テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(12月23~29日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。
■平野レミ「アタシは丁寧にやってるんですよ」
24日放送の『きょうの料理』(NHK Eテレ)で、平野レミがクリスマスパーティーに向けた料理を作っていた。出来上がった料理は「ブロッコロリン」と「クリスマストリー」と「ソーダ! クリスマスダ」の3品。ブロッコリーは寝ていて、ローストチキンが立っていて、炭酸が吹き出していた。
特筆すべきは番組冒頭。オープニングトークが終了し、いよいよ料理を始めるというタイミングで、レミは次のように注意を促した。
「アタシがさ、料理やってるとさ、材料をさ、無駄にしてるとかさ、ちゃんと丁寧に扱わないなんてよく聞きますけども、アタシは丁寧にやってるんですよ。丁寧でしょ? アタシ」
そう言ってレミは、「タッタカタッタッタ~」と口ずさみながら調理台へ移動し、生モノを扱うからという理由で手袋を装着し、ローストチキン用の鶏の骨付きモモ肉を手に取った。そして、そのモモ肉を、オーブンの天板に叩きつけた。ビターンって。
レミの料理が丁寧なのかどうなのかはおいといて、フリは丁寧だ。
というか、この連載「テレビ日記」はこれで4回目なのだけど、すでに3回もレミについて言及してる。どんだけ。この日の放送では、クリスチャンでもあるレミの洗礼名が“アグネス”ということも知ってしまった。
■IKKO「ほんもの~!」
同日放送の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)。この日は2時間スペシャルで多くのゲストがひな壇に座っており、その中にIKKOとチョコレートプラネットがいた。
で、番組の随所でIKKOが「どんだけ~」的なことを何か4文字で叫ぶと、チョコプラ・松尾がIKKOのモノマネで4文字を叫び、続いて長田が和泉元彌のモノマネで「そろり、そろり」的な3文字を連呼する、という展開を何度も繰り広げていた。4文字と3文字で大喜利をしてるようだ。いや、とても面白いのだけれど。
……と、彼らのトリオ芸を堪能していたら、CM開けにIKKOの隣に座っていたのは、チョコプラ・松尾ではなく、長田でもなく、和泉元彌だった。IKKOは声を張り上げる。
「ほんもの~!」
別の番組で石原良純が、番組収録で怒りやすくなっている自分について「ボクはだんだん(自分をモノマネする)神無月さんみたいになってきた」と嘆いていたけれど、IKKOもなんだかこれまで以上に”4文字言う人”になっている。この日の和泉も、自分のモノマネをする長田のモノマネみたいな感じになっていた。というかすでに、狂言の舞台の方でも自分のモノマネのモノマネを取り入れてそう。知らないけど。
IKKOと和泉の中で高まっていくチョコプラの含有量。「同じ狂言でも、西の流派と東の流派で柿の食べ方が違う。チョコプラのモノマネは西の食べ方」みたいなことも和泉は言っていたけれど、もはや何が本物なのかよくわからない。
■黒柳「今日はクリスマスにふさわしいお2人をお招きしております」
同日放送された『徹子の部屋』(テレビ朝日系)。いつものように、番組は黒柳によるゲストの紹介から始まる。そこで徹子はこう言った。
「今日はクリスマスにふさわしいお2人をお招きしております。今この局の朝の顔として大注目のおふたりです。『羽鳥慎一モーニングショー』の司会、羽鳥さんと、刺激的なコメントが人気の玉川徹さんです」
徹子が言うのなら、クリスマスにふさわしい2人なのだろう。
■滝沢カレン「いい言葉が増えるけど、ありがとうだけがなくなると思います」
26日放送の『思考実験バラエティー! もしもの世界』(NHK Eテレ)。「もしも魔法が使えたら」というテーマで、MCの劇団ひとりとゲストがトークしていた。で、魔法が使えるようになったら世の中はどうなるのだろう、という問いかけに対し、ゲストの滝沢カレンはこう答えた。
「言葉が変わると思います。全部(自分で)できちゃうから、ありがとうがなくなる。あと、マイナスな言葉がなくなると思います。いい言葉が増えるけど、ありがとうだけがなくなる」
滝沢が言うのなら、そうなるのだろう。
■明石家さんま「この奇跡を大事にしよう」
24日深夜に放送された『明石家サンタ 史上最大のクリスマスプレゼントショー2018』(フジテレビ系)。今年一番面白かったのは、最初の7歳の女の子からの電話だろう。
女の子は、給食のじゃんけんで負けてしまい小玉スイカが食べられなかった、という話で合格。プレゼント抽選の権利を手にした。抽選は例によって、番号を付した25枚のパネルから1枚をめくる形式。しかし、女の子がコールした「16番」はハズレ。特別な配慮でもう1度抽選のチャンスが与えられたのだけれど、その2回目もハズレた。
ただ、この2回目のチャンス、女の子は「10番」とコールしているようであり、それをさんまが「9番」と聞き間違えたようであり、「え、どっち?」と八木亜希子の声が重なって、ゴチャゴチャっとなって十分に確認がとれないままに、9番のパネルがくるりと回って、ハズレ、という展開。
ハズレ2連続というあまりの偶然に驚くさんま。そして喜ぶさんま。ただ、電話の向こうの女の子は「さんまさーん、10ですよー」と食い下がる。さんまは「間違いなくボク、小玉スイカ送りますよ」と約束するのだけれど、それでも女の子は「10だった……」。そんな7歳に対し、さんまはこう言った。
「いや、あの、ごめんなさいね。こんな奇跡みたいなこと起こらないのよ。この奇跡を大事にしよう」
“お約束”を随所に散りばめたトークを自身の番組で展開してきたさんまは、そんな“お約束”の外、自分の想定の外からやってくる奇跡とも呼べる展開を目の当たりにしたときに、最も喜ぶ。そして、そんな奇跡を起こす人を、自分にはない何かを持つ存在として尊ぶ。相手が何歳だろうと。だから、電話が切れてなおも言う。
「あの子の持ってるもの、オレ持ちたいもん」
7歳にバラエティーの奇跡を説いてわかるのかどうかはよくわからないけれど、7歳のあなたに嫉妬したテレビスターがいたことは覚えておいてもいいかもしれない。
■蘭「マヒしちゃったのかなぁ。ヤバいね私たち」
26日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)。今回は2時間のスペシャル版で、「第4回替え歌最強トーナメント~男子高校生編~」と「Mr.シャチホコのオレオレ電話でアッコファミリー全員集められる説」に加え、クロちゃんが主役のモンスターハウスの最終回が放送された。
番組は、たむらけんじのこんな言葉で始まった。
「さあ、始まりました水曜日のダウンタウン、2時間スペシャル、今夜は都内某所より、一部、緊急生放送でお送りいたします。わたくし、こんな大事なときにグラサン忘れた、たむらけんじでございます」
画面右上の「緊急生放送」の文字。そして登場する、アイマスクにヘッドホンのクロちゃん。さて、リアルタイムに事態が進展する中で、クロちゃんは一体どうなってしまうのか、番組は最後に何を仕掛けてきたのか……その顛末はいろいろニュースにもなっているから説明を省くとして、最終回の途中、モンスターハウスの住人であるモデルの蘭が、クロちゃんのウソや盗撮を知りながらも好意のようなものを寄せてしまう自分たちに対し、「マヒしちゃったのかなぁ。ヤバイね私たち」とつぶやいていた。この言葉がなんだか振り返ってみると、モンスターハウスの住人の自己批評を飛び越えて、テレビの視聴者も巻き込んだこの企画全体、あるいは企画に積極的に巻き込まれていった視聴者への批評になっているかのようだった。
あと、今回の緊急生放送の件、たむけんよく黙ってたな、と思った。『めちゃイケ』終了の際は公式発表の前に言っちゃってたけど。
(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)