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世間がロンドン五輪に浮かれている一方、国際金融界ではロンドン発のスキャンダルに揺れている。
国際的な資金調達金利の基準とされるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)が、複数の銀行によって不正操作されていた、いわゆるLIBOR不正操作問題で、米連邦検察などの欧米当局が、不正に関わった銀行とそのトレーダーを刑事訴追する動きに出た件だ。
この件に関して、英バークレイズにはすでに約350億円もの制裁金が科せられており、さらに英RBSにも近く制裁金が科られる見込みだという。
当局の追及は、それだけには終わらない。モルガン・スタンレーのアナリストによる試算では、不正に関わった欧米の主要金融機関が負担することになる制裁金と訴訟費用の総額は、2014年までに1兆円以上になるとしている。
ところが、「それ以上に大きな負担となる可能性があるのが、投資家からの損害賠償請求」と話すのは、大手紙の経済記者だ。
「事件に関わった銀行はカルテルを結び、金融危機前はLIBORを実際よりも高めに操作して利息を稼ぎ、さらに金融危機以降は低めに操作して自らの資金調達を容易にしていた。一方、彼らが操作した金利に従うしかない投資家や企業は、もらうべき利息をもらえなかったり、過剰な金利を払っていたことになる。当局によって不正に関わったとして特定された銀行は、今後さらに、投資家や企業からの損害賠償請求に直面することとなる。場合によっては、制裁金よりも巨額な賠償金を支払うハメになるのでは。ちょうど日本で過払い金返還請求がブームとなり、サラ金が次々と廃業したように、不正に関わったメガバンクがバタバタと潰れるという事態も予測される。そうなれば、リーマンショックどころの騒ぎではないだろう」
もはやロンドン五輪に浮かれている場合ではない!?
(文=牧野源)
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「中国による乗っ取り!?」国内自動車マツダに中国・長安汽車が敵対的TOBか
日本の自動車メーカーも中国に乗っ取られてしまうのか。 「東京モーターショー2011」では、新世代のコンセプトカー「雄(TAKERI)」を世界初公開したマツダだが、一方で中国の5大自動車メーカーのひとつ長安自動車(長安汽車)に買収されるのではないかという見方が業界内でささやかれている。 マツダは2006年から中国で長安、フォードと3社の合弁会社でマツダ車を生産してきたが、来年にはフォードが抜けた「長安マツダ」の2社合弁となる予定で、中国政府の認可を待っている。そんな中、長安が香港の投資顧問会社を使ってマツダ株に関する調査を内外の証券会社などに寄せていたことが伝えられており、これがマツダ株の取得に乗り出したのではないかと見られている。 「米有力投資ファンドのアライアンス・バーンスタインなど2社が夏にマツダ株を12%も取得していることもその動きの可能性があります」とモータージャーナリスト。 こうした見方があるのは、その背景にマツダの経営難があると見られる。リーマンショック以降は株価が低迷、3月の震災でも大きな打撃を受けた。さらに、ヨーロッパの金融不安に伴う円高ではユーロ安が、国内生産に頼り欧州向け輸出車の多いマツダを直撃している。 「実際、10億円の黒字を当初見込んでいた来年3月期の連結最終損益が、190億円の赤字になると発表されました。最終赤字への転落はこれで4期連続で、非常に苦しい」(前出ジャーナリスト) 山内孝会長兼社長は30日、この経営状況について「円高環境下でも日本で造る車で収益を出すよう取り組んでいる」としたものの、一方では「円高だけは企業がコントロールできるものは何もない。糸が切れそうになる直前」とも発言している。 前出ジャーナリストは「この危機に長安が敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けてくることも十分予想されます。仮にそうなれば、マツダの経営権を得てロータリーエンジンに象徴される高い生産技術などが中国に流れてしまう」と危惧する。 いまや中国の食指はすでに他業種では顕著で、これまで三洋電機やレナウン、ラオックスなどが中国企業に買収されており、日本の主要産業である自動車も標的の例外ではないだろう。ある投資家からは「マツダ株を保有している日本の銀行も黙って見ているわけはないので、そう簡単にはいかない」という声も出ているが、将来の日本を左右する可能性を持つ問題だけに心配は大きい。 (文=鈴木雅久)マツダHP
新自由主義否定はナンセンス! やっぱり「小泉改革」は日本に必要だった

八代尚宏教授。
小泉内閣の象徴ともいえる"郵政民営化"。しかし、いま国会では郵政民営化を見直す動きが活発化している。またメディアでも、小泉内閣の新自由主義的政策により格差が広がったことは自明の理のように語られている。まさに、小泉構造改革はすべて間違いであったかのように。そんな流れに異を唱えるのが、国際基督教大学の八代尚宏教授だ。八代教授は今年8月、『新自由主義の復権―日本経済はなぜ停滞しているのか』(中公新書)を上梓し、話題を呼んでいる。今回、八代教授に小泉改革と新自由主義について話を聞いた。
――本書を書いたキッカケとは?
八代尚宏教授(以下、八代) 特にテレビなどのインタビューを受ける際、聞き手は「小泉改革によって格差が広がった」ということを前提に話を進めますが、私が「違います」と言うと一様に驚かれる。経済学者と一般の人との間での認識が、あまりにも違うんですね。そこに中公新書から、私の考えを1冊にまとめないかという依頼があったので、新書ならたくさんの人に読んでもらえると思い書きました。
――経済学者と一般の人の認識の違いとは?
八代 いま日本経済が停滞していることは、誰もが分かっている。それを受けて、一番単純な発想は「誰かが失敗したから」、あるいは「誰か悪い人間がいたから日本経済は停滞してしまった」という犯人説的な発想が一般的です。しかし、誰かが変えたから悪くなったのではなく、逆に誰も変えなかったから悪くなったというのが我々の認識です。つまり、世の中が急速に変化している。特に1990年代以降、旧社会主義国が崩壊し、世界経済が一挙にグローバル化したにもかかわらず、日本はそれに対処しようとしなかった。そして、中国やインドのような人口大国が急速に経済発展し、日本を追い詰めているわけです。一方、日本国内においては高齢化が進み、労働市場や財政面で大きな影響を与えている。そういった大きな変化の中で、日本の企業や政府は、80年代までの"ジャパン・アズ・ナンバーワン"というサクセスストーリーからいまだに逃れられない。そして、失われた10年という90年代の不況と停滞を迎えた後に小泉純一郎首相が出てきた。小泉首相は国民の支持を得て、この国を変えていこうとしたが、その途中の5年で辞めてしまった。5年は早いですね。80年代にイギリスを変革したサッチャー元首相でも10年はかかりましたから。
――本書の帯には、「新自由主義は市場原理主義にあらず」と書かれています。両者の違いについて教えてください。
八代 市場原理主義という言葉は、そもそも経済学にはありません。これは、政府はいらない、市場に任せておけば自由放任でよいという夜警国家のような考え方です。しかし、社会資本の形成、景気の安定、所得再分配や公害の防止が政府の役割であることは、経済学のどの入門書にも書かれていることです。それにもかかわらず、あたかも「夜警国家にすべき」というようなことを小泉改革で言ったかのような幻想がつくり上げられています。新自由主義も同じように理解されているのですが、新自由主義はケインズ(イギリスの経済学者。世界恐慌の際、アメリカではニューディール政策による公共投資で景気を刺激したように、積極的に政府が経済に介入することを主張)のように政府が病人を診る医者にように、経済をコントロールしなければいけないということに対するアンチテーゼです。本書では、政府が適切な役割を果たす健全な市場経済という意味での新自由主義を再定義しています。
――政府が適切な役割を果たす市場経済とは、具体的にはどういうことでしょうか?
八代 サッカーの試合にたとえれば、政府は審判なんです。サッカーの試合は選手だけではできません。公平にプレーするように審判が笛を吹かなければいけない。しかし日本の政府は、権威を笠にかけてやたらに笛を吹き、レッドカードを出すような審判なんです。一流の審判はめったに試合を止めないで、上手く試合をコントロールする。ファウルがあっても、ファウルをされた側に都合がよければ、アドバンテージルールを使うわけです。そういう巧みな審判が必要だということです。経済学では当たり前なのですが、市場をベースにして賢明な政府と組み合わせることが重要です。残念ながら、こうした経済学の考え方が日本では普及していない。特に、財界・マスコミ・官僚に普及していない。官僚の多くは法学部出身ですから、経済学を軽視しているのかもしれません。
――日本は戦後、市場経済の恩恵を受け、ここまで成長しました。にもかかわらず、大竹文雄・大阪大学教授著『競争と公平感』(中公新書)で触れられているデータ(「貧富の格差が生じるとしても、自由な市場経済で多くの人々はより良くなる、という考えに賛成するか?」という質問を各国国民に聞いた、2007年のアメリカのピュー研究所の調査によると、主要国の中で日本の市場経済への信頼は最も低く、49%の人しか賛成していない。これは旧社会主義国であるロシアや中国よりも低い数値)の通り、一般の日本人の多くが市場経済を嫌うのはどうしてでしょうか?
八代 実際に市場経済を利用しているにもかかわらず、経済学を体系的に勉強していない。市場を使って利益を得て、市場競争に勝ち残ることに後ろめたさを感じるビジネスマンも多いのではないかと思います。市場での公平な競争を通じて利益を得ることは、人々が必要とするモノやサービスを提供しないとできないことですから、それ自体、立派に社会に貢献しているのだという自信をもってもらいたいです。たとえば、コンビニエンスストアは高い収益を上げています。しかし、人々を搾取しているわけではありません。人々が欲しいものを狭い店内に置き、24時間営業し、多様なサービスを提供することで人々の生活を著しく便利にしています。いま医療・介護・保育には需要がたくさんあるにもかかわらず、それに見合ったサービスを提供できず、お客に長い行列をつくらせています。私は、コンビニ業界がノウハウを活かして、介護や保育サービスに乗り出せば、どれだけ効率的になるだろうと思います。
――確かに、保育所の待機児童問題は大きいですね。
八代 これこそ民間の知恵を使うべきだと思います。従来、そうした保育などは、福祉として政府がやらなければいけないという考えが多数でしたが、政府にはお金がないので、いつまでたっても供給は増えません。なぜ、政府が監督する公益的なサービスとして、知恵を出すところから民間にやらせないのかということです。旧ソビエト連邦などの社会主義国が90年代に放棄したことをいまだに続けています。これが、昔から日本は世界最大の社会主義国などといわれているゆえんです。これまでは民間部門が頑張ってきたので、なんとか90年代までやってこれた。でも、もうそれも限界に来ていて、民間企業はどんどん国外へ逃げ出します。あとは、効率の悪い農業とサービス部門が残されています。目に見えない「ベルリンの壁」を壊さないといけない、真の市場主義国になる時期に来ています。
――本書の中でも、小泉改革により格差が広がったというのは間違っていると書かれていますが。
八代 競争を激しくすると勝つ人と負ける人がいるので、格差が広がるという考え方があります。しかし、規制緩和をすれば、逆に規制によって保護されている人と保護されていない人の格差は縮まり、新たに職を得る人もいるわけです。
――たとえば、小泉改革により、タクシー業界では02年に規制緩和が行われ、車両が増え、タクシー運転手が増え過ぎたことで他の職種との所得格差が広がったと言われています。
八代 規制緩和によって格差が広がったというのは、元々運転手をしていた人の言い分です。タクシーの参入規制を撤廃したことにより、約1万人の新しい雇用が生まれた。タクシー運転手の人数が増えれば運転手の所得は減りますが、だからといってタクシー運転手が貧しくなって格差が広がったというのはあまりに一面的です。多くの失業をしている人が運転手になれたわけですし、また消費者にもとっても便利になった。たとえば、タクシー会社に競争意識を芽生えさせ、「空港から都市中心部への固定料金」「高齢者や子どもの送迎」などのサービスが生まれた。日本の世論はアンバランスで、組織されたタクシー会社や運転手の声は聞こえますが、規制緩和によって利益を得た人々の声はほとんど反映されていない。また、供給が増えたのに価格がまったく下がらず、消費者の需要が増えなかった、中途半端な規制緩和であったことも、所得が減った一因です。
――若年層の間でも、正社員と非正規社員のように格差が広がったと言われています。
八代 若年層に非正規社員が増えたということについては、規制改革のせいというより、経済の長期停滞の影響が非常に大きく、そもそも雇用自体が減ってしまっている。日本には厳格な雇用保障慣行があり、中高年労働者の雇用を維持したために、新卒採用を抑制した。雇用調整のしわ寄せを受けた点も重要だと思います。そして正規社員の雇用や賃金を厳格に守るために、必要以上に非正規社員が増えてしまった面があると思います。いまの日本経済の大きな背景には長期停滞があって、それを打破し、雇用を増やすためにどうしたらよいかを考えたのが小泉改革だったと思いますが、セフティーネットが不十分であったなど、やはり中途半端で終わってしまった。
■TPPを通じて、日本は市場を拡大させられる
――ここ数年、「日本は経済的に豊かになったのだから、もう経済成長なんてしなくていいんだ」というような意見が聞かれますが、経済学者の立場からどう考えられますか?
八代 無責任な考え方ですね。経済成長をしなければ新規雇用は生まれません。いま雇われている人々は、経済成長をしなくてもよいと思うかもしれませんが、一番の被害者は若年層です。これから雇われる人、子育てを終えて働こうとする人、それから定年退職後に働きたい高齢者、雇用が必要な人はたくさんいるわけです。そういう雇用を作り出すためには、経済成長をしなくてはならない。
――そんな経済成長はしなくていいんだという雰囲気の中、GDPが中国に抜かれましたが。
八代 「中国はGDPが日本より大きくなったけど、空気は悪いし、国内での格差が大きい」と言う人がいますが、そんなことは中国の問題です。日本がなぜ抜かれたか? それは、日本が過去15年間停滞していたからです。あとは、「日本は大人で、中国は子ども、子どもが成長するのは当たり前だ」とか、そういうひどい議論をしている。そんな議論が正しければ、日本より成熟したアメリカはなぜ成長しているのか。日本にも成長できる余地はいくらでもあるわけです。それをしないのは、"人災"です。
――失われた20年を取り戻し、経済停滞を打破していくにはどうしたらよいのでしょうか?
八代 過去の経済環境に合うようにつくられた諸制度の改革ですね。制度改革は、現在の先進国では当たり前に行われていることです。日本は世界が変わっている中で、ひとり過去の成功の夢を貪り、昔のままでいいと思っている。これを問題と思わないことこそが、最大の問題です。
――規制緩和をすると外資系企業が入ってきて、日本が乗っ取られるというようなことを言う人がいますが。
八代 外資系企業が入ってきてくれれば、雇用の創出という面からみたら、明らかにプラスです。いまの日本の問題は外資系企業がどんどん撤退していることです。TPPの反対論者などが主張する「外資系企業が日本の資本を食い尽くす」という意見は、現に日本がアメリカに対してやってきたことなのです。かつて、日本の資本がアメリカに進出し、工場を作り、雇用を生み出した。初めはロックフェラーセンタービルを買収したことで反発もありましたが、雇用を生み出したことにより歓迎されたのです。
――現在、中国資本が入ってくることについては?
八代 現在、かろうじて日本に直接投資をしてくれているのは中国です。かつて、アメリカ人が日本の資本が入ってくることに抱いたのと同じ警戒心を、日本人は中国に対して抱いている。私は、中国が日本に対して投資してくれることはいいことだと思います。それで日本の雇用は増えるわけですから。世界的な自由貿易体制では、日本もアメリカに輸出するし、アメリカも日本に輸出する。そして、日本もアメリカや中国に投資するし、中国やアメリカも日本に投資する。それがなぜ悪いのかということです。
――TPPに反対する人は、その辺が分かっていないのでしょうか?
八代 TPPというのは、アメリカも日本もお互いにもっと自由貿易や投資を増やしましょうということで、NAFTA(北米自由貿易協定)でやったことを環太平洋に広げるということです。NAFTAについても、それでカナダの企業がアメリカの企業に買収されたとか言われているのですが、NAFTAで最大の利益を得たのはカナダ経済です。それは広大なアメリカの市場に対して、カナダからどんどん輸出ができたからです。カナダの90年代は、日本と同じように財政赤字で経済も停滞していた。けれども、NAFTAを通じた輸出の拡大によって、大幅な財政再建のデフレ効果を相殺し、経済も良くなった。同じようなことは、日本もTPPを通じてできる可能性があるわけです。
――野田総理に変わり、いまの政局に期待することはありますか?
八代 ひとついい兆候は、野田さんが国家戦略会議を使うと言っていることです。やはりTPPにしてもそうですが、改革を行うためには密室の中で決めるのではなく、きちっと反対派の意見を聞いて議論する場が必要だと思います。賛成派も、反対派もお互いが資料を出して、それを全部公開して議論を尽くせば、自ずから世論はできていくわけで、そこで首相が決断して方向を決める。野田さんは実務家の総理ということで、粛々とやっていくことに期待しています。先日参加した国際会議で、意外と外国人の評判は良く、驚きました。民主党で初めてノーマルな総理が出てきたと。もっとも、実際は未知数で、今度のTPPへの参加という大きな課題をどう実現するかが試金石となります。
(構成=本多カツヒロ)
●やしろ・なおひろ
1946年大阪府生まれ。68年国際基督教大学教養学部、70年東京大学経済学部卒業、経済企画庁(現内閣府)、OECD事務局、上智大学国際関係研究所教授、日本経済研究センター理事長等を経て、現在、国際基督教大学客員教授、安倍・福田内閣で経済財政諮問会議議員、メリーランド大学博士(経済学)、労働経済学、日本経済論専攻。
主な著書に、『日本的雇用慣行の経済学』(日本経済新聞社)、『少子・高齢化の経済学』(東洋経済新報社)、『雇用改革の時代』(中公新書)、『健全な市場社会への戦略』(東洋経済新報社)、『労働市場改革の経済学』(東洋経済新報社)、『成長産業としての医療・介護(共編著)』(日本経済新聞社)などがある。
オリンパス社長解任劇で浮上した不正会計疑惑は同社で代々伝承された"お家芸"だった!?
「ウッドフォード氏本人は、儀礼や慣習よりもずっと具体的で憂慮すべき問題を巡って、同僚たちと衝突したと話している。トップの立場から『内部告発』を行ったためだという」(10月15日付け英紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」)
10月14日、オリンパスの菊川剛会長は記者会見で、「日常の業務で組織を無視した指示があり、グループ全体が混乱していた」ことを理由に、同社取締役会がマイケル・ウッドフォード社長を解任し、菊川氏が社長職を兼務することを発表。今年4月の社長就任からわずか半年のスピード解任となった。
同日、この解任発表について、オリンパス社内は「不自然なほど誰も触れようとしない」(同社現役社員)状況で、全社員向けに「菊川会長兼社長」名で次のような「臨時メッセージ」が配信されていた。
「(ウッドフォード前社長が原因で)独断専横的な経営判断で物事が進んでしまい、(略)このような事態を長期にわたり続けることは当社の社員をはじめ、(略)さまざまなステークホルダーに対して多大なるご迷惑をおかけすることであり、(略)判断いたしました」
この説明を聞く限り、あたかも前社長に100%非があるように受け取れるが、冒頭のFTの記事によると、前社長が同社の主に2つの不正会計を社内で追及しようとしたことが解任理由だというのだ。
ひとつめは、2006~08年に同社が計7億7,300万ドルを投じた非公開企業3社の買収について、その後投資額の約7割が減損処理されていた問題。
2つめは、08年の同社による英医療機器メーカー・ジャイラス買収において、総額22億ドルの買収金額の約3分の1に相当する多額の報酬金を、買収を仲介しただけのフィナンシャルアドバイザーで、世界的な租税回避地(タックスヘイブン)であるケイマン諸島に所在する、いまだ所有者不明のAXAMという会社に支払っていた問題である。FTが入手した資料によると、オリンパスの社外監査法人だったKPMGも、09年監査の際にジャイラス及びAXAMの不正会計を示唆していたというのだ。
さらに、オリンパスが04年に子会社化したITサービス企業・ITXに関するオリンパスの会計処理についても、かねてから社内では疑念の声が上がっていたという。ITXの元関係者はこう証言する。
「ITX子会社化以前の00年から、オリンパスはITXの株式を15%以上所有していましたが、同社は直接保有する株式以外にも、ITXの株式を投資信託化して、同社と関係の深いオリンパス香港・中国有限公司、コンサルティング会社グローバル・カンパニー(GC)、リヒテンシュタイン銀行に保有させていました。これは、本来オリンパスが自社名義で保有すべき『株式』を、意図的に自社の代わりに他社名義の『投資信託』に見せかけ、見た目上の自社の株式保有比率を引き下げるという行為であり、『意図的なグループ連結会計外し』という極めて違法性の高い操作だと社内でささやかれていました【編註:複数の企業間で、自社名義でお互いの株式を持ち合うことは、一部の例外を除き合法】。そして、04年のITX子会社化の際には、オリンパスはこれらの投資信託を買い取り、株式化することにより、一気にITXの約70%の株式を取得しました。子会社化の直前にITXは株式公開に失敗し、オリンパスやこの4社以外の株主は、ITX株式の評価損を一斉に計上していましたが、オリンパスは子会社化により、計上すべき評価損を免れていた模様です【編註:自社保有の株式下落により会計上損失を計上しなければならない基準は、子会社の株式の場合緩和される】。しかしこの行為は、株価が上がらない場合、将来多額の損失を"のれん代"として償却しなければならなくなる恐れがあり、『"意図的な"将来への損失先送り=商法違反』の疑いがあったため、社内で異論が噴出し、実際2年後に数百億円レベルの損失を計上したと聞いています」
●不正会計の指南役は某大手証券会社社員!?
また別の元関係者は、FTでジャイラスとAXAMに関する疑惑を目にしたとき、この不正会計の際に利用された手法の"指南役"と思われる人物A氏にまつわる噂を、社内で聞いたことを思い出したという。
「(FT記事が提示するひとつめの問題である)非公開企業3社とは、アルティス(健康食品会社)、ヒューマラボ(同左)、NEWS CHEF(食器・調理器具会社)ですが、オリンパスの事業分野と無関係な会社ばかりです。前出のCGはオリンパスから投資業務委託も受けていますが、CG傘下の投資ファンドが所有するこの3社を、06~08年にかけオリンパスはCGの仲介でこのファンドから買収します。この取引の中心人物が当時CGの幹部だった元某大手証券会社社員A氏でした。A氏はのちにオリンパスの関連会社幹部となり、前出のリヒテンシュタイン銀行にオリンパスの法人名義口座を開くため海外出張したりと、財務面で同社のアドバイザリー的な役割を担っていたともいわれていました。買収の仲介料を"裏の指南"への報酬としてA氏に支払うために、オリンパスは損失を出してまで買収を行ったのでは、という噂まで社内で出たほどです。のちのジャイラスとAXAMの件でも、A氏が指南した手法が使われた可能性があるのではないでしょうか」
ちなみにたびたび登場するこのリヒテンシュタイン銀行とは?
「スイス銀行に代表される、極めて顧客情報の守秘性が高いプライベートバンクで、口座開設にあたり最低でも必要な預金額は数億円以上。世界の富裕層の租税回避にも利用されており、08年にはアメリカ、ドイツなど複数国が協調して脱税捜査に入り、世界的に名の知れた起業家やミュージシャン、俳優が秘密口座を持っていた実態が明らかになりました」(証券アナリスト)
オリンパスが利益の見込めない買収劇を繰り返し、この銀行やケイマン諸島などの租税回避地を使って、不正な隠し財産を積み上げているとしたら? 真相は霧の中だが、もし仮にこの元関係者の証言やFTの記事が事実だとすると、疑問を抱かざるをえない。
10月20日付け日経新聞朝刊は、ジャイラス買収について、買収金額約2,200億円の約4分の1にあたる「557億円の減損処理を(オリンパスは)正当と主張するが、規模の大きい損失や支出が『財務悪化を招いた』(JPモルガン証券の森山久史アナリスト)との指摘がある」と報じた。また、新聞各社の報道によると、ウッドフォード前社長は17日、国際的な汚職などを捜査する英重大不正捜査局(SFO)にこの買収に関連する資料を提出し、オリンパス側も前社長に対し法的措置をとる可能性を示唆しているという。
いまだにジャイラスやAXAMの会計は未公開のままだが、こうしたオリンパスの"謎の多さ"が、「菊川現社長が退任しない限り、同社に投資する市場関係者は出ないでしょう」(前出の証券アナリスト)との声を呼んでいるのかもしれない。
(文=編集部)

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日銀会見と宮内庁会見は同類!? 記者、学者の癒着が生んだ"日銀タブー"の罪悪
──一部週刊誌では取り上げられるものの、全国紙の経済面や社説で日本銀行に対する批判はほぼ皆無。日銀の政策は、常に正しいのだろうか?実は日銀と新聞社、そして新聞に寄稿やコメントをする経済学者の間には、不健全な関係があるという。
深刻化する欧州金融危機と世界的な株安、史上最高値圏で推移する円相場、さらには東日本大震災後の復興財源をどこに求めるかという問題─。日本経済に降りかかる数々の難題を受けて、我が国の金融政策をつかさどる日本銀行への関心が高まっている。 例えば復興財源をめぐっては、財務省が提唱する増税案に対し、エコノミストやジャーナリストの一部からは不況下の増税は景気を一層悪化させるとして、日銀による国債の直接引き受け策を求める声も出てきた。これに対しては、日銀引き受けが想定外の通貨安(円に対する信任低下)をもたらす危険性を指摘する声もあるが、日本経済新聞をはじめとする大手メディアでは、こうした議論自体が正面から取り上げられることはない。 元日本経済新聞論説委員で、現「FACTA」の編集主幹・阿部重夫氏は、「日銀は外部の批判にほとんど耳を貸しません。それは日銀クラブ(日銀の記者クラブ)に所属している記者を早々と日銀の論理に洗脳して、無批判の環境で自らを囲い込んでしまうからです」と話す。 「私自身もそうでしたが、多くの新参記者は日銀クラブに入った時点で金融の実務知識が十分ではないので、手取り足取り金融のイロハを教えてくれる日銀が師匠役になります。そこで純粋培養されてしまうと、『金利を上げるインフレファイターは正しくて、下げるデフレファイターは弱虫』という日銀の価値観に染まり、欧米の金融政策の常識や経済学の最先端と日銀がいかにズレているかが見えなくなります」(阿部氏) さらに、新聞社の体質にも問題があるようだ。例えば日銀記者が少しでも批判めいた記事を書こうものなら、デスク、部長、編集委員、論説委員といったお歴々が、「こう書いたほうがいいんじゃないか」「こういう見立てが正しいんじゃないか」と暗に記事の方向性を変えるように仕向けるという。大手新聞社の経済記者はこう語る。 「日銀が直接何か言ってくることはないけれど、なんとなく記事の方向性が社論として決まっていくのが実際の新聞社の有様です。日銀はそうした新聞社の構造を熟知してか、経済部長だけを呼ぶ『経済部長懇談会』、経済担当論説委員を集めた『論説委員懇談会』などを、1~2カ月に一度、定期的に開いています」 部長や論説委員クラスになると、現場に足を運ぶ機会はほとんどないため、"ご進講"が貴重な情報源となる。彼ら上層部が日銀の話を鵜呑みにすることは、想像に難くないだろう。 こうした日銀に対するメディアからの批判の少なさが、日本の金融政策の即応性と健全性を損ねているのではないか。そう指摘するのは『デフレ不況 日本銀行の大罪』(朝日新聞出版)の著者で、上武大学教授の田中秀臣氏だ。「日経新聞の喜多恒雄社長が財務省と蜜月関係にあることに表れているように、新聞社の上層部では、財務省・日銀支持の姿勢が打ち出されている。そんな中、現場の記者は批判的な意見を持っていても、上層部に従ってしまう」という田中氏の話を聞こう。 「今回のギリシャ債務危機をきっかけに、世界経済はすでに不況局面に入ったと見ていいでしょう。景気に関するあらゆる指標が悪化しており、各国で緊縮財政策や金融引き締め策の見直しが始まっています。ですが、日銀は相変わらずデフレ状況を放置したままで、さらなる金融緩和などの対策を打とうともしない。金融政策は本来、民主主義のプロセスで決めるというよりも、一部の政策エリートが責任を持ってやるという性質がありますが、それが正しく機能するには、きちんとした批判が存在することが前提です。しかし、金利は上げるものという伝統的な金融政策にとらわれている日銀に対する批判の声は、逆に小さくなっているのが現状です」 それでは実際に、日銀に対する取材現場では、どんなやりとりが交わされているのだろうか。 経済ジャーナリストとして長年にわたって日銀を取材してきた須田慎一郎氏は、日銀総裁会見の様子を次のように語る。『日銀につぶされた日本経済』(ファ
トプレス)。
「プレミアサイゾー」で続きを読む■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】 ・徳川宗家19代目が驚愕の警告! 倒幕・敗戦に続き「日本破綻」!! ・「FACTA」阿部重夫 編集主幹──大手マスコミにはびこる日銀タブーと経済の悪化 ・「失われた20年」じゃない、「奪われた20年」なんだ!【前編】
謎のビジネスサブカル作家、マネー・ヘッタ・チャンの正体に迫る!

謎多きマネー・ヘッタ・チャン氏。
「私の役割は幸せそうな人たちにマッチをあげて世の中のマッチポンプを見せること。知らなければよかったコワ~いお金の話が見れるのよ☆」というコンセプトの元に数々の童話風な業界暴露話が展開される書籍『マッチポンプ売りの少女』(あさ出版)は、出版業界、不動産業界、生命保険業界と業界問わず、世の中の仕組まれたマッチポンプを暴き出す【詳細は文末の書籍紹介を参照】。本書は、マネー版グリム童話として5万部が売れた前作『へッテルとフエーテル』(経済界刊)に続き、堀江貴文氏が激賞し、発売と同時に一躍ベストセラーに! 著者はマネー・ヘッタ・チャン――人を食ったようなペンネームだが、本業は資金数億円を運用し、8年間負けなしのプロ投資家だという。しかし、著者に関する公開情報はごくわずか。タブーなしのその姿勢は「サイゾー」に通じるものと取材のオファーをしたところ、編集部にやってきたのはなぜか、コスプレをした女性(?)だった!
マネー・ヘッタ・チャン(以下、ヘッタ) あちきは、ヘッタ。実は、マネー・ヘッタ・チャンは、マネー、ヘッタ、チャンという3人兄妹なんです。今日のインタビューは、紅一点のあちき、ヘッタの担当でぃす☆
――......という設定なんですね。明らかなコスプレ感が漂っていますが......。
ヘッタ (無視するように)読者の方からは女性だったのですね、と驚かれたりします☆
――さて、本題に入りますが、ズバリ、その格好はご趣味なのでしょうか? それとも過激なことを書いているので、正体を隠すためでしょうか?
ヘッタ ええと、今後もパチンコ業界や政治の闇など世の中の搾取の仕組みを取り上げるマネー童話シリーズをやっていく上で、正体をあやふやにしておこうという判断はありますね。この「マネー・ヘッタ・チャン」という名前も適当に付けただけなんです。出版社から怒られるかと思ったらOKで、ここまで名前を知られるようになった。今後はテーマごとにあえて意図的にペンネームを使い分けていこうかと思っています。マネー童話シリーズは「マネー・ヘッタ・チャン」で、別バージョンで「オンナ・クッタ・チャン」というペンネームも考えています。マネー・ヘッタ・チャンにオンナ・クッタ・チャンとチャン一族になるのかどうか。ま、そこは流れで。
――ペンネームにもこだわりがない。有名になって儲けようという意図はないんですか?
ヘッタ ないですね。そもそも、私は本業がありますし、処世術として「目立ってはいけない、お金を稼ぎたかったら目立たない仕組みを作って儲ける」というのが賢いと思っているんですね。だから、顔も名前も出さずに、性別、職業もあやふやにしたいんです。本当のお金持ちは目立たないで大儲けしているのがこの世の中なんですよ。
分かりやすく「目立たぬ搾取」を言えば、原発事故で想定外に目立ってしまった原子力安全・保安院ですよ。今回はたまたま原発事故でその存在が目立ってしまいましたけど、本来は誰も気がつかない。いまや安全も保安もままならないのに、年収ウン千万円ももらってきた。そうしたところでお金持ちになっていくんです。こうした「目立たぬ搾取」が現代の日本を悪くしていることは明らかです。今回『マッチポンプ売りの少女』で取り上げた保険会社も不動産会社もそうですが、巧妙に人々から目立たないように搾取している。
最近、働きすぎで肩が痛くなって整体に治療を受けにいったんです。30分500円の保険診療を受けると、あとで保険組合から「そんな風に使わないでくれ」と物言いがつく。でもですよ、こちらは毎月数万円、健康保険にとられているのに、肩こり治療にさえ使えないなんて! 明らかに保険料を搾取することで、目立たないで儲けている連中がいるはずなんです。
――でも、ご自身もプロ投資家として億単位の利益を出しているという話ですよね。数万円の健康保険くらいは......。
ヘッタ と言っても証券系ディーラーですから、会社に半分取られてしまいますし、利益を出せば出すほど税金がたくさん取られる。その上、一年契約だからいつ首を切られても文句も言えません。ところがその税金の使い道はと言えば、どこに消えていくのか分からない。たとえば、税金の中から年間3兆円以上が生活保護費に使われていると聞くと、嫌だなと思うんですよね。ファイナンシャルプランナーの中には「国民年金だと月6万円しかもらえないけど、生活保護だと月14万円もらえる。だから生活保護をもらったほうがいい」と受給を勧める人とかも多いんです。
これは、国民年金でコツコツと積み重ねてきた人のほうが損をするということですよね。童話の「アリとキリギリス」でいえば、報われるはずのアリであるほど不幸が多くて、キリギリスであればあるほどいい国になっている。
あくまでも、私は、正義感でやっているわけではないんですね。「世の中は個人の力では直らない」ということは分かっている。ただ、少なくとも、今の仕組みの中で「目立たぬ搾取」に足元をすくわれないように行動をした方がいい。こうした「目立たぬ搾取」はなくしていこうね、と伝えたいだけなんです。
■「目立たずに搾取する」というカラクリを暴きたい
――水嶋ヒロとポプラ社ならぬ、水主マヒロとコブラ社の童話といったやわらかいネタから、国家破産で預金封鎖の大きな童話まで、取り上げる「目立たぬ搾取」の仕組みは幅広いですね。
ヘッタ 購入者のコメントで多いのは、「薄々分かっていたけど、こうしてまとめてくれて気持ちがスッキリした」という20~40代の声ですね。「ネットで書いてあるような誰でも知っていることを書いてどうするの?」って声もあったんですけど、大多数の人はそこまで情報を集めない。プライベートが充実したり、仕事が激務な人はそれほどネットを見ないですよね。でも、そういう人ほど知識もないままに保険に入ったり、不動産を買ってお金がからめ取られていく。その隙間を埋めたかった。
なので、私が意識しているのは、普通のサラリーマン、学生さんに直接関係のあるテーマかどうか。私の本業の証券業界でも、外資系証券会社は自社発の格付け情報を出す前に社内の自己資金部門やお得意さんが、その推奨株の買いを入れているといった話や、自社の自己資金部門がどのような株式を買っているかという証券会社の手口情報が数年前から公開されなくなってから、実際は何を買っているのか怪しい。でもこうした話はマスコミさえも沈黙しているといった話もあるんですけど、一般の読者にとっては「ひどい話があるんだね」っていうところで、終わってしまう話ですからね。
――検索サイト「ゴーグル」の情報操作や、「シフォン生命」の転換セールスなど、モデルになっている企業が分かりやすいのもそのため?
ヘッタ 私自身も、実際の事件をモデルにした金融系の小説を読んでいて、社名を変えすぎて、関係者であれば分かるのだろうけど、どこがモデルか分からないでイライラするということがあった。この本は童話ですから、声に出して読んだら分かるようにしたかった。
――声に出すとぼやかしている社名が明らかになり、毒がより増してくる。しかし、同時に訴訟リスクも出てきますよね。
ヘッタ もちろん、訴訟リスクを避けたいというのはありますけど、私も、ウソを書いているつもりはないんですよ。書籍、新聞、ネット、雑誌で集めた情報をつなぎ合わせただけでもいろんなことが見えてくる。たとえば、「コブラの魔法使い」のお話ならば、コブラ大賞の選考委員って全員、コブラ社員だったなんてことが分かってくる。すると、大きな疑いが出てくるよねという話です。ただあくまでも、私が書いたのは架空の童話、100%フィクションですけど(笑)。
■次のターゲットは孫正義、堀江貴文!?
――今、気になっている人物、ネタはありますか?
ヘッタ 有名人で言えば、人心掌握術という点でずっと気になっているのは島田紳助さん。目立たないビジネスの代表的な人物として、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川さん。あとは、みんながいいと思っていることに対して、実はそうでもないこともあるんじゃない!? と言いたいアンチテーゼの点で言えば、みんなが諸手をあげて評価している孫正義さんは取り上げたいです。ソフトバンクショップに行くと、これほどユーザービリティのない店もないだろうと思いますし、契約が2年縛りになっていて、タイミングを逃すとまた2年間、違約金なしで解約ができないというシステムになっているのもひどい。でも、そのことを指摘するマスコミはいないですよね。
あとは堀江貴文さん。本の紹介をしてもらっているのに何だとツッコミが入りそうですけど、目立ってしまうことのリターンとリスクを、堀江さんを題材に描いてみたい。堀江さんは良くも悪くも目立っちゃったじゃないですか。「目立ってはいけない、お金を稼ぎたかったら目立たない仕組みを作る」という私の処世術と、明らかに真逆なんですよね。勝間和代さんとかも、自ら目立って結局はもらわなくてもいい批判を食らっています。こうした目立つことのリターンとリスクを一番体現しているのが堀江さんだと思うんですね。
今後も、私はできるだけ目立ちたくない。そして、他のビジネス書は目立つような成功体験談を書いていくでしょうが、その一方で、私はビジネス書で、「目立たぬ搾取」の動きを暴いていく。また、目立たないで成功して幸せになれる方法も、紹介していきたいです☆
(取材・文=松井克明)
●マネー・ヘッタ・チャン
本業は7年間負けなしのプロ投資家。資金数億円を運用し、利益総額億単位というウワサ。一方で、「小難しいを簡単に」をモットーにする、ビジネスサブカルチャー作家。2009年11月、『ヘッテルとフエーテル 本当に残酷なマネー版グリム童話』(経済界刊)でデビュー。痛面白い実体験を交えながら、金融の世界でマネーが減っちゃったかわいそうな人たちを紹介し、発売即増刷で5万部のヒット。同年「日本タイトルだけ大賞」初代グランプリにも輝く。座右の銘は「人は過去から学ばない生き物である」。
ポスト・バブル世代の若者は、就職でどれだけ「損」しているのか?

『若年者就業の経済学』
(日本経済新聞出版社)
昨年10月に厚生労働省と文部科学省が発表した全国の大学生の新卒内定率は、過去最低の57.6%だった。これは就職氷河期を上回る数値だ。このように、1990年代後半から深刻化してきた日本の若年者雇用問題。それを経済学の視点から分析し、日本独自の雇用システム、今後の若年雇用対策についての考察などがまとめられた『若年者就業の経済学』(日本経済新聞社)が今冬に出版された。著者は、労働経済学を研究している慶應義塾大学経済学部の太田聰一教授だ。これまで漠然としていた若者の就職難の実態をデータとロジックでの説明する同教授に、生まれた年や学校を卒業した年によって、就職の機会にどれほどの違いがあるのか? 世代間格差とはどのようなものなのか? などについて聞いてみた。
――まず、若年者の雇用問題に関心を持った経緯を教えていただけますか?
太田聰一教授(以下、太田) 私はバブル経済になるちょっと前に大学を卒業した世代ですが、その時代は、就職状況が良く、私の友人なども良い会社に入った人が多かった。一方、バブル崩壊後の世代は、バブル期に就職した人と比べると明らかに損をしているんじゃないか。そして、希望通りの職種に就いていないゆえ、景気が良くなったら会社を離れる人が多いんじゃないかと。まず、そういった離職問題に関心を持ちました。
――実際にはどうだったのでしょうか?
太田 調べてみると、やはり景気が良い時の世代は、求人が多く、選択肢がたくさんあったので、同じ会社に定着する傾向が強いことが分かりました。逆に、景気が悪い時に就職した世代には、自分にとって望ましい職に就けなかった人が多く、職場内でトラブルがあるとすぐに辞めるなど、離職傾向が非常に強いことが分かりました。こうした若年の離職傾向が強まり始めた時代は、「若い人の堪え性がなくなった」「今は豊かな時代だから、ちょっとのことでもすぐに辞めてしまう」などという、その要因を本人の資質や時代性に集約してしまう見方が大半でした。しかし、私はそれはあまりにも一方的な見方なんじゃないか、奥を探れば、若い人にとっての仕事が、質や量の面で十分でなく、仕事が選びようのない中で発生している出来事なのではないかと考えていました。そしてそのことを、実際の離職率データを使って確認しました。
――離職傾向が強いというほかにも、不況期に就職した世代が抱える問題はあったのでしょうか?
太田 離職だけでなく賃金に関しても、不況期に就職した世代は、すごく損をしているんじゃないかと考えました。その時に、ちょうど私と似通った関心を持っていた東京大学の玄田有史教授、大阪大学の近藤絢子先生と本格的に賃金に関する「世代効果」を分析するようになりました。一方で、私は企業の側に立って、企業はどうして不況になると、若年の雇用を抑制するのか、そちらも研究しました。
――先ほど、お話の中に出た「世代効果」とは、何でしょうか?
太田 世代効果というのは、学校を卒業する時点での景気の良し悪しなどの条件が、その後しばらく経ったとき、賃金にどれだけダメージを与えているか、または離職率がどれだけ上がっているかなど、世代による経済的ロスを調べる考え方のひとつです。
――経済的ロスは、具体的にはどのように現れるのでしょうか?
太田 例えば、中学・高校卒の場合、卒業時の失業率を不況を示すひとつの指標としたとき、失業率が1%高くなると、その後12年以上にわたって実質年収はおおよそ5~7%程度持続的に低くなることが分かりました。大卒の場合はまだましですが、若干の賃金の低下が見られます。学校卒業時の不況は、学歴が低い人に対して、より大きな経済的ロスを生じさているのです。そもそも不況期では、中学・高校卒業の時点での求人が少なく、無業状態に陥る人が多いわけです。
――賃金のほかにはどのようなものに、影響が現れるのでしょうか?
太田 職に就けるか否か、また雇用形態(正規雇用、非正規雇用)、離職・転職行動、ほかにもいったん無業になってから、再び職に就ける期間がどれくらいかなどにも世代効果は現れます。例えば、最近の実証分析によれば、この不況下で一度フリーターになった者はその後も低所得に甘んじる傾向があり、フリーター状態から脱し難くなっていることが分かっています。
■必要なのは新卒採用の改革? ワークシェアリング?
――一見当たり前のようなことですが、生まれた年という、自分の資質や努力などとは無関係の要素によって、就職に関する大きな世代間格差が生じているとは、確かに不平等だし、機会不均等です。こうした状況に対して、政府はどのような政策を行っているのでしょうか?
太田 今、政府が考えていることは、新卒採用の扱いが非常に大事であると。今は、新卒と認められる期間は非常に短く、その間に就職が決まらずに学校を卒業してしまう人がいる。すると、企業側は彼らを中途採用で扱おうとするのですが、実際には実務経験もなく、企業に売り込むだけのスキルがない、中途半端な立場になってしまいます。現在、政府が「卒業後3年間は新卒として見なしてほしい」と企業側に要請している背景には、そうした実態があるのです。これを推進するために、政府は「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」などの補助金を設けたりしています。
――こうした過酷な状況の中で、学生自身はどのような対策を採っているのでしょうか?
太田 就職できないまま卒業すると中途半端な状態になってしまうので、留年をして卒業を延ばします。1年後の景気がどうなるかは分かりませんが、そのまま卒業するよりは、もう一度チャレンジするという選択をします。これは、私立大学でも国立大学でも共通にして見られる現象です。
――先生が考えている政策はありますか?
太田 小手先のことをやっても根本的な解決はできないわけですから、非常に当たり前なのですが、企業の経営状態を良くして、正社員の求人が増えるようにならないと難しいと思います。新卒者の扱いなどを変えたところで、結局は少ない正社員というパイをみんなで奪い合うような話になりかねませんからね。あとは、教育や訓練で若い人たちの能力をできるだけ高めて、企業に「それだけ若い良い人材がいるなら雇用しよう」という風に思わせることが大事だと思います。
――その他にはありますか?
太田 いま生じている深刻な問題は、まだ雇われていない若年の人たちにしわ寄せが集中してしまっていることです。それに対して、すでに正社員として雇われている人が、自分たちの有利さというものを一切手放さないで良いのかという点は、もう一度考えてみてもいいのではないかと思います。つまり、雇用というものがそう簡単に増やせるものではないとしたら、一部の人たちに負担させるのではなく、ある程度みんなで負担を分かち合う必要があるんじゃないかと思います。
――それはワークシェアリングなどですか?
太田 ワークシェアリング的なものは、ひとつ考えられると思います。正社員と非正社員が何らかの形で仕事をシェアするようなことは、まだ十分には研究されていない、またそう簡単にできるかどうかは分かりませんが、方向性としてはあり得る話だと思います。それから、正社員と非正社員という両極端の中間に、もっと多様な働き方を作り出していくことも有効かもしれません。
――一方で、新卒の一括採用なんて辞めてしまえばいいという意見
もあります。
太田 そういう主張も分からないではないです。ただ、その一方で新卒一括採用がない国では、若年の失業率が低いかというと、必ずしもそうではない。新卒一括採用は、ある期間に、教育機関を含めたいろんな機関が、企業と若い人をうまくマッチングさせようとするので、そこの面だけ見れば割とスムーズに流れている部分もあるんです。ただ、そこからあぶれた人にもう少しオープンにチャンスを拡げることが大事だと思います。
――本書出版後の反響はいかがですか?
太田 私の両親は、データが多いので、はっきりと面白くないと(笑)。読者からはあまりまだ批判はないのですが、あり得る批判としては、あまりに当たり前のことを言っているということでしょうか。他には、企業の活力を高めて、求人を増やせというメッセージを含んでいるので、話が企業に対してばかりで、若い人のサポートがおざなりになっているんじゃないかという批判はあると思います。僕はあえてそれを否定はしません。苦労している若い人のサポートばかりしても、結局、それを受け入れる側の企業が元気になってもらわないといかんともしがたいですからね。
***
本書は、データが豊富で若年雇用の問題を考えるには必読の一冊である。統計に明るい読者ならば、実際に使用した統計解析の数式も詳述してあるので楽しめる。いわゆるロスジェネ世代の著者は、政府に一日も早いデフレからの脱却、そして求人が増えることを期待したい。
(取材・文=本多カツヒロ)
●おおた・そういち
1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス博士課程修了。名古屋大学助手、講師、助教授、名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て、慶應義塾大学経済学部教授、ロンドン大学Ph.D.
若年者就業の経済学 早急な政策求ム!
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レアアースだけじゃなかった! 尖閣問題がもたらすオタク産業大変動の可能性
尖閣諸島問題に端を発して、コジれまくっている日中関係。ハイテク製品に欠かせないレアメタルの輸出規制は、広く注目を集めている。レアメタルに限らず、今や中国はあらゆる産業にとって不可欠な生産拠点。もちろん、オタク産業も例外ではない。微妙な日中関係にオタク産業の現場はどうなっているのか?
日本向けのレアアース輸出停止がマスコミを騒がせた、9月下旬。中国にオタク向けグッズを発注している業者にも、騒動が起きていた。何の前触れもなく、一部の荷物が輸入されなくなってしまったのだ。原因は、中国側で通関業務が停止してしまったこと。
「中国ではこれまでも、突然理由なく通関が止まってしまうことは、何度かありました。なので、いつものことだとは思う反面、長引けば冬のコミックマーケットあたりに影響が出るのではないかと、不安な声も流れていました」(オタク向けグッズを扱う業者)
現在、輸入は再開されているものの、仮に停止状態が続けば冬のコミックマーケットで扱われる同人誌以外のグッズが姿を消し、企業から同人サークルまで大きな打撃を受けたことは間違いない。
ただ中国では、突然、税関が輸出品にストップをかけるのは「時々、起こりえること」。話を聞いた業者も、以前にキャラ物のトートバックを中国現地の工場に発注した際、輸出段階で突然、現地の税関にストップをかけられ困惑したことがあるという。
「後から分かったのですが、麻薬の密輸に利用されているのではないかと、疑われていたようです。ところが、理由も教えてもらえないので、注文主に満足いく説明ができず困りましたね」(同)
このあたりが、日本とは大きく違うところ。日本側の税関の場合、何らかの疑いで水際でストップさせても、理由はある程度説明してもらえるもの。非常に官僚主義的な対応なのだが、一方で「ある程度のことはカネを握らせればなんとかなる場合も......」と言われるのだから、不思議な国である。
もう一つ気になるのは、尖閣諸島問題は現地の業者とビジネスを行う上でなんらかの障害となっているのではないか、ということ。
「それはまったくありません。中国人はビジネス面では非常にドライ。もちろん、内心では"尖閣諸島は中国の領土だ"と思っているかも知れませんけど、自分のビジネスには無関係の問題だと思っているし、商売の相手(日本人)には、そんな話題は持ち出しませんよ」(同)
日中双方で「愛国心」を錦の御旗に騒いでいる人々が注目されているが、所詮、彼らは外野で騒いでるだけ、ということだ。
とはいえ、尖閣諸島問題が今後のビジネスに、まったく影響を与えないとは限らない。そもそも、他国とのビジネスには商習慣から政治体制の相違まで、さまざまなリスクがあるもの。これまで「近い」「安い」で持て囃されてきた中国はリスクの高い部分もあることに、多くの人々が気づいてしまったからだ。
「人件費の面では、特定の技術職を除けば、中国の人件費は未だに安く押さえられている。とはいえ、輸入がストップしてしまった一件で、一国に依存すると危険だということを、多くの人が知ってしまった」(同)
これは、中国に取って大きなダメージ。もちろん、すぐに生産拠点をごっそり移動させることは不可能だ。とはいえ、今回の騒動以前から既に中国以外に生産拠点を求める動きは進んでいる。その一つが近年、経済発展が目覚ましいインドだ。
「フィギュアなどの金型を成形する技術は高い。それ以上に、コストが安く製品の質が高いのが布製品です。オタク産業に限らず、世界的に布製品の生産の中心はインドになりつつあります」(同)
そのうち、インドに抱き枕の巨大な生産工場が立ち上がったりするのだろうか。
現在、オタク向けグッズは安価な海外工場で生産するものの、主な市場は日本国内。方やテレビゲームの場合は、もはや日本企業が世界各国に拠点をつくり、市場を築いている。工場が中国から、他国へ拡散することでオタグッズも海外市場が生まれることになるかも知れない。
(取材・文=昼間たかし)

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徹底予測 中国ビジネス 仲良くしようよ!
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「土地売却」「固定資産税導入」 万博不振の上海市が金集めに必死?
上海万博事務局の発表によると、万博が開幕して約3週間が過ぎた5月17日、来場者数が300万人を突破した。事務局は「安定した運営が続いている」として胸を張って見せるが、上海市が設定する会期中の来場者数の目標は、7,000万人。184日間ある万博会期のおよそ10分の1が過ぎた時点で、目標達成率は20分の1以下という有り様だ。序盤でいきなり予定の半分以下のスローペースで、今後さらに、入場者数が逓減して行くであることを考えると、目標の達成はまさに夢物語となりそうだ。
そんななか、「まもなく上海市が深刻な財政難に陥るのでは、との観測が強まっている」と話すのは、中国在住フリーライター・吉井透氏だ。
「上海万博には、事業費のほかインフラ建設費や都市整備費などの間接投資を含めると、5兆円以上の資金が投入されたと言われている。これは、愛知万博の実に10倍にも上る規模。それでも万博開幕前、上海市は『十分に元が取れる』としていた。しかしふたを開けてみれば予想の半分以下の盛り上がり具合。投下した資本の回収計画にホコロビが生じて当然です」
さらに、上海市が最近打ち出した政策からは、かなり切迫した財政状況が伝わってくるという。
「上海市は5月18日から、過去最大の規模となる住宅用地の売却を始めたんです。当局は『住宅供給の安定のため』という建前ですが、財源確保が真の目的でしょう。さらにその一方で、中国で初となる固定資産税制度の導入を検討。『不動産市場の過熱を避けるため』としているが、『上海万博のツケを税金で払おうとしている』と、市民からの反感を買っています。そもそも、土地は国のものとされる中国で、"土地"として販売されているのは借地権。借地権に固定資産税とは不思議な話なのですが、それほどまでに台所事情は逼迫している」
不動産の供給量が増え、さらに維持費も上昇するとなれば、不動産価格の急落も懸念される。それを嫌気してか、上海株式市場の総合指数は18日現在、万博開幕から9.6%の下落。年初から20.8%の下落。万博が、バブル崩壊の引き金を引いてしまったのだろうか!?
(文=高田信人)
本当にヤバイ!中国経済―バブル崩壊の先に潜む双頭の蛇
ヤバいよヤバいよ~

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