競合誌創刊で濃くなった、"若い自分"と男に夢中な「STORY」の世界

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「STORY」2010年12月号(光文社)

 どんぴしゃなタイミングで社長が『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)に出演するなど、盤石とも思えるバックアップで創刊された「GLOW」(宝島社)をはじめ、紙媒体の最終ターゲットであるアラフォー女性への囲い込み運動が加速している昨今。「STORY」も受けて立たんとばかりに、今月号は漆黒の表紙に金の文字。ソッチ系の人の自家用車(運転手付)を想像させます。シュッと組んだ脚で不敵な笑みを浮かべるトミーこと富岡佳子もいつになく極妻風。推定15cmはあろうかという黒のピンヒールで、「ゆるさ」「自然体」といった輩をグリグリと踏みつけるのでしょうか。奇しくも創刊8周年記念の今月号、何かが起きそうな予感がするので、皆様「覚悟しいや!」

「STORY」で女子会祭り! 大黒摩季×藤原紀香「ソウルメイト女子会」の恐怖

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「STORY」2010年11月号(光文社)

 世界各国から様々なセレブが登場する、人気連載「手は女を語る」。扉に「じっくりと考える文章は必ず原稿用紙に縦書きで」「手書きの原稿をファックスで送るスタイルはずっと変わらないような気がします」とあったので、どんな文豪が登場するのかと思ったら、雨宮塔子でした。雨宮塔子に個人的な思い入れは皆無ですが、丸い刃で心をかすられたような、この小さな疼きは何でしょう。エスプリの香りとともにやって来る無尽蔵なFAXに、編集さんの目が死んだ魚のようになっていないか心配。古くは岸恵子、そして中山美穂......パリという街は、女から現実を直視する能力を奪っちゃう恐ろしいトコなのですね。40代の夢物語「STORY」にも、おフランスに似た魔力が潜んでいるので、今月も注意深く拝読させていただきます。

"私のための歓迎会には艶ワンピで"、「STORY」による働く女性の夢物語

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「STORY」2010年10月号(光文社)

 ヌードなり、卵巣企画なり、飛ばし過ぎるぐらい飛ばす「美STORY」にすっかり押されまくりの、本家「STORY」。そりゃ、「ビューティー」の冠のもとに、エログロな企画を打ちこんでくる「美STORY」と、一応ファッションメインの「STORY」では、はっちゃけ具合が違います。ただ、最近気になることが......。「STORY」と「美STORY」で似たような面子なり、企画が出てきていること。先日発売された「美STORY」の中で、沢尻エリカが表紙を飾り、インタビューで「山咲千里さんがいちばんの"美先輩"」と話していましたが、今月号の「STORY」では「『キレイの化学反応』、し合う女たち」で沢尻&山咲が登場しています。これって、同じに日に合同取材!? それでもいいんです。出版不況ですもの、細かく節約して、面白い企画が掲載されれば、読者に取って損はナシ! という風に勝手にハードルあげてしまいましたが、今月号の「STORY」は、面白い?

<トピックス>
◎大特集 働く40代の服が、参考になる!
◎「キレイの化学反応」、し合う女たち
◎「小物使い」に大人の余裕が出る!

■林真理子は見た!!

 萩原健一&「STORY」モデル・冨田リカの熱愛がアラフォー界を賑わしておりますが、今月号の林真理子先生の連載に驚くべき証言がありました。なんと先生、その現場近くにいたというじゃありませんか!! ショーケンのトークショーにゲストとして呼ばれた先生が、楽屋でヒマをもてあましていたとき、「トントン」とドアをノックしたのが冨田リカだったのだとか。同じトークショーの別公演で出演が決まっていた彼女は、先生とショーケンのファンであること、二人に会えて感動したということを、「図々しさや、いやらしい計算はなく」伝えにきたようです。

 「中年になってから、他人へのアプローチをさわやかにやってのけられる人」「きっと彼女は、私の楽屋のドアをノックするように、ショーケンの扉を叩いたに違いない。(中略)ショーケンが、いっぺんに冨田さんに惹かれたのもわかるような気がする」と、先生は冨田リカにベタぼれの様子。

 というのも先生、この手の「一般的にはさして有名ではないものの、女性誌等ではカリスマ的人気を誇る」輩が苦手なようで、「こういった方の中には、もの凄い勘違いをしている人たちがいる。初対面の私にいきなりタメ口をきいたり、あるいはヘンに卑屈になる」だって。"この手の輩"が気になる方は、どうぞ光文社大人カワイイ三姉妹誌を探してみてください。先生曰く「女性というのは、鋭く同性を見抜く」もの。私は最近離婚したあの方とか、離婚しそうでしないあの方とか、先生をタメ語でイラつかせたのではないかと踏んでいます。

 姉妹誌「美STORY」の対談で出会ったというショーケン&冨田リカ。その時彼女は「素敵な友達になっていただけますか?」と大胆アプローチしたらしいです。「STORY」世代が"素敵な友達"っていうと、どうも銀座で寿司を奢ってくれたり、ホテルのラウンジに花束持って駆け付けたりする"私が輝くためのレフ板"のイメージしか湧かないんです。恐れながら、そんな責任の一端は、林真理子先生、あなたにあると思えてなりません。

■「STORY」を席巻する、謎の職業婦人たち

 先月号のクローゼット特集で、「STORY」にも不況の波が!? とお伝えしましたが、今月の大特集は「働く40代の服が、参考になる」。仕事スタイルを「バリキャリ組」「契約組」「復帰組」と分け、それぞれのリアルストーリーを誌上で再現しています。これがすごい。契約組ゆりこの場合は、「以前はあんなに楽しかったママ友とのランチやお茶も、子供の話や旦那の愚痴ばかりと、同じ話にうんざり」と、のっけから今までのキラキラ日常スタイルを全否定。そして派遣に登録しようと一念発起、初出勤服の「ふんわりブラウスとティアードスカートのフェミニンな装い」に、同僚年下男子から熱い視線が注がれています。「私のための歓迎会にはおニューの艶ワンピで。年下の男性社員からちやほやされ、久々に姫気分を満喫」しちゃうし、家庭に帰れば「仕事の大変さを知り夫にも改めて感謝」と、めでたしめでたし......。なんという夢物語なんでしょう。

 こういうの、どっかで見たことあると思ったら、アレ。男性誌の巻末によくある「天然石のブレスレットをはめたら、童貞の僕がなぜかモテモテに」って誇大広告にクリソツ。「ミニスカートで人生変わる」しかり、今回の「お仕事復帰でモテモテ」しかり、「STORY」ってホント、人生一発大逆転が好きですよね。

 登場するキャリア読者たちも、虎視眈々と一発逆転を狙ってます。親業訓練インストラクター、美人ライフコンシェルジュと、想像すらつかない謎の職業婦人たち。読み進めてまいりますと、これらの方たちは自分で肩書きを作ったとのこと。でも職業として成り立っているということは、この得体の知れないカタカナ職業の元に、何らかの人と金が集まっているということですよね。輝きたい願望の強いアラフォー世代の心の隙間に忍び寄る、これぞ本当の隙間産業。「STORY」女性は現代の山師です。

 これらの企画に押されていましたが、「『キレイの化学反応』、し合う女たち」もキョーレツでした。寺島しのぶ&井川遥、川原亜矢子&シルク、欧陽菲菲&梅宮アンナ、山咲千里&沢尻エリカが「友であり、ライバルである私たち」トークを披露しています。お互いを誉め称え、「そんな私たちって最高じゃない?」と問いかけてくる皆さん。いろんな意味で目を逸らしたくなりました。女が友情を語るときの、あの「私を見て」感が、芸達者な方たちにより濃縮100%でこちらへと向けられるのです。妖怪・山咲千里の隣では稀代のエリカ様も単なる小童に見える。そんな「STORY」のせいで、今夜も寝苦しそうです。
(西澤千央)


「STORY」


熱帯夜の正体は、光文社カルチャーだったか!?


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読者ヌードに、誌面上での整形体験......「美STORY」が笑えない次元に到達

アンナのペアヌードまで登場!? 「STORY」の庶民的なクローゼット企画

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「STORY」 9月号/光文社

 「ミニスカートで人生を変えろ」「悪女になって女性ホルモンを取り戻せ」など、バブル世代の「私良ければ全て良し」という潜在意識に大きく働きかける「STORY」。一方で、40代女性からおばちゃんという着地点を奪い、時に読者を現実と妄想の狭間に置いてきぼりにするという酷なこともしてしまう、いけずぅな雑誌でもあります。巧みな言葉のすり替えで女のあらゆる欲望を喚起し続ける同誌だけに、今月の特集「秘密のクローゼット」も、素直に受け取るとケガしちゃうかも。それでは早速見て参りましょう。

<トピックス>
◎大特集 私が見える、秘密のクローゼット
◎実例・最近湘南続は"ゆるリラ可愛い"
◎「姉妹」は私のサポーター

「STORY」いわく、ミニスカートは人生のレフ板!? 輝き続けたい中年女性の業

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「STORY」 8月号/光文社

 林真理子先生の悪女論がさく裂した先月号に続き、「美STORY」では読者ヌードに整形体験と、「ぶっ飛び~」((C)宮沢りえ)具合を見せている、光文社のエイジレス姉妹誌。もう何が起きてもおかしくない心構えではいるのですが、どうでしょう、この表紙の真っ黄色っぷり。「人生何度もやり直せる!」とスーパーポジティブな幸せの黄色なのか。はたまた人生の黄色信号が点滅しているのを知りつつ、若さという交差点で立ちすくむ40代女性を暗示してのことなのか。さっそく読み進めてまいりましょう。

<トピックス>
◎大特集 自由のためにはくミニです!
◎オシャレ男子が40代女性に着てほしい服、選びました「服から始まるドラマがある」
◎夏着物vsマキシワンピ、真夏の異種オシャレ対決

林真理子の"悪女推奨論"がさく裂! "したがる女"満載の「STORY」7月号

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「STORY」7月号/光文社

 今月号の「STORY」、大特集は「富岡佳子さんの『大人ガーリー化計画』」です。若づくりという言葉を「大人カワイイ」など、いろんな形で置き換えてきた女性誌カルチャーですが、「大人ガーリー」まできてしまいました。ちなみに、「STORY」のお姉さん雑誌「HERS」6月号に踊る文字は、「年齢不詳美人」。いつまで女性は年齢に縛れるのか、とドンヨリした気持ちになってしまいますが、「STORY」は今月もアゲアゲ。その上昇気流にのっかて、読み進めて行きたいと思います。ではトピックから。

<トピックス>
◎大特集 年齢不詳は、もはや40代の常識です 富岡佳子さんの「大人ガーリー化計画」
◎「主婦、ときどき悪女」が幸せの秘密
◎バリキャリたちの「明るい高齢出産」