「GINGER」が自己啓発雑誌に!? 全編“愛”というテーマのインタビューで読者を説教!!

 今月の「GINGER」(幻冬舎)の表紙は……AAA!? 大人の事情や政治的な何かが発動していたのかもしれませんが、意表を突かれすぎて言葉が出てきません。確かにAAAのメンバーたちはアラサーど真ん中で、「GINGER」世代ではあるのですが、ファン層と読者層が被っているとはどうしても考えられないです。っていうか、そもそもAAAのファン層ってどこ? さらに今月の表紙には「星野源」「平愛梨」「石田ゆり子」「滝川クリステル」「ぺこ&りゅうちぇる」と芸能人の名前がギッシリ。これまで誌面のほとんどをファッションページが占めていた「GINGER」に一体何があったのか……早速中身をチェックしていきましょう!

<トピックス>
◎自分スタイルで生きる注目の101人発「愛してる」を叫ぼう
◎AAA「愛ってなんだ?」
◎GINGER読者サポーター8700人のセキララVOICE 今月のテーマ「結婚相手に求める条件とは?」

■真面目で努力家な「GINGER」女子に響くAAAの仕事観

 「GINGER」といえば、服の着こなしに関する細かいルールがぎっしり詰め込まれた、まるでオシャレの教科書のような誌面が特徴です。その圧迫感のある誌面からは、オシャレを楽しんだり、あこがれたりするようなキラキラした気持ちは生まれず、「GINGER」女子たちのオシャレに対する畏れ……つまり自分自身のセンスに自信を持てず、迷走している姿が見て取れました。そんな彼女たちに、今月の「GINGER」は「愛」というテーマを提示します。これまた、夏の終わりの某チャリティ番組並みに大きく出ましたね。

 「自分スタイルで生きる注目の101人発『愛してる』を叫ぼう」と題し、AAAをはじめ、芸能人、ファッションデザイナー、スタイリスト、読者モデルまで合計101名に「あなたにとって『愛』とは?」という問いを投げかけています。「スタイリストたちのファッション愛」という私服コーディネートのページなど、ファッションページもあるにはあったのですが、ほとんどがインタビューページという、ファッション雑誌の根底を覆す攻めた構成です。そこまでして「GINGER」が読者たちに伝えたかった「愛」とは一体……。

 早速ページをめくると1ページ目から「あふれ出る輝きを放つ人たちは、みんな大切な“何か”を抱きしめながら生きている。(中略)もっと熱く、堂々と、愛するものについて語ろう。その強い愛はきっと、あなたを美しく、唯一無二の存在へと変えていくのだから!」と自己啓発チックなコピーが飛び込んできます。まあ確かに、自分の「好き」に自信がないせいか、「他人にあこがれられたい」「オシャレって思われたい」という他者の評価軸を基準に生きている「GINGER」女子たちには必要な視点なのかもしれません。企画の内容を大まかに分けると、“仕事への愛”“パートナーへの愛”“趣味への愛”の3つです。

 まずは冒頭、AAAが自身のキャリアについて語っている「AAA『愛ってなんだ?』」を見ていきましょう。これまで誌面に登場した読者の職業や職種の傾向から察するに、「GINGER」女子は、一般職OLではなく、バリキャリ志向ではないものの、それなりに責任のある仕事を任されている様子がうかがえます。そんな彼女たちには、「ステージに投げてくださる反応を受け取り、また返すという幸せなキャッチボールをずっと続けている感じ」(AAA・末吉)、「時間をかけて積み重ねた(メンバーへの)愛情があるからこそ、できること」(同・宇野)という同世代の実感がこもった仕事観は、共感を得られそうです。正直AAAについては、男女混合仲良しダンスグループが文化祭でパフォーマンスしているようなデビュー当時のイメージで止まっていましたが、キャリア12年目に突入した彼らが淡々と仕事を語る姿は、中高生よりも実はアラサーに刺さるのかもしれません。

 そんなわけで、仕事については地道に取り組んでいるように思われる「GINGER」女子は、こと恋愛・結婚に関しての具体的なビジョンが欠けている印象。それは恋愛特集がほとんど組まれないことからも明らかなのですが、なんと今回は、新婚ホヤホヤの平愛梨とぺこ&りゅうちぇるが“パートナーへの愛”についてたっぷり語ってくれています。いや、さすがに、その人選は極端なのでは……と、内容を読む前にツッコンでしまいましたよ。「平愛梨 Amore(ハート)~愛する人~」「ぺこ&りゅうちぇる絶対的な愛のカタチ」という見出しだけでもうおなかいっぱいです。

 頑張って中身も読んでみましたが、平へのインタビューは挙式・披露宴の2日前に行われたそうで、まさに幸せいっぱい。「彼に出会い、『ありがとう』という言葉が増えていました」「彼のためにすることで大変だと思ったことは一度もない」「自分でも不思議だけど、欲しいものがなくなりました。彼さえいてくれたらほかは何もいらない……かも」と眩しすぎてツッコミの余地がありません。一方、ぺこ&りゅうちぇるも「結婚して大変だなと思うことは?」という編集部からの質問に「ない!!楽しいこと、幸せなことの方が断然多いです♪」、「実は相手に秘密にしていることは?」という質問には「ない!!お互い思ったことはすべて話すようにしています」との回答。「生まれ変わってもお互いと結婚したい」と言い切れる2人の関係は、理想的な結婚ではありますが、勉強熱心な「GINGER」女子たちが、これだけを結婚の“正解”と思わないでいてくれることを祈ります。

 そんな中、巻末連載「GINGER読者サポーター8700人のセキララVOICE」の今月のアンケートテーマは「結婚相手に求める条件とは?」でした。未婚読者の回答は、「性格の良さ」42%、「ルックス」まさかの0%という結果(一応、補足すると、未婚読者が半分の4500人とした時、45人未満の場合は切り捨てで0%と計算されます)。しかしながら、既婚者座談会には「私は常々、夫がこの人で良かったと思っているんだ。顔で選んだからかな。好きな顔だと、不満があってもつい許しちゃったりするから、大事なポイントだと思うよ(笑)」とかます読者が登場するなど、「GINGER」女子の価値観を揺らしてきます。しかし、それでいいのかもしれません。「性格」なんて時と場合によって揺らぐ曖昧なものよりも「顔」という条件は大変に具体的です。

 この結婚特集の結論は「自分はどういう人間で、どんな結婚生活を送りたいかをまず思い描くこと。そうすれば自ずと、どんな相手を選ぶべきかが見えてくるはず!」といったこれまでにないほど至極まっとうな意見に落ち着きます。これは前述の「愛」特集において「アラサー女性が今もっとも憧れる理想の女性」として登場していた石田ゆり子先生のお言葉「自分にとってどんな状況が自分らしくいられるかを探って、自分が一番心地いいと感じる瞬間を知っておくこと」「それは、人から『よい』と言われるからよいのではなく、自分は一体何が好きか、他人の評価は関係なく、何をしている時の自分が一番気分がいいか、ということ」ともつながるでしょう。さらに「GINGER」女子たちより、10歳も年下のりゅうちぇるなんて達観したもので「周りの大人はみんな『結婚するにはまだ若すぎるよ。もっと先にしたほうがいい』といったけれど、それはその人の物差しや経験上の話。僕は過去の自分と比べて、確実に成長した自負があったから、『今の自分なら大丈夫!』と思って、プロポーズすることにしたの」と語っていました。

 「愛」という概念を通して、読者に「自分の軸を持て」という説教メッセージを語り続けた今月の「GINGER」。とはいえ、いきなりそう言われても難しいので、そのヒントを今月号の中から探したものの、「アラサー女子のカルチャー愛」くらいしか見当たりませんでした。タレント陣が、「漫画(by桐谷美玲)」「宝塚(by高橋愛)」「競馬(by安田美紗子)」「写真(by舞川あいく)」「コスメ(by田中みな実)」など、自身の趣味を語っており、確かに自分を知る第一歩にはなりそう。ただ、丸々1冊かけて読者を説教した割には、「趣味にハマってみる」以外のアドバイスがないなんて、「GINGER」もなかなか手厳しい雑誌なのではないでしょうか。
(橘まり子)

「裸になれる女」特集に見る「GINGER」女子の欲望の裏――「ありのまま」「自然体」への畏怖

 記念すべき創刊100号を迎えた今月の「GINGER」(幻冬舎)。表紙は、今や国民的女優として愛されている、ガッキーこと新垣結衣です。月9ドラマ『コード・ブルー‐ドクターヘリ緊急救命‐THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)の番宣でしょうが、考えてみればガッキーももう29歳。「GINGER」の読者たちと同じ、れっきとしたアラサーなんですね。モテ路線に乗っかることもできず、ささやかなようで欲深いプライドに振り回され続けているように見える「GINEGR」女子たちは、ピュアで清楚、かつナチュラルなイメージのガッキーに、共感する部分はあるのでしょうか。早速、中身をチェックしていきましょ~。

<トピックス>
◎COVER WOMAN 新垣結衣 Just the way I am ありのままの自分で生きる
◎おしゃれ人の肌見せ論
◎辛口派が着たくなる夏の肌見せ服

■「ありのまま」「自然体」「センス」という大問題

 突然の「モテ」特集が不発に終わって以降、「ZARA」→「白Tシャツ」と、まるで禊のようにファッションのシンプル化を推し進めてきた「GINGER」。ついに今月は、全てを脱ぎ捨てた結果、まさかの「裸」推し。「余計なものは脱ぎ捨てて おしゃれも、生き方も、自分らしく!」というコピー通り、ファッションページも読み物ページも、1冊を通して「裸になれる女」がテーマの企画が並びます。いやいや、売れないグラビアアイドルじゃないんだから、そんなに簡単に脱いじゃっていいわけ!? と衝撃を受けましたが、どうやら「ありのまま」「自然体」といった意味で「裸」を使っているようでした。

 まずは表紙モデルへのインタビュー企画「COVER WOMAN」を見ていきましょう。「ありのまま」「自然体」で生きているように見えるガッキーも、「すごく若いころは、皆さんが抱く<ガッキーのイメージ>と、いわゆる<素の私>との距離感に悩んだ時期もある」そうで、しかし今では、「私自身は“こう見てほしい”とか、“こう見られたい”という気持ちが、いつの間にかなくなってしまったんです。だから今は、私のことをどう思ってくれても構わない。ただ、私を見た人が少しでも気持ちよく思ってくれたらうれしい」という境地に至ったとか。

 以前から女性誌レビューで指摘しているように、「GINGER」女子たちは「他人よりちょっと抜きん出たい」「あこがれられたい」という欲望が行動基準となっているように見えます。それだけに、おしゃれもプライベートも、自分の好きなものや心地よいものがわからないまま、迷走を続けている印象も。そんな彼女たちにとっては、「自然体」という境地に至るまでの「いつの間にか」の部分をもっと詳しく聞きたかったんじゃないですかね。だって、「余計なものは脱ぎ捨てて裸になれ」と言われても、それを感覚的に理解できないから、迷走しているのであって……。現に「GINGER」の誌面を見ても、「モテ」という正解のないテーマを取り上げるより、「ZARA」「白Tシャツ」を着るなどといった具体的な提案をする方が、ノッていたような気がします。そう、「GINGER」は、どこまでいっても現実主義の雑誌なんです。

 続くファッションページからも、それがうかがえます。今月は「裸」というテーマに合わせて「肌見せ」「露出」ファッションが特集されています。そこでは、まずコーディネート紹介の前に、「おしゃれ人の肌見せ論」と題して、デザイナーに「肌見せ服の神髄」とやらを聞いているのですが、これまた「GINGER」女子を悩ませそうな言葉のオンパレード。「その服を纏って動いた時、いかに美しい“残像”を描けるか」といった一文もさることながら、「スタイリッシュ」「リッチ」「シャープ」などのワードからも、要するに露出にもセンスが必要だと痛感させられます。読めば読むほど「おしゃれ」ってこんなに難しいものだったのか……と、暗たんたる気持ちが募るばかり。そもそも女性誌のファッションページって、「可愛い!」「真似したい!」と思ったり、素敵な洋服にうっとりしながら読めれば、それでいいんじゃないかしら……と感じてしまうのは筆者だけでしょうか。

 そして、その後の「辛口派が着たくなる夏の肌見せ服」という企画では、「背中開き」「背中深V」「背面Uネック」、「袖スリット」「深めスリット」「サイドスリット」「前スリット」、「ハリ感素材」「カジュアル素材」「ドライな質感」などなど、細かな違いを丁寧に説明してくれる流れになっています。毎度のことながら文字情報が多く、細かいルールがぎっしりの誌面からは、「センス」に自信がないから、それが問われる「おしゃれ」という分野に対して、畏怖とあこがれを抱く「GINGER」女子の一面が浮き彫りになってきます。

 「自然体」で「ありのまま」の全てを脱ぎ捨てた「裸」の私になるためにも、まさにその「センス」が必要なのかも。勉強家なのはいいことですが、「GINGER」女子たちが自身の「裸」に自信を持つために必要なのは、参考書のようなルールではなく、もっと別のものだと思いました。

■筋トレが「裸」に自信をつけてくれる?

 続いて「女が惚れる女のカラダ、その舞台裏」を見ていきましょう。泉里香、橋本マナミ、佐野ひなこなど、男性はもちろん、女性も認める“健康的で色気のある体つき”の女性芸能人たちに、体形維持についてのインタビューをしています。大体、芸能人への美容に関するインタビューでは「何もしていませ~ん」という答えが一般的ですが、今回は一味違います。「週に2回のジム通い」「パーソナルトレーナー」「ボクササイズ」「寝る前にプロテイン」「夜ご飯は18時半までに(外食でも21時までに)」「ホットヨガ」「リンパマッサージ」「炭水化物の代わりにブロッコリー」「医師の元で食事制限」「シックスパッド」……と、ストイックな単語が並びます。そして皆一様に「理想」を掲げて日々の「努力」を怠らず、「今では自分のカラダが大好き」と語っているんです。

 これ、お勉強や努力が大好きな「GINGER」女子たちと相性バッチリな気がします。筋トレは目に見える結果が出ますし、感覚的に理解しにくい「センス」を追い求めるより、よっぽど本来の意味での「裸」に自信が持てそうです。それにトレーニングに集中することで「他人よりちょっと抜きん出たい」「あこがれられたい」という邪念も振り払えそう。「GINGER」女子と「筋トレ」……せっかくなので連載企画にしてしまえばいいのにと思う筆者でした。
(橘まり子)

「裸になれる女」特集に見る「GINGER」女子の欲望の裏――「ありのまま」「自然体」への畏怖

 記念すべき創刊100号を迎えた今月の「GINGER」(幻冬舎)。表紙は、今や国民的女優として愛されている、ガッキーこと新垣結衣です。月9ドラマ『コード・ブルー‐ドクターヘリ緊急救命‐THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)の番宣でしょうが、考えてみればガッキーももう29歳。「GINGER」の読者たちと同じ、れっきとしたアラサーなんですね。モテ路線に乗っかることもできず、ささやかなようで欲深いプライドに振り回され続けているように見える「GINEGR」女子たちは、ピュアで清楚、かつナチュラルなイメージのガッキーに、共感する部分はあるのでしょうか。早速、中身をチェックしていきましょ~。

<トピックス>
◎COVER WOMAN 新垣結衣 Just the way I am ありのままの自分で生きる
◎おしゃれ人の肌見せ論
◎辛口派が着たくなる夏の肌見せ服

■「ありのまま」「自然体」「センス」という大問題

 突然の「モテ」特集が不発に終わって以降、「ZARA」→「白Tシャツ」と、まるで禊のようにファッションのシンプル化を推し進めてきた「GINGER」。ついに今月は、全てを脱ぎ捨てた結果、まさかの「裸」推し。「余計なものは脱ぎ捨てて おしゃれも、生き方も、自分らしく!」というコピー通り、ファッションページも読み物ページも、1冊を通して「裸になれる女」がテーマの企画が並びます。いやいや、売れないグラビアアイドルじゃないんだから、そんなに簡単に脱いじゃっていいわけ!? と衝撃を受けましたが、どうやら「ありのまま」「自然体」といった意味で「裸」を使っているようでした。

 まずは表紙モデルへのインタビュー企画「COVER WOMAN」を見ていきましょう。「ありのまま」「自然体」で生きているように見えるガッキーも、「すごく若いころは、皆さんが抱く<ガッキーのイメージ>と、いわゆる<素の私>との距離感に悩んだ時期もある」そうで、しかし今では、「私自身は“こう見てほしい”とか、“こう見られたい”という気持ちが、いつの間にかなくなってしまったんです。だから今は、私のことをどう思ってくれても構わない。ただ、私を見た人が少しでも気持ちよく思ってくれたらうれしい」という境地に至ったとか。

 以前から女性誌レビューで指摘しているように、「GINGER」女子たちは「他人よりちょっと抜きん出たい」「あこがれられたい」という欲望が行動基準となっているように見えます。それだけに、おしゃれもプライベートも、自分の好きなものや心地よいものがわからないまま、迷走を続けている印象も。そんな彼女たちにとっては、「自然体」という境地に至るまでの「いつの間にか」の部分をもっと詳しく聞きたかったんじゃないですかね。だって、「余計なものは脱ぎ捨てて裸になれ」と言われても、それを感覚的に理解できないから、迷走しているのであって……。現に「GINGER」の誌面を見ても、「モテ」という正解のないテーマを取り上げるより、「ZARA」「白Tシャツ」を着るなどといった具体的な提案をする方が、ノッていたような気がします。そう、「GINGER」は、どこまでいっても現実主義の雑誌なんです。

 続くファッションページからも、それがうかがえます。今月は「裸」というテーマに合わせて「肌見せ」「露出」ファッションが特集されています。そこでは、まずコーディネート紹介の前に、「おしゃれ人の肌見せ論」と題して、デザイナーに「肌見せ服の神髄」とやらを聞いているのですが、これまた「GINGER」女子を悩ませそうな言葉のオンパレード。「その服を纏って動いた時、いかに美しい“残像”を描けるか」といった一文もさることながら、「スタイリッシュ」「リッチ」「シャープ」などのワードからも、要するに露出にもセンスが必要だと痛感させられます。読めば読むほど「おしゃれ」ってこんなに難しいものだったのか……と、暗たんたる気持ちが募るばかり。そもそも女性誌のファッションページって、「可愛い!」「真似したい!」と思ったり、素敵な洋服にうっとりしながら読めれば、それでいいんじゃないかしら……と感じてしまうのは筆者だけでしょうか。

 そして、その後の「辛口派が着たくなる夏の肌見せ服」という企画では、「背中開き」「背中深V」「背面Uネック」、「袖スリット」「深めスリット」「サイドスリット」「前スリット」、「ハリ感素材」「カジュアル素材」「ドライな質感」などなど、細かな違いを丁寧に説明してくれる流れになっています。毎度のことながら文字情報が多く、細かいルールがぎっしりの誌面からは、「センス」に自信がないから、それが問われる「おしゃれ」という分野に対して、畏怖とあこがれを抱く「GINGER」女子の一面が浮き彫りになってきます。

 「自然体」で「ありのまま」の全てを脱ぎ捨てた「裸」の私になるためにも、まさにその「センス」が必要なのかも。勉強家なのはいいことですが、「GINGER」女子たちが自身の「裸」に自信を持つために必要なのは、参考書のようなルールではなく、もっと別のものだと思いました。

■筋トレが「裸」に自信をつけてくれる?

 続いて「女が惚れる女のカラダ、その舞台裏」を見ていきましょう。泉里香、橋本マナミ、佐野ひなこなど、男性はもちろん、女性も認める“健康的で色気のある体つき”の女性芸能人たちに、体形維持についてのインタビューをしています。大体、芸能人への美容に関するインタビューでは「何もしていませ~ん」という答えが一般的ですが、今回は一味違います。「週に2回のジム通い」「パーソナルトレーナー」「ボクササイズ」「寝る前にプロテイン」「夜ご飯は18時半までに(外食でも21時までに)」「ホットヨガ」「リンパマッサージ」「炭水化物の代わりにブロッコリー」「医師の元で食事制限」「シックスパッド」……と、ストイックな単語が並びます。そして皆一様に「理想」を掲げて日々の「努力」を怠らず、「今では自分のカラダが大好き」と語っているんです。

 これ、お勉強や努力が大好きな「GINGER」女子たちと相性バッチリな気がします。筋トレは目に見える結果が出ますし、感覚的に理解しにくい「センス」を追い求めるより、よっぽど本来の意味での「裸」に自信が持てそうです。それにトレーニングに集中することで「他人よりちょっと抜きん出たい」「あこがれられたい」という邪念も振り払えそう。「GINGER」女子と「筋トレ」……せっかくなので連載企画にしてしまえばいいのにと思う筆者でした。
(橘まり子)

「GINGER」にとって男は“いいね!”要員? 「あこがれられたい」という燃え盛る欲望

 元来「超現実主義」で「その他大勢とはちょっとだけ違う私」を追求してきた女性誌だったにもかかわらず、モテ路線への切り替えに失敗した挙げ句、前号では無難な「ZARA」ファッションを推しまくる……という闇深い思考停止に陥った「GINGER」(幻冬舎)。

 迷走続きに不安を感じていましたが、今月号の表紙は憑き物が落ちたかのようにスッキリとした印象です。モノトーンの色合いに、イエローカラーのキャッチコピーがアクセントになっているのも、さりげないオシャレ感を醸し出しています。カバーガールが2号連続長谷川潤なのは、ハワイからの帰国時にまとめて撮影したせいでしょうか。効率的というか現金というか……。それに「お金が貯まる新テクニック」「夏の快適機能服リスト」と実用的な見出しも目につきます。原点回帰したかのように見える「GINGER」、早速、中身をチェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎「白Tシャツ」でどこまでおしゃれはできるのか?
◎夏のシーン別着こなし見本帳
◎私たちも、こんな夫婦になりたーーーい!

■シンプルな「白T」を着ても浄化できないプライド

 まずは、今月のメインファッション企画「夏のおしゃれはTシャツ1枚あればいい! 『白Tシャツ』でどこまでおしゃれはできるのか?」を見ていきましょう。前号では、“他人よりもちょっとだけおしゃれ”という「GINGER」唯一のプライドをかなぐり捨て、定番中の定番ブランド「ZARA」に依存する勢いでしたが、今月は「どこまでおしゃれはできるのか?」という命題を立てられるまでに、アイデンティティーを回復したようです。

 今回フューチャーされているのは「白Tシャツ」。「シンプルかつ定番であるがゆえに、着回し力において無限の可能性を持つアイテム」ということですが、迷走の末たどり着いたのが、「シンプル イズ ザ ベスト」っていうこと? 

 しかし、一口に「白T」と言ってもブランド、デザイン、素材……などさまざまあるようで、コーディネートよりも「白T」の分析ページの方が多くなっています。見開きでジャンル別に「白T」がひたすら並べられているだけのページ(平均5着/ページ)が6ページも続くので、「白T」のゲシュタルト崩壊が起こりましたよ……。

 正直、筆者には全部同じに見える「白T」ですが、「絶妙な透け感ととろみ」「胸元の小さなロゴ、よく見ると実は刺しゅう」「ほどよく厚手のジャージー素材」「開きすぎていないVネック」「ジェーンバーキン風」など、1枚1枚に工夫が施されたアイテムとのこと。まさに、「GINGER」女子のプライドをくすぐる“他人とちょっとだけ差のつく”おしゃれポイントが満載なんです。さらに「白T」は、「洗えて、乾燥機にかけられる」「アンダー¥3,000」という実用的なアイテムもあることから、現実主義な「GINGER」女子のための最強アイテムとして祭り上げられているようでした。

 さらに気になったのは、「白T」の「夏のシーン別着こなし見本帳」です。さながらSNSの投稿のように、シーン別の「白T」コーディネートが全部で50個並べられているのですが……「@大学サークルOG会」「@人数合わせの合コン参加」「@地元のお祭りで夏気分」「@友人とフリマ開催」「@親戚一同の食事会」「@会社仲間とBBQ」「@親友と一泊温泉旅行」「@ホムパにお呼ばれ」「@青山のライヴハウスへ」「@週末はクラブで夜遊び」「@テラスカフェで女子会」「@友人の引越し祝いに」「@ママとホテルランチ」「@レセプションパーティー」「@野外フェスで熱狂」「@湘南ビーチパーティー」「@後輩とビアガーデン」「@朝までカラオケ女子会」って、「GINGER」女子、忙しすぎでは!? 服は「白T」1枚でよくても、これでは体がいくつあっても足りません。

 それに気になるのが、こうした夏のイベントごとに、男の影があまり見えないこと。「朝活」に参加したり、「英会話スクール」に通ったり、「社外セミナー」を受けたり、ご褒美に「エステ」や「ヘッドスパ」に行ったりと、自分磨きのイベントごとには事欠かないのに、男との予定は、「@遠出ドライブデート」「@GINZA SIXデート」「@のんびり公園デート」「@久々の遊園地デート」と、わずか4パターンのみ。「GINGER」女子の関心事は、男より自分磨きにあるようです。

 もともと「GINGER」は、恋愛に重きを置いていない女性誌ですし、男より自分磨きを重視するのは決して悪いことではありません。ただ、この夏の予定一覧を見ていると、なんとなく「GINGER」女子の“他人からあこがれられたい”という強烈な欲望を感じてしまうのです。彼女たちにとっての“恋愛”は、ほかのキラキラしたイベントと同じように、SNSに投稿して他人から“いいね”をもらいたい要素の1つに過ぎないのかも……と思ってしまいました。

■「GINGER」女子の結婚観

 そんな「GINGER」の恋愛観を垣間見たところで、今月号の巻末には“結婚”特集がありましたが、そもそも結婚願望があったことに驚きです。「結婚に対して冷静なアラサーも多い」と聞くけれど、「こんな夫婦になれるのなら結婚してみたい」という趣旨の企画だそうで、題して「私たちも、こんな夫婦になりたーーーい!」。さすが「GINGER」女子。結婚に対しても“他人にあこがれられたい”というモチベーションが見え隠れしています。

 年代別の「憧れてやまない素敵な夫婦」4組へのインタビューを見ていきましょう。初めに登場する小暮夫妻は、人気写真家とイラストレーターの60代ご夫婦。相模湾が見渡せるサンルームが自慢のご自宅は、巷で話題の“丁寧な暮らし”そのものです。アラサーである「GINGER」女子の“ちょっと上世代”として紹介されるのは、スタイリストの工藤満美さん、ヘアメイクアップアーティストの千吉良恵子さんのご夫婦。生活感のないおしゃれな自宅で撮られたツーショット写真は、確かに絵になっています。そして極めつけは、bonpon511夫妻。2人は一般のご夫婦なのですが、夫婦コーディネートを投稿したインスタが話題沸騰中で、なんとフォロワー数は45万人を超えているとのこと。

 どのご夫婦も仲が良さそうで、おしゃれで、思わず“いいね”を押しそうになりますし、「GINGER」女子たちが「こんな夫婦になりたーーーい!」とあこがれる気持ちもわからなくはありません。しかし当たり前のことですが、誌面に載っているのは、夫婦の“表向きの部分”だけ。それに、こうした夫婦には、一朝一夕でなれるものではないでしょう。「GINGER」は、「SNSで“いいね!”をもらいたい」のと同じ感覚で、結婚を捉えているように見受けられるのです。

 「GINGER」の読者層は、都会で働き、経済的に自立しているアラサー女子ですが、なぜか恋愛や結婚などの私生活についての具体的なビジョンに欠けているのではと、以前から指摘してきました。彼女たちの行動基準が“他人よりちょっと抜きん出たい”“他人に羨ましいって思われたい”というプライドに起因しているのならば、自分自身を生きづらくさせているような気がしてしまうのですが……。
(橘まり子)

ZARAに心も体も売った!? “その他大勢とは違う私”というプライドを捨てた「GINGER」

 前号では突然モテ路線に変更するも、“モテ”の定義が曖昧で迷走気味だった「GINGER」(幻冬舎)。今月号の表紙は一転、黒とグレーに濃い目ピンクを効かせたクールな印象。何かを悟ったような長谷川潤の表情からは生気が感じられません。以前の、夢見がち要素ゼロの超現実主義へ揺り戻し……? 早速中身をチェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎いつだって大人のおしゃれの救世主 私たちにはZARAがある!
◎ネイチャーエレメンツが導き出す 開運ROOMへ改造計画
◎女子に効く、フレーズの裏側

■頼りになるのは男よりも「ZARA」という現実

 これまで数号にわたってチェックしてきた表紙モデルへの巻頭インタビュー「COVER WOMAN」ですが、今回は掲載なし。「GINGER」では、“お疲れ女子代表(3月号参照)”的扱いをされていた長谷川が何を語るのか楽しみにしていただけに残念です。迷走気味の「GINGER」ですから、ロールモデルとなる女性芸能人もネタ切れだったのかもしれません。

 さて、気を取り直してメインファッション企画「いつだって大人のおしゃれの救世主 私たちにはZARAがある!」を見ていきましょう。「とりあえずザラに駆け込めば解決する」「(オフィスも、週末旅行も、キャンプ&BBQも、パーティーも)どんなシーンもザラさえあれば!」など、今さらあの世界的なブランドをごり押しです!!  筆者は、「GINGER」とは、“TPOを意識しつつ他人よりも、ちょっとだけセンスのあるオシャレ”という絶妙に面倒くさいプライドを頑なに守り、適度に流行を取り入れつつも、その他大勢とは被りにくいブランドアイテムを推してきた雑誌と認識していたのですが、ここに来てZARA? その他女性誌たちと横並びのオシャレでよかったの!?

 ページをめくると、まさにZARAに魂売ってしまったのかごとく、「毎日のおしゃれを全方位で支えてくれる、頼もしい存在」「私たちは、ザラをこんなにも愛してたんだってことに気づいてしまったのです!」と鼻息荒いキャッチが飛び込んできます。計44ページの総力特集……どうやら心だけではなく、体(ページ)も売ってしまったようです。

 ところで、よくよく本文を読んでみると、前号でそこかしこに散りばめられた“モテ”というワードは皆無。「職場で女を捨てるな!」と紋切り型のコメントを押し付けてきた男の影も一切見当たりません。やはり定義も曖昧で揺らぎがちな“モテ”という概念にすがるより、コスパ最高でどんな場面でも役に立つZARAの方が、よっぽど頼りになりますもんね! どうやらモテ路線への転向は失敗したようですが、一号で早々に見切りをつけるあたりは潔い。もしかして「GINGER」は自分たちを縛る面倒くさいプライドよりも、実をとった、ということ? むしろ、プライドを捨てたら、残ったものが実だった、というところでしょうか。

 以前から筆者は、「GINGER」は現実主義な雑誌だと言ってきました。それは恋愛企画が皆無で、ファッションについては、個性的だったりハイブランドだったりするわけではなく、実現可能なオシャレを提唱していたからです。しかもそのコーディネートには計算し尽くされた細かいルールが無数に存在しており、読んでいてもまったく気分が上がらない。それは「愛されたいから」「オシャレが好きだから」といった素直な気持ちではなく、「他人に舐められない」ためにするオシャレだから……と感じていました。

 「GINGER」の読者層は都会で働く自立したアラサー女性で、おそらく学生時代には平均以上に勉強ができたでしょうし、仕事も平均以上にできるのでしょう。だからオシャレも、まるで教科書のように文字情報の多い「GINGER」片手に、平均点以上の点数を取るため頑張ってしまう。「GINGER」に“一人旅”や“スピリチュアル”企画がたびたび投入されているのは、そんな真面目で努力家な彼女たちの多くが疲弊しているからと受け取れますし、先月号で唐突に“モテ”や“男”が登場したのも、彼女たちに新たな価値観を与えようとしたからなのではと感じられるのです。しかし、どれもいまいちヒットせず、特に“モテ”特集は、彼女たちを救うどころか、さらに苦しめる結果に終わったように思えます。

 だから、今月号は思い切って、その真面目で努力家が故の面倒くさいプライドを捨ててみた=「誰もが知っているZARAをごり押し」したではないでしょうか。「そんなに頑張らなくていいよ」と、どんな場面でも手を差し伸べてくれるZARAは、まさに「GINGER」女子の救世主だったのかもしれません。

 しかし一方で、何も考えずにZARAを着ていればOKと決めてしまうのは、思考停止状態とも言えます。例えば、「旅行に行くのが趣味だからお金を貯めたい→服の優先順位は自分にとって低いからZARAでOK」といった考え方ならば納得できるものの、そういった“ZARAを着る意味”が誌面から見えて来ないのが気になるのです。「GINGER」の誌面から浮かび上がる女性像は、ある程度のキャリアを持っているものの、自分の言動の根拠に乏しいという一面も垣間見え、それは、将来に対する具体的なイメージがぼんやりしていることにも通じます。「GINGER」を愛読している女子は、バリキャリを目指しているわけでもなさそうだし、かといって恋愛や結婚を志向しているわけでもなく、趣味人というわけでもなさそう。「他人よりも少しばかり抜きん出たい」という唯一のプライドを捨ててしまった今、「GINGER」女子たちは一体何を目指すのか……その自意識の行方が気になるところです。

 今号では、前号では消えていたスピリチュアル企画も復活。「ネイチャーエレメンツが導き出す 開運ROOMへ改造計画」を見ていきましょう。ネイチャーフォーチュンとは、中国の算命学をもとに、ネイチャー(自然)界にあるエレメンツ(要素)で、その人の気質を解いたものだそうで、その人のネイチャーエレメンツに合ったお部屋に大改造しちゃいましょう! そしたら幸せになれるよ! という企画です。まあ、詳しいことはよくわからないけど風水的なものですかね。

 読者や編集部員の実際の部屋の写真を見ながら、人気フォーチュンアドバイザー・イヴルルド遙華先生がアドバイスしてくれるのですが、「外光がたくさん入る窓は運気を高めてくれます」「金運アップは水回りをキレイに」「パソコン、筆記用具など仕事と関係あるもの、よく使うものはキレイに扱って」って、いや、そんなん言われなくても筆者にだってわかるよ。しまいには、ピンクやフリルが盛りだくさんの部屋に住んでいる読者に対して、「甘えん坊の男性に尽くしがち」って、それアドバイスでも何でもないし、イメージで適当に言ってますよね……? 最終的には、自分の居心地がよければ「ごちゃごちゃしていてもいい」、癒やされるために「自分の好きなものを思い出して」と占い要素ゼロの結論に。このアドバイス自体は、お疲れな「GINGER」女子に響くと思いますが、あまりにも雑なまとめです。

 ところで、実は今月の「GINGER」には、ZARAも含めて、ブランドのタイアップ記事が全部で13個もありました。女性誌ですから、タイアップ記事自体は珍しくもなんともないのですが、前号までと比べると、ちょっと多いなという印象。タイトルには、全て露骨にブランド名が入っており、ZARA特集のページ以外は、ただひらすらに単純な商品紹介に徹していました。クリエイティブもへったくれもありません。制作の裏側にどんなエピソードがあったのかは想像の域を脱しませんが、もしかすると編集部も疲弊しきっているのでは……と余計な心配をしてしまいました。
(橘まり子)

ZARAに心も体も売った!? “その他大勢とは違う私”というプライドを捨てた「GINGER」

 前号では突然モテ路線に変更するも、“モテ”の定義が曖昧で迷走気味だった「GINGER」(幻冬舎)。今月号の表紙は一転、黒とグレーに濃い目ピンクを効かせたクールな印象。何かを悟ったような長谷川潤の表情からは生気が感じられません。以前の、夢見がち要素ゼロの超現実主義へ揺り戻し……? 早速中身をチェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎いつだって大人のおしゃれの救世主 私たちにはZARAがある!
◎ネイチャーエレメンツが導き出す 開運ROOMへ改造計画
◎女子に効く、フレーズの裏側

■頼りになるのは男よりも「ZARA」という現実

 これまで数号にわたってチェックしてきた表紙モデルへの巻頭インタビュー「COVER WOMAN」ですが、今回は掲載なし。「GINGER」では、“お疲れ女子代表(3月号参照)”的扱いをされていた長谷川が何を語るのか楽しみにしていただけに残念です。迷走気味の「GINGER」ですから、ロールモデルとなる女性芸能人もネタ切れだったのかもしれません。

 さて、気を取り直してメインファッション企画「いつだって大人のおしゃれの救世主 私たちにはZARAがある!」を見ていきましょう。「とりあえずザラに駆け込めば解決する」「(オフィスも、週末旅行も、キャンプ&BBQも、パーティーも)どんなシーンもザラさえあれば!」など、今さらあの世界的なブランドをごり押しです!!  筆者は、「GINGER」とは、“TPOを意識しつつ他人よりも、ちょっとだけセンスのあるオシャレ”という絶妙に面倒くさいプライドを頑なに守り、適度に流行を取り入れつつも、その他大勢とは被りにくいブランドアイテムを推してきた雑誌と認識していたのですが、ここに来てZARA? その他女性誌たちと横並びのオシャレでよかったの!?

 ページをめくると、まさにZARAに魂売ってしまったのかごとく、「毎日のおしゃれを全方位で支えてくれる、頼もしい存在」「私たちは、ザラをこんなにも愛してたんだってことに気づいてしまったのです!」と鼻息荒いキャッチが飛び込んできます。計44ページの総力特集……どうやら心だけではなく、体(ページ)も売ってしまったようです。

 ところで、よくよく本文を読んでみると、前号でそこかしこに散りばめられた“モテ”というワードは皆無。「職場で女を捨てるな!」と紋切り型のコメントを押し付けてきた男の影も一切見当たりません。やはり定義も曖昧で揺らぎがちな“モテ”という概念にすがるより、コスパ最高でどんな場面でも役に立つZARAの方が、よっぽど頼りになりますもんね! どうやらモテ路線への転向は失敗したようですが、一号で早々に見切りをつけるあたりは潔い。もしかして「GINGER」は自分たちを縛る面倒くさいプライドよりも、実をとった、ということ? むしろ、プライドを捨てたら、残ったものが実だった、というところでしょうか。

 以前から筆者は、「GINGER」は現実主義な雑誌だと言ってきました。それは恋愛企画が皆無で、ファッションについては、個性的だったりハイブランドだったりするわけではなく、実現可能なオシャレを提唱していたからです。しかもそのコーディネートには計算し尽くされた細かいルールが無数に存在しており、読んでいてもまったく気分が上がらない。それは「愛されたいから」「オシャレが好きだから」といった素直な気持ちではなく、「他人に舐められない」ためにするオシャレだから……と感じていました。

 「GINGER」の読者層は都会で働く自立したアラサー女性で、おそらく学生時代には平均以上に勉強ができたでしょうし、仕事も平均以上にできるのでしょう。だからオシャレも、まるで教科書のように文字情報の多い「GINGER」片手に、平均点以上の点数を取るため頑張ってしまう。「GINGER」に“一人旅”や“スピリチュアル”企画がたびたび投入されているのは、そんな真面目で努力家な彼女たちの多くが疲弊しているからと受け取れますし、先月号で唐突に“モテ”や“男”が登場したのも、彼女たちに新たな価値観を与えようとしたからなのではと感じられるのです。しかし、どれもいまいちヒットせず、特に“モテ”特集は、彼女たちを救うどころか、さらに苦しめる結果に終わったように思えます。

 だから、今月号は思い切って、その真面目で努力家が故の面倒くさいプライドを捨ててみた=「誰もが知っているZARAをごり押し」したではないでしょうか。「そんなに頑張らなくていいよ」と、どんな場面でも手を差し伸べてくれるZARAは、まさに「GINGER」女子の救世主だったのかもしれません。

 しかし一方で、何も考えずにZARAを着ていればOKと決めてしまうのは、思考停止状態とも言えます。例えば、「旅行に行くのが趣味だからお金を貯めたい→服の優先順位は自分にとって低いからZARAでOK」といった考え方ならば納得できるものの、そういった“ZARAを着る意味”が誌面から見えて来ないのが気になるのです。「GINGER」の誌面から浮かび上がる女性像は、ある程度のキャリアを持っているものの、自分の言動の根拠に乏しいという一面も垣間見え、それは、将来に対する具体的なイメージがぼんやりしていることにも通じます。「GINGER」を愛読している女子は、バリキャリを目指しているわけでもなさそうだし、かといって恋愛や結婚を志向しているわけでもなく、趣味人というわけでもなさそう。「他人よりも少しばかり抜きん出たい」という唯一のプライドを捨ててしまった今、「GINGER」女子たちは一体何を目指すのか……その自意識の行方が気になるところです。

 今号では、前号では消えていたスピリチュアル企画も復活。「ネイチャーエレメンツが導き出す 開運ROOMへ改造計画」を見ていきましょう。ネイチャーフォーチュンとは、中国の算命学をもとに、ネイチャー(自然)界にあるエレメンツ(要素)で、その人の気質を解いたものだそうで、その人のネイチャーエレメンツに合ったお部屋に大改造しちゃいましょう! そしたら幸せになれるよ! という企画です。まあ、詳しいことはよくわからないけど風水的なものですかね。

 読者や編集部員の実際の部屋の写真を見ながら、人気フォーチュンアドバイザー・イヴルルド遙華先生がアドバイスしてくれるのですが、「外光がたくさん入る窓は運気を高めてくれます」「金運アップは水回りをキレイに」「パソコン、筆記用具など仕事と関係あるもの、よく使うものはキレイに扱って」って、いや、そんなん言われなくても筆者にだってわかるよ。しまいには、ピンクやフリルが盛りだくさんの部屋に住んでいる読者に対して、「甘えん坊の男性に尽くしがち」って、それアドバイスでも何でもないし、イメージで適当に言ってますよね……? 最終的には、自分の居心地がよければ「ごちゃごちゃしていてもいい」、癒やされるために「自分の好きなものを思い出して」と占い要素ゼロの結論に。このアドバイス自体は、お疲れな「GINGER」女子に響くと思いますが、あまりにも雑なまとめです。

 ところで、実は今月の「GINGER」には、ZARAも含めて、ブランドのタイアップ記事が全部で13個もありました。女性誌ですから、タイアップ記事自体は珍しくもなんともないのですが、前号までと比べると、ちょっと多いなという印象。タイトルには、全て露骨にブランド名が入っており、ZARA特集のページ以外は、ただひらすらに単純な商品紹介に徹していました。クリエイティブもへったくれもありません。制作の裏側にどんなエピソードがあったのかは想像の域を脱しませんが、もしかすると編集部も疲弊しきっているのでは……と余計な心配をしてしまいました。
(橘まり子)

「コリドー街で婚活」も不発? 恋愛に浮かれられない「GINGER」のサガ

 落ち着いたモノトーンの配色でまとめられた表紙デザインに「総額200万円以上177名様豪華プレゼント!」「本当に『効く化粧品』発表」など、相変わらず身も蓋もない現実主義な力強い見出しが並ぶ今月の「GINGER」(幻冬舎)。その一方、白ニットを着て、ボーっとした表情を読者に向けるカバーガール・綾瀬はるかは、「最新!深堀インタビュー  今、揺れています」という不穏なタイトルの企画に登場しているとのこと。何やら胸騒ぎを覚える表紙ですが、早速、本誌の中身をチェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎読者8000人が本当に知りたかったコト!SNSじゃわからない おしゃれの裏側
◎話題の銀座コリドー街って本当に出会いがあるの!?
◎香里奈主演! 年末年始スーパーリアルな着回しSpecial

■GINGER女子とSNS

 まず見ていきたいのが、メイン特集の「SNSじゃわからないおしゃれの裏側」です。なんと読者8,000人にアンケートを行い、「真冬のリアルコスパ服、何買う?」「厚着の冬でも女っぽい配色って?」「ほっこりしがちな防寒アイテム、どう着る?」「トレンド冬服をこなれ見えさせる方法は?」といったファッションに関する疑問を集めたとのこと。編集部も「単なるファッション誌ではなくなっている」と自信満々で、「おしゃれなコーデを見るだけなら、SNSでも十分かもしれない。でも、雑誌でこその切り口や独自の提案がきっとある、と信じています」と熱く語っています。

 しかし、コスパ服として「ZARA」を推したり、今季の注目色「スモーキーブルー」コーディネートを紹介するなど、“ありがち”なページが続きます。はて? 一体どこらへんが「SNSじゃわからない」箇所なの? と思ったのですが、よくよく誌面を読み込んでみると、とにかく尋常じゃないほどに、説明が具体的で丁寧。例えば、「流行のマキシ丈コート。バランスよく着こなす方法は?」という読者からの質問に、誌面2ページを割いて徹底回答しているんですが、「1.縦ラインが強調される落ち感素材をセレクト」「2.チェックストールで目線を上に集める!」……といった具合に、コーディネートを完成させるための8つのプロセスを、それぞれどういった理由でその手順が必要なのかという解説まで付けて紹介しています。確かにSNSでおしゃれコーディネートを発信する人も、普通ここまでの長文投稿はしないだけに、こういった細部のテクニックは、「SNSじゃわからない」かもしれません。

 そもそもSNS上で見られるオシャレコーディネートは、キラキラした“完成系”として発信されているものだと思います。もちろんその“裏側”には、完成系に至るまでの泥臭い過程(例えば、予算と相談しながら服をお得にゲットする、鏡の前でああでもないこうでもないと1人ファッションショーを繰り返す、写真を上手に加工する……など)があるわけです。その部分にフォーカスを当てるのは、やはり現実主義を貫く「GINGER」ならではの視点かもしれませんが、裏を返せば、「GINGER」読者には「センスがない」と言い切っているような気も? さすがは夢を見させてくれない女性誌です。

■待ちに待った恋愛企画なのに……ときめき要素ゼロ!?

 恋愛要素がほぼゼロの「GINGER」に、待ちに待った恋愛企画が登場です! 首都圏に住む働くアラサー女子を読者層に想定しているのか、「気になる婚活スポット」として「銀座コリドー街」を紹介し、「話題の銀座コリドー街って本当に出会いがあるの!?」と題して、女性2名が潜入取材を敢行しています。

 早速ページを開いてみると、最初は、男性に声をかけられて一緒にお酒を飲んだり、大企業勤めの男性の名刺をゲットしたり、LINE交換したりと楽しげなレポートだったものの、途中からどんどん雲行きが怪しくなっていきます。2軒目に向かう道中で酔っ払いに絡まれたり、チャラい男から自宅飲みに誘われたり、終電を逃してタクシー難民になったり……と、あまりに夢のない展開が続き、ときめき要素は皆無……! そもそもコリドー街って、婚活スポットというよりはナンパスポットですよね? 編集部も「(男性は)彼女というより、飲み友達を探しに来ている」「友達を探すくらいの軽い気持ちで行ってみて!」と前置きしつつ、「ステキな人と出会えたら朝までコースも正解!」などと、身も蓋もなくワンナイトラブをオススメする始末でした。

 確かに東京の真ん中で働くアラサー女子には、そんな夜の思い出が1つや2つあるだろうし、もはや結婚に夢もあこがれも抱いていないかもしれません。しかし女性誌の恋愛企画としては、やはり夢というか、純愛度数が低すぎますし、まったく心が踊りません! 読者がこのページを読んでも、「楽しそー!コリドー街行きたーい!」とはならないのでは? しかし、最後に書かれたアドバイスは大変現実的で参考になりますので、もしコリドー街に繰り出す機会があれば参考にしてみてください。「タクシー乗り場は長蛇の列。電車が賢明」「駅まで少し距離があるので、時間に余裕を」……ですって!

■スーパーリアルなローテンション

 最後に、タイトルだけでおなかいっぱいになりそうな「香里奈主演!年末年始スーパーリアルな着回しSpecial」を見ていきましょう。タートルネックニット、ボーダーカットソー、ロングカーディガンなど、読者サポーター8000人が選んだ、わりと地味めなリアルクローズアイテムを使った30コーデを紹介しているのですが、なんというか、香里奈が着てもやっぱり地味なんです!

 「デート」や「イベント」のシチュエーションで紹介されているコーデも、確かにほかのページより“ちょっとだけ”いいもの、“ちょっとだけ”垢抜けてはいるものの、全体的に地味めな色合いで見てるこちら側としても、テンションが上がりません。女性誌なんだから、もう少し華やかで気持ちの上がる誌面にしてもいいんじゃないかしらと思うのですが、そこは「スーパーリアル」にこだわった結果なのかもしれません。

 写真に添えられているキャッチは、読者アンケートからの抜粋だそうですが、これまた「大晦日は友達集まってカウントダウンに参加する予定です」「早めに帰省して高校の同級生たちと集まる予定。一年に一度の楽しみです」「仕事を忘れてオフモード。ずっと忙しかったので家でのんびり過ごします!」などなど、本当に普通の、リアルな読者の声。あこがれは一切抱かず、わかるわかる~と共感を覚えてしまいました。

 そんな毎回“これでもか!”というほどに、現実的な企画を浴びせてくる「GINGER」ですが、今月号では、それとは対極にある非現実的な“占い”を3本立ての大ボリュームで掲載していました。ラストで突然スピリチュアルをかましてくるあたり、「GINGER」女子は現実世界に疲弊しているのでは。彼女たちの心中が少々心配になってしまいました。
(橘まり子)

「コリドー街で婚活」も不発? 恋愛に浮かれられない「GINGER」のサガ

 落ち着いたモノトーンの配色でまとめられた表紙デザインに「総額200万円以上177名様豪華プレゼント!」「本当に『効く化粧品』発表」など、相変わらず身も蓋もない現実主義な力強い見出しが並ぶ今月の「GINGER」(幻冬舎)。その一方、白ニットを着て、ボーっとした表情を読者に向けるカバーガール・綾瀬はるかは、「最新!深堀インタビュー  今、揺れています」という不穏なタイトルの企画に登場しているとのこと。何やら胸騒ぎを覚える表紙ですが、早速、本誌の中身をチェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎読者8000人が本当に知りたかったコト!SNSじゃわからない おしゃれの裏側
◎話題の銀座コリドー街って本当に出会いがあるの!?
◎香里奈主演! 年末年始スーパーリアルな着回しSpecial

■GINGER女子とSNS

 まず見ていきたいのが、メイン特集の「SNSじゃわからないおしゃれの裏側」です。なんと読者8,000人にアンケートを行い、「真冬のリアルコスパ服、何買う?」「厚着の冬でも女っぽい配色って?」「ほっこりしがちな防寒アイテム、どう着る?」「トレンド冬服をこなれ見えさせる方法は?」といったファッションに関する疑問を集めたとのこと。編集部も「単なるファッション誌ではなくなっている」と自信満々で、「おしゃれなコーデを見るだけなら、SNSでも十分かもしれない。でも、雑誌でこその切り口や独自の提案がきっとある、と信じています」と熱く語っています。

 しかし、コスパ服として「ZARA」を推したり、今季の注目色「スモーキーブルー」コーディネートを紹介するなど、“ありがち”なページが続きます。はて? 一体どこらへんが「SNSじゃわからない」箇所なの? と思ったのですが、よくよく誌面を読み込んでみると、とにかく尋常じゃないほどに、説明が具体的で丁寧。例えば、「流行のマキシ丈コート。バランスよく着こなす方法は?」という読者からの質問に、誌面2ページを割いて徹底回答しているんですが、「1.縦ラインが強調される落ち感素材をセレクト」「2.チェックストールで目線を上に集める!」……といった具合に、コーディネートを完成させるための8つのプロセスを、それぞれどういった理由でその手順が必要なのかという解説まで付けて紹介しています。確かにSNSでおしゃれコーディネートを発信する人も、普通ここまでの長文投稿はしないだけに、こういった細部のテクニックは、「SNSじゃわからない」かもしれません。

 そもそもSNS上で見られるオシャレコーディネートは、キラキラした“完成系”として発信されているものだと思います。もちろんその“裏側”には、完成系に至るまでの泥臭い過程(例えば、予算と相談しながら服をお得にゲットする、鏡の前でああでもないこうでもないと1人ファッションショーを繰り返す、写真を上手に加工する……など)があるわけです。その部分にフォーカスを当てるのは、やはり現実主義を貫く「GINGER」ならではの視点かもしれませんが、裏を返せば、「GINGER」読者には「センスがない」と言い切っているような気も? さすがは夢を見させてくれない女性誌です。

■待ちに待った恋愛企画なのに……ときめき要素ゼロ!?

 恋愛要素がほぼゼロの「GINGER」に、待ちに待った恋愛企画が登場です! 首都圏に住む働くアラサー女子を読者層に想定しているのか、「気になる婚活スポット」として「銀座コリドー街」を紹介し、「話題の銀座コリドー街って本当に出会いがあるの!?」と題して、女性2名が潜入取材を敢行しています。

 早速ページを開いてみると、最初は、男性に声をかけられて一緒にお酒を飲んだり、大企業勤めの男性の名刺をゲットしたり、LINE交換したりと楽しげなレポートだったものの、途中からどんどん雲行きが怪しくなっていきます。2軒目に向かう道中で酔っ払いに絡まれたり、チャラい男から自宅飲みに誘われたり、終電を逃してタクシー難民になったり……と、あまりに夢のない展開が続き、ときめき要素は皆無……! そもそもコリドー街って、婚活スポットというよりはナンパスポットですよね? 編集部も「(男性は)彼女というより、飲み友達を探しに来ている」「友達を探すくらいの軽い気持ちで行ってみて!」と前置きしつつ、「ステキな人と出会えたら朝までコースも正解!」などと、身も蓋もなくワンナイトラブをオススメする始末でした。

 確かに東京の真ん中で働くアラサー女子には、そんな夜の思い出が1つや2つあるだろうし、もはや結婚に夢もあこがれも抱いていないかもしれません。しかし女性誌の恋愛企画としては、やはり夢というか、純愛度数が低すぎますし、まったく心が踊りません! 読者がこのページを読んでも、「楽しそー!コリドー街行きたーい!」とはならないのでは? しかし、最後に書かれたアドバイスは大変現実的で参考になりますので、もしコリドー街に繰り出す機会があれば参考にしてみてください。「タクシー乗り場は長蛇の列。電車が賢明」「駅まで少し距離があるので、時間に余裕を」……ですって!

■スーパーリアルなローテンション

 最後に、タイトルだけでおなかいっぱいになりそうな「香里奈主演!年末年始スーパーリアルな着回しSpecial」を見ていきましょう。タートルネックニット、ボーダーカットソー、ロングカーディガンなど、読者サポーター8000人が選んだ、わりと地味めなリアルクローズアイテムを使った30コーデを紹介しているのですが、なんというか、香里奈が着てもやっぱり地味なんです!

 「デート」や「イベント」のシチュエーションで紹介されているコーデも、確かにほかのページより“ちょっとだけ”いいもの、“ちょっとだけ”垢抜けてはいるものの、全体的に地味めな色合いで見てるこちら側としても、テンションが上がりません。女性誌なんだから、もう少し華やかで気持ちの上がる誌面にしてもいいんじゃないかしらと思うのですが、そこは「スーパーリアル」にこだわった結果なのかもしれません。

 写真に添えられているキャッチは、読者アンケートからの抜粋だそうですが、これまた「大晦日は友達集まってカウントダウンに参加する予定です」「早めに帰省して高校の同級生たちと集まる予定。一年に一度の楽しみです」「仕事を忘れてオフモード。ずっと忙しかったので家でのんびり過ごします!」などなど、本当に普通の、リアルな読者の声。あこがれは一切抱かず、わかるわかる~と共感を覚えてしまいました。

 そんな毎回“これでもか!”というほどに、現実的な企画を浴びせてくる「GINGER」ですが、今月号では、それとは対極にある非現実的な“占い”を3本立ての大ボリュームで掲載していました。ラストで突然スピリチュアルをかましてくるあたり、「GINGER」女子は現実世界に疲弊しているのでは。彼女たちの心中が少々心配になってしまいました。
(橘まり子)

「LINEのやり取りですら面倒」アラサーの恋愛描写がシビアすぎる「GINGER」ジュエリー特集

 今月の「GINGER」(幻冬舎)の表紙は、なんとなく全体的にボンヤリとした印象。アンニュイな表情をしたレギュラーモデル・宮田聡子が、ふわふわニットに身を包み、小指をくわえ、視点の定まらない目線でカメラの向こう側を見つめています。前号では、「モテ」や「愛され」に依存しない超現実主義だったアラサーの「GINGER」姉さんも、冬場だからやっぱり彼氏に甘えたいのかな? と思いきや、彼女の写真の上には、デカデカと「限られた予算を活かして、おしゃれに生きる! お値段以上の服とインテリア」という身も蓋もない欲望をさらけだしたキャッチが……。過不足なく情報が伝わってきて、大変わかりやすいですが、もっとオブラートに包んでもいいと思うよ? 一番目立つ場所に太字で書かれた「石井ゆかり開運手帳 120名プレゼント」にも商魂のたくましさを感じつつ、さっそく中身をチェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎お値段以上の服とインテリア
◎12月だから欲しい服、したい着こなし
◎お気に入りのジュエリーと奏でる4つのWINTER STORY

■ときめきを全否定!?
 まずは身も蓋もないメイン特集「お値段以上の服とインテリア」ですが、前号同様、「◯◯なのにお値段以上! おしゃれサプライズ36」「あのブランドのお値段以上な実力アイテム」「セレブのおしゃれテク、プチプラで完コピ!」「『あなたの私服HOW MUCH?』SNAP!」「大人の『モト取れ』傑作図鑑」……と期待を裏切らない「コスパ」重視のファッションページが淡々と続きます。それにしても、女性誌で「モトを取る」っていう言葉、あんまり聞かないですよね。

 しかし、前号のレビューでも指摘したとおり、コスパ優先とはいえ「無難に見えて無難ではない」という絶妙ラインを保つプライドを持っている「GINGER」女子のこと。「私たちは単に安いモノばかり求めているワケじゃない。満足度に見合った価格であれば、納得がいくというもの。大事なのは『それなら買い!』と思える理由があるかどうか」だそうです。恐らく、「GINGER」女子にとって、“ときめきによる衝動買い”はタブーなのでしょう。

 続くインテリアのページでも、「グッドプライスなインテリアガイド」「ニトリ&無印良品の知っ得情報大公開!」と堅実すぎる「GINGER」。別に夢見るくらいタダなんだから、カッシーナのソファとか載せてもいいのでは? せっかく「おしゃれ業界人の自宅を訪問!」しても、「まとめて見せてひとつの世界観に」「必要なものだけをディスプレイして効率よく生活する」「白8割・黒2割のモノトーン収納ですっきりと」「ボックスの中はタテ収納が基本」「プチプラ家具も色を揃えて空間に統一感を」などなど、夢を見るより先に、勉強熱心になってしまう真面目な「GINGER」女子。その生き方、息詰まっちゃうよ!?

 【番外編】の「感動&号泣間違いなし!お値段以上のハピネス体験」に、「GINGER」読者の夢見る力を見いだそうと淡い希望を託したのですが、「東京ドーム貸し切りで草野球をする」「無人島をまるごと借りて、大規模鬼ごっこ大会」「宇宙旅行」など、金さえ積めば実現できるかな……という夢ばかり!! ご丁寧にもしっかり予約サイトまで紹介されているという、どこまでも現実主義な「GINGER」です。

■追い詰められた「GINGER」女子が行き着くスピリチュアル
 ファッション特集「12月だから欲しい服、したい着こなし」においても、その超現実主義は徹底しています。「女子会にデートに忘年会にと、年末につれて増えていくイベントに今なら何を買ってどう着こなすべき?予定と場所にふさわしい華やかなおしゃれセンス」とうたい、「白のレースブラウスはカラーパンツでほどよくモードに」「こっくり色スカートは個性派ニットでキャッチーに」など、細かいルールびっしり! 何かの試験でも受けるつもり? おしゃれするって、こんなに細かな気配りが必要なんですね! 

 しかし、紹介されているコーディネートは、思わず目を引くようなスタイルではないことから、「GINGER」女子は別に、ズバ抜けてファッションセンスのある人になりたいわけではなさそう。周りと、“ちょっとだけ”差をつけたい……そのために努力とこだわりを発揮しているように感じるのです。そしてそこには、「他人から愛されたい」「よく見られたい」という欲望も、あまり見えません。

 「GINGER」女子たちは、社会性を重んじる真面目なタイプなのではないでしょうか。誌面に登場する読者たちは、責任ある仕事を持って自立しているタイプが多いし、また、雑誌全体を通して、恋愛にまつわる企画が限りなく少ないことからも、男に依存するタイプではないように感じます。決して主体性なく流されているわけでもないし、ゆるふわな甘い夢を見て思考停止しているわけでもない。ちゃんと自分の力で、現実を真面目に生きている。そんな彼女たちのオシャレを楽しむ方法が、“周囲とちょっとの差をつける”なのかもしれません。

 そんな「GINGER」女子像が如実に表れていたのが、働くアラサー女性の物語仕立てになっている、レギュラーモデルの香里奈とカルバン・クラインのタイアップ記事「お気に入りのジュエリーと奏でる4つのWINTER STORY」。

 主人公女子のセリフを一部抜粋すると……「(彼氏と)会うのは3週間ぶり。お互い仕事が忙しくて、ここだけの話LINEのやり取りですら面倒に感じることもある」「予定のない休日に思うこと。携帯電話の電源をオフにして、今日は絶対のんびりするって決めた。でも……頭の中を空っぽにして何も考えないでいるのって、案外難しい。月曜に持ち越してしまった仕事、大丈夫かなぁ?彼とはこれからどうなるんだろう?(以下続くモヤモヤ。中略。)ゆっくりしたかったのに、ふだんよりもなんだかいろいろ考えてしまう」……なんてリアルすぎるストーリーなのでしょうか!? 女性誌の着回しストーリーって、もっと夢があるから! 「IT社長に突然見初められてプロポーズ!? 学生時代から6年付き合っている彼氏もいるのに……どうしよう(はぁと)」とか、そういう頭がお花畑のトンデモストーリーで全然いいから! と叫びそうになりました。服だって、インテリアだって、「自分には何が見合っているか」や「コスパは高いか」に固執せず、自分の心がときめくものを選べばいいのにと、思わずはいられません。

 そんな「GINGER」女子の窮屈そうな生き方を思うと、表紙の宮田のうつろな目は、「男に甘えていた」のではなく「死んでいた」のかもしれません。そして本誌には特集ページが組まれていないにもかかわらずガッツリ宣伝されていた「石井ゆかり開運手帳」、謎のスピリチュアル企画「アストロビューティー活用術」、旅行企画「大島優子、京都で食べて、祈って、恋をして」……これら全ては、真面目がゆえにTPOをわきまえすぎて疲れ果てた「GINGER」女子たちを癒やすためにあった企画なんですね。

 そんな彼女たちに朗報なのか、「GINGER エージェンシー」なる、夢あふれるオーディションが開催される模様。モデル、カメラマン、記者など「人生を変えるような新しいことに挑戦したい!」女性を大募集しているそうです。今後の展開が期待されます!
(橘まり子)

12月号なのに「クリスマス」のワードほぼナシ! 超現実主義「GINGER」女子像とは?

 「GINGER」(幻冬舎)12月号を購入するために、書店の女性誌コーナーに足を運んだのですが、カバーガールの桐谷美玲の圧に思わず怯んでしまいました。というのも、美玲が普段とはまったく違うスタイルに仕上がっていたからです。月9『好きな人がいること』(フジテレビ系)や映画『ヒロイン失格』などの胸キュンラブストーリーで見せた、ちょっとドジで隙のある“愛され美玲”や、『NEWS ZERO』(日本テレビ系)での清楚で好感度の高い“女子アナ風・美玲”からは想像できないダークカラーに身を包み、ガッツリアイラインの強めメイク。今にも「舐めんなよ!」とガンを飛ばしてきそうです。

 表紙タイトルの上にある「Spark GINGER」という唐突なロゴは、「GINGER」のウェブサイトの名称だそうですが、まさに“スパーク”な仕上がりの美玲を見て、筆者は勝手に、この「舐めんなよ!」とスパークする気合こそ「GINGER」の精神なのだと理解。そんな強気な中身を早速チェックしていきましょう~。

<トピックス>
◎今月は3万円でおしゃれする!
◎クリスマス・ティーパーティーへ、ようこそ。
◎今月のGINGERさん

■「3万円」の使い方に賭けるセンスとプライド
 「アラサー女子の“リアルおしゃれ”大調査」「月刊30歳美容委員会」「今月のアラサー女子に効く!映画」などなど、全編に渡り「アラサー」を自称している「GINGER」。ただ、そこに過剰な自虐や、逆に開き直った「30歳女子(はぁと)」といった自意識は感じられません。年齢はただの数字であり、「それ以上でも以下でもない」と捉えているのでしょうか。

 それはファッションについてもいえるようで、「GINGER」には、夢見がちなストーリーとともに展開される“着回し企画”が一切ありません。「同じプロジェクトの先輩とうっかり恋仲になった」「学生時代から付き合っている彼氏に、サプライズなプロポーズをされた」などの、恋愛とファッションを絡ませる演出はゼロ! その代わり、「全身3万円コーデを楽しむ!実践アイデア集」「UNDER¥30,000で探す『着回せる旬服』1点買い」「おしゃれ業界人の『今月は3万円で何を買う?』」など、実用的で無難なファッションページが淡々と続きます。

 表紙のスパーク魂はどこにいったんや!? と思いきや、よくよくキャッチを読んでみると「“普通の人”印象に終わらないほんの少しのエッジが必要」「チラ見せインナーでセンスに差をつける」「1点投入で脱・コンサバ。こなれ感が上がる!」といった文言が並び、「GINGER」女子たちのファッションに対する微かなプライドが垣間見えました。働く女子の間では、“THE無難”なファッションブランドとして知られる「NATURAL BEAUTY BASIC」の服が一着も紹介されていないことも、「GINGER」が「無難に見えて、実は無難じゃない」女を目指していることの裏付けになるのではないでしょうか。

 そんな「GINGER」の街角スナップショットに登場する女性たちの職業は、事務OLや受付嬢といった一般職ではなく、営業、マスコミ、商社、IT、デザイナー……などがメイン。そこからも、“私は自分にしかできない仕事をして自立している”と誇りを持つ「GINGER」女子像が浮かび上がってきます。

 そんな彼女たちは、社内恋愛を狙って、ゆるふわ愛されファッションをする必要も、ハイスペ彼氏の自慢の彼女でいるために、女子アナ風コンサバファッションをする必要もないのかもしれません。だからと言って、個性を押し出すモード系やハイブランドに走るわけではなく、社会性を保ちつつ、適度に流行を取り入れるというスタンスからは、やはり「(職場でもプライベートでも)舐められたくない!」という気概を感じます。

 しかし、そのバランス感覚は、自然と身につくものではないようで、当初「3万円」という値段の縛りしかなかったはずのファッション特集には、「堅苦しすぎるのも、地味すぎるのもNG!」「得意アイテムが確定したら色違い買いをしてもOK!」「複雑なレイヤードは不要。小物で色柄をON」など細かなルールがビッシリ! まさにリアルファッションの参考書。読者には、「舐められたくない」というただ一点のために、堅実な努力を重ねている真面目女子が多いのかもしれません。スパークするのも、そんなに簡単ではないようですね……。

■恋愛に夢を見ない超現実主義
 もう1つ気になったことは、「GINGER」には男の影が一切ないこと。普通、アラサー女性誌の12月号といえば、クリスマス一色のロマンティック浮かれモードな特集ばかりで、彼に買ってもらいたいおねだりアクセサリー企画のほか、プロポーズを期待してなのか、真冬なのにウェディング特集が多いのも特徴です。そうでなくても、自分へのご褒美として、クリスマス限定のコフレセット特集やスイーツ特集などが組まれたり、とにかく誌面が「キラキラ」「女子力全開!」な作りになっているもの。

 しかし、「GINGER」姐さんときたら、クリスマスという単語が出てきたのはウェッジウッドと女優の比嘉愛未(ナゼその組み合わせ……)のタイアップ記事「クリスマス・ティーパーティーへ、ようこそ。」、ニトリと脚本家・渡辺千穂(やっぱりナゼ……)のタイアップエッセイ「親友へのメリークリスマス」のみ。しかも、どちらも女友達とのホームパーティーの話で、『東京タラレバ娘』(講談社)の登場人物のようにグダグダと酒を飲みつるんでいるわけでもなく、キラキラ女子たちのようにシャンパン片手にリムジン女子会を開くでもなく、ノンアルコールのティーパーティーって!? さらに「私に贈るメリー・クリスマス」というアオリと共に紹介される自分用のプレゼントも、ブランドバッグやルブタンのハイヒールではなく、ウェッジ・ウッドのマグカップ(全柄セット)……。 堅実な「GINGER」女子たちはクリスマスだからって浮かれたり、心を乱されたりしないようです。

 ちなみに誌面を通して登場した男性は、岩ちゃん(三代目J Soul Brothers・岩田剛典)のみ。おそらく、読者にとっては“愛でる対象”の男性なのでしょうが、それにしたって写真集の宣伝記事なわけで、潔いほど、恋愛に夢を見させない超現実主義な女性誌です。追い討ちをかけるように「今月のGINGERさん」として紹介されているのが、世界を股にかけてグローバルに働くシングルマザー……。確かに彼女の経歴や生き方は素晴らしいし、見習うべき部分もあるかもしれませんが、ちょっと極端すぎやしませんか!? 子どもや夫が登場しないことからも、独身アラサーがターゲットの雑誌であることは明白なんですが、「結婚」「恋愛」というワードはザッと見た限り見当たらず、ファッションページにかろうじて、「彼とのデート設定」のコーディネート写真が1枚だけ発見できました。ちなみに「モテ」というワードについては「モテライナーリキッド」の広告記事のみ!!

 レギュラーエッセイ陣は、山田詠美と田中みな実という色恋沙汰を語らせるのにピッタリな2人にもかかわらず、それぞれ「岩井志麻子のヒョウ柄の話」と「一人でゴキブリを倒した話」をしていて……ねぇ! もっと話すことあったよね? 一体編集部はどんな依頼しているのか気になるばかりです。それとも、それが「GINGER」の正解なんでしょうか。

 今のアラサー世代といえば、物心ついた頃から日本はずっと不景気で、世間を揺るがす事件や震災をリアルタイムで経験してきた世代です。もしかすると、超現実主義なのはそのせいもあるのかもしれませんが、もっと夢を見させてくれないと、ちっともスパークできないと思うのは私だけでしょうか。
(橘まり子)