3月12日、ジャニーズ事務所から、今年11月1日をもってV6が解散すること、またメンバーの森田剛が退所することが発表され、ジャニーズファンの間に衝撃が走っている。
1995年にデビューしてから、実に26年にわたり、誰一人メンバーが欠けずにグループを続けてきたV6。近年はメンバー個人の活動がメインである一方、コンサートで見せる6人のステージは抜群のクオリティを誇るといわれ、多くのファンを魅了してきた。そんなV6の解散に、ファンはネット上で「ものすごくショック」「6人揃ってのパフォーマンスが見られなくなるなんて」「私はこれから何を楽しみに生きていけばいいの」などと悲鳴を上げているが、森田の退所にあたり、メンバーが「この6人でなければV6ではない」という思いを貫き、解散という選択をしたことには、「V6らしい」といった納得の声も少なからず出ている。
こうしてジャニーズ事務所は、KinKi Kids除く1990年代にデビューしたグループの全てが、新しい門出を迎えることに。SMAPとV6は解散、TOKIOはジャニーズの関連会社「株式会社TOKIO」を設立し、メンバーの長瀬智也がこの春退所、そして嵐は昨年末をもって無期限の活動休止に突入した。
ジャニーズファンの間では、相次ぐグループの解散や活休が惜しまれているものの、企業の経営の面から考えると、それは致し方ないことなのかもしれない。サイゾーウーマンでは、2019年1月、嵐が20年末での活動休止を発表したことを受け、企業コンサルタントの大関暁夫氏にインタビュー。その中で、「商品には、それぞれの“ライフサイクル”というものがある」と大関氏は語り、ジャニーズ事務所の商品(=アイドルグループ)の寿命は「15年」と明言したのだった。
V6が解散という道を選んだ今、この「ジャニーズグループ15年寿命説」を提言した大関氏のインタビュー記事を再掲する。
(編集部)
(初出:2019年2月16日)
嵐の活動休止発表……企業コンサルタントが、ジャニーズグループ「15年寿命」説を提言
1月27日、国民的アイドル・嵐の活動休止が突如発表された。同日午後5時、ファンクラブ会員向けサイトで、メンバー5人によるメッセージ動画が公開され、活休の報告とその経緯を説明。リーダー・大野智が2017年6月、「2020年をもって、自分の嵐としての活動を終えたい」「一度、何事にも縛られず自由な生活をしたい」とメンバーに告げ、話し合いを重ねた結果、2020年末でグループ活動を休止するとの結論に至ったという。
同日午後8時からは記者会見も行われ、メンバーは「解散ではない」ことをあらためて強調、また活休期間は明確に決められていないことも明かしていた。会見で見せた“誰も悪者にしない”という姿勢や仲睦まじい様子には、嵐ファンから「感動した」「やっぱり嵐は5人で嵐」「再始動までずっと待ってる」など、温かなコメントが寄せられていたものの、一方で「大野くんの気持ちもわかるけど、やっぱり悲しい」「このまま事実上の解散になりやしないか」「こんな大勢のファンがいるのに、なぜ……」と複雑な胸中を隠しきれない人も少なくない。
そんな中、「嵐がいま活休を発表したのは正しい」と断言するのが、企業コンサルタントの大関暁夫氏だ。ビジネスの視点で、「ジャニーズの男性アイドルグループ」という商品のライフサイクルを考えたとき、嵐は英断を下したと評価できるという。今回、数々のジャニーズグループの例を挙げながら、「商品として」のアイドルグループの寿命を考察してもらった。
――嵐の活休発表を知った際、率直にどのように感想を抱きましたか。
大関暁夫氏(以下、大関) 真っ先に、ジャニーズ事務所は、根本的な商品(=アイドルグループ)戦略をちゃんと考えていないなと感じました。商品には、それぞれの“ライフサイクル”というものがあります。複数の事業を持つ企業が、どの事業にどれだけの投資を行うかという戦略を考える際、「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」というフレームワークを用いることがあるのですが、それにジャニーズのアイドルグループ(商品事業)を当てはめて考えたとき、戦略の甘さを感じたのです。
――PPMとはどういったものなのでしょうか。
大関 PPM分析では、4つのポジションに事業を分類していきます。その4つは、事業のライフサイクルを示しており、「問題児(積極的に投資をしていく売り出し中の商品)」→「花形(投資を続けるべき利益を上げている商品)」→「金のなる木(投資をしなくても利益を生む商品)」→「負け犬(投資は不要で利益も少ない商品)」となります。
ジャニーズのこれまでのアイドルグループをいくつか例にして解説していきますと、最初の商品である初代ジャニーズは、1964年にレコードデビューし、解散は67年だったので、実質3年間しか活動していませんでした。当時のアイドルの寿命は短く、また事務所も手探り状態だったためか、「花形」の段階で人気がピークアウトして解散したと見ています。次の商品である68年レコードデビューのフォーリーブスは、78年まで約10年活動。「花形」の状態になったとき、積極的にテレビで売っていくなどという新たな投資をして「金のなる木」にまで成長し、7年目くらいで人気がピークアウトして「負け犬」となり、解散に至ったという印象です。
――82年デビューのシブがき隊は88年に解隊と、6年しか活動しませんでした。しかし、85年デビューの少年隊は、ここ数年グループでの活動はないですが、現在も公式サイトにページがありますし、ファンは再始動を期待しています。
大関 少年隊が最後にCDシングルを発売したのが2006年で、これが前作から5年半ぶり。01年までは、定期的にCDを出していて、冠番組の放送が02年までだと考えると、舞台を除く少年隊の活動は、85~2000年初頭の約15年間がメインであったと言えるでしょう。デビュー10年頃に「金のなる木」に育ち、15年でピークアウトを向かえ、その後は各々が独自路線を切り開き、グループを自然消滅のような形に持っていったように見えます。恐らく、意図した流れではなかったでしょうが、もし事務所が、少年隊としての活動を引き伸ばそうとしていたら、何か良からぬ結末を迎えていたように思います。
――良からぬ結末とはなんでしょうか。
大関 「花形」の段階にいるときは、メンバーたち自身も、今目の前のことを一生懸命やろうというモードで、事務所も新しいことをどんどんやらせていこうと投資をします。その後、「金のなる木」に育ち、ピークアウトを迎えると、本人はそのことを敏感に察するものなのです。すると、「このままでいいのか」「もっとやるべきことがあるのではないか」といった気持ちが膨らみ、人によってはグループ活動に不平不満を抱いたり、集中力を欠いて問題を起こすケースが出てくる。少年隊はその前に上手にフェードアウトした“理想形”といえ、ジャニーズのアイドルグループのピークアウト、つまり寿命は「15年」と定義できるのではないかと思うのです。
そう考えると、25年活動したSMAPがああいった解散の仕方をしたのは、致し方なかったのかもしれません。もちろんSMAPは並外れた人気を誇っていたので、ピークアウトが15年よりもっと後だったとも考えられますが、それでも「15年」からさらに10年もというのは、活動を引き伸ばしすぎたのでは。本人たちは15年を過ぎたあたりから、何らかの問題意識は持っていたように感じます。事務所は「まだまだ儲かる」と無理に活動を続けさせるのではなく、15年を過ぎたあたりで、速やかにメンバーを自由に……解散なり休止なり、グループとしての形を終え、メンバーが個々人として活動する“次のステップ”を用意してあげるべきだったのではないでしょうか。
――TOKIOも、デビュー25周年目を目前にした昨年、山口達也が強制わいせつ事件で書類送検となり、退所に至りました。
大関 それもやはり、ピークアウトを過ぎてもなおグループ活動を続けたことにより、「集中力を欠いて問題を起こす」メンバーが出てきたというふうに見ることができます。山口さんは以前からお酒に溺れるようなところがあったと聞きますし、16年には離婚を経ています。TOKIOが20年を迎えた頃から、山口さん自身もさまざまな問題を抱え、それが犯罪という最悪の形で出てしまったのかもしれません。あの事件は起きるべくして事件だったようにも感じます。
一方でV6は、CDリリースは続いているものの、すでに個々の活動がメインとなっています。少年隊と同じような形で、うまくグループ活動をフェードアウトに持っていく、いい例だと思いますね。なお、2人組のKinKi Kidsに関しては、グループではなく“コンビ”なので、また話が違ってくるんです。2人だと相対で相談でき、意思の統一がしやすいものですが、3人以上のグループになるとそれがなかなか難しくなります。アイドルグループのピークアウトは「15年」という定義は、あくまで3人以上のグループに当てはまると考えています。
(後編につづく)
取材協力:大関暁夫(おおぜき・あけお)
All About「組織マネジメント」ガイド。東北大学卒。横浜銀行入行後、支店長として数多くの企業の組織活動のアドバイザリーを務めるとともに、本部勤務時代には経営企画部門、マーケティング部門を歴任し自社の組織運営にも腕をふるった。独立後は、企業コンサルタントの傍ら上場企業役員として企業運営に携わる。