白バイ探偵が斬る② 〜覆面パトカーの秘密
★交通取締り用
概ね3000cc以上の車を使用。
200キロ以上も測定可能なデジタル式の速度測定器が付いています。

『Running Beauty』(ポプラ社)
新恋人、そして妊娠まで報じられたものの沈黙を貫いてきた長谷川理恵が、女性誌の単独インタビューで独白という“手法”を展開した。過去にも渦中のタレントがファッション系雑誌の独占インタビューに応じることはあったが、長谷川に関しては、その内容を巡ってメディア関係者から非難の声も上がっているようだ。
長谷川のインタビューが掲載されたのは、5月30日発売の「an・an」(マガジンハウス)。「騒動のたびに家族や知人に迷惑がかかるので、自分の口で真実を語る」ということだが、明らかにおかしな部分が存在している。

なんとこの店、ワシントンホテルの1階に入っている。
日本一アーバンな釣り堀だろう(たぶん)。
ゆるいものならなんでも大好き♪ ロリ顔ライター・朝井麻由美が気になるスポットをご案内します。
やってみたいと思いつつも、手つかずになっているレジャーが、“釣り”だ。『糸井重里のバス釣りNo.1』や『牧場物語』シリーズ、『ぼくのなつやすみ』に『どうぶつの森』、『モンスターハンター』、思えばずいぶんたくさんのゲームでせっせと釣りをしてきた。だが、実際の釣りとなると、いかんせん朝が早い。言い換えれば、その程度の理由であきらめられるくらいにしか、釣りへの情熱がないということなのだが。ともかく、早起きしなくてもいい釣りじゃなきゃイヤだイヤだ、とワガママを言っていたら――あった。早起きどころか、電車でサクッと行けて、しかもその場で釣りたての魚を食べられる至れり尽くせりスポット、『釣船茶屋ざうお』だ。今回行ってきたのは、新宿店。この店の目玉は鯛で、ほかにアジやヒラメ、カサゴ、サザエやオマール海老、伊勢海老などが釣れるそう。庶民にとっての夢の食べ物・伊勢海老が、新宿でさらっと釣れちゃっていいの?
お店に着いてさっそく釣り道具を借り、魚の密集していそうなところに釣り糸を垂らすのだが、

餌はオキアミ。
……釣れない。

「全然釣れないですねぇ」と横にいた店長の鄭虹志さんにボヤいたら、「まだ2分しかたってないですよ! そんなに早く釣れるわけないよ(笑)」と一蹴されてしまった。ゲームだとせいぜい5秒くらいで釣れたのに、おかしいな……。
ピクリとも動かない釣り竿をボーっと眺めていたら、魚にしては大きい生き物が近くを横切った。

商売道具の魚を食い散らかすペット。
なんとこれ、この店のペットのサメらしい。しかも1匹だけではなく、よく見たら生け簀のあちこちで何匹ものサメが悠々と泳いでいた。当然、ほかの魚を食べてしまうようで、
「夜中に食べてるのか、朝来たらアジの頭だけが生け簀に浮かんでることもありましたね。たまに伊勢海老が狙われることもあるんですよ。でも、面白いから飼い続けてます」(店長)
という。大事な商売道具の魚が食いちぎられてしまっても、めげずにサメを飼うって。そんなんでいいのか。

海のギャング・ウツボも同様にペット。
待つこと20分。ちっとも釣れないので場所を変えるも、やはり釣れない。私の何が悪いのだろう。海や川にいる野生の魚よりも食いつきはいいはずが、釣り竿は無情にもだんまりを決め込んでいる。結構な数の魚がウヨウヨと泳いでいるのに、どいつもこいつも餌に見向きもしない……チッ。あまりに釣れない筆者を見かねた店長さんは、餌をオキアミからサーモンに変えてくれた。すると、

お……!?

鯛が釣れたーーーーー!!!!
釣れたらすかさず、店員さんが調理スペースへ持って行き、活き造りを作ってくれる。ちなみに活き造りは、釣り代と調理費込みで2,380円。そのほかの料理は、調理法によっては釣り代2,380円(魚によって異なる)に数百円加算されるという仕組みになっている。

飲食スペースは船の形。

この店で釣れるのは、「紀州 梅まだい」という
種類。言うまでもないが、ピチピチでおいしい。
釣らずに活き造りだけを注文する場合は3,200円。
釣ったほうがお得。
そして、せっかくなので伊勢海老釣りにも挑戦してみたのだが……これまた釣れない。

伊勢海老やオマール海老、貝類などを釣る場合は、餌はつけず、体に針を引っかけて釣る。が、針が水の中でふよふよと動き、思うように海老の体に引っかかってくれないのだ。海老のあれだけゴツゴツした体なら、どこかしらに引っかかりそうなものなのに、狙えば狙うほど釣れない。もはや手づかみした方が早いわ! とジリジリしていたら、「欲のない子どもたちは、伊勢海老をひょいひょい釣っていきますね。価値をわかっていない分、余計な力が入らないのかも」と店長さん。鯛たちにはことごとくフラれ、伊勢海老を狙って自分の欲深さを再認識させられ、なんだか自分という人間について考えさせられてしまった。魚にも選ぶ権利がある、そういうことだろうか。これ以上魚と己について思いをめぐらせても暗い気持ちになるだけなので、このへんにしておく。
海でも川でも新宿でも、釣りは人を哲学的にさせる。
●ゲーム度
★★★★★
ゴツゴツしたその体で釣れそうな誘惑をまき散らし、いざ釣ろうとすると、釣れそうで釣れない伊勢海老。この感覚は、UFOキャッチャーのそれと似ている。また、安いアジを釣りたかったのに(アジは釣り代+調理費680円~)、釣れたのは高い鯛だった! という、狙い通りに取れないところもまるでUFOキャッチャーのよう。子どもは価値も分からずに伊勢海老をひょいひょい釣るらしいが、その親のお財布事情がやや気になるところである。
(取材・文=朝井麻由美 撮影=田所英一郎)
●『釣船茶屋ざうお』
< http://www.zauo.com/contents/zauo_top.html >
新宿店:新宿区西新宿3-2-9 新宿ワシントンホテル1F 電話:03-3343-6622
営業時間は、平日は11:30~14:00/17:00~23:00、土日祝は11:30~23:00
首都圏の他には、大阪、愛知、三重、福岡でチェーン展開。毎月第一木曜日の夜はマグロの解体ショーを見ることもできる。釣った魚を使ってお寿司作りを教われる「寿司職人体験教室」も随時開催中。
【散歩師・朝井がゆく!】バックナンバー
【vol.13】工場長のテンションにも注目!? おもしろ消しゴム工場見学!
【vol.12】“新秋葉電気鉄道”出発進行! 鉄ヲタ大満足の鉄道居酒屋
【vol.11】ドレスコードはバンドT! ROCKにキメる『ジャケ弁講座』に潜入
【vol.10】かわいいメイドさんの正体はガンマニア!? シューティングメイドカフェ
【vol.9】ドヤ顔からてへぺろまで!? 自分にそっくりな石像が見つかる「五百羅漢」
【vol.8】ドラクエ好き女子ライターが教える、ドラゴンクエスト展のマニアな楽しみ方
【vol.7】麺の気持ちになれるアトラクションまで!? 「カップヌードルミュージアム」が楽し過ぎる!
【vol.6】「舌の上でプチプチと......」知られざる珍味"蝉フルコース"にチャレンジ
【vol.5】お坊さんは隠れた名カウンセラー? お寺で人生相談
【vol.4】"ライター"のプライドを懸けて「売り込みナイト」にガチで挑戦!
【vol.3】なんとも言えない高揚感に体が火照る!? 話題のアニソンバーで熱唱!
【vol.2】ベタなトルコをお気軽エンジョイ! 「東京ジャーミイ&トルコ文化センター」
【vol.1】サブカルイベントゆえのゆるさ!? 『ART MAP in 阿佐ヶ谷』を歩いてみた

なんとこの店、ワシントンホテルの1階に入っている。
日本一アーバンな釣り堀だろう(たぶん)。
ゆるいものならなんでも大好き♪ ロリ顔ライター・朝井麻由美が気になるスポットをご案内します。
やってみたいと思いつつも、手つかずになっているレジャーが、“釣り”だ。『糸井重里のバス釣りNo.1』や『牧場物語』シリーズ、『ぼくのなつやすみ』に『どうぶつの森』、『モンスターハンター』、思えばずいぶんたくさんのゲームでせっせと釣りをしてきた。だが、実際の釣りとなると、いかんせん朝が早い。言い換えれば、その程度の理由であきらめられるくらいにしか、釣りへの情熱がないということなのだが。ともかく、早起きしなくてもいい釣りじゃなきゃイヤだイヤだ、とワガママを言っていたら――あった。早起きどころか、電車でサクッと行けて、しかもその場で釣りたての魚を食べられる至れり尽くせりスポット、『釣船茶屋ざうお』だ。今回行ってきたのは、新宿店。この店の目玉は鯛で、ほかにアジやヒラメ、カサゴ、サザエやオマール海老、伊勢海老などが釣れるそう。庶民にとっての夢の食べ物・伊勢海老が、新宿でさらっと釣れちゃっていいの?
お店に着いてさっそく釣り道具を借り、魚の密集していそうなところに釣り糸を垂らすのだが、

餌はオキアミ。
……釣れない。

「全然釣れないですねぇ」と横にいた店長の鄭虹志さんにボヤいたら、「まだ2分しかたってないですよ! そんなに早く釣れるわけないよ(笑)」と一蹴されてしまった。ゲームだとせいぜい5秒くらいで釣れたのに、おかしいな……。
ピクリとも動かない釣り竿をボーっと眺めていたら、魚にしては大きい生き物が近くを横切った。

商売道具の魚を食い散らかすペット。
なんとこれ、この店のペットのサメらしい。しかも1匹だけではなく、よく見たら生け簀のあちこちで何匹ものサメが悠々と泳いでいた。当然、ほかの魚を食べてしまうようで、
「夜中に食べてるのか、朝来たらアジの頭だけが生け簀に浮かんでることもありましたね。たまに伊勢海老が狙われることもあるんですよ。でも、面白いから飼い続けてます」(店長)
という。大事な商売道具の魚が食いちぎられてしまっても、めげずにサメを飼うって。そんなんでいいのか。

海のギャング・ウツボも同様にペット。
待つこと20分。ちっとも釣れないので場所を変えるも、やはり釣れない。私の何が悪いのだろう。海や川にいる野生の魚よりも食いつきはいいはずが、釣り竿は無情にもだんまりを決め込んでいる。結構な数の魚がウヨウヨと泳いでいるのに、どいつもこいつも餌に見向きもしない……チッ。あまりに釣れない筆者を見かねた店長さんは、餌をオキアミからサーモンに変えてくれた。すると、

お……!?

鯛が釣れたーーーーー!!!!
釣れたらすかさず、店員さんが調理スペースへ持って行き、活き造りを作ってくれる。ちなみに活き造りは、釣り代と調理費込みで2,380円。そのほかの料理は、調理法によっては釣り代2,380円(魚によって異なる)に数百円加算されるという仕組みになっている。

飲食スペースは船の形。

この店で釣れるのは、「紀州 梅まだい」という
種類。言うまでもないが、ピチピチでおいしい。
釣らずに活き造りだけを注文する場合は3,200円。
釣ったほうがお得。
そして、せっかくなので伊勢海老釣りにも挑戦してみたのだが……これまた釣れない。

伊勢海老やオマール海老、貝類などを釣る場合は、餌はつけず、体に針を引っかけて釣る。が、針が水の中でふよふよと動き、思うように海老の体に引っかかってくれないのだ。海老のあれだけゴツゴツした体なら、どこかしらに引っかかりそうなものなのに、狙えば狙うほど釣れない。もはや手づかみした方が早いわ! とジリジリしていたら、「欲のない子どもたちは、伊勢海老をひょいひょい釣っていきますね。価値をわかっていない分、余計な力が入らないのかも」と店長さん。鯛たちにはことごとくフラれ、伊勢海老を狙って自分の欲深さを再認識させられ、なんだか自分という人間について考えさせられてしまった。魚にも選ぶ権利がある、そういうことだろうか。これ以上魚と己について思いをめぐらせても暗い気持ちになるだけなので、このへんにしておく。
海でも川でも新宿でも、釣りは人を哲学的にさせる。
●ゲーム度
★★★★★
ゴツゴツしたその体で釣れそうな誘惑をまき散らし、いざ釣ろうとすると、釣れそうで釣れない伊勢海老。この感覚は、UFOキャッチャーのそれと似ている。また、安いアジを釣りたかったのに(アジは釣り代+調理費680円~)、釣れたのは高い鯛だった! という、狙い通りに取れないところもまるでUFOキャッチャーのよう。子どもは価値も分からずに伊勢海老をひょいひょい釣るらしいが、その親のお財布事情がやや気になるところである。
(取材・文=朝井麻由美 撮影=田所英一郎)
●『釣船茶屋ざうお』
< http://www.zauo.com/contents/zauo_top.html >
新宿店:新宿区西新宿3-2-9 新宿ワシントンホテル1F 電話:03-3343-6622
営業時間は、平日は11:30~14:00/17:00~23:00、土日祝は11:30~23:00
首都圏の他には、大阪、愛知、三重、福岡でチェーン展開。毎月第一木曜日の夜はマグロの解体ショーを見ることもできる。釣った魚を使ってお寿司作りを教われる「寿司職人体験教室」も随時開催中。
【散歩師・朝井がゆく!】バックナンバー
【vol.13】工場長のテンションにも注目!? おもしろ消しゴム工場見学!
【vol.12】“新秋葉電気鉄道”出発進行! 鉄ヲタ大満足の鉄道居酒屋
【vol.11】ドレスコードはバンドT! ROCKにキメる『ジャケ弁講座』に潜入
【vol.10】かわいいメイドさんの正体はガンマニア!? シューティングメイドカフェ
【vol.9】ドヤ顔からてへぺろまで!? 自分にそっくりな石像が見つかる「五百羅漢」
【vol.8】ドラクエ好き女子ライターが教える、ドラゴンクエスト展のマニアな楽しみ方
【vol.7】麺の気持ちになれるアトラクションまで!? 「カップヌードルミュージアム」が楽し過ぎる!
【vol.6】「舌の上でプチプチと......」知られざる珍味"蝉フルコース"にチャレンジ
【vol.5】お坊さんは隠れた名カウンセラー? お寺で人生相談
【vol.4】"ライター"のプライドを懸けて「売り込みナイト」にガチで挑戦!
【vol.3】なんとも言えない高揚感に体が火照る!? 話題のアニソンバーで熱唱!
【vol.2】ベタなトルコをお気軽エンジョイ! 「東京ジャーミイ&トルコ文化センター」
【vol.1】サブカルイベントゆえのゆるさ!? 『ART MAP in 阿佐ヶ谷』を歩いてみた

味はともかく、作ったことを褒めてください
この時期になると、「結婚」を特集した女性誌が多く見られます。5月30日発売の女性誌「an・an」(マガジンハウス)も、もれなく結婚特集です。表紙の綾瀬はるかさんの横には「結婚しない?」と文字が並び、彼女からの逆プロポーズように見えなくもないです。
そんな「an・an」の特集内で注目したいのは、結婚に踏み切った理由。数年付き合って、お互い適齢期になり、ごく自然の流れで結婚! なんてスムーズに行けばいいのですが、本誌のアンケートを見てみると、何か大きなきっかけがないと、結婚に踏み切れない場合も多いようです。
そこで今回は、あなたがどんなきっかけで結婚するのか、心理テストでチェックしてみましょう。好きな彼に作ってあげたい手料理が何か、その答えにより、「あなたが結婚するきっかけ」がわかります。
A:煮物などの和食
B:ハンバーグやオムライスなどの洋食
C:カフェごはんなど、手軽でオシャレな料理
D:フレンチやイタリアンなど、お店で出てくるような手のこんだ料理
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『驚きの介護民俗学』(医学書院)
老人は何度も同じ話をする。例えば、うちの祖父がそうだ。
今年90歳になる祖父は、認知症こそ始まっていないものの、会うと毎回同じ話を繰り返す。例えば、戦後すぐの話。祖父は闇市で飴の販売をしたり、コメや農作物と物々交換をしてもらい生計を立てていた。
「伊東でイカを仕入れて、長野まで夜行で持って行ったんだよ。おい、どうなったと思う?」
「さあ……」
「腐っちゃってたんだよ」
祖父、爆笑。
こちらはうつむきながら調子を合わせて、とりあえず笑っているような雰囲気を作る。100回近く聞かされたこの話が面白いわけがない。だが、こちらの考えなどお構いなしに、おそらく祖父は死ぬまで僕に向かってこの話をしていることだろう……。
大学教授として学生たちに民俗学を教える立場から突然、介護の現場に飛び込んだ民俗学者・六車由実は「介護民俗学」という概念を提唱している。老人ホームで、認知症の老人たちの生活史に熱心に耳を傾けることによって生み出されたこの新しい視点。その成果が『驚きの介護民俗学』(医学書院)として一冊の本にまとめられた。
九州電力の子会社で働いていた山口昇さんは、発電所から村々を結ぶ電線を設置する仕事に従事していた。10日間村に滞在し、電線の設置が終わればまた別の村へと移動する。また、カイコの雄雌を見抜く「鑑別嬢」という仕事をしていたのは杉本タミさん。若い女性たちがグループを組み、あちこちの村に派遣され、村人と触れ合いながらカイコの鑑定を行う。現代では失われ、思い出されることもない彼らの暮らしぶり。六車は、民俗学者・宮本常一の言葉を引用しながら「忘れられた日本人」と彼らの半生を形容する。
また、高齢者のトイレ介助も老人ホームの仕事。普通なら嫌がられるだけの仕事だが、六車はそこにもまた面白さを見出してしまう。慣れない水洗トイレに拒否感を示してしまう入所者たち。「トイレに行きましょう」と声をかけてもなんの反応もしないのに、「お手洗い」「便所」「雪隠」などと言い換えればとたんに理解できる認知症の老人。畑仕事をしていた昔の記憶を思い出したのか、しばしば男性用トイレで立ちションをしてしまう女性……。
生活の歴史をつぶさに聞きだす民俗学のフィールドワーク現場として、老人ホームほど適した場所はない。だが、相手は認知症を患っている老人。認知症の診断を受けていないわが祖父の話し相手をするだけでもへとへとになってしまうのに、認知症老人相手にコミュニケーションなどとることができるのだろうか?
例えば夕方になると「帰りたい」と言い、徘徊をはじめるハルさん。「たそがれ症候群」といわれ、認知症高齢者によくある症例のひとつだ。
「私は家に帰ってご飯の支度をしなきゃいけないのよ。私が帰らなきゃ子どもたちがみんな困るじゃないの。だから私を家に帰してちょうだい」
「お母さんが病気で家に一人でいるの。だから帰らなきゃならないの」
もちろん、そんな事実はないのだから、彼女の言葉は「ボケ」の典型的な症例に過ぎない。しかし、六車はそんなハルさんの言葉から、徘徊する背景を「家族のために一生懸命働いてきたハルさんの生き方が垣間見える」と肯定する。認知症だからといって、決して老人たち本人にとっては支離滅裂な言葉をしゃべっているわけではない。記憶が混濁していても、彼らには彼らなりの必然性を持った言葉を話している。六車は、そんな老人たちの言葉に対して真摯に向き合う。
もちろん、人手不足が叫ばれ、過酷を究める介護の現場に、そんな誠意を持つ余裕はないという反論もある。六車も、仕事が変わり業務に忙殺されるようになると、とたんに彼らの話を聞く余裕を失ってしまった。だが、そんな状況でも「知りたい」という好奇心は勝手に動きまわるものだ。彼女は忙しさに流されず、そんな自分の欲求に素直になることで、「驚き」という感動を手にした。それは、思わぬ可能性も秘めていた。
「そこでは利用者は聞き手に知らない世界を教えてくれる師となる。日常的な介護の場面では常に介護される側、助けられる側、という受動的で劣位な『される側』にいる利用者が、ここでは話してあげる側、教えてあげる側という能動的で優位な『してあげる側』になる。(略)そうした介護者と被介護者との関係のダイナミズムはターミナル期を迎えた高齢者の生活をより豊かにするきっかけとなるのではないか」(本文より)
ともすると、僕らはすぐに老人を「弱者」とみなして、手厚く保護をしようとする。だが、現代っ子には窺い知れないほどに数多くの経験をしている彼らは、決してただの弱者ではないのだ。もちろん、老人たちの声に耳を澄ますことは、とても大変なことだ。だが、人間として尊敬を持ちながら真摯に彼らに接することで、介護は民俗学にとどまらない新たな発見の場にもなるだろう。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])
●むぐるま・ゆみ
1970年生まれ。大阪大学大学院修了。文学博士。「神、人を喰う―人身御供の民俗学」で2003年サントリー学芸賞を受賞。東北芸術工科大学准教授を経て、現在郷里の静岡県で特養内ディサービスに介護職員として勤務。

『驚きの介護民俗学』(医学書院)
老人は何度も同じ話をする。例えば、うちの祖父がそうだ。
今年90歳になる祖父は、認知症こそ始まっていないものの、会うと毎回同じ話を繰り返す。例えば、戦後すぐの話。祖父は闇市で飴の販売をしたり、コメや農作物と物々交換をしてもらい生計を立てていた。
「伊東でイカを仕入れて、長野まで夜行で持って行ったんだよ。おい、どうなったと思う?」
「さあ……」
「腐っちゃってたんだよ」
祖父、爆笑。
こちらはうつむきながら調子を合わせて、とりあえず笑っているような雰囲気を作る。100回近く聞かされたこの話が面白いわけがない。だが、こちらの考えなどお構いなしに、おそらく祖父は死ぬまで僕に向かってこの話をしていることだろう……。
大学教授として学生たちに民俗学を教える立場から突然、介護の現場に飛び込んだ民俗学者・六車由実は「介護民俗学」という概念を提唱している。老人ホームで、認知症の老人たちの生活史に熱心に耳を傾けることによって生み出されたこの新しい視点。その成果が『驚きの介護民俗学』(医学書院)として一冊の本にまとめられた。
九州電力の子会社で働いていた山口昇さんは、発電所から村々を結ぶ電線を設置する仕事に従事していた。10日間村に滞在し、電線の設置が終わればまた別の村へと移動する。また、カイコの雄雌を見抜く「鑑別嬢」という仕事をしていたのは杉本タミさん。若い女性たちがグループを組み、あちこちの村に派遣され、村人と触れ合いながらカイコの鑑定を行う。現代では失われ、思い出されることもない彼らの暮らしぶり。六車は、民俗学者・宮本常一の言葉を引用しながら「忘れられた日本人」と彼らの半生を形容する。
また、高齢者のトイレ介助も老人ホームの仕事。普通なら嫌がられるだけの仕事だが、六車はそこにもまた面白さを見出してしまう。慣れない水洗トイレに拒否感を示してしまう入所者たち。「トイレに行きましょう」と声をかけてもなんの反応もしないのに、「お手洗い」「便所」「雪隠」などと言い換えればとたんに理解できる認知症の老人。畑仕事をしていた昔の記憶を思い出したのか、しばしば男性用トイレで立ちションをしてしまう女性……。
生活の歴史をつぶさに聞きだす民俗学のフィールドワーク現場として、老人ホームほど適した場所はない。だが、相手は認知症を患っている老人。認知症の診断を受けていないわが祖父の話し相手をするだけでもへとへとになってしまうのに、認知症老人相手にコミュニケーションなどとることができるのだろうか?
例えば夕方になると「帰りたい」と言い、徘徊をはじめるハルさん。「たそがれ症候群」といわれ、認知症高齢者によくある症例のひとつだ。
「私は家に帰ってご飯の支度をしなきゃいけないのよ。私が帰らなきゃ子どもたちがみんな困るじゃないの。だから私を家に帰してちょうだい」
「お母さんが病気で家に一人でいるの。だから帰らなきゃならないの」
もちろん、そんな事実はないのだから、彼女の言葉は「ボケ」の典型的な症例に過ぎない。しかし、六車はそんなハルさんの言葉から、徘徊する背景を「家族のために一生懸命働いてきたハルさんの生き方が垣間見える」と肯定する。認知症だからといって、決して老人たち本人にとっては支離滅裂な言葉をしゃべっているわけではない。記憶が混濁していても、彼らには彼らなりの必然性を持った言葉を話している。六車は、そんな老人たちの言葉に対して真摯に向き合う。
もちろん、人手不足が叫ばれ、過酷を究める介護の現場に、そんな誠意を持つ余裕はないという反論もある。六車も、仕事が変わり業務に忙殺されるようになると、とたんに彼らの話を聞く余裕を失ってしまった。だが、そんな状況でも「知りたい」という好奇心は勝手に動きまわるものだ。彼女は忙しさに流されず、そんな自分の欲求に素直になることで、「驚き」という感動を手にした。それは、思わぬ可能性も秘めていた。
「そこでは利用者は聞き手に知らない世界を教えてくれる師となる。日常的な介護の場面では常に介護される側、助けられる側、という受動的で劣位な『される側』にいる利用者が、ここでは話してあげる側、教えてあげる側という能動的で優位な『してあげる側』になる。(略)そうした介護者と被介護者との関係のダイナミズムはターミナル期を迎えた高齢者の生活をより豊かにするきっかけとなるのではないか」(本文より)
ともすると、僕らはすぐに老人を「弱者」とみなして、手厚く保護をしようとする。だが、現代っ子には窺い知れないほどに数多くの経験をしている彼らは、決してただの弱者ではないのだ。もちろん、老人たちの声に耳を澄ますことは、とても大変なことだ。だが、人間として尊敬を持ちながら真摯に彼らに接することで、介護は民俗学にとどまらない新たな発見の場にもなるだろう。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])
●むぐるま・ゆみ
1970年生まれ。大阪大学大学院修了。文学博士。「神、人を喰う―人身御供の民俗学」で2003年サントリー学芸賞を受賞。東北芸術工科大学准教授を経て、現在郷里の静岡県で特養内ディサービスに介護職員として勤務。
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