大みそかの視聴率が7.3%だと報じられた新格闘技イベントの『RIZIN』だが、これはもっとも高かった第2部(20時45分~22時30分)の数字。実際には19時からの第1部が5.0%で、22時30分からの第3部が3.7%、全体平均では5%台だったというのが正しいだろう。 放送したフジテレビは大みそかの視聴率が惨敗続きで、近年は2~4%台だったため、これに比べたら躍進ということになるが、同局の関係者に言わせれば「費用対効果はよくない」と否定的だ。 「スポーツ興行は放映権料が高く、中継車を出さなければならないから、経費の大きいシロモノ。昨年はたしかに数字が低かったですが、21時までの『フェイス・オブ2014』は4.0%でも、タレントによるスタジオトークとVTR素材主体で、ゴーストライター騒動の音楽家、新垣隆さんを生演奏で呼んだ程度の安上がりな作り。21時からはアニメ映画『ワンピース』(3.3%)で、そもそも番組作り自体をしていないので、数字が悪くても損失は小さかった。金のかかる『RIZIN』はよほどのビッグカードが並ばない限り、次の大みそかに放送するとしても、今回のような大がかりな規模にするのは難しそう」(同) 『RIZIN』の放送に携わった関係者の間でショックだったのは、もうひとつ、29日の方だ。こちらは19時から井上尚弥らがKO勝利を飾ったプロボクシング世界戦を放送し、21時から『RIZIN』を放送。ほぼ2時間ずつの構成だったが、ボクシングが7.2%だったところ、『RIZIN』は6.4%と数字を落とした。同時間帯は前年度、フィギュアスケートが7.3%で、音楽番組の『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』が10.9%、これと比較すれば『RIZIN』の数字が芳しくなかったというのは否定できない。 その原因は、格闘技人気自体の低下だ。『RIZIN』は興行的にも観戦チケットがダブつき、主催者が急きょ座席を減らして安い席の購入者を前方に振り替えたほど大苦戦。特に29日の集客には苦労し、見た目にも空席だらけで会場の半分ほどしか埋まっていなかったのだ。格闘技ライターからもこんな話が聞かれる。 「同業の格闘技マスコミは自分たちの食い扶持になるので必死に盛り上がったことを強調していて、格闘技マニアも同調しているんですけど、目玉が引退して何年もブランクのあったエメリヤーエンコ・ヒョードルや桜庭和志、格闘技戦から遠ざかっていた曙とボブ・サップだったというのは、今後の継続性に不安を残します。総合格闘技イベントのはずが、主要選手の多くはアメリカのUFCを目指していてマッチメイクに苦労したあげく、K-1ルール採用など他競技の試合を入れた結果、コンセプトがぐちゃぐちゃになっていた。これでは将来性がない」 ほか、元大相撲の把瑠都がデビュー戦を行ったが、予定していた相手のジェロム・レ・バンナに契約トラブルでドタキャンされたのは「ギャラに不満があったようだ」と同ライター。 「把瑠都の引き立て役は明らかだったので“負け代”としての上乗せを求めたところ、応じてもらえなかったらしいです。PRIDE時代ならギャラを上乗せしてでも強引に呼んでいたので、思ったほどチケットが売れなかったことも影響したのでは」(同) 結局、対戦相手は把瑠都の打撃コーチとして来日していたピーター・アーツを担ぎ出したが、引退の身で総合格闘技の選手ですらないアーツに、把瑠都は体ごと押し込むばかりで、UFCなどで見られるシャープな攻防にはとても及ばない不細工な内容に終わった。 大みそかの放送はTBSが放送したプロボクシングとスポーツバラエティの『KYOKUGEN』が1部8.8%、2部7.7%、3部9.0%、4部4.6%で、平均すればフジより上。特に3部は魔裟斗と山本KIDのエキシビションマッチであったにもかかわらず、真剣勝負の『RIZIN』がこれに敗れてしまった。 前身団体のPRIDEは暴力団との関係が表になりフジは中継から撤退しているが、今回はそのほぼ同じ運営者で『RIZIN』を復活させており、一部からは倫理的な問題の指摘もされているが、それより辛いのが如実に示された格闘技人気の衰退だった。 前出のフジ関係者も「5~6%の数字はとっても8~10%とることはまずないというのが格闘技中継の現実。今年の大みそかに放送するというなら、少なくとも予算枠は縮小することになりそう」と話している。 (文=ハイセーヤスダ) ■今夜、前田日明が生放送で「RIZIN」を斬る! そして格闘界の未来は…… ニコニコ生放送「月刊リングス 新年特大号」 http://live.nicovideo.jp/gate/lv248073187 1月12日(火)21時~放送スタートRIZIN公式サイトより
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当然の結果? “格闘技復活”はならず……振るわなかった『NHK紅白歌合戦』の裏番組は潰し合い
昨年大みそかに放送された『第66回NHK紅白歌合戦』の視聴率は第1部(午後7時15分~8時55分)が34.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、前年より0.3ポイントダウン。第2部(午後9時~11時45分)は39.2%(前年は42.2%)で、07年(39.5%)以来、8年ぶりに40%台を割り、89年に2部制となって以降、史上最低となった。歌手別では、午後9時54分の43.4%が最高で、AKB48が歌い終えて、EXILEが歌い始める場面だった。 視聴率データが残っている62年以降、1部制だった88年までは50%を切ったことはなく、15年は事実上、過去最低視聴率といって間違いない。 1月4日、NHK・籾井勝人会長は職員向けの念頭あいさつで、その件に触れ、「私自身は視聴率が間違っているんじゃないかと思うくらい、(番組内容が)よかった」と評した。非常事態にもかかわらず、なんとものんきな発言だ。 そんな中、『紅白』の裏の民放はどうだったかというと、大方の予想通り、やはり日本テレビ系『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 大晦日年越しスペシャル 絶対に笑ってはいけない名探偵24時!』が強く、第1部(午後6時30分~9時)が17.8%、第2部(9時~深夜0時30分)が15.3%で、6年連続トップ。ただ、前年と比較すると、第1部で0.9ポイント、第2部で0.7ポイントの微減だった。 5年目となったTBS系『史上最大の限界バトル KYOKUGEN 2015』は、第1部(午後6時~7時)が8.8%。ボクシングの井岡一翔、高山勝成の2大世界戦をオンエアした第2部(7時~10時)は7.7%。魔裟斗の6年ぶりの復帰戦を中継した第3部(10時~10時52分)が9.0%。試合後のインタビューやエンディングを織り込んだ第4部(10時52分~11時35分)は4.6%だった。 今年も民放2位はキープしたが、2年連続で1ケタ台。井岡の試合は13年大みそかには14.5%の好視聴率を取ったが、他局に食われて7%台と低迷した。 民放3位はテレビ朝日系の『くりぃむVS林修! 年越しクイズサバイバー2015』。第1部(午後6時~7時)=10.0%、第2部(7時~9時)=7.0%、第3部(9時~11時45分)=5.6%、第4部(11時45分~深夜1時)=7.3%で、第3部以外の時間帯は前年より微増。ただ、第3部はTBS、フジテレビを下回った。 『紅白』の裏で、最下位が続いていたフジは、05年の『PRIDE 男祭り 2005 頂-ITADAKI-』以来、10年ぶりに格闘技イベント『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND PRIX~IZAの舞』を中継。第1部(午後7時~8時45分)=5.0%、第2部(8時45分~10時30分)=7.3%、第3部(10時30分~11時45分)=3.7%で、民放4位に浮上した。 14年は、『THE FACE OF 2014 世界が選ぶ今年の顔!アワード』(午後6時~9時)が4.0%、『ワンピース エピソードオブチョッパー+冬に咲く、奇跡の桜』(9時~11時)が3.3%、『2014→2015 ツキたい人グランプリ~ゆく年つく年~』(11時~深夜2時)が2.5%で、オール「5下」であったため、第2部の7.3%は近年のフジとしては、がんばった方といえる。ただ、“格闘技対決”では、TBSの井岡戦、魔裟斗戦に敗れた。 主力カードが曙vsボブ・サップ、バルト(元大関・把瑠都)vsピーター・アーツ、山本アーセンvsクロン・グレイシー、エメリヤーエンコ・ヒョードルvsシング・心・ジャディブといったあたりでは、やはり少々弱かった。12月29日と31日と2興行に分け、桜庭和志、石井慧らの試合を大みそかに持ってこられなかったのも響いた。かつて、『PRIDE』は『紅白』の裏で15%を超える人気コンテンツだったが、“今さら”感は拭えなかった。最高で7%台では、今年の大みそかも『RIZIN』を放送するかどうかは微妙なところだろう。 ここ数年、『紅白』の裏で健闘していたテレビ東京は、内山高志、田口良一の世界戦をオンエアした『THE BEST OF BEST 大晦日2大世界戦SP』(9時30分~11時30分)が3.7%止まり。ボクシング特番は前年の5.6%から、1.9ポイント下げた。 かつて、フジは05年まで『PRIDE』を、TBSは10年まで『Dynamite!!』を大みそかに放送していた。15年はTBS『KYOKUGEN』、フジ『RIZIN』が参戦したが、格闘技ブームは今や昔で、どの局も2ケタ台に乗せることはできなかった。TBS、テレ東のボクシングを含め、格闘技ファンが少ないパイを奪い合って、潰し合っただけとの印象が強い。テレ朝『くりぃむVS林修!』は微増したが、日テレ『ガキ使』は微減で、『紅白』の視聴率が下がった分を、うまく取り込んで、大きく数字を上げた局はなかった。 中には、フジ『RIZIN』の7.3%が“健闘”と評する向きもあるが、それは同局の昨年までの惨状と比較したら、そう見えるだけ。とうの昔にブームが去ったK-1や、総合格闘技を放送しても、喜ぶのは一部のファンだけ。格闘技ファンではない一般視聴者にとっては、興味の対象にすらならない。魔裟斗も『RIZIN』も、視聴率1ケタ台しか取れなかったのは当然の結果といえるだろう。 その意味で、日テレ以外の4局は、今年の大みそかの『紅白』の裏のラインナップを再考した方がよさそうだ。 (文=森田英雄)日本テレビ『ダウンタウンの大晦日年越しスペシャル!! 絶対に笑ってはいけない名探偵24時!』公式サイトより
『THE OUTSIDER』引退“濱の狂犬”黒石高大、ラストファイトは失神負けも「前を向いていく」
さらば愛しの格闘技!――格闘家で俳優の“濱の狂犬”こと黒石高大(29)が13日、リングス・前田日明主催の不良系格闘技イベント『THE OUTSIDER 大田区総合体育館SPECIAL』で引退試合を行った。7年半前のデビュー戦で惨敗して以来、着々と努力を重ねて強くなり、アウトサイダーの象徴として人気を集めた黒石だが、ファイナルマッチでは失神負け。試合後のマイクでは「負けて始まって負けて終わるって、ギャグかこの野郎!」と涙声で悔しさをにじませた。だが、最後までギブアップをせず戦い抜いたその勇姿に、会場は拍手喝采。20代のすべてを注ぎ込んだ格闘技に別れを告げた黒石は今後、芸能界で役者として派手に暴れ回ることを約束した。 * * * 「ヤバイ、みんなの顔を見てたら泣いちゃう」 試合当日、会場入りした黒石は、大勢のファンや仲間から声をかけられて、一瞬、感極まった表情を見せた。が、控え室に入ると感傷を振り払うかのように、一心不乱にミット打ちを開始。長い手足から繰り出されるパンチとキックは、実に伸びやかで重量感もたっぷり。数年前のそれとはまったくの別物である。
2008年3月、アウトサイダー旗揚げ興行の第1試合でデビュー。総合格闘技では滅多にお目にかかれないジャーマンスープレックスを食らった末に惨敗した。2回目の出場時は「開始2秒でKO負け」というギネス級のスピード敗北を記録。3回目は入れ込みすぎて試合開始前に相手を殴ってしまいノーコンテスト。しかもこの3試合とも、応援団がリングになだれ込んできて乱闘を繰り広げるオマケ付き。デビュー当初の黒石は、こうした負け方のインパクトや試合前後の騒乱でもっぱら話題を呼んだ選手だった。 しかし、その後は格闘技のトレーニングを本格的に開始。いつしか勝ちを重ねるようになり、17戦7勝7敗2分1コーテンストという五分の星まで持ち直して、この日の引退試合を迎えた。芸能活動に集中するために、断腸の思いで格闘技からの引退を決意。最後の試合は勝ち越しのかかった一戦であると同時に、「この試合に勝てなきゃ芸能界でのケンカにも勝てない」という強い思いを抱いて臨む一戦でもあった。 一方、背中の不動明王をトレードマークとする対戦相手の啓之輔(32)は、26戦18勝8敗という戦績を誇る強豪だ。“キング・オブ・アウトサイダー”の異名を持ち、黒石と共にアウトサイダーを創成期から牽引。「黒石とは戦友だ。ただの友達じゃねぇよ。だから戦う!」と今回の試合を引き受けた。
ミット打ちを終え、控え室で一息ついていた黒石に話を聞く。 ――今日、啓之輔選手とは会いましたか? 黒石 今日はまだ会ってないですけど、前日計量のときに会って話しました。 ――どんな話をしましたか? 黒石 俺ら日本で一番客を入れるコンビなんで、来た全員に好きになって帰ってもらいましょうよ。ちょっとくらいは観客に見せないとダメなんですよ、と。 のちに主催者が発表した入場者数は3,130人。このうち1,000枚近くのチケットを黒石が手売りでさばいたというから、その人気と人徳はたいしたものである。 ――観客に見せないとダメ、とは? 黒石 2ラウンド2分の時点で決着がつかなかったら、手を後ろに組んで、互いに一発ずつ殴り合おうと提案しました。俺のことからまず殴っていいんで、やりましょうと。 ――啓之輔選手の反応は? 黒石 「商売人みたいなこと言いやがって」と笑われました。 有終の美を飾りたい黒石と、黒石に引導を渡したい啓之輔。果たしてどんな戦いになるのか? 大歓声を浴びながらリングインし、レフェリーを挟んで向き合う二人。黒石は今にも突っかからんばかりの勢いでガンを飛ばすが、啓之輔はそれをいなすようにソッポを向く。双方いったんコーナーに下がるが、ゴングが鳴るなり突進し、両者の第一打がリング中央で同時にヒット! 黒石のハイキックが勢いで勝り、バランスを崩した啓之輔が尻もちをつく。
大声援をバックに、倒れた啓之輔めがけて襲いかかろうとする黒石。しかし啓之輔はこれを冷静にガードし、立ち上がる。 黒石は左右のキックを繰り出しながら前進するが、啓之輔のカウンターパンチを食らってよろけた隙に、首を取られて倒されて攻守逆転。
啓之輔がフロントチョークで締め上げると、黒石の抵抗が徐々に弱まり、客席がザワつき始める。結局、黒石はタップをせずにそのまま失神。1ラウンド1分0秒、レフェリーストップであっけなく終幕となった。
やがて意識を取り戻した黒石は、セコンドから説明を受けて悔しそうに苦笑い。 マイクを握った啓之輔は、「格闘技って残酷なものですね」と叫んだあと、「この男がアウトサイダーを引っ張ってきたんで、みんなデカイ拍手をしてやってください!」と黒石にエール送った。いつもはクールでぶっきらぼうな啓之輔だが、この日ばかりは寂しげな表情をたびたび浮かべていたのが印象的だった。
有志一同から花束を受け取った黒石は、感涙にむせびながら四方八方にお辞儀。客席から「泣いてばっかりいるんじゃねぇよ!」とのヤジが飛ぶと、それに応戦するように涙声でマイクパフォーマンス。 「本当だよ最悪だよ、バカ! 負けて始まって負けて終わるって、おまえ、ギャグかよこの野郎! 本当に多くは語りません。ダサかった、弱かった、最後まで弱かった。それを支えてくれて応援してくれた前田日明、アウトサイダー関係者のみなさん、家族、地元の友だちや仲間たち、応援し続けてくれた人たち、本当に心からありがとうございました! とりあえず芸能界で派手にケンカをかましてくるんで応援よろしくお願いします!」
そして、客席にいた母親に向かって「産んでくれて育ててくれてありがとう」と感謝の言葉を述べたあと、啓之輔にも礼を言い、観衆に向かって「押忍! 押忍! 押忍! 押忍!」と挨拶して頭を下げた。 最後は主催者の前田日明がマイクを握り、「黒石、お疲れさん。まぁトンマで、今日の試合も落ち着いていけばできたのに、テンパっちゃって、このようなドジをするんですけど。芸能界に行っても、どうぞ応援してやってください。お願いします」と親心満載のコメントで締めくくった。 * * * 試合の数日後、黒石に電話取材をした。 ――今の心境は? 黒石 心にポッカリ、穴が空いてる感じです。20代のほぼすべて、朝から晩まで情熱を注いできた格闘技がなくなっちゃいましたから。 ――試合の記憶はありますか? 黒石 ありますよ。チョークががっちり決まっちゃって、「あぁ、これは抜けられそうにないな」って。遠のく意識の中、「俺ってダセえよなぁ」って思いました。 ――最後までタップをしませんでしたね。 黒石 チョークで締め落とされるぐらいじゃ死にはしないから、タップはまったく考えなかったです。「落とすなら早く落としてくれよ」って感じでしたね。 ――敗れはしましたが、黒石選手の戦いぶりに感動している観客も多かったです。 黒石 いやいやいや、あんな試合で感動って、どんだけ安く見られてるんだって!(笑) ――悔しいですか? 黒石 悔しいですけど、うつむいたって何も変わらない。だったらもう居直って、前を向いて、突き進んで行くしかないですね。 18戦7勝8敗2分1ノーコンテンスト。格闘家人生は一つ負け越しで終わったが、負けの悔しさを知っていればこそ、これからの演技にも一層の深みが出ようというもの。役者人生はすでに本格始動しており、来年のゴールデンウィーク公開の『テラフォーマーズ』のほか、複数の大作への出演も決まりつつあるようだ。四角いリングから四角いスクリーンに舞台を変えて、黒石は今後も戦いを続ける――。 (取材・文=岡林敬太/撮影=長谷英史)
『THE OUTSIDER』引退“濱の狂犬”黒石高大、ラストファイトは失神負けも「前を向いていく」
さらば愛しの格闘技!――格闘家で俳優の“濱の狂犬”こと黒石高大(29)が13日、リングス・前田日明主催の不良系格闘技イベント『THE OUTSIDER 大田区総合体育館SPECIAL』で引退試合を行った。7年半前のデビュー戦で惨敗して以来、着々と努力を重ねて強くなり、アウトサイダーの象徴として人気を集めた黒石だが、ファイナルマッチでは失神負け。試合後のマイクでは「負けて始まって負けて終わるって、ギャグかこの野郎!」と涙声で悔しさをにじませた。だが、最後までギブアップをせず戦い抜いたその勇姿に、会場は拍手喝采。20代のすべてを注ぎ込んだ格闘技に別れを告げた黒石は今後、芸能界で役者として派手に暴れ回ることを約束した。 * * * 「ヤバイ、みんなの顔を見てたら泣いちゃう」 試合当日、会場入りした黒石は、大勢のファンや仲間から声をかけられて、一瞬、感極まった表情を見せた。が、控え室に入ると感傷を振り払うかのように、一心不乱にミット打ちを開始。長い手足から繰り出されるパンチとキックは、実に伸びやかで重量感もたっぷり。数年前のそれとはまったくの別物である。
2008年3月、アウトサイダー旗揚げ興行の第1試合でデビュー。総合格闘技では滅多にお目にかかれないジャーマンスープレックスを食らった末に惨敗した。2回目の出場時は「開始2秒でKO負け」というギネス級のスピード敗北を記録。3回目は入れ込みすぎて試合開始前に相手を殴ってしまいノーコンテスト。しかもこの3試合とも、応援団がリングになだれ込んできて乱闘を繰り広げるオマケ付き。デビュー当初の黒石は、こうした負け方のインパクトや試合前後の騒乱でもっぱら話題を呼んだ選手だった。 しかし、その後は格闘技のトレーニングを本格的に開始。いつしか勝ちを重ねるようになり、17戦7勝7敗2分1コーテンストという五分の星まで持ち直して、この日の引退試合を迎えた。芸能活動に集中するために、断腸の思いで格闘技からの引退を決意。最後の試合は勝ち越しのかかった一戦であると同時に、「この試合に勝てなきゃ芸能界でのケンカにも勝てない」という強い思いを抱いて臨む一戦でもあった。 一方、背中の不動明王をトレードマークとする対戦相手の啓之輔(32)は、26戦18勝8敗という戦績を誇る強豪だ。“キング・オブ・アウトサイダー”の異名を持ち、黒石と共にアウトサイダーを創成期から牽引。「黒石とは戦友だ。ただの友達じゃねぇよ。だから戦う!」と今回の試合を引き受けた。
ミット打ちを終え、控え室で一息ついていた黒石に話を聞く。 ――今日、啓之輔選手とは会いましたか? 黒石 今日はまだ会ってないですけど、前日計量のときに会って話しました。 ――どんな話をしましたか? 黒石 俺ら日本で一番客を入れるコンビなんで、来た全員に好きになって帰ってもらいましょうよ。ちょっとくらいは観客に見せないとダメなんですよ、と。 のちに主催者が発表した入場者数は3,130人。このうち1,000枚近くのチケットを黒石が手売りでさばいたというから、その人気と人徳はたいしたものである。 ――観客に見せないとダメ、とは? 黒石 2ラウンド2分の時点で決着がつかなかったら、手を後ろに組んで、互いに一発ずつ殴り合おうと提案しました。俺のことからまず殴っていいんで、やりましょうと。 ――啓之輔選手の反応は? 黒石 「商売人みたいなこと言いやがって」と笑われました。 有終の美を飾りたい黒石と、黒石に引導を渡したい啓之輔。果たしてどんな戦いになるのか? 大歓声を浴びながらリングインし、レフェリーを挟んで向き合う二人。黒石は今にも突っかからんばかりの勢いでガンを飛ばすが、啓之輔はそれをいなすようにソッポを向く。双方いったんコーナーに下がるが、ゴングが鳴るなり突進し、両者の第一打がリング中央で同時にヒット! 黒石のハイキックが勢いで勝り、バランスを崩した啓之輔が尻もちをつく。
大声援をバックに、倒れた啓之輔めがけて襲いかかろうとする黒石。しかし啓之輔はこれを冷静にガードし、立ち上がる。 黒石は左右のキックを繰り出しながら前進するが、啓之輔のカウンターパンチを食らってよろけた隙に、首を取られて倒されて攻守逆転。
啓之輔がフロントチョークで締め上げると、黒石の抵抗が徐々に弱まり、客席がザワつき始める。結局、黒石はタップをせずにそのまま失神。1ラウンド1分0秒、レフェリーストップであっけなく終幕となった。
やがて意識を取り戻した黒石は、セコンドから説明を受けて悔しそうに苦笑い。 マイクを握った啓之輔は、「格闘技って残酷なものですね」と叫んだあと、「この男がアウトサイダーを引っ張ってきたんで、みんなデカイ拍手をしてやってください!」と黒石にエール送った。いつもはクールでぶっきらぼうな啓之輔だが、この日ばかりは寂しげな表情をたびたび浮かべていたのが印象的だった。
有志一同から花束を受け取った黒石は、感涙にむせびながら四方八方にお辞儀。客席から「泣いてばっかりいるんじゃねぇよ!」とのヤジが飛ぶと、それに応戦するように涙声でマイクパフォーマンス。 「本当だよ最悪だよ、バカ! 負けて始まって負けて終わるって、おまえ、ギャグかよこの野郎! 本当に多くは語りません。ダサかった、弱かった、最後まで弱かった。それを支えてくれて応援してくれた前田日明、アウトサイダー関係者のみなさん、家族、地元の友だちや仲間たち、応援し続けてくれた人たち、本当に心からありがとうございました! とりあえず芸能界で派手にケンカをかましてくるんで応援よろしくお願いします!」
そして、客席にいた母親に向かって「産んでくれて育ててくれてありがとう」と感謝の言葉を述べたあと、啓之輔にも礼を言い、観衆に向かって「押忍! 押忍! 押忍! 押忍!」と挨拶して頭を下げた。 最後は主催者の前田日明がマイクを握り、「黒石、お疲れさん。まぁトンマで、今日の試合も落ち着いていけばできたのに、テンパっちゃって、このようなドジをするんですけど。芸能界に行っても、どうぞ応援してやってください。お願いします」と親心満載のコメントで締めくくった。 * * * 試合の数日後、黒石に電話取材をした。 ――今の心境は? 黒石 心にポッカリ、穴が空いてる感じです。20代のほぼすべて、朝から晩まで情熱を注いできた格闘技がなくなっちゃいましたから。 ――試合の記憶はありますか? 黒石 ありますよ。チョークががっちり決まっちゃって、「あぁ、これは抜けられそうにないな」って。遠のく意識の中、「俺ってダセえよなぁ」って思いました。 ――最後までタップをしませんでしたね。 黒石 チョークで締め落とされるぐらいじゃ死にはしないから、タップはまったく考えなかったです。「落とすなら早く落としてくれよ」って感じでしたね。 ――敗れはしましたが、黒石選手の戦いぶりに感動している観客も多かったです。 黒石 いやいやいや、あんな試合で感動って、どんだけ安く見られてるんだって!(笑) ――悔しいですか? 黒石 悔しいですけど、うつむいたって何も変わらない。だったらもう居直って、前を向いて、突き進んで行くしかないですね。 18戦7勝8敗2分1ノーコンテンスト。格闘家人生は一つ負け越しで終わったが、負けの悔しさを知っていればこそ、これからの演技にも一層の深みが出ようというもの。役者人生はすでに本格始動しており、来年のゴールデンウィーク公開の『テラフォーマーズ』のほか、複数の大作への出演も決まりつつあるようだ。四角いリングから四角いスクリーンに舞台を変えて、黒石は今後も戦いを続ける――。 (取材・文=岡林敬太/撮影=長谷英史)
年末格闘技「RIZIN」と反社会的勢力の関係は大丈夫!? フジテレビ局内からも疑問の声が……
年末の12月29日、31日に行われる新格闘技イベント「RIZIN」に、暴力団との関係がウワサされている。 イベントには、柔道金メダリストの石井慧や、3年前に引退していた元PRIDE王者のエメリヤーエンコ・ヒョードル、元力士の把瑠都や曙、4年ぶりの復帰戦を行う桜庭和志らが出場するが、先日、元プロレスラーで格闘技団体代表の前田日明氏がニュースサイト「R-ZONE」のインタビューで「ダメですね!真っ黒ですよ、あれ。反社会的勢力が付いてる」(原文ママ、以下同)と、発言。 RIZINの前身であるPRIDEは、かつて暴力団とのつながりを週刊誌で暴かれるのと時を同じくして、放送局のフジテレビが撤退して消滅に至ったが、これについて前田氏は「反社会的勢力の連中が●●●●●●●の金を持ってきていたんですよ。だから、普通の団体が払える3倍、5倍、10倍のギャラを払えたんです。●●●●●●●をやってたのは、●●興業だったでしょ?5代目から6代目に替わった時に●●興業が潰されて、金が入ってこなくなって借金がバーっと増えて、それでグシャッと潰れたんですよ」と、暴力団絡みの内情を暴露。さらに「で、また●●会でやろうとしてるでしょ」と、新イベントもまた、別の暴力団組織と関係しているかのように話した。 ●●会と伏せ字にされている部分は、08年に引退するも、今年12月に復帰した山口組元直系組長の組織ではないかという推察が暴力団関係に詳しい情報筋から上がっている。Twitterでは、その人物の実名を挙げ「誰もが知る有名格闘技イベントを、形を変えて復活させた」としている人もいるのだ。 さらにRIZINについては、正式発表前の6月、暴力団に詳しいフリーライターの鈴木智彦氏がTwitterで「山口組にがじられ、それがめくれて消滅した格闘技のPRIDE、今年の年末、フジテレビで復活すると聞きました。ヤクザ筋だから確かな情報かわかりません。情報ルートをみても分かってもらえるはずですが、よくやるよなぁとしか言えない」とつぶやいていたが、その“ヤクザ情報”通りにイベントが立ち上がったため、暴力団との関係を心配する声がファンからも上がっていた。 こうした話について、ある格闘技ライターは「実は、RIZINに出場する若い選手から『●●会の人が関わっているみたいですが、大丈夫ですか?』と聞かれた」と打ち明けている。 「格闘技ブームが去って仕事が激減しているので、いま取材拒否されたら死活問題だから実名では言えないし、そういう記事も書けないですが、RIZINはPRIDE時代に負った未払い金の清算などで関係者がヤクザに詰められて、やむなく始めたというウワサもあります」(同) もっとも、大会の実行委員長である榊原信行氏は10月8日の発表会見で「みなさんから非難を受け、脇が甘かった部分も反省し、企業としての防衛力を高め、自分たちを律します」として、元警視庁刑事部理事官の菅村明仁氏や2名の弁護士、中村信雄氏と大鶴基成氏をコンプライアンス担当に迎えている。前田氏や鈴木氏の発言からうかがえる暴力団との関わりが実際にあるのかはわからない。しかし、こうした相次ぐ疑惑の材料について団体側からハッキリ潔白が示されたということはなく、グレーなまま。問題は、そんなイベントをフジテレビ、スカパー!が堂々と放送することでもある。 フジは4年前、全国の暴力団排除条例施行を受け、加盟する日本民間放送連盟が示した指針に従い「経営トップから制作現場に至るまで一丸となり、反社会的勢力に介入の隙を与えないという態度を徹底」としていたが、一方で島田紳助が暴力団との交際を理由に芸能界引退となったときには、情報番組のキャスター小倉智昭が「トラブルを闇社会の人が解決することもある」と暴力団を容認する発言をするなど、脇の甘さもあった。その指針もよく読めば、暴力団との関わりが判明した場合に契約解除ができるという、事後対応にすぎない内容でもある。 「フジはCSの番組企画で立ち上げていた『巌流島』という格闘技イベントを、この夏、理由を示すことなく急きょ不自然な形で放送中止にしていて、これは格闘技界に関わる背後の力関係が作用したといわれています。RIZINのバックが、いかにコワモテかってこと」(同) スッキリしないRIZINには、さすがにフジ社内でも「疑惑があるのに放送するのはおかしいし、一歩間違えば局自体が反社会的勢力の食い物にされるかもしれない」と、放送に反対する関係者もいる。 「PRIDE時代に大きく関わったプロデューサーは、いまだ暴力団組織との直接関与が弱みになっているという話もありますから、RIZINの放送強行は何か付け込まれているんじゃないかと疑いたくもなる」(同) フジ広報部にこうしたRIZINの暴力団関係疑惑について聞いてみたところ、なんとその回答は「地上波で放送する予定ですが、大会の主催・運営には関わっておりません」という一文のみだった。 あくまで放送をするだけというスタンスで、イベント自体が暴力団と関わろうとフジに責任はないというニュアンスだ。これは先の「反社会的勢力に介入の隙を与えないという態度を徹底」という指針と大きくかけ離れた印象があるのだが、これもバラエティ、ドラマなど軒並み苦戦するフジ凋落の象徴だろうか? 年の瀬に行われる熱戦をめぐり、リング上の汗のみならず、フジ関係者の冷や汗が落ちなければよいのだが。 (文=ハイセーヤスダ)RIZINオフィシャルサイトより
“世紀の大凡戦”の可能性も……関係者が危惧するボブ・サップの「悪いうわさ」
続々と対戦カードが発表されている、12月29日・31日にさいたまスーパーアリーナで開催される新格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015」。生中継ではなく時間差放送のかたちで、フジテレビが中継することが決定している。 そんな中、発表されたのが、12年ぶりに再戦することになった曙vsボブ・サップ。ルールはRIZINのMMA(総合格闘技)ルールではなく、キックボクシングに投げと立ち関節・絞め技を加え、寝技は禁止のシュートボクシングルール(SB)で行われることが決定。時間は3分3R、延長の有無はこれから話し合われるという。 「桜庭和志vs青木真也、クロン・グレイシーvs山本アーセンなど、格闘技通好みのカードが多い中、規格外の体格を持つ曙vsサップの対戦が発表。2人の対戦は格闘技ブーム真っただ中の2003年大みそか、TBSが中継して瞬間最高視聴率43.0%を記録。裏番組の『紅白』を脅かした。当時だったら、2人とも話題性があったので、手っ取り早く視聴率を稼ぐにはもってこいのカードで大当たりしたが、果たして、今年はどこまで数字を取れるか」(格闘技ライター) 前回の対戦は1R2分58秒、サップがKO勝ち。先に行われた会見で、サップは「間違いなくエキサイティングな試合になることを約束します」とあいさつし、「前回同様、早い時間でKO。打撃でKOする」と宣言。 一方、リベンジにかける曙は、「12年前に大みそかに負けまして、ずっとそれを苦しみ、悔しさ心の奥の奥まで押し込んで前に進んだんですが、いずれはやりたい、リベンジしたいと思っていた矢先にこの話が来ました」と秘めた思いを吐露。 総合格闘家転向後は連敗続き。結局、プロレスラーとして才能を開花させたが、「大みそかは二度とそういう悔しい思いはしたくない。自分は以前と変わっていると思うので変わった曙を見せて、皆さんに変わったと判断してもらいたい。大みそかは絶対に勝ちにいきます」と再戦にかける決意をにじませたが、世紀の大凡戦に終わる可能性がありそうだというのだ。 「このところ、サップはほとんどまともに練習していない。しかし、以前は、K-1で大暴れして自身のブランド価値が上がっているので、相変わらず試合のオファーは受ける。ところが、すでに億単位の貯金があり、“ガチンコ”のファイトで散々、痛い思いをしてきたため、今や『それなりの金を払えば寝てくれる(=KOされる)』と業界内では有名。今回、桜庭のギャラは2000万円なので、サップにもそれに近いギャラが払われているはず。サップからすれば、曙がリベンジしようが、ギャラをもらえれば関係ないので、あっけなくKOされるかも。ただ、曙も練習嫌いが有名。仕留めきれず、ルール的に立ち技で組合うことも認められているので、2人が抱き合った状態が多いまま3ラウンドが終了する展開もありそう」(同) それぞれの道でしっかり稼ぐ2人からは、すっかり12年前のある意味“ギラギラ”したものはすっかり消えうせてしまったようだ。写真=K-D
「UFCとの契約が……」大みそかの魔裟斗 vs 山本“KID”徳郁が、ほとんど報道されない裏事情
“K-1のカリスマ”と呼ばれ、かつてK-1中量級を支えた魔裟斗が、大みそかに一夜限定で復帰することを、どれほどの人がご存じだろうか? 魔裟斗は2009年大みそかの『Dynamite!!』でのアンディ・サワー戦で引退し、その後タレントとして活動してきたが、今回TBSの熱烈オファーを受けて、6年ぶりの限定復帰を決断。対戦相手となるのは、現在、米最大の総合格闘技団体UFCで活躍する山本“KID”徳郁で、3分5ラウンドのK-1ルールでの激突となる。 この試合は、TBSが大みそかに『NHK紅白歌合戦』の裏で放送する『史上最大の限界バトル KYOKUGEN 2015』(午後6時~11時35分予定)で生中継される。 KIDは1972年ミュンヘン五輪レスリング日本代表の山本郁榮氏の息子で、姉はレスリング世界女王の山本美憂、妹は同じくレスリング世界女王で、ダルビッシュ有(MLB・レンジャーズ)と事実婚状態にある山本聖子という格闘技一家で育った。これまで、修斗、K-1、HERO’S、DREAM、UFCなどでファイトしてきた強豪選手だ。 両者は、2004年大みそかにK-1ルールで激突し、魔裟斗が判定勝ちを収めている。その試合はTBSで放送され、瞬間最高視聴率31.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を弾き出し、一時的とはいえ『紅白』を上回る視聴率をマークする伝説の一戦となった。あれから11年の月日を経ての再戦が決まったのだ。 魔裟斗の電撃復帰、そしてKIDとの黄金カード実現で、本来なら各スポーツ紙、スポーツ系WEBサイトが、こぞって大々的に報道しそうなものだが、ほとんど、この一戦のことが報じられていないため、格闘技に興味がある人でさえ、知らない人も多いようだ。なおさら、格闘技好きではない人が知っているはずがない。 それでは、なぜこのような事態になってしまっているのか? 「魔裟斗が復帰して、KIDと対戦するのは格闘技界ではビッグニュースのはずです。しかし、TBSは記者会見すら開かず、マスコミ各社への情報発信も控え気味です。その理由は、KIDが契約しているUFCとの問題があるようです。元来、UFCは契約選手が他の団体で試合をすることを認めていません。従って、今回の魔裟斗対KID戦は認められないはずなのです。抜け道となったのは、どうやら、試合ではなく、『アトラクション』にするという点。あくまでも、この闘いは『KYOKUGEN』というテレビ番組の中で繰り広げられる『余興』というわけです。TBSでは“ガチンコ勝負”をうたっていますが、最終的にはエキシビションマッチ(模範試合)となり、決着がつかない形で落ち着くのでは? と言われています。そんな背景があるため、あまり大々的に宣伝できないようなのです。『KYOKUGEN』では12年大みそかに、清原和博と桑田真澄の野球対決を放送しましたが、それと同じです。この試合と、同番組内で生中継されるボクシング・井岡一翔の世界タイトル戦を同列に見てはいけません」(スポーツ紙記者) 格闘技ファンにとっては、魔裟斗のまさかの復帰、そしてKIDとの再戦はたまらないビッグプレゼントとなるはずだが、過剰な期待はしない方がいいのかもしれない。TBS系『史上最大の限界バトル KYOKUGEN2015』公式サイトより
「UFCとの契約が……」大みそかの魔裟斗 vs 山本“KID”徳郁が、ほとんど報道されない裏事情
“K-1のカリスマ”と呼ばれ、かつてK-1中量級を支えた魔裟斗が、大みそかに一夜限定で復帰することを、どれほどの人がご存じだろうか? 魔裟斗は2009年大みそかの『Dynamite!!』でのアンディ・サワー戦で引退し、その後タレントとして活動してきたが、今回TBSの熱烈オファーを受けて、6年ぶりの限定復帰を決断。対戦相手となるのは、現在、米最大の総合格闘技団体UFCで活躍する山本“KID”徳郁で、3分5ラウンドのK-1ルールでの激突となる。 この試合は、TBSが大みそかに『NHK紅白歌合戦』の裏で放送する『史上最大の限界バトル KYOKUGEN 2015』(午後6時~11時35分予定)で生中継される。 KIDは1972年ミュンヘン五輪レスリング日本代表の山本郁榮氏の息子で、姉はレスリング世界女王の山本美憂、妹は同じくレスリング世界女王で、ダルビッシュ有(MLB・レンジャーズ)と事実婚状態にある山本聖子という格闘技一家で育った。これまで、修斗、K-1、HERO’S、DREAM、UFCなどでファイトしてきた強豪選手だ。 両者は、2004年大みそかにK-1ルールで激突し、魔裟斗が判定勝ちを収めている。その試合はTBSで放送され、瞬間最高視聴率31.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を弾き出し、一時的とはいえ『紅白』を上回る視聴率をマークする伝説の一戦となった。あれから11年の月日を経ての再戦が決まったのだ。 魔裟斗の電撃復帰、そしてKIDとの黄金カード実現で、本来なら各スポーツ紙、スポーツ系WEBサイトが、こぞって大々的に報道しそうなものだが、ほとんど、この一戦のことが報じられていないため、格闘技に興味がある人でさえ、知らない人も多いようだ。なおさら、格闘技好きではない人が知っているはずがない。 それでは、なぜこのような事態になってしまっているのか? 「魔裟斗が復帰して、KIDと対戦するのは格闘技界ではビッグニュースのはずです。しかし、TBSは記者会見すら開かず、マスコミ各社への情報発信も控え気味です。その理由は、KIDが契約しているUFCとの問題があるようです。元来、UFCは契約選手が他の団体で試合をすることを認めていません。従って、今回の魔裟斗対KID戦は認められないはずなのです。抜け道となったのは、どうやら、試合ではなく、『アトラクション』にするという点。あくまでも、この闘いは『KYOKUGEN』というテレビ番組の中で繰り広げられる『余興』というわけです。TBSでは“ガチンコ勝負”をうたっていますが、最終的にはエキシビションマッチ(模範試合)となり、決着がつかない形で落ち着くのでは? と言われています。そんな背景があるため、あまり大々的に宣伝できないようなのです。『KYOKUGEN』では12年大みそかに、清原和博と桑田真澄の野球対決を放送しましたが、それと同じです。この試合と、同番組内で生中継されるボクシング・井岡一翔の世界タイトル戦を同列に見てはいけません」(スポーツ紙記者) 格闘技ファンにとっては、魔裟斗のまさかの復帰、そしてKIDとの再戦はたまらないビッグプレゼントとなるはずだが、過剰な期待はしない方がいいのかもしれない。TBS系『史上最大の限界バトル KYOKUGEN2015』公式サイトより
刃牙から刃牙へ──! 渋谷莉孔×平直行、緊急対談で継承された“ヤバすぎる”必殺技とは!?
刃牙から刃牙へ、必殺技を伝授!――漫画『グラップラー刃牙』の主人公・範馬刃牙のモデルになった平直行(51)と、地下格闘技から世界へ進出した“リアル刃牙”こと渋谷莉孔(30)の対談がついに実現した。平から渋谷へ、最強かつ最凶の格闘家になるための奥義が今、継承される! * * * 現在、アジア最大の総合格闘技イベント『ONE Championship』で活躍する渋谷莉孔。格闘家としてデビューしたのは今から7年前で、その舞台は不良系格闘技イベント『THE OUTSIDER(アウトサイダー)』の第3回大会だった。主催者側から“リアル刃牙”という異名を付けられた渋谷は、対戦相手を罵倒しながら殴打する凶悪なファイトで圧勝し、デビュー戦で観客の心を鷲掴みにしたのである。 その試合でレフェリーを務めていたのが、奇しくも平直行だった。 平といえば、空手、修斗、ブラジリアン柔術、シュートボクシングなどを習得する格闘技の達人だ。明るいキャラクターとトリッキーなファイトスタイルで人気を集め、前述したように漫画『グラップラー刃牙』のモデルにもなった。現在は指導者やレフェリーとして活躍中である。 浅からぬ縁を持つ二人の「刃牙」が、このたび、久々の再会を果たした。格闘家としてさらなる高みを目指す渋谷が「今、最も対談したい人」として、平の名前を挙げたのだ。
渋谷 ご無沙汰です。今日はよろしくお願いします。 平 久しぶりだね。アウトサイダーで僕がレフェリーをしたとき以来かな? 渋谷 かもしれませんね。 平 あのときは確か、KOかなんかで勝ったんだよね? 試合中に叫んだりしてたから、「変な面白いヤツが出てきたな」と(笑)。その後の活躍ぶりは、Facebookでたまたま出てきたときとかに、見てますよ。僕は長年ピンからキリまでいろんな選手を見てるから、海外に行ったくらいでは驚かないけど、頑張ってるなって思って見てます。 ――今回の対談に先立ちまして、渋谷選手の最近の試合動画を平さんにチェックしていただきましたが、率直な感想をお聞かせください。まずは今年3月の海外デビュー戦、アドリアーノ・モラエス戦から。 平 なんやかんやで練習をちゃんとしてるんだろうな、ってことは伝わってきました。あ、意外とマジメなんだな、みたいな(笑)。技術的にはまぁ普通って言ったらあれだけど、いわゆる総合(格闘技)の技術をしっかりマスターしてるなってことはわかりますよね。 ――10月に行われた海外2戦目、ユージーン・トケーロ戦についてはどうでしょう? 平 試合的には手堅くてよかったけど、プロ的にはなんかしようよ、って感じかな。ガハハハハ! ――なんかしようよ、とは? 平 やっぱ、相手をやっつけないといけない。相手もそんな弱くないから、難しいのはわかるけど、最初から最後までずっと手堅く寝技で戦って、観客がずっと応援して見てくれるかというと難しいよね。
――渋谷選手から平さんへ、質問がありましたら遠慮なくどうぞ。 渋谷 平さんのスパー映像を見ると「プレッシャーが強い」と感じるんですが、いつもプレッシャーはどう作ってますか? 平 僕、プレッシャー強い? 渋谷 映像を見ると、けっこうガンガン行ってるなぁと。 平 僕、こう見えて緊張しながら試合をするんで、相手が来るのがイヤなんですよ。だから相手が地味に来ると、派手な技を返して追っ払っちゃう。だから僕、試合でローキックを食らったことがほとんどないんですよ。あとで相手に聞くと、「おっかないなぁ、おまえ。入ったらいきなり来るから」って言われることが多いんです。 渋谷 カウンターが早いんですかね? 平 そう。相手がローを打ってきたら、すかさずハイを返す。と、相手はおっかなくなって、そのあと意外と行けないんだって。僕は性格的に、大きい技を好む。でもたまに疲れると小さな技もやる。それはそれで相手からしたら、なんかイヤみたいで。そんなこんなで端から見たら、僕が全体的に試合を支配してるように見えるのかも。 渋谷 プレッシャーをかけてる意識は薄いんですか? 平 うん。大事なのは距離感かな。こっちがバーッて行くと相手も打ち返してくるからイヤだ。でも最初に自分の距離にして、相手に詰めさせるのもイヤ。じゃあ、どうするか? 僕が考えた戦い方は、相手が来たらブロックするんじゃなくて、スッとかわして、後出しジャンケンみたいに攻めるやり方ですね。 渋谷 相手の「打ち終わり」を狙うんですか? 平 「打たせて、打ち返す」みたいな感じかな。相手が来ないと面倒くさいし、逆にウワーッと来過ぎるのも面倒くさい。ウワーッと来られたら大技を放つと、もう一回相手が離れてくれる。 渋谷 大技とは? 平 飛んでみたりとか(笑)。当たんなくてもいいんです。お客さんが満足してくれるから。たまに当たったりもするし。 渋谷 そういう技、自分も欲しいんですよね。判定勝負になりそうなときのための、終盤に出せる派手な技。 平 総合だと、どうなんだろうねぇ……。 渋谷 あと、打撃のフェイントも覚えたいです。総合の世界だと、打撃のフェイントが得意な選手ってほとんどいないですよね? 平 いない、いない。僕は打撃だけの世界でずっと生きてきたから、総合で打撃が来てもたいして怖くない。フェイントはねぇ、いい練習パートナーを見つけて、決まった形をいくつも作っていくしかないかな。ずっとフルラウンドで、バランスを崩さずできるよう、何度もそれらを反復練習する。「片側に目線を引きつけておいて、見えない逆側からパンチを打つ」というパターンをいくつもいくつも考えて、無意識でも動けるように延々と反復練習あるのみですね。 渋谷 わかりました。
平 あとは「意識の入れ替えのフェイント」も覚えたほうがいいかな。チャンバラで例えると、大人の剣豪と、刀を持った子供が向き合ったとする。普通に考えたら子供に勝ち目なんかないわけだ。実際、腕もなく駆け引きもできない子供は、刀を頭上に振りかざしたまんま、「うわぁぁぁぁ」と叫びながらまっすぐ相手に向かって突っ込んで行くんだけど、次の瞬間、子供は小石に蹴つまずいてしまう。と、大人の剣豪は一瞬ハッとなり、その隙に、前のめりに倒れた子供の刀でバッサリ斬られてしまう……という話。今のは不測の事態によって斬られてしまった! って話だけど、これを戦いのいろんな場面で自覚的にやれたら強いですよ。意識を抜いて、すぐ入れると当たるんです。 渋谷 もっと詳しく教えてください。 平 1…わざと力を入れる、2…スッと力を抜く、3…再び力を入れる。この2と3の間隔を意識的に素早く行うわけ。相手をつかむとき、相手を投げるとき、相手を殴るとき、相手から逃げるとき……全部に使えますよ。「ON、OFF、ON」の入れ替えの速度を鍛えるんです。「行くぞーーーーーーーーーーーーやめた…やっぱ行くっ!」って感じ。 渋谷 そういえば、寝技をブリッジで返すときに、自分もそれに近いことをやってますね。「行って、やめて、また行く」と、みんな引っかかる。「パワーあるね」って褒められるけど、そうじゃなく、実は相手が引っかかってるだけなんですよ。「力を入れて、抜いて、また入れる」と、ひっくり返せるんです。 平 一流の格闘家はみんなその呼吸を体得してるけど、無意識にやってる人も多い。意識的に2と3の入れ替えを素早く行えば、もっと強烈な武器になりますよ。 渋谷 でも同じ相手に何度もやると、通じなくなりませんか? 平 通じる、通じる。ちょっと立ち位置を変えたりするだけで、目の前の映像が変わるから、相手はついてこれなくなりますよ。ちなみに「押して、やめて、また押す」ってのは、恋愛にも使えるテクニックです(笑)。 ――ありがとうございます(笑)。ではそろそろ、次の質問にいきましょうか。 渋谷 僕はレスリングのときの手の力が弱く、すぐにクラッチを切られたり伸ばされたりします。何がいけないんでしょう? 平 腕の力に頼りすぎるからいけないんじゃないかな。「骨格レベル」で体を動かすことを意識するといいです。腕だったら、ここ(肩甲骨と胸)から動かすイメージ。腕の力だけに頼ると、疲れる割に、強くないんですよ。 渋谷 なるほど。あと、寝技のエスケープを自分は得意とするほうなんですが、体の大きなパーツではなく、手足の先などを押さえられたときだけは、なかなか逃げられません。何か解決策はありますかね? 平 それも答えはたぶん一緒で、腕の力で逃げようとするとダメ。日頃のトレーニング方法からして間違ってる可能性があります。ちょっと見てごらん(と言ってiPadで骨格解剖図を見せながら解説)。みんなは筋肉で考えるけど、柔(やわら)は骨で考える。骨がちゃんと動けば筋肉が動く。みんなは腕を1本と思って鍛えがちだけど、中はこうなっている。ここには2本の骨があるんですよ。その2本とも使うイメージで体を動かす。手首や指も、中の骨を全部動かします(と言って自ら実演)。
渋谷 おおおっ! めっちゃ細かく動いてますね。 平 これが「柔の手」なんです。簡単にはできないけど、これができるようになれば、すごいパワーが出ますよ。 渋谷 手首には筋肉はないんですか? 平 ないんだよ。だから、指立て伏せも指を意識すると効果が薄くなる。指の力は、前腕の筋肉から繋がる腱の力で成り立ってます。木登りをすると、そういう体の使い方を強化できるんだけどね。猿ってトレーニングをしなくても、すごい力があるでしょう? 渋谷 猿って、とんでもない握力があるって聞きますね。 平 しかも猿って骨が動くから、押さえ込んでも押さえ切れない。捕まえられないんですよ。人間も一緒。筋肉ではなく、骨を動かすイメージで動くと強くなれます。そういう体にしようと思ったのが、昔の人。明治維新前、ちょんまげの時代の人間だから、できたことなんですけどね。3歳や5歳になったら農家の子供は裸足で凸凹道を歩きながら川に水を汲みに行き、武家の子供は殺人の練習を始める。15歳で戦場に行かなくちゃならなかったわけですから。当時の体づかいをマスターすれば、僕の技ができるようになる。こういうのができる若い日本人が今、海外に行ったら人気出るよ。僕は年寄りだから行かないけど(笑)。 ――さきほどおっしゃった「骨格レベルで体を動かす」という動作を、もう少しわかりやすく解説してもらえますか。 平 じゃあ、いくつか実演しますね。まずこうやって立って、両脇を絞ります。脇を絞ったら、今度は肩甲骨を寄せます。そうすると肩が上がるでしょう? それを落とす。これだけでOK。空手の構えですよね。ここから突く運動をするといい。脇が締まってるからケガもしづらいし、骨格が奥から動くので骨の周りの筋肉も動いて、威力が増すんですよ。 渋谷 (黙ったまま凝視)
平 次に、片足を上げてみて、体のバランスを取りながら、その上げた足と両腕を自由自在に動かしてみる。野球だってそうだけど、両足が地面に着いたまんまだと遠くへボールが飛んでいかないでしょう。でもこうやって1本が安定して、その他の3つがバランス良く動けば、人間のパフォーマンスは最大限に出せるんです。 渋谷 たまに僕、片足立ちでパンチを打つ練習をして笑われるんですけど、あれって理にかなってたんですね。 平 うん、その練習は非常に有効。片足だと骨盤が動くから、強いパンチを打てる。筋トレするよりずっといいよ。
渋谷 まだ世間には知られていない危険な「必殺技」みたいなのはありますか? 平 フフフフフ。特別にちょっとだけ教えてあげようかぁ?(ニヤリ) 渋谷 お願いします(笑)。 平 今の団体は、ヒジ打ちOKだよね? 渋谷 はい。 平 じゃあ今度の試合で、こういうヒジ打ちをやってごらんよ。脇を締めて……(以下、企業秘密のため割愛)。 渋谷 おおおおおお! 危ない感じっすね。 平 すごいでしょ? たぶんこれ、将来的には使用禁止になるかもしれない。危なすぎるから。でも今んとこは大丈夫。使い方が普通と違うだけで、ヒジ打ちであることに違いはないから、ダメって言いようがないでしょ。まだ実戦で使ってる選手はいないだろうから、名前を付けて使ってごらんよ。話題になるよ。そのうちルールが変わって、禁止になるかもしれないけどね。だって、下手すりゃ人が死んじゃう技だから。
渋谷 寝技のときも使えますかね? 平 もちろん。こないだの試合、寝技で膠着したときにヒジで攻撃してたけど、あのやり方じゃ効かないよ。 渋谷 ヒジを畳むまでが大変で、相手に力が伝わらなかったですね。 平 肩が稼動しないからでしょ? でもさっき僕が教えたやり方だと、寝てやっても体重が乗るから、何倍も痛いよ。しかも自分がケガをするリスクも少ないんだわ、これ。 渋谷 ついでに寝技のときのヒザの使い方も教えてください。こないだの試合では、サイドポジションでヒザ頭を使って相手の頭を蹴ってみたんですけど、イマイチうまくいかなかったんですよ。 平 あれ、意外と効かないでしょ? 自分のヒザが痛いだけでしょ? 僕だったら、ヒザで蹴るんじゃなく、ヒザを落とすかな。相手の首、もしくは鎖骨を狙って。たぶんそれも禁止になるよ。ヤバイもん。死んじゃうから。 ――技術面ではなく、精神面に関する質問はありますか? 渋谷 海外へ試合に行くとき、飛行機で寝れないんですよ。 平 僕、すっげえ寝れるよ(笑)。 渋谷 コツは? 平 ない(笑)。よくよく思い出してみたら、僕もデビュー当初は寝れなかったけど、人間ってのはちゃんと必要量寝ていれば、何日か寝なくても、横になってるだけでも疲れは取れるらしい。それを知ってからは寝れるようになった。 渋谷 何時までに必ず寝るとか、普段から規則正しい生活を心がけたこともあるんですけどね。 平 それがよくないんじゃないかな。人間、寝ないと死ぬけど、寝れないなら寝れないでいいやと思えばそのうち寝れる。「寝れないってことはなんかひらめきがくるんだろうな」とでも思っときゃいいんですよ。案外そういう考え方が、プロにとって大事だよ。ケガをしても、「これはさらなる飛躍のためだ。新たな伝説の始まりだ」って前向きに考えればいいんです。そういう人を見たいんだよ、お客さんって。自分より悩みの大きい人を、わざわざお金払ってまで見たくないでしょ?(笑)「なんであの人あんなにすごいの!」ってのを見たい。演技でもやってればそうなっていきます。自分を演じてそのまんまいけば、やがてそっちが日常になってくるもんです。
渋谷 日常の食生活で、心がけてることってありますか? 平 あります。健康に気を使わない! 渋谷 えっ!? 平 健康に気を使った瞬間に「魔」が忍び寄ってくる。だから健康食品は決して食べない! 体にいいことはしない! よくものを噛まない! 野菜を食べない! ライオンって生肉を噛まずに食って、腹が減るまで寝てるだけですよね。でも牛は野菜ばっかずっと食い続けて、しかも最後は食われちゃう。どっちになりたいかっていったら、僕はライオンになりたいですからね(笑)。 渋谷 そのほか、プロとして身につけておいたほうがいいことってありますか? 平 主戦場は海外だよね。僕だったら英語を学ぶかな。ジョークの一つや二つを言って、「あの日本人、面白いな」って思われたほうがいいんじゃない? やっぱ人気商売だから。 渋谷 言葉は重要っすよね。 平 僕が現役時代は、勝ち負けはあんまり意識せず、「何をやったらお客さんが喜ぶかな?」ってことだけをいつも強く意識してました。シュートの時代は、確実に勝とうと思ってやってなかった。行くだけ行ってダメだったら寝ちゃう(笑)。それでも許されるキャラを自分で作り上げたんですよ。で、そんな僕がたまに勝つと「おおおお!」と観客が盛り上がるわけです。格闘技って「強いだけでも物足りない。強くなくても物足りない」っていう世界だから、なんらかの強烈な個性や武器が絶対必要。さっきのヒジ打ちなんかをモノにすれば、きっと世界でもウケると思うよ。 渋谷 ウケるっすよね。 平 うん、メシが食える。ただ、あれを今の打撃にうまいことミックスしないといけない。流れの中で「ここぞ」ってときに出せば効果的だけど、単発で使ったって当たらないよ。あとは自分で研究してくれ(笑)。 渋谷 頑張ります。今日はありがとうございました。 * * *
12月5日に予定されていた次戦は、渋谷のケガ(肋骨骨折)により流れてしまったが、近い将来、平から受け継いだ「必殺技」をお披露目する機会が訪れるはず。今後の渋谷に注目である。 (取材・文=岡林敬太) 【取材協力】 平 & STRAPPLE道場 http://strapple-taira.com/index.html STRAPPLE(ストライプル)は、平直行直轄の柔術道場。「仕事や学校で疲れた身体を、武術の知恵で元気に戻す」という趣旨のもと、東京都は大塚と南砂町、千葉県は幕張と行徳のゴールドジムの格闘技スタジオで開催されている。護身術や、総合格闘技の範疇に収まらない柔術の技術を学べる。「格闘技を楽しみながら体を動かす」という方針。無理のない範囲で、寝技、立ち技のスパーリングも行う。週に1日、身体のケアを兼ねながらストレス解消もできるとあって、仕事帰りのOL風の道場生もチラホラ。所在地、時間割、レッスンの案内、入会案内などの詳細は上記公式サイトまで。 【渋谷莉孔セミナー告知】 12月12日(土曜日)に都内で渋谷莉孔のセミナーが開催される。「試合もケンカもやることは一緒」という考えのもと、強いパンチの打ち方や、負けないメンタルの作り方、女性にもできる簡単護身術、減量やダイエットのコツなどを、渋谷本人がオリジナリティ溢れるロジックでわかりやすく指導。質疑応答コーナーや、記念撮影コーナーもあり。希望者は渋谷のパンチやキックを体感できるかも!? 日時/2015年12月12日(土曜日)19時00分~20時30分 会場/和術慧舟會HEARTS http://www.hearts-mma.com/ 東京都渋谷区代々木2-20-12呉羽小野木ビル1FA号 TEL:03-6383-4057 定員/先着20名。年齢・性別不問。格闘技未経験者も歓迎。 参加者はトレーニングウェアをご持参ください。 料金/前売り……4500円(振込先はメールにてご案内します) 当日券……5000円(前売りで定員に達した場合、当日券の販売は行いませんのでご注意ください) 応募/E-mail:contact@hearts-mma.com メールの件名に「渋谷莉孔セミナー参加希望」と明記し、 本文欄に、氏名・年齢・住所・電話番号をご記入の上、 上記アドレスまでメールをお送りください。 折り返しのメールにて、振込先等をお伝えします。
お笑い芸人、有名女医、格闘家……芸能界をドン底に突き落とす診療詐欺事件と暴力団の闇
芸能界を揺るがす、大規模な診療詐欺事件が明るみになりつつある。いまテレビ関係者はヒヤヒヤだ。 あるテレビのバラエティ番組に関わった制作会社スタッフは「疑惑の人物のひとりを、春ごろ番組に出演させたんですが、それ自体に問題がなくても、局員でその問題人物とかなり仲が良いのがいて、警察から事情を聞かれることがあるかも……」 単に出演者が事件に関わったというだけならまだしも、今回の詐欺事件は、暴力団が深く関与した大規模な組織犯罪。医師らがタレントやアスリートにアルバイト代わりにニセ患者役をさせていたという疑惑だけに、波紋は大きく広がりそうだ。 「番組を通じて知り合ったタレント仲間が犯罪グループ化している恐れもありますし、局内の人間がこれに加担している疑いが出てきているんです」(同) 事件は経営不振の医師などが患者と組んで虚偽の診療をでっち上げ、自治体などからの療養給付費を騙し取ったものだ。協力するニセ患者は医師らが声をかけていたほか、この仕組みの仕掛け役となった暴力団と直接やり取りをするケースも判明。ニセ患者となった者は保険証の番号を医療機関側に提供し、架空のカルテを作ってアルバイト代を受け取る形だった。これまで指定暴力団、住吉会系三次団体の組長や都内コンサルタント会社の役員、杉並区の接骨院の元経営者である柔道整復師、キックボクシングジムの代表ら中心人物が続々と逮捕されているが、協力者としてタレントやスポーツ選手の名前が次々と判明してきている。 「今テレビ局はどこも事件の情報収集を急いでいて、ウチでも心当たりがある者は局に名乗り出て事情を説明するよう言われました。できれば警察から聴取されるより早く状況をつかみたいといった感じです」(同) 吉本興業所属の芸人・しあつ野郎は、同じ事務所の芸人十数名を仲介していたブローカーとして関与。しあつから協力を求められた芸人Aは「1度に1万円の報酬をもらっていた」と話しているという。同様に協力していたお笑いコンビの片割れBについては、テレビ関係者が出演番組の予定を白紙にするという話も聞かれる。 また、関与は未確定ながら、中堅事務所に所属の20代の女性タレントBは、この疑惑で11月5日に決まっていた仕事予定を「体調不良」としてキャンセル。さらに逮捕された柔道整復師が募っていた協力者には格闘家の名前が続々と判明しつつある。 ある格闘技関係者からは「バイトしながら試合をしている貧乏格闘家に片っ端から声をかけていた元格闘家の興行主催者がいる」という話だが、この主催者は周囲に「犯罪だと知らなかった」と言っているという。 そして、この事件において早くから関与がウワサされてきたのが、テレビに多数出演して「年収数千万円」を自慢していたバブリーな女医で、一部スポーツ紙が名前を伏せて報道。前出の番組スタッフによると「局は彼女をブラックリスト入りさせていて、夏ごろに出演オファーをしないよう通達があった」という。女医はブログやTwitterを何事もなく更新しているが、最近は患者との金銭トラブルや経営していたクリニックの閉院のウワサが持ち上がっていた。 今回の事件は暴力団組織も関わった大掛かりなものとあって、捜査も暴力団担当の警視庁組織犯罪対策4課が担当しているが「大規模なので順を追って逮捕していく」と捜査関係者が今後続々と逮捕者が出ることをほのめかしている。 「診療報酬の詐欺は健康保険の制度を悪用した社会的悪影響の大きなものだから中途半端に捜査が打ち切られることは絶対ない。隅々までやれと警視庁から言われている」(捜査関係者) それだけに、少しでも関与していたタレントやアスリートにとってはただごとではない。「万一、関与が発覚した場合、その度合いに関係なくこの業界にはいられなくなると思う」と芸能プロ関係者。 「前にネットオークションの嘘の落札情報を書きこんだペニオク詐欺があったとき、一部タレントが『詳しい仕組みを知らずに協力してしまった』と言い逃れをしたけど、今回はそれが通用しないほど重い問題。事情を知らなかったと言って警察に逮捕されなかったとしても仕事は一切なくなると思った方がいい」 想像以上に広がりを見せる可能性があるこの事件、たとえブログで平静を装っていても、その更新がストップするのは時間の問題かもしれない。 (文=片岡亮)吉本興業公式サイトより

























