勝利の証」とかなんとか目の覚めるような暴論をぶちかまして欲しかったです。何はともあれ、勝間和代さんの『結局、女はキレイが勝ち』(同)と共に、本棚に並べておこうと思います!

<トピックス>
◎大特集 “ゆる・楽・きちん”働く服が、40代みんなの正解だ!
◎実録!40代の初婚活ファッション“成功”物語
◎私たちのCHALLENGE STORY 晩婚時代「40代で産む」のリアル

【PR】飾るだけで幸運が! 開運画家・あいはら友子の最新作品集発売!!

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画像:『不運・不幸・悪運を取り去る「厳寒富士の絵」』サイゾー
 雑誌「サイゾー」での連載でもお馴染みだった、雄大なる「富士」を描き、人々から圧倒的な支持を得ている開運画家・あいはら友子が、雪に覆われた「厳寒富士の絵」だけを集めた画期的な作品集『不運・不幸・悪運を取り去る厳寒富士の絵』を発売した。 「厳寒富士の絵」には、邪気などを払う力があるといわれている。すでに、あいはら氏が描いた「厳寒富士の絵」を飾った人々からは、 「家計が黒字に!」 「夫の浮気が収まった」 「家業が倒産をまぬがれた! 」 など、不運や不幸から立ち直った報告が相次いでいるという。  本書には、「厳寒富士」を発色にこだわった特殊印刷を用い8作品収録している。作品ごとの効果も解説されており、あなたが必要とする絵をすぐに部屋に飾ることも可能だ。さらに、家庭で簡単にできる「あいはら友子直伝の開運法」も紹介されている。絵を飾り、開運法を試せば、「不運・不幸・悪運」を取り去ることも難しくないという。 ■【特別対談】苫米地英人×あいはら友子  さらに、機能脳科学のエキスパートである認知科学者の苫米地英人氏との特別対談も収録し、「なぜ、あいはら友子の絵画には、開運効果があるのか?」という疑問を科学的に検証。効果を疑問視している人たちも苫米地氏による検証結果を読めば、納得すること請け合いだ。その他、あいはら友子の作品に魅了されている『あずみ』・『ゴジラ・ファイナル・ウォーズ』などの監督を務めた北村龍平さんら著名人たちの特別インタビューも掲載されている。  世の中全体が重く、暗い空気に覆われた今だからこそ、『厳寒富士の絵』で、まずは嫌なことをリセットし、心の平安を取り戻そう。幸せを手に入れるためのパワーは、その時に初めて湧いてくるはずだ。 ●『不運・不幸・悪運を取り去る厳寒富士の絵』(発行:不安クラブ/発売:サイゾー) 1050円(税込) 著者紹介 あいはら友子(女優・日本画家・高野山宝寿院福寿会理事) 兵庫県生まれ。幼少時の交通事故がきっかけで霊的な才能が開花。1978年、NHK朝の連続テレビ小説『わたしは海』のヒロインで芸能界デビュー。その後、多数のドラマや映画に出演。98年より、みんなを幸せにしたいという思いから富士の絵を描きはじめる。赤富士を中心とした「富士シリーズ」で、全国のデパートで絵画個展を開催。開催回数は100回を超え、いずれも大盛況となっている。運勢を飛躍的上げるメール鑑定「不安クラブ」の運営にも携わり、本書は同クラブ初の公認本となる。http://www.fuanclub.com/ * * * ◆日刊サイゾーでは、最新のリリースや新商品のアピール情報を常時募集しております。詳細は以下をご覧ください。 日刊サイゾーで、御社の商品・サービスをPRしてみませんか?

大家族の伝統料理から超手抜きレシピまで勢ぞろい! 台所から見えてくる中東の家庭事情『イラン式料理本』

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主婦歴35年、モハマド・シルワーニ監督の義母さんが作った
伝統的ペルシア料理クフテ(肉団子)。
作った人の肝っ玉に比例した大きさだ。
 友達の家に遊びに行って、本棚が気になる人は多いのではないだろうか。一体、コイツは今までどんな本を読んで人格を形成したのか。自分の好きな作家や漫画家の名前を本棚で見つけると話が弾むし、意外な歴史書や海外小説が並んでいると「ムムム」と見る目が変わってくる。友達の頭の中を覗いたみたいで興味深い。これが彼女の家に遊びに行った場合なら、プラスどんな料理が飛び出すのか気になるところ。実家の母親直伝と思われる家庭料理には本気度が伝わるし、料理本を片手に慣れないながらも挑んでくれた一品にも愛を感じるではないか。園山真希絵の創作料理を見ても分かるように、料理には作った人の人柄が現われるもんです。2011年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で市民賞&コミュニティシネマ賞の2冠に輝いた『イラン式料理本』の狙いどころもそこ。台所に立つイラン女性たちが家族のためにどんな料理を作っているのか、その様子を固定カメラで映し出すドキュメンタリーなのだ。日本から遠く離れた中東の国・イランだけど、国の歴史、宗教、文化が違っても、女性たちが普段考えていること、家庭における男女の関係はとても似ていることに驚く。  『イラン式料理本』に登場するのは、モハマド・シルワーニ監督(1973年テヘラン生まれ)と関わりを持つ7人の女性たち。ドキュメンタリー映画というよりも、ヨネスケの『突撃!隣の晩ごはん』のような料理番組を思わせる気取りのないスタイルだ。本作の中でもっとも強烈なインパクトを放っているのは、シルワーニ監督の義母。ブドウの葉に包んだドルスと肉団子のクフテという中東の伝統料理を作るのだが、まずは開口一番に「ちゃんと手は洗ったわよ、2年前だけど。ダハハハ」とカメラに向かってジョークを一発。まるで大阪のオカンか沖縄のオバァのような存在感である。口も達者だが、手つきも鮮やか。タライのような巨大なボウルで大家族用の材料を手際よくこねていく。
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シルワーニ監督の義母とその姑。かつて、
この台所では女たちの凄まじいバトルが
繰り広げられた。
 途中、様子を見に姑さんがカメラにフレームインしてくる。義母は手を休めることなく、「私が嫁入りした直後は、よくイジメてくれましたよね」とチクリと口撃。女同士の火花が散る。だが、かつてはこの台所を仕切っていた姑も年老いており、家のことはすでに義母が実権を握っている。「あなたがまだ若くて、何も知らなかったから、躾のつもりでいたのよ。ごめんなさいね」と姑は曲がった腰をさらにかがめる。このときの義母のリアクションが涙を誘う。「許すも許されるも、今さらありませんよ」。多分、姑も若い頃には先代の姑に厳しくされ、それと同じように義母に接しただけなのだろう。イヤなことも楽しいことも、全部ひっくるめての家族。革命があり、戦場に向かう男たちを見送ってきた。同じ釜を炊いて、一緒に食べてきた仲じゃないですかと義母は言いたげだ。このシーンを観ていて、ボブ・マーリーの「ノー・ウーマン・ノー・クライ」が脳内スピーカーから流れましたよ。義母が作る伝統料理ドルスとクフテは、ユーモアとちょっぴり涙味がブレンドされた人情たっぷりな逸品です。  続いて登場するのは現代女性の代表、シルワーニ監督の奥さん。かなりの美人で理知的な顔立ちをしている。義母が手料理にこだわっているのに対し、シルワーニ家の台所には家電製品が並ぶ。シルワーニ監督が夜遅くに友達を連れてきたことを奥さんはプリプリと怒る。「夜10時から何を作れというの?」「どうして10人も連れてくるの? 炊飯器は8人分しか炊けないのよ。後の2人には我慢してもらうしかないわね」と恐怖のマシンガントークで夫を粉々に撃ち砕く。結局、その晩に奥さんが振る舞った料理は、缶詰のシチュー。これなら温めるだけで、すぐに出せる。監督の友人が「このシチュー、とっても美味しいですよ」とお愛想を言うと、「そうでしょうね。缶詰ですから」と身も蓋もない返事。海外から訪ねてきた友人たちに自慢の美人妻とイランの家庭の雰囲気を知ってもらおうとしたシルワーニ監督の面目丸潰れ。  母親と違って料理を作るのが大キライな奥さんに対し、シルワーニ監督は「じゃあ、外食する機会を増やそう」と譲歩案を提示するが、「貧困で食べるものに困っている人がいるのに、贅沢するのはイヤ」。奥さんの言っていることはもっともだが、もはやシルワーニ監督はお手上げ状態。さらに彼女は極めつけの台詞を吐く。「料理を食べ終わった後、男たちは片付けを手伝うそぶりも見せずに寛ぎ始める。それを見ると、男たちの首をひとつひとつ斬り落としたくなる」。なんとも過激だが、これって世界中の主婦たちが激しく同意する発言でしょう。シルワーニ監督の奥さんは、世界の中心で“家事はキライ”と叫ぶ。
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シルワーニ監督の妹。ご飯が出来上がるのを
待ちきれず、双子の息子たちは台所でつまみ
食いを始める。
 もう1人、現代のイランを代表する若い女性が登場する。シルワーニ監督の妹さんだ。妹さんは結婚して双子を育てながら大学に通っている。とっても忙しいけれど、夫やわんぱく盛りの子どものために手料理を食べさせようと頑張る。ところが若いこともあって、恐ろしく段取りが悪い。昼食を作るために午前11時30分からキッチンに立ち、ナスの煮込みを作り始める。だが、完成したのは夕方4時すぎ。もはや昼食とは言えず、空腹は最高の調味料という段階を遥かに越えている。双子の兄弟は完全に落ち着きを失い、カメラの後ろではご主人がげんなりしている様子が思い浮かぶ。妹が一生懸命なのは分かるが、義母たちの世代が幾つものことを同時にパパッとこなれた動作で片付けるのに比べ、あまりにもリズム感も流れるような動作もない。推測するに、上の世代と違って大家族にもまれ、姑に厳しく扱われ、それにどう立ち向かうかという修羅場の経験値が低いようだ。頭の中では、良き妻・良き母になろうと努めているのだが、体の動きが追っ付かない。この一家4人に幸あらんことを願う。  台所に立つイラン女性たちの姿を見ながら思うことは、日本の女性たちとまるで変わらないじゃないかということ。毎日の献立に頭を悩ませ、ウマの合わない親族や知人の悪口を時々こぼしながらも、家族全員の健康を考えている。若い頃にイジメられた義母が姑と歴史的和解を遂げたその直後、絶妙すぎるタイミングで義母の旦那が台所に闖入し「嫁入りしてすぐのお前は、何もできなかったよなぁ」と蒸し返す。「たった今、水に流したところなのよ!」と義母に怒鳴られ、旦那はすごすご退散するしかない。まるでコントの1シーンのよう。いくら男たちが家の外で威張っていても、家庭の中を仕切っているのは女たちなのだ。世界中の女たちは何十年も何百年も、女の城である台所に立ち、家族のためにせっせと毎日毎食のようにご飯を作り続けてきた。その事実はどんなに美しい愛の詩よりも祈りの言葉よりも胸を打つではないか。美味しいごちそうも、驚愕の失敗料理もすべては、女たちの愛の結晶なのだ。愛のコーランだ。男たちは心して食するしかない。  世代の異なる女性たちが、自慢の料理を作り、そして語り掛けてくる本作。イランという国がどんな食文化で家族制度なのか、女たちの本音を通して見えてくる。同時にシルワーニ監督が、強いてはイランの男たちがどんな料理を食べて、どんな女性たちと過ごしているのかも分かるドキュメンタリーにもなっている。個性的な女性たちの群像劇でもあるこのドキュメンタリーは、どのようなエンディングを迎えるのだろうか。気になっていると、実に目が覚めるようなスパイシーなオチが待っていた。美味しい料理は、素材選びと手間を惜しまない下ごしらえと最後のひと振りがいかに大事かという好例。  イラン映画界の巨匠アッバス・キアロスタミ監督が最新作『ライク・サムワン・イン・ラブ』(9月15日公開)を日本で製作・撮影するなど、イランではますます表現活動の規制が強まっている。本作もイラン国内での上映は許可されておらず、シルワーニ監督は本作をもって映像作家としての活動休止を余儀なくされた。シルワーニ監督、優しい笑顔を浮かべていたお母さんの手料理を食べて、また元気になってください。 (文=長野辰次) iranshiki4.jpg 『イラン式料理本』 監督・脚本・製作/モハマド・シルワーニ 撮影/フーマン・ベーマネシュ 編集/モハマド・シルワーニ、エスマイル・モンセフ 録音/ファルシード・ファラジ 配給/アニープラネット 9月15日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー <http://www.iranshiki.com> (c)2010 Mohammad Shirvani. All rights reserved. ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第186回]“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』 [第185回]障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』 [第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』 [第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』 [第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』 [第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』 [第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』 [第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』 [第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界 [第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』 [第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』 [第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』 [第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』 [第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! [第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』 [第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!! [第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! 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[第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! 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大家族の伝統料理から超手抜きレシピまで勢ぞろい! 台所から見えてくる中東の家庭事情『イラン式料理本』

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主婦歴35年、ハマド・シルワーニ監督の義母さんが作った
伝統的ペルシア料理クフテ(肉団子)。
作った人の肝っ玉に比例した大きさだ。
 友達の家に遊びに行って、本棚が気になる人は多いのではないだろうか。一体、コイツは今までどんな本を読んで人格を形成したのか。自分の好きな作家や漫画家の名前を本棚で見つけると話が弾むし、意外な歴史書や海外小説が並んでいると「ムムム」と見る目が変わってくる。友達の頭の中を覗いたみたいで興味深い。これが彼女の家に遊びに行った場合なら、プラスどんな料理が飛び出すのか気になるところ。実家の母親直伝と思われる家庭料理には本気度が伝わるし、料理本を片手に慣れないながらも挑んでくれた一品にも愛を感じるではないか。園山真希絵の創作料理を見ても分かるように、料理には作った人の人柄が現われるもんです。2011年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で市民賞&コミュニティシネマ賞の2冠に輝いた『イラン式料理本』の狙いどころもそこ。台所に立つイラン女性たちが家族のためにどんな料理を作っているのか、その様子を固定カメラで映し出すドキュメンタリーなのだ。日本から遠く離れた中東の国・イランだけど、国の歴史、宗教、文化が違っても、女性たちが普段考えていること、家庭における男女の関係はとても似ていることに驚く。  『イラン式料理本』に登場するのは、モハマド・シルワーニ監督(1973年テヘラン生まれ)と関わりを持つ7人の女性たち。ドキュメンタリー映画というよりも、ヨネスケの『突撃!隣の晩ごはん』のような料理番組を思わせる気取りのないスタイルだ。本作の中でもっとも強烈なインパクトを放っているのは、シルワーニ監督の義母。ブドウの葉に包んだドルスと肉団子のクフテという中東の伝統料理を作るのだが、まずは開口一番に「ちゃんと手は洗ったわよ、2年前だけど。ダハハハ」とカメラに向かってジョークを一発。まるで大阪のオカンか沖縄のオバァのような存在感である。口も達者だが、手つきも鮮やか。タライのような巨大なボウルで大家族用の材料を手際よくこねていく。
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シルワーニ監督の義母とその姑。かつて、
この台所では女たちの凄まじいバトルが
繰り広げられた。
 途中、様子を見に姑さんがカメラにフレームインしてくる。義母は手を休めることなく、「私が嫁入りした直後は、よくイジメてくれましたよね」とチクリと口撃。女同士の火花が散る。だが、かつてはこの台所を仕切っていた姑も年老いており、家のことはすでに義母が実権を握っている。「あなたがまだ若くて、何も知らなかったから、躾のつもりでいたのよ。ごめんなさいね」と姑は曲がった腰をさらにかがめる。このときの義母のリアクションが涙を誘う。「許すも許されるも、今さらありませんよ」。多分、姑も若い頃には先代の姑に厳しくされ、それと同じように義母に接しただけなのだろう。イヤなことも楽しいことも、全部ひっくるめての家族。革命があり、戦場に向かう男たちを見送ってきた。同じ釜を炊いて、一緒に食べてきた仲じゃないですかと義母は言いたげだ。このシーンを観ていて、ボブ・マーリーの「ノー・ウーマン・ノー・クライ」が脳内スピーカーから流れましたよ。義母が作る伝統料理ドルスとクフテは、ユーモアとちょっぴり涙味がブレンドされた人情たっぷりな逸品です。  続いて登場するのは現代女性の代表、シルワーニ監督の奥さん。かなりの美人で理知的な顔立ちをしている。義母が手料理にこだわっているのに対し、シルワーリ家の台所には家電製品が並ぶ。シルワーニ監督が夜遅くに友達を連れてきたことを奥さんはプリプリと怒る。「夜10時から何を作れというの?」「どうして10人も連れてくるの? 炊飯器は8人分しか炊けないのよ。後の2人には我慢してもらうしかないわね」と恐怖のマシンガントークで夫を粉々に撃ち砕く。結局、その晩に奥さんが振る舞った料理は、缶詰のシチュー。これなら温めるだけで、すぐに出せる。監督の友人が「このシチュー、とっても美味しいですよ」とお愛想を言うと、「そうでしょうね。缶詰ですから」と身も蓋もない返事。海外から訪ねてきた友人たちに自慢の美人妻とイランの家庭の雰囲気を知ってもらおうとしたシルワーニ監督の面目丸潰れ。  母親と違って料理を作るのが大キライな奥さんに対し、シルワーニ監督は「じゃあ、外食する機会を増やそう」と譲歩案を提示するが、「貧困で食べるものに困っている人がいるのに、贅沢するのはイヤ」。奥さんの言っていることはもっともだが、もはやシルワーニ監督はお手上げ状態。さらに彼女は極めつけの台詞を吐く。「料理を食べ終わった後、男たちは片付けを手伝うそぶりも見せずに寛ぎ始める。それを見ると、男たちの首をひとつひとつ斬り落としたくなる」。なんとも過激だが、これって世界中の主婦たちが激しく同意する発言でしょう。シルワーニ監督の奥さんは、世界の中心で“家事はキライ”と叫ぶ。
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シルワーニ監督の妹。ご飯が出来上がるのを
待ちきれず、双子の息子たちは台所でつまみ
食いを始める。
 もう1人、現代のイランを代表する若い女性が登場する。シルワーニ監督の妹さんだ。妹さんは結婚して双子を育てながら大学に通っている。とっても忙しいけれど、夫やわんぱく盛りの子どものために手料理を食べさせようと頑張る。ところが若いこともあって、恐ろしく段取りが悪い。昼食を作るために午前11時30分からキッチンに立ち、ナスの煮込みを作り始める。だが、完成したのは夕方4時すぎ。もはや昼食とは言えず、空腹は最高の調理料という段階を遥かに越えている。双子の兄弟は完全に落ち着きを失い、カメラの後ろではご主人がげんなりしている様子が思い浮かぶ。妹が一生懸命なのは分かるが、義母たちの世代が幾つものことを同時にパパッとこなれた動作で片付けるのに比べ、あまりにもリズム感も流れるような動作もない。推測するに、上の世代と違って大家族にもまれ、姑に厳しく扱われ、それにどう立ち向かうかという修羅場の経験値が低いようだ。頭の中では、良き妻・良き母になろうと努めているのだが、体の動きが追っ付かない。この一家4人に幸あらんことを願う。  台所に立つイラン女性たちの姿を見ながら思うことは、日本の女性たちとまるで変わらないじゃないかということ。毎日の献立に頭を悩ませ、ウマの合わない親族や知人の悪口を時々こぼしながらも、家族全員の健康を考えている。若い頃にイジメられた義母が姑と歴史的和解を遂げたその直後、絶妙すぎるタイミングで義母の旦那が台所に闖入し「嫁入りしてすぐのお前は、何もできなかったよなぁ」と蒸し返す。「たった今、水に流したところなのよ!」と義母に怒鳴られ、旦那はすごすご退散するしかない。まるでコントの1シーンのよう。いくら男たちが家の外で威張っていても、家庭の中を仕切っているのは女たちなのだ。世界中の女たちは何十年も何百年も、女の城である台所に立ち、家族のためにせっせと毎日毎食のようにご飯を作り続けてきた。その事実はどんなに美しい愛の詩よりも祈りの言葉よりも胸を打つではないか。美味しいごちそうも、驚愕の失敗料理もすべては、女たちの愛の結晶なのだ。愛のコーランだ。男たちは心して食するしかない。  世代の異なる女性たちが、自慢の料理を作り、そして語り掛けてくる本作。イランという国がどんな食文化で家族制度なのか、女たちの本音を通して見えてくる。同時にシルワーニ監督が、強いてはイランの男たちがどんな料理を食べて、どんな女性たちと過ごしているのかも分かるドキュメンタリーにもなっている。個性的な女性たちの群像劇でもあるこのドキュメンタリーは、どのようなエンディングを迎えるのだろうか。気になっていると、実に目が覚めるようなスパイシーなオチが待っていた。美味しい料理は、素材選びと手間を惜しまない下ごしらえと最後のひと振りがいかに大事かという好例。  イラン映画界の巨匠アッバス・キアロスタミ監督が最新作『ライク・サムワン・イン・ラブ』(9月15日公開)を日本で製作・撮影するなど、イランではますます表現活動の規制が強まっている。本作もイラン国内での上映は許可されておらず、シルワーニ監督は本作をもって映像作家としての活動休止を余儀なくされた。シルワーニ監督、優しい笑顔を浮かべていたお母さんの手料理を食べて、また元気になってください。 (文=長野辰次) iranshiki4.jpg 『イラン式料理本』 監督・脚本・製作/モハマド・シルワーニ 撮影/フーマン・ベーマネシュ 編集/モハマド・シルワーニ、エスマイル・モンセフ 録音/ファルシード・ファラジ 配給/アニープラネット 9月15日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー <http://www.iranshiki.com> (c)2010 Mohammad Shirvani. All rights reserved. ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第186回]“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』 [第185回]障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』 [第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』 [第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』 [第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』 [第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』 [第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』 [第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』 [第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界 [第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』 [第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』 [第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』 [第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』 [第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! [第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』 [第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!! [第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! 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「自宅は意外とショボい」王子の仮面が剥がされたGACKTの行く末

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この服、浅草の土産物屋で売ってるやつ?

 6日発売の「週刊文春」(文藝春秋)と「週刊新潮」(新潮社)で、先月28日にGACKT所有の自宅や関連会社が入ったマンションに、国税局の強制捜査が入ったという情報が伝えられた。本サイトでも、GACKTをめぐる金銭トラブルを報じた(既報)が、いよいよ本格的な騒動に発展していきそうだ。

 「新潮」によると、査察が入った瞬間、GACKTは地下にある自室で交際中の歌手・ICONIQと寝ており、マルサの突入を電話で知らされ、慌てふためいていたという。問題とされているのは、GACKTが被災者支援のために募った義援金の一部が消失し、行方がわからなくなっていること。そして、その実務を担っていた会社が、ファンクラブの運営金を脱税しているという疑惑についてである。

 さらに査察が入る数日前には、GACKTが10月からレギュラー出演するドラマ『悪夢ちゃん』の放送局である日本テレビ本社周辺に、右翼団体関係者が集結。GACKTの竹島問題に関する発言を批判する街宣活動が行われたのだそうだ。

汚職官僚の捕縛のため、当局が命令!? 中国機引き返し着陸の謎

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イメージ画像 photo by markyharky
from flickr
 8月29日、北京空港を出発してニューヨークに向かっていた中国国際航空981便が、突如針路を変更し、北京空港に引き返すという事件が発生した。航空会社は、「航空機が脅迫を受けたため」としているが、脅迫の内容については明らかにされておらず、真相は謎に包まれている。  引き返しの理由は、機内においても伏せられていたようだ。同機の乗客が書き込んだとされるネット上の情報によると、座席のディスプレイに表示される飛行ルートで、飛行機が引き返したことに気づいた一部の乗客が問いかけたところ、客室乗務員はディスプレイの故障だと説明していたという。さらに北京空港への着陸に向け、機体が降下を始めてからも、「気流が乱れている」としてシートベルトの着用を機内アナウンスで呼びかけたのみで、着陸については説明がなかった。機長から「飛行機が脅迫の情報を受けたため、北京空港に引き返す」と説明があったのは、着陸の直前だったという。 さらに、同機が着陸した北京空港の様子にも不自然な点が残る。爆破予告やハイジャックされた航空機が着陸する場合、安全のため空港や滑走路の一部は閉鎖されることが一般的だ。しかし、現地メディアの報道によると、そうした措置は取られておらず、数多くの警官が待機していたのみであったようだ。  その後、警官によって機内の検査と乗客へのセキュリティチェックが行われたが、異常は発見されず。乗客は別の航空機に振り替えられ、ニューヨークへと再び飛び立ったという。また問題の機体も、緊急着陸から30時間後にはニューヨークへと向かっている。  航空会社や当局からはっきりとした説明もなく、不審点も残る今回の中国国際航空機引き返し事件に関し、ネット上では「アメリカへ逃亡しようとした汚職官僚が乗っており、その情報をキャッチした当局が引き返しを命じた」という未確認情報が流れている。  現時点ではウワサにすぎないが、実際、中国では高級官僚が収賄や横領などで不正に得た資産と共に海外逃亡する事件が頻発中。さらに共産党がその気になれば、航空機のひとつやふたつに引き返しを命じることはワケないはず。それだけに、十分にありえる話ではある。 (文=牧野源)

かわいくて、きらめいて、グロい。女性アーティストによる南宇都宮石蔵秘宝祭

 かわいいものにときめき、グロテスクなものを愛でる。やわらかく女性的なものを称賛し恨みながら、男性的な力強さにわななき、罵り、羨望する。女の中に混沌と存在する感情は、時に自分でも持て余すほどの激しさで瞬時にその表情を変える。それは男性が理解し得ない、女の秘宝――。

 現在開催中の「南宇都宮石蔵秘宝際」は、参加した女性アーティスト20人の“女の秘宝”が凝縮されている。作品は子宮、男根、セーラームーン、美少年などに材を取り、男性的社会からの抑圧に抗うような攻撃性と、抑圧を逆手に取ったような軽やかさが感じられる。

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回転ベッドの上に飛ぶ、ピンクの龍

早慶明治も戦々恐々!? 中央大学都心回帰で他私大が大打撃?

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 山本一郎「橋下市長の裏にある金の流れがわかる記事」 グッチ元人事部長「“〜のプロ・専門性”という転職の落とし穴」 テレビ市場に異変! 王者ソニーの強敵として東芝が急浮上? ■特にオススメ記事はこちら! 早慶明治も戦々恐々!? 中央大学都心回帰で他私大が大打撃? - Business Journal(9月5日)
中央大学多摩キャンパス。
(「ウィキペディア」より)
 赤門の東大、稲門の早稲田と並び、白門の名で知られる私学の名門・中央大学(以下、中央)。  八王子市の多摩キャンパスに文系学部が移転して以降、受験生人気の離散、偏差値の停滞が続いてきたが、ここへきて問題の根源となっている多摩というロケーションから、法・経済・商の社会科学系3学部を都心に戻す、いわゆる都心回帰策が大学幹部の口から相次いで明らかにされ、学内はもちろん、競争関係にある他大学を含め波紋を広げつつある。  学外に向けて最初に口を開いたのは、福原紀彦総長兼学長(法学部教授)。  6月末に開かれた新聞記者との懇談会で、「中長期的には都心展開が大きな課題」と述べ、主要学部の都心回帰を検討しているとし、「今秋ごろには結論を出したい」と話したという(6月30日付朝日新聞武蔵野版)。経営を主導する久野修慈理事長も、最近記者の質問に対し、もう少し具体的に、 「法・経済・商の3学部の都心回帰を視野に入れる時が来た。5年のうち、あえて言えばそれより早くに方向を見出したい。10年も放置しておけば、(量質両面で大学間競争に敗れ、国際的評価も得られず)取り返しのつかないことになる。また都心回帰は(全学年ではなく)3学年以降という選択もありうる」 と答えている。学内では、このところ口を開けばそういう話題が出る模様で、最終合意に向け理解は広がっているようだ。 東京六大学へ参加さえしていれば……  中央大学は東京六大学創設の際、参加を断っていなければ、文句なく「早慶中」と併称されていたはずだといわれている。  中大OBの根拠のない母校自慢ではない。確かな実績がある。看板学部の法学部は、1978年の多摩キャンパス移転以前は、(旧)司法試験合格者数で東大とトップを競い、私大では早稲田と並び、SFC(湘南藤沢キャンパス)創設で人気化する以前の慶應義塾をはるか下に見下ろしていた。最近何かと話題の明治など、視野の外だったといっていい。  公認会計士試験、税理士試験でも他大学を寄せ付けなかった。当時は偏差値などあまり問題にされなかった時代だが、法学部は私大トップ級の超難関で、経済、商学部も明治と並ぶか、その上を行くレベルだった。法曹界はもちろん、政界、財界、ジャーナリズムに多くの人材を送り出していることは周知のとおりだ。  しかし多摩キャンパスは自然環境に恵まれ、のびのびと学生生活を送れるとともに、学問に打ち込めるメリットはあったが、都心からの通学に不便でアルバイトもしづらく、司法試験など受験指導をはじめとするOBとの交流も希薄化し、最近では父兄を含めて関心の高い、就職活動における会社訪問の不便さなどもあり、さまざまな社会環境面での課題から、深刻な受験生離れが起きていた。 中央は「日東駒専レベル」  結果、本来は早慶、あるいは上智レベルにあっていい大学が、MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の中に埋没しているばかりか、ここ数年は「日東駒専レベル」とまで揶揄されるに至っている。大手塾関係者は、最近の中央に関する受験生の総合的評価をこう語っている。 「法学部は中央が依然、立教、明治を引き離しているが、早慶とはやや差が開いた。他の文系学部について見ると、MARCHの中では立教が先頭に立ち、2位が明治、あとは学部により多少の異同はあるが、中央は青山学院などに置いていかれる傾向が見える」  そうした流れの中で、必然的に受験生を呼び込む大きな看板だった司法試験、公認会計士試験での実績が低下し始めていく。優秀な学生がライバル私大に流れていったからだ。特に慶應がかつての中央のように上記国家試験でぐんぐんのしてきた。  中央の下降局面転換の契機となったのは、会計(アカウンティング)、法科(ロー)、経営(マネジメント)の3専門職大学院の都心展開である。なかんずく司法試験の新制度移行に伴う法科大学院の設置だった。中央はこの時、都心の市ヶ谷に法科大学院を設置、地の利もあって最近では東大と競うところまで競争力を強化することに成功した。このことが結果的に、中央の経営/教学の幹部に、学部都心回帰という政策選択を急がせることになった。 ターニングポイントは法科大学院  先の懇談会で、福原学長は都心回帰を急ぐ理由として「法科大学院を都心に設置したところ、司法試験でいい実績を得られたからだ」と述べている。中央の財政状況は他校に比べ健全とはいうものの、余裕があるわけではない。多摩キャンパスの校舎も30年以上たち、手を入れる時期に来ている。しかし法科大学院が実績を上げ、学部もまた都心回帰すれば量質両面で受験生を集められ、その結果、さらに法科大学院の実績が上がる。とすれば成功確率は高いとの判断が強まり、投資に踏み切る構えに転じたのである。  久野理事長は、3学部の都心回帰は「専門職大学院と連動させた教育内容の充実」が大きな目的と語っているが、同時に学部と専門職大学院とを直結させ、経営的に苦境にあるとされる法科以外の専門職大学院を底上げする狙いもあるとみられる。  福原学長にしろ久野理事長にしろ、アメリカの大学の多くがそうであるように、郊外立地という過去の政策は必ずしも間違いではなく批判しがたいし、それが原因で受験生人気が遠のき、偏差値が下がったとは口が裂けても言えないところだろう。だから都心展開といっても多摩からの全面撤退ではない。  中央の停滞という指摘に関して、久野理事長は「(多摩移転で)教育・研究面がどうだったのか(おろそかになったのではないか)」と別の疑問を投げかける。俗な表現をすれば、教授陣が多摩移転に伴い、刺激を失いのんびりしすぎたのではないかというのだ。ある中大関係者はそれを補足するように、無念気味にこう語る。 「かつて法律問題がマスコミで話題になると、必ずうちの法学部教授がコメントを求められたが、最近は露出が極めて少ない。商学部や文学部にも名物教授がいたが、ほとんど姿を消してしまった。名門ということにあぐらをかき、中大モンロー主義でやってきたことのつけが出てきている」 他校に後れを取った経営  中央の停滞理由は、それだけではない。  91年の大学設置基準の大綱化に伴い、各大学が社会的ニーズ、ひいては受験生ニーズが高いと思われる学部の新設に動いた。代表が、前述の慶應SFCの総合政策、環境情報の2学部。この慶應の受験生、父兄間での人気上昇に刺激されたかのように、例えば明治は従来の7学部が9学部に、法政は6学部が15学部に、立教は6学部が10学部にと学部を急増させている。ところが中央は、93年に総合政策学部を新設したのみ。教育・研究面に遅滞が見られただけでなく、学校経営でも保守的だったと指摘されてもやむをえない。  前出の大学関係者は「既存学部の教授たちは、自分の弟子たちが教える学部の創設ならメリットがあり賛成するが、そうでないなら反対という立場。そうした保守性が、学部新設策にもろに出た」と教授陣を批判する。この点についても、久野氏は「学部をたくさん創ればいいというわけではない」としつつも、自分なりに新たな学部創設構想を視野に入れていると語っている。この点については、また何かの機会に紹介したいと考えている。  もっとも中央では既存学部の都心回帰、新学部の創設に先立ち、前述のように専門職大学院の都心展開をまず優先して行い、最近になって大学入試センター試験利用入試(併用方式・単独方式)や各学部統一入試の導入、地方試験会場の充実等、入試改革にも取り組んできたことも事実。法科大学院が順調に合格者を伸ばしているのと同様、入学志願者も12年度は絶対人数こそ1000人強減らしたが、志願者数ランキングは前年度の6位から5位にアップ。その意味で、主要学部の都心回帰という重大な改革に動き出す気運は、目立たないながら高まっていたのだと見ていい。 私大業界にとっては衝撃的  では中央の都心回帰というこの情報を、他大学関係者はどう見ているのか?  すでにライバル関係にあるMARCHクラスの大学はその情報をつかんでおり、中でもこのところ受験生人気を集めている明治、法政あたりは「けっこう気にしている」と、ある大学の教員は話す。  都心にキャンパスを持つ私立大学関係者は、「中央の都心回帰は業界にとって衝撃的」と前置きした上で、「うちは特に競合関係にないので問題はないが、ロケーションにもよるが、法学部であれば明治や法政を直撃するだろうし、早稲田、慶應だって大きな影響を受けるはずだ。経済、商学部では、やはりMARCHレベルの明治はもちろん、法政、青学、学習院あたりにかなりの影響を与えるのではないか。  いずれにしろ明治、法政の2校はここ数年、順調に受験者を増やし、偏差値も着実に上げてきたのだが、曲がり角に直面するかもしれない」と予測し、「ともかく各校とも、中央がいつ、どこへ、どんな形で都心回帰策を実行に移すのか、目を凝らして動向を注目しているはずだ」と話す。 早稲田にも大打撃?  早稲田の関係者は、 「うちの法科大学院は政府の方針に忠実に法律未修者を多く受け入れてきたが、そのことにより合格者も合格率も、既修者中心の他校より見劣りする事態に陥っている。ここへきて、既修者へ多少重心を移しつつあるが、中央が学部を都心展開し、学部と大学院とを連結させて司法試験シフトを強化することになると、法学志望の受験生は中央に集まり、法学部にとり極めて打撃は大きい。慶應もまた、うちほどではないが影響を受けるだろう」 と心配そうである。  大手塾関係者も、次のような予測を述べる。都心、特に駿河台近辺に立地した場合という前提だが、「法学部は早稲田並みにレベルアップするし、経済、商学部は、現在競争上では優位に立つ青学を再逆転し、引き離されつつある明治に肉薄する」。要するに首都圏有力私大の競争関係は、激変するというご託宣である。  18歳人口が減少し続ける中で、受験生を量的にも質的にもいかに確保するかが、各大学にとり経営上も、教学上も大きな課題となっており、上位私大はまた、国際競争を視野に入れた教育・研究レベルの強化も急務となっている。  中央の都心回帰策は、まだ具体的な時期やロケーションなど何も決まっていない段階であるが、そこに向かって急ぎ体制を整備しようという意思が経営、教学両サイドで固まりつつあることを明らかにするものだ。中央にとり問題は、資金、ロケーション、形態などで学内合意が遅れ、都心展開がずるずると遅れてしまい、現在の大学評価が受験生、父兄の間で定着してしまうことだ。決定は早いほどいい。  一方、これに対してライバル私大が、どういう対策を打ってくるのか。私立大学のより高レベルに向けての変身がなされるなら、日本の大学教育にとってこれ以上望ましいことはない。 (文=清丸恵三郎) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 山本一郎「橋下市長の裏にある金の流れがわかる記事」 グッチ元人事部長「“〜のプロ・専門性”という転職の落とし穴」 テレビ市場に異変! 王者ソニーの強敵として東芝が急浮上? ツタヤにホリプロ MBOに走る本音は社長のわがまま!? 偽物が心配…タカラトミーが中国でアニメ玩具 ぐっちーさん「今さら外資系証券マンと結婚したがる女性って…」 香川、マンU移籍で地元ユースに2千万円 弱小クラブの稼ぎ方

「紳助の後を継ぐのは自分」オスカー移籍の島田洋七が若手芸人たちに宣戦布告!

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島田洋七公式サイトより
芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!  以前、当コラムでも紹介した通り、「オスカープロモーション」に移籍が決定した元人気漫才コンビ「B&B」の島田洋七に久しぶりに会って、話す機会があった。  洋七は07年8月に吉本興業を契約終了で退社して以降、テレビへの露出がパタッと消えた。真相は、洋七の大ベストセラーになった『佐賀のがばいばあちゃん』の印税の配分をめぐって、吉本と意見が対立。クビ同然で辞めたことで、テレビの制作側から敬遠されていたのだ。この5年間、洋七は『佐賀のがばいばあちゃん』を舞台化。地方で公演する傍ら、年200本近い講演会をこなしていたという。  洋七によれば、これまでの講演数は4,000回以上。「ダントツで日本一やと思う」と豪語する。しかし、弟弟子の島田紳助が引退した後の若手のお笑い芸人たちの芸の稚拙さを見て、もう一度お笑いをやりたいという気持ちが芽生え、既存のタレントとの軋轢が多くなるお笑いに強いプロダクションではなく、お笑い部門を強化中のオスカープロを選んだようだ。オスカー移籍について、「新しい学校に転校したみたいでドキドキしている」と言う。  洋七のお笑いの才能は、ビートたけしが認めていたほど。2人にまつわるエピソードも多い。  洋七は、“漫才ブーム”の前に故・横山やすしさんからたけしを紹介されて、彼と付き合うようになった。ブームで売れて、大金が入った洋七とたけしは、お互い2,000万円を抱えて、初めて銀座の高級クラブに遊びにいった時の豪快なエピソードを語ってくれた(これについては後日、報告する)。さらに、たけしの“フライデー事件”の裁判中に、たけしがマスコミの目を避けるために沖縄の石垣島に逃避行した際、洋七が頻繁に訪ねて、砂浜で延々と語り合い、潮が満ちて、膝が水に浸かるのに気づかないほどだったという思い出話も、今回初めて語ってくれた。芸能界において、年下の洋七がたけしを呼び捨てにするのは、こういった深い結びつきがあったからだ。また、ブームが去った直後に、保険会社から「演歌歌手はギャラが高いし、それにもう飽きた。漫才だけで1時間、ショーをできないか」と相談を受け、ダメ元でたけしに話したら「やってみっか」となって、2人で1時間の漫才の営業を3日間やったこともあったという。「1時間でっせ。一番スリルがありましたよ。今の若手のお笑いは3分。長くて5分。見習えってーの」と意気軒昂だ。  ほぼ即興で、1時間も漫才ができるお笑いは、今でもたけしと洋七しかいないかもしれない。それだけに、洋七の本格復帰で、2人の漫才が復活することを期待したい。たけしに洋七がオスカープロに移籍したことを伝えると、「洋七のしゃべりにかなうやつはいない、応援しなきゃな」と言ってくれた。  洋七は「紳助が抜けた後、紳助の後を継ぐヤツが現れん。だけど、やっと見つけた。それは私です」と自信をチラつかせた。浮き沈みの激しい芸能界で洋七は3度、上がったり、落ちたりを経験してきた。4度目のチャレンジに注目したい。 (文=本多圭)