濱の狂犬、男泣き!――格闘家で俳優の黒石高大(29・神奈川)が12月13日(日)、大田区総合体育館にて開催されるリングス・前田日明主催の不良系格闘技大会『THE OUTSIDER(以下/アウトサイダー)』で引退試合を行う。対戦相手は、黒石と共に同大会を創成期から支えてきた“キング・オブ・アウトサイダー”こと啓之輔(32・栃木)。スター選手同士が最後に初めて激突するとあって、チケットの売れ行きは好調だという。ファイナルマッチを目前に控えた黒石が、引退を決意した経緯、恩人・前田日明への思い、引退後の人生設計などを、時に涙ぐみながら熱く語った。 ――いつ、なぜ、格闘技からの引退を決意したのでしょうか? 黒石 今年の8月下旬、キックボクシングの試合を間近に控えていたときに「この試合を含めてあと2試合でやめよう」と決めました。そのころ、誰に言うわけでもないんですけど、役者のことですごく悩んでいて。役者って、1人の力じゃどうにもならない。でも格闘技はやればやった分だけ返ってくるから、そっちに気持ちが傾いちゃっていた。それをある人にスパッと見抜かれて、やっぱ「二兎を追う者は一兎を得ず」かな、って思いました。いろんな撮影現場でいろんな役者さんを見ていると、名のある方たちもみんなすんげえ努力しているんですよ。でも俺は格闘技こそ一生懸命かもしれないけど、俳優のほうはペーペーのくせに一生懸命と言えるほど努力してんのか? って自問自答したときに、なんか違うなと思って。 ――格闘技をやめることを告げたら、周囲はどのような反応を? 黒石 格闘技で世話になった方々、一人ひとりに電話で報告したら、誰も引き止めてくれなかったですね(笑)。格闘技で大ケガをして、役者ができなくなっちゃうことを心配してくれていた人が多かったみたいで、みんな素直に「おつかれさま」って言ってくれました。 ――前田日明さんの反応は? 黒石 「あぁ、そうか」って感じ。前田さんに電話するときはいつも「絶対意思を曲げないです!」ってスタンスなので、前田さんも止めても無駄だとわかっていたと思うし。キックボクシングのときもそうだったんですけど、俺は「やらしてくれなきゃアウトサイダーには帰りません! 強くなりたいからキックに行きたいんです!」って言い張って、前田さんの了承をもらったんですよ。 ――そもそもなぜ、キックボクシングに走ったんですか? 黒石 総合格闘技は、やることが多すぎて宙ぶらりんになっちゃっていたので、このまんまじゃ俺は伸びないな、とにかく試合をいっぱいやらなきゃと思って。で、やることは少ないほうがほうがいいって考えで、「殴る蹴る」だけのキックに走ったんです。 ――引退試合の相手が啓之輔選手に決まった経緯を教えてください。 黒石 ラストにふさわしい相手とやりたいという思いがあって。デビュー戦で俺に土をつけた秋山(翼)くんかな? と最初は思ったんですけど、いまやったら普通に勝っちゃうんで、なんも壁がないのはつまんない。じゃあ武井(勇輝)ちゃんかな? とも思ったけど、パクられてシャバにいなかった。渋谷(莉孔)くんって話もあったけど、彼はいま世界でやっているんで、戻って来てくれってのは違うなと。で、必然的に最後に残ったのは、アウトサイダーでいま一番強いと言われる朝倉兄弟か、あとはやっぱりなんと言っても吉永(啓之輔)くん! ――その3人に絞られたわけですね。 黒石 3人とも強いし、あと3試合あるんだったら3人全員とやりたいけど、残りは1試合。となるとやっぱ、吉永くんしかいないでしょ! ってことになりました。 ――オファーを出したら、啓之輔選手はどのような反応を? 黒石 直接やりとりしたわけじゃないですけど、リングスさんによれば、二つ返事でOKしてくれたそうです。 ――啓之輔選手は自身のTwitterに「黒石とは戦友だ。ただの友達じゃねぇよ。だから戦う!」と書いています。 黒石 ありがたいですね。 ――2008年3月の第一回大会から携わってきたアウトサイダーに対し、いま何を思いますか? 黒石 感謝の気持ちしかないですよね。あれがなかったらもう俺なんかもう……オオオオオオ! ――うん? どうしました……!? 黒石 ……もう本当に……俺なんかただのカスでしかなくて、あれがなかったらたぶん、いまもずっと、あのまま行き迷っていたんで……(突然涙ぐむ)。本当にそこに対してはもう、感謝しかないんですよ。
目に涙を浮かべる黒石。
――多くの選手が他の団体に移籍したり、離脱したりする中、黒石選手はキックでの修行期間こそありましたが、ほぼアウトサイダー一筋でしたね。 黒石 風見鶏みたいにあっち向いたりこっち向いたりするのはよくないと思うし、なんと言っても、俺みたいなもんを引き上げてくれた場所なので、最後まで義理を通したかった。本当はアウトサイダーがなくなるまでずっとここにいるつもりでやってきたんですけど、今回こういう(引退という)形になっちゃいました。 ――アウトサイダーと出会ったことにより、何が変わりましたか? 黒石 まわりの対応ですよね。普通に生活している人たちから「頑張ってるね」と声をかけていただく機会が増えました。それまでは不良から「突っ張ってるな」「気合入ってるな」と認められることはあっても、一般の方から褒められることなんて一度もなかったですから(笑)。あとは、生活も変わりました。役者やモデルのお仕事をさせてもらえるようになったのも、すべてアウトサイダーのおかげです。 ――知名度が上がり、街でケンカを売られたりは? 黒石 街ではほとんどないですけど、「黒石とやりたい」と言ってジムに来たりする子はたまにいます。そういう子に負けたらナメられちゃうから、おかげでこっちも真剣に練習するようになりましたけどね。 ――女性にもモテるようになったのでは? 黒石 まぁ、調子に乗っているわけじゃなく(笑)、昔から女性にはモテていましたけど、その幅がさらに広くなりましたね。モデルとして雑誌に出始めたり、アウトサイダーで勝てるようになってからは、会場で女性客がウワーッと寄って来るようになった。あとは後輩らと会うたびに「黒石さんを紹介してくれって頼まれています。すごく可愛い子です」とかって、しょっちゅう言われるようにもなったんですけど、やっぱ俺、ずっと後輩らに支えられてきたんで。そいつらが狙っている子かもしれないな、って考えたときに、俺が片っ端から唾をつけたら、そいつらのプライドが傷つくし、安っぽいからやっちゃいけないなって思って。だからあるとき、「もう俺にそういう話は通さなくていいから。全部断ってくれ」って言ったら、そこにいた男全員がすっげえうれしそうな顔をしたんですよ(笑)。だから、あ、やっぱりいくら後輩だろうがなんだろうが、男としてヤキモチは焼くんだってことに気づいて。こいつらに支えられてきたんだから、こいつらに対していいことはしなくてもいいけど、イヤなことだけはしちゃいけないなって思ったんですよ。 ――実に黒石さんらしいエピソードですね。 黒石 俺がずっと負け続けている間、男たちが支えてくれたんですよ。そういう人間を裏切っちゃいけないなって。会場で女性が群がってくる間、男連中が遠くのほうで気まずそうな顔をしているのを見て、心が痛かったんですよね。俺は女性に対して、おまえらに支えてもらってきたわけじゃない、男が神輿を担いでくれたから俺はいまここにいるんだ!……って思いがあったんですけど、わざわざ声をかけに来てくれた女性を邪険に扱うわけにもいかず、そこはずっと複雑だったんですよ。 ――硬派ですね。 黒石 いや別に、女は大好きですよ(笑)。キャバクラだって飲みに行ったりしますし。ハハハ! ――旗揚げ戦ではジャーマンスープレックスを食らった末に敗れ、第2回大会では開始2秒で失神KOされるなど、デビュー当初の黒石さんは「負け」のイメージしかありませんでしたが、それがいまではアウトサイダーの通算成績が「17戦7勝7敗2分1ノーコンテスト」。随分、強くなりましたね。 黒石 ゼロからスタートしましたから、ずっと進化はし続けています。練習量も年々増えて、ハードトレーニングできるコツや根性も備わってきて、いまが一番伸び盛りだったのかなと。 ――格闘家として強くなるにつれ、心はどう変わりましたか? 黒石 本当に思うんですよ、体と心って一緒だなって。強い人間じゃないと、人には優しくできないと思うんです。弱いと、人を守ることすらできないじゃないですか。「食う食わない」の話で言ったら、強ければ食う食わないは自分のさじ加減で選べるけど、弱かったら「食われる」という一つの選択肢しかないですよね。男だったらやっぱり強くありたい。自分を守れるから初めて人を守れるんじゃないかな、って思います。 ――引退後は俳優業に専念するとのことですが、そのルックスを生かしてコワモテ系の役者として突き抜けたいですか? それとも幅広い役を演じたいですか? 黒石 それがまた格闘技の引退を決めた理由でもあるんですけど、本当はいろんなキャラを演じられるのが役者の醍醐味だと思うし、そうなりたいんです。でも格闘技のトレーニングを続けていると、どうしてもそういうオーラが抜けないんですよね。人と会った瞬間、こっちは笑っているのに、「強そう」だとか「威圧的な雰囲気が出ている」とかって言われることが多くて。そうなると役も狭まりますよね。だから格闘技の選手であることをやめて、その色を完璧に抜いて、一回ゼロになってから、役者に真面目に向き合おうと思ったんです。 ――役者一本で食べていく自信は? 黒石 正直、不安はありますけど、20代も残りわずかなので、ここらで一発勝負に出なきゃいけないのかなと思っています。 ――役者さんって、どういう日常なんですか? 黒石 不規則です。朝早かったり、夜遅かったり。起きる時間もバラバラだし、1カ月バッと仕事が入ったかと思えば、その翌月は何もなかったり。本当にシビアな世界ですね。仕事が入るときに限って、ほぼ同時に複数のお話をいただいたりするんですが、体は一つしかないですから、せっかくのお話を泣く泣くお断りしなきゃならないこともあったり。本当に役者ってうまくいかなくて難しいなって、いつもそこで悩んでいます。
――最近は、どんな作品に出演しているんですか? 黒石 いま上映中の『グラスホッパー』っていう映画にちょこっと出させていただいています。あとは、来年のゴールデンウィーク公開の『テラフォーマーズ』にも出させていただきます。 ――えっ!? あの話題の超大作『テラフォーマーズ』に出るんですか? それはすごい! 何役ですか? 黒石 ゴキブリではないです(笑)。ちゃんと、戦闘員の役です。最初、三池崇史監督にお会いしたときに、「今度『テラフォーマーズ』っていう映画を撮る。そのとき仕事を頼むからよろしくね」って言われまして。俺、『テラフォーマーズ』を知らなかったから慌てて原作の漫画を読んで、「うわ、俺ぜってーゴキブリ役だ!」って確信しました。でも三池崇史さんといえば、日本を代表する大監督じゃないですか。このチャンスを逃してなるものかと思って、「よーし、完璧なゴキブリをこなしてやる! 頑張るぞ!」って意気込んで衣装合わせに行ったら、スタッフさんが「黒石おめでとう! メインキャストだから!」って祝ってくれて。「え? ゴキブリじゃないんですか?」みたいな。 ――『テラフォーマーズ』の出演者をいま確認しましたが、錚々たる顔ぶれですね。伊藤英明、武井咲、山下智久、山田孝之、小栗旬……。 黒石 そうなんですよ! 俺以外スターしかいないから、現場では毎日ドキドキですよ。スターのみなさんは普段からめちゃくちゃ格好よくて、マネージャーの運転するアルファードとかヴェルファイアとかベンツとかで颯爽と現場入りするんですけど、そんな中、ペーペーの俺は自分の運転するプリウスで「恐縮です……恐縮です……」って感じで現場入り。俺みたいなもんが本当にここにいていいのかな? って毎日思っています。こういうウソみたいな大仕事をやらせてもらえるようになったのもすべて、もとをたどれば前田日明さんのおかげなんですよね。だから、キックボクシングでそのまま引退って話もあったけど、「いやいやいや、最後は何が何でも前田さんのところに帰って、そこで引退試合をやって、1人でも多くのお客さんを入れなきゃ」と。俺ができる恩返しといったら、それぐらいしかないんで。 ――将来の目標を教えてください。 黒石 役者として地位を築けたらいいなと思いますし、「絶対そうなってやる!」って腹をくくっています。たとえ食えなかったとしても、バイトでもしながら諦めないで役者を続けて行こうと思っています。ただの不良少年からここまで変われたんだ、という成功例になりたい。成功して初めて、自分の言葉が生きてくると思うんで。 ――「自分の言葉が生きてくる」とは? 黒石 たとえば最近は刺青の文化が若い子の間で定着しつつありますけど、そういうことに対しても、ひとこと言いたいんですよ。「俺がなんでこうやって役者の道を歩めたのかというと、刺青を入れなかったからだよ。将来の可能性を狭めないために、若いときのノリだけで簡単に刺青なんか入れちゃダメだよ」とかって。俺が役者として成功すれば、いろんな言葉が生きてくるっていうか、言葉に説得力が出ると思うんですよ。そういう発言力を得られるように、まずは自分が頑張らなきゃいけないですね。じゃないと「そういうおまえはどうなんだ?」って言われちゃいますから(笑)。 ――黒石さんの言葉にはすでに説得力が十分あると思いますが、そのバックボーンは何なのでしょう? 読書ですか? それとも誰かからいろいろ教わったんですか? 黒石 昔から人の話はよく聞きますね。俺は小さなころは利かん坊でしたし、オカンが社会不在だった時期もあるので、「あの子は親がいないから……」って周りからよく悪口を言われたんです。それである時期、親代りになってくれた親戚のおばちゃんから毎晩、2、3時間正座させられてコンコンと説教されるようになりまして。オカンがいない間はおばちゃんが生活の面倒をみてくれていたから、そこから逃げたら生きていけない。だから我慢して正座して耳を傾けるわけですよ。人の話を聞くようになったのは、そのころの影響が大きいと思います。 ――そんな幼少期の体験があったんですか。 黒石 そういえば、法を犯して施設に入ったときにかわいがってくれた方からも、「黒石、人の意見だけはちゃんと聞けよ。耳が痛い意見こそ、おまえに一番足りないもんだからな。我慢だ、我慢。ツラくても我慢しろよ」とずっと言い聞かされました。その影響もあって、イヤだなと思っても、とにかく我慢して話を聞こうと意識して生きています。 ――それだけ素直な黒石さんが、なぜグレたのでしょう? 黒石 もともとイジメられっ子だったんですよ。でも家に帰ってイジメられた話をすればオカンもおばさんも心配するだろうし、傷つくんじゃないかと思って。どうしたらいいのかわかんないときに、たどり着いたのが暴力でした。こっちが強くなればイジメられない。それだけです。ただ単に自分を守るための手段が暴力しかなかったんです。みんなが敵だったんで、俺。 ――黒石さんが人の痛みに敏感な理由がよくわかった気がします。では最後に、引退試合の話に戻りますが、「負けたら坊主にする」というのは本当ですか? 黒石 本当です。吉永くんは、負けたらどうするんですかね? 彼は格好いいし、おまけにチャラチャラしているから、イガグリの刑にしたやりたいですよね。俺の坊主よりも、吉永くんの坊主のほうが断然見ごたえがあるでしょう? ――「最後だから楽しもう」という意識はありますか? 黒石 いや、そういう気持ちはゼロです。全力で倒しに行きますよ。じゃないと周りが納得してくれません。みんなは、俺が逃げずに突っ込んで行くところを見たがっている。俺もそれをわかっているから、自分の腕を信じて振り抜くしかないですね。真っ向勝負で倒しに行きますから、どうかみなさん、俺の最後のタイマンを会場まで見に来てください! お願いします! (取材・文=岡林敬太/撮影=長谷英史) ●大会名…THE OUTSIDER 大田区総合体育館 SPECIAL ●日時……2015年12月13日(日)開場/13:00(予定)開始/14:00(予定) ●会場……大田区総合体育館 東京都大田区東蒲田1丁目11番1号 TEL/03-5480-6688 ●チケット購入方法 THE OUTSIDER事務局(TEL/03-3461-6698)宛の直接のお電話にてご購入いただけます。 ※事務局からのチケット発送後の返品・交換・キャンセルはお受けしておりません。あらかじめご了承ください。 ※チケットは3歳から必要となります。 ・ローソンチケット Lコード/33931 ・チケットぴあ Pコード/830-672 ●販売席種 VIP席………15,000円(最前列※パンフレット付/大会当日に会場内の専用ブースにてチケットの半券を提示してください。) SRS席………11,000円 RS席…………8,000円 S席……………6,000円 興行の中止を除いて、購入後のチケットのキャンセル/変更/払い戻しは一切お受けできません。 リングス公式サイト http://www.rings.co.jp/






リングス・前田日明が主催するアマチュア総合格闘技大会『THE OUTSIDER』(以下、アウトサイダー)。暴走族、チーマー、ギャングなどの「不良」をリングで戦わせ、格闘技を通じた更生を促すイベントとして人気を集めているが、7年目に突入した今、前田は何を思うのか? 昨年起きた乱入事件の顛末と余波、大会維持の苦労と今後の展望、そして多くの不良と接することで学んだ子育ての神髄などを、格闘王が語り尽くす!
──2008年3月に産声を上げたアウトサイダーも、いよいよ7年目に突入。安定期に入ったと言えるのでは?
前田日明(以下、前田) 全然安定期に入ってないですね。やはり世間の目ですよね。以前から何も変わってなくて……。昨年9月の大阪大会で事件【編注:大阪の地下格闘技団体『強者』の関係者がアウトサイダーの会場に乱入し暴れた事件】があって、世間が我々をどういうふうに見ていたのかということを、強く再確認しましたね。選手から一銭も取らずに、安いチケット料金で応援団も入りやすくして、選手のやる気を出すために賞金まで出して……。ランニングコストを入れると、ディファ有明なんかでは満員になっても赤字ですよ。そういう大会をコツコツ真面目にやってきたつもりなんですけど、世間はそうは見てくれていなかった。
──と申しますと?
前田 事件のあと、スポンサーが3分の2、いなくなりました。放映権料も減額です。正直言って、興行を維持するのが苦しい状態ですよ。だから今、スポンサー探しに孤軍奮闘してますけど、これがなかなか……。
──スポンサーを降りた人たちの声は?
前田 みな、コンプライアンスの問題だと言いますね。格闘技を通じた不良更生という大会趣旨を重々承知の上で協賛してくれていたはずなのに、今さらなんで? とビックリですよ。
──前田さんは一貫して、コンプライアンスを徹底していますよね?
前田 徹底してますよ。今回の事件についても完全に対処しました。事情聴取のために大阪府警の方々が東京まで何度も来てくれたし、自分らも大阪まで何度も足を運びました。
──昨年12月の大阪大会は厳戒態勢でしたね。
前田 アウトサイダーが用意したセキュリティーは110名。全員プロです。警察も90名ほど来て、機動隊のバスも2台。警察からも「サミットができる」と言われましたよ(笑)。
──結局、あの乱入事件の犯人たちは、何が目的だったのでしょう?
前田 俺を挑発して、暴れさせたかったんでしょう。俺が問題を起こせば、アウトサイダーが興行を打てなくなる。彼らは自分たちの団体から、アウトサイダーに選手が流れるのを恐れて、アウトサイダーを潰しにかかった。やり方が用意周到でしたね。ある一班が外で不法駐車して警察を巻き込んで暴れる、別の一班が近くのマンションから消化器を盗んで会場でぶちまける、そして別の一班が消防署に「火事です」と通報する……といった感じに、分担して計画的にやったみたいですね。
──事件後も、彼らから嫌がらせは?
前田 ありましたよ、いっぱい。昨年12月の大会前には、地元・大阪の選手全員や、うちの中心選手に、「(アウトサイダーには)出るな」という脅しが入りました。結果、地元の選手も出ない、地元選手の応援団のチケットも売れない、さらには警備上の問題で2階席も使えないという三重苦で、アウトサイダーの資金を全部吐き出しちゃった感じですね。今はなんとか存続させるために必死でやってます。俺、今年の1月から給料を取ってないんですよ。本当に。

横浜にケンカ自慢が大集結!──前田日明主催の格闘技イベント『RINGS × THE OUTSIDER』が9日、横浜文化体育館で行われた。因縁の再戦、自爆チョップ、あわや番狂わせ、海外対抗戦などなど、見どころの多かった今大会。ひときわ目立っていた試合と選手をクローズアップ!
●“横濱義道会初代総長濱の狂犬”
黒石高大(神奈川・27歳)
VS
“リアル刃牙”
渋谷莉孔(東京・28歳)
アウトサイダーの看板選手である両者。前回の対戦は互いに慎重になりすぎて、お見合いに終始。ファンの失望を買った。そこで主催者の前田日明は今回、再戦の舞台を用意した。
試合前の両者にインタビュー。まずは控え室に横たわり、無表情でストレッチをしていた渋谷から。
──体調はいかがでしょう?
「普通。全然、なんも用意してない」
──再戦を控えた今の心境は?
「仕方ないからやる、みたいな感じ」
──あまりこの試合には乗り気でない?
「ぶっちゃけ、キャンセルしてもよかったんですよ。カネがないから俺の階級のベルトを作る気がないって(主催者の前田日明に)言われて、一気にやる気がなくなっちゃった。(リングスは)ちょっとカネの使い方、間違ってるんじゃないか。あんな外人ばっかにカネ使ってるようじゃ、ダメでしょ」
──そんな中、今日の試合に向けて、どのように気持ちを奮い立たせてきたんですか?
「まだ全然奮い立ってない。試合30分前になってから、どうにかします」
──今回勝ったらどうするつもり?
「他んとこ行くかも。名古屋とか沖縄とかから、いっぱい声がかかってるんですよ。『ベルト作るから、来てくれ』と。ワンマッチでタイトルマッチやってくれるところもあるみたいだし、カネも出るし旅費も出るから、他行ったほうがいいのかな、と」
──ということは、勝っても負けてもアウトサイダーは今回で最後?
「試合後に何を言われるかによりますね。(ベルトを)作るって言われたら残るかもしれないけど」
……といった感じで、終始テンション低めの渋谷。「トレーニングは全然してない。ここ最近はずっと不摂生してた」と言うが、体は前回よりも鍛え上げられているように見える。











5周年を迎えたアウトサイダー。世代交代の波が、徐々にではあるが確実に押し寄せているようだ。
次回アウトサイダーは、9月8日(日)に大阪市中央体育館にて開催。初の関西進出なので、注目度の高い大会になりそうだ。チケット情報、選手募集情報などは、リングス公式サイト(







以下は、大会終了後の前田日明の記者会見から。
──大会の総括を。
前田「年々いろんな意味でレベルが上がってますね。今日は、ま~さ君なんかがそうなんですけど、彼、聞いたら今35で、格闘技始めたのが32らしいんですけど、打撃見たらすごい上手で。いやぁ、もうちょっと早くに始めてくれたらな、と思うような選手ですね。あと、若手で注目してるのが朝倉兄弟ね。19とハタチ。リングの上でも言ったんですけど、欲望や誘惑に負けずにちゃんと練習してほしいね。『センズリ、マ×コはほどほどにしとけよ』と言っときました」
──朝倉兄弟のどこが優れている?
前田「生まれつき持ってるリズムというか、スピード感というか。たぶん相当ちっちゃいときからやってたんでしょうね、いろんなことを」
──確か空手の経験者ですね。
前田「空手をやってるとしたらたぶん、フルコンタクト系じゃなくて寸止め系かな? 足の使い方がすごくいいんですよね。下半身の使い方がね。弟の海君は渋谷莉孔とやって、イケイケで前に出たところを渋谷にカウンター狙われたら危ないなと思っていたら、あにはからんや、決めかねましたからね。いやいや、楽しみですね。褒めちゃって練習しなくなるのが心配だけど、有望っちゃ有望ですよね。その他にも何人かいますけどね」
──高橋ルガー選手は3連勝ですが。
前田「すごくいい選手ですね。打撃も上手いですよね。ただ、まだグラウンドの奴と1回も当たってないんですよ。 で、今日リング上でね、『グラウンドはできる?』って聞いたら『できません』って(笑)。『全然できないんで(次の海外対抗戦は)打撃だけで行きます』って。 こういう選手はグラウンドの選手と当たって1回痛い目を見て成長するんだよね。まあ彼に限らずパンチに関しては、アウトサイダーがボクシングのスカウトの場だったらボクシング関係者が目を丸くするようなダイヤモンドの原石がいっぱいいますよね。でもグラウンドはある程度経験がないとダメ。立ってなんかやる感覚って、みんなこの世に生まれついて歩けるようになってから磨いてるんですけど、寝てどうこうってのは、やっぱりどうしても訓練がいるんですよね。もちろん生まれながらにセンスを持ってる子もいますけどね」
ここで、70-75kg級王者決定トーナメント優勝のソルジャーボーイ一樹がインタビュールームへ到着。










