「S Cawaii! 2019 SUMMER号」(主婦の友社、以下エスカワ)は、「自分のことが好きになる顔とカラダ」と銘打って、美白や小顔、ダイエットなど「自分磨き」にまつわる情報をぎゅっと詰め込んでいます。「コンプレックスをカワイイに変える」と意気込む「エスカワ」ですが、「5cm脚を長く見せる神尻トレ」や「全力小顔辞典」という言葉に、自力で変えられるものなの? と疑問を抱いてしまいます……。早速中身を見ていきましょう!
<トピックス>
◎もっと自分らしく、もっと女の子を楽しみたい!
◎スキニーぼいんプロジェクト
◎性格別BESTダイエット
「外見至上主義」という歪んだモチベーション
冒頭の「もっと自分らしく、もっと女の子を楽しみたい!」というページには、読者の意識を今号のテーマである“自分磨き”に向けさせるような“檄文”がズラ~っと並んでいます。
まず読者に、「この世界は、女だけが外見が(ついでに年齢も!)占めるウエートが高すぎっ! 男が生きる場合といろいろ違いすぎない?」という言葉を投げかけます。外見だけで判断されるのは腹が立つし、納得いかないこともあると共感しながら、なぜかその後には「外見こそ、てっとり早く自分次第で変えられる。内面って言われてもよくわからないじゃん。性格? 頭のよさ?」と“外見至上主義”を肯定しているとも取れる文章が。
また、「明日すぐ石原さとみになることをめざす」のではく、「昨日よりちょっと小顔になった」と、一歩ずつ前に進んでいることを実感することが大切だと訴えているのですが、石原は過去の記者会見で「外見よりも内面を伴わないと皆さんに求めてもらえなくなる」と話していましたよ! 美のお手本である石原は、「外見」だけではなく、「内面」も磨いているようなので、一般人が“外見だけ”一歩ずつ前に進んでも、一生追いつけない存在であることは間違いありません。
最後は、「目標地点は人それぞれで、なんでもOK。自分らしさを手に入れるために、自信を持って行こう!」という言葉で締めくくられていましたが、「エスカワ」の論調だと「自分らしさ=外見」なので、どうしても違和感を覚えてしまいます。「自分らしさ」「人それぞれ」と言いつつも、周囲の評価を気にしているのではないでしょうか? なんだか、「良いことを話しているふう」でお馴染みのお笑い芸人キングコング・西野亮廣を彷彿とさせる、危うい自己啓発の香りが漂うページでした。
次に見ていく「スキニーぼいんプロジェクト」では、セクシー女優・明日花キララに体形キープの秘密を聞いています。「エスカワ」読者から、「細くて、カワイくて、胸も大きくて、女の完全体」と、崇められている明日花ですが、“カラダ”が資本の彼女らしく、並々ならぬ努力をしているよう。読者からの「おっぱいを保ちながらどうやって細くなるんですか?」という質問には、「筋トレと月2回の育乳エステに通っている。痛いけどワンカップは余裕で大きくなります!」と回答していました。一般人からすると、筋トレを続けることすら難しい上に、痛みに耐えるエステに定期的に通うことも苦行に思えてしまうので、美を手に入れることは簡単ではないし、金もかかるのだと、現実を突きつけられます。
また、「自分を追い込むための3カ条」として、「1スタイルのいい外国人のモデルさんを見る。2自分を客観視する。3努力をあきらめない!」と答えていましたが、不自然なほど“アップデート”を繰り返す彼女は自分を客観視できているのか? と、ツッコミを入れたくなりました。
そして、「体型をキープし続ける理由」を聞かれた明日花は、「劣化したね」と言われたくないからと回答。ネット上でよく見かける、芸能人に対する「劣化」という言葉ですが、それをスタイル維持のモチベーションに変換できるなんて、明日花のメンタルの強さには恐れ入ります。しかし、あの“アップデート”も、「劣化」という言葉への恐怖からきているのものだと仮定すれば、少々真に受けすぎなのでは? と言葉を投げかけたくなります。
「エスカワ」読者にとってあこがれの存在である明日花だけに、周囲からの心無い「劣化」という言葉に突き動かされるのではなく、「自己満足」を得るための“美”を追求してほしいと願うのは筆者だけでしょうか。
「男とムフフ!」要はモテたい「エスカワ」読者
最後に見ていく「性格別BESTダイエット」は、4種のダイエット法から、心理チャートを使って自分に合ったダイエット方法を見極めるという企画です。ダイエットを始める前にメンタルアプローチをすることで、確実に理想のカラダを手に入れることができらしいのですが、ここに取り上げられたダイエットの目標例は「やせたら好きな人に告白したい」「好きな人とムフフ」「やせたら男友達と海へ行って、夏を満喫する!」と、どれも「男性」とどうにかなりたいというものばかり。「自分らしさ」を手に入れるための手段の一つが「ダイエット」として紹介されているのにもかかわらず、結局「モテたい」だけなんかい! と思ってしまいますし、矛盾が生じているような……。確かにモテたいという気持ちが、「美」への原動力になることを否定はしませんが、例えば「好きな服を着こなしたい」というような、“自分自身で完結”する目標があってもいいのでは?
冒頭で「この世界は、女だけが外見が(ついでに年齢も!)占めるウエートが高すぎっ!」という言葉を取り上げましたが、結局ウェートを高くしているのは、「女性を見た目で評価する男性」と「そんな男性の評価を気にしすぎている女性」なのでは? 想定される「エスカワ」読者は20代とまだまだ若いので、「加齢」という悩みが加わる前に、「ルッキズム」の呪縛から解かれるよう願わずにいられません。
(藤本なつき)
