平均年収は300万円以下?! 衰退化が止まらない美少女ゲーム業界の現状

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) ドコモにiPhoneは不要?ガラケー特化でスマホ嫌いを囲い込め! 日銀新総裁に黒田氏有力との朝日新聞スクープ、財務省のリークか 中国の所得格差は暴動寸前レベル 当局は不可解な統計で隠蔽か? ■特にオススメ記事はこちら! 平均年収は300万円以下?! 衰退化が止まらない美少女ゲーム業界の現状 - Business Journal(2月24日)
「minori」代表兼プロデューサー酒井伸和氏
(写真/吉岡教雄)
 『リトルバスターズ!』『トータル・イクリプス』『恋と選挙とチョコレート』『Fate/Zero』......これらは2012年に放送されたテレビアニメのタイトルだ。アニメファンでなくても、タイトル名くらいは聞いたことがあるかもしれない。  実は、これらのアニメには共通点がある。それは物語の原作が美少女ゲームであることだ。美少女ゲームとは美少女キャラクターが登場し、物語の主軸をなすPCゲームを指す。物語の進行中に18禁要素(性描写などのアダルト要素)を含んでいるのが大きな特徴だ。  美少女ゲーム原作のテレビアニメは2000年代に入ってから増え、有名なところでは『Kanon』『AIR』(Key)、『君が望む永遠』(アージュ)、『School Days』 (Overflow)、『ef』(minori)などがある。特に、事故の影響で記憶を失った主人公の元恋人と現在の恋人との間に起こる葛藤を描いた『君が望む永遠』に至ってはい、かつて日本でも社会現象化するほど人気を博した某韓流ドラマにプロットが酷似しているとして、このドラマが本作を盗作したのでは、という疑惑で話題になったこともある。また11年に大ヒットを飛ばし、数々の文化賞を獲得したテレビアニメ『魔法少女まどか・マギカ』の脚本家である虚淵玄氏はもともと美少女ゲームの人気脚本家であり、同氏が所属し、まどか・マギカのアニメ制作にも携わったニトロプラスは美少女ゲーム制作会社だ。  こうしてみると意外と身近に存在する美少女ゲームなのだが、学園ものであったり、キャラクターデザインが幼かったりすることなどから児童ポルノに当たるとしてマンガ・アニメ・ゲーム表現規制法問題を生み出したり、激しい暴力や性犯罪が描かれることも多く、犯罪助長につながるものだとバッシングを受けたりするなど、公序良俗の観点から批判の的になることも多い業界だ。こうした背景もあり、制作する企業側も表舞台に立つことはあまりなく、謎に包まれている部分が多い。  美少女ゲーム業界自体は、パソコンが一般家庭に普及し始めた90年代後期から2000年代初頭にかけて市場を拡大し、その売り上げは一時期年間300億円に迫るほどであった。しかし、その後は徐々に縮小し、いまでも年間に600タイトル近く発売されているのであるが、昨年の売り上げは220億円にとどまると予測されている。(2012年矢野経済研究所調べ)  そこで今回はこの美少女ゲーム業界の実態を確かめるべく、efシリーズでも有名な人気ブランド「minori」の代表兼プロデューサーでもある酒井"nbkz"伸和氏に直撃インタビューを敢行した。
アニメ化され様々なメディア展開を見せたefシリーズ。"
アニメ化され、様々なメディア展開
を見せたefシリーズ。
ーーまずお聞きしたいのですが、美少女ゲームの制作費ってどのくらいなのでしょうか? nbkz  コスト管理をする経営者としての立場からお話しさせていただくと、ある程度のクオリティを維持する作品にするなら3,000万円くらいからでしょうか。  例えば、原画・彩色・シナリオ・ディレクターという最小構成5人の内部スタッフがほかをいろいろ兼任する前提で、月給25万円のメーカーとして1年間でフルプライス(※編注:8,800円)のゲームを作るとします。まず年間の人件費が1,500万円。音声、音楽、プログラム、背景を外注したとして外注費400万円。宣伝用ムービーやらチラシ、ポスター、交通費の営業費で150万円。地代・税金・光熱費・通信費など、会社の維持費が年間360万円。ここまでで2,410万円です。これに、プレス代、箱代などの変動制作費が加わり、社員への社会保障費などを加味すると、最終的に3,000万円は必要になるだろうと。  実際には、この人数でフルプライスに堪え得るものを1年で作るには相当な負荷がかかりますから、よりきちんと手を入れていけば、タイトルによって億を超えることもあります。minoriで言えば『すぴぱら』(※編注: 12年春発売の、minori初のアダルト要素が一切ない全年齢向け作品)、『ef』(※編注: 06年前編、08年後編の2部構成で発売された代表作。後にシャフトによりアニメ化され、PS2にも移植された)は1億円を超えています。 ーー1億円!? どこに、そんなにお金がかかるんですか? nbkz   一番がCGの制作費ですね。CGは動きで見せるアニメとは違い、静止画として1枚の完成度が要求されますので、線の処理が複雑であったり、彩色としては複雑にグラデーションがかかったり、エフェクトもかけたりと、作業工程がものすごくかかるんです。作業時間は当然長くなるので、それだけ人数を割かなければなりません。この枚数が多ければ多いほど、コストは増大します。また、背景画も長時間見るものなので綿密に作る必要があります。  最近は解像度が上がっていることもコスト増の原因です。以前は800×600がメインでしたが、いまは1920×1080が中心です。単純に、塗る面積は4.3倍に増えたことになります。これにより当然作業時間は増大し、より綿密な画像処理が求められます。大容量のデータを扱うことを考えると、ユーザーの使用するPCのスペックも考えていかないといけなくなります。ユーザー全員が最新のマシンを持っているわけじゃないので、どこまで対応するかが悩みどころになってきます。PCゲームの場合、コンシューマー機と違い、ユーザーの環境を画一化できませんから。
人に薦めたい美少女ゲームNo.1は「腐り姫」とのこと。
人に薦めたい美少女ゲームNo.1は
「腐り姫」(Liar-soft)とのこと。
ーーminoriのリリースは年間1本程度です。年に1本だけのリリースで、会社の運営は大丈夫なのですか? nbkz  年間1本出せれば会社は回せます。とはいえ、他社さんも同じかと思うのですが、フルプライス作品として満足いくタイトルを1ライン当たり年間1本以上出すのって難しいんですよ。全てがオリジナルですので、シナリオはもちろん、キャラクターデザインや背景といった世界観など、いわゆる設定を作る時間を大きく費やさなければなりません。これを1年に何回もやるのは難しいものです。年間に複数出すブランドもありますが、これは複数の制作ラインがあるからで、会社全体として1タイトルで1万本売るのか、複数で1万本売るかの違いかと思います。 ーー12年末にリリースされた新作『夏空のペルセウス』の豪華特装版には特典がたくさんついていますが(※編注:ソフトのほかに、ボーカル曲収録CD 1枚、BGM楽曲データ収録DVD 1枚と、おまけ冊子が封入)、通常版と特装版では、どちらが売れた方が利益は出るのですか? nbkz  特装版はおまけをたくさんつける分、コストが当然かかっています。利益だけを考えるのなら、通常版がたくさん売れた方がよいですね。でも美少女ゲームの売れ方って、ロングテール化しないんですよ。発売日からの3日間、金・土・日で売れるだけ売ってしまうんです。その3日が過ぎると、ソフトはほとんど売れなくなります。だからコストがかかっても予約初回特典をつけて、初動で買ってもらうことが大事なんです。そのタイトルが赤字になるか黒字になるか、受注の〆日で勝負が決まってしまいます。 ーー11年、12年と御社はB.G.M festival(※編注: 美少女ゲームブランド「OVERDRIVE」の代表bamboo氏主催による、美少女ゲーム楽曲による音楽フェス)にも参加されました。このフェスは全く新しい分野の音楽フェスで、NHKからの取材もあり注目度は高かったと思いますが、ソフトの売り上げに影響はありましたか? nbkz  即効性のある、目に見える影響はなかったです。そもそもの趣旨が音楽フェスであって、ゲームファンというより音楽ファンが多く集まったイベントでしたから、それは仕方なかったのかもしれません。ゲーム主題歌は確かに強力な広報媒体ではありますが、歌だけでゲームが買われるわけじゃないんです。でも、minoriという名前は知ってもらえたと思うので、中長期的に見て、ブランディングという意味では成功したんじゃないでしょうか。いまの業界に必要な打開策としては、良いイベントだったと思います。 ーーアニメになるなど美少女ゲームが一般化している中で、アダルト要素を排除してPS3などにタイトルが移植されることについてはどうお考えですか? nbkz  個人的には、あまり意味があるものとは思っていません。PCとPS2やPS3って、プラットフォームの観点からすればぶつかり合っている気がするんですよ。プレーヤーはイスに座ってモニターの前に固定されてやらなければならないわけですからね。もし同じプラットフォームでやるなら、何かしらの新しい要素、新しいCGを加えたり、新しいシナリオを追加したりしないとダメでしょうね。  それに、移植作品ってなかなか売れないんです。本タイトルに対して50パーセント売れたら大勝利じゃないでしょうか。だけど元データがあるので、制作費が安く済むのは利点ですね。本体の制作費が5,000万円でも、移植作は1,000万円で作れたりするわけです。そうなると、あまり売れなくても黒字化はしやすいかもしれません。 ●社員の平均年収は300万円に届かないほど厳しい現状 ーー90年代後半からインターネットの発展と共にPCが一般家庭にも普及し、テレビアニメ化なども手伝って美少女ゲーム自体は人知れず身近な存在となっていると思うのですが、実際の市場の傾向はどうですか? nbkz  売り上げ自体は年々右肩下がりです。市場も縮小してますよ。制作会社は大小含めていまも200社近くあるようですが、どんどん減ってきていますね。PCが一般家庭に普及したとはいえ、盛り上がりを見せていた2000年頃でも美少女ゲームは10万本売れればスーパーヒット、3万本で大ヒット、2万本でヒットという狭い世界でした。それがいまじゃ1万本でヒットという世界にまで落ちました。1万なんて、未成年を除いた国内人口約1億人に対して、0.01パーセントでしかありません。結局、ほとんど誰も知らない、やったことがないのと大差ないんです。これはアニメの視聴率などと比較すれば、よくわかるかもしれません。
minori最新作<br>『夏空のペルセウス』
minori最新作
『夏空のペルセウス』
ーー減少傾向になってしまった原因は、どう分析されますか? nbkz  コンテンツが多様化してきたからじゃないでしょうか。いまはYoutubeニコニコ動画があって、ソーシャルゲームもあって、ゲーム機はPS3、PSP、3DSなどと多種多様にあります。それに伴って、時代の流れとして、スタンドアローンコンテンツが厳しくなってきたんでしょう。いまはオンラインで他人とつながってプレイしたりするものが増えているじゃないですか。でも美少女ゲームは、基本1人でやるものです。  それに加え、いまは全てのコンテンツにスピード感が求められるようになってきたからだと思います。いまはテレビアニメですらスピード感が求められ、一昔前は4クール放送(放送期間が約1年)だったのに、いまではほとんどが1クール(放送期間が約3カ月)になりました。1クールの実放映時間は5時間程度です。それに比べて美少女ゲームは長い。1タイトルで読むテキスト量はだいたい1M(メガ)から2Mです。1Mのプレイ時間の目安は、だいたい18~20時間くらい。ボイスを飛ばし読みでもその半分くらいです。そうなると圧倒的にプレイ時間が長くて、時代の求めるスピード感とは相反するんです。他人と話題を共有し、輪を広げていくといった点において、プレイ時間が長すぎることはデメリットでしかありません。アニメや映画の評論に対してゲームの評論が少ないのも、この辺が原因のような気がします。  ならば安く、短めのものを作ればいいかといえば、そういったものは美少女ゲームの市場では軽く見られてしまいがちです。企画にかかる労力を考えると、短いものを安く短期間で作ることは制作上のストレスにもなります。それを避けるために、ライトノベルや漫画などはひとつの作品を完結していなくともある程度たまったところで単行本として発刊し、コストを回収するのですが、美少女ゲームが同じことをすると“分割”と称され、避けられる傾向にあるようです。 ーー近年の秋葉原という街自体が活性化していき、オタク文化が一般化していったかと思うのですが、この流れと業界が連動して盛り上がるということはなかったのですか? nbkz  ないですね。期待はあったのですが、結果的には購入層がまるで違ったんですよ。声優がアイドル化したり、アニメが数多く作られたり、ライトノベルが売れたりと、活性化したことは事実です。確かにオタク層の低年齢化は進んでいるんです。でも、若年層が買えるものは主に1,000円以下の商材なんです。要するにマンガとライトノベルまでで、さらにその層の話題の中心となるアニメは、テレビやネットで無料で観られるわけです。それに対して美少女ゲームは8,800円がメインで、最近では9,800円のタイトルも多い。初回特典版になると、10,000円を超えてくるものもあります。そうなると到底その層は買えないんですよ。そう考えると、美少女ゲームの購入層はそこではないということになります。支持層ではなく購入層というのがポイントです。 ーーここまであまり良い話がなかったように思うのですが、業界の平均的な年収ってどのくらいなんでしょう? nbkz   平均でいえば、300万円を割ってると思います。400万円もらえているところは、ほとんどないんじゃないでしょうか。年収300万円って、ボーナスなしで月給25万円ですよ。現状でこれだけ出せるのは、ある程度以上売れているメーカーだと思います。もちろん大ヒットをすれば一時金が支給されたり、著名な原画家さんとかは副収入があったりもしますけどね。  とにかくいまや何をしても儲からないのが、この業界なんです。だから当然年収は低くなります。3,000万円の制作費を回収するには、流通会社への卸値5割としても、フルプライス作品なら6,819本の売り上げがあって、ようやくトントンになります。でもいまの1タイトル当たりの平均販売本数は5,000本以下といわれているんです。未回収分をグッズの売り上げで補う考えもありますが、数千本しか売れなかったソフトより、低価格で売られるグッズの売り上げなんて微々たるものです。  こんな状況だから、潰れてしまう会社が多いんです。ヒット作を出しても、10年続いても、すぐに赤字転落して消滅するなんてよくあります。minoriだって『すぴぱら』をリリースした直後は、本気で解散すると思っていました。 ーー『すぴぱら』は売れなかったんですか? 全年齢作品に挑戦という点はあったにしろ、実にminoriらしい良作だったかと思うのですが......。 nbkz  期待の半分程度しか売れなかったんですよ。残念ながら今回のチャレンジは実を結びませんでした。事業を拡大させるために新しいことに挑戦すべきなんでしょうけど、基盤が脆弱な企業が全力で手を出すのは大きなリスクを負うということです。成功するにはリスクを負うのは当然ですが、やはり足元を固めることは重要だと再認識しました。そこで初心に戻って制作した『夏空のペルセウス』で多少は盛り返すことができたのですが、1本で会社が揺らぎ、1本で持ち直す程度の規模で動いているということの方が問題だと思います(苦笑)。
minori最新作<br>『夏空のペルセウス』
minori初の全年齢向け作品
『すぴぱら』
●タニマチ商法に頼らざるを得ないほど、業界は衰退化 ーー市場が縮小し、制作会社も減っているというお話でしたが、今後、美少女ゲーム業界はどうなっていくと思われますか? nbkz  美少女ゲーム業界に限らず、近い将来全てのビジネス的なエンターテインメントコンテンツは終わってしまうのではないかと思います。作品に対するプロフェッショナルという概念がなくなるんです。ニコニコ動画のようなものが、コンテンツの最終形態なんじゃないですかね。つまり、プロが作ったものはお金がかかって高いから、アマチュアが作ったかつてのプロっぽいものを、なんとなく無料で楽しむ世界になるんです。実際クオリティといった面でとらえても、デジタル化が進み、商業作品とアマチュア作品の大きな差異はなくなりつつあります。  一時期海賊版やら違法ダウンロードといったものがあるから美少女ゲームに限らず様々なソフトが売れないという論調がありましたが、そうではないと思っています。フリーライドしている層(※編注:お金を払わずプレイする層)は、それらが手に入らなくなったら、無料で楽しめる他のコンテンツへシフトするだけなんじゃないでしょうか。お金を出さない人は、何をしても出さないんです。 ーーその対抗策はあるのでしょうか? nbkz  現状は経済基盤があって、次を見たいと思って投資をしてくれるファン層に支えてもらうしかありません。言いにくいことですが「複数買い(※編注:1人のユーザーが同じタイトルをいくつも買うこと)」っていうのが、まさにそうでしょう。だいぶ前から美少女ゲーム業界はこうした"タニマチ"的な流れに乗っていましたが、今後も加速の一途でしょうね。かつて音楽が一部の限られた貴族層の娯楽としてのみ存在したように、美少女ゲームは時代を逆行して、その流れに戻るかもしれません。一部の層のためだけに存在していくんです。だから全ての声に耳を傾けるのでなく、自分たちにお金を払ってくれている層の声を聞き分けていくことが、今後さらに大事になっていくと思います。  いまは販売店舗も激減して、地方の店舗はほとんどなくなってきました。市場の縮小については、業界全体の問題として、ずっと前から考えなくちゃいけなかったんだと思います。この危機を生き延びるという意味では、やはり"タニマチ"に頼っていくことになってしまうんでしょう。 ーーそれでもminoriは、今後も続けていくのですか? nbkz  社長でありプロデューサーでもある立場としては、今後どうするかは考え中ですね。この先に未来はあるのか? 続けていくことに意味はあるのか? その見極め中です。新作を作り続けるのか、続けたとしてもリリース本数を決めて業界から撤退する前提で進めるのか、別の事業を立ち上げるのか、もしくはコストカットして制作費に見合った作品をリリースしていくのか。それだけの局面を迎えたということです。もちろん、一制作者としては別視点で考えていますが、これはまた別の機会に。  正直、僕個人はいつでも社長やプロデューサーといった立場を投げ出すつもりでいますよ。だって儲かりませんから(笑)。 (構成=編集部) ■おすすめ記事 ドコモにiPhoneは不要?ガラケー特化でスマホ嫌いを囲い込め! 日銀新総裁に黒田氏有力との朝日新聞スクープ、財務省のリークか 中国の所得格差は暴動寸前レベル 当局は不可解な統計で隠蔽か? LINE、ナンパ目的のユーザーが減らない意外な理由~ケータイ、結婚願望… 仕事のプロになるために新入社員が身につけておくべきこと

ゲームの神様・横井軍平「枯れた技術の水平思考」が意味する、本当の“ものづくり”とは

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『ものづくりのイノベーション
「枯れた技術の水平思考」とは何か?』
(P-Vine-Books)
 コンシューマゲームファンにとってのXデーが近づきつつある。  その日は12月8日。世界に名をはせる任天堂が放つ、最新ゲームハード「Wii U」の日本国内発売日である(海外では先駆けて11月に発売される)。ゲーム市場全体の冷え込み、相対的に市場規模を拡大し続けるソーシャルゲームの台頭など、さまざまなニュースが関係者やゲームファンに届けられる中、果たして任天堂はどのようなゲームライフを我々に提示してくれるのだろうか。  そのように世界中が注目する今だからこそ、任天堂の次の一手に期待を寄せつつ『ものづくりのイノベーション「枯れた技術の水平思考」とは何か?』(P-Vine-Books)を読んでみてはいかがだろうか。  本書は大ヒット玩具「ウルトラハンド」に始まり、「ゲーム&ウオッチ」「ファミコン」「ゲームボーイ」といった任天堂のヒット商品を次々と考案しながらも、1997年に不慮の交通事故で他界したクリエイター・横井軍平氏がよく口にしていた発想方法「枯れた技術の水平思考」を、彼自身の言葉から読み解く発言集である。ゲームファンのみならず、技術分野・開発分野に携わる人ならこの言葉を、一度でも聞いたことがあるだろう。  「枯れた技術」=「すでに広く使用されてメリット・デメリットが明らかになっている技術」でコストを減らし、「水平思考」=「現在利用されているジャンルから離れ、まったく別のものに置き換えて使うことにより新しいものを生み出す、というこの考え方は、今や任天堂という大企業の根幹をなす思想となっている。  それを裏付けるように、家庭用ゲームが高度化・複雑化する中、任天堂はひと世代前のコンシューマゲーム機「ゲームキューブ」のアーキテクチャを応用しながらも、「家族で遊べるゲーム機」というコンシューマゲーム機の根本に立ち返った思想で設計された「Wii」や、タッチパネルという直感的な操作で老若男女問わず楽しめる「ニンテンドーDS」などを次々とヒットさせたことを記憶している読者も多いだろう(ただ、その後、ファミリー層が「ゲームファン」として定着したかどうかは別の話)。  世界一のゲームメーカー・任天堂に、今もなお多大な影響を残す横井軍平という人物が、いったいどのようなことを考え、ゲームという「ものづくり」に向き合ってきたかがうかがえる本書だが、 「本当の先端技術を使ったら売れるものはできません。娯楽の世界ではそんな高い商品は誰も買ってくれないのです」 「テレビのような受動的な機器には、そもそも立体の必要がないんじゃないですか。能動的に関わる世界ではじめて、立体であることが意味を持つんです」  など、ゲームファンのみならず、すべての「ものづくり」に携わる人々にとって多くの示唆を含んだ発言も多数収録されている点にも注目したい。  そして本書最大のポイントは、稀代の失敗ゲーム機として今もなおゲームマニアの間で語りぐさとなっている「バーチャルボーイ」の狙いについての、横井氏の発言がまとめられている点である。  かつては新機種が出るたびに、新たなエンタテインメント性を提案してきたゲーム機だが、ゲームのアイデアや内容ではなく性能勝負となってきた94~95年当時、彼が感じた閉塞感と新たな娯楽を提案せねばならないという危機感もまた、現在のコンシューマゲーム業界を先取ったものだといえる。  ゲーム機の性能競争が進むことでライトユーザーが振り落とされ、やがてゲームはマニアのものとなって先細っていく……。そんなゲーム業界の趨勢に危険性を感じた横井氏が、新たなゲームの価値観を提唱すべく誕生したのが「バーチャルボーイ」だったのだ。  バーチャルボーイを評価できなかったゲームファンに見る目がなかった、と断罪するつもりは毛頭、ない。だが、あの時……いや今も、我々はあまりにも表層的にしかゲーム、ひいては「ものづくり」というものを捉えていなかったのではないだろうか。  「ものづくり」という行為に対して物の見方をあらためて問い直し、日本が「ものづくり大国」として復権するためのヒントがちりばめられている現代のバイブル。それが本書なのだ。

コンシューマーゲーム信仰と嫌儲思考がゲーム業界を滅ぼす!?

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大ヒットとなったソーシャルゲーム
『怪盗ロワイヤル』。
 ソーシャルゲームの勢いが止まらない。9月に開催された、毎年恒例の世界最大規模のゲーム見本市「東京ゲームショウ2012」は、出展社数209社、来場者数22万3,753人と、過去最多となった。華やかな数字が喧伝される一方で、ゲーム業界の先行きは不透明だ。その中で、一際目立つのがソーシャルゲームである。今回のゲームショウでは、出展の7割がソーシャルゲーム関連で占められるまでになった。  もはや、ゲーム業界の主流となった感もあるソーシャルゲーム。現在のところ、ほとんどのゲームがカードバトルのスタイルで運営されている。今後、ほかのジャンルへの展開や技術革新が進めば「バブル」と呼ばれる状況から、安定成長へと転換することができるだろう。しかし、そこに至るには、まだ大きな壁が立ちはだかっている。コンシューマーゲームへの篤い信仰と、ユーザーと開発者の双方が持つ「嫌儲」の意識が、それだ。  月々の稼ぎの中で、娯楽に費やせる金額が減少している中で、コンシューマーゲームの参入障壁は高くなっている。ファミコン時代のような「ゲーム機ならば、これが主流である」という状況がなくなり、据置型ゲーム機から携帯ゲーム機まで、さまざまなものが乱立している。限られた小遣いの中で、多くのゲームを購入して楽しむことは困難だ。それに、長い時間を費やして遊ぶスタイルも、もはやコアなユーザーを除いては敬遠されるようになった。誰もが持っている携帯電話で手軽に遊ぶことができるソーシャルゲームの普及は、社会状況を考えれば自明の理といえる。ソーシャルゲームは、これまでとは違うユーザー層、あるいは、極めてライトなユーザー層を取り込むことに成功しているのだ。  ところが、既存のゲームユーザーの中には、いまだにコンシューマーゲームへの「信仰」が根強い。そして開発の現場でも、それは同じく信じられている。大手開発会社のゲームプロデューサーは語る。 「新入社員にコンシューマーゲームとソーシャルゲームと、どちらに行きたいかを聞くと、ほぼ間違いなくコンシューマーゲームを選びます。やはり、コンシューマーゲームがゲーム業界の頂点であるという意識は根強いです」  ゲームユーザーのコンシューマー信仰を最も如実に表しているのは、既存のゲーム情報誌だ。例えば、もっとも権威のあるゲーム情報誌「週刊ファミ通」(エンターブレイン)で、ソーシャルゲームが扱われることはほとんどない。増刊枠でソーシャルゲーム専門誌は発行されているものの、本誌やオフィシャルサイトでソーシャルゲームが扱われることはほぼないのが実情だ。普段目にすることのできるゲーム情報誌やサイトで何かとスポットを浴びることができるコンシューマーゲームに対して、ソーシャルゲームは日陰者のような扱いなのだから、あえて選択する者が限られるのはよくわかる。だが、もはやコンシューマーゲームに身を投じてもスポットライトを浴びることができるとは限らない。 「ソーシャルゲームが『メタルギアソリッド』シリーズよりも売り上げが高かったとしても、小島秀夫監督のようにスタッフの名前が出ることはめったにありません。片やコンシューマーゲームは、1タイトル当たりの売り上げが落ちているにもかかわらず賞賛されています。その構図は、文芸の世界のように見えますね。さほど売れなくても“大先生”と呼ばれるような業界で、若い才能が生まれるはずはありません」(同)  このことは、名の知れているコンシューマーゲームのゲームクリエイターを考えてみれば、おのずと理解できる。いまや大御所クラスといえる小島秀夫氏、名越稔洋氏、宮本茂氏、野村哲也氏くらいは、ある程度以上のコンシューマーゲームのユーザーなら、すぐに出てくるだろう。しかし、5年前に名の知れているコンシューマーゲームのクリエイターとして名前を挙げられたのも彼らのハズ。となると、5年後もそうだろう。もはや、新たな才能が生まれることはなく、大御所クラスがいつまでも「大先生」として君臨しているのがコンシューマーゲーム業界の一側面なのだ。新陳代謝のない業界に先があるとは思えない。 「現在のゲームメディアは、既存のコンシューマーゲーム業界を支えるための“御用マスコミ”でしかありません。そして、そうしたメディアだけで支えることができるくらいの市場規模しかないんです。もし、業界に革新を起こすとしたら『週刊ファミ通』が“偉い人を使うのをやめる”くらいしないとダメなんじゃないでしょうか」(同)  結局、既存のファンが限られた情報だけしか掲載しないメディアを通じて情報を得て、ゲームを購入することで成り立っているコンシューマー業界。それは、縮小再生産でしかないのだ。  コンシューマーゲームへの信仰心と並んで、ソーシャルゲームの成長を阻むのが「嫌儲」の感覚だ。 「MMOを制作する時、多くのクリエイターはアイテム課金ではなく月額課金にしたがります。企業としての利益はアイテム課金のほうがずっと増えるにもかかわらず、です。クリエイター、ユーザーであるかにかかわらず、世の中全体に金を取ることや、不公平なことへの拒否感が増加していると思います。そうした中で、ソーシャルゲームは“お金の取り方が汚い”という批判をされます。でも、それは単なるエゴなんじゃないでしょうか」  と、別の大手開発会社の社員は話す。この人物は、ソーシャルゲームはむしろ公平なゲームであると主張する。 「ソーシャルゲームは、むしろ公平だと思います。課金しなくても、時間をかければ(カードバトルの場合だと)レアカードはちゃんと入手できます。逆に時間がなければ、課金すれば短時間で強いカードを手に入れることもできます。時間か金かどちらを費やすか選択肢があるのですから、従来のゲームよりも公平だとは思いませんか?」  どうもゲームユーザーたちの間では、金を儲けることへの嫌悪感、さらにむやみやたらと公平感を求めている人ばかりが「声が大きい」ようだ。そんなものを気にしていては、ちゃんと企業が潤うゲームを開発するなんて不可能だ。『ドラゴンクエストX』は、元気玉システムの導入に見られるように、公平感に配慮しているが、それでも問題が発生している。もう「ソーシャルゲームが嫌い」「課金が嫌い」「強いヤツがいるのが不公平」「俺がカネを払っているのに、儲けているヤツがいるのは許せん」みたいな思考の人々を、相手にしていられない。  「東京ゲームショウ2012」出展社数が過去最多となった一方で、出展を見送り注目されたのがマイクロソフトと任天堂だ。特に、マイクロソフトが出展を見送ったことは、日本のゲーム業界が世界市場から見限られつつあることを如実に示した。 「マイクロソフトが出展しなかった理由は明白です。同社が最も推しているのはKinectなのですが、海外では好評を得ているにもかかわらず、日本ではあまり売れていません。同社はもう、日本市場を切り捨てたと考えてよいでしょう」  と、海外事情に詳しい業界関係者は話す。  コンシューマーゲームが勢いを失い、海外市場からも見離される状況で、唯一、可能性があるのがソーシャルゲーム業界なのは間違いない。ほとんどすべてがカードバトルで占められている現状は大いに問題があるとしても、ユーザーの参入障壁の低いソーシャルゲーム、あるいはブラウザゲームがゲームの主流になっていくのは間違いない。だが、ゲーム業界内外のさまざまな動きが成長を阻害している。 (取材・文=昼間たかし)

不祥事で人気声優が移籍!? アニメ誌が絶対書かない、隠されたオタク業界の”闇”

【サイゾーpremiumより】  日本を代表する文化であるアニメ、ゲームといった”オタク”文化だが、これらオタク業界のゴシップやタブーといった話題がメディアの俎上に上ることはそう多くない。業界内で封殺されることも多いというオタク界隈のタブーを、関係各所に聞いて集めてみた――。
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シリーズ初のMMO(大人数同時参加型オンライン)
RPGとして、今夏発売された『ドラゴンクエストX』。
"ダイス賭博"といった微妙な問題も取り沙汰され
たが、業界内外では評判も高い。
 アニメ、声優、ゲームといったオタク文化が、日本を代表する文化と呼ばれるようになって久しい。  テレビアニメ『けいおん!!』の主題歌CDが2010年8月16日付のオリコン週間ランキング2位を獲得するなど、アニメや声優のCDがチャート上位を席巻することは、もはや珍しくない。『NHK紅白歌合戦』にも3回連続出場している人気声優・水樹奈々は、10年に声優として史上初のオリコンシングルチャート1位を獲得。さらに11年末、東京ドームで2日間にわたるコンサートを成功させた。  その勢いは映画業界にも及んでいる。現在公開中のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』は公開1カ月で興行収入30億円を突破。12年の映画の年間興行成績ランキングでトップ10入りするのはほぼ確実視されている。さらに、ハリウッドでは『メタルギアソリッド』『ワンダと巨像』など、国産ゲームを題材とした実写映画が続々と製作決定している状況だ。  また、今年8月には、国民的RPGの『ドラゴンクエストX』がシリーズ初のオンラインゲームとして発売され、わずか3週間で50万本以上を売り上げた。同記録はパッケージでのソフト販売を行うオンラインゲームとしては異例の数字で、コアユーザー向けと思われていたオンラインゲームを一般層に普及させることで、ゲーム業界のさらなる鉱脈を切り開くことが期待されている。  そのほか、『らき☆すた』の埼玉県久喜市鷲宮や『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の同県秩父市などを筆頭に、アニメの舞台となった街が「聖地」として観光PRに利用されるなど、オタク文化の一般社会への貢献は著しいものとなってきた。  そんな華やかなニュースが続くオタク業界だが、同業界のゴシップやタブーに触れた話は、広告を入れてもらい、宣材や取材を取り計らってもらう立場であるアニメ誌やゲーム誌といった専門誌で書かれることは当然ない。せいぜい信ぴょう性の薄いネットでの流言をお目にかかるぐらいだろう。だが、不況下で好調を呈し、産業として巨大化しているのならば、表に出てこない黒い噂のひとつや2つあってもおかしくないはず……。 「アニメ業界に顕著ですが、制作現場では同業者間の交流が多いため、悪い噂などが広がりやすい環境です。なので、業界全体で、悪評が立つ人物などは自然と業界を干されるという”自浄作用”が働いているといえるかもしれません。  一方で、オタク業界は『夢を売る』業界であり、『イメージ』を最も重要視するため、ゴシップなどを内々で処理してしまう傾向も見受けられます。声優のスキャンダルは声優事務所同士がスクラムを組んで外に漏れないようにするなど、閉鎖的な世界を作っていると感じることも多いです。事実、人気アニメ『けいおん!』に出演していた声優が不祥事を起こして事務所を放出されたものの、外に向けては単純な移籍と報じられましたから」  そう語るのは、アニメ・声優系業界関係者。オタク業界では、”二次元の夢”を守るため、業界全体が軌を一にしている部分があるという。  そんな中、関係各所への聞き込みを通じて見えてきた、「イメージ」というヴェールの向こう側にある「タブー」をご開陳。”オタク業界のタブー”を、とくとご覧あれ。 (文/菅 桂真) 【続きはこちらから!! 「サイゾーpremium」では他にもオタク業界のタブーをぶった斬る記事が満載!】「歌ってみた」に群がる素人と芸能界――芸能事務所にも所属済み! ニコ動”歌い手”たちの傲慢と嘘【完全保存版!?】声優の恋愛事情に、消された作品たち……オタク業界のタブー「紅白出場」声優アーティスト・水樹奈々が登場! 「二股活動」にかけるオモイとは?
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突破力のグリー、戦略のDeNAにみるゲーム業界のミライ

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) カフェインもタウリンも効果なし? ユンケルは飲むだけ無駄!? 親会社フーディーズ破産で村さ来、焼肉のさかいはどうなる? マック、ナイキ…ファンと売上を増やす新しいサイトの仕組みとは? ■特にオススメ記事はこちら! 突破力のグリー、戦略のDeNAにみるゲーム業界のミライ - Business Journal(9月13日)
今回取材した國光宏尚氏が社長を務める
gumiのHPより。
 ここ数年、グリーやディー・エヌ・エー(mobage)などが牽引するソーシャルゲーム市場の急成長は、誰もが目を見張るところである。  そのグリーのビジネスパートナーであり、コンテンツ(ゲーム)プロバイダーとしてトップクラスの地位を築いている企業が、gumi(グミ)だ。  2007年の創業から5年という短期間で、なぜgumiは急成長を遂げたのか?  その秘密に加え、ソーシャルゲーム業界で、  「今、何が起こっているのか?」  「これから、どのような進化をしていくのか? などについて、業界を知り尽くす國光宏尚・gumi社長に話を聞いた。 ――早速ですが、ソーシャルゲーム業界は、グリーとディー・エヌ・エーが熾烈なライバル争いを繰り広げています。そんな中で、現在gumiは、グリーとビジネスパートナーを組まれていますが、その理由はなんでしょうか? 國光宏尚氏(以下、國光) グリーを選んだのは、ソーシャルゲーム業界の中で私たちが最初でした。あくまでビジネスとはいえ人間関係が重要なので、最終的には信頼できるかが重要だと思いました。グリーもディー・エヌ・エーもユーザー数はほぼ同じ。土俵が同じなら、良いコンテンツをつくれば、ユーザーも評価してくれるという思いもありました。  グリーのすごいところは、トップが一旦腑に落ちて納得して、コレだと思ったら一気に会社が動くところです。最初はほとんどディー・エヌ・エーの後塵を拝していましたが、どうにかして追いついてしまう。完全に選択と集中ができていると思います。社内のオペレーションがよく、実行能力も非常に高いのです。  その意味では、グリーは松下幸之助さん時代のパナソニックのよう。決めたことをすごい突破力で実行していく。ディー・エヌ・エーはコンサルタントのような会社で、きちんと戦略を練って考えている。創業者の南部智子さんが勤めていたマッキンゼーのカルチャーのようなものがあるのかなと思います。  モバイルの世界は、まだ「これが絶対の成功モデルだ」というものがありません。まだわからないことがたくさんあり、可能性もたくさんある。近い将来何かが出てきたときでも、この2社は果敢に乗り出していくと思います。 ――そもそも、gumiはどうやってソーシャルゲームにたどりついたのですか? 國光 最初に会社をつくったときは、携帯版のフェイスブックをつくるつもりでした。当時はマイスペースが伸びていた時期で、フェイスブックはまだ小さかったのですが、そのころからフェイスブックはブレイクすると私は予測していました。  それまでのインターネットはウェブサイトが中心。グーグルもウェブサイトを検索するものです。それがソーシャルネットワークの登場で、とくにフェイスブック以降は、人が中心になってきた。  「人がどのようなウェブサイトを見ているのか?」  「どういうものを買っているのか?」  「そして、どう繋がっているのか?」  つまり、「人が中心」というところにウェブが完全に置き変わったのです。  その転換点の中で、まさに今がチャンス。フェイスブックは最初PC向けだったので、携帯版のフェイスブックをつくればイケるのではないかと思いました。  今オープン化している会社は多いですが、当社は、ミクシィがオープン化する1 年前、グリーがオープン化する2 年前、フェイスブックのモバイルがオープン化する3年前に、すでにオープン化していました。  当時、私としてはモバイル版ソーシャルネットワークを世界で初めてつくったということで、スティーブ・ジョブズになったような気持ちでした(笑)。オープン化すれば反響もすごいと思っていた。  ところが実際には、オープン化しても、誰も反応してくれませんでした。せっかくオープン化したのに、誰もコンテンツをつくってくれない。そこで、仕方がなく、自分たちで自分たちのサイト向けのコンテンツをつくるようになったのです。  会社は創業当初5 人くらいだったのですが、2年くらいは鳴かず飛ばず。そのうちミクシィがオープン化したので、つくっていたコンテンツを提供し始めたのです。それでもミクシィがオープン化するというニュースを聞いたときは、絶望的な気分になりました。これで最初のプラットフォーム戦略は崩れたわけですから。  しかし、ミクシィとのお付き合いが始まってから、ユーザー数は急増。モバイル向けのコンテンツをつくっている会社は少なかったこともあり、大きな先行者利得を得ることになりました。そこからグリー、ディー・エヌ・エーとお付き合いするようになるのです。 映像会社からの脱皮 ――gumiは07年の創業から5年目を迎えました、起業のきっかけはなんだったのでしょうか? 國光 私は、もともと海外が長くて、中国・上海の大学(復旦大学)に入り、そのあとバックパッカーとして中国国内、インド、チベット、中南米、東南アジアなど30カ国を足かけ2年放浪しました。最後はロサンゼルスの大学(Santa Monica College)に入って、結局10年くらい海外にいました。29歳のときに帰国にして、映画・TVドラマのプロデュースを行うアットムービーという映像会社に、取締役として参画しました。  その会社のポリシーは、「制作会社と呼ばせない」というもの。TV局の下請け的仕事という慣習から脱するためでした。「言われた仕事は断る」「自分たち発の企画しかやらない」。おそらくTV局からは生意気に映ったでしょうが、先方がアイデアに困るとうちに相談にくるようになり、映画、TV局ともに幅広く仕事をしていました。  自分たちの考えた企画をプロデュースするからには、入口から出口までやりたい。そこで、役者の選定から、資金集め、現場の仕切り、最終的な宣伝、配給まですべてに係わっていました。  その過程で、映像の派生としてネットやモバイルとの絡みが出てきました。携帯端末向けのオリジナルドラマや動画にコメントをキャプチャーで入れたり、当時ネット系の新しいと言われる領域で、さまざまな試みを行っていました。  しかし、映像業界は歴史が古く、保守的な体質でした。ネットでの新しい試みを大きなビジネスとして動かそうとするとストップがかかる。説得はしたのですが、どうしてもその壁を乗り越えられなかった。そこで、やりたいことができなのなら、独立しようということになったのです。 細部へのこだわりを武器に世界へ ――創業はスムーズに運んだのでしょうか? 國光 資金は、自己資金のほかにアットムービーと、ウノウ(その後、ジンガが買収)と同社社長の山田進太郎氏から出資してもらい、会社を立ち上げました。  山田氏との縁は大きく事業に影響しています。そもそも私は、ブログの世界でちょっとした有名人でした。「映画プロデュース会社:取締役の妄想日記」というようなかたちでブログを書いていたのですが、シリコンバレーの最先端のニュースなどを自分のコメントとともに書きまくっていたのです。  当時はそうした情報を載せているブログは少なかった。そこで、自然と海外のIT情報に興味をもつ人たちと知り合いになりました。連絡を取り合って、ごはんでも食べようと。その中に、同じくブログの世界で有名人だった山田氏がいたのです。山田氏の会社は高い技術力を持っていた。こちらにはエンタメのノウハウがある。そこで、一緒に何かやったら面白いということで出資をしてもらったのです。 ――創業から5年たち、ソーシャルゲームも成熟期を迎えつつありますが、将来の戦略をどのように考えていますか? 國光 海外に目を向けています。現在、韓国、中国、シンガポール、パリ、米国に拠点を持っています。日本国内の社員数は350人ですが、海外にも合わせて150人います。    優秀なクリエイターはグローバルレベルで人手不足なので、私たちも海外で優秀な人材を確保する競争をしなければならない。そこからどんどん新しいイノベーションをつくっていきたい。私たちは映像出身だけに、クリエイターにとって働きやすい会社です。ネットの世界で、コンテンツづくりに長けた人たちは意外と少ない。私たちのソーシャルゲームも、細部にこだわってつくっているからこそ、ユーザーの支持を得られているのだと思います。  スマートフォンが世界を席巻する中、私たちのビジネスも世界が相手なのです。日本発で世界中の人たちに愛されるコンテンツをつくりだし、世界No.1を獲りたいと思います。 (構成=國貞文隆) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) カフェインもタウリンも効果なし? ユンケルは飲むだけ無駄!? 親会社フーディーズ破産で村さ来、焼肉のさかいはどうなる? マック、ナイキ…ファンと売上を増やす新しいサイトの仕組みとは? お客様も社内会議に参加!? オイシックス流ユニーク経営術 記者の嫌味が見え隠れ!? 五輪招致に賛成都民増 年始の最初の仕事は、長期有給休暇の調整!? 1000円カット「QBハウス」はどこまで無茶ぶりアリか?

突破力のグリー、戦略のDeNAにみるゲーム業界のミライ

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) カフェインもタウリンも効果なし? ユンケルは飲むだけ無駄!? 親会社フーディーズ破産で村さ来、焼肉のさかいはどうなる? マック、ナイキ…ファンと売上を増やす新しいサイトの仕組みとは? ■特にオススメ記事はこちら! 突破力のグリー、戦略のDeNAにみるゲーム業界のミライ - Business Journal(9月13日)
今回取材した國光宏尚氏が社長を務める
gumiのHPより。
 ここ数年、グリーやディー・エヌ・エー(mobage)などが牽引するソーシャルゲーム市場の急成長は、誰もが目を見張るところである。  そのグリーのビジネスパートナーであり、コンテンツ(ゲーム)プロバイダーとしてトップクラスの地位を築いている企業が、gumi(グミ)だ。  2007年の創業から5年という短期間で、なぜgumiは急成長を遂げたのか?  その秘密に加え、ソーシャルゲーム業界で、  「今、何が起こっているのか?」  「これから、どのような進化をしていくのか? などについて、業界を知り尽くす國光宏尚・gumi社長に話を聞いた。 ――早速ですが、ソーシャルゲーム業界は、グリーとディー・エヌ・エーが熾烈なライバル争いを繰り広げています。そんな中で、現在gumiは、グリーとビジネスパートナーを組まれていますが、その理由はなんでしょうか? 國光宏尚氏(以下、國光) グリーを選んだのは、ソーシャルゲーム業界の中で私たちが最初でした。あくまでビジネスとはいえ人間関係が重要なので、最終的には信頼できるかが重要だと思いました。グリーもディー・エヌ・エーもユーザー数はほぼ同じ。土俵が同じなら、良いコンテンツをつくれば、ユーザーも評価してくれるという思いもありました。  グリーのすごいところは、トップが一旦腑に落ちて納得して、コレだと思ったら一気に会社が動くところです。最初はほとんどディー・エヌ・エーの後塵を拝していましたが、どうにかして追いついてしまう。完全に選択と集中ができていると思います。社内のオペレーションがよく、実行能力も非常に高いのです。  その意味では、グリーは松下幸之助さん時代のパナソニックのよう。決めたことをすごい突破力で実行していく。ディー・エヌ・エーはコンサルタントのような会社で、きちんと戦略を練って考えている。創業者の南部智子さんが勤めていたマッキンゼーのカルチャーのようなものがあるのかなと思います。  モバイルの世界は、まだ「これが絶対の成功モデルだ」というものがありません。まだわからないことがたくさんあり、可能性もたくさんある。近い将来何かが出てきたときでも、この2社は果敢に乗り出していくと思います。 ――そもそも、gumiはどうやってソーシャルゲームにたどりついたのですか? 國光 最初に会社をつくったときは、携帯版のフェイスブックをつくるつもりでした。当時はマイスペースが伸びていた時期で、フェイスブックはまだ小さかったのですが、そのころからフェイスブックはブレイクすると私は予測していました。  それまでのインターネットはウェブサイトが中心。グーグルもウェブサイトを検索するものです。それがソーシャルネットワークの登場で、とくにフェイスブック以降は、人が中心になってきた。  「人がどのようなウェブサイトを見ているのか?」  「どういうものを買っているのか?」  「そして、どう繋がっているのか?」  つまり、「人が中心」というところにウェブが完全に置き変わったのです。  その転換点の中で、まさに今がチャンス。フェイスブックは最初PC向けだったので、携帯版のフェイスブックをつくればイケるのではないかと思いました。  今オープン化している会社は多いですが、当社は、ミクシィがオープン化する1 年前、グリーがオープン化する2 年前、フェイスブックのモバイルがオープン化する3年前に、すでにオープン化していました。  当時、私としてはモバイル版ソーシャルネットワークを世界で初めてつくったということで、スティーブ・ジョブズになったような気持ちでした(笑)。オープン化すれば反響もすごいと思っていた。  ところが実際には、オープン化しても、誰も反応してくれませんでした。せっかくオープン化したのに、誰もコンテンツをつくってくれない。そこで、仕方がなく、自分たちで自分たちのサイト向けのコンテンツをつくるようになったのです。  会社は創業当初5 人くらいだったのですが、2年くらいは鳴かず飛ばず。そのうちミクシィがオープン化したので、つくっていたコンテンツを提供し始めたのです。それでもミクシィがオープン化するというニュースを聞いたときは、絶望的な気分になりました。これで最初のプラットフォーム戦略は崩れたわけですから。  しかし、ミクシィとのお付き合いが始まってから、ユーザー数は急増。モバイル向けのコンテンツをつくっている会社は少なかったこともあり、大きな先行者利得を得ることになりました。そこからグリー、ディー・エヌ・エーとお付き合いするようになるのです。 映像会社からの脱皮 ――gumiは07年の創業から5年目を迎えました、起業のきっかけはなんだったのでしょうか? 國光 私は、もともと海外が長くて、中国・上海の大学(復旦大学)に入り、そのあとバックパッカーとして中国国内、インド、チベット、中南米、東南アジアなど30カ国を足かけ2年放浪しました。最後はロサンゼルスの大学(Santa Monica College)に入って、結局10年くらい海外にいました。29歳のときに帰国にして、映画・TVドラマのプロデュースを行うアットムービーという映像会社に、取締役として参画しました。  その会社のポリシーは、「制作会社と呼ばせない」というもの。TV局の下請け的仕事という慣習から脱するためでした。「言われた仕事は断る」「自分たち発の企画しかやらない」。おそらくTV局からは生意気に映ったでしょうが、先方がアイデアに困るとうちに相談にくるようになり、映画、TV局ともに幅広く仕事をしていました。  自分たちの考えた企画をプロデュースするからには、入口から出口までやりたい。そこで、役者の選定から、資金集め、現場の仕切り、最終的な宣伝、配給まですべてに係わっていました。  その過程で、映像の派生としてネットやモバイルとの絡みが出てきました。携帯端末向けのオリジナルドラマや動画にコメントをキャプチャーで入れたり、当時ネット系の新しいと言われる領域で、さまざまな試みを行っていました。  しかし、映像業界は歴史が古く、保守的な体質でした。ネットでの新しい試みを大きなビジネスとして動かそうとするとストップがかかる。説得はしたのですが、どうしてもその壁を乗り越えられなかった。そこで、やりたいことができなのなら、独立しようということになったのです。 細部へのこだわりを武器に世界へ ――創業はスムーズに運んだのでしょうか? 國光 資金は、自己資金のほかにアットムービーと、ウノウ(その後、ジンガが買収)と同社社長の山田進太郎氏から出資してもらい、会社を立ち上げました。  山田氏との縁は大きく事業に影響しています。そもそも私は、ブログの世界でちょっとした有名人でした。「映画プロデュース会社:取締役の妄想日記」というようなかたちでブログを書いていたのですが、シリコンバレーの最先端のニュースなどを自分のコメントとともに書きまくっていたのです。  当時はそうした情報を載せているブログは少なかった。そこで、自然と海外のIT情報に興味をもつ人たちと知り合いになりました。連絡を取り合って、ごはんでも食べようと。その中に、同じくブログの世界で有名人だった山田氏がいたのです。山田氏の会社は高い技術力を持っていた。こちらにはエンタメのノウハウがある。そこで、一緒に何かやったら面白いということで出資をしてもらったのです。 ――創業から5年たち、ソーシャルゲームも成熟期を迎えつつありますが、将来の戦略をどのように考えていますか? 國光 海外に目を向けています。現在、韓国、中国、シンガポール、パリ、米国に拠点を持っています。日本国内の社員数は350人ですが、海外にも合わせて150人います。    優秀なクリエイターはグローバルレベルで人手不足なので、私たちも海外で優秀な人材を確保する競争をしなければならない。そこからどんどん新しいイノベーションをつくっていきたい。私たちは映像出身だけに、クリエイターにとって働きやすい会社です。ネットの世界で、コンテンツづくりに長けた人たちは意外と少ない。私たちのソーシャルゲームも、細部にこだわってつくっているからこそ、ユーザーの支持を得られているのだと思います。  スマートフォンが世界を席巻する中、私たちのビジネスも世界が相手なのです。日本発で世界中の人たちに愛されるコンテンツをつくりだし、世界No.1を獲りたいと思います。 (構成=國貞文隆) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) カフェインもタウリンも効果なし? ユンケルは飲むだけ無駄!? 親会社フーディーズ破産で村さ来、焼肉のさかいはどうなる? マック、ナイキ…ファンと売上を増やす新しいサイトの仕組みとは? お客様も社内会議に参加!? オイシックス流ユニーク経営術 記者の嫌味が見え隠れ!? 五輪招致に賛成都民増 年始の最初の仕事は、長期有給休暇の調整!? 1000円カット「QBハウス」はどこまで無茶ぶりアリか?

あのゲーム『人狼』が著名声優大集結でドラマCD化! 過去最大のブームに乗り遅れるな!?

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 『人狼』というパーティーゲームをご存じの方も多いかもしれない。人間の村に人狼が忍び込み、村人を殺めていく。昼フェイズでは村人たちが人狼をあぶり出すために誰かを「吊り」、狩人による護衛以外に村人の防御手段がない夜フェイズには人狼が誰かを「噛む」。この繰り返しで数を減らしていき、人狼が全滅するか、村人の数が人狼の数を下回れば勝敗が決着する。プレーヤーが各自に与えられた役割をCO(カミングアウト)しないかぎり正体はわからず、そのCOも信用できるかどうかはわからない。誰が本当のことを言っているのかを探る心理戦が醍醐味だ。言うなれば、かなり手の込んだ「本物は誰だ」。推理のスリルを押し出したゲーム性の塊のようなこの『人狼』が、今ブームになっているという。 「んん? 人狼? 前にもブームになったのでは?」  その通り、このゲームルールは前世紀から存在しているし、代名詞ともなっている輸入カードセット『汝は人狼なりや?』(原題『Are You a Werewolf?』、Looney Labs.)のアメリカ発売は2001年だ。今ではBBS、チャット、Skypeを駆使したネット人狼もあるし、iPhoneアプリにもなっている。しかし、そうした諸々をひっくるめ、『人狼』は過去何度目かのブームを迎えている。各種の媒体で紹介されるケースが増えていることにお気づきだろうか?  となれば、メディアが活気づかないわけがなく、この度『人狼 -Chaotic Time-』と題したドラマCDが株式会社MFSよりリリースされることが決定した。9月26日からの一般発売に先駆け、8月10日~12日のコミックマーケット82で先行販売する。  なぜ、今ブームなのか。自身も愛好者である、『人狼 -Chaotic Time-』の脚本を執筆した酒井啓之氏に訊いた。 ──この盛り上がりを、どうご覧になっていますか? 酒井 そうですね、今までも何度か『人狼』ブームが来ていたのですが、今回のブームは特に大きな波が来ていると感じます。個人的には、昨今の電力不足から来る非電源系ゲームの見直し、そして推理ブームと重なっていることも後押しになっているのではないかと……。この機会に、より多くの方に『人狼』というゲームを知っていただけるといいですね。 ──その答えと関連してきそうですが、ドラマ化の狙いはどの辺りに? 酒井 『人狼』は初めてプレーする人にとって、決して敷居が低いゲームではありません。長きにわたってプレーされてきたことによるセオリーの確立や、熟練プレーヤーと初心者の壁など、プレー人口の増加にストップをかけている要因はいくつもあります。しかし、ゲーム自体は人が集まらないと成り立たないという矛盾……。今までのブームはこのこともあり、波が収まっていったように思えます。僕らは、今回のドラマCDを通じて、まだ『人狼』という素晴らしいゲームを知らない人たちに、このゲームの楽しさを広めるとともに、熟練プレーヤーの方々に対しても、もう一度『人狼』というゲームを見つめ直していただける機会になればと考えています。 ***  オーディオドラマを盛り上げる声優陣は、豪華のひとことに尽きる。小野友樹、江口拓也、岡本信彦、小林直人、三森すずこ、東山奈央、茅野愛衣、日高里菜、たみやすともえ、小松未可子など、人気声優が集結した。  ストーリーの詳細は公表されていないが、ユウキ役を演ずる小野友樹の以下の自己紹介コメントからすると、この方が主役のような気も。
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ユウキ役の小野友樹。
「ユウキ役をやらせていただいた小野友樹です。名前が一緒ですが、性格も似ているかというと、正義感が強くて、リーダーシップを発揮していたので……似てる……かな?(笑) 全体の進行役を買って出たりして、みんなを引っ張っていく位置にいるキャラクターです。時にはちょっと残酷に見える部分も……」  プライベートで小野とともに『人狼』をプレーしたことがあるという江口拓也(信頼厚い神父モリソン役)と岡本信彦(自分を守る発言をしない青年ライル役)は、それぞれ『人狼 -Chaotic Time-』の作品性をこう語っている。 「台本を読んで、『人狼』をオーバーに表現すると、こういうふうになるんだなと思いました。ストーリーはとても『人狼』らしくて、『ザ・人狼』と言えるんじゃないでしょうか」(江口) 「人狼は難しいので、知らない人が聞いてどこまでわかってもらえるか心配ではあるんですが、音声化の難しい作品をここまで作ったことにはびっくりしています」(岡本)  パーティーゲームである『人狼』には芝居にも似たライヴ感があり、たとえば東山奈央の経験談からは、ゲームの経験が今回の出演に役立っていそうなニュアンスも伝わってくる。 「演劇部の友人に誘われて、一度混ぜてもらったことがあります。当時はルールがわからなくて、見学しようと思っていたら、『やっているうちにわかるから!』と言われて参加することに。村人だったのですが、周りの空気に合わせてウソをつきまくった結果、人狼と間違われて殺されてしまいました(笑)。黙っていればよかったです……(笑)」  一方、「今回収録をしてみて、実際にゲームをやるなら、やってみたい役職はありますか?」と問われた小野は、次のように答えている。 「人狼ですね。普段はウソをついたりしないので……だからこそ、ゲームではほかのプレーヤーをダマせる自信があります。以前プレーしたときに、人狼をやっていて、隣の人が自分のことをひたすら信じてくれているのに、ほかの人狼と、『この人どうする?』みたいなやりとりをしたことがありました。今回のドラマCDをやったことで、ひとりひとりを掘り下げていくと、それぞれにドラマがあることがわかったので、次にやるときは発言だけでなく、態度に注目したいと思います」  うーん、恐ろしい! 日本的儒教的な善悪観だけでは測りきれない心理戦の果てに、生き残るのは誰か。このドラマCDを聞いてからゲームをやったほうが、生存率が上がるかもしれない。 (取材・構成=後藤勝) ●自己紹介キャストコメント たみやすともえ/アニー役 アニー役をやらせていただきました。アニーちゃんは15歳の女の子なんですが、感情的にならないよう、冷静に演じさせていただきました。年齢のわりに鋭い発言をぼそっと言うところがあります。また、人狼退治経験があるという裏設定があるので、ほかの人に比べて、今回の事態に慣れている感じがあります。 小松未可子/ソフィア役 ソフィア・ハイン役で出演しました。ソフィアは親が人狼に殺されていて、人狼をすごく憎んでいます。人の意見にわりと左右されやすいのですが、まっすぐな部分もあり、気の強い女の子です。 東山奈央/ステイシー役 ステイシー役の東山奈央です。ステイシーは、お兄ちゃんのライルのことが好きな女の子です。病弱なのですが、だからといって引っ込み思案ではなく、明るい子です。周りの人たちに愛されて育ってきました。 小林直人/ファン役 今回、ファン・ユージスを担当させていただきました。一番最初は目立たないのですが……。 三森すずこ/メイ役 私の演じるメイちゃんは、14歳なのに雑貨屋を営んでいる経営者であるという、若いながらもしっかりしている女の子です。話し合いの時は、いろんな人に話を振ったりしていて、仕切りたがり屋な一面も。まだ子どもらしいところもあったりする、かわいい子です。 江口拓也/モリソン役 神父をやらせていただきました。モリソンはみんなから信頼されていて、ユウキの次くらいに作品を引っ張っているんじゃないかと思います。 日高里菜/サーシャ役 サーシャ役をやらせていただきました。サーシャは優しい男の子です。人が死ぬシーンでは相手を思いやっていて、優しい子だなって思いました。今まで男の子をやったこともなく、オーディションを受けたこともなかったので、演じることができてうれしいです。 岡本信彦/ライル役 ライル役を演じさせていただきました。ライルはぶっきらぼうというか、自分を保守するような発言をあまりしない、ある意味率直な青年です。 茅野愛衣/アロナ役 アロナ役をやらせていただきました。普段、話をしている感じを取り入れつつ、大人の人を意識して演じました。寡黙なキャラクターだと思っていたら、結構意見をしっかり言っていて認識が変わりました。 コミックマーケット82(8月10日~12日)では企業ブース内ブースNo.421「音泉」とブースNo.633「株式会社sunset creative」にて販売。 キャストなど作品の情報は< http://www.koepota.jp/wearwolf/ >まで。

おっさんゲーマー集まれ! 最新技術を盛り込んだ、アーケードゲーム業界の今

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「アーケードゲーマー」(ホビージャパン)
 そういえば、久しくゲームセンターに行っていない。かつては学校が終われば毎日のように立ち寄り、格闘ゲームや音ゲーにありったけの100円玉を突っ込みまくっていた筆者だが、ここ数年はとんとご無沙汰である。理由はいろいろあるが、どうもオンラインゲームやカードゲームといった2000年代に入ってからのアーケードゲームのトレンドに手を出すことが億劫だった、というのが大きいだろう。「やっぱりゲームは一人でチクチクと攻略していくべきだ」「顔の見えない奴と対戦なんかできるか!」という、前時代的なこだわりもあったのかもしれない。  同様の保守的なゲームファンが増えているのかどうかは不明だが、「警察白書」によると、1986年には2万6,573軒あったゲームセンターの数も、2010年には7,137軒にまで数を減らしているそうだ。コンシューマゲーム機のスペック向上に伴い、アーケードゲームの優位性が失われてきたことや、オンライン対戦が家庭でも楽しめるようになってきたことで、わざわざゲームセンターに出向かずとも世界中のプレイヤーと対戦できるようになってきたこと。また少子化や不景気による利用者数の減少といった社会的な理由なども考えられるが、だからといってゲームセンターは、いや、アーケードゲームは終わったのか? そうではないはずだ!  そう力強く叫ぶのが、ホビージャパンより発行されたゲーセン情報誌「アーケードゲーマー」だ。最新の技術を盛り込み、かつてないアイデアを投入したアーケードゲームが集う「ゲームの実験場」として、日本のゲーム黎明期より存在し続けているゲームセンターは、今日も新たなゲームの可能性とエキサイティングな体験を我々に提供し続けているのだ。そんな「ゲームセンターの本質」を探るという観点から、今のゲームセンターの魅力を提示している。
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 シューティングゲーム、アクションゲーム、格闘ゲーム、音ゲー、トレーディングカードゲームと次々と新たなトレンドを生み出してきたアーケードゲームシーンだが、本書はそれらに連なる「今のゲームセンター」のトレンドとして、オンラインゲームを大々的にフィーチャー。また、巻頭のオンラインゲーム特集の後は、ゲームセンターの進化の歴史を振り返る大型筐体の特集が組まれている。この記事では、新たな技術を貪欲に取り込み、ゲーマーに新たなエンタテインメントを提供し続けてきたアーケードゲーム業界の熱気を感じることができる。  ここで多くのオールドゲーマーは気づくはずだ。かつて我々は、新たなゲームが登場するたびに嬉々として100円を投入していたではないか、と。『ハングオン』『スペースハリアー』『アフターバーナー』『R-360』『ビートマニア』に『ダライアス』……。『忍者ハヤテ』なんてLDゲームもあったっけ。全部が全部大成功というわけでもなかったし、今ももろ手を挙げて名作というにははばかられる、エッジすぎる迷作も少なくなかった。それでも我々は新作ゲームに挑み続けていたではないか。新たなジャンルのゲームが登場したなら、我先にと台に列をなしたじゃないか。仮にゲームセンターという文化が緩慢な死を迎えつつあるとするならば、その戦犯は新たなゲームに対する好奇心を失った、我々オールドゲーマーだったのではないだろうか。 IMG_8824_.jpg IMG_8825_.jpg  というわけで、書を捨てゲームセンターに行ってみた。そこには、最新技術が惜しみなくつぎ込まれた未知のアーケードゲームが待ち構えていた。ゲームセンターならではの大画面や大音響に圧倒されつつプレーする久々のアーケードゲームは、すっかりおっさんになってしまった筆者にはちょいとばかりテンポが速すぎるような気もしたが、まあ、何回かトライ&エラーを繰り返すことで対応できるようになるだろう。見知らぬプレイヤーとのやりとりも、存外に面白い。対戦後のコメントのやりとりにはニヤリとさせられることも多いし、うまく連携がハマった時の「つながっている感」はオンラインゲームならでは。  こんなふうにアーケードゲームの面白さを再確認させてくれたことだけでも、本書の存在意義は大きい。それもこれも、業界の広告媒体となった大手ゲーム雑誌には出せないゲーム愛あふれる誌面づくりがあればこそ。ただの情報誌として以上に、ゲームファンならいつもそばに置いておきたい一冊である。 (文=有田シュン)

押井守の“新作映像”『重鉄騎』スペシャルトレーラー本邦初公開に湧いた!

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『重鉄騎』左から片岡P、押井守監督、北林P
 コントローラーを用いず、プレイヤーの体を使って操作をする「Kinect」対応タイトルが増え、さらなる脚光を浴びているXbox360。  その注目タイトルが顔を揃えたファン垂涎の濃厚イベント「Xbox 360 感謝祭 in AKIBA ~ハマる アクション ゲーム生活! この夏、行こうゲームの新境地。~」が、6月17日、東京・秋葉原のベルサール秋葉原にて開催された。  コントローラータイトルの『LOLLIPOP CHAINSAW』、『MAX ANARCHY』、『ウィッチャー2』、『ゴーストリコン』、『フューチャーソルジャー(Kinect 対応)』、『ロボティクス・ノーツ』に加え、Kinect タイトルの『Crimson Dragon』『重鉄騎』も試遊できるとあり、大勢のコアなXbox360ファンでフロアは賑わった。  また、プレイアブル出展以外にステージイベントも催され、『LOLLIPOP CHAINSAW』『ロボティクス・ノーツ』のほか、16時からと17時からの2回に渡り、発売直前の『重鉄騎』がメインステージを占拠した。
『重鉄騎』試遊台。まさに全身を使って遊ぶ。
 場内が驚きに包まれたのは、16時からの『重鉄騎』実機デモにつづく、17時からのトークイベント。6月18日に一斉公開された『重鉄騎』イメージトレーラーを、公開に先駆けて上映したのだ。  このイメージトレーラーは押井守監督が手がけた実写作品。  色味を落とした、フルカラーとモノトーンのあいだを往く色調。金髪の女性兵士。そして犬。押井映画に欠かせないモチーフの数々、『アヴァロン』を彷彿とさせるVFXと、おおよそ3分に渡り押井節が全開。戦闘シーンの迫力、カット割りの緊張感に、登壇者も含め、観る者すべてが圧倒され、自然に拍手が沸き起こった。  『重鉄騎』の世界観を活かし、大作映画に仕立てあげたかのようなショートフィルム。司会の渡辺浩弐氏が「すごく大きな物語がうしろに見え隠れしている。世界観がばっちり合っている」と水を向けると、その後に登壇した押井監督は制作の狙いを次のように語った。
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上映された押井監督によるトレーラー
「ゲームのトレーラーはCGでつくられていることがほとんどだと思うんですけど、ゲームはCGでやっているわけだから、トレーラーはちがう形式のほうがいいんじゃないかと思ったのと、いわゆる戦車を二足歩行にした兵器『鉄騎』がメインとなるタイトルなので、実際に本物の戦車で撮らないとこの魅力はたぶん出てこない。時間的にも苦しかったんですけれども、この世界観に合うような本物の戦車を撮るには外国に行くしかなく、ポーランドへ行きました。それがはたして仕事として成立するのかぎりぎりっぽいところもあったんですけれども、なんとかかんとか、やりおおせました」  実際の戦車はとにかく狭い。その狭さをどうやって表現しようかと思ったと、押井監督は言う。  実際にカメラを戦車に潜り込ませれば、アニメやCGのように都合よくは表現できない。そこが狙いだったようだ。  ゲームの『重鉄騎』も、まさにその狭い環境に閉じ込められた状態を、Kinectを介して味わうもの。プレイヤーが共感できる戦車兵を、トレーラーは描いているというわけだ。  ゲーム中ではアメリカ軍と「アジアの大国」率いる国連軍が戦っているが、戦車が映える舞台として、トレーラーではあえてヨーロッパを選んだ押井監督。  ポーランド語しか喋らない金髪の女性兵士は、疫病神なのではないかと、部隊内でささやかれる。そして上官を殴った彼女とともに最前線送りとなり、死にそうな目に遭って、こいつは疫病神どころか死神だ──と再認識するストーリーを構想した。  これを具現化するためにポーランドロケを敢行。民間払い下げのT-55(ソ連製の戦車)を使って撮影した。高価な弾丸は200発を用意したが撮影でほとんどを使い切った。押井映画につきものの犬もその場(演習場)で調達したという。  戦車内には狭くてふたりしか入れず、押井監督は外でモニターを見ながらトランシーバーで指示を出した。  『重鉄騎』には、統率と称して部下を殴るアクションが用意されている。試遊台にも、ときおりシャドーボクシングを気持ちよさそうに繰り出しているプレイヤーを見かけたが、そういう身体感覚を捉えているあたり、トレーラーはよくゲームを反映しているし、トレーラーからゲーム性を類推することもできるという点で、このゲームと映像のコラボレーションは興味深い。 「『重鉄騎』には、ぼくがやりたいことにかなり近い部分があって、トレーラーになったら絶対おもしろいと思いました。ゲームがいっぱい売れてくれたらカプコンさんは映画にしてくれるのではないかと思っているんで、みんなに買ってほしい」(押井監督)  押井守監督のコラボレーショントレーラーは『重鉄騎』公式サイトで観ることができる。 http://www.capcom.co.jp/jutekki/  16時からのステージでは北林達也プロデューサーと片岡謙治プロデューサーが注視するなか安藤行男ディレクターが実演したものの、国連軍の新型兵器である「重鉄騎」と対峙するステージで見事に「重鉄騎」に倒されてしまった。  容易には敵を倒せない歯ごたえのあるゲームを、Kinectによるダイナミックな身振り手振りと、コントローラーによるプレイヤーの乗る鉄騎の移動と射撃のボタン操作という、2つの併用で攻略していくゲーム性に会場のプレイヤーはみな嬉々として少年の面持ち。テストプレイの評判もよいとのことで、北林プロデューサーは「触ってもらうとわかる」と自信に満ちた表情。21日の発売に向け、上々のデモンストレーションとなったようだ。 (取材・文=後藤勝)

押井守の“新作映像”『重鉄騎』スペシャルトレーラー本邦初公開に湧いた!

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『重鉄騎』左から片岡P、押井守監督、北林P
 コントローラーを用いず、プレイヤーの体を使って操作をする「Kinect」対応タイトルが増え、さらなる脚光を浴びているXbox360。  その注目タイトルが顔を揃えたファン垂涎の濃厚イベント「Xbox 360 感謝祭 in AKIBA ~ハマる アクション ゲーム生活! この夏、行こうゲームの新境地。~」が、6月17日、東京・秋葉原のベルサール秋葉原にて開催された。  コントローラータイトルの『LOLLIPOP CHAINSAW』、『MAX ANARCHY』、『ウィッチャー2』、『ゴーストリコン』、『フューチャーソルジャー(Kinect 対応)』、『ロボティクス・ノーツ』に加え、Kinect タイトルの『Crimson Dragon』『重鉄騎』も試遊できるとあり、大勢のコアなXbox360ファンでフロアは賑わった。  また、プレイアブル出展以外にステージイベントも催され、『LOLLIPOP CHAINSAW』『ロボティクス・ノーツ』のほか、16時からと17時からの2回に渡り、発売直前の『重鉄騎』がメインステージを占拠した。
『重鉄騎』試遊台。まさに全身を使って遊ぶ。
 場内が驚きに包まれたのは、16時からの『重鉄騎』実機デモにつづく、17時からのトークイベント。6月18日に一斉公開された『重鉄騎』イメージトレーラーを、公開に先駆けて上映したのだ。  このイメージトレーラーは押井守監督が手がけた実写作品。  色味を落とした、フルカラーとモノトーンのあいだを往く色調。金髪の女性兵士。そして犬。押井映画に欠かせないモチーフの数々、『アヴァロン』を彷彿とさせるVFXと、おおよそ3分に渡り押井節が全開。戦闘シーンの迫力、カット割りの緊張感に、登壇者も含め、観る者すべてが圧倒され、自然に拍手が沸き起こった。  『重鉄騎』の世界観を活かし、大作映画に仕立てあげたかのようなショートフィルム。司会の渡辺浩弐氏が「すごく大きな物語がうしろに見え隠れしている。世界観がばっちり合っている」と水を向けると、その後に登壇した押井監督は制作の狙いを次のように語った。
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上映された押井監督によるトレーラー
「ゲームのトレーラーはCGでつくられていることがほとんどだと思うんですけど、ゲームはCGでやっているわけだから、トレーラーはちがう形式のほうがいいんじゃないかと思ったのと、いわゆる戦車を二足歩行にした兵器『鉄騎』がメインとなるタイトルなので、実際に本物の戦車で撮らないとこの魅力はたぶん出てこない。時間的にも苦しかったんですけれども、この世界観に合うような本物の戦車を撮るには外国に行くしかなく、ポーランドへ行きました。それがはたして仕事として成立するのかぎりぎりっぽいところもあったんですけれども、なんとかかんとか、やりおおせました」  実際の戦車はとにかく狭い。その狭さをどうやって表現しようかと思ったと、押井監督は言う。  実際にカメラを戦車に潜り込ませれば、アニメやCGのように都合よくは表現できない。そこが狙いだったようだ。  ゲームの『重鉄騎』も、まさにその狭い環境に閉じ込められた状態を、Kinectを介して味わうもの。プレイヤーが共感できる戦車兵を、トレーラーは描いているというわけだ。  ゲーム中ではアメリカ軍と「アジアの大国」率いる国連軍が戦っているが、戦車が映える舞台として、トレーラーではあえてヨーロッパを選んだ押井監督。  ポーランド語しか喋らない金髪の女性兵士は、疫病神なのではないかと、部隊内でささやかれる。そして上官を殴った彼女とともに最前線送りとなり、死にそうな目に遭って、こいつは疫病神どころか死神だ──と再認識するストーリーを構想した。  これを具現化するためにポーランドロケを敢行。民間払い下げのT-55(ソ連製の戦車)を使って撮影した。高価な弾丸は200発を用意したが撮影でほとんどを使い切った。押井映画につきものの犬もその場(演習場)で調達したという。  戦車内には狭くてふたりしか入れず、押井監督は外でモニターを見ながらトランシーバーで指示を出した。  『重鉄騎』には、統率と称して部下を殴るアクションが用意されている。試遊台にも、ときおりシャドーボクシングを気持ちよさそうに繰り出しているプレイヤーを見かけたが、そういう身体感覚を捉えているあたり、トレーラーはよくゲームを反映しているし、トレーラーからゲーム性を類推することもできるという点で、このゲームと映像のコラボレーションは興味深い。 「『重鉄騎』には、ぼくがやりたいことにかなり近い部分があって、トレーラーになったら絶対おもしろいと思いました。ゲームがいっぱい売れてくれたらカプコンさんは映画にしてくれるのではないかと思っているんで、みんなに買ってほしい」(押井監督)  押井守監督のコラボレーショントレーラーは『重鉄騎』公式サイトで観ることができる。 http://www.capcom.co.jp/jutekki/  16時からのステージでは北林達也プロデューサーと片岡謙治プロデューサーが注視するなか安藤行男ディレクターが実演したものの、国連軍の新型兵器である「重鉄騎」と対峙するステージで見事に「重鉄騎」に倒されてしまった。  容易には敵を倒せない歯ごたえのあるゲームを、Kinectによるダイナミックな身振り手振りと、コントローラーによるプレイヤーの乗る鉄騎の移動と射撃のボタン操作という、2つの併用で攻略していくゲーム性に会場のプレイヤーはみな嬉々として少年の面持ち。テストプレイの評判もよいとのことで、北林プロデューサーは「触ってもらうとわかる」と自信に満ちた表情。21日の発売に向け、上々のデモンストレーションとなったようだ。 (取材・文=後藤勝)