韓国”ネトウヨ・ネトサヨ”の真の脅威朴槿恵の大統領就任で反日運動が激化!?

【サイゾーpremiumより】
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『「反日」の正体』(文芸社文庫)
「MB、独島(竹島)を電撃訪問」──。  終戦記念日を目前に控えた8月10日、MB【編註:明博(Myung-Bak)のイニシャルから韓国でこう呼ばれる】こと李明博大統領のとった行動は、韓国メディアにとっても大きなサプライズだった。実効支配している強みから、「日本との間に領土問題は存在しない」との立場を貫く韓国政府は、竹島問題を外交の俎上に載せるのを避けてきたからである。  日本から見ると、竹島の領有権や日本海(韓国では東海)の呼称問題で、韓国は自国の立場を世界に向けて無遠慮にアピールしている印象があるが、実は、そうした活動を担っているのはほとんど民間団体なのだ。  中でも図抜けた行動力を持っているのが、「VANK(Voluntary Agency Network of Korea)」というNGO組織である。  その名は日本のネトウヨなどの間でも知られており、ネットで検索すると、「韓国最大のネット右翼」「サイバーテロ集団」などの言葉にぶつかる。「日本海」「竹島」などと表記された海外の文献や地図を見つけるや、「独島」「東海」への修正を求めるメールを会員が一斉に送付し、それが受け入れられるまで続けるため、「サイバーストーカー集団」などと呼ぶ向きもある。2010年には、日本のネットユーザーが韓国フィギュアスケート界の妖精金姸兒に対する中傷を書き込んだことをきっかけに、「日韓サイバー戦争」が勃発。2ちゃんねるをアクセス不能にさせられた日本側のユーザーたちが、VANKのウェブサイトを主な報復対象にしたこともあった。  こんな説明を受けてしまうと、外国人排斥を掲げ、路上にも繰り出してヘイトクライムまがいのデモを行う日本のネトウヨとイメージがかぶってしまうかもしれないが、その実像は著しく異なる。  そもそも、韓国における右翼・左翼のあり方は、日本とはかなり異なっている。ごくごく大ざっぱに言うと、韓国には日本からの独立以来、「日本支配下の親日派=保守=右翼」、「日本支配下の独立運動勢力=革新=左翼」という流れがあるのだ。そして日本とは違い、破天荒な活動を展開するのは主にネトサヨであり、ネトウヨは”リアルな優等生エリート集団”が頭脳戦を展開させている。  実際、彼らと同様の主義主張を展開する韓国の民族派団体の関係者にVANK会員の評判を問うと、「とにかく礼儀正しく、知識が豊富」(独島博物館李元徽学芸研究士)、「純真でひたむき。彼らを見ていると癒やされる」(民族問題研究所の趙世烈事務総長)などと、まさに学校の優等生に向けられる評価そのものだった。  ただ、そんな礼儀正しく純真な彼らの活動が、きわめて大きな”破壊力”を持っているのも事実である。VANKはナショナル・ジオグラフィック、ヤフー、米国務省、ユニセフ、WHO、グリーンピース、コロンビア百科事典、米中央情報局などに粘り強くメール攻勢を続けており、これまで少なくとも300のウェブサイト、1000点の教科書の表記を「修正」させたという。  そのパワーの源泉としては、伸び続ける会員数が第一にある。竹島問題がヒートアップするさなか、VANKの朴基台団長に直撃した。 「現在の会員数は7万5000人で、ここ約5年間で5倍に増えました。このうち常時500~600人ほどが、オンライン上で独島などの表記修正を働きかける作業や、韓国に関する正しい知識を海外に普及させる広報活動に携わっています。また、学校の夏休み期間には1500人規模のオフライン会合が全国で頻繁に行われていますよ」  現在、VANKは大統領直々の指示により、政府から支援金を得ており、同団体への加入は、学歴社会である韓国の受験戦争にも有利に働くようになってきているという。というのも、彼らは、12段階のテストをクリアした、”エリート”たちのみを正会員として迎えているのだ。  1段階目の設問は「気に入った韓国広報サイトを見つける」「自分の故郷の文化や観光地を紹介した文章を作る」など比較的容易だが、2段階目以降は「英語で自己紹介する」「英語で(表記の)修正要請文を作る」などと、中学・高校生にはハードルが高いと思われるような項目が登場する。さらに段階を進めると「海外に知り合いを何人作ったか」「その時、どのように韓国を宣伝したか」など実践度が増していく。そして、サイバー外交官への最後の難関には「抗議すべきサイトとその発見方法」や「国際書簡(親書、協力要請書簡)を送る」など、本物の外交官顔負けの課題が用意されている。 「会員のうち約5万人が学生です。大学入試の勉強と並行してテストを受ける高校生も多いですよ。外国籍の会員も約1万5000人いて、50人ほどと少数ながら日本人もいます。ですから、韓国語と英語のみならず、世界のほとんどの主要言語に対応できる。今のペースでいくと、会員数は近い将来100万人規模になると思うのですが、そうなれば必然的に、VANKが育てあげた”サイバー外交官”の中から、本物の外交官が生まれる、ということになっていくでしょうね」(朴団長)  となれば、100万人のネトウヨが一斉に日本へ攻勢をかける、という事態も起こりうるのだろうか? 「そんなことはありませんよ。私たちは右翼とか民族主義者とかに誤解されがちですが、目的はあくまで韓国について”正しく”知ってもらうこと。東日本大震災のときも、会員たちが義援金を送っていますし。VANKが過激であるかのように言われるのは本意ではありません」(同) ■内閣総辞職させる脅威日本の敵はネトサヨ?  2ちゃんねるの騒動はあったものの、韓国メディアの関係者たちに意見を求めてみても、皆一様に「VANKは悪質なサイバーテロを行うような団体ではない」と答えた。  同国の情報当局者によれば、「何か大きな騒ぎを起こす勢力がいるとすれば、韓国では右翼よりもむしろ左翼のほうだ」という。韓国のネット左翼は、革新派の市民団体や世論と密接な連携を持っている。政界の保守勢力や旧体制派のメディアは、言論関係の法律解釈で彼らの活動を封じようとしたこともあったが、あまり功を奏していない。むしろ、ネット左翼の影響力は、ますます強まっているのだ。  実際、牛海綿状脳症(BSE)問題を受けて停止されていた米国産牛肉の輸入再開を韓国政府が決定(08年4月)した際には、ネトサヨらの呼びかけで大規模な抗議運動が発生。一時は首都機能がマヒ寸前となり、政権を内閣総辞職にまで追い込んだ。  また、03年の盧武鉉政権の誕生も象徴的といえる。前年の大統領選挙において、脱地縁、脱学閥などを訴え、既存の選挙システムに依存しないことを公言した盧陣営だったが、予想通り苦しい戦いを強いられた。ただ、盧武鉉の政策が韓国の構造的な転換につながると支持した勢力は、新しい選挙戦の形を模索する。そこで利用されたのが、インターネットだった。結果、中でも「ノモサ」という団体に所属する左派の若年層が中心となり、ネットをフルに活用してほかの有力候補者を蹴散らすこととなったのである。  そして、そんな勢いに乗る韓国の左翼が最も闘志を燃やすのは反米運動においてだが、それがいつ日本に向かってこないとも限らない。  たとえば、今年末の大統領選で最有力候補といわれている与党セヌリ党の朴槿恵元代表は、父である朴正熙元大統領が旧日本軍の将校出身であることなどから、左翼からは「親日派の末裔」と見られている。韓国人ジャーナリストが言う。 「現在の従軍慰安婦問題のこじれは、朴正熙元大統領の結んだ日韓基本条約に端を発している側面があるため、保守派からの政権奪還を目指す”ネトサヨ”は当然、朴槿恵元代表を親日派として指弾するでしょう。  仮に、朴槿恵元代表が竹島問題で『弱腰』と見られる態度を取れば、ネトサヨによる親日派攻撃はいっそう大きく燃え上がるでしょう。ハッキリ言って、右翼が中心になってきた従来の反日運動はまだまだ甘い。街頭の反米デモで火炎瓶を振りかざし、戦闘警察(機動隊)との流血沙汰を繰り返してきた左翼陣営が本気で反日に転じたら、今までとは次元の違う騒ぎが起きる可能性がある」  ネトウヨ・ネトサヨ、いずれにせよ、韓国社会に大きな影響力を持つ彼らの活動が激化すれば、現在の危うい日韓関係にまでその力が及ばないとも限らない。竹島問題をはじめ、これ以上、トラブルが大きくならないことを願うばかりだ。 (文/河 鐘基) ■ネトウヨ・ネトサヨ 韓国では、ネットの住人を指して「ネチズン=ヌリクン」という。これは、2000年頃、左派=革新派勢力が中心となって形成されたものであり、彼らがネット左翼(ネトサヨ)の源流と言われる。対して、ネット上で旧体制派の保守勢力的な発言をする人たちを、ネット右翼(ネトウヨ)と呼ぶ。 【「サイゾーpremium」ではこの他にも日韓領土問題に迫った記事が満載!】慰安婦問題でも大統領の保身のためでもない! 竹島問題が加熱した本当の理由なぜ国境の島のウェザーニュースを報じないのか?領土問題にはパフォーマンスで応じろ!ナショナリストな左翼が選ぶ安直な"右翼"に対処する 懐が深い"左翼"本のススメ
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「戦いはいまでも続いている」 爆破テロ犯が振り返る、左翼運動とその思想

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宇賀神さんの著書『ぼくの翻身』(模索舎)。
前編はこちら  1970年代に東アジア反日武装戦線のメンバーとして、社会を震撼させた「連続企業爆破事件」に関わっていた宇賀神寿一氏。指名手配から7年間にわたる潜伏後、82年に逮捕。90年に懲役18年を言い渡され、03年に刑務所を出所するまで21年間の獄中生活を送った。その後の「救援連絡センター」メンバーとしての活躍は前編の通り。後編では、その「事件」に至るまでの経緯をうかがった。  高校時代から左翼運動に関わり始めた宇賀神氏。在日コリアン問題や下層労働者の問題に取り組み、「東アジア反日武装戦線」に参加。このグループには死刑判決を受けた大道寺将司 、益永利明や無期懲役判決を受けて服役中の黒川芳正、現在も逃亡中の桐島聡らが参加していた。  三菱重工や三井物産、大成建設などの大企業を標的にした連続企業爆破事件では、宇賀神氏は鹿島建設と間組の爆破事件に関与していた。はたして、その事件の裏にはどんな思想があったのだろうか? ――「連続企業爆破事件」では、鹿島建設と間組の件に関わっていますが簡単に概要を説明していただけますか? 「僕らは建設会社を標的としていました。鹿島建設が戦時中に起こした花岡事件を問題視したのがきっかけです。鹿島建設では戦時中、秋田県の花岡鉱山に中国人を強制連行し、過酷な労働により、虐待・殺害しました。敗戦後、建設会社は中国人に賠償するのではなく、逆に自分たちが 国から損害賠償をもらい、戦後は国内の下層労働者を搾取して金儲けをしていたんです。それに対してストップをかけ、企業の責任を追及するために闘いました」 ――しかし、「爆破テロ」という方法以外には考えられなかったのでしょうか? 「いまから考えれば別の方法もあったと思います。当時は『武装闘争』というのが盛んに叫ばれていたんです。当時、僕らが使える武器は爆弾くらいでした。だから、爆弾を使用した武装闘争に流れてしまったんです」 ――連続企業爆破テロは74年〜75年にかけての犯行でした。あさま山荘事件が72年ですから、左翼運動は勢いを弱めていた時期ですよね。 「あさま山荘でのリンチ殺人が発覚して、左翼全体が元気をなくし、武装闘争も下火になりかけていました。しかし、一方ではパレスチナなどで日本赤軍が『テルアビブ空港乱射事件』などを起こしていたんです。それがあさま山荘事件に対するアンチとしての戦い方ではないかと思ったんです」 ――企業に対して爆破テロをすることによって社会全体を変えようと思っていたんでしょうか? 「社会を変えるというよりは、悪いことをしてきた企業の責任を追及することが第一でした。企業活動を阻むことで、そういった悪事を止めようと思っていたんです。だから、左翼革命によって革命社会を実現するという目的ではなかったんです」 ――いま振り返って、宇賀神さんにとって左翼運動とは何だったと思いますか? 「僕自身のきっかけはベトナム反戦でした。いま、ベトナムで殺されかけている人間がいて、自分はどのような行動をするのかというのが問題だったんです。それで、デモや活動に入っていきました。だからはじめから左翼思想によって動いていたという訳ではありませんし、いまでも自分が左翼だったかどうかは分かりませんね」 ――宇賀神さんにとって重要なことは、企業爆破テロと同じように「理想の左翼社会を実現する」ということではなく、「今目の前にある問題を解決したい」ということですよね 「運動のきっかけはヒューマニズムだったんです。社会や企業の不正に対して怒りを感じ、社会を変えようという思いが生まれます。だから左翼を意識しすぎると、その根本となる『何を変えるか』『なぜ変えるのか』という動機が分からなくなってしまうんです」 ――事件を起こしてから30年以上の時間が経ちましたが、変化はありましたか? 「現代にも企業悪はありますよね。ただ、当時は戦争が終わってからそんなに経っていないということもあり、花岡事件に対する思いも強かったんです。最近、鹿島が花岡事件の企業責任を一部認めていましたが、今でも日雇いや野宿労働者に対する排除や虐待は増えているし、昔より良くなったというわけではないでしょう」 ――現在、宇賀神さんの闘争心は何に対して向けられているんでしょうか? 「抑圧であったり、他人が困っているという状況に対して反抗しています。救援連絡センターの活動も同じで、権力からの抑圧状況に対して反抗しているんです」 ――戦いは続いているんですね。 「『戦い』という言葉は恥ずかしいけどね(笑)。現状をなんとか良い方向に変えたいとはいまでも思っています。身近な例で言えば、電車の中に妊婦がいても老人がいても席を譲ろうともしない人が多いですよね。人と人との関係が断ちきられてしまって、一人一人バラバラになっちゃっている。だから、できなくなっちゃったんです」 ――70年代風に言えば『席譲り闘争』ですね(笑)。 「小さいけれどもそこからですよね。今は、人間関係を再構築して繋がり合うということを考えているんです」 ――最後に若い人に対してメッセージをお願いします。 「現状を変えたいと思ったら行動に移さなきゃなりません。現代では行動に移すということをしないですよね。自分より弱い相手に対して、暴力を振るったりするのではなく、国家権力など、強者に向かっていかないとダメだと思います。抑圧状況に対してしっかり反抗していかなきゃならないんです」 (取材・文=萩原雄太[カモメマシーン]) ●うがじん・ひさいち 1952年、東京都出身。東アジア反日武装戦線「さそり」班の元メンバーとして連続企業爆破事件に関与し逮捕される。出所後は人権団体「救援連絡センター」の事務局員として活動。
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歯医者にかかるまで半年!? 塀の向こう側の不条理な生活

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救援連絡センターで発行するビラや月刊誌「救援」。
 シャバで生活していれば、なかなか見えない塀の中の生活。そんな刑務所・拘置所に20年以上にわたって服役していたのが元東アジア抗日戦線の活動家・宇賀神寿一氏だ。社会を震撼させた「連続企業爆破テロ」の実行犯として逮捕された宇賀神氏。出獄後は人権団体「救援連絡センター」の一員として、逮捕者の人権保護に尽力する彼が見た刑務所の生活とは? そして、その問題点とはいったいどこにあるのだろうか? ■歯医者にかかるまで半年かかる......刑務所の医療事情 ――まず、宇賀神さんが所属する『救援連絡センター』の活動について教えてください。 「人権の砦として、警察に不当逮捕された人への弁護士の派遣をはじめ、刑事、民事事件、獄中者の処遇等の相談窓口となっています。死刑制度廃止や民衆抑圧のための法律に反対し、全国の心ある弁護士や仲間とネットワークを組みながら、幅広い活動をしているんです」 ――刑務所での受刑者の処遇についてはさまざまな問題が言われています。具体的にはどのような問題があるのでしょうか? 「まずは医療の問題があります。例えば刑務所では虫歯になっても歯医者にかかるまで半年かかってしまうんです。歯医者といっても外から歯科医を呼びます。頻繁に呼ぶことができないから何カ月に1回ということになってしまう。刑務所の中にも歯医者にかかりたい人は多いんです。だから、順番を待っていると歯医者に診察してもらうまで半年かかってしまうんです。もちろん、虫歯は進行していますから、治療といってもほとんどが抜歯になってしまいます」 ――刑務所の中には医療設備はあるんでしょうか? 「ある刑務所もありますが、ちゃんとした歯科設備まで完備されているところはないですね。行政にも医療予算があってその枠内でしかお金を使うことはできないので治療にも限界があるんです」 ――他の病気についてはどうでしょうか? 「ガンにかかってしまったらまず助かりません。治療環境も劣悪ですし、治療薬もない。元日本赤軍の丸岡修さんは、獄中医療のミスによって、"拡張型心筋症"という難病にかかり、いま瀕死の状態にありますが獄外の専門病院に移されません。監獄当局にとって、囚人を獄外の病院に入れることは考慮外のようです」 ――受刑者専用の医療刑務所は全国にありますよね。そういったところで治療を受けることはできないんでしょうか? 「治療といっても一般社会とは全く違った内容になります。もちろん悪いという意味です。刑務所の職員たちは『悪いことをしたんだから高い金を出して治療させてもらえると思うな』と考える人が多い。中にはそれをはっきりと口に出す職員もいます」 ――衛生面に関してはいかがでしょうか? 「刑務所では衛生管理が徹底されていないので、食中毒がとても多いんです。私のいた刑務所でも毎年食中毒が発生していました。そうすると百何十人にも及ぶ受刑者が一斉に嘔吐や下痢をしてしまいます」 ――その他に処遇の問題はありますか? 「刑務作業中にちょっと脇見をしただけでも懲罰になってしまいます。『怠業』認定されてしまうんです。中には性格の悪い職員もいて、鍵束を持って受刑者の後ろを歩き、それを受刑者の後ろでわざと鳴らすんです。『何だろう?』と思って受刑者が後ろを振り返ればもう『怠業』に認定されてしまうんです。ほとんどいじめのようなものですよね。けど、刑務所は不条理の世界なんです」 ――懲罰の内容は? 「独房に入れられて正座、もしくは安座をさせられました。じーっと座っているだけで動いても行けません。もちろん本を読むこともできませんし、テレビやラジオがあるわけでもない。ただじーっと座って就寝時間になるまで寝転がることも許されません。私はこれを10日くらいやっていたんですが、とても辛かったことを覚えています」 ■再犯が頻発するのは構造的な問題 ――受刑者の数は飽和状態と聞きますが、何の対応もされていないと聞きます。 「3畳くらいの独房に、2人が収容されているという話も聞きます。私のいた頃はそんなことはありませんでした。近年の重罰化の影響で小さい犯罪でもどんどん刑務所に入れるようになっているんです」 ――宇賀神さんが見聞きした中で、最悪の刑務所はどこでしょうか? 「徳島刑務所は長期刑務所と言われる長期刑の囚人が多く入っている刑務所なんですが、ヤクザがとても多いんです。だから刑務官も横柄な対応をするようですね」 ――受刑者の飽和状態とともに、受刑者の高齢化も問題視されていますね。 「刑務所としても高齢者用の処遇をしていますが、やっぱり限界がありますよね。そもそも高齢者が増えた理由は再犯が増えているからなんです。なぜ再犯が多いかと言えばしっかりとした更生教育をしていないからです。日本の刑務所の職業訓練は職業訓練とは言えないようなものです。それを身につけても外で仕事ができるというものではありません」 ――例えばどういったことを訓練するんでしょうか? 「私は椅子を造っていたんですが、椅子の座面のシートをホチキスの大きなもので止めるだけの内容でした。これが職業訓練だったんです。何にもならないですよね(笑)。それよりもパソコンなどを使った作業をさせてもらった方が、出所後の就職に役立ちます。韓国の刑務所では職業訓練もパソコンを使った作業をしているそうです」 ――刑務所は犯罪者を更生させ、社会復帰させる場所ですよね? そんな内容ではただの隔離になってしまうと思うのですが。 「社会にとっての損得を考えても、再犯させることによる損失は大きいと思います。社会復帰できるように職業訓練をするべきだし、職業に就くうえでの考え方を変えていく必要があるんじゃないでしょうか。今は刑務所にいさせて、刑期が来たら出すというだけです。多くの受刑者には身元引受人もありません」 ――作業に対する対価はどれくらいなのでしょうか? 「私の場合、一等工という一番高いランクでしたが時給40円でした。1990年代の話です。当然、出所したところで金もないし。明日から住む場所もない。もちろん食べる金もありません。そうすると万引きや強盗をせざるを得ないんです。いまの刑務所は個人を追い込むような構造になってしまっているので、それを直さないと再犯の問題はどうしようもありません」 ――日本と海外の刑務所とでは違いがあるんでしょうか? 「フランスだったらワインを飲むことができます。また、北欧の刑務所では、女房、恋人が面会に来たら一つの部屋に入ってセックスもできるんです」 ――日本の刑務所では考えられないですね。 「昔はマスターベーションをしたら懲罰にかけられたりしていました。最近では許容されているらしく、黙認でしょうね。布団の中でやっていたりするのはあえてうるさく言われません」 ――オカズには何を使うんでしょうか? 「私が刑務所にいた時は『噂の真相』のアラーキーの写真を見ていましたよ。不思議なことにヘアーは塗り潰されていませんでしたが......(笑)。」 (後編につづく/取材・文=萩原雄太[カモメマシーン]) ●うがじん・ひさいち 1952年、東京都出身。東アジア反日武装戦線「さそり」班の元メンバーとして連続企業爆破事件に関与し逮捕される。出所後は人権団体「救援連絡センター」の事務局員として活動。
刑務所の中 シャバが一番。 amazon_associate_logo.jpg
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