人気お笑いトリオ、ジャングルポケットの太田博久が、レスリングの国内大会で入賞し、国際大会への出場権を獲得。その模様が『炎の体育会TV』(TBS系)で放送された。太田はもともと、県大会で優勝経験もある高校柔道の有段者。スポーツの素地はあったとはいえ、競技歴4カ月での挑戦の結果としては快挙といえる。 太田に限らず、よしもと芸人は“ガチンコ”でスポーツ競技に挑む者が多い。有名どころでは、女子ボクシングのオリンピック代表を目指していた、南海キャンディーズの山崎静代、ボクシングのプロライセンスを取得し試合デビューも果たしたロバートの山本博が知られている。 「例えば同じ体を使ったよしもと芸人でも、品川庄司の、庄司智春の“マッチョ”はナルシストキャラが入り、“笑い”に昇華されていますよね。一方で、しずちゃん、山本、太田は本気度が高い。もともと、よしもと芸人は芸人の層が厚く、入れ替わりも激しい。常に新境地を模索する必要があるため、その結果ともいえるでしょう」(芸能記者) 吉本興業の給料は完全歩合制かつ、ギャラの取り分は会社9、タレント1ともいわれる。先ごろ、ペナルティのワッキーが「月給14万円」を告白したことも記憶に新しい。ブレークを果たし、知名度を得ても仕事がなければ給料にはつながらない。「オリンピック代表」くらいの大きな目標を掲げなければ、芸人として生き残れないのかもしれない。 「さらに、近ごろのバラエティ番組は視聴者の目が肥えているため、ヌルい企画はすぐに飽きられてしまうため、より過激な要素が求められています。それでも暴露話など、単発企画はストックに限りがあります。『芸人がオリンピック代表に挑戦』といった長期的に継続でき、なおかつ感動要素のある企画ならば、テレビ局も喜んで飛びつくでしょう」(同) 果たして、猫ひろしに続く、芸人出身のオリンピック選手が誕生するのか? ジャングルポケット太田の今後の活躍に期待したい。 (文=平田宏利)撮影=河野英喜
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次世代の天才憑依型芸人 ロバート秋山「僕が一番クリエイターなのかもしれない……」
最近、この男の周囲がなんだか騒がしい。ロバート秋山。デビュー間もない段階で『はねるのトびら』(フジテレビ系)に抜擢され、2011年には「キングオブコント」で完全優勝。常にお笑いの一線で活躍してきた秋山が、いま「天才」という称号で再び注目を集めている。毎回さまざまな「クリエイター」になりきってインタビューを受ける「クリエイターズ・ファイル」(https://www.youtube.com/channel/UCJk8dZsM8SIGzIBJ-rDcB3Q)をきっかけに「天才憑依型芸人」の名をほしいままにしている彼に、今あらためてその胸の内を訊いた。 ――今年も「THE EMPTY STAGE」が開催されますね。秋山さんは、栄えあるトップバッターということで。 ロバート秋山(以下、秋山) 本当に、単純に30分間フリーにしゃべるだけなんですよ。このステージは全体的に即興というノリで、お題もお客さんにその場でもらったり、ルールがない。ただいつものライブ会場とはちょっと違う、大人な空間で、みんなドレスアップして来てるので、その空気に負けないようにしないとな、とは思ってます。 ――「大層なことをやらなきゃいけないんじゃないか」みたいな圧力でしょうか? 秋山 そう。かといって「私はこんなドレスアップしてきてるのに、あなたそんなしょうもないことやるの?」とか思われるのもイヤだから、プレッシャーはありますよ。「THE EMPTY STAGE」はBGMも生演奏なので、ミュージシャンとセッションはしたいですね。あと、即興でやるコントブロックも相当な見もの。お客さんからお題をもらって、設定もその場で決めて、BGMが即興で合わせて。これはすごい。とにかく、僕自身が一番楽しみにしているかもしれない。 ――「クリエイターズ・ファイル」がインターネットから火がついて、いま取材などでお忙しいのではないですか? 秋山 いやいや、全然。ネットの記事は取材もなしに勝手に広まったので、一番効率いいかな(笑)。俺、SNSとか、まったくやってないんですよ。スマホに替えて3カ月くらいたちますけど、やっぱりまだガラケーとの2台持ちですもん。ブログもやったことない。でも、1年以上やってた「クリエイターズ・ファイル」がじわじわ広がって、世間に見つかった時にはもう十何本ネタがあったんで、いいバレ方したなと思います。この十何回続いたタイミングでバレてよかった。「こいつは何やってたんだ」「何じわじわやってたんだよ」って思ってもらえるのが。 ――「天才秋山」という評価に対しては? 秋山 あの記事見た時、すぐに覚えたての“スクリーンショット”しました(笑)。いつか自分の娘が大きくなった時に「パパ、こんなふうに言われていた時があったんだぜ」って見せるために。 ――一視聴者から見ると、ずっと一線で活躍されていて、今なぜ爆発的に……と思うのですが、ご自身はこの「バレ方」をどのように分析されていますか? 秋山 正直なところ、やってる芸風を変えているつもりもないし、ずっとあんなんばっかりやってきたんですよ。最近、たまたま「自分の時間を好きに使ってください」という番組に出させてもらったり、あと芸歴が積み重なってきたこともあって、いいように出せたんでしょうね。「クリエイターズ・ファイル」だって、昔からコントであんなことばっかりやっていて、それを、ただただ紙面上でもやってみようと思ったのがきっかけですし。「TOKAKUKA」も、あんな変な歌は前からずっと作ってましたし。なんでしょうね、見てもらえるサイクルが、ちょうど合ったんでしょうね。「クリエイターズ・ファイル」も、気づかれないまま、中途半端に終わる可能性もあったでしょうし。たぶん自分でガツガツいかないほうが、重なったときに「うわ、何やってんの?」っていう驚きがあると思う。どうしてもイヤなんですよね……SNS。撮影=後藤秀二
――なぜ、そんなにイヤなんでしょう? 秋山 本当に苦手なんですよ。だから、今さら覚えたくないというのもあります……基本的に「こっそりやりたい」みたいな。こっそりやって、気づく人だけ気づいてくれたほうが、居心地がいいのかもしれないですね。6年くらい月イチでやっている「ロバート企画」、これは本当に自分たちがやりたいことだけをやるライブなんですけど、全然客席は埋まらず。それが最近、徐々に埋まり始めていて、そうなると、もともと遊んでた感じじゃなくて、大がかりな感じになってしまう。深夜からゴールデン行く、みたいなね。だから、そこは変えないように気をつけていますけど。 ――秋山さんはお笑い好き以外にも知名度がとても高いのに、絶妙な地下感を残している、稀有な芸人さんだと思います。 秋山 それはありますね(笑)。意図的じゃないけど、好みがそっち方向なんですよね。そういうお笑いが好きなの。 ――『はねるのトびら』でブレークしたとき、戸惑いはなかったですか? 秋山 芸人でもいろいろなタイプがいて、ウワァ~って盛り上がるのが得意な人と、そうじゃない人と。自分はどちらかというと後者だから、メインじゃない二番手、三番手くらいで「お前、勝手にやって」って言われるのが好きなんです。『はねる』の深夜時代は、まさにそんな感じでやらせてもらいましたが、ゴールデンになって、出演者みんな、だいぶ意識はしましたよね。お茶の間も見ているし、みたいな。そうなるとわかりやすいほうに行ってしまう。現実問題として、深夜やっているようなものだけじゃ、番組継続は無理ですし。 ――痛しかゆしだなぁ。 秋山 だから「クリエイターズ・ファイル」はどこまで知られようと、まったくクオリティを変えません。普通なら編集されるような間を使ったり、なんかヘンな感じに。 ――秋山さんは、どのようにキャラクターを作り上げているのですか? 秋山 「よし1本作ろう」って感じでもないんですよね。一応メモってはいますよ。気になるやつとか。「クリエイターズ・ファイル」でいえば「インディアンジュエリーのショップオーナー」とかはほとんど決めつけなんですけど「一回どこかで修行してそうだな」とか。大御所のファッションデザイナーは、黒ずくめでパッツンパッツンの髪形で、とか。決めつけ(笑)。「こういう人って、こういうこと言いそうだな~」の要素が多そうなものをまず集めて、「言いそうだな~」がたくさんたまってから出すときもありますし、ほとんどゼロに近いのに、ただただその衣装を着てみたいからやることもある(笑)。ただただウソの塊のやつ。でも「っぽく」無理やり言い切ると、なんとなくそう見えてくるから不思議です。 ――無理やり言い切る。 秋山 そう、俺ビジネスで契約取るとか、案外イケそうな気がしますもん(笑)。 ――すごい契約取れそうですね(笑)。 秋山 何も中身はないけど、それっぽいこと言って、お客さんを納得させていたかもしれないですね。「僕は、契約をさせたくはない。なぜなら味方だから」「上の人間は契約契約と言うだろうけど、気にしないでください。僕が全部かぶりますから」みたいなことあえて言っちゃうと、この人信頼できる……ってなるじゃないですか。そういう手法をバンバン使うかもしれないですね。一流の詐欺師になれるかもしれないです。 ――一流の詐欺師……。 秋山 ウエディングプランナーとか会ったことないですけど、この間たまたまウエディングプランナーの方が『情熱大陸』(TBS系)に出ていたのを見たんですよ。でもそうやって本物と偽物で答え合わせすると、俺がテキトーに言ったことを本物の人が言ってたりする。
――やっぱり「憑依」してるんですね。 秋山 わりと俺自身は冷静なんですよ。「何ペラペラと言ってんだ、俺」「待てよ、覚えておかなきゃだな、この流れを」とか、しゃべりながら考えてる。もともと「素」を見せるのが苦手なんです。すぐ扮しちゃう。だから、ドッキリとかリアクションは、まぁ面白くない(笑)。それは、馬場や山本がやったほうが面白い。それぞれフィールドが違うんですよ。 ――自分をも欺くのが、一流の詐欺師であると(笑)。 秋山 以前、深夜番組でマルチ商法のネタをやったことがあるんですけど、その時にね、喫茶店で本業の方からスカウトされたことがあるんですよ。スーツ着た2人組の方に「……秋山さんですよね?」って。 ――怖っ! 秋山 名刺出されて「見てます。うまいですよね。僕もそういうビジネスやってるんですけど、もしよかったら、やってみませんか?」って。いやいやいや。 ――でもそれ、最高評価ってことですよね。 秋山 最高評価ですけど、そりゃそうですよ。よく行く喫茶店でネタ作ってたら、まさにそういう勧誘されている方が隣にいて、盗み聞きしてただけなんだから。完コピ(笑)。 ――秋山さんは、もともとお笑い芸人という職業に憧れていたのですか? 秋山 ウケを取るのは好きでした。学校の集会とかキャンプファイアの出し物とか体育祭とか、そういう行事で積極的に何かやってましたね。ただフザケたい。そして、卒業文集の「ひょうきんランキング」に入りたい。まぁ、2位どまりだったんですけど(笑)。でも、まさか職業にするとは思っていなかったですよ。上京してアルバイトしている時に、たまたまお笑い雑誌を手に取って、「おお」と。 ――上京してからだったんですか。 秋山 ご存じかもしれませんが、うちはオヤジが変わってて「就職するな」「とにかくアメリカに行け」って、それしか言わない。「学資保険貯めたけど、大学に行くならあげない」とか、「何言ってんだ?」っていう感じでしたもん。大人になればなるほど思いますよ。子どもに「勉強すんな」って親が言うの、相当だよなと。 ――(笑)。その、お笑い雑誌を手に取って、決意はすぐに固まりましたか? 秋山 単純に「やってみたい」と思いました。まだ10代でしたし、やってみてイヤだったら逃げればいいしって。イヤなヤツからは結構逃げてきました。バイトでも「うわ、マジめんどくさい」と思ったら、すぐ逃げ出してきました。
――トリオとピンで、ネタはどう分けているんですか? 秋山 そうですね。やっぱりネタにおいて確実にウケるのは、トリオのときなんですよ。馬場が乗っかって、山本がツッコんで……。だから、思い浮かんだネタは、まずロバートのところに持っていく。そこで3人で「これ使えないな」「3人いらねぇな」ってなったら、俺一人でやります。逆に、一人でやって見つけたネタを、3人でやることもあります。「体ものまね」はまさにそうで、「お面を渡す役」を作ったほうが面白かった。 ――「体ものまね」は、『はねるのトびら』の番組終了あたりから始めたんですよね。 秋山 『はねる』が続いて、レギュラーはほぼそれしかなかったし、終わった時に「あいつら、ほかに何もねぇな」って言われるのイヤだなぁって思っていたんです。その時に、たまたまテキトーにやったのが「体ものまね」だったんですよ。だからちょうどいい感じに、途切れずにこの世界にいれたっていう感じですかね。『はねる』の最終回で「好き勝手やってください」って言われたからこそ、出せた。 ――秋山さんは「好き勝手やってくれ」と言われたほうがいいんですね。 秋山 もう完全にそう(笑)。僕の場合は、自由になる時間をいただいて、話しやすい相手……僕だったらずっと一緒にやっている同年代の作家さんがいるんですけど、その作家さんと雑談しながら、お互いにわかり合ったネタをチョイスして……っていうのが最高ですね。全権限こちらにいただければ、それだけ濃いものができる。 ――秋山さん自身が、一番のクリエイターじゃないですか。 秋山 そう、僕が一番クリエイターなのかもしれません(ニヤリ)。でも、やりたいことをただやってるだけなんですよ。 ――悪意ギリギリのところを突いてくるキャラクターのクリエイション、すごい(笑)。 秋山 根本的に、バカにしてるんだと思います。ちょっとカッコつけすぎてる人とか、絶対に忘れないですから(笑)。 ――いかに相手にバレないようにバカにするか、ですよね。 秋山 そうなんですよ。だけど、それをあえて言っちゃう人とか、いるじゃないですか。「バカにしてますよ~」って。直接「こういう人っていません?」とは言わずに、温度と空気わかってくれる人たちとそれを共有するところに面白さがあると思うんだけど。 ――そういう芸風が出せるようになるには、確かに時間が必要だったかもしれませんね。 秋山 ある程度の「味」みたいなものは必要だと思います。だってこれ、若造がやったら鼻につきますよ。かといって、おじさんすぎてもダメだろうし。ちょうどいい年齢になったんだろうなと思う。 ――このインタビューも、どこかの誰かになりすましていたりして……。 秋山 それは否定できない(笑)。 (取材・文=西澤千央) ●「THE EMPTY STAGE 2016 SUMMER」 日時:8月1日(月)~14日(日) 平日19:30開演、土日祝13:00/17:00開演 場所:「BENOA銀座店」(東京都中央区銀座6-13-16パセラリゾーツ銀座店B3F) 主催:吉本興業株式会社/株式会社フジテレビジョン チケット:前売3,900円/当日4,300円 HP:http://the-empty-stage.jp/
次世代の天才憑依型芸人 ロバート秋山「僕が一番クリエイターなのかもしれない……」
最近、この男の周囲がなんだか騒がしい。ロバート秋山。デビュー間もない段階で『はねるのトびら』(フジテレビ系)に抜擢され、2011年には「キングオブコント」で完全優勝。常にお笑いの一線で活躍してきた秋山が、いま「天才」という称号で再び注目を集めている。毎回さまざまな「クリエイター」になりきってインタビューを受ける「クリエイターズ・ファイル」(https://www.youtube.com/channel/UCJk8dZsM8SIGzIBJ-rDcB3Q)をきっかけに「天才憑依型芸人」の名をほしいままにしている彼に、今あらためてその胸の内を訊いた。 ――今年も「THE EMPTY STAGE」が開催されますね。秋山さんは、栄えあるトップバッターということで。 ロバート秋山(以下、秋山) 本当に、単純に30分間フリーにしゃべるだけなんですよ。このステージは全体的に即興というノリで、お題もお客さんにその場でもらったり、ルールがない。ただいつものライブ会場とはちょっと違う、大人な空間で、みんなドレスアップして来てるので、その空気に負けないようにしないとな、とは思ってます。 ――「大層なことをやらなきゃいけないんじゃないか」みたいな圧力でしょうか? 秋山 そう。かといって「私はこんなドレスアップしてきてるのに、あなたそんなしょうもないことやるの?」とか思われるのもイヤだから、プレッシャーはありますよ。「THE EMPTY STAGE」はBGMも生演奏なので、ミュージシャンとセッションはしたいですね。あと、即興でやるコントブロックも相当な見もの。お客さんからお題をもらって、設定もその場で決めて、BGMが即興で合わせて。これはすごい。とにかく、僕自身が一番楽しみにしているかもしれない。 ――「クリエイターズ・ファイル」がインターネットから火がついて、いま取材などでお忙しいのではないですか? 秋山 いやいや、全然。ネットの記事は取材もなしに勝手に広まったので、一番効率いいかな(笑)。俺、SNSとか、まったくやってないんですよ。スマホに替えて3カ月くらいたちますけど、やっぱりまだガラケーとの2台持ちですもん。ブログもやったことない。でも、1年以上やってた「クリエイターズ・ファイル」がじわじわ広がって、世間に見つかった時にはもう十何本ネタがあったんで、いいバレ方したなと思います。この十何回続いたタイミングでバレてよかった。「こいつは何やってたんだ」「何じわじわやってたんだよ」って思ってもらえるのが。 ――「天才秋山」という評価に対しては? 秋山 あの記事見た時、すぐに覚えたての“スクリーンショット”しました(笑)。いつか自分の娘が大きくなった時に「パパ、こんなふうに言われていた時があったんだぜ」って見せるために。 ――一視聴者から見ると、ずっと一線で活躍されていて、今なぜ爆発的に……と思うのですが、ご自身はこの「バレ方」をどのように分析されていますか? 秋山 正直なところ、やってる芸風を変えているつもりもないし、ずっとあんなんばっかりやってきたんですよ。最近、たまたま「自分の時間を好きに使ってください」という番組に出させてもらったり、あと芸歴が積み重なってきたこともあって、いいように出せたんでしょうね。「クリエイターズ・ファイル」だって、昔からコントであんなことばっかりやっていて、それを、ただただ紙面上でもやってみようと思ったのがきっかけですし。「TOKAKUKA」も、あんな変な歌は前からずっと作ってましたし。なんでしょうね、見てもらえるサイクルが、ちょうど合ったんでしょうね。「クリエイターズ・ファイル」も、気づかれないまま、中途半端に終わる可能性もあったでしょうし。たぶん自分でガツガツいかないほうが、重なったときに「うわ、何やってんの?」っていう驚きがあると思う。どうしてもイヤなんですよね……SNS。撮影=後藤秀二
――なぜ、そんなにイヤなんでしょう? 秋山 本当に苦手なんですよ。だから、今さら覚えたくないというのもあります……基本的に「こっそりやりたい」みたいな。こっそりやって、気づく人だけ気づいてくれたほうが、居心地がいいのかもしれないですね。6年くらい月イチでやっている「ロバート企画」、これは本当に自分たちがやりたいことだけをやるライブなんですけど、全然客席は埋まらず。それが最近、徐々に埋まり始めていて、そうなると、もともと遊んでた感じじゃなくて、大がかりな感じになってしまう。深夜からゴールデン行く、みたいなね。だから、そこは変えないように気をつけていますけど。 ――秋山さんはお笑い好き以外にも知名度がとても高いのに、絶妙な地下感を残している、稀有な芸人さんだと思います。 秋山 それはありますね(笑)。意図的じゃないけど、好みがそっち方向なんですよね。そういうお笑いが好きなの。 ――『はねるのトびら』でブレークしたとき、戸惑いはなかったですか? 秋山 芸人でもいろいろなタイプがいて、ウワァ~って盛り上がるのが得意な人と、そうじゃない人と。自分はどちらかというと後者だから、メインじゃない二番手、三番手くらいで「お前、勝手にやって」って言われるのが好きなんです。『はねる』の深夜時代は、まさにそんな感じでやらせてもらいましたが、ゴールデンになって、出演者みんな、だいぶ意識はしましたよね。お茶の間も見ているし、みたいな。そうなるとわかりやすいほうに行ってしまう。現実問題として、深夜やっているようなものだけじゃ、番組継続は無理ですし。 ――痛しかゆしだなぁ。 秋山 だから「クリエイターズ・ファイル」はどこまで知られようと、まったくクオリティを変えません。普通なら編集されるような間を使ったり、なんかヘンな感じに。 ――秋山さんは、どのようにキャラクターを作り上げているのですか? 秋山 「よし1本作ろう」って感じでもないんですよね。一応メモってはいますよ。気になるやつとか。「クリエイターズ・ファイル」でいえば「インディアンジュエリーのショップオーナー」とかはほとんど決めつけなんですけど「一回どこかで修行してそうだな」とか。大御所のファッションデザイナーは、黒ずくめでパッツンパッツンの髪形で、とか。決めつけ(笑)。「こういう人って、こういうこと言いそうだな~」の要素が多そうなものをまず集めて、「言いそうだな~」がたくさんたまってから出すときもありますし、ほとんどゼロに近いのに、ただただその衣装を着てみたいからやることもある(笑)。ただただウソの塊のやつ。でも「っぽく」無理やり言い切ると、なんとなくそう見えてくるから不思議です。 ――無理やり言い切る。 秋山 そう、俺ビジネスで契約取るとか、案外イケそうな気がしますもん(笑)。 ――すごい契約取れそうですね(笑)。 秋山 何も中身はないけど、それっぽいこと言って、お客さんを納得させていたかもしれないですね。「僕は、契約をさせたくはない。なぜなら味方だから」「上の人間は契約契約と言うだろうけど、気にしないでください。僕が全部かぶりますから」みたいなことあえて言っちゃうと、この人信頼できる……ってなるじゃないですか。そういう手法をバンバン使うかもしれないですね。一流の詐欺師になれるかもしれないです。 ――一流の詐欺師……。 秋山 ウエディングプランナーとか会ったことないですけど、この間たまたまウエディングプランナーの方が『情熱大陸』(TBS系)に出ていたのを見たんですよ。でもそうやって本物と偽物で答え合わせすると、俺がテキトーに言ったことを本物の人が言ってたりする。
――やっぱり「憑依」してるんですね。 秋山 わりと俺自身は冷静なんですよ。「何ペラペラと言ってんだ、俺」「待てよ、覚えておかなきゃだな、この流れを」とか、しゃべりながら考えてる。もともと「素」を見せるのが苦手なんです。すぐ扮しちゃう。だから、ドッキリとかリアクションは、まぁ面白くない(笑)。それは、馬場や山本がやったほうが面白い。それぞれフィールドが違うんですよ。 ――自分をも欺くのが、一流の詐欺師であると(笑)。 秋山 以前、深夜番組でマルチ商法のネタをやったことがあるんですけど、その時にね、喫茶店で本業の方からスカウトされたことがあるんですよ。スーツ着た2人組の方に「……秋山さんですよね?」って。 ――怖っ! 秋山 名刺出されて「見てます。うまいですよね。僕もそういうビジネスやってるんですけど、もしよかったら、やってみませんか?」って。いやいやいや。 ――でもそれ、最高評価ってことですよね。 秋山 最高評価ですけど、そりゃそうですよ。よく行く喫茶店でネタ作ってたら、まさにそういう勧誘されている方が隣にいて、盗み聞きしてただけなんだから。完コピ(笑)。 ――秋山さんは、もともとお笑い芸人という職業に憧れていたのですか? 秋山 ウケを取るのは好きでした。学校の集会とかキャンプファイアの出し物とか体育祭とか、そういう行事で積極的に何かやってましたね。ただフザケたい。そして、卒業文集の「ひょうきんランキング」に入りたい。まぁ、2位どまりだったんですけど(笑)。でも、まさか職業にするとは思っていなかったですよ。上京してアルバイトしている時に、たまたまお笑い雑誌を手に取って、「おお」と。 ――上京してからだったんですか。 秋山 ご存じかもしれませんが、うちはオヤジが変わってて「就職するな」「とにかくアメリカに行け」って、それしか言わない。「学資保険貯めたけど、大学に行くならあげない」とか、「何言ってんだ?」っていう感じでしたもん。大人になればなるほど思いますよ。子どもに「勉強すんな」って親が言うの、相当だよなと。 ――(笑)。その、お笑い雑誌を手に取って、決意はすぐに固まりましたか? 秋山 単純に「やってみたい」と思いました。まだ10代でしたし、やってみてイヤだったら逃げればいいしって。イヤなヤツからは結構逃げてきました。バイトでも「うわ、マジめんどくさい」と思ったら、すぐ逃げ出してきました。
――トリオとピンで、ネタはどう分けているんですか? 秋山 そうですね。やっぱりネタにおいて確実にウケるのは、トリオのときなんですよ。馬場が乗っかって、山本がツッコんで……。だから、思い浮かんだネタは、まずロバートのところに持っていく。そこで3人で「これ使えないな」「3人いらねぇな」ってなったら、俺一人でやります。逆に、一人でやって見つけたネタを、3人でやることもあります。「体ものまね」はまさにそうで、「お面を渡す役」を作ったほうが面白かった。 ――「体ものまね」は、『はねるのトびら』の番組終了あたりから始めたんですよね。 秋山 『はねる』が続いて、レギュラーはほぼそれしかなかったし、終わった時に「あいつら、ほかに何もねぇな」って言われるのイヤだなぁって思っていたんです。その時に、たまたまテキトーにやったのが「体ものまね」だったんですよ。だからちょうどいい感じに、途切れずにこの世界にいれたっていう感じですかね。『はねる』の最終回で「好き勝手やってください」って言われたからこそ、出せた。 ――秋山さんは「好き勝手やってくれ」と言われたほうがいいんですね。 秋山 もう完全にそう(笑)。僕の場合は、自由になる時間をいただいて、話しやすい相手……僕だったらずっと一緒にやっている同年代の作家さんがいるんですけど、その作家さんと雑談しながら、お互いにわかり合ったネタをチョイスして……っていうのが最高ですね。全権限こちらにいただければ、それだけ濃いものができる。 ――秋山さん自身が、一番のクリエイターじゃないですか。 秋山 そう、僕が一番クリエイターなのかもしれません(ニヤリ)。でも、やりたいことをただやってるだけなんですよ。 ――悪意ギリギリのところを突いてくるキャラクターのクリエイション、すごい(笑)。 秋山 根本的に、バカにしてるんだと思います。ちょっとカッコつけすぎてる人とか、絶対に忘れないですから(笑)。 ――いかに相手にバレないようにバカにするか、ですよね。 秋山 そうなんですよ。だけど、それをあえて言っちゃう人とか、いるじゃないですか。「バカにしてますよ~」って。直接「こういう人っていません?」とは言わずに、温度と空気わかってくれる人たちとそれを共有するところに面白さがあると思うんだけど。 ――そういう芸風が出せるようになるには、確かに時間が必要だったかもしれませんね。 秋山 ある程度の「味」みたいなものは必要だと思います。だってこれ、若造がやったら鼻につきますよ。かといって、おじさんすぎてもダメだろうし。ちょうどいい年齢になったんだろうなと思う。 ――このインタビューも、どこかの誰かになりすましていたりして……。 秋山 それは否定できない(笑)。 (取材・文=西澤千央) ●「THE EMPTY STAGE 2016 SUMMER」 日時:8月1日(月)~14日(日) 平日19:30開演、土日祝13:00/17:00開演 場所:「BENOA銀座店」(東京都中央区銀座6-13-16パセラリゾーツ銀座店B3F) 主催:吉本興業株式会社/株式会社フジテレビジョン チケット:前売3,900円/当日4,300円 HP:http://the-empty-stage.jp/
ロバート馬場、カンニング竹山、グッチ裕三……芸能界“料理芸人”のメリットとは
お笑い芸人トリオ、ロバートの馬場裕之がレシピ本『ロバート馬場ちゃんの毎日毎日おいしい本』(KADOKAWA)を出版した。17日に行われた発表記念イベントでは、同じくロバートの秋山竜次や山本博も登場し、「母親の料理よりもおいしい」と馬場の料理の腕前を絶賛していた。 「レシピ本出版のキッカケとなったのは、先輩芸人の今田耕司だそうです。今田が馬場の料理を絶賛したことで評判が広まり、テレビなどで披露するようになったといいます」(芸能ライター) 今回のレシピ本出版は、馬場とロバートにとって初めての著書。芸人なのに、初の書籍がお笑いではなく料理なのは痛しかゆしだが、実際、料理自慢の芸人は多い。 「不遇の時代にアルバイトとして飲食店で働いた経験があったりしますからね。例えば、カンニング竹山などはバラエティ番組でも飲食店勤務の経験をアピールしていますよね。飲食店勤務の経験があるだけで、料理上手というわけでもなさそうですが(笑)。本格派なのが、メッセンジャー黒田。元板前でふぐ調理師の免許も持っています。ハイキングウォーキングの松田洋昌も芸人になる前は、パティシエとして洋菓子店で働いていたそうです」(同) 一方、趣味が高じて、料理に一家言持つようになった芸人も。 「代表的なのは、グッチ裕三でしょう。1990年代後半ぐらいから料理の分野に進出し、レシピ本の出版は言うに及ばず、テレビ番組の中で自身の料理コーナーを持ったり、02年からはNHK『きょうの料理』にレギュラー出演しています。もはや、料理が本業と言っていいほど。また、キム兄こと木村祐一やキャイ~ンの天野ひろゆきも、料理好きとして知られています。前者はコンビニ弁当をプロデュースしたり、後者は『リンカーン』(TBS系)といった番組などで料理に対する造詣の深さを披露していましたね。そのほかにもペナルティのヒデやほっしゃん。、チュートリアルの徳井義実と福田充徳も料理好きのようです。ああ、それと忘れちゃいけないのはタモさんですね(笑)」(同) 料理自慢の芸人にとってオイシイのは、趣味の料理が仕事に結びつくということ。グルメ番組や料理対決などのバラエティ番組といった具合に、料理ができる芸人には一定のニーズがある。うまくすれば、今回の馬場のようにレシピ本の出版まで期待できる。“芸は身を助ける”とは、まさにこのことだろう。『ロバート馬場ちゃんの毎日毎日おいしい本』(KADOKAWA)
ロバート コント日本一をかっさらった暴風雨・秋山竜次の芝居に宿る「殺気の正体」

『キングオブコント2011』
(よしもとアール・アンド・シー)
深夜のコント番組だった頃の『はねるのトびら』(フジテレビ系)で、ロバートの秋山竜次を初めて見たときの衝撃は忘れられない。生きのいい新世代芸人がそろっていたこの番組の中でも、秋山の存在感は別格だった。アクの強い破天荒なキャラクターを演じて、勢いだけで一方的に場をかき回し、根こそぎ笑いをさらっていく。ウド鈴木のような愛される天然ボケでもなく、江頭2:50のような体を張った力づくのボケでもない。破壊力のあるキャラクターを演技とも本気ともつかないテンションで演じ切ることで笑いを生み出すというのは、今まで見たこともない革新的な芸風だった。
秋山は、ロバートというトリオの中でも間違いなく中心的な存在であり、桁外れの破壊力を秘めた核弾頭の役割を果たしている。彼らのコントでは、秋山がエキセントリックな人物を演じてその空間を完全に支配してしまう、というのが常道になっている。いわば、秋山は、周りの全てを巻き込む嵐となることで光り輝くのだ。馬場裕之と山本博は、そんな秋山になすすべもなく巻き込まれてしまう被害者の立場を演じる。同じボケという役回りとして同調気味に巻き込まれていくのが馬場で、ツッコミ役として違和感を表明しながらしぶしぶ巻き込まれてしまうのが山本、という役割上の区別があるだけだ。馬場も山本も、それぞれ単独ではかなり薄味の芸風である。だが、秋山という絶対的な存在が近くにいることで、彼らは秋山を邪魔せずに、その暴風を体全体で受け止める被害者としての役目をきっちりと果たすことができる。
そんなロバートは、基本的な3人の関係性はそのままにしながらも、年々進化を続けている。成長を遂げた彼らの実力がいかんなく発揮されたのが、去る9月23日に行われた『キングオブコント2011』だった。ここで演じられた2本のネタは、ロバートの新境地を示すものだ。
1本目のコントは、戦国時代村で忍者ショーをこなす2人の老芸人の生態を描いたもの。秋山と馬場が演じる老芸人は、同じ舞台でこれまでに1,800万回ものステージを重ねている。そんな彼らにとって、舞台で芸を見せることはありふれた日常の一部に過ぎない。出番直前まで楽屋で雑談に興じて、舞台に上がるときっちりとした芸を見せて、スッと引っ込んでまた雑談を再開する。それは、秋山自身が憧れる大御所芸人たちの理想の境地を戯画化して描いたものだ。ここでの秋山は、いつもの偏執的な演技はやや抑え気味にして、芸を究めた末にそれを日常にしてしまった老芸人の生き様を尊敬を込めてコミカルに演じている。
2本目のコントでは、普段通りの秋山のぶっ飛んだキャラクターの魅力が全開になっていた。秋山演じる自動車修理工の「おしゃべりのシゲ」は、思ったことをすべて大声で口にせずにはいられない危険な人物。ある種の精神疾患を連想させるくらい、本当の意味でギリギリのキャラクターである。彼が正気と狂気の狭間で力強く演じる姿には、殺気とも言えるほどの気迫がこもっていた。そんな2本目のネタは、ロバートの従来路線のネタの進化形だった。
この2本のネタでいずれも高得点を獲得して、ロバートは悲願の優勝を果たした。自分たちにできるコントの形を極限まで追い求めたロバートは、まさにキングの称号にふさわしい。秋山という問答無用のハリケーンと、そこに巻き込まれる哀れな野次馬のスペシャリストである馬場と山本。彼らの正体は、お笑い界全体を嵐に巻き込む"怪物"トリオである。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)







