4月28日をもってグループを卒業するHKT48・指原莉乃。今や平成のアイドル史に名を残す存在となった彼女の「卒業」に、長年応援してきたファンは、いったい何を思うのか――。
日刊サイゾーでは、ファン歴11年の“古参オタク”こうずさんに寄稿いただきました。後編では、「女王」と呼ばれるまでになった総選挙での快挙から昨年12月の卒業発表までを振り返っていただきます。
*【前編】はこちらから
2013年 総選挙1位
スキャンダル翌年、莉乃ちゃんは『32ndシングル 選抜総選挙~夢は一人じゃ見られない~』で1位になります。前年に4位にまで上り詰めた段階で彼女の活動に魅力を感じるファンが増えていました。ブログの更新であったり、テレビで扱われる「へたれキャラ」「いじられキャラ」 で愛される存在になっていた中で、スキャンダルを機に「ガチ恋」系のファンはほぼ全滅し、より莉乃ちゃんの魅力に惹かれたファンが彼女を押し上げようという気持ちにさせたと分析しています。
デビュー当時から知るファンとしては、「あの莉乃ちゃんが、あっちゃん(前田敦子)と同じ総選挙1位か……」と感じるくらいすごいことだと思うと同時に、年々規模感が増していっていた総選挙というイベントでも、いわゆる“AKB村(48G内のコミュニティ)”以外をきっかけとしたファンを多く彼女はゲットできていたんだと思わされます。
外部からファンを引き込んだ、バラエティ力
最近、莉乃ちゃんのおかげ(「SHOWROOM」や劇場公演やコンサートなどで私が名指しされることがあるので)で、イベントや握手会場などの現場で私も指原ファンの方から声をかけていただくことがあってお話しするんですが、やはりいろんなきっかけで彼女のファンになった方がいて。AKB村以外の活動がきっかけでファンになったという方がいるところを見ると、活躍はもちろん喜ばしいことですが、バラエティで活躍することがそれまで48Gへ興味がなかった人の興味関心を集めることに繋がっている、繋げているというところがすごいなぁと感じています。なかなか難しいと思うんですよ、外仕事から48Gにファンを引き込むのって。
48Gのシステムって結構独特で、特に握手会や公演などは専用のサイトに登録をしてさらに当選をしないといけないし、6カ月先の握手会の申し込みとかも平気であるので、「今すぐ会いたい!」という人はもどかしさを感じたり、熱量が下がってしまうこともあると思っています。それでも会いに来てくれるファン、会いに来れなくてもCDを買って継続して応援してくれるファンを掴んでいることはすごいことだと思います。
また、AKBのファンは48Gで活躍したメンバーが外仕事でも活躍している姿を見るのが嬉しいって方がマジョリティだと思うので、そのどちらのファンも喜ばせている莉乃ちゃんの活躍は異例だとも思います。
2015~2017年 総選挙3連覇
14年の『37thシングル 選抜総選挙 夢の現在地~ライバルはどこだ?~』は、まゆゆこと渡辺麻友に次いで惜しくも2位でしたが、2015年からは3連覇。
個人的には私が新潟出身ということもあり、新潟開催だった16年の『45thシングル 選抜総選挙~僕たちは誰について行けばいい?~』はよく覚えています。新潟開催が決まった時に握手会で「(こうずさんの)地元じゃん! 見に来てよ! 会場票は私に入れて!」と言われたり、その後の握手会でも「地元で莉乃ちゃんが1位になったのを見れて良かった!」って伝えたら笑ってくれてました。
17年には246,376票で1位。2位とは約10万票の差がつきました。選挙での圧倒的な強さはやはり、彼女が1人で1,000票入れるファンよりも1票入れるファンを1,000人獲得したと見るのが妥当だと思います。テレビで見る機会も増え、48Gのイベントでも存在感があるので貴重な存在です。
同年、自身がプロデュースするアイドルグループ「=LOVE」(イコールラブ)が発足。また、STU48との兼任もありました(後に解除)。
そして、18年12月15日。TOKYO DOME CITY HALLにて行われたHKT48の単独コンサート『HKT48コンサート in 東京ドームシティホール~今こそ団結!ガンガン行くぜ8年目!~』にて卒業発表をします。個人的には、チケットが当たっていたので楽しみにしていたのですが、セットリストも何も知らないのに急に1週間前くらいから「辞めるんじゃないか?」と胸騒ぎがしていました。「長年推してると勘まで冴えるのか……良いことだけの勘が冴えてほしいなぁ」と、今さらながら思いますが……。
莉乃ちゃんが卒業発表をする前、アンコールの1曲目「早送りカレンダー」を歌う彼女が涙ぐんでいるように見えた私は「本当に卒業発表があるかもしれないな……」とそこで確信してしまいました。
そしてアンコール2曲目が終わった後、卒業発表。
いつもコンサートでは涙ぐみながら「私、指原莉乃は……卒業……しませーん(笑)」なんて言ってドッキリをするのですが、今回はきちんと「卒業します」と言い切ったこともあり、メンバーは号泣したり呆然としたり……。ファンは「いつもの冗談だろう……」という雰囲気から「いやいや、本当に卒業するのか!?」という感じで、卒業発表の瞬間は数秒間、会場全体の時間が止まったような感覚でした。あくまで個人的な感覚ですが、卒業発表後のステージに掛け声を送るファンは他のメンバーの卒業発表時よりは少なかったように感じています。ただ、沈黙。悲しみから黙って泣いているようなファンの方が多かったような印象です。もしかしたら「いつか来るその時=莉乃ちゃんの卒業」というのがついに来てしまったということで受け入れる覚悟だったり予想だったりをしていた方が多かったのかもしれません……。
コンサート後の握手会で松岡はなちゃん(莉乃ちゃんのことが特に好きなHKTメンバー)と話したときに、私が「メンバーはセトリ知ってたんでしょ? 『引っ越しました(曲名)』と『草原の奇跡(曲名)』で気づかなかった?」と聞いたら、はなちゃんが「そう、気づいたの! だからさっしーさんに『卒業しないですよね?』ってLINEしたんだけど、はぐらかして否定しなかったから変だと思ったの」と教えてくれました。
「ジワるDAYS」というシングル曲が、AKB48としての彼女のラストシングルになります。歌い出しの、
「ホントは今でもそばにいて欲しいよ だけど君を引き止められない」
これがファンやメンバーの総意だと、個人的には思っています。それだけ存在感も大きかった中、メンバーとして今まで十二分に努力してきてくれたことも理解しています。
指原莉乃がグループに与えた影響
彼女は後輩たちに「強くて優しい人思いの女性でいてください」というメッセージを残しています。
48Gのイベントなどで問題が起こった時に、現役のメンバーにもかかわらずズバッと物事が言える貴重な存在としての面も、莉乃ちゃんは持ち合わせていました。自身がプロデュースしている=LOVEの運営にも、改善に前向きに取り組む姿勢を見せてくれています。
ファンが何を望んでいるか、逆にどういうことで悲しむのか、彼女はよく理解しているんだと思います。元々ハロヲタ(「ハロー!プロジェクト」のファン)としてアイドルになる前はコンサートなどに通っていたことももあって、ファンの気持ちがわかるのでしょう。
彼女が卒業した後にどのメンバーがどのようにして48GやHKTを引っ張っていくのかはわかりませんが、予定調和がないところが48Gの良さでもあるので、心配になる反面、楽しみも持ち合わせています。きっと彼女もグループに対する寂しさよりもそういった期待のほうが大きいのではないでしょうか。
莉乃ちゃんのファンになってよかったと思うことは、11年という長い間通い続けましたが、毎回のヲタ活で楽しかった思い出の方が勝ち越しているところです。もちろんお互い人間なので感情の浮き沈みがその場のタイミングによってある(私の気分が上がっていないときや莉乃ちゃんのテンションがいまいちな時なども)ので、毎回どのイベントも楽しかったか? と言ったら嘘になってしまいますが、莉乃ちゃんが出ているイベントは楽しい気持ちで参加できたイベントがたくさんあったと思います。これって長くヲタクしていけばしていくほど(いい意味でも悪い意味でもいろんなメンバーを見てきてしまう分)難しいもので、そういう楽しい気持ちにさせてくれるメンバーというのは貴重です。
直近で言えば、昨年の夏『KBCふくやスペシャル・博多祇園山笠 追い山中継「走れ!山笠」』の生中継に出演したときに、自分のカメラで莉乃ちゃんを撮ることができたことがとてもうれしかったです。私に気づいてくれて目線をくれるだけではなく、私の撮った写真を莉乃ちゃんが自身のツイッターで使ってくれたときは感激しました。
彼女の最大の魅力はそういうファンを楽しませてくれるというところ。先ほどは私の例で書きましたが、バラエティ番組でもキャラがしっかりしていますから見ていて楽しいですし、コンサートやイベントなどでもMCやパフォーマンスで楽しませてくれたり、ファンが喜びそうなセットリストを考えるのも上手なのでコンサートそのものを楽しみにできたりと、いろんなファン層の満足度を満たせているところは素晴らしいなぁと思います。何よりも彼女が経験した栄光と挫折をファンはそばで見ることができて一緒に共感し進んでいくことができるというところに48Gらしい楽しみの醍醐味が詰まっているのではないでしょうか。
私の今の率直な思いとしては「もう少し48Gの莉乃ちゃんのヲタクをさせてほしかったなぁ」という寂しい思いと、「今まで11年間好きでい続けられてよかった」という感謝の気持ちがあります。4月28日に予定している卒業コンサートではきっと彼女の集大成のような素晴らしいセットリストと構成だと信じているので、とても楽しみにしています。おそらく終盤が近づくにつれて涙腺が崩壊してしまうかもしれないので、コンサートの中に一眼レフカメラもOKな撮影タイムでも作ってもらって気持ちを紛らわせたいなぁというのが個人的な希望です(笑)
2008年から応援し続けてきた莉乃ちゃんがいったい最後にどの曲を選ぶのか? 逆にどの曲で始まるのか? 予想をしながら当日を迎えたいと思います。素敵な卒業コンサートになりますように。
(文=こうず)