現代人を襲う新しい恐怖“化学物質過敏症”とは? お蔵出し映画祭グランプリ受賞『いのちの林檎』

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化学物質過敏症を患う早苗さん。残留農薬や添加物に体が反応してしまうため、口にできるものは非常に限られている。
 とても恐ろしく、そしてとても美しいドキュメンタリー映画が現在公開中だ。『いのちの林檎』は“化学物質過敏症”という聞き慣れない新しい病気を題材にしている。2009年10月にようやく国が病名を認めたばかりだが、日本人の70万~100万人がこの病気で苦しんでいると言われている。化学物質過敏症に罹ると、ほんのわずかな化学物質に触れるだけで、頭痛、呼吸困難、倦怠感などの症状が出てしまう。排気ガスなど化学物質が溢れる街へ外出することは叶わず、病院に行くことも救急車に乗ることもできない。本作に登場する早苗さんは重度の化学物質過敏症。街で暮らすことができず、母親と共に山から山へと放浪する生活を送る。化学物質まみれの現代社会で、迫害される異教徒のような暮らし続ける母娘の受難の日々をカメラは追う。  キーッ、キーッ、キーッ。甲高い鳥のさえずりが響き渡る。いや、鳥ではない。早苗さんの苦しげな呼吸音だ。早苗さんは学生時代は健康的な女の子だった。だが自宅を新築した際にシックハウスに苦しみ、それからは会社に通うこともできず、自宅に篭るようになった。病名がはっきりしないまま6年間が過ぎ、ようやく化学物質過敏症であることが判明した。人間には化学物質に対する適応力があるが、シックハウスなどをきっかけにそのキャパを一度オーバーしてしまうと化学物質過敏症となり、完治することができないとされている。自宅で静かに暮らしていた早苗さんだが、自宅の前を喫煙者が通っただけでもうダメだ。にこやかに取材を受けていたのに、ぐったりと床に倒れ込んでしまう。トイレに置いてある芳香剤やすれ違う人のシャンプーの匂いも危険。当然ながら農薬や添加物が使用されている食品や消毒された水道水を口にすることは不可能だ。近所のゴルフ場で定期的に散布される除草剤がさらに早苗さんを追い詰める。ゴルフ場の除草剤を減らすよう市長に送った嘆願書には、苦しみでのたうち回る早苗さんの姿を映した映像も同封した。破傷風の恐怖を描いた野村芳太郎監督の『震える舌』(86)も怖かったが、市長宛に送られたこの映像はさらに怖い。人間にとって快適だったはずの現代社会がふいに牙を剥いて襲い掛かる恐怖が映し出されている。
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青森県弘前市で自然栽培によるリンゴ園を経営する木村好則さん。リンゴの樹に「頑張ったね。ありがとうね」と語り掛ける。
 水すら呑めずに脱水状態に陥っていた早苗さんを救ったのは、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)で有名になった木村秋則さんが無農薬無肥料で育てた“奇跡のリンゴ”だった。木村さんが自然栽培を始めたきっかけは、奥さんが農薬アレルギーで寝込んでしまうのをどうにかしたかったから。水道の蛇口から零れ落ちる水滴にさえ怯えていた早苗さんだが、木村さんが作った無農薬林檎だけはスーッと口にすることができた。まさに早苗さんにとって“生命の果実”だった。ひとりの女性の命を救えたことを知り、木村さんは顔をくしゃくしゃにして喜ぶ。リンゴ園の樹たち一本一本に「ありがとうね」と声を掛けて回る。  体力が持ち直した早苗さんは自宅を離れ、母親の運転する車に乗って放浪の旅に出る。お供をするのは3匹の犬たちだ。ゴルフ場や大きな農園を避け、山奥へと向かう。人里離れた森の中で、テント生活を始める母娘。オーガニックな衣服を身にまとい、無農薬大豆による自家製ミソを使った食事を用意する。まるで縄文時代に先祖帰りしたかのような生活である。『刑事ジョン・ブック 目撃者』(85)で描かれたアーミッシュたちの暮らしのようでもあるし、フランソワ・トリュフォー監督のSF映画『華氏451』(66)に登場するブックピープルたちが集う森のようでもある。質素さを極めた、その生活はとても美しい。  化学物資から逃れるために森で暮らすようになった早苗さん親子と対照的に、都会の喧噪の中でサバイバルすることを決意したのは若手プロレスラーの入江茂弘選手だ。子どもの頃に新築の家から致死量のホルムアルデヒドが検出され、家族全員が化学物質過敏症を患うことになった。新居を手放して父方の実家に身を寄せたが、周囲からは理解されず厳しい言葉を浴びせられた。病気を疑った小学校の教師は薬品が並ぶ理科室での授業を強要し、入江選手は洗面器いっぱいの鼻血を流し、学校に行けなくなってしまった。入江選手の少年期は病気や世間の偏見と闘うことに費やされた。強い肉体に憧れた入江選手は自分の体を徹底的に鍛え、闘い続けることを意義づけ、プロレスラーという職業を選んだ。まだリングだけでは食べていけないので居酒屋でアルバイトもしている。副流煙などと闘いながら、黙々とトレーニングを続ける。入江選手の入場曲は筋肉少女帯の「タチムカウ~狂い咲く人間の証明~」だ。都会のど真ん中でベコベコになりながら、何度でも立ち上がる彼もまた美しい。
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化学物質のない森の中での生活に笑顔を見せる早苗さんと母親の道子さん。平穏な一瞬一瞬が愛しいと語る。
 2011年に完成しながら一般公開されることがなかった本作。諸事情から埋もれてしまった映画たちにスポットライトを当てる「お蔵出し映画祭」で第2回グランプリを受賞し、ようやく劇場公開に辿り着いた。これまでテレビのドキュメンタリー番組や情報番組を手掛けることが多かったベテラン・藤澤勇夫監督が3年半の取材期間を費やして完成させたものだ。藤澤監督によると、早苗さんの体調のよさそうなときを見計らって撮影取材したそうだが、早苗さんはデジカメが発する微量の電磁波にも反応してしまうため、カメラの前で度々苦しげな表情を見せる。そんな姿も含めて、ありのままの様子を記録することに同意してくれたそうだ。化学物質過敏症の実態を少しでも多くの人に知ってもらうため、そして同じ病気と闘う人たちと苦しみを分かち合うために。  阿部サダヲ&菅野美穂主演で映画化もされ、すっかり有名になった木村さんの“奇跡のリンゴ”だが、藤澤監督は取材を始めて間もない頃に食べさせてもらったそうだ。「岩手県生まれなので、リンゴを昔はよく食べていたんですが、ボクが大学に入るくらいになるとリンゴの味が変わってしまい、リンゴが嫌いになった。でも、木村さんが無農薬無肥料で育てたリンゴは味が違った。瑞々しくて甘くて、子どもの頃に食べた懐かしいリンゴの味でしたね」と1941年生まれの藤澤監督は語る。現在は入手困難となった“奇跡のリンゴ”だが、早苗さんのような病気を患う人たちへ優先的に届くように配慮されているそうだ。いつの日か“奇跡のリンゴ”がもっと“普通のリンゴ”になればいいと思う。 (文=長野辰次) inochinoringo04.jpg 『いのちの林檎』 製作/ビックリ・バン プロデューサー/馬場民子 撮影/植田和彦、青木淳二 編集/熱海鋼一 テーマ曲/嶋津健一 題字/エムナマエ 監修/柳沢幸雄 監督/藤澤勇夫 配給/アークエンタテインメント 7月13日より新宿武蔵野館にてモーニングショーほか全国順次公開中  (c)2012ビックリ・バン <http://www.inochinoringo.com> ◆『パンドラ映画館』過去記事はこちらから

聞け、“泡沫候補”と呼ばれる男の魂の叫びを! 闘う父親たちのエレジー『立候補』『選挙2』

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京大卒、伊藤忠勤務を経て貿易会社設立という経歴を持つマック赤坂。大阪府民をスマイルにするために府知事選に出馬する。『立候補』より。
 世間から嘲笑されても、マスコミから無視されても、巨大な組織を相手に無謀な闘いを挑む男たちがいる。“泡沫候補”と呼ばれる人々だ。彼らは本気〈マジ〉だ。負けるとわかっていても、彼らはリングへと向かう。闘わなくてはならない、どうしようもない何かに突き動かされているらしい。その何かとは何か? ドキュメンタリー映画『立候補』(現在公開中)と『選挙2』(7月6日より公開)は政党に組みすることなく、自分の信念に従って猪突猛進する現代のドンキホーテたちの姿をそれぞれ追っている。  「結局、選挙では何も変わらないんだよ!」「所詮、選挙は多数派たちのお祭りに過ぎないッ」。YouTubeの画面の中で外山恒一はそう叫ぶ。山口県在住の藤岡利充監督による初めてのドキュメンタリー映画『立候補』は、外山恒一、羽柴誠三秀吉、マック赤坂ら、いわゆる泡沫候補たちを題材にしたものだ。2011年の大阪府知事選の様子を中心にカメラは収めていく。天下分け目の大阪の陣だというのに、何かが足りない。そう、羽柴誠三秀吉の姿がないのだ。カメラは青森へと飛び、彼が病床にあることを伝える。肺ガンらしい。それでも出馬しようとするのを、周囲が懸命になだめた。泡沫候補にとって選挙は遊びではない。高額な供託金と共に、自分の命をも賭けた真剣勝負の場であることが分かる。羽柴誠三秀吉不在の中、府知事選の候補者たちがそれぞれの選挙活動を始めるが、カメラは次第にひとりの男をクローズアップしていく。スマイル党の党首・マック赤坂である。
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2011年11月に行われた大阪府知事・大阪市長のW選挙の中心人物・橋下徹。巧みな弁舌で聴衆を盛り上げる。『立候補』より。
 「スマイル、してまっか?」「10度、20度、30度!」。NHKの政見放送で、街頭演説で、暴走するマック赤坂。公職選挙法に守られたマック赤坂に、警察もうかつに手が出せない。『立候補』の主演スターがマック赤坂なら、助演男優賞級の好演を見せるのがマック赤坂の息子・健太郎氏。伊藤忠退職後に貿易会社マックコーポレーションを立ち上げ、レアメタルの輸入でひと儲けしたマック赤坂だが、今は会社経営を息子に任せ、スマイル選挙に全力投球中だ。父親の見事な壊れっぷりと対照的に息子の健太郎氏は常にクール。「スマイルだけじゃ、会社は経営できません」「選挙は手伝いません」と父親とは一定の距離を置いている。かといって父親を軽蔑しているのではない。「目立ちたいから立候補したと思っていたけど、最近は違うのかなって。逆に道楽だったら失望しますね」と健太郎氏はカメラに向かって語る。父親の中には闘わずにはいられない、荒々しい業が渦巻いていることを息子は感じ取っている。  ドラマではありえない、予想外のシーンが飛び出すのがドキュメンタリーの魅力だろう。『立候補』のクライマックスはダブルでやってくる。最初のクライマックスは、大阪府知事選最終日の難波。当選が確実視される松井一郎と前府知事・橋本徹がツーショットで並ぶ選挙カーへと、マック赤坂はゲリラ兵のごとく襲い掛かる。だが哀しいかな、その場を盛り上げるテクニックに秀でたタレント政治家の舌先によって、簡単に手のひら上で弄ばれてしまう。チキショー、マック赤坂はこのまま負け犬で終わってしまうのか!? 2012年10月に新潟で試写会を開いたものの、「何かが足りない」と感じた藤岡監督は追加撮影を敢行し、2012年12月の東京都知事選の様子を2度目のクライマックスとして挿入した。秋葉原に現われたマック赤坂は「恥ずかしいよ!」「帰れ!」と罵声怒声が投げつけられる中、安倍晋三らが演説する自民党の集会へと突撃していく。このとき、カメラは奇跡の瞬間を収める。自民党という巨大政党を相手に、マック赤坂が『ロッキー・ザ・ファイナル』(06)のロッキー・バルボアのようにほんの一瞬だけまばゆい輝きを放つ。
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前作『選挙』で選挙関係者にはすっかり有名になった山内和彦前川崎市議。1枚120円の手づくりポスターを張っていく。『選挙2』より。
 『立候補』を撮った藤岡監督が参考にしたのが、NYに拠点を置く想田和弘監督の観察映画第一弾『選挙』(07)だ。2005年の川崎市議会の補欠選挙の様子を映し出したもので、想田監督の大学時代の友人である“山さん”こと山内和彦が自民党公認の落下傘候補としてドブ板選挙を展開し、初当選を果たすまでをつぶさに記録している。日本の民主主義の実状を伝える秀作ドキュメンタリーとして世界各国で高く評価されると同時に、日本国内でも選挙関係者たちにとって選挙のノウハウが学べる貴重なテキストとして知られている。『選挙2』は同じく山さんを主人公にした続編なのだが、2011年4月に行われた統一地方選挙に急遽再出馬を決めた山さんを取り巻く状況は前作とは大きく変わった。  前作は小泉自民党公認という大きな後ろ盾を得ての選挙だったが、今回の山さんは無所属での闘いなのだ。2011年4月の統一地方選は東日本大震災と福島原発事故後の初めての選挙だった。それなのに、選挙に臨むメジャー政党の候補者たちは原発問題についてまともに触れようとしない。原発を推進してきたのは自民党だったはず。原発事故に対応しているのは民主党ではないのか? 補欠選挙での穴埋め要員として用済み扱いされていた山さんは自民党と完全決別して、インディーズ候補として出馬することを決意する。ドブ板選を経験し、選挙に無駄な大金が掛かることを反省した山さんの2度目の選挙活動はとっても斬新。ガソリンを食う選挙カーは使用しない。選挙事務所も借りない。ボランティアスタッフとの打ち合わせはもっぱらファミレス。映画『選挙』の宣伝用のビジュアルを選挙ポスターに借用し、“脱原発”を中心に訴えたスローガンをポスターの隙間にびっちり書き記す。名前を連呼し、握手するだけの街頭活動も無意味なのでやらない。今回の選挙にかかった費用は、自作のポスター代とハガキの印刷代のわずかに8万4720円のみ。  山さんが自民党ではなく、完全無所属での出馬となった他にも、いろんな面で『選挙』から『選挙2』は状況が変わった。妻・さゆりさんとの間に息子・悠喜くんが生まれた。そして大震災と原発事故が起きた。それらに加え、『選挙2』では被写体となっている人々がみんな前作と違ってカメラを意識するようになった。山さん夫婦に前作のような派手な夫婦喧嘩はもう期待できない。だが、山さん夫婦とは別なところでバトルが勃発する。山さんだけでなく、他の候補者たちも想田監督のカメラを充分に意識している。その中で最も過敏に反応を示したのが自民党所属の現職議員たちだ。『選挙』では同じ自民党である山さんにエールを送る立場だった浅野文直市議、山さんの選挙対策本部長を務めた持田文男神奈川県議が想田監督のカメラに対し不信感を示し、「撮影拒否」を通告してきたのだ。想田監督はそのときの状況をこう振り返る。 想田 「撮影拒否には驚きました。ボクは彼らに対してまったく敵対心を持っていなかったのですが、どうやら先方の支援者側から『選挙』に対するクレームがあったみたいですね。自分たちが展開するドブ板選挙を笑いものにされたと感じたのかもしれません。でも、選挙は税金が使われた公的な活動であり、拡声器で演説している候補者たちは公人なわけです。それを「撮るな」なんて発言が飛び出したことが意外でしたし、「撮るな」と言われてこちらも引き下がれなかった。選挙活動の様子を取材できないということは、民主主義の基盤である重要なプロセスが取材不可能だということ。それを容認することは、民主主義にとって自殺行為に等しいですよ」
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投票日前日、防護服姿で街頭演説をする山さん。古代進のコスプレも披露したが、残念ながらそちらの映像はお蔵入り。『選挙2』より。
 “観察映画”を謳っている想田監督だが、監督自身がカメラごと現実の中に呑み込まれてく。そして、呑み込まれながらも想田監督はポスターでは爽やかな笑顔を振りまく現職議員たちがカメラを睨むコワモテな一面を切り取る。このシーンもまた台本のないドキュメンタリーならではの醍醐味である。 想田 「『選挙2』は2011年4月に撮影したものですが、2012年12月の衆院選の結果を眺めながら編集へのインスピレーションを得るまで、ずっと編集できずにいたんです。今思えば、撮影時に目撃したことが、あまりにも異常な光景に感じられ、なかなか消化できなかったんでしょうね。原発事故直後の日本は、映画に例えるならゴジラが来襲してきたような状況だったはず。自分たちの暮らしている町に放射能が降り注いでいるわけで、映画ならみんな『キャーッ』と逃げ出すのが定番でしょう。でもボクが見た光景はゴジラがノッシノッシと歩いているのに、いつもと同じようにサラリーマンたちが通勤列車に乗り込み、主婦は買い物をし、子どもたちが公園で遊んでいる様子だった。そして、いつもと同じように選挙カーが走り、候補者たちが駅前で自分の名前を連呼しながら、通行人と握手している姿だった。そして、あれだけの事故の直後であるにも関わらず、原発問題はタブー視されて誰も争点にしない。そんな状況を山さんは『おかしい』と訴えていたわけです。今回の山さんの選挙活動は異色すぎて“泡沫候補”と言われても仕方ないものでしたが、山さんにはちゃんとした主張があった。だけど、ちゃんとした主張があったから、日本の社会では浮いてしまった。異常な社会の中で正しいことを言うと、異常な扱いをされてしまう。そういう類いのことが起きていたんじゃないでしょうか」  『立候補』と『選挙2』の両作品に共通するのは、どちらも“親子のドラマ”という点だ。『選挙2』のラスト、投票日の前日に山さんは想田監督へのサービスか本来のコスプレ好きな性格のためか、白い防護服にガスマスクというスタイルで街頭演説を駅前で行う。フードを被っているため顔はほとんど見えず、ノボリは風に煽られてよく読めない。通行人の多くはスルーしていく。最初は父親のコスプレ姿にはしゃいでいた息子の悠喜くんはすぐに飽きて、ひとりカンフーごっこに夢中だ。それでも山さんは懸命に訴える。「私に一票入れてくださいとは言いません。投票率が50%を下回っている現状では、正しい形で選ばれているとは言えません。選挙にだけは行ってください。そこから民主主義は始まるんです」。  子どもたちよ、父親が闘う姿をその目に焼き付けてほしい。かっこ悪くても、笑いものになっても、父親は決して逃げず、最後の最後まで闘い抜いたことをいつの日か思い出してほしい。お父さんは、いつか君が投じる一票のために今、こうして身を挺して闘っている。愛とは平和ではない。愛とは闘いであることをお父さんは君に伝えたい。 (文=長野辰次) rikoho_3.jpg 『立候補』 監督/藤岡利充 製作総指揮&撮影/木野内哲也 音楽/田戸達英、岩崎太整、佐藤ひろのすけ 出演/マック赤坂、羽柴誠三秀吉、外山恒一、高橋正明、中村勝、岸田修、櫻井武 配給/ポレポレ東中野、明るい立候補推進委員会 6月29日よりポレポレ東中野ほか全国順次公開中 (c)2013word&sentence <http://ritsukouho.com> senkyo2_3.jpg 『選挙2』 監督・製作・撮影・編集/想田和弘 製作補佐/柏木規与子 配給/東風 7月6日(土)より渋谷イメージ・フォーラムほか全国順次公開 ※前作『選挙』も6月29日よりイメージ・フォーラムにて上映中 (c)2013 Laboratory X,Inc. <http://senkyo2.com> ◆『パンドラ映画館』過去記事はこちらから

事件は有名ハンバーガー店で起きた! 従順さが招いた犯罪『コンプライアンス 服従の心理』

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どこにでもあるファストフード店が一本の電話によって犯罪現場となった。実話を題材にした心理サスペンス『コンプライアンス 服従の心理』。
 事件は2004年4月、米国ケンタッキー州の小さな田舎町にあるマクドナルドで起きた。警察を名乗る男性から電話が掛かり、「店内で財布の盗難事件があった。18歳前後の女性従業員はいないか?」と問い合わせてきたのだ。店長は驚いた。ファストフードの店長は何よりもスタッフの管理と教育が求められる。店長は電話の声が告げる条件に該当するレジ担当の女性スタッフをバックヤードへ連れ出し、電話の指示に従って身体検査を行なった。女性スタッフは丸裸にされ、屈辱的な行為を強要された。3時間以上が経過し、ようやく電話がニセ警官による悪質なイタズラであることが判明した。マジメさが取り柄だった店長は、コンプライアンス(法令遵守)に従ったばかりに犯罪に加担してしまった。『コンプライアンス 服従の心理』は全米を騒がせた“ストリップ検査詐欺事件”を再現したドラマとなっている。  「やりたくてやったんじゃない。上からの命令だったんだ」。アドルフ・アイヒマンは裁判でこう自己弁護した。アドルフ・アイヒマンは第二次世界大戦中にヒトラー率いるナチスの親衛隊を務め、ユダヤ人虐殺を指揮した。ナチス内で出世するため、ヒトラーに認めてもらうため、アイヒマンは効率よくユダヤ人を処分することに尽力した。アイヒマンはユダヤ人たちを収容所へ送る列車を手配し、死刑執行の書類にサインを走らせた。ナチスによって虐殺されたユダヤ人は500万人とも600万人とも言われている。戦後、アイヒマンは偽名を使ってアルゼンチンで逃亡生活を送っていたが、イスラエルの諜報機関モサドよって拘束され、裁判に引き出された。ユダヤ人を大虐殺した戦争犯罪者はどんな鬼畜かと世界中の人々が固唾を飲んだが、法廷に現われたアイヒマンはあまりにも凡庸な事務員風の中年男にしか過ぎなかった。
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女性店長のサンドラ(アン・ダウト)は若いスタッフを束ねるだけで頭がいっぱい。そんなとき、警察を名乗る男から電話が掛かってきた。
 その日のマクドナルドはいつもより忙しかった。51歳になる女性店長のサンドラ(アン・ダウト)は朝からトラブル続きで頭がいっぱいだった。前夜、冷蔵庫を開けっ放しで帰った従業員がいたため、食材の一部がダメになっていた。従業員の落ち度は店長の責任でもある。しかも、いつ本部がお忍びで視察に来るか分からない。ギリギリの精神状態で働いていたところへ、警察と名乗る人物・ダニエル(パット・ヒーリー)からの電話が鳴ったのだ。スタッフはアルバイトばかりで、信頼できるのは副店長ぐらい。だが、副店長には自分の代わりに店を切り盛りしてもらわなくてはならない。レジを担当していた18歳の女性アルバイト・ベッキー(ドリーマ・ウォーカー)に掛けられた窃盗の疑いをどうすれば晴らすことができるか。電話の向こうでダニエルは「できるだけ穏便に済ませよう。捜査に協力してほしい。我々が到着するまで君が身体検査をしてくれないか」と言う。まったくの濡れ衣であるベッキーは身の潔白を証明するため、制服だけでなく、下着まで脱ぐことになった。他のスタッフたちはトラブルに巻き込まれないよう、バックヤードに近づかないようにした。  なぜアイヒマンのような小心そうな男が命令とはいえ、ユダヤ人大虐殺に加担できたのか。アイヒマンの裁判を見て、疑問に感じたのはイェール大学の心理学者スタンリー・ミルグラムだった。アイヒマン裁判と同年、1961年にミルグラム博士は様々な職種、年齢の人たちを集め、ある心理実験を行なった。実験参加者たちは「先生役」と「生徒役」に別れて、テストを行なった。「先生役」が出題した問題を「生徒役」が間違えると、電気ショックが「生徒役」に与えられた。誤答する度に電圧が上げられ、「生徒役」は苦痛を訴えるようになった。実は「生徒役」は事前に仕込んでいたサクラで、高圧電流が流れているふりをしていたのだが、そのことを知らない「先生役」は「大丈夫ですか?」と実験を見守る教授の顔色をうかがった。教授が「テストを続けてください。そうしないと実験が成立しません」と促すと、「先生役」は次々と電圧を上げていった。「生徒役」が絶叫する姿を見ながら、致死量である450ボルトまで電圧を上げていった「先生役」は参加者の62.5%に及んだ。大学教授という権威者から命令されれば、実験参加者の過半数がそれに従うことが証明された。この実験は「ミルグラム実験」、もしくは「アイヒマン・テスト」と呼ばれている。  レジからベッキーがいなくなり、店内は大わらわだった。警察はなかなか到着しない。店長のサンドラも、裸にしたままのベッキーにずっと付きっきりでいるわけにいかない。電話の向こうからダニエルは「誰か信用できる人物にベッキーの見張りを替わってもらってもいい」と提案してきた。そこでサンドラは婚約者のヴァン(ビル・キャンプ)を呼び出すことにした。友人と宴会中だったヴァンは状況がよく呑み込めないままマクドナルドに駆けつけ、電話の声に忠実に従った。ヴァンは裸エプロン状態だったベッキーのエプロンを脱がせ、後ろ向きで前屈状態にし、お金を体に隠し持っていないか入念に細部までチェックした。もはや身体検査ではなく、明らかな性的虐待だった。密室状態となったバックヤードの扉を開けて、「もうやめろ」と言い出すスタッフは誰もいなかった。
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客の財布を盗んだ疑いを掛けられたレジ係のベッキー(ドリーマ・ウォーカー)は、密室状態となった事務室で全裸になることを強要される。
 1961年に行なわれた「ミルグラム実験」は過去のデータではないことが2009年のフランスで改めて実証された。同様の実験をフランスのテレビ局がクイズ番組という設定に置き換えて再現したのだ。クイズ番組のパイロット版の収録という名目で集められた参加者たちは「出題者」と「回答者」に別れて、クイズに答えた。クイズに正解できなかった「回答者」は罰ゲームとして電気ショックが与えられた。次第に電圧が上がり、「回答者」の顔が歪む。「出題者」は不安に駆られるが、番組の司会者が「途中でやめてもらっては困ります」「責任は私たちが負います」と呼び掛けると「出題者」はそのままクイズを続けた。最大電圧まで続けた参加者は「ミルグラム実験」の62.5%を大きく上回る81%に達した。戦時下でもなく、科学の実験でもなく、クイズ番組の司会者の命令でも、多くの人たちが簡単にアイヒマンになってしまった。  電話の声によってベッキーはさんざん弄ばれた挙げ句、この電話は超悪質なイタズラであることが3時間以上経過してようやく判明した。このとき、マクドナルドから笑顔が消えた。警察の調べにより、警察マニアの男が容疑者として浮かび上がった。男のアパートからは大量のテレフォンカードが見つかった。さらにイタズラ電話は今回だけでなく、10年近くにわたって米国各地で70件以上も同様の電話があったことも明るみになった。イタズラ電話が頻繁に起きていることを従業員に伝えなかった管理不足、危機対策の不備を裁判で問われ、マクドナルド社は被害女性に610万ドルを支払うことを命じられた。女性店長は企業ポリシーに反したこと、身体検査を指揮した事実から同社を解雇された。店長の婚約者は5年間の実刑判決を受けた。そして容疑者の男は証拠不十分で釈放された。  イスラエルの裁判で、戦争犯罪と人道に対する罪を問われ、死刑を宣告されたアドルフ・アイヒマンはこう言い残したといわれる。「私の罪は従順だったということです」。電話詐欺を楽しんだ犯人にとって、明るい笑顔と従順さをモットーとする巨大組織はあまりにも絶好のカモだった。 (文=長野辰次) compliance04.jpg 『コンプライアンス 服従の心理』 監督・脚本・製作/クレイグ・ゾベル 出演/アン・ダウト、ドリーマ・ウォーカー、パット・ヒーリー、ビル・キャンプ 配給/アット エンタテインメント R15 6月29日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開  (C) 2012 Bad Cop Bad Cop Film Productions, LLC <http://fukuju-shinri.com◆『パンドラ映画館』過去記事はこちらから

“運命の女”との再会、そして“神”との対話……。さらば自分探しの旅『キス我慢選手権 THE MOVIE』

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美女たちのキス攻撃をかわしながら24時間アドリブを続ける劇団ひとりこと川島省吾。壮大な実験映画として「キス我慢選手権」が帰ってきた。
 中田英寿をはじめ多くの若者たちが自分探しの旅に出た。はたして旅先で本当の自分を見つけて帰ってきた人はどれだけいるのだろうか。求めていた理想の自分に出会えないまま、旅を終われずに若さを消耗していく人も少なくない。深夜番組から生まれた映画『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』はまさに究極の自分探しの旅だ。なにしろ映画の主人公である劇団ひとりこと川島省吾は自分が何者であるのかをいっさい知らされていない。これから自分にどんなストーリーが待っているのかも分からない。24時間にわたって省吾はアドリブ演技を続け、共演者たちの言動から自分が何者であるかを探りながら物語を転がしていかなくてはならない。物語を切り開いていくことで、省吾は旅の終わりに「自分は何者なのか?」という明快な答えに遭遇する。リアルとフィクションとの境界線を突っ走る痛快なメタフィクション・ロードムービーなのだ。  2005年にスタートし、ロングラン人気を誇る深夜バラエティー『ゴッドタン』(テレビ東京系)の中でも「キス我慢選手権」はひと際熱い支持を集める名物企画だ。開始当初は制限時間(60分)をお笑い芸人たちはセクシータレントたちのキス攻撃に耐えられるかというシンプルな企画だったが、劇団ひとりがストイックな別人キャラクターに変貌し、美女の誘惑から逃れるアドリブ演技が評判となり、DVD化。シリーズ化されたDVDのセールスも好調で、調子に乗って劇場版まで作ってしまった。「未来はアドリブで変えられる」が劇場版のキャッチコピーとなっている。劇団ひとりのアドリブ演技が一本の深夜バラエティーの歴史を大きく変えたといっていいだろう。
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今回の省吾は元凄腕のスナイパー“砂漠の死神”という設定。台本を渡されていないにも関わらず、派手な爆破シーンが襲い掛かる。
 制限時間内はカメラを止めることなくアドリブ演技を続けるという劇団ひとりのプライドの前に立ち塞がるのは、ピッチピチのセクシー美女たち。人気AV女優の葵つかさはいきなり露天風呂でフルヌードでの登場となる。劇場版ならではのサービスショットが、いつもの深夜番組とは違うことを強く感じさせる。ロケ車からふいに温泉郷に降ろされた劇団ひとりこと川島省吾は葵つかさの挨拶代わりのキスをかわしながら、自分は製薬会社の令嬢・つかさと愛の逃避行中の身であることを知る。どうやら省吾はかつて「砂漠の死神」と呼ばれた凄腕の暗殺者だったらしい。さらにはロリータ系のルックスで人気の紗倉まなは生き別れとなっていた妹として登場。再会を喜ぶまなは兄・省吾にキスをおねだりする。すぐ目の前にプルプルした甘美な唇が待っている。美女とエッチしたい。オスとしてのどうしようもない本能にもがき苦しむ省吾。プライドは社会的存在意義と言い換えることができる。動物としての本能と芸人としての社会的存在意義とがひとりの男の中で激しく正面衝突する。  省吾を悩ませるのは美女だけではない。「砂漠の死神」を追って、警察、テロリスト組織、そしてゾンビたちが押し寄せる。台本を渡されていない省吾は考える暇もなく、次々とその場その場を面白いセリフと即興芝居で乗り切らなくてはならない。ウォータースライドに流されていくように大きな物語のうねりに呑み込まれていく省吾。運命に身を委ね、矢継ぎ早に襲い掛かるトラブルを機転でかわしていくその様子は、ひとりの男の破天荒な人生をぎゅぎゅぎゅっ~と凝縮したかのようだ。  劇団ひとりにとって『キス我慢選手権THE MOVIE』は、ジム・キャリー主演の『トゥルーマン・ショー』(98)を脚本なし、リハーサルなしの一発撮りでやらされているようなものだ。一方、共演陣は省吾の幼なじみの親友・信太郎に劇団ハイバイおよび平田オリザ率いる青年団演出部に所属する岩井秀人、省吾を追う刑事役に劇団新感線出身のベテラン・渡辺いっけい、さらに『苦役列車』(12)や『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系)での好演ぶりが光るミュージシャン兼芸人・マキタスポーツ、入江悠監督が1シーン1カットの長回しで撮った『SRサイタマノラッパー』三部作に主演した駒木根隆介らアドリブに対応できる実力派を揃えた。カメラは20台用意した上で、劇団ひとりの代役と他のキャスト陣でリハーサルを重ね、「劇団ひとりなら、こーゆーリアクションするだろう」と様々なシミュレーションを組んだそうだ。ちなみに脚本は「(劇団ひとり:何かかっこいいことを言うはず)」と劇団ひとりの部分だけ空白にしてあったらしい。深夜バラエティー発の安直な企画に見せて、その実はかなりの手間ひまを掛けた壮大な実験映画なのだ。
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省吾、信太郎(岩井秀人)、みひろたちはテロリスト組織のアジトへと潜入する。想像を絶するクライマックスが省吾を待ち構えていた。
 葵つかさ、紗倉まなのキス攻撃には何とか耐えたものの、劇団ひとりが抗いがたい“運命の美女”が登場する。「キス我慢選手権」の第1回から劇団ひとりと名場面の数々を演じ、視聴者を釘付けにしてきた切り札・みひろが投入される。『ボーン・アイデンティティー』(02)のジェイソン・ボーンのように自分の記憶を持たない劇団ひとりこと省吾だが、みひろに対しては特別な感情が溢れ出てくるのを抑えることができない。ハードなAV業界で長年に渡って売れっ子として活躍したみひろはカメラの長回しにバツグンに強い。その場その場で自分に与えられた役割を的確に理解し、求められるキャラクターと素の自分とを巧みに融合していく。さらにカメラが回り続ける限り、感情の流れを途切れさせることのない徹底したプロ意識の持ち主だ。そんなみひろとアドリブの天才・劇団ひとりが邂逅したからこそ、「キス我慢選手権」は番組スタッフの想像を遥かに上回る人気企画へとスパークしたのだ。自分の哀しい過去を語るみひろの涙を、チョウ・ユンファのような包容力のある笑顔で受け止める劇団ひとり。キスしてやれよ、劇団ひとり。キスをすれば映画が終わってしまうことを承知で、客席にいる我々はスクリーンに向かって呟く。  思いがけず世界を滅亡の危機から救うという使命を託されてしまった男の激動の24時間をアドリブで演じ続けた劇団ひとり。すでに制限時間の24時間は過ぎ、本人だけでなく共演者もスタッフも未知の領域へと突入していく。『トゥルーマン・ショー』のジム・キャリーがそうだったように、劇団ひとりも物語の終わりに神さまと対峙することになる。24時間を越える冒険を体験し、劇団ひとりは自分が何者であるかを改めて思い知る。どんなシチュエーションに放り込まれようとも、カメラが回る限り、視聴者を、観客を楽しませ続けるエンターテイナーであることを。そして共演者やスタッフがいるからこそ、自分が存在できるということを。自分なんてものはどこにもなく、他者との関係性においてのみ自己が存在することが壮大な実験の結果、明らかにされた。長らく続いた自分探しの旅ブームはここに完結した。 (文=長野辰次) kiss_gaman04.jpg 『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』 監督・脚本/佐久間宣行 脚本/オークラ 音楽/岩崎太整 主題歌/サンボマスター 出演/川島省吾(劇団ひとり)、おぎやはぎ、バナナマン、みひろ、岩井秀人、京本政樹、葵つかさ、紗倉まな、マキタスポーツ、窪田正孝、オクイシュージ、駒木根隆介、バカリズム、東京03、松丸友紀、武蔵、やべきょうすけ、ミッキー・カーチス、斎藤工、渡辺いっけい、竹内力 配給/東宝映像事業部 PG12 6月28日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー公開 (c)2013「キス我慢選手権 THE MOVIE」製作委員会  <http://www.god-tongue.com> ◆『パンドラ映画館』過去記事はこちらから

男と女を結びつけているのは愛情か肉体か? 真木よう子主演の官能ドラマ『さよなら渓谷』

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かなこ(真木よう子)と俊介(大西信満)は、他人には話せない秘密で結ばれた夫婦だった。暑苦しい部屋で人目を避けるように暮らしている。
 結婚生活は愛情で結ばれた者同士が一緒に暮らすものだと思っていたが、ずいぶん後になってから、どうやらそうでないことに気がついた。男女を結びつけているのは恋愛感情や信頼関係といったプラス要素だけでなく、打算や妥協、さらには憎しみや哀しみといったマイナス要素も含めたものらしい。恋愛感情や肉体関係だけの結びつきは、意外なほど簡単にほどけてしまう。『さよなら渓谷』の主人公かなこと俊介の場合、2人は一般人が想像するよりも遥かに固い絆で結ばれている。しかも、その絆は恋愛感情や信頼関係ではなく、怒り、憎しみ、恨み、恐怖、憐れみ、罪悪感など様々な感情を束ねて編み上げた太い太い絆だ。真木よう子主演作『さよなら渓谷』は、その目には見えない“絆”を映像化することに成功している。  『さよなら渓谷』は吉田修一の同名小説が原作。2006年に秋田で起きた実母による児童殺害事件が物語の導入となっている。母親からの愛情を無条件で浴びることを信じていた幼い子どもが実の母親によって命を奪われた。映画の世界では女性は聖女として描かれることが多いが、本作では女性は聖女にもなりうれば、鬼女にもなりうる振り幅の大きな存在として語られる。事件が起きた渓谷に近い市営住宅にマスコミが群がる。児童殺害事件の容疑者・立花里美の素顔をカメラに収めるためだが、捜査に進展がないため記者たちは手持ちぶさた状態。そんな中、雑誌記者の渡辺(大森南朋)は隣で暮らす夫婦の姿が気になった。俊介(大西信満)とかなこ(真木よう子)の夫婦は水入らずで幸せそうだが、どこか世間の目から逃れたがっているようにも映る。ワケありそうな夫婦だった。
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『ベロニカは死ぬことにした』(06)以来の単独主演映画となった真木よう子。「簡単には演じられない役。台本を渡された時点で覚悟した」と話す。
 案の定、警察は俊介と立花里美は肉体関係があったという情報を得て、俊介を事情聴取のために連行していく。警察にそのことを通報したのは、俊介の妻かなこだった。この夫婦はどこかおかしい。渡辺は俊介の過去を調べ、俊介が大学時代は野球部のエースだったこと、証券会社に勤めていたエリートサラリーマンだったことを知る。俊介を引き立ててくれた先輩社員の妹との婚約も決まっていたらしい。約束されていた将来を全部棄てて、俊介はかなこと郊外にある簡素な市営住宅で暮らしていたのだ。それほどまでに俊介とかなこは深く愛し合っているのか。体の相性が抜群にいいのか。では、かなこが俊介を警察に売ったのは何故か? 妻(鶴田真由)との生活がしっくり行っていない渡辺にとって、俊介とかなこの夫婦関係は疑問だらけだ。やがて、俊介は15年前にある事件を起こし、俊介とかなこは口外できない秘密を共有する特殊な関係であることが浮かび上がっていく。  本作を撮ったのは大森立嗣監督。『ゲルマニウムの夜』(05)で監督デビューして以降、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(10)『まほろ駅前多田便利軒』(11)と社会の底辺で暮らす人々を一貫して撮り続けてきた。今年3月には秋葉原無差別殺傷事件を題材にした『ぼっちゃん』が公開されたばかりだ。男臭い世界を描き続けてきた大森監督にとって初めてのヒロインものが本作であり、ヒロインを務めたのは芸能界でもっとも“男気”溢れる女優・真木よう子。そして俊介役は『赤目四十八瀧心中未遂』(03)『キャタピラー』(10)で寺島しのぶの相手役を演じた大西信満。大森監督、真木よう子、大西信満の3人ががっちりスクラムを組む形で物語が進んでいく。  現在の日本映画界はテレビ放映を前提にしたテレビ局主導映画が主流となってしまい、人間の暗部にまで踏み込んだ作品は企画されにくい状況にある。だが、大森監督&真木&大西によるスクラムは、人間の心の奥の襞にまでずんずんと分け入って進んでいく。まるで愛情と憎しみと官能の果てに何が待っているのかを確かめようとしているかのようだ。蒸した部屋の中で抱き合った俊介とかなこは汗だくまみれで、2人の肉体は溶け合ってひとつのバターになってしまいそうなほど。慈しみと憎しみとが男と女の間をギッコンバッコンしていく。
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真木よう子の熱演ぶりが話題を呼んだ『ゆれる』(06)と同じく、今回も渓谷に架かる吊り橋がドラマの大きな分岐点となっている。
 この作品が出色なのはエンディングだ。決してハッピーエンドではなく、バッドエンディングに近いものだが、見終わった後に不思議な感慨が湧いてくる。ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、このエンディングは何と呼べばいいのだろうか。とりあえず“第3のエンディング”と呼ぼう。幸せと悲しみがマーブル状になったこの“第3のエンディング”は、誰もがいつか見た光景(いつか見る光景)でもある。野球部のエースだった俊介も雑誌記者に転職するまでずっとラグビー一色の人生を送ってきた渡辺も体力には自信があるが、逆に若い頃の鋭敏さや繊細さが自分の肉体から消滅しつつあることを実感している。鮮やかなグリーン色に萌え上がる“さよなら渓谷”は青春の墓場であり、人生の折り返し点でもあるのだ。  物語が終わり、エンドロールで真木よう子が歌うエンディング曲「幸先坂」が流れる。いや、真木よう子ではなく、かなこが歌う「幸先坂」だ。渓谷に架けられた橋を渡ったかなこの姿はすでに見えないが、歌声だけどこからか聞こえてくる。今日のかなこはちょっと機嫌がよさそうだ。そして、その歌声は昔、ひどい別れ方をしてしまった恋人の声にも少し似ている。 (文=長野辰次) 『さよなら渓谷』 原作/吉田修一 脚本/高田亮、大森立嗣 撮影/大塚亮 監督/大森立嗣 出演/真木よう子、大西信満、鈴木杏、井浦新、新井浩文、木下ほうか、三浦誠巳、薬袋いづみ、池内万作、鶴田真由、大森南朋 配給/ファントムフィルム R15 6月22日(土)より有楽町スバル座、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー <http://sayonarakeikoku.com◆『パンドラ映画館』過去記事はこちらから

ドキッ、巨乳だらけの強盗団の危険な春休み! 水着アイドル蛮遊記『スプリング・ブレイカーズ』

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旅行代欲しさにギャングと化す仲良し女子大生“スプリング・ブレイカーズ”。水着に着替えた彼女たちは最強!
 『燃えよドラゴン』(73)の中で、かのブルース・リーはこう言った。「考えるな、感じろ」と。4人組女子大生“スプリング・ブレイカーズ”は、その教えを忠実に守る。「私たちの行き先? そんなのおっぱいに聞いて!」。おっぱいがプルプルッと震えるのに任せて、女子大生たちは凶行に身を投じる。スプリング・ブレイクとは春休みのこと。春休みにリゾート旅行したい田舎の女子大生たちは町にひとつしかないダイナーを襲撃して、まんまと小遣い銭をゲット。めでたく南国フロリダでのビーチデビューを飾る。息が詰まりそうなダッサイ田舎に比べて、ここは陽射しが眩しく、ノリのいい男たちがそろい、ごきげんな音楽が流れ、ホテルでの生活は自由気まま。美味しいお酒にドラッグだってすぐ手に入る。女子大生たちは思う。きっと、ここは天国なのよ。私たちは天国に辿り着いたんだわ。退屈な日常にピリオドを打ち、全身にアドレナリンが流れる非日常的な世界へと足を踏み入れる女子大生たちの刹那的な青春を『スプリング・ブレイカーズ』はポエトリーに描く。  スプリング・ブレイカーズは知っている。地味で退屈な大学生活を終えれば、その後にはさらに窮屈な職場や家庭という監獄が待っていることを。それなら、せめて大学生の間に羽根を伸ばそう。春休みくらい弾けたっていいじゃない。卒業後には上司のセクハラに耐える健気なOL、子育てに忙殺される貞淑な妻になるんだから。スプリング・ブレイカーズの正装&戦闘服は水着だ。地元のダイナーを叩いただけでは満足できず、ドラッグディーラーのエイリアン(ジェームズ・フランコ)と出会った彼女たちは悪の世界へと思いっきりダイブする。ビキニ姿に顔だけマスクで隠し、エイリアンと敵対するギャングに襲い掛かる。水着女子大生たちは最強で無敵だ。男たちが撃った銃弾はことごとく外れていく。怖いもの知らずの彼女たちは逆に躊躇することなく、銃をぶっ放していく。スプリング・ブレイカーズの暴れっぷりには、エイリアンも口あんぐりで見とれるしかない。
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危険な匂いをプンプンさせるドラッグの売人・エイリアン(ジェームズ・フランコ)がスプリング・ブレイカーズと合体。
 こんなイカレポンチな作品を撮り上げたのは、『ガンモ』(97)や『ミスター・ロンリー』(07)で知られるハーモニー・コリン監督。デビュー作『ガンモ』では天災被害で荒廃した町で暮らす少年たちが捕獲した猫をハンバーガーショップに卸しながらシンナー漬け生活を送る様子が描かれた。『ミスター・ロンリー』は自分ではない他人に生まれ変わろうとするマイケル・ジャクソンのそっくりさんがそっくりさんばっかり集まるユートピアへと赴く物語だった。『ミスター・ロンリー』で復帰するまで、しばらくホームレス同然の暮らしを送るなど、ハーモニー監督はいかにも現代の無頼派だ。商業映画のレールからも物語の枠組みにも縛られないハーモニー監督の作品に登場するキャラクターたちは、ハーモニー監督と同じように一般社会からはみ出してしまった者たちばかり。でも社会のルールに囚われないハーモニー作品のキャラクターたちは、自分たちが暮らす世界が地獄のように寒々とした荒野でも鼻歌を歌いながら飄々と生きていく。  本作で楽しげにスプリング・ブレイカーズを演じたのは、ジャスティン・ビーバーの“元カノ”として有名なセレーナ・ゴメス、ディズニー映画『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』(08)のヴェネッサ・ハジェンズ、『プリティ・リトル・ライアーズ』などTVドラマで活躍するアシュレイ・ベンソンら全米の人気アイドル女優たち。それにハーモニー監督の若妻レイチェル・コリンがおっぱいポロリ要員として投入されている。4人の中で誰がリーダー格かみたいな明確なキャラクター付けは劇中でされていない。そんなのどうだっていいじゃんってことらしい。4人のおっぱいが弾んで揺れて、観ている我々は官能と陶酔の世界へと引き込まれていく。
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演出中のハーモニー・コリン監督。「銃を持ったビキニ少女たち」というワンアイデアで映画を1本撮り切ってしまった天才だ。
 人間の脳みそで考えることはたかが知れている。それなら、おっぱいで考えてみたって、ええじゃないか。ええじゃないか。では、おっぱいで考えた結果、どーなったか? その結果が『スプリング・ブレイカーズ』だ。多分、この作品はDVD化されるのを待って自宅の小さなモニターで視聴するよりも、公開直後におっぱい目当てで集まった観客たちの欲望渦巻く劇場で大音響&大スクリーンで観たほうが数万倍楽しいはずだ。高尚なメッセージもなければ、ストーリー性も希薄、リアリティーは限りなくゼロ。極彩色の水着とエレクトロビートに彩られたビーチに、ただおっぱいと銃弾が飛び交うだけ。  序盤と終盤に、スプリング・ブレイカーズという名前のおっぱいがしゃべり掛けてくる。ここはすごく楽しいよ。いろんな人たちがいて、みんな優しくて、とってもフレンドリーなの。楽しいどころじゃないわ。ほんのちょっとだけ現実逃避するのってサイコー! 思い出の旅になりそうよ。 (文=長野辰次) springbreakers0main.jpg 『スプリング・ブレイカーズ』 監督・脚本/ハーモニー・コリン 音楽/スクリレックス、クリフ・マルティネス 出演/ジェームズ・フランコ、セレーナ・ゴメス、ヴァネッサ・ハジェンズ、アシュレイ・ベンソン、レイチェル・コリン、グッチ・メイン  配給:トランスフォーマー R15 6月15日(土)より渋谷シネマライズ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿バルト9、ワーナー・マイカル・シネマズ板橋、川崎チネチッタほか全国ロードショー (C)Spring Breakers, LLC  <http://www.springbreakers.jp> ◆『パンドラ映画館』過去記事はこちらから

幸せになるのが怖かった。スキャンダラス番長の懺悔録『ロマン・ポランスキー 初めての告白』

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1977年に起こした少女淫行事件を理由に、
スイスで軟禁状態となったロマン・ポランスキー監督。
スキャンダラスな生涯を赤裸々に振り返る。
 幸せになるのが怖かった。温かい家族に囲まれている自分が想像できなかった。不幸と長く付き合ってしまった人間は、いざ自分が幸せになるチャンスを手に入れても、怖じけづいてせっかくのチャンスを手放してしまう。ロマン・ポランスキー監督の半生は、あまりにも波瀾万丈すぎた。ユダヤ系ポーランド人であるポランスキーの少年時代、妊娠中だった母親はナチスの収容所送りとなり、そのまま帰ってこなかった。終戦後、再婚した父親とは疎遠になった。映画監督となったポランスキーは、ハリウッド進出作『ローズマリーの赤ちゃん』(68)で大成功を収めるが、最愛の妻シャロン・テートはカルト集団によって惨殺される。シャロンは妊娠8カ月だった。心のストッパーの壊れたポランスキーは13歳の少女との淫行事件を起こし、米国から欧州へと逃亡。『テス』(79)の主演女優ナスターシャ・キンスキーとの破局後、33歳年下の女優エマニュエル・セニエと結婚する。ようやく訪れたパリでの平穏な生活だったが、セニエが妊娠することをポランスキーは恐れた。せっかく積み重ねた幸せが、またジェンガのように壊れていくのではないか。天才監督は自分自身の主演する物語がハッピーエンドを迎えることに躊躇した。  2009年、チューリヒ映画祭で生涯功労賞を受賞することになったポランスキーはスイスへと向かうが、空港に到着した直後にスイス警察に拘束される。1977年に起こした少女淫行事件のことを米国司法が蒸し返してきたのだ。ポランスキーは刑務所に9カ月間拘留された後、保釈金450万ドルを支払って釈放されたが、その後もスイスにある別宅での軟禁状態を余儀なくされた。『ロマン・ポランスキー 初めての告白』は別宅からの外出を禁じられたポランスキーを取材撮影したドキュメンタリー作品だ。長年のビジネスパートナーであるアンドリュー・ブラウンズバーグが聞き手となり、ポランスキーが経験してきたスキャンダラスな事件の数々を自分の口で語らせている。『戦場のピアニスト』(02)さながらの決死の逃亡劇を体験した少年時代、『ローズマリーの赤ちゃん』が悪魔崇拝を題材にしたオカルト映画だったことからシャロン・テート事件の真犯人はポランスキーではないかと疑われたこと、少女淫行事件ではマスコミが騒いだことで被害者少女のその後の実生活まで暴かれたこと……。ポランスキーが過去の淫行事件を認め、被害者親子に謝罪の手紙を送ったことも明かされる。多分、脚本家がドラマ化しようとしたら「こんな荒唐無稽なストーリー、ありえないから」とお蔵入りされるだろう。
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『戦場のピアニスト』の撮影現場。少年期をゲットーで過ごした
ポランスキー監督の体験がそのまま投影された作品だ。
 ポランスキーは名監督であると同時に、非常に優れた俳優でもある。『チャイナタウン』(74)での狂気を目に宿した殺し屋役は絶品だった。本作ではカメラを前にして自分のこれまでの人生を振り返るが、まるで哀しみと憎しみの彼岸に立ったような淡々とした表情だ。自分の中に渦巻く業だとか宿命だとかを、自分なりに受け止める術を76歳となったポランスキーは身に付けたらしい。決して、遠い昔の出来事として記憶が薄れたわけではない。ゲットー(ユダヤ人強制居住区)時代に強制作業で紙袋を作らされた少年期の思い出を語るシーンでは、テーブルにあった紙を折り畳んで、そのとき作っていた紙袋を瞬く間に再現してみせる。顔は笑っているが、ポランスキーの体に染み付いた記憶はいつまでも消えることはない。収容所送りとなった母親との別れの瞬間、ポランスキー少年は泣くことが許されなかった。涙を流したら、自分や他の家族たちもユダヤ人であることが発覚してしまうからだ。それまで穏やかに話していたポランスキーだが、70年前に別れた母親のことを思い出して、大粒の涙を浮かべる。70年ものの涙はあまりにも苦い。  『フランティック』(88)の主演女優エマニュエル・セニエと一緒に暮らし始めるも、しばらくはセニエが妊娠すること、自分が父親になることを迷い続けた。実の母親も、「自分がもっとも輝いていた時期」と振り返る30代のときに結婚したシャロン・テートも妊娠中にポランスキーの前から消えていった。目の前の幸せと不幸な過去との間で、ポランスキーは揺れ動いた。自分が家族の真ん中に佇むことに戸惑いを感じていた。だが、ここでそれまで聞き手だったアンドリュー・ブラウンズバーグが面白い仮説を打ち出す。長い間、本当の家族と過ごす幸せを知らなかったポランスキーだが、映画の製作スタッフやキャストのみんなが彼にとっての家族だったのではないかと。ポランスキーのことを敬い、慕ってくれる仕事仲間たちがいたからこそ、今日のポランスキーがあるのではないかと。数々のトラブルに見舞われながらも、ポランスキーは決して映画製作を止めることはしなかった。ポランスキーの自宅に飾られた撮影現場の記念写真では大勢のキャストやスタッフに囲まれたポランスキーの笑顔があった。映画製作を通して、ポランスキーは“父親”になることをすでに経験していたのだ。
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2番目の妻となった女優シャロン・テート。
結婚の翌年、1969年にチャールズ・マンソン・ファミリーによって殺害される。
 ポランスキーはスイスでの軟禁中にユアン・マクレガー主演の政治ミステリー『ゴーストライター』(10)のポストプロダクションを済ませ、軽快なコメディ『おとなのけんか』(11)の製作準備を進めていく。それまでのポランスキーは恐怖、孤独、猜疑心を扱った作品が多かったが、『おとなのけんか』はジョディ・フォスターやケイト・ウィンスレットら大人の俳優たちが子ども同士のケンカを巡って大騒ぎするユーモアたっぷりな室内劇で、最高にシャレたエンディングが印象的だった。子どものために、親たちが真剣にケンカする。巨匠となったポランスキーにとっても、『おとなのけんか』の撮影は夢のように愉快な体験だったに違いない。 (文=長野辰次) RomanPolanskiAFilmMemoir04.jpg 『ロマン・ポランスキー 初めての告白』 製作/アンドリュー・ブラウンズバーグ 監督/ローラン・ブーズロー  配給/マーメイド・フィルム 6月1日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにて6週間限定ロードショー ※ニュープリント版『ローズマリーの赤ちゃん』(68)、デジタルリマスター版『水の中のナイフ』(62)、『反撥』(65)、『袋小路』(66)を同時上映。 (c)2011 ANAGRAM FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED. <http://mermaidfilms.co.jp/rp> ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第224回]原恵一監督の実写デビュー作『はじまりのみち』職も財産も失った男がリヤカーで運んだものは? [第223回]今、情熱大陸より熱いのは映画大国インドだ! 青春“ナマステ”コメディ『きっと、うまくいく』 [第222回]「劇的ビフォーアフター」と岩井ワールドが合体『建築学概論』で味わう“蛇の生殺し”感覚! [第221回]美しさを求めるあまり“怪物”と化した哀しい女『モンスター』の高岡早紀が見せた女の情念! [第220回]きうちかずひろvs. 三池崇史による“男の世界”!『藁の楯』に立ち込める濃厚なるVシネマの香り [第219回]19世紀末のロンドンで起きた“セックス革命”! 世界初の電動バイブ開発秘話『ヒステリア』 [第218回]ジャッキー先生が体を張って教えてくれたこと。最後のアクション大作『ライジング・ドラゴン』 [第217回]金髪美女への偏愛が傑作サイコホラーを生んだ!? 映画界最強のバディムービー『ヒッチコック』 [第216回]えっ、小泉麻耶が身障者専門のデリヘル嬢に!? “性”のバリアフリー化『暗闇から手をのばせ』 [第215回]サイエントロジーをモデルにした『ザ・マスター』人間は何かに依存しなくては生きていけない? [第214回]閉塞化した世界を笑い飛ばす、常識破りの怪作! メタメタおかしい底抜け脱線ホラー『キャビン』 [第213回]若松孝二監督が銀幕に遺した“高貴で穢れた楽園”芸能ものの血が騒ぐ男たちの饗宴『千年の愉楽』 [第212回]裏方スーパースター列伝、あの超絶技が蘇る!『セックスの向こう側 AV男優という生き方』 [第211回]いつもヘラヘラしていた変なヤツ『横道世之介』和製『フォレスト・ガンプ』を思わせる青春回顧録 [第210回]奥西死刑囚は“村社会”を守るための生贄にされた!? 名張毒ぶどう酒事件の闇に迫る再現ドラマ『約束』 [第209回]9.11テロの首謀者ビンラディン抹殺作戦の全貌! アメリカの夜明けは遠く『ゼロ・ダーク・サーティ』 [第208回]チェルノブイリ“立ち入り制限区域”で撮影敢行! オルガ・キュリレンコ主演の社会派作品『故郷よ』 [第207回]“明るい不登校児”のガラパゴスな団地ライフ! 中村義洋監督の箱庭映画『みなさん、さようなら』 [第206回]いつまでもバカやって、尻を追っかけていたい! ぬいぐるみの『テッド』は“永遠のエロ中学生” [第205回]石原慎太郎原作の異色ミステリー『青木ヶ原』ままならない人生の中で出会った恋人たちの行方 [第204回]陶酔と記憶の向こう岸にある世界に3Dで迫る! 松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ』 [第203回]あの低視聴率ドラマ『鈴木先生』が映画版に! “鈴木式教育メソッド”は世界を変えられるか? [第202回]“余命刑事”が家族の絆と細菌兵器を奪回する! 究極の時間制限サスペンス『ブラッド・ウェポン』 [第201回]年末は“女体盛り”パーティーで盛り上がろう! ジェダイの騎士も集う秘密の宴『SUSHI GIRL』 [第200回]もし“理想の恋人”が目の前に現われたどーする!?  情熱的で予測不能な彼女『ルビー・スパークス』 [第199回]“耳フェチ”には堪えられない青春官能ムービー!『耳をかく女』桜木梨奈の無印演技に癒やされたい [第198回]ハリウッドの頑固オヤジがたどり着いた好々爺の境地! イーストウッド、4年ぶりの主演作『人生の特等席』 [第197回]この“明るいヘンタイ”っぷりがいいんじゃない!? 会田誠のアートなエロス『駄作の中にだけ俺がいる』 [第196回]三池監督ならではの“いのちの授業”が始まる! サイコパス教師と過ごす恐怖の文化祭『悪の教典』 [第195回]“絶対的価値”を求める男たちの翔んでもロマン! 井筒監督の犯罪サスペンス『黄金を抱いて翔べ』 [第194回]禁断の蜜が溢れるSM世界『私の奴隷になりなさい』セクシーアイコン・壇蜜がすべてをさらけ出した! [第193回]“無意識の湖”に身を投じたユングと女性患者の行方──クローネンバーグの恋愛サスペンス『危険なメソッド』 [第192回]“お蔵入り映画”が人命救助を果たした!? 実話をベースにした大冒険ロマン『アルゴ』 [第191回]我が家に“食人族”がやって来た! 奇才ジャック・ケッチャムの異形世界『ザ・ウーマン』 [第190回] 裏切り&結託は当たり前。今の政界にそっくり! 極道たちのバトルロワイアル『アウトレイジ ビヨンド』 [第189回] これが全米を熱狂させた“USA版バトル・ロワイアル”! 殺人リアリティーショー『ハンガー・ゲーム』 [第188回]行き詰まった人生の扉を開く鍵は“銭湯”にあり? 内田けんじ監督のオリジナル作『鍵泥棒のメソッド』 [第187回]大家族の伝統料理から超手抜きレシピまで勢ぞろい! 台所から見えてくる中東の家庭事情『イラン式料理本』 [第186回]“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』 [第185回]障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』 [第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』 [第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』 [第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』 [第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』 [第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』 [第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』 [第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界 [第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』 [第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』 [第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』 [第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』 [第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! [第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』 [第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!! [第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! B級映画マニアの心を焦がす『王朝の陰謀』 [第168回]人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』 [第167回]行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』 [第166回]祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』 [第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史 [第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』 [第163回] 災害に備えた地下シェルターは必要? 心理ホラー『テイク・シェルター』 [第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン! [第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』 [第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』 [第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』 [第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』 [第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』 [第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』 [第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』 [第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』 [第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』 [第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』 [第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』 [第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決! 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[第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! 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原恵一監督の実写デビュー作『はじまりのみち』職も財産も失った男がリヤカーで運んだものは?

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松竹を辞めて、無職となった木下惠介こと木下正吉(加瀬亮)。
故郷の浜松に戻り、自分の原点を見つめ直していく。
 いつの間にか大人になってしまった、かつての少年たちの涙腺のツボをピンポイントで攻めてくる原恵一監督。『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(01)や『河童のクゥと夏休み』(07)を観て、顔面がぐしゃぐしゃになった大人たちは相当数いるに違いない。日々の雑務に追われて記憶の片隅へと追いやってしまった、少年期の大切な忘れ物を鮮やかに思い出させてくれる得難いアニメ監督だ。これまで実写映画さながらの細やかな演出が高く評価されてきたが、加瀬亮主演作『はじまりのみち』でついに実写デビューを果たした。原監督らしい派手さを排した、戦闘シーンのない静かな戦争映画となっている。  かねてより木下惠介作品のファンであることを公言してきた原監督の実写デビュー作は、若き日の木下惠介監督を主人公にしたノンフィクションドラマ。木下監督はデビュー作『花咲く港』(43)が山中貞雄賞を受賞し、『姿三四郎』(43)で同賞を分け合った黒澤明監督と共に日本映画のこれからを担う若手監督と目されていた。時局がら、木下監督は国策映画『陸軍』(44)を撮るが、田中絹代演じる母親が出征する息子を涙ながらに見送るラストシーンが「国威発揚映画にふさわしくない」と情報局から睨まれてしまう。このため準備を進めていた新作は撮影中止に。上司の城戸四郎がなだめるのを振り切って、木下監督は辞表を出して故郷・浜松に向かう。だが、終戦間際となった翌夏、木下監督は再び撮影所へと戻ってくる。映画界を離れた空白の数カ月、木下監督の身に何が起きたのか? 『二十四の瞳』(54)、『喜びも悲しみも幾歳月』(57)などの大ヒット作を放ち、戦後の日本映画を代表する巨匠となっていく木下監督の内面の変化を、実写映画化することで探ってみようという試みだ。
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兄の敏三(ユースケ・サンタマリア)と共に、母・たま(田中裕子)を
山奥へと疎開させる。正吉にとって生涯忘れられない夏休みに。
 狭き門である松竹に入社し、念願の映画監督に就いたものの、外部からクレームが付けられ、あっさり退職してしまった木下惠介こと本名・木下正吉(加瀬亮)。映画の世界を離れた正吉にとっての最大の懸案事項は、脳溢血で寝たきり状態になっていた母・たま(田中裕子)を安全な場所へ疎開させることだった。戦局は思わしくなく、東京だけでなく浜松も空襲に遭い、身動きのとれない母を山間部の気田まで運ぶことにする。だが、脳に障害を抱える母を長時間揺られるバスに乗せるわけにはいかない。そこで正吉はリヤカーに母を載せ、約60kmの道程を人力で運ぶことを思い付く。兄の敏三(ユースケ・サンタマリア)と2人掛かりで、荷物は便利屋(濱田岳)に任せるとはいえ、延々と続く坂道をしかも炎天下の中を進んでいくのは無謀というもの。いつ敵襲に遭うかも分からない。周囲が反対するのをスルーして、正吉は母を載せたリヤカーをずんずんと引き始める。  『はじまりのみち』は男たちが汗だくでリヤカーをひたすら引っぱり続ける、シンプルすぎるほどシンプルなロードムービーだ。他人の言葉に耳を貸さない正吉。兄の敏三は弟の性格を知っており、余計な口は挟まない。母・たまは黙ってリヤカーの上で横たわっている。便利屋は最初こそ減らず口を叩いていたが、道が険しくなるにつれて口数が減っていく。みんな黙々と坂道を進んでいく。このときの正吉がリヤカーに載せて引っ張っていたものは、病気を患った母だけではなかった。大好きだった映画が思うように撮れなくなったことへの苛立ちや悔しさ、東京の住まいだけでなく浜松の実家まで空襲に遭い、財産を失ってしまった不安や恐怖も一緒に引き摺っていた。母親を載せた以上の重さを、正吉はずしりと感じていた。  夏の陽射しに照らされ、土砂降りの雨にも見舞われ、舗装されていない坂道をリヤカーで一歩一歩進む行為は、肉体的には堪らない苦痛だったはず。だが、正吉にとっては最愛の母と濃密な時間が過ごせる至福の体験でもあった。働き者だった母・たまは、中学生になったばかりの正吉にカメラを買い与えるなど、感受性豊かな正吉の才能を育んでくれた良き理解者だった。戦局は日に日に悪化していく。母の病状が回復する見込みも少ない。でも、正吉はヘトヘトになりながらも、掛け替えのない幸せを味わっていた。正吉が感じる重さは、母・たまが自分を産んで育ててくれたことの苦労や愛情と繋がっているように思えたからだ。正吉の目に映るのは、緑に溢れた田舎の風景だけで、日本が米国や中国を相手に戦争をしていることもしばし忘れさせてくれる。喜びと苦痛がせめぎあう中、正吉はふと気づく。このリヤカーの重みは、自分ひとりが感じているものじゃないと。運ばれている母も同じように感じている。そして、みんな誰もが負っているものなんだと。
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お調子者の便利屋(濱田岳)と一本気な性格の正吉はウマが合わない。
それでも便利屋は「仕事がなければ、うちで働けよ」と正吉を気遣う。
 約30年間にわたってアニメ作品を手掛けてきた原監督だが、初の実写作品となった本作で印象的なシーンを撮っている。夜中からリヤカーを引いてきた男たちは、坂道の途中で休憩しながら自分が食べたいものを夢想する。長引く戦争の影響で食料が不足している。食い意地の張った便利屋役の濱田岳は、地元名産のシラスの天ぷらが食べたいと言う。揚げたての熱々のシラスの天ぷらは、キンキンに冷えたビールにぴったりだ。シラスの滋味とビールの苦みが心地よく口の中に広がる。この様子を濱田はパントマイムで実に美味しそうに演じてみせる。ここらへんの肉体表現は、アニメーションではなかなか難しいところだろう。もうひとつは田中裕子の見せ場。一行はようやく旅館に到着するが、口の利けない母・たまはリヤカーの中で泥まみれ、埃まみれになっていた。そのことに気づいた正吉は、旅館に上がる前の母の顔を濡れた手ぬぐいで丁寧に拭く。それまでの病人顔だった母が、凛としたひとりの婦人の顔へと変貌する。台詞らしい台詞が与えられなかった田中裕子が、演技派としての実力を発揮してみせた瞬間だ。生身の俳優たちを演出する楽しさを原監督は堪能したに違いない。  戦争のさなか、職を手放し、財産も失った木下正吉だが、リヤカーを引き続けた2日間で自分にとって大切なものは何かを見つめ直す。この直後、焼け野原状態の東京に戻り、映画製作を再び始める。米軍による占領期に撮影された『お嬢さんに乾杯』(49)は戦後版『モテキ』と称したくなる抜群にシャレたラブコメディだ。日本初のカラー映画として製作された大ヒット作『カルメン故郷に帰る』(51)は跳ねっ返りの純情ストリッパー、リリー・カルメンが田舎に帰省して大騒ぎを起こすというもので、山田洋次監督の『男はつらいよ』(69)の原型となった。松竹を離れた後は黎明期のテレビ界に拠点を移し、良質のホームドラマを次々とプロデュースした。映画界とテレビの世界を股に掛けて多彩な作品を手掛けた木下監督は、戦時中の何もないビンボー時代に戻ってもヘッチャラだよという気構えが強みだった。母親を載せたリヤカーを引っぱった体験が、巨匠にとっての揺るぎない“基準点”だった。道に迷えば、そこに戻ればいい。基準点さえ見失わければ、自分の居場所を見失うことはないと。  市井の人々の愛すべき日常生活を描き続ける原恵一監督にとって、“木下惠介”という存在が基準点なのだろう。『河童のクゥと夏休み』や『カラフル』(10)でアニメ表現を極めた感のある原監督だが、尊敬する木下監督が道に迷った頃のエピソードを実写化するという冒険を経験し、多くの刺激を受けたはずだ。アニメの世界へと帰還するのか、それともさらに実写作品に挑むのか。いずれにしろ自分の基準点を見つめ直した原監督が、これからどんな作品に取り組むのか興味深い。そして、原監督の実写デビュー作『はじまりのみち』は、見終わった後にこんなことを感じさせる。自分にとっての基準点は一体何だろうかと。迷い込んだ森の中で、しばし地図を広げてみる。 (文=長野辰次) hajimarinomichi04.jpg 『はじまりのみち』 監督・脚本/原恵一 出演/加瀬亮、田中裕子、濱田岳、ユースケ・サンタマリア、斉木しげる、光石研、濱田マリ、山下リオ、藤村聖子、松岡茉優、相楽樹、大杉漣 ナレーション/宮﨑あおい  配給/松竹 6月1日(土)より東劇、MOVIXさいたま ほか全国ロードショー (C)2013「はじまりのみち」製作委員会 <http://www.shochiku.co.jp/kinoshita/hajimarinomichi/> ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第223回]今、情熱大陸より熱いのは映画大国インドだ! 青春“ナマステ”コメディ『きっと、うまくいく』 [第222回]「劇的ビフォーアフター」と岩井ワールドが合体『建築学概論』で味わう“蛇の生殺し”感覚! [第221回]美しさを求めるあまり“怪物”と化した哀しい女『モンスター』の高岡早紀が見せた女の情念! [第220回]きうちかずひろvs. 三池崇史による“男の世界”!『藁の楯』に立ち込める濃厚なるVシネマの香り [第219回]19世紀末のロンドンで起きた“セックス革命”! 世界初の電動バイブ開発秘話『ヒステリア』 [第218回]ジャッキー先生が体を張って教えてくれたこと。最後のアクション大作『ライジング・ドラゴン』 [第217回]金髪美女への偏愛が傑作サイコホラーを生んだ!? 映画界最強のバディムービー『ヒッチコック』 [第216回]えっ、小泉麻耶が身障者専門のデリヘル嬢に!? “性”のバリアフリー化『暗闇から手をのばせ』 [第215回]サイエントロジーをモデルにした『ザ・マスター』人間は何かに依存しなくては生きていけない? [第214回]閉塞化した世界を笑い飛ばす、常識破りの怪作! メタメタおかしい底抜け脱線ホラー『キャビン』 [第213回]若松孝二監督が銀幕に遺した“高貴で穢れた楽園”芸能ものの血が騒ぐ男たちの饗宴『千年の愉楽』 [第212回]裏方スーパースター列伝、あの超絶技が蘇る!『セックスの向こう側 AV男優という生き方』 [第211回]いつもヘラヘラしていた変なヤツ『横道世之介』和製『フォレスト・ガンプ』を思わせる青春回顧録 [第210回]奥西死刑囚は“村社会”を守るための生贄にされた!? 名張毒ぶどう酒事件の闇に迫る再現ドラマ『約束』 [第209回]9.11テロの首謀者ビンラディン抹殺作戦の全貌! アメリカの夜明けは遠く『ゼロ・ダーク・サーティ』 [第208回]チェルノブイリ“立ち入り制限区域”で撮影敢行! オルガ・キュリレンコ主演の社会派作品『故郷よ』 [第207回]“明るい不登校児”のガラパゴスな団地ライフ! 中村義洋監督の箱庭映画『みなさん、さようなら』 [第206回]いつまでもバカやって、尻を追っかけていたい! ぬいぐるみの『テッド』は“永遠のエロ中学生” [第205回]石原慎太郎原作の異色ミステリー『青木ヶ原』ままならない人生の中で出会った恋人たちの行方 [第204回]陶酔と記憶の向こう岸にある世界に3Dで迫る! 松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ』 [第203回]あの低視聴率ドラマ『鈴木先生』が映画版に! “鈴木式教育メソッド”は世界を変えられるか? [第202回]“余命刑事”が家族の絆と細菌兵器を奪回する! 究極の時間制限サスペンス『ブラッド・ウェポン』 [第201回]年末は“女体盛り”パーティーで盛り上がろう! ジェダイの騎士も集う秘密の宴『SUSHI GIRL』 [第200回]もし“理想の恋人”が目の前に現われたどーする!?  情熱的で予測不能な彼女『ルビー・スパークス』 [第199回]“耳フェチ”には堪えられない青春官能ムービー!『耳をかく女』桜木梨奈の無印演技に癒やされたい [第198回]ハリウッドの頑固オヤジがたどり着いた好々爺の境地! イーストウッド、4年ぶりの主演作『人生の特等席』 [第197回]この“明るいヘンタイ”っぷりがいいんじゃない!? 会田誠のアートなエロス『駄作の中にだけ俺がいる』 [第196回]三池監督ならではの“いのちの授業”が始まる! サイコパス教師と過ごす恐怖の文化祭『悪の教典』 [第195回]“絶対的価値”を求める男たちの翔んでもロマン! 井筒監督の犯罪サスペンス『黄金を抱いて翔べ』 [第194回]禁断の蜜が溢れるSM世界『私の奴隷になりなさい』セクシーアイコン・壇蜜がすべてをさらけ出した! 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今、情熱大陸より熱いのは映画大国インドだ! 青春“ナマステ”コメディ『きっと、うまくいく』

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学歴偏重社会に疑問を投げ掛けたインド映画『きっと、うまくいく』。
インドだけでなく、受験競争の厳しい中国、台湾、韓国などアジア各国でヒットした。
 人口12億人を抱え、ヒンドゥー教、イスラム教、仏教と様々な宗教に、ヒンディー語、タミル語、テルグ語、カンナダ語……と30以上の言語が飛び交うインドは、まさにスパイシーカレーのような複雑な味わいを持つ国だ。近年はIT産業を中心にした経済成長が目覚ましく、ムンバイをはじめとする大都市は超イケイケモード。年間1200本以上の製作本数を誇る世界一の映画大国としても知られ、2012年の製作本数は実に1600本にまで膨れ上がっている。そんな世界でもっともホットな国インドの現状をリアルに伝えてくれるのが、インド映画歴代興収1位の大ヒットとなった『きっと、うまくいく』。歌って踊って恋をして、という従来のインド映画ならではのエンターテイメント性はそのままに、経済成長が進んだことでインド社会に大きな歪みが生じていることに言及した社会派コメディとなっている。  インド映画というと、日本で1998年に公開された『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)やSFX大作『ロボット』(10)の主演俳優ラジニカーントの濃い~オッサン顔が思い浮かぶが、実はラジニさんはタミル語圏のスターであって、“ボリウッド”と呼ばれるインド映画のメインストリームとはちと異なる存在。例えていうなら、吉幾三の歌謡ショーをたまたま観た外国人が「ジャパニーズエンターテイメント、最高デ~ス!」と大はしゃぎしているようなものだったらしい。「俺ら東京さ行ぐだ」もいいけど、インド映画の主流、ボリウッドの勢いを感じさせてくれるのが、公用語であるヒンディー語で製作された『きっと、うまくいく』なんですよ。
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インドの工科大学が舞台。インド映画なので、主人公たちはキャンパスで歌って踊り出す。
さぁ、みなさんご一緒に「うまーく、いーく♪」。
 『きっと、うまくいく』の舞台はインドの誇る超名門工科大学。IT立国インドの将来を支えるエリートエンジニアの卵たちが、一流企業への就職を目指して競い合っている。新年度を迎えた学生寮では、インド各地から選抜された新入生たちが先輩たちの手荒い洗礼を浴びようとしていた。そこへ呑気に遅れて現われたのがランチョー(アーミル・カーン)。「お前もさっさとズボンを脱げ」と理不尽に命じる先輩を、理工系ならではの電光石火の機転で見事に撃チンしてみせる。序盤から下ネタでのスタートだ。学生たちから一目置かれるようになったランチョーは、続いて学長にも噛み付く。テキストの内容を丸暗記して、試験でいい成績を残すことがそんなに重要なの? ランチョーと寮で相部屋となったファルハーン(R・マーダヴァン)とラージュー(シャルマン・ジョーシー)まで学長から睨まれる。でも、本宮ひろ志の漫画の主人公のように人間としてのスケールのデカいランチョーと一緒にいると毎日が刺激的で冒険の連続だ。かくしてランチョー、ファルハーン、ラージューは工科大名物の「3バカ」として試験勉強や就職活動に取り組むことに。  勉強に追われる理工系大学生たちの青春を恋愛エピソードも絡めながらイキイキと描いた本作だが、いつも能天気なランチョーはキャンパス内である事件に直面する。インドの大学生たちの間で多発している自殺問題だ。学歴社会を勝ち抜いたエリートたちがインドの経済成長を牽引しているわけだが、一方では競争から弾き出され、みずから命を断つ学生たちが相次いでいる。留年を苦にした学友の自殺現場に遭遇し、何のために自分たちは勉強しているのか、レースに勝ち抜くことが本当に幸せなのか、3バカは改めて考えずにはいられない。  インド映画に詳しいアジア映画研究家の松岡環さんに、『きっと、うまくいく』で描かれているインドの社会背景について聞いてみた。
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合理主義者のランチョー(アーミル・カーン)だが、恋愛は別。
運命の相手と出会ったときは、風がなびき、月が大きく輝くと信じている。
松岡「1990年代以降、インドは急激な経済成長を果たし、都市生活者のライフスタイルは大きく変化しました。でも富裕層が増えた一方、社会格差が大きくなったという側面があるんです。かつてインドではカースト制度が大きな問題となっていましたが、今は貧富の差が新しい差別として深刻な問題になっています。そのため裕福ではない家庭の学生は、『いい大学に入って、いい企業に就職してほしい』という親からの期待が非常に大きく、そのことをプレッシャーに感じている学生が少なくないんです。近年のインドでは、若者の自殺の増加が社会問題になっています」  “カースト制度”をめぐる問題も大学で巻き起こったそうだ。 松岡「1950年に憲法でカースト差別が禁止され、都市部ではカーストが表面化することは少なくなりましたが、今でも職業などにカースト制度の名残があるのは確かです。教育を受ける機会に恵まれなかったカースト下位の人たちを大学や役所で受け入れる特別枠を設けるよう政府が決めたときは、これに抗議するカースト上位の大学生たちの自殺が相次ぎ、大変な騒ぎになりました。自分たちは懸命に受験勉強をして大学に入ったのに、成績が悪くても入学や就職ができる制度が導入されることに抵抗を示したわけです。また、カースト下位であることをカミングアウトしなくては特別枠に入れないことから“逆差別”との批判も起きました」  IT化が進み、都市生活者はすっかり洗練されたライフスタイルを享受するようになったが、自殺などの事件をきっかけに社会の歪みに溜まっていた膿が一気にドロッと噴き出すようだ。  また、松岡さんによると、動物好きなファルハーンに大学卒業後はエンジニアになることを厳命する父親がいる一家はイスラム教徒、ビンボーでいつも神様に頼ってばかりいるラージューの一家はヒンドゥー教徒という設定だそうだ。イスラム教徒とヒンドゥー教徒の間では度々宗教抗争が起きているが、『きっと、うまくいく』ではランチョーを介してファルハーンとラージューは無二の親友となっていく。ここらへんも、インド人にはウルッとくる展開らしい。コメディというスタイルの中で現在のインド社会が抱える問題点を巧みに料理しているところが、従来の勧善懲悪ものが中心だったインド映画のパターンとは異なる点だろう。  本作はインド国内で歴代興収第1位の大ヒットになっただけでなく、世界40カ国ですでに公開され、好成績を収めた。インドの3バカが心の中で感じている「有名校に合格して、有名企業に勤めることが、本当の幸せなの?」という疑問は、世界じゅうの若者たちが感じている疑問でもある。そして、『きっと、うまくいく』はその答えを探しにいく物語でもある。大学を出て、それぞれの道を歩み出した伝説の3バカが再び一緒になったとき、その回答がようやく見つかる。それはランチョーひとりでは正解を導くことができなかった生きた方程式だった。 (文=長野辰次) kittoumakuiku04.jpg 『きっと、うまくいく』 監督/ラージクマール・ヒラニ 字幕/松岡環 字幕監修/いとうせいこう  出演/アーミル・カーン、カリーナ・カブール、R・マーダヴァン、シャルマン・ジョーシー、ボーマン・イラニ、オーミ・ヴァイディヤ  配給/日活 5月18日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国公開 <http://bollywood-4.com> (c)Vinod Chopra Films Pvt Ltd 2009. All rights reserved ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第222回]「劇的ビフォーアフター」と岩井ワールドが合体『建築学概論』で味わう“蛇の生殺し”感覚! [第221回]美しさを求めるあまり“怪物”と化した哀しい女『モンスター』の高岡早紀が見せた女の情念! [第220回]きうちかずひろvs. 三池崇史による“男の世界”!『藁の楯』に立ち込める濃厚なるVシネマの香り [第219回]19世紀末のロンドンで起きた“セックス革命”! 世界初の電動バイブ開発秘話『ヒステリア』 [第218回]ジャッキー先生が体を張って教えてくれたこと。最後のアクション大作『ライジング・ドラゴン』 [第217回]金髪美女への偏愛が傑作サイコホラーを生んだ!? 映画界最強のバディムービー『ヒッチコック』 [第216回]えっ、小泉麻耶が身障者専門のデリヘル嬢に!? “性”のバリアフリー化『暗闇から手をのばせ』 [第215回]サイエントロジーをモデルにした『ザ・マスター』人間は何かに依存しなくては生きていけない? 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[第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! 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「劇的ビフォーアフター」と岩井ワールドが合体『建築学概論』で味わう“蛇の生殺し”感覚!

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『建築学概論』でヒロインの大学1年生時を演じたスジ。
あらゆる男性を初恋に悶え苦しんだ郷愁の時代へ誘う“人間タイムマシン”だ。
 史上最高の美女は果たして誰か? クレオパトラ、エリザベート、グレース・ケリー、それとも壇蜜? いやいや、どんな美女も敵わない無敵の美女は他にいる。自分の思い出の中に閉じ込めてある初恋の女性に勝る美女はいないだろう。記憶というフィルターが掛かっている分、美しさが数倍アップし、その甘美な魅力はいつまでも色褪せることがない。初めて自分の体じゅうにアドレナリンを駆け巡らせた女性は、それだけ特別な存在だ。彼女持ちや妻帯者たちの多くが初恋の女の子に関する記憶を収集した“思い出の小部屋”を脳内に設け、厳重に鍵を掛けて他の女性が立ち入れないようにしている。だが、そんな秘密の扉のロックを簡単に解錠してしまう映画が現われた。韓国映画『建築学概論』がそれだ。映画を観ているうちに、自分自身が物語の主人公となり、ヒロインに自分の初恋の相手の面影を重ね合わせていることに気づく。自分だけのものだったはずの初恋の思い出がスクリーンに次々と大きく映し出されていることに驚く。  『建築学概論』は韓国で2012年に公開され、400万人以上を動員した大ヒット作。男性客のリピーターが続出し、初恋ブームなるものが起きたそうだ。主人公は30代半ばの建築士のスンミン(オム・テウン)。仕事は熱心だが、会社の業績には貢献できずにいる売れっ子建築家には程遠いタイプ。そんなスンミンの前に、謎の美女ソヨン(ハン・ガイン)が現われ、済州島にある実家を取り壊すことになったので新築する家の設計をお願いしたいと頼む。スンミンは新居の建築プランについて打ち合わせを重ねるうちに、大学1年生のときに建築学を学び始めたことを思い出していく。その頃、一緒に建築学概論の授業を受けていた女の子の存在が、スンミンの記憶の底から鮮やかに蘇ってきた。依頼主のソヨンこそ、大学生だったスンミンが狂おしいまでに想い続けていた初恋の女性だったのだ。その初恋の相手が15年ぶりに自分を訪ね、しかも学生時代より洗練された大人の女性となっているではないか。こりゃ、たまらん設定だッ。
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大学時代のスンミン(イ・ジェフン)とソヨン(スジ)。
童貞男子にとっては指切りの内容以上に憧れの女の子との肉体接触がうれしい。
 大人になったソヨンと打ち合わせを進めることで、スンミンの中で封印されていた思い出が次々とフラッシュバックしていく。現代と学生時代の2つのストーリーが絡まっていくという展開は、韓国でも爆発的な人気を呼んだ岩井俊二監督の往年のヒット作『Love Letter』(95)を彷彿させる。でもって、建築士となった主人公が依頼人の要望を取り入れながら家を建て直していく展開は「大改造!!劇的ビフォーアフター」(テレビ朝日系)を思わせるもの。ヒロインの思い出が刻まれた古い柱やセメントの足洗い場を残して、オシャレにリノベーションしていくところが心憎い。イ・ヨンジュ監督自身が建築士でもあるそうだ。15年の歳月を経て、スンミンとソヨンの恋愛もリノベーションできるのだろうか?  本作の何が素晴らしいかって、ヒロインの大学1年生時を演じたスジの初々しさに尽きるでしょ。スジはK-POPグループ「Miss A」のメンバーで、本作が映画デビュー作。済州島出身で、ソウルでひとり暮らしを始めたばかりという垢抜けない感じがサイコー。建築学概論の授業に飛び込んできたスジの登場によって、観客は一気にノスタルジックな世界に引き込まれるわけですよ。男が胸の奥に隠し持っているタイムマシンのスイッチを自動的にオンにしてしまう不思議な魅力の持ち主なのだ。帰り道が一緒で話し掛けようとするけれど、タイミングがつかめず挙動不審男になってしまう同じく大学1年生のスンミン(イ・ジェフン)。地方から上京したばかりのソヨンに常にマウントポジションをキープされ続ける、絵に描いたような童貞くんだ。音楽学科からの受講生であるソヨンは、男ばっかりの理工系キャンパスではあまりにも眩しすぎる。到底、スンミンの口から「俺と付き合ってくれ」とは言い出せない。それでもレポート課題を一緒に調べていくうちに、次第に距離が縮まっていく。同じイヤホンでCDウォークマンを一緒に聴いたり、夜中に酔っぱらってデカい声で彼女の名前を叫んだり、他の男子学生と仲良く話しているのを目撃して嫉妬の炎をメラメラ燃やしたり……。誰もが経験した童貞時代のあのモヤモヤした“蛇の生殺し”感覚が生々しくスクリーンで再現されていくわけですよ。どうやら“はづかしい恋”が記憶の中で純化され、“はつ恋”へと変わっていくものらしい。
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こちらは大人になったスンミン(オム・テウン)とソヨン(ハン・ガイン)。
学生時代のあの感情は、スンミンの片想いだったのかそれとも……。
 学生時代をノスタルジックに描いた韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』(11)が女たちの友情物語だったのに対し、『建築学概論』は完全に男目線によるストーリー。ようやく改築工事を終えた主人公たちの行動は、「えっ、それでいいの?」と思わずにはいられない。学生時代の主人公をさんざん振り回したヒロインを思い出の中に閉じ込めてやろうという、見方によってはかなり残酷な仕打ちにも感じられる。本作を10年ごしで完成させたイ・ヨンジュ監督自身がずいぶん初恋をこじらせたクチではないだろうか。自分自身の長く続いた“蛇の生殺し”体験にケリをつけたくて本作を撮ったんじゃないですかね。  『建築学概論』はある意味、男の身勝手さ、甘さ、バカさ加減を徹底的に美化して描いた作品だ。鈍感で設計図を引くこと以外に取り柄はなさそうなスンミンだが、そんな彼が曲がりなりにも建築士になれたのは初恋の女性・ソヨンとの出会いが大きかった。初恋の女性の唇からこぼれる言葉の数々は、男の一生をいとも簡単に左右してしまう。記憶の中で生き続ける初恋の女性は、男にとって永遠の聖女であるのと同時に魔性の女でもある。うかつに“思い出の小部屋”の鍵を開けることは気をつけたほうがいい。 (文=長野辰次) kenchikugakugairon4.jpg 『建築学概論』 監督・脚本/イ・ヨンジュ 出演/オム・テウン、ハン・ガイン、イ・ジュフン、スジ、チョ・ジョンソク 配給/アット エンタテインメント 5月18日(土)より新宿武蔵野館ほかにて全国順次ロードショー  (c)2012 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved <http://www.kenchikumovie.com> ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第221回]美しさを求めるあまり“怪物”と化した哀しい女『モンスター』の高岡早紀が見せた女の情念! 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