長嶋茂雄特番放送で、一茂 VS 三奈の第2ラウンド勃発間近か

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「週刊新潮」1/15号 中吊広告より
今週の注目記事「画面には映らなかった紅白『舞台裏』」(「週刊新潮」1/15号) ・「紅白歌合戦『楽屋ウラ』全情報」(「週刊文春」1/15号) ・「オリコン第1位アイドル『仮面少女』の性接待」(「週刊文春」1/15号) ・「22歳『大和なでしこ』を1カ月も監禁暴行した『インド人』の無法地帯」(「週刊新潮」1/15号) ・「TBS長嶋茂雄&三奈特番に一茂の姿がなかった理由」(「週刊文春」1/15号) ・「氷の炎上 安藤美姫に元婚約者父が『きちんと説明して』」(「週刊文春」1/15号)  年末年始のテレビに出まくっていた元フィギアスケーター安藤美姫だが、彼女は自分が思っているほど“人気”があるわけではないようだ。  その理由は、新しい恋人のスペイン人を公表したことと、元日にインスタグラムに投稿した愛娘との3ショット写真だと文春は書いている。要は、テレビが起用しているのは、彼女の「スキャンダル」が、今のところ賞味期限内であるからだというのだ。  「正月が終われば減るはず」(放送作家)だというが、さらに不可思議なのは、彼女が一時、一緒に暮らしていた元フィギアスケーターの南里康晴との仲はどうなったのかということだ。  南里はメディアから追いかけられたとき、赤ん坊の父親は私ではないと言い切っていたから、本当の父親が誰か知っていたに違いない。知っていながら彼女をかばっていたのだから、近い将来、結婚するものと周囲も南里の親も思っていたに違いない。  “糟糠”の彼氏をあっさり捨てて外国男に走るなんざあ、大和撫子のやることじゃあるまい。南里の父親がこう話す。 「ひとつのステップにケジメをつける前に次のステップにっていうのは都合が良すぎる。次の人と幸せになりたいんだったら、ちゃんと説明せんと。雲隠れしているならともかく、あんなに自分から表に出てきているのに何も無しってのは大人としてダメでしょうが」  その通り。今度は南里の衝撃告白が文春に載るかもしれないな。  TBSの長嶋茂雄特番が話題だ。長嶋の頑張りは日本中を元気にしたが、そこで息子の一茂のことにまったく触れられなかったのを奇異に感じた方も多いだろう。  以前は一茂の妻が社長を務める「ナガシマ企画」が取り仕切っていたが、父親の記念品や愛用品を売り飛ばしたことが発覚して、亀裂が生じてしまった。  今は、次女の三奈が代表を務める「オフィスエヌ」が仕事や資産を管理している。先の件で、三奈と一茂の仲もこじれて修復できない状態にあると文春が書いている。  そんなこんながあって、ジャイアンツの野球振興アドバイザーをやり、日テレの野球解説を担当している一茂への配慮もあり、三奈は熱心にオファーを出していたTBSに決めたようだ。  文春は「一度こじれた長嶋家の絆が再び戻る日を、誰もが待ち望んでいるのではないか」と結んでいるが、本心ではあるまい。三奈対一茂の第2ラウンドが開始されるのを心待ちにしているのは、文春はもちろん、他の週刊誌も同じだろう。  日本の宝である父親を大切にしなかった、一茂に対する罰である。  年明けの1月3日、インド東部のコルカタで起きた日本人レイプ事件は、大きな衝撃を与えた。  新潮によれば、被害者は22歳の女性で、昨年11月20日にコルカタを訪れ、日本語で旅行ガイドを装ったインド人たちと知り合った。彼らは北部のブッダガヤに彼女を連れて行き、1カ月近くにわたって監禁して集団レイプをしていたのだ。  犯人は5人。現金約14万円も奪っている。その村では「外国人が来ている」とウワサになっていたらしいが、誰も助けに来てくれはしなかった。  彼女の容体が悪くなったので、医者に診てもらうために犯人が連れ出したところ隙を見て逃げ出し、警察に話して事件となった。  痛ましい事件だが、地元では「日本の女性は詐欺師のカモ」だといわれているぐらい、多くの日本人女性が彼らの毒牙にかかっているようだ。  インド在住のジャーナリストがこう語る。 「インドではほぼ毎日、レイプに関する報道があると言っても過言ではない。その中には、外国人が餌食になる例も少なくない。2013年3月には、夫と一緒に自転車で旅行していたスイス人の女性が集団レイプされるという事件もあった。また、警察官が警察署内で女性をレイプするなど、警察機能が欠落した地域も多く存在しているのです」  この背景には、カースト制度と根強い女性蔑視の風潮があると新潮は指摘する。上位のカーストから外され、都会で悪さを働く集団もあるという。  今でもインドでは、夫に先立たれた女性が再婚することは許されない。私は明るくて歌とダンスの素晴らしいインド映画が好きだが、こうした現実を知ると、今までのように無邪気に見てはいられなくなる。  インドにも第2、第3のマララさんの出現が待たれる。  私はまったく知らないが、秋葉原・万世橋のたもとに、アイドルグループ「仮面女子」の常設館があるという。  写真を見ると、仮面をかぶったAKB48のようである。今年元旦に発売されたCD「元気種☆」(デストロイレコード)は、インディーズレーベルながら予約販売枚数が13万枚を超え、週間オリコンチャートの第1位に輝いたという。  AKB48もそうだが、こうした若い娘たちを使って稼ごうとする人間の中には、しばしば彼女たちの性を自分のものにしようとする輩がいるものである。  文春によると、ここの池田せいじ社長ものその一人だという。彼は大阪でホストクラブを立ち上げたが、スキャンダルが相次ぎ、芸能事務所の運営をするようになったそうだ。  今回、社長に肉体関係を迫られ、仕方なく結んだと告白しているのは現役、元の4人の女の子たちだ。生々しい性接待の実態は文春を読んでいただくとして、興味深いのはこうしたグループを無批判に取り上げ、人気グループに押し上げてしまうメディア側の問題が提起されていることである。  NHKは2013年6月21日に『ドキュメント72時間「“地下アイドル”の青春」』を放送して、彼女たちの知名度を全国的にしてしまうのである。だが、ここで描かれている「貧乏生活」は社長からの指示で、“やらせ”だったというのだ。六畳間に4人が共同生活を送り、自炊をしながら成功を夢見て暮らすという、お決まりのパターン。  告白によると、彼女たちは自炊などはせず、元コックのマネジャーがいて、寿司や中華を作ってくれる。メンバーのほとんどが実家暮らし。月収1万円もウソで、月平均10万円、高い子は20万円はあるという。おまけに脱退すると言うと、違約金として数百万円を要求されることもあるというのだ。  それに騙されたのは『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日系)、『Nスタ』『有吉ジャポン』(TBS系)などなど。テレビ局に取材力を求めること自体無理なことは承知だが、これでは佐村河内守事件と変わらないではないか。  池田社長は取材に対して、性接待もやらせも否定。違約金の件だけはノーコメント。  現役や元メンバーの訴えを、ファンたちはどう聞くのだろう。もはや、これまで同様に無邪気に聞く気にはなれないと思うが、今のガキたちは「そんなことはこの世界では当たり前じゃん」と、歯牙にもかけないのかもしれないな。  さて、今年の紅白歌合戦は中森明菜や桑田佳祐まで引っ張り出したが、あえなく視聴率は前年より2.3ポイントも下がって42.2%止まり。以下は、文春と新潮から引用したものである。  中森には「録画映像疑惑」が持ち上がり、桑田には歌詞の内容が「安倍首相批判」ではないかという反響が出た。1月6日付の朝日新聞がこう報じている。 「横浜での年越しライブ会場から中継で登場した桑田さんが歌ったのは『ピースとハイライト』だった。  世界各国の言葉で『平和』という文字が映し出された映像が流れる中、桑田さんは少しおどけたように歌った。  ♪都合のいい大義名分(かいしゃく)で 争いを仕掛けて 裸の王様が牛耳る世は……狂気」  この「都合のいい大義名分」を、集団的自衛権行使容認のための憲法解釈変更に重ね合わせて聴いた視聴者らがネットで反応した。曲名を「平和(ピース)と極右(ハイライト)」と読み替えたり、「裸の王様」を安倍晋三首相への揶揄(やゆ)と受けとめたり――。  Twitterなどには、この歌の「解釈」をめぐって賛否の投稿が相次いだ。 「安倍政権の極右旋回へのプロテスト(抗議)と戦争への危惧』『素晴らしい(安倍政権への)カウンターソング』。一方では『今後一切サザンは応援しない』『日本に対するヘイトソング歌う為(ため)に紅白でたわけか』というツイートも」  朝日新聞らしい解釈だが、もし桑田が意識してそう歌ったのだとすれば、日本のジョン・レノンといってもいいかもしれない。  中森明菜の疑惑についてはNHK関係者がこう話す。 「あれは生放送です。ただ、明菜の声量が生中継で出せなかった時のために、流れる曲に録音した明菜の歌声を入れて、その上に彼女の生歌を乗せて中継したのです」  これはバックトラックといって、音楽ライブでよく使われる「声量偽装」ともいわれる技術だそうだ。  やはり明菜は大勢の前で歌える状態にはなく、歌さえも「偽装」しなければならなかったということだ。これで復帰がまだまだ遠いことが全国に知られてしまった。  桑田の出場も直前まで伏せられていたそうだが、新潮によると犬猿の仲の長渕剛がそれを知ると降りてしまうことを慮ったというのである。その意趣返しではないだろうが、長渕は新曲を歌うと言いだし、NHKもさじを投げ、「好きにしてください」と言ったと文春が報じている。  中島みゆきも、AKBなどの若手がガヤガヤうるさいNHKホールで歌うことを嫌がったために、別スタジオから歌ったという。  昔の紅白の威光を知っているわれわれには、信じられないことばかりだ。美空ひばりは例外として、ほかの歌手のわがままなど聞く耳持たなかった紅白の凋落を示すエピソードである。  司会の吉高由里子のひどさは際立っていたが、薬師丸ひろ子も「全くダメだった」(スポーツ紙記者・文春)。ヒドイを通り越して、哀れさを感じさせるステージだった。もう歌など歌わないほうがいい。  もう一人ひどかったのが、大トリの松田聖子。あれだけのタマがプレッシャーで震えていたとは思えないが、トリを飾るには10年早いと思わせるステージだった。  以前は紅白の裏番組は各局捨てていたが、近年はテレビ東京のボクシングのように5~6%を取るものが増えてきている。だが中には、「試合放棄」したテレビ局があると文春が書いている。社員の年収がナンバー1のフジテレビだ。  年末年始の番組は軒並み低視聴率で、31日のバラエティ『ツキたい人グランプリ』はなんと2.5%だった。  こんな番組を作っているテレビ局が給料ナンバー1というのは、どう考えてもおかしいではないか。亀山社長、今春は給与のベースダウンを考えたほうがいいのでは? (文=元木昌彦)

アベノミクスでテレビ局は儲かる!? 有名500社「年収ランキング」フジテレビが1,506万円で首位

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「週刊ポスト」1/16・23号 中吊広告より
今週の注目記事 ・「有名500社『年収ランキング』」(「週刊ポスト」1/16・23号) ・「2015年まるごと完全予測 景気・株・円安・会社 こう動く!」(「週刊現代」1/17・24号) ・「いま日本で『本当にうまい役者』ベスト100人を決める」 ・「いま日本で『本当に歌がうまい歌手』ベスト50人を決める」(「週刊現代」1/17・24号) ・「現代、ポスト『袋とじセクシー』の勝者はどっちだ!」  明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。  新年第1弾は現代とポストの合併号。どちらも年末に作り置きした企画だから、新鮮さよりも企画力の勝負になる。まずは、セクシー袋とじ企画から見てみよう。  現代の懐かしい女優シリーズは「風吹ジュンに恋をして」。後半グラビアではハーフのマルチタレント「LiLiCoが脱いだ!」と「平子理沙 超絶ボディ」。袋とじは「シンクロ元日本代表片平あかね『初めてのAV出演』で驚きの体位を連発!」  ポストは袋とじ2本で、またまた大場久美子の54歳と18歳の時の水着姿と、「裸になったアンヌ隊員 ひし美ゆり子」。ほかには内田有紀とポスト専属の「祥子の事。」。ポストは袋とじ2本だからか、定価は440円。現代は430円。ハーフながらLiLiCoの肢体が見事だし、かわいらしさがいつまでも変わらない風吹ジュンが愛くるしい現代のほうが、私にはお得感があったが、それほど圧倒的とは言い難い。よって今週は引き分けじゃ!  現代のうまい歌手、うまい役者という企画自体は褒められたものではない。これまで何度も繰り返されてきた古臭い企画だが、まあ新年ということで許そう。  二昔前なら1位は美空ひばりで決まりだったが、今はよくいえば群雄割拠、悪くいえばドングリの背比べである。  ベスト5まで挙げると、1位から順に桑田佳祐、中島みゆき、山下達郎、小田和正、井上陽水。3位の山下がやや意外だが、そのほかは順当だろう。6位に五木ひろし、7位に沢田研二、8位に都はるみがランクイン。  紅白でニューヨークからライブ中継で出演した中森明菜は12位で、紅組のトリを務めた松田聖子が20位。失礼だが、明菜は目がうつろで、口パクではないかと心配になるほど体調がよくなさそうだった。NHKが強引に口説いたのかもしれないが、歌姫完全カムバックとは当分いかないようである。  意外な低評価は氷川きよし39位、森進一40位、吉幾三41位。氷川は同性愛疑惑やマネジャーへの暴力沙汰が響いたのか?  同じような企画が「うまい役者は誰」だ。すぐに名前が挙がるのは役所広司、佐藤浩市、西田敏行あたりだが、以外によかったのが岡田准一だ。NHKの大河ドラマ『軍師官兵衛』は一度も見ていないが、期待していなかった映画『蜩ノ記』の岡田が、地味な役柄だったがいい味を出していた。  さて、ベスト1には“意外な?”役者が選ばれている。『クライマーズ・ハイ』やNHKの朝の連ドラ『マッサン』で好演した堤真一が、コメディから人情もの、シリアスまで幅広くこなせると評価が高い。  2位以降は、香川照之、藤原竜也、役所広司、浅野忠信、大森南朋、堺雅人、佐藤浩市、渡辺謙、濱田岳と並ぶ。  岡田准一は意外に低評価で15位。中井貴一が18位。三浦友和19位、西田敏行21位、水谷豊が22位だ。反対に高評価だと思うのは、本木雅弘の24位。お茶のCMと映画『おくりびと』しか印象にないが、一つ一つの仕事が丁寧だそうだ。  私は、役所広司はなんの役をやっても役所広司になってしまうところが難だし、普通の格好をしていても不潔な感じがするのはいただけない。佐藤浩市は昔のほうがよかった。オヤジの三國連太郎を意識しすぎるためか、佐藤の良さを殺してしまって、個性を失っているように見える。  田中邦衛のように、画面に出てきたら圧倒的な存在感を示す役者になってもらいたいと思うのだが。  お次は、現代とポストのアベノミクスにまつわる記事を2本。朝日新聞の1月5日付社説で安倍政権の経済政策をこう批判している。 「金融緩和で物価を押し上げることが果たして好ましいのか。企業がきちんと利益をあげて働く人の賃金が増え、その結果、消費が活発になって物価も上がっていく。求められるのはそんな経済の姿だろう。物価が将来どれだけ上がると考えるか、人々の期待(予想)に働きかける政策から、実需を見る政策へ。経済のかじ取りを切り替えるべきではないか」  日本の現実は「年収200万円以下の働き手が1100万人を超え、住民税が非課税となる低所得世帯の人が2400万人を数える。かつて日本経済を支えた中間層が細り、低所得層が増えた。それが、日本経済のいまの姿である」(同)。格差がますます広がり、わずかな富裕層や、アベノミクスで恩恵を受けている一部の大企業だけが「我が世の春」を謳歌しているだけである。  現代は、世界的な投資家ジム・ロジャース氏にこう言わせている。 「日本はすでに多額の政府債務を抱えており、本来であれば財政支出を減らすべきです。そもそも人口減少が急激に進む国に、新しい道路や橋を作る必要がどこにあるのか。大規模な財政支出を止めれば減税することも可能で、そうすれば国民の生活水準は改善されていく。しかし、安倍総理がやっているのはそれとは真逆。アベノミクスは今年も日本を破壊する方向に進んでいくということです」  急激な原油安でロシアがあえいでおり、アメリカもシェールガス景気に水を差された格好だ。欧州は経済不振から抜け出せず、中国の成長率の鈍化がはっきりしてきた。世界的にいつ何があってもおかしくない「90年代末と似てきた」(英エコノミスト)不安定な時代である。  株価も、不安定ながら2万円の大台に乗るのではないかと見られているようだが、現代によれば6月に最大の山が来るというのだ。  それは、アメリカのFRB(米連邦準備理事会)のイエレン議長が9年ぶりに行うといわれる「利上げ」だ。これまでアメリカはゼロ金利政策をとり続けてきた。景気を刺激するアクセルをふかしてきたわけだが、それをやめてブレーキを踏めば、スピンしてアメリカ経済が失速する可能性が出てくるというのである。  そうなれば、投資家たちは株などのリスク資産に投資したカネを引き上げるリスクが高まるという。  また、もし利上げしないという判断をすればアメリカ経済が減速していることを意味するわけだから、アメリカ株の売りにつながる。こうしたアメリカ経済の余波が日本に押し寄せ、株大暴落のシナリオも考えられるというのだ。  ところで今、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が書いた『21世紀の資本』(みすず書房)が世界的ベストセラーになっている。その本が5分でわかるという記事を、現代がやっている。  こうした企画はもっとやるべきである。アメリカでは、こうした重要だが大著には必ず要約本が出て、それが売れるのだ。5分とはいかないが、1時間程度で内容のダイジェストをする記事が、日米の本を問わずもっとあっていいと思う。それが読みたくて週刊誌を買う読者も必ずいるはずだ。  この本の翻訳を手がけた山形浩生氏がこう解説している。 「本書で主張していることは、実はとても簡単なことです。各国で貧富格差は拡大している。そして、それが今後大きく改善しそうにないということです。なぜかというと、財産をもっている人が、経済が成長して所得が上がっていく以上のペースでさらに金持ちになっていくからです。ピケティの功績は、このことをデータで裏付けたことにあります」  この格差を是正するのには相続税の増税が必要だとしているが、これは日本にも当てはまるはずだ。  ポストは、日本の企業間の格差もどんどんアベノミクスで広がっていると、有名500社の企業の平均年収を調べて公表している。  これによるとフジ・メディア・ホールディングスが2012年度の1,479万円から1,506万円にアップして第1位。2位もTBSホールディングスで1,489万円から1,499万円。  3位が野村ホールディングスで1,334万円から1,488万円。4位が日本テレビホールディングスで1,491万円から少し下がって1,454万円。6位が電気機器のキーエンスで1,321万円から1,440万円。  7位が日本M&Aセンターで1,217万円から1,412万円。8位にもメディアでテレビ朝日ホールディングスが1,303万円から1,395万円。20位にもテレビ東京ホールディングスが入り1,210万円から1,221万円。  そのほかにも、20位までに損保や商社がズラッと顔を見せている。アベノミクスの「トリクルダウン」戦略とは、富めるヤツがさらに儲かれば、そヤツらがどんどんカネを使って貧しい人間にも行き渡るというものだが、そんなものは気配も感じられない。  ポストは、財務省の法人企業統計を出して、「アベノミクスが始まった2013年度に『資本金10億円以上の大企業』は経常利益を平均約34%も伸ばしたが、『資本金1000万円未満の中小・零細企業』は平均マイナス2%の減益だった」と言っている。  ポストはさらに「リストをさらに細かく見ていくと、日本の政治が明らかに権力者の取り巻きだけが利益を得る『途上国型』へと大きく退化しつつあることがわかる」としている。  円安でたっぷり利益を上げたトヨタ自動車の平均年収も43万円増の794万円、日産は67万円増の766万円にはなっているが、トヨタは13年度で1兆8,231億円の純利益を上げているのに、社員の給料アップに使った金額は約240億円、純利益の1.3%しか使っていない。  トリクルダウン効果がないことを象徴的に示すのが、自動車業界を中心に人材派遣を行っている東証一部上場の企業「アウトソーシング」で、同社の平均年収は5万円しか上がっていなくて289万円だという。  大企業はまるまる肥え太り、内部留保で貯め込み、社員には雀の涙ほどのベースアップを施し、下請けには涙も出さない。  驚くのはトヨタや新日鐵の大卒事務職や技術職の年収の高さだ。トヨタの大卒は入社7年目の29歳で約650万円、出世の早い人間は40歳課長で約1,200万円になるという。  新日鐵も平均年収569万円だが、これは高給の管理職を排除しているからで、30歳そこそこで管理職に昇格すると年収1,000万円台に近づくという。  大企業と中小とで格差が広がり、社内でも高卒と大卒で格差があり、出世するかしないかで大きく賃金格差が広がっていく。  大手商社では、大きなプロジェクトを成功させれば40代でも3,000万円に届くという。年収200万円しかないワーキングプアは、この数字をどう見るのだろうか。  こうした富める者だけをさらに富ませるアベノミクスは、日本人の大多数の貧しさの上にあることを、安倍首相は気付いてはいまい。  アベノミクスを盲目的に礼賛する大新聞やテレビは、これからますます安倍首相にすり寄っていくことであろう。週刊誌の役割は、常に弱者や貧しい者に寄り添って、政権批判をこれまで以上に強めていかなければならないはずだ。 (文=元木昌彦) 【謹告】私の友人の弟子吉治郎さんが出した『立川談志 鬼不動』(河出書房新社)の刊行記念として、新宿紀伊國屋ホールで、嵐山光三郎さん、立川志らくさん、内田春菊さん、談志さんの娘さん松岡弓子さんたちと、談志さんの「言葉」について語り合います。司会を元木昌彦がやります。本邦初演の落語「鬼不動」と立川志らくさんの落語もありますので、ぜひお越し下さい。 日時 1月16日(金) 18時半開場 19時開演 場所 紀伊國屋ホール(03-3354-0141) 木戸銭 2000円(当日券あり)

小保方晴子、佐村河内守、百田尚樹……今年もお騒がせ!【2014年週刊誌スクープBEST10】

shukanshi2014.jpg  今年もあっという間に1年が過ぎてしまった。今年を振り返れば、なんと週刊誌ネタの多かった年だろうと思う。佐村河内からSTAP細胞、小渕優子や渡辺喜美のカネがらみのスキャンダルが多発した。  ここでは取り上げなかったが、朝日新聞の慰安婦、吉田調書報道問題や、日テレの女子アナ内定取り消しなど、メディアのおかしさが噴出した1年でもあった。  日本人は忘れっぽいといわれる。2014年という年がどんな年であったのか、週刊誌のスクープ記事をもう一度読み直して考えてほしいと思う。(文=元木昌彦) 2014年週刊誌スクープ・番外 「米倉涼子が毎週泊める日本一の幸せ男 何者だ?」(「フライデー」1月10・17日号)  フライデーの張り込みスクープ。平均視聴率23パーセントと大ヒットしたドラマ『ドクターX』(テレビ朝日系)の主役で、いま乗りに乗っている米倉涼子(38)が「結婚間近」だという張り込みネタだ。  12月上旬の夕方、真っ赤な「フォード・マスタング・コンバーチブル」に乗った米倉は、所属事務所での打ち合わせ終えると、南青山の交差点へと向かった。歩道には、ビジネスバックを持った長身の男性が待っていたという。  途中、明治屋などで買い物をした後、2人は米倉の自宅マンションへ入ると、そのまま一夜を明かしたそうだ。  気になる彼氏だが、彼の友人によるとこうだ。 「リクルートの元社員で、12年8月に独立したフリーの編集者です。現在は『ホットペッパー』などの情報誌を手がけています。  同じ8月に『女性セブン』にも二人の密会を報じられましたが、それ以降、本格的に付き合うようになったようです。年齢は30代半ばで米倉さんより年下ですが、入社5年目で『ホットペッパー』の編集長に抜擢されたほど優秀な人ですよ。雰囲気は、俳優の堺雅人さんに似ています」  米倉には『ドクターX』終了後、大きなスケジュールは入っていないという。フライデーは新春早々にも、サプライズ発表があるかもしれないと書いている。 〈元木昌彦の眼〉 年末の週刊文春(1/1・8号)でも「米倉涼子が同棲する会社社長」と報じた。これで観念したのか、米倉は文春発売の翌日に事務所を通じて結婚を発表した。この情報の初出はフライデーである。この記事の正しさが証明された。 第10位 「小保方晴子さんにかけられた『疑惑』」(「週刊現代」3月8日号) 「小保方『STAP細胞』を潰せ!『捏造疑惑』噴出で得する人々」(「週刊ポスト」3月7日号)  第2の佐村河内事件か? 昨夜の友人たちとの酒席では、割烹着の“リケジョ”美人・小保方晴子さん(30・理化学研究所のユニットリーダー)が発表したSTAP細胞の話題で持ち切りだった。  普通の細胞を酸性の液に漬けるだけで、どんな臓器にもできる万能細胞が生まれるという「世紀の大発見」は、彼女がカワイイこともあってメディアが飛びつき、世界的な話題になった。彼女が着ていた割烹着の売れ行きまでがいいという。  科学誌「ネイチャー」に掲載され、世界から称賛を浴びていたが、ネットでは早くから、実験条件が異なるにもかかわらず酷似した画像が出ている「画像使い回し疑惑」が指摘され、捏造ではないかというウワサまで出ているのだ。  やっかみ半分の中傷かと思っていたら、どうもそうとばかりはいえないようである。  文春がいち早く取り上げたが、現代とポストが正反対の記事をやっているので、この2本を今週の第1位とした。  まずは“懐疑的”な現代から。 「素人目に疑問なのは、学会では論文を『間違えました、直します』と言って許されるのかという点だろう」(現代)  そこで、カリフォルニア大学デーヴィス校医学部で再生医療の研究に携わる、ポール・ノフラー准教授に聞いている。 「論文に、誤植などの小さな間違いは比較的よくあります。しかし画像の混同といった手違いは大問題であり、過去には論文撤回の理由になったこともある。本当に全体の結果に影響しないか精査しないといけません」  さらに現代は、小保方さんらが公開すべきデータを正しく公開していないと追及する。  「ネイチャー」に小保方論文のような分子生物学系の論文を投稿する際は「実験に使った遺伝子の情報を、公開の遺伝子情報データベースに登録する」という規定があるという。  だが今回の小保方論文は、正確なデータの公開が行われないまま掲載されてしまった。これでは研究成果が真実なのか、第三者が検証できないと、ケンブリッジ大学シルヴァ博士は厳しく批判する。 「データーの届出を行っていないことは最大の問題です。そのデータがあってこそ、世界中の科学者が論文の主張を確認できるのです。この手違いひとつをとっても、論文は発表されるべきではなかったと思います」  そして人々の疑念を一層深めているのが、発表から1カ月近く経ったいまもなお、世界中のどの研究所でも再現実験(追試)が成功していないことだ。  前出のノフラー准教授も、STAP細胞の発見のニュースを聞いて期待に胸を躍らせ、自ら追試を試みたという。だが、結果は失敗。ならばと自らのHPで世界の研究者に追試の成果を書き込んでくれるよう呼びかけたが、「集まったのは期待に反して『失敗』の報告ばかりだった」(現代)  ノフラー准教授は、こうも言っている。 「もしSTAPが作成されたことが確かなら──私はそう願っていますが──ほとんどの研究室では再現できないような、非常に難しいテクニックだということでしょう。私は小保方さんたちが、STAP細胞を作る『手順(プロトコル)』に特化した、新しい論文を出すことを期待します」  理研も、HPのトップに誇らしげに掲げていた小保方さんとSTAP細胞に関する記述を削除するなど、態度を一変させた世間の風当たりの冷たさは容易ならざるものになっている。 「いずれにしても、ことここに至っては、疑念を払拭する道は限られている。形勢逆転のためには、ミスの経緯を明かし、必要なデータを公表する、小保方さん自身の言葉や理研の誠実な説明が必要だろう」(現代)  これを読むと、何やら「?」がつく研究のように見えるが、ポストはそんなことはないと、小保方さんに代わって反論をしている。  ポストは小保方さんの論文に向けられた疑惑は4つあるとし、ただし、それらを冷静に分析していくと、少なくとも現段階では、『STAP細胞の発見が捏造』という批判は、完全な的外れであることがわかると書いている。  画像の使い回しについては、小保方さんの共同研究者の若山照彦山梨大学教授が、単純ミスで本筋にはまったく影響しないと語っている。  今回の発見の再現性についても、若山教授がこう話す。 「発表があってから、わずか3週間で結果が出るような甘いものではありません。96年、スコットランドの研究グループが、クローン羊の『ドリー』を作ったことを覚えていますか? 1年以上経っても誰も再現できず、ドリーの論文は捏造ではないかとさえいわれた。そんな中、私が約1年後にマウスのクローンを誕生させ、ドリー論文を再現した。 小保方さんが会見で“(STAP細胞の作り方は)手技的には簡単だ”といってしまったから勘違いされているのかもしれないが、世紀の発見がそう簡単に再現されるわけがない」  よってポストは、とにかく現段階でほぼ確定しているのは、補足論文に画像の掲載ミスがあったということだけだから、調査中だという理研や「ネイチャー」の報告が待たれるが、どの疑惑も「大勢に影響なし」といえそうなのであるとしている。  また、これだけの騒動に発展した背景には、一定の「アンチ小保方勢力」の存在が見え隠れするというのだ。  再生医療の分野には、出身学部を異にするグループが存在する。大きく分けると「医学部出身の研究者」と「それ以外(理学部、農学部、工学部出身など)」だ 。  ある医療関係者が、こう話す。 「医学部出身者の中には、遺伝子や細胞の分野とはいえ、人体を扱う医療分野で医学部出身者以外が実績を上げることを面白くないと感じている人は少なくない」  ちなみに小保方さんは早稲田大学理学部出身で、若山教授は茨城大農学部出身だそうだ。 「しかもこのところ医学部出身のグループは肩身の狭い思いをしている。昨年から医薬業界を揺るがせている、いわゆる『ノバルティス問題』である。世界有数の製薬会社『ノバルティスファーマ』(以下、ノバルティス)が販売していた降圧剤は、複数の大学医学部の論文結果を用いて『脳卒中や狭心症にも効果がある』と謳っていたのだが、それが虚偽だった。ノバルティスに都合のいい研究結果をデッチ上げた研究室には、ノバルティスから累計11億円あまりの金銭的支援が流れ込んでいた」  この事件にはとうとう東京地検が動き出し、大がかりな疑獄事件へと発展する可能性が大である。  私の友人の医者が言っていたのだが、この万能細胞が実用化されたら莫大な市場になり、日本は再生医療先進国として力を持ち、一大産業に育つ可能性が高いと、医療関係者の間では大変期待が高いそうである。  当然ながら、そこには考えられないほどのカネが動くことも間違いない。  ポストによれば、政府は13年度から10年間で、再生医療に対し約1,100億円もの支援を決めている。今、この支援金をめぐって、研究機関で争奪戦が行われているという。 「早速、14年度、iPS細胞研究に政府から150億円の支援が下りることが決まっています。そのほとんどは山中伸弥教授のいる京大の研究所に払われる。再生医療で結果を出せば、莫大な研究費が入るわけです。もし、STAP細胞が認められれば、理研や小保方さんグループに大量の研究費が投入されることになり、その分他の研究機関に回らなくなる。それを阻止する動きがあってもおかしくない」(医療関係者)  世紀の大発見か捏造か。小保方さんの愛くるしい笑顔を見ていると捏造などとは思えないが、早く白黒をつけてほしいものではある。 〈元木昌彦の眼〉 ご承知の通り小保方のSTAP細胞発見は世紀の大捏造になってしまった。釈明記者会見で彼女がいった「STAP細胞はありま~す」は流行語にまでなったが、世界中から注目されたSTAP細胞は、小保方の上司である笹井氏の自殺という悲劇と、彼女の理研退職で一応幕を閉じた。週刊誌のスクープからではなく、ネットからSTAP細胞への疑惑が噴出して、世紀の大発見のウソが暴かれていった。あらためてネットの威力を思い知らされた「事件」でもあった。 第9位 「氷川きよしの『ホモセクハラ』『暴力』『創価学会強要』地獄」(「週刊文春」5/8・15号)  氷川がホモではないかということは、かつてフライデーが報じたことがあるが、今度は文春が、氷川のマネジャーだった人物に決定的な「証言」をさせている。  このマネジャーは後藤光雄氏(仮名・20代)で、昨年10月に氷川の所属する長良プロに入り、今年1月に氷川の担当になったという。彼がこう話している。 「氷川さんは自宅では女性物のTシャツにピンクのショートパンツという格好。女性用のパンティも何十枚もあり、基礎化粧品はシャネルで揃えている。私は隅々まで掃除するのが仕事ですから、そういうものも目に入る。どういう生活をしているのかと、不安に思いましたが、氷川さんは意に介していないようでした。それどころか、街中を走っている時、ガチムチ系の外国人や体育会系の男性を見かけると、車のパワーウインドウを目の高さまで下ろして、『イケメーン?』とはしゃいだりして、じっと観察していた。そういう話題の後は、『あんた、本当にノンケなの?』などと訊かれ、ストレートの私はかなり面食らいました。(中略)  ある日、車内で二人きりになったとき、後部座席から身を乗り出した氷川さんが、『ねぇ、サオ(陰茎)が大きいほうがいいよねぇ』と耳元で囁くのです。『外人のって大きいよねぇ』と。正直、気持ちが悪かった。どう答えていいか分かりませんでした」  実は、4月29日付の東京スポーツが「氷川きよし恐喝被害」という見出しで、事務所が元従業員から数億円を揺すられて困っているという「一方的にも見える内容を報じた」(文春)のだ。だが事実は違うというのである。  文春、は後藤氏に接触して先のような談話をものにした。事実関係は、後藤氏は氷川によるセクハラ、暴力によってストレスがたまり、4月20日をもって職場を離れたのだ。だが現在も不眠状態が続き、都内の病院の精神科でうつ状態と診断され、服薬などの治療を続けているそうである。 「就任初日のことです。車の中で、『オトコに興味あるの?』と……。社内で噂は耳にしていましたが、本当にドキッとしました」(後藤氏)  “口撃”もたびたびされたという。 「二月中旬頃には、毎日のように『死ね!』とか『この障害者』とか、罵倒されるようになったのです。氷川さんは、実はかなり口が悪く、ファンの女性のことも『ババア』と呼んでいる。あまりにえげつない“裏の顔”でした」(同)  もう一つ後藤氏を追い詰めたのは、創価学会への執拗な勧誘だったそうだ。公言こそしていないが、氷川が学会員だというのは有名な話だという。13年の元日には、機関紙「聖教新聞」の一面を飾っている。  文春によれば、氷川が暴力を振るうようになった背景には、彼の才能を見出した恩師である長良プロの先代会長長良じゅん氏が一昨年他界したことがあるそうだ。  そして、4月3日の夜、氷川一行が岡山全日空ホテルにチェックインした直後に事件が起きた。 「宿泊するスイートルームのある十四階でエレベーターが停まり、私は氷川さんが降りるのを待つため、エレベーターの『開』ボタンを押そうとしたのです。すると突然、後から頭を殴られた。激痛が走りました。(中略)さらに、『そんなことはどうでもいいんだよ、おめえよぉ!』と叫びながら手にしていたペットボトルを投げつけてきた」  後藤氏は会社に窮状を伝えるための証拠にするため、暴行の様子を録音するようになっていた。文春が確認したが、このときの音声は「まさに“地獄のイジメ現場”そのものだ」ったという。  この日、後藤氏は退職を決意した。  しかし、彼が部長に送った当てつけのメールは“恐喝”と間違われかねないものだった。 「とにかく永川さんに謝罪してもらいたいという一心で、『もう絶対許せませんので、1.2億ぐらいほしいぐらいです』などという突拍子も無いメールを送ってしまったのです」  文春も「確かに後藤氏が会社に送ったメールは、恐喝と間違われかねない軽率な内容だった」と書いている。「しかし、氷川のハラスメントの事実が帳消しになるものでは決してない」(文春)  演歌を再興させた“星の王子さま”氷川きよしは、後藤氏が言っているような“暴君”なのか。芸能界ではありがちな話ではあるが、これまでの演歌歌手にはなかった清々しさを売り物にしてきた彼には、致命傷になりかねないスキャンダルではある。 〈元木昌彦の眼〉 自分が同性愛であることをカミングアウトする芸能人は多くなってきた。それは素敵なことだと、私は思う。愛の形は様々であっていい。だがこの氷川のケースのように、マネジャーへの暴力はいけない。夢を売るのが芸能人の役割のひとつだとすれば、その夢を壊すのは同性愛ではなく、理不尽に弱い者へ振るう暴力であることを、氷川は知ったほうがいい。 第8位 「村上春樹が酩酊した『ドイツ大麻パーティ』の一部始終」(「アサヒ芸能」8/14・21号)  日本でもマリファナを解禁せよという声は以前ほどではないが、一部に根強くある。だが自制心のない連中がマリファナを吸って自動車を運転することを考えると震えがくるのは、私だけではないだろう。  そう思っていたら作家の村上春樹氏がアサヒ芸能の「袋とじ」になっているではないか。表紙にはだいぶ若い村上氏がややトロンとした表情で写り、その下に「『ノルウエーの森』を生んだ『大麻パーティ』を発掘スクープ!」と書いてある。  アサ芸と村上春樹という取り合わせは珍しい。世界的に大麻解禁の流れにある中で、いまさら大麻疑惑でもないだろうとは思うが、取り合わせの妙で今週の第1位に推す。  ときは奇しくも『1Q84』(新潮社)ならぬ1984年。「BRUTUS」(マガジンハウス)の取材のために訪れたドイツ・ハンブルクでのことだそうである。  撮影兼案内係を務めたのがドイツ人元フォト・ジャーナリストのペーター・シュナイダー氏で取材は1カ月ほどだったという。  某日、村上氏たちはハンブルクの郊外にある廃駅を利用したクラブを取材することになった。現地のコーディネーターがアレンジしたもので当初はカメラマンだけが出向くという話だったが、村上氏も同行したいといい出した。  しかし、現地へ行ってみると運悪くリニューアル中で見学させてもらえず、帰ろうとしたところ、クラブのオーナーであるドイツ人妻が、自分の家に寄って行かないかといってくれたので、4名が寄らせてもらったという。  最初はビールで乾杯し、当初はクラブ経営のことなどが話題に上っていたが、やがてオーナーがこう切り出した。 「よかったら一服やらないか?」  この一服はタバコではなくマリファナのことである。当時ドイツでも大麻は違法だったが、クラブ経営者など業界人が自宅でマリファナやハッシシ(大麻を固めた合成樹脂)をプライベートに楽しむのは日常茶飯事だったという。  通訳が村上氏に伝えると、村上氏は事もなげにこう答えた。 「ええ、大麻なら、僕は好きですよ」  そのときシュナイダー氏が撮影した何点かの写真が「袋とじ」の中にある。  彼がフイルムを整理していたところ出てきたのだそうだ。それまで、その日本人がノーベル文学賞候補にまでなった村上春樹と同一人物だったとは気がつかなかったという。  シュナイダー氏はなぜ今、このことを公表しようと思ったのか。 「別に彼を落としめようとか、批判しようとかという気持ちはない。彼の作品にはマリファナを扱う描写も出てくるし、本人もマリファナ好きを公言してるのはファンなら知っている。その彼が若い時にこのようにマリファナを楽しんだということを彼の“ファン”も知りたいと思ったからだ」  たしかに、その経験は彼の作品に存分に生かされている。10年に発表された『1Q84』の中で、主人公、天吾は父の入院先である病院の看護師たちとパーティーをやった後、その中でいちばん若い女性である安達クミにマリファナを勧められる。その感覚をこう表現している。 「秘密のスイッチをオンにするようなかちんという音が耳元で聞こえ、それから、天吾の頭の中で何かがとろりと揺れた。まるで粥を入れたお椀を斜めに傾けたときのような感じだ。脳みそが揺れているんだ、と、天吾は思った。それは、天吾にとって初めての体験だった~脳みそをひとつの物質として感じること。その粘度を体感すること。フクロウの深い声が耳から入って、その粥の中に混じり、隙間なく溶け込んでいった」  『うずまき猫のみつけかた』(新潮社)の中でも村上氏はマリファナについてこう書いている。 「経験的にいって、マリファナというのは煙草なんかよりも遙かに害が少ない。煙草と違って中毒性もない。だからマリファナをちょっと吸ったぐらいで、まるで犯罪者みたいに袋叩きにあうなんていう日本の社会的風潮は、まったく筋が通らないのではないか」  これだけマリファナ擁護論を展開しているのに、アサ芸が村上春樹事務所に事実関係を確認すると、事務所から連絡を受けたという都築響一という編集者が出てきて、 「取材旅行中、僕は常に村上さんと一緒に行動していたので、こちらの知らない場所で大麻というのは、写真を含めてありえないかと思います」  と答えている。  常にいたという都築氏の姿はシュナイダー氏の写真の中には発見できなかったと、アサ芸は書いている。  われわれが若い時はマリファナやハッシシ、LSDなどは簡単に手に入り、新宿の喫茶「風月堂」はそうした連中の溜まり場であったし、罪悪感などなかった。  だから大麻を解禁してもいいとは、私は思わないが、大作家になると、こうした過去の微笑ましい外国での経験でも、認めるわけにはいかないのだろうか。 〈元木昌彦の眼〉 この報道の後を追う週刊誌は当然ながらどこもなかった。いまでも真偽の程はわからない。村上側がこの記事に抗議したという話も、私は聞いていない。やしきたかじんとその妻との純愛ノンフィクション『殉愛』を書いた百田尚樹のその後の「騒動」についても週刊誌は最初ほとんど書かなかった。作家が最大のタブーになってしまっていいいのか? 出版社系週刊誌の最大のウイークポイントはそこにある。 第7位 「ミス東洋英和が日テレの女子アナ内定を取り消された理由」(「週刊現代」11/22号) NHKの朝のドラマ『花子とアン』でも注目を集めた東洋英和女学院大学の4年生、笹崎里菜さん(22歳)が内定していた日テレから内定取り消しを受け、提訴したというのである。  彼女は平成25年9月12日に日テレから、平成27年度のアナウンサー職の採用内定を受けた。  この笹崎さんの存在は、「女子アナ通」の間ではすでによく知られていたそうだ。彼女は「2011年ミス東洋英和」に輝き、ファッション誌の読者モデルとしても活躍していた。  その彼女がなぜ、日テレの内定を取り消されたのだろうか?  今年3月、すでに内定者として研修を重ねていた笹崎さんが人事担当者に電話で告げたことが騒動のきっかけになった。 「以前、母の知り合いの関係者が経営している銀座の小さなクラブで、お手伝いを頼まれて短期間アルバイトをしていたことがありますが、そういうものは大丈夫なのでしょうか」  こうしたことを言わずに女子アナになる者が多いのに、彼女は正直に「過去」を話したのだ。だが、日テレの人間は笹崎さんにこう告げたという。 「(アルバイトのことを)上に上げたら問題になってしまった。明日は人事部の部長、部次長から話がある。ホステスのバイトをしていたことがバレたら、週刊誌には好きに書かれる。笹崎は耐えられるか。これまで研修でがんばってきたことは知っているけど、それはいったん置いて、よく考えてほしい」  さらに週刊誌などで騒ぎになったら、父親のところにも取材が殺到して、父親が会社を辞めなければならなくなるかもしれないとも言ったそうだ。父親にそのことを話したら、心配するなと言われた。当然である。  しかし4月2日、日テレの部長から内定取り消しが伝えられた。  彼女がホステスのアルバイトをしていた銀座のクラブというのは、スナックのようなこじんまりとした店で、彼女の母親の知人もカウンターの中で働いていた。  特定社会保険労務士の今中良輔氏が疑義を呈する。 「この裁判は彼女一人のものではなく、社会に対する問題提起の側面を持っています。ホステスのアルバイトをしていた過去は、女性の将来を塞ぐことがあっていいのか。個人的にはあってはならないと思う。司法がどのような判断を下すか注目しています」  一読して、何をバカなことを日テレは言っているのかと思わざるを得ない。氏家斉一郞氏が生きていたら、こんなことはなかったに違いない。  今どき、ホステスやキャバクラのアルバイトをしていたから入社させないというのは、そうした職業を差別しているからではないのか? 夏目三久(日テレ→フリー)のように、入社してからコンドームの箱をもった写真が写真誌に載り、騒ぎになったトラウマが日テレにはあるのだろうが、ケツの穴の小さいテレビ局である。  笹崎さんは、アナウンサーになる夢をあきれめることはどうしてもできないと言い、こう続ける。 「この裁判は世間の皆さんに、女子アナという仕事について考えていただく機会にもなると思っています。大学時代にホステスのバイトをしていた女子アナは、受け入れてもらえないのでしょうか? 私の経歴は、裁判によって公になります。その上で、もし私が女子アナになれたとしたら、批判も含めて、過去はすべて引き受けるつもりです」  裁判は11月14日から始まる。これだけ強い意志を持った女性なら、いい女子アナになると思うがね。 〈元木昌彦の眼〉 この話題は日テレ以外のワイドショーも取り上げたが、そのほとんどが日テレ側に厳しいものだった。当然である。どうやら和解が成立しそうで、日テレ側が彼女を受け入れる流れになっているようだ。しかしこの騒動で日テレのイメージダウンは相当なものがある。これで彼女を入社させてもアナウンス局に配属しなかったら、このテレビ局は女性から見放される。重大な判断ミスをした日テレの上層部はそろって辞職すべきではないのか。それほど責任は重い。 第6位 「女優・児島美ゆきが初告白『高倉健さんと暮らした300日』」(「週刊現代」1/3・10号)  女優・児島美ゆきが高倉健と交際していた日々を告白している週刊現代を、MAISON TROISGROSのインスタントコーヒーを飲みながら読み始めた。 「男女の仲になったデートの日の別れ際、彼が、『これからは僕のことを剛ちゃんと呼んでください。本名は小田剛一ですから』と言ったんです。二人の仲を縮めたかったのか、それとも『俳優・高倉健』ではなく、一人の男として私と付き合いたかったのか、それはわかりません」  とうとう出てきたという気持ちと、なぜ児島なんだという気持ちがない交ぜになる。健さんだったら、大原麗子か吉永小百合との「忍ぶ恋」が似合うのに……。  そういえば、歌手の石野真子を熱心に口説き落としたと書いた週刊誌もあった。女性の好みは人それぞれ。健さんはこういうタイプが好きなのかもしれない。  当時、健さん52歳、児島31歳。児島がテレビドラマ『北の国から』で富良野のスナックのホステスを演じたのを健さんが見て、田中邦衛を介して「会いたい」と伝えてきたという。日に何度も電話があり、「うちにコーヒーを飲みに来ませんか」と誘われ、彼のマンションへ行く。結ばれたのは2度目に訪れたとき。 「寝室の大きなダブルベッドで。彼は体は筋骨隆々でしたが、やさしい人でした」(児島)  彼女は彼のためにステーキや生姜焼き、肉じゃがなどを作る。黙々と食べる健さん。終わると、いつの間にか食器を洗ってくれていた。 「とにかく、時間のあるときには、映画を観るか(マンションに小さな映写室があった=筆者注)、腹筋や腕立て伏せをしているか、あとは洋服の整理(笑)。セータを畳んだり、シャツなどを並べたり、整理整頓が趣味のような人でした」(同)  健さんは警察無線や消防無線を聞くのが好きだったという。児島が茶目っ気たっぷりにヌードダンサーの真似をすると、顔をほころばせ手を叩いて子どもみたいに喜んだそうだ。 「ある日、彼に膝枕をしてあげたら、彼はふいに、『幸せだなぁ。こんなに幸せでいいのかなぁ……』驚いて彼の顔を見ると、目に涙まで浮かべていたんです。膝枕ぐらいで泣くなんて、と驚くと同時に、『普通の幸せを、こんなに恋しいほど求めている人なんだ』と、私まで切なくなって……」(同)  スーパーへ一緒に行って、児島が買い物袋を抱えてクルマまで戻ってくると、こう言ったそうだ。 「剛ちゃんはこういうことがしたかったんだ」  それほどまでに彼の生活は孤独で、ストイックだったと児島は話している。  そんな生活が300日続いた。だが2人のことが芸能誌で報じられ、健さんから「しばらく会えない」と言われ、世間体が大事で私を捨てたと怒った児島は、彼のもとから去る。そして30年がたち、「あなたの気持ちをわかってあげられなかった」という詫び状を送った直後、高倉健の悲報が届く。  児島は「人間・小田剛一も、本当に優しく、温かい人だったことを知ってほしい。面白くて気取らず、人間くさい、愛すべき人でした」と語る。  こうした健さんとの思い出を持つ女性はほかにもいるはずだから、名乗り出てほしい。人間・高倉健をもっともっと知りたくなってきた。 〈元木昌彦の眼〉 高倉健の死は日本中に衝撃を与えた。私のように学生時代から『昭和残侠伝』を見てきた熱狂的なファンは、何か体の芯が抜け落ちるような気持ちが未だに続いている。男の生き方を背中で教えてくれた俳優だった。だが昭和の男だった健さんの女性の好みは、以外にも楚々たる美女ではなくどこか三枚目的な女性だったというのも、なにやら健さんらしいなと、思うのだ。 第5位 「林真理子『夜ふけのなわとび』」(「週刊文春」12/11号)  今週の第1位は林真理子の連載コラムに捧げる。 「一ヶ月近くたって巷でこれだけ話題になっても、どの週刊誌も一行も報じないではないか。やしき氏(やしきたかじん=筆者注)の長女がこの本によって、『名誉を傷つけられた』と提訴し、出版差し止めを要求した。が、相変わらずテレビも週刊誌も全く報道しない。私はこのこともすごい不気味さを感じるものである。この言論統制は何なんだ! 大手の芸能事務所に言われたとおりのことしかしない、テレビのワイドショーなんかとっくに見限っている。けれど週刊誌の使命は、こうしたものもきちんと報道することでしょう。ネットのことなんか信用しない、という言いわけはあたっていない。そもそも、『やしきたかじんの新妻は遺産めあてではないか』と最初に書きたてたのは週刊誌ではなかったか」  林真理子が文春の連載「夜ふけのなわとび」で怒る怒る。週刊誌が自分の役割を果たさないのはどういうこっちゃ! と真っ当に怒り狂っている。  この騒動は、百田尚樹という物書きが幻冬舎から出した『殉愛』という本についてである。  先日亡くなったやしきたかじんの闘病の日々と、彼を献身的に介護する新妻との日々を描いた“ベストセラー狙い”のお涙ちょうだいノンフィクションだ。  だが、この新妻というのが実はイタリア人と結婚していて、「重婚」の疑いがあるというのである。  また、やしきの友人でもあり彼の楽曲に詞を提供していた作詞家の及川眠子が『殉愛』の中で資料として提示されているたかじん「自筆」とされるメモの字の筆跡について、真贋を疑問視するツイートをしたのだ。 「『殉愛』の表紙に感じたすっごい違和感。なんでだろーと思っていたが、はたと気付いた。たかじんってあんな字を書いたっけ? もっと読みづらい変ちくりんな字だった記憶が・・・。病気になると筆跡まで変わっちゃうのかな?」  その上、やしきの長女が幻冬舎に対して「出版差し止めと1100万円の損害賠償を求める」訴訟を東京地裁に起こしたのである。  これに対して百田は「裁判は面白いことになると思う。虚偽と言われては、本には敢えて書かなかった資料その他を法廷に出すことになる。傍聴人がびっくりするやろうな」とツイートしたものの削除してしまった。  Web上のまとめサイトでは「百田尚樹氏はほぼ作家生命終了」とまで断定されてしまっている。  これだけ話題になっている本についての「醜聞」は週刊誌の格好のネタであるはずだ。だが、不可解なことに出版社系はどこも取り上げないのだ(『サンデー毎日』と『週刊朝日』はやしき氏の長女のインタビューなどをやっている)。  週刊現代を出している講談社は『海賊とよばれた男』が大ベストセラーになっている。週刊新潮は百田の連載が終わったばかり。タブーは他誌に比べてないはずの文春だが、林によると「近いうちに連載が始まるらしい」から、これまた書かない。  小学館の週刊ポストも、百田の連載をアテにしているのかもしれない。  私がここでも何度か言っているが、いまやメディアにとってのタブーは天皇でも創価学会でも電通でもない。作家なのである。  昔「噂の真相」という雑誌が出ていたときは、毎号作家についてのスキャンダルや批判が載っていたが、いまや作家について、それもベストセラー作家のスキャンダルを読みたくても「サイゾー」以外どこを探しても見つからない。 「私は週刊誌に言いたい。もうジャ-ナリズムなんて名乗らないほうがいい。自分のところにとって都合の悪いことは徹底的に知らんぷりを決め込むなんて、誰が朝日新聞のことを叩けるであろうか」(林真理子)  私も週刊誌OBであるから、恥ずかしくて仕方ない。ネットで現場の記者や編集者は、そんな状況を打破しようとしているというコメントを見つけた。 「文春や現代、ポストの週刊誌編集部には関西生まれの記者や編集者も多く、彼らは子供の頃からたかじんの番組に慣れ親しみ、親近感を持っており、今の状況は許せないと思っている。若手記者たちは『企画を出しても通らない!』と憤っています。中には仕方なく自腹で取材に動いたり、情報収集をしはじめる記者もいます。ある版元の、ノンフィクションが得意の敏腕編集者の下には、こうした情報が続々と集まっていると聞きました。騒動の裏側が本格的に暴かれる日も近いのでは」(夕刊紙記者)  これに似たようなことを私も聞いているが、どこまでやれるかはなはだ心許ない。この本の版元は見城徹という人間がやっている幻冬舎で、彼の裏には芸能界の「ドン」といわれている周防郁雄がいるそうだ。百田はベストセラー作家であり、安倍首相のお友達である。  この程度の「圧力」に屈して、この「事件」を書かないとしたら週刊誌など廃刊したほうがいい。  私は百田の『永遠の0』を30ページほど読んで捨ててしまった程度の読者である。したがって、百田の物書きとしての才能をうんぬんすることはしない。だが、「文は人なり」である。安倍首相のような人間と親しいことをひけらかし、下劣な発言をたびたび繰り返している人間のものなど読むに値するわけはない。 〈元木昌彦の眼〉 ここに書いてあるように週刊文春で百田の連載が年末から始まった。出版不況の中で売れる数少ない作家の存在は、どこの出版社でも貴重である。批判めいたことを書いて連載をやめられたらどうしようと考えるのは無理はない。作家によってはこれまで出していた本をすべて引き上げてしまうケースも多くある。だが、ノンフィクションと銘打ちながら、片方の当事者の一方的な話だけで作り上げた本に対してものをいうことが出来ないとすれば、ジャ-ナリズムの看板は下ろすべきであろう。今年も文春が頑張っていただけに残念である。 第4位 「ユニクロ・柳井が封印した『一族』の物語」(「週刊現代」8/30号)  佐野眞一氏の『あんぽん』(小学館)や橋下徹大阪市長について書いた週刊朝日の記事を持ち出すまでもなく、功成り名を遂げた人の「出自」を暴くというのが、週刊誌ノンフィクションの常道である。  そこには、もはやあなたは公人なんだから出自も含めてすべて開示されても致し方ないという、メディアや書く側の一方的な思い込みがあるのではないか。今回もユニクロ柳井正氏の「地元嫌い」を親族の出自と絡めてルポしているが、柳井氏を知る上でこうした情報がどれだけ役に立つのか、私には読み終わってもよくわからなかった。  柳井家の親族の1人がこう話す。 「土地から離れようとしているだけでなく、一族からも距離を置こうとしているのは寂しい」  正氏の父・等さんがユニクロの前身となった「小郡商事」を作ったが、実は、もう一つの親族が作った「小郡商事」があったというのである。もう一つの「小郡商事」は、等さんの兄で正の伯父・柳井政雄氏が作ったものだという。  この政雄氏は1908年、現在の山口市で牛馬商を営む父柳井周吉氏の4男として生まれた。 「政雄氏の著書『同和運動の歩み』によれば、尋常高等小学校中退後、炭鉱産業が隆盛だった宇部市の炭鉱で働くなどして青年期を過ごす内に、極道の世界に足を踏み入れたという」(現代)  政雄氏の息子、澤田正之氏はこう言う。 「46年に山口市議に当選してから政界にも人脈が広がった。やくざにも警察にも顔が利くので、重宝がられる。だから周囲からいろいろ頼まれごとをするのですが、断らない人だね。(中略)そうこうするうちに様々な事業に関わるようになっていった。地域で困っているような人を自身が経営する会社で引き受けて面倒も見ていました」  親分肌で面倒見がいい、東映任侠映画に出てくるような人物だったのだろう。伯父の政雄氏や父親の等氏は地域に根差した家族的経営を貫いていった。  しかし柳井正氏は、等氏らが行ってきた家族的経営を批判することから実業家の歩みを始めたという。  正氏は著書『一勝九敗』(新潮社)の中で「義理人情に厚く、生業家業といった観点で仕事をし、企業家とか経営者といった観点はなかった」と彼らのやり方を評している。  しかし、そうした正氏の経営姿勢が功を奏し、広島県でユニクロ1号店を誕生させてから今年で30年、当時年商1億円ほどだった「小郡商事」は、今や1兆円を売り上げる世界のユニクロへと成長したのだ。  ユニクロの前身となった紳士服開業の地は今は空き家で、かつてそこに本社が置かれていたことを示す痕跡はないという。どういう理由で正氏が「故郷を捨て」たのかはわからない。それを彼自身の口から聞いてみたいものである。 〈元木昌彦の眼〉 この記事はどう評価するか難しい。ノンフィクション作家の吉田司は私に、柳井の出自を書いた現代はすごい、よくできたなといった。だが、私には柳井という人間を描くのにそこまで必要なのか、考えあぐねている。昔、本田靖春さんに美空ひばりを書いてもらった。私は本田さんに、美空が在日だという「噂」が以前からあるが、それをぜひ彼女に聞いてほしいと頼んだ。その時本田さんは、キミが美空に手紙を書き話してくれと頼んで、彼女がいいといったら聞こう。だが、彼女がそれについては話したくないというのであれば、取材する側は、それを無視してまで聞く権利はない。僕はそういう取材はしたくない私にいった。そういう本田さんの取材方法をとらえて、本田は優しすぎるから突っ込みが足りないのだという批判をする人間もいる。だが、いま私はこの記事を読んで、もう一度本田さんのいった言葉の意味を再び考えている。週刊誌をやる人間たちにも考えてもらいたいテーマである。 第3位 「さらば器量なき政治家『渡辺喜美代』議士」(「週刊新潮」4/3号) みんなの党・渡辺喜美代表のカネがらみのスキャンダルだ。まずはこのコメントから。 「日本維新の会とみんなの党の連携話が渡辺さんから入ってきたのは12年3月。その頃、私が検査入院していた慈恵医大病院の特別室に、渡辺さんは人目も気にせず一人でやってきて、『次の総選挙で、維新と全面的に選挙協力をすることになりました。両党で100人以上は当選する可能性がある。ついては20億円ほどお借りできませんか』と頼んできたのです。確かに20億円は大金ですが、当時の腐りきった民主党政権に終止符を打ち、この20億円が日本再生のためになるのならと思い、支援するつもりでいました。しかし、ご存知の通り、みんなの党と維新の会の連携はご破算となり、渡辺さんからは『5億円でいいことになりました』と連絡が入ったのです。選挙の1ヵ月前の11月21日、2年前と同じ口座に、5億円を私の個人口座から振り込みました。ただ、前回の3億円の時と違うのは、彼から借用書が送られてこなかったこと、そして18人が当選した後も、礼の一つもなく、連絡まで絶えてしまったことでした。私が彼に幻滅し始めたのは、おそらくこの頃のことです」  こう渡辺代表(62)のことを非難するのは、渡辺のスポンサーだった吉田嘉明DHC会長(73)である。  吉田会長が1972年に創業したDHCは化粧品、サプリメントなどを扱う総合メーカーで、総売上高は約1140億円になる。  このスクープは大新聞が1面で追いかけ、党内からは代表を辞任せよという厳しい意見が相次いでいる。  吉田会長率いるDHCは天下り官僚を1人も受け入れていないそうだ。彼の持論は、霞ヶ関、官僚機構の打破。それこそが今の日本に求められる改革であり、それを託せる人が、彼の求める政治家だから、声高に脱官僚を主張していた渡辺善美に興味を持つのは自然のことだったという。少なくとも5年前までは。  吉田会長は渡辺の土地を買い上げてやったり、10年7月の、結党以来2度目の国政選挙である参院選を控えて「渡辺さんから選挙資金の依頼がありました。『参院選のための資金を貸してもらえないでしょうか。3億円あれば大変助かります』と申し出があった」ため3億円を貸したり、総選挙前には5億円も渡し、しかも借用書も取っていないというのだ。  選挙後はなんの連絡もなかったが、今年2月9日に渡辺が突然訪ねて来て、自宅地下のカラオケルームに招き入れると、彼はいきなり土下座したというのである。そして「会長、いろいろとご迷惑をおかけしました。許してください」と、蚊の鳴くような声で詫びたという。  吉田会長は、自分の怒りを鎮めようという「芝居」だったのではないかと話している。  これを読む限り、渡辺氏はあまりにも身勝手で恩知らずと思わざるを得ないし、政治資金として記載していないというから、政治資金規正法に引っかかるのではないか。  それについては後述するが、渡辺氏といえば、妻の尻に敷かれていることでも有名だが、吉田会長はこんなエピソードを話している。  吉田会長に会うときは大抵、妻のまゆみさんが一緒だったという。 「渡辺さんは心底惚れていて、何かあればいつも白旗を掲げていました。ある時、まゆみさんが渡辺さんと女性番記者との仲を疑って離婚話にまで発展したことがあった。その時、渡辺さんはふらりと一人で私の家にやって来て、うちのカラオケルームで森進一の『冬のリビエラ』を熱唱していったのです。『男って奴は~』という節に力を込め、歌い終わったあと、彼は力なくこう言いました。『今はただ、お怒りが鎮まるのを待つのみです』代表であり夫である渡辺さんがこれですから、党内の議員や秘書も、まゆみ夫人に嫌われたら万事休す、といったところだったのでしょう」  5億円は選挙の1カ月前の11月21日、2年前と同じ口座に、吉田会長の個人口座から振り込んだ。その後、4回にわたって計330万円ほど返金されているから、現在の残高は5億4986万1327円だそうである。  この問題については、朝日新聞(3月27付)朝刊で、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士がこう語っている。 「選挙資金だった場合、たとえ借入金だったとしても選挙運動費用の収支報告書に記載がなければ、公職選挙法違反に問われる可能性がある。政治活動の費用だった場合は、政治資金収支報告書に記載がないと政治資金規正法違反にあたる可能性がある。使途が選挙や政治活動に無関係だったとしても、吉田会長は12年の5億円について担保や返済期限が設定されず、借用書もなかったとしており、贈与と認定されて税務上の問題が指摘される可能性が浮上する。これを寄付とみなした場合には政治資金規正法が定める寄付額の制限を超える可能性もある」  政治とカネの話はこれまでも無数にあった。有り余ったカネを使って政治家のスポンサーになり、フィクサー面をする実業家にも辟易するが、カネ欲しさにたかる政治屋は最低である。  こんな人間が官僚打破などできるわけはない。渡辺氏は、仮に法の裁きを受けなかったとしても、代表の座を降り一政治家として再出発するしか残された道はないこと、言うまでもない。それに、今の奥さんとは別れたほうがいいのでは? 〈元木昌彦の眼〉 今年も政治家のカネがらみのスキャンダルが多く出た。なかでも渡辺のは金額的にも大変な額である。その説明も十分にしない(出来ない)ために有権者からも疎んじられ、年末の選挙であえなく落選してしまった。もともと政党を率いる器などなかった男が、父親の七光りで祭り上げられていただけなのだろう。選挙中、渡辺より目立っていた奥さんの尻の下に敷かれているのがお似合いだと、思わざるを得ない。 第2位 「『小渕優子』経産相のデタラメすぎる『政治資金』」(「週刊新潮」10/23号)  昨日(10月20日)2人の大臣が辞任した。どちらも、週刊誌が報じたことがきっかけだった。  安倍首相にとって内閣改造の目玉として指名した小渕優子と、そのデング熱ならぬテングのような振る舞いでひんしゅくを買った松島みどり法相である。  今週のフライデーが、松島の「イヤミな全言動」を報じている。この記事が辞任に追い込んだわけではないが、松島という人間性がよく出ているので取り上げてみた。  松島氏が批判されたのは、以下のようなことである。自らの選挙区の祭りでうちわを配ったことは公職選挙法に触れる。都内に住んでいるのに赤坂の議員宿舎に入居し、週末には自宅に帰っている。襟巻き着用が認められていないのに、ストール着用で参院本会議に出席した。  フライデーいわく「あの非常識の塊のようなアントニオ猪木ですら、議場ではトレードマークの赤いマフラーを外す」というのに、だ。  ご本人は東大出というのが誇りだそうだが、滑り止めで受けた早稲田大学政治経済学部には落ちている。しかも、あの朝日新聞出身だ。  失礼な言い方になるが、もともと法務大臣にはあまりいい人材が配されたことはないが、この人は、歴代の中でもワースト3に入るのではないか。女性登用と意気込んだ安倍首相だが、しょせんは男女問題ではなく、能力あるなしを見極めることが肝要なのだ。 「松島氏をめぐっては、今月7日の参院予算委員会で、民主党の蓮舫氏が松島氏の政策が書かれたうちわを選挙区内のお祭りで配っていたことを『寄付にあたり違法だ』と追及。松島氏は『うちわのような形をしているが、討議資料だ』と反論したが、選挙区内の有権者への寄付を禁じた公職選挙法違反の疑いがあるとして民主党が刑事告発していた」(朝日新聞10月20日付より)  安倍首相、に人を見る目がないことがよくわかる。  さて今週、堂々の第1位は、将来の総理候補と持ち上げられている小渕優子経産相(40)に、週刊新潮がスキャンダルの洗礼を浴びせた巻頭特集である。  それも「政治資金規正法」の疑いありというのだから、読んですぐに、彼女にとっても安倍政権にとっても国会対応は苦しいものになりそうだと思った。  まずは、新潮の内容を紹介しよう。10月8日朝、日本橋浜町にある「明治座」に「小渕優子後援会女性部大会」のご一行様が、次々にバスを連ねて到着したという。その数ざっと1,000人超。  この観劇会は毎年行われていて、明治座側は切符代を3分の2ほどに値下げして出していると話している。S席は通常1万2,000円だから1枚8,000円ほどになる勘定だが、たとえば2010年分の政治資金報告書で、小渕後援会が群馬県選挙管理委員会に届けたのは「観劇会」として372万8,000円だけ。これでは1人あたりの切符代は3,700円程度にしかならない。 「一方で支出を見ると、組織活動費の『大会費』扱いで、844万円余りが『入場料食事代』として明治座に支払われたことになっている。その結果、実に470万円もの差額が生じているのだ」(新潮)  小渕は政党支部として「自民党群馬ふるさと振興支部」という団体があり、そこからも10年10月1日の日付で約844万円が支払われている。新潮が領収書のコピーを取り寄せたところ2枚の領収書は連番だから、合計1,688万円の支出を二等分して届けたとわかる。  これにより、収入との差額は1,316万円に広がってしまうことになるのだ。地元の支援者の票がほしいために送り迎えして観劇させ、飲み食いまでさせて手土産のひとつも持たせることは、昔なら地方のどこでも見られた光景だった。  だが、今は政治資金の使い方に厳しく網がかけられ、政党助成金制度までできているのである。これについて新潮で、神戸学院大学法科大学院の上脇博之教授がこう話す。 「1~2万円なら会計ミスで通るかもしれませんが、これだけ巨額では見逃すわけにはいきません。報告書の不記載ないし虚偽記載にあたり、それを行った者や、場合によっては団体の代表までも罰則を受ける可能性があります」  それ以外にも新潮によれば、実姉のやっているブティックから、10~12年にかけて小渕の各団体から330万円の支払いがなされている。そのほかにも、地元の農業協同組合や地元農家から大量の下仁田ネギやこんにゃくを購入しているが、これらも「組織活動費」や「交際費」に計上されているそうである。  先の上脇教授は「小渕大臣の使い方は、どうも政治資金を私物化しているような印象を受けるのです」と言っているが、これでは先頃話題になった「大泣き兵庫県議」のやっていたこととあまり違いはないのではないか。  とまあ、小渕恵三元首相の忘れ形見のお嬢ちゃんとはいえ、卑しくも現役の議員、それも経産相という重責についている大臣のやることじゃござんせんな。  新潮が小渕大臣を直撃したところ「事務所がお答えすると話しています……」と、我関せずという態度だったそうだ。  現代では松田賢弥氏が、まだほかにもあると、こう語っている。 「小渕氏の地元の群馬県吾妻郡中之条町では、彼女の母親の千鶴子さんが01年10月に約132坪の土地を取得し、2階建てのビルを建てています。この土地はもともと、千鶴子さんの親族が経営していた木材工場の一部。問題は、このビルに事務所を構える『小渕優子後援会』が、不可解な家賃を計上していることです。直近の過去3年間の収支報告書によれば、このビルは千鶴子さんが所有するものであるにもかかわらず、小渕優子後援会が毎月6万3000円の家賃を支払っています。1年間で75万6000円、10~12年の3年間では総額226万8000円。しかも、家賃の受取人は母親ではなく、小渕本人になっているのです」  これでは小渕の後援会が母親のビルを通して、小渕本人に献金をしていたのではないのか、という疑惑である。  蝶よ花よと大事に育てられてきた深窓育ちのお嬢ちゃまが初めて遭遇するスキャンダルだったが、あえなく辞任ということになってしまった。  小渕氏は辞任記者会見で「長年、私が子どものころからずっと一緒に過ごしてきた、信頼するスタッフに管理をお願いしてきた。その監督責任が十分ではなかった」(asahi.com10月20日より)と、悔しさをこらえて話したという。  父親の時代からいたスタッフが、若くて何も知らないお嬢ちゃんに知らせずに、これまで通りにやってきたということだろう。何か聞かれても「私たちにお任せを」と言うだけで、報告義務を果たしていなかった。親の地盤を引き継いだ二世、三世議員にはよくあることだが、何も知らされなかった彼女は悔しかったのだろう。  だが、この程度の人間を「将来の総理大臣」と持ち上げてきた永田町や新聞は、反省すべきである。安倍首相は小渕経産相と松島法相の辞任について「任命したのは私で、任命責任は私にある。こうした事態になったことを国民に深くおわびする」と首相官邸で記者団に語ったというが、当然である。  第一次安倍内閣が潰れたのも、閣僚の不祥事が次々に表面化したためである。同じような道をたどって、第二次も崩壊していくのかもしれない。 〈元木昌彦の眼〉 小渕は年末の総選挙では楽勝した。まるで政治家としては瑕疵がないとでもいうように。だが、事務所の人間が政治資金規制法違反の証拠になるパソコンを電気ドリルで壊していたことが発覚して、検察の怒りを掻き立ててしまった。政治家としての資質に大きな疑問が湧いてくる。このまま小渕議員がお咎めなしなら規制法はザル法だということを満天下に知らしめることになる。検察の威信を賭けて取り組んでほしいものである。 2014年週刊誌スクープ・グランプリ 「全聾の作曲家佐村河内守はペテン師だった」(「週刊文春」2月13日号)  私事で恐縮だが、大雪が降った土曜日(2月8日)の夕方、川崎駅近くにある「ミューザ川崎シンフォニーホール」で開かれた「東京海上フィルハーモニックオーケストラ第21回定期演奏会」へ行ってきた。  ベートーヴェンの交響曲第9番、いわゆる「第九」といわれるものだ。残念ながら2,000人が入る会場は、交通事情悪化のため半分ぐらいの入りだったが、100名近いフルオーケストラと300名近い男女の合唱は、神々しいまでに荘厳で迫力に満ちたものだった。  ドイツが東西に別れていた1956年から64年の間に開かれた五輪に合同選手団を派遣した際、国歌の代わりとして、この第四楽章「歓喜の歌」が歌われたそうである。  恥ずかしいが、この年になるまで「第九」を生で聴く機会がなかった。  ベートーヴェンが初めてこの曲を演奏し、終わったとき、全ての聴衆の目には涙が光り、嵐のような歓呼は永遠に止むことがないように思われたという。外が吹雪のせいもあったかもしれないが、同じような“感動”をこの日私も味わった。「ブラボー」の声があちこちから上がり、拍手は鳴りやまなかった。  その楽聖・ベートーヴェンに比して「現代のベートーヴェン」とTIME誌に言わせしめた日本人作曲家が、実はペテン師だったという文春の記事は衝撃的であった。これが久々のグランプリだ!  作曲家・佐村河内守氏(さむらごうちまもる・50)のゴーストライターを務めていた新垣隆氏(43)が、こう告白している。 「私は18年間、佐村河内守のゴーストライターをしてきました。最初は、ごく軽い気持ちで引き受けていましたが、彼がどんどん有名になっていくにつれ、いつかこの関係が世間にばれてしまうのではないかと、不安を抱き続けてきました。私は何度も彼に、『もう止めよう』と言ってきました。ですが、彼は『曲を作り続けてほしい』と執拗に懇願し続け、私が何と言おうと納得しませんでした。昨年暮れには、私が曲を作らなければ、妻と一緒に自殺するというメールまで来ました。早くこの事実を公表しなければ、取り返しのつかないことになるのではないか。私は信頼できる方々に相談し、何らかの形で真実を公表しなければならない責務があるのではないかと思い始めたのです」  この“事件”、新聞やスポーツ紙、ワイドショーでは数日前から騒ぎになっていたが、時間的にいえば、文春が取材し、その新聞広告を手に入れた新聞社がその事実を知り、新聞社名では出しにくいので共同通信に情報を渡し、共同が書いたということになるのではないか。  佐村氏は広島生まれの被爆2世で、全聾の作曲家として一躍有名になった。  2011年に発表した80分を超える「交響曲第一番 HIROSHIMA」(演奏、東京交響楽団/日本コロンビア)は、クラシック界では異例の約18万枚のセールスを記録したという。  また、昨年3月31日に放送された『NHKスペシャル』の「魂の旋律~音を失った作曲家」では、東日本大震災の被災地の石巻、女川を訪ねながら創作する過程が紹介され、それが元で生まれた「鎮魂のソナタ」(演奏ソン・ヨルム/同)は、番組の反響もあって10万枚の売り上げを記録しているそうだ。  この番組は私も見たが、佐村河内の名前を知らなかった私も、内容に感動して、すぐにAmazonでCDを買って聴いてみた。さほど交響曲には感動しなかったが、被曝2世、全聾者という彼の人生が音楽の隠し味になって、聴く者を感動へと誘っていたことは間違いない。  ソチ五輪の男子フィギュアのショートプログラムで、高橋大輔選手が彼の作曲した「バイオリンのためのソナチネ」で滑ることも話題になっていた。  そこに18年間もの間、佐村河内氏のゴーストライターをやっていたという桐朋学園大学音楽学部作曲専攻で講師を務める新垣氏が、「懺悔実名告白」をしたのだ。  2人が出会ったのは、1996年の夏のことだという。年上の佐村河内氏は、新垣氏にこう切り出した。 「このテープには、とある映画音楽用の短いテーマ曲が入っている。これをあなたにオーケストラ用の楽曲として仕上げてほしい。私は楽譜に強くないので」  新垣氏はこの申し出をあっさり受け入れた。佐村河内氏が提示した報酬は数万円。それが、いびつな二人三脚の始まりとなったと文春は報じている。  新垣氏がこう話す。 「クラシック界では、大家の下でアシスタントが譜面を書いたりオーケストラのパート譜を書いたりすることはままあることです。ところが、その後わかったのですが、佐村河内は楽譜に弱いのではなく、楽譜が全く書けない。正式なクラシックの勉強をした形跡もない。ピアノだって、私たちの常識では『弾けない』レベルです」  新垣氏はお金とか名声がほしくて引き受けたのではなく、自分が作曲した音楽を多くの人に聴いてもらえることがうれしかったからだと動機を語っている。  新垣氏は自分たちを「天才的な大馬鹿コンビ」と自嘲していたというが、まさに奇跡の出会いだったようだ。  楽譜の書けない佐村河内氏は、細かい「構成図」を書いて新垣氏に渡したという。文春によればこうだ。 「『中世宗教音楽的な抽象美の追求』『上昇してゆく音楽』『不協和音と機能調整の音楽的調和』『4つの主題、祈り、啓示、受難、混沌』等々、佐村河内は、ひたすら言葉と図で一時間を超える作品の曲想(コンセプト)を書いている。このコンセプトに沿って新垣は、一音一音メロディーを紡ぎだし、オーケストラ用のパート譜を書き起こしていく。つまり、佐村河内はセルフプロデュースと楽曲のコンセプトワーク(ゼロを一にする能力)に長け、新垣は、それを実際の楽曲に展開する力(一を百にする能力)に長けている」  だが、「新潮45」(13年11月号)に載った音楽家・野口剛夫氏による論考『「全聾の天才作曲家」佐村河内守は本物か』を読んで、新垣氏は不安を持った。  野口氏はこう綴っている。 「時にはバッハ風、ときにはマーラー風の美しい響きの瞬間も随所にあるが、それらは刹那的な感動の域を超えることがない(中略)、『交響曲』の最後で(中略)ほとんどマーラーの交響曲(第3番の終楽章?)の焼き直しのような響き」  講談社から出した自伝『交響曲第一番』の中の記述などもウソが多く、新垣氏はここで打ち切ろうというアドバイスをしたが、佐村河内氏は受け入れなかった。  思いあぐねた新垣氏は、自分の教え子でもあり佐村河内氏が曲を献呈していた義手のヴァイオリニストの少女の家族の前で、これまでの真相を話し、謝罪したというのである。  こうして綻びは大きくなり、砂上の楼閣は崩れ始めた。  驚くことに「全聾」というのもウソだと、新垣氏は言っているのだ。 「実際、打ち合わせをしても、最初は手話や読唇術を使ったふりをしていても、熱がこもってくると、普通の会話になる。彼自身も全聾のふりをするのに、ずっと苦労したんだと思います。最近では、自宅で私と会う時は最初から普通の会話です」  米誌がつけた“現代のベートーベン”という言葉に踊らされ、日本人の多くが騙されていた感動物語は、思ってもみないエンディングを迎えてしまった。  しかし、これだから人生は面白のだ。昔、ロサンゼルスで妻を何者かに撃たれ、悲劇のヒーローになった三浦和義氏に「保険金詐欺の噂がある」と文春が連載し、大騒ぎになったことがあった。  感動秘話の裏にある、どす黒い真実を暴き出すのも週刊誌の役割である。そういう意味でも、日本中を驚かせた文春は見事である。  なぜ、文春にばかりスキャンダル情報が集まるのだろうか? ここでも何度か書いているが、AKB48のスキャンダルをはじめ、タブーに怖じ気づかず数々のスクープをものにしてきた文春だから、ネタを持っていけばやってくれるという「安心感」がネタ元にあるからだろう。  ほかの週刊誌では、「面白い話ですが、うちではコンプライアンスがうるさくて」とか、「あのプロダクションとはケンカできないので」とかいった「言い訳」で断ることが多いが、文春にはそうした断る理由が他誌よりはるかに少ないのだ。  この騒動が起きたとき、ネタ元は文春だとぴーんと来た。文春恐るべしである。 〈元木昌彦の眼〉 見事なスクープである。問題としては小保方晴子のSTAP細胞や小渕優子の政治資金規正法違反疑惑のほうが大きいが、話題性という意味ではダントツである。時代の寵児の仮面を剥ぐのは週刊誌の独壇場だが、中でも文春の情報収集力や取材力は抜きんでている。その文春が百田尚樹の件については、百田の弁明を載せただけというのはいただけない。林真理子も後でいっているように、百田からのいい分けではなく、文春編集長のいい分を聞きたかったというのは正論であろう。AKB48スキャンダルなどフライデーも書けないタブーを次々に打ち破ってきた文春なのだから、ぜひ作家タブーも破ってほしいものだ。

「たかじんのようには……」こちらは遺産問題も大丈夫!? 故・高倉健さんに“養女”報道

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「週刊文春」1/1・8号
今週の注目記事・第1位 「高倉健に養女がいた」(「週刊文春」1/1・8号) 第2位 「米倉涼子が同棲する会社社長」(「週刊文春」1/1・8号) 第3位 「電気ドリル『小渕優子』お咎めなしなら特捜部はいらない!」(「週刊新潮」1/1・8号) 第4位 「NHKお天気お姉さん“変態ダブル不倫”低気圧」(「週刊文春」1/1・8号)  文春はNHKの『ニュース7』の人気気象予報士・岡村真美子(30)と、TBS系の『ひるおび!』の気象予報士・佐藤大介(41)らとの「ダブル不倫騒動」を報じている。  岡村は国立音大卒業という経歴で、ピアニストとしても活躍しているという。  あどけない顔立ちで清純派と見られていたが、なかなかどうして「肉体的にも精神的にも男性に依存してしまう性格。『一日のうち八割はエッチなことを考えている』『一ヵ月以上、男と肌を合わせないとおかしくなる』」(古くからの知人)タイプだそうだ。  佐藤と岡村は気象予報会社「ウェザーマップ」で知り合ったという。意気投合した二人だが、あることで、岡村は気象庁関係者のA氏とも不倫関係になってしまう。  この関係はなかなか複雑だ。事情を知る人物によると、「彼女が言うには、佐藤さんは“寝取られフェチ”なんだそうです。好きな女が他人と性行為をしていることを想像して興奮するらしい。彼女は佐藤さんを興奮させるため、あえてAとの性行為の様子を佐藤さんに逐一報告していたんです」  A氏が岡村の携帯を見て、佐藤と岡村のツーショットがたくさん収められているのに驚き、怒って10月3日の夕刻、A氏が佐藤の自宅に押しかけ、そこに岡村も現れて警察沙汰になったというのである。  文春はこう結んでいる。 「クリスマスイブには初のフォトエッセイも出版した岡村。人気急上昇のお天気お姉さんも自分の周囲に発達した“変態低気圧”を予測することは出来なかった」  なかなかうまい。12月25日のスポニチアネックスは、岡村のその後の動向をこう伝えている。 「NHK『ニュース7』のお天気キャスター・岡村真美子(30)がTBS『ひるおび!』の気象予報士・佐藤大介氏(41)と、もう1人の別の男性と“ダブル不倫”をしていたと『週刊文春』に報じられた問題で、岡村キャスターと佐藤氏の2人が所属する『ウェザーマップ』は25日、NHKとTBSに出演辞退を申し出、了承されたことを明らかにした」  さて、12月20日の日刊ゲンダイがこう報じている。 「東京地検と小渕優子衆院議員の“全面対決”に突入するのか。小渕事務所のデタラメ政治資金問題で、特捜部が10月に政治資金規正法違反容疑で元秘書の折田謙一郎前中之条町長(66)宅や後援会事務所などを家宅捜査した際、会計書類を保存したパソコンのハードディスクが破壊されていたことが分かった。  壊された複数のハードディスクには、ドリルなどの工具で穴を開けた形跡が見つかったという。『パソコンのデータは画面上で消去しただけでは完全に消せません。簡単に復元できてしまう。しかし、物理的に壊すと復元は難しくなる。ドリルを使って入念に壊したということは、保存してあったデータを何が何でも処分したかったのでしょう』(ITジャーナリストの井上トシユキ氏)」  小渕は特捜部の強制捜査が入った当時「捜査に協力するように指示している」と説明していたが大ウソだった。新潮が「電動ドリル『小渕優子』お咎めなしなら特捜部はいらない!」と、特捜部を叱咤している。  あまりにも舐めたやり方に特捜部は怒り心頭だと、司法記者がこういっている。 「特捜部では、電磁的証拠を取り扱うデジタルフォレンジック(DF)班がデータの復元、解析を試みたものの、完全にお手上げの状態。現場の検事らは、捜査をあまりにコケにした行為に、軒並み憤っています」  しかしそうはいっても、小渕議員が起訴されるかどうかは微妙だという。岩井奉信日大法学部教授はこう話す。 「たとえ違法性は問えなくても、その政治資金には観劇以外にも多くの問題があるわけですから、道義的には議員辞職は免れません。もし不起訴となって辞職しないとなれば“ザル法である政治資金規正法のおかげで辞めずに済んだ”という議論が必ず出てきます。自民党も、所属議員の不祥事ですから法改正に動かざるを得ない。辞職の如何によらず、彼女には茨の道が待っていますよ」  司法ジャーナリストの鷲見一雄は検察の動きをこう予測する。 「今回のドリル事件は、ぬるま湯的な捜査のムードを一変させました。法秩序に対する許し難い蛮行であり、もし小渕議員を放置したり軽い処分で終わらせれば、検察への信頼は大いに揺らぎます。最近でも、徳洲会事件で徳田虎雄元代議士が健康状態を理由に不起訴になったり、その徳洲会から5000万円を受け取った猪瀬前都知事が略式起訴でうやむやになりました。国民には“なぜ検察は政治家に甘いのか”というストレスがたまってきています」  可愛い顔をして裏で悪事を働く女はいくらでもいる。小渕議員が指示してやらせたとすれば悪質この上ない証拠隠滅行為だが、検察は追及できるのか。はたまた大山鳴動してネズミ一匹も出てこないのか。地に堕ちつつある検察の正念場である。  米倉涼子といえば、ドラマ『ドクターX3』が平均視聴率22.9%、最終回は27.4%を記録するなど、2014年に放送されたドラマで第1位になった「視聴率女」だが、その彼女に「同棲する会社社長」がいると文春が報じている。  私が彼女をすごいと思ったのは、ブロードウエイミュージカル『CHICAGO』に出演したときだ。  米倉はオフで観た『CHICAGO』に感動し、いつ来るともしれないチャンスに賭けて英語の勉強を始め、ダンスレッスンをしてチャンスを待つが、なかなかOKは来ない。  それでもチャレンジし続け見事『CHICAGO』の主演を勝ち取るのだ。  恋多き女でもある。サッカー選手の中田浩二、市川海老蔵、岡本健一などと浮き名を流した。  いま同棲しているのは一般人だという。米倉の2歳下で、元リクルートの営業マンだったのが2年前に独立した。  酒好きで見た目は遊び人のように見えるが、考え方は堅実だとリクルート社員が話している。  彼は昨年6月に自宅住所を米倉が住むマンションに移しているそうだ。渦中の人物にインタビューしている。 「話す筋合いでもないし、話さないです。肯定でも否定でもなく」  と、多くを語らないが情報は正確なようだ。  来年40歳になる米倉は月収がゆうに1,000万円を超えるそうだが、文春が報じた翌日、米倉涼子が一般人の男性と結婚したと所属事務所が発表した。この記事が出たことが二人の背中を押したのであろう。  現代の児島美ゆきの告白に続いて文春は「高倉健に養女がいた!」というスクープを飛ばしている。  彼女はTさん。元女優で現在50歳になるという。健さんが正式に養子縁組をして彼女を養女にしたのは昨年5月。健さんは「長年世話になった人に財産を残したい」といって弁護士に相談したという。  遺書もある。葬儀は「戒名なし、葬式なし、散骨を希望する」というものだそうだ。Tさんは健さんの食事や洗濯、掃除など身の回りの世話をして、時には相談相手になるなど、健さんに影のように付き添っていた。 「彼女が健さんの“特別な存在”だったことは間違いない。健さんとTさんは年齢差が三十三歳あるが、妻であり、母であり、娘でもあったのかもしれない」と文春は書いている。  11月に再入院後、寝ている高倉の頬にTさんの涙がこぼれたとき、彼はこういった。 「どうして泣いているの? 僕は家に帰るんでしょう。おかしいよ、泣いたりしたら」  Tさんは「その会話の後、高倉は私の涙をそっと指で拭ってくれて、ひとこと『ありがとう』と。滅多に聞かれなかった言葉でした」と声を震わせたという。  文藝春秋に発表した高倉の手記も、Tさんが病室で口述筆記したものだった。  私も行ってみた、京都の行きつけの喫茶店「花の木」に掛かっていたジャン・ギャバンの白黒写真を寄贈したのは健さんだった。 「ジャン・ギャバンは亡くなられたとき、フランス海軍によって散骨が叶いました。『憧れるなぁ』という言葉が耳に残っております。  折に触れて、『人は必ず死ぬ。死なない人間はいないんだ』と話しておりました。病気になってからではなく、死後のことは、『Tに任せる。僕のこと、よく知ってるでしょ』と。責任を痛感しております」  Tさんという人を、健さんはとても信頼していたんだろう。なぜかホッとする。  健さんが可愛がった俳優・石倉三郎が結婚したとき、ペンダントが贈られてきたそうだが、そこに書かれていた健さんの言葉がいい。 「冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に耐え、競わず、争わず、もって大事をなすべし」Tさんなら、やしきたかじんのように遺産相続で揉めることはないだろう。 (文=元木昌彦)

『殉愛』大ピンチ!? 百田尚樹氏が“取材していない”たかじん周辺から新証言続々で……

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「週刊現代」1/3・10号
今週の注目記事 ・「女優・児島美ゆきが初告白『高倉健さんと暮らした300日』」(「週刊現代」1/3・10号) ・「2014『安倍総理の晩餐』名店&迷店ガイド」(「週刊新潮」12/25号) ・「『安倍の終わり』がはっきり見えた“爆弾低気圧”小泉進次郎の大渦」(「週刊ポスト」1/1・9号) ・「小泉進次郎が泣いた!安倍・石破との危険なトライアングル」(「週刊文春」12/25号) ・「国富の7割を握る韓国財閥の傲慢な日々」(「週刊新潮」12/25号) ・「ビートたけし『2014ヒンシュク大賞』決定!」(「週刊ポスト」1/1・9号) ・「百田尚樹氏の『殉愛』に続々新証言 たかじん氏が前妻に頼んだ『看取り』」(「週刊朝日」1/2・9号) ・「ペヤング“ゴキブリ騒動”告発学生24歳の仰天食生活」(「週刊文春」12/25号) ・「酒井法子 優美な瞳」(「週刊ポスト」1/1・9号)  いよいよ新年合併号の季節。ポストは450円、現代は430円。朝日は410円だが、お得感はない。昔を懐かしんでも仕方ないが、私の頃の新年合併号は150~160万部ぐらい出したものだが、今は文春でも100万部は刷らないだろう。  それにしても選挙疲れか、どれもこれも小粒な記事ばかりである。そう思っていたら今日発売の週刊現代が、高倉健と一緒に暮らしていた女優の告白を掲載した。  この内容は後で紹介するとして、お得感でいえばポストの「ポルノスター10人と行く官能の『湯けむり紀行』DVD48分」というのは、コタツに入ってミカンでも食べながら見るのにちょうどいいかもしれない。  現代、ポストはセクシーグラビアでも競っているが、現代の袋とじ「池上季実子のすべて」と「美しい女性器」は、やや迫力不足。  ポストの「酒井法子」が、なかなかいい。43歳だが、クスリ漬けだった身体は、まだまだおいしそうだ。目力も強く、こんな瞳で見つめられたらクラクラしてしまうかもしれない。年齢が醸し出す色香は、小娘には出せないものだ。2015年は、彼女のヘア・ヌード写真集をどこかで出さないかな。どうですか、「ヘアの商人」といわれた高須基仁さん。一肌脱いでみては。  ところで、「ペヤング」というやきそばはうまいらしく、私の息子もよく買って食べていた。そのペヤングの「ハーフ&ハーフ激辛やきそば」からゴキブリが出たというショッキングな写真がTwitterで流れると、あっという間にその画像が拡散して大騒動になった。  ペヤングの製造元のまるか食品は当初、「製造過程で混入する可能性は考えられない」と否定的だったが、当該の24歳の学生が、まるか食品との詳細なやりとりをツイートしたため、まるかは一転、全商品の生産と販売を休止すると発表せざるを得なくなった。  まるかはその商品の調査を外部の検査機関に依頼し、「混入していたのは体長約2センチのクロゴキブリで、加熱されていた」ことが判明したという。まるか食品は従業員170人ほどで、売上高は127億円だそうだが、数カ月の生産休止というのは痛いことであろう。  文春によれば、男子学生には代金4,599円が返金されたという。これは彼がペヤングファンで大量に買い込んでいたからだ。くだんの学生は都内の理系大学に通っていて、研究室に大量のペヤングを持ち込んで「ペヤング漬け」の食生活を送っていたという。現在、彼は卒論の実験で大変なところに、この騒動の心労によるストレスで相当参っているそうだ。  だいぶ昔になるが、板橋のあるそば屋に友人と一緒に入って、私はもりそば、彼はたぬきそばを注文した。出てきたたぬきをうまそうに食べて汁を飲み込んだら、どんぶりの底にゴキブリがへばりついているのを発見してしまった。以来その友人は、そば屋で種ものが食べられなくなってしまった。ペヤングファンは、もう一度戻ってくるのだろうか?  やしきたかじんの遺産をめぐるゴタゴタはいささか食傷気味だが、もう少しお付き合いいただきたい。  先週の女性自身もやっていたが、たかじんが1993年に結婚して02年に離婚した2度目の奥さんについて、百田尚樹の『殉愛』(幻冬舎)では、たかじんが「(相手が)ヨリを戻したいと言うてきた」が、彼が復縁なんかありえへんとはっきり言ったという箇所がある。  だが、百田はこの前妻を一度も取材しておらず、親族の一人は「事実と異なる」と訴えている。 「話は逆で、たかじんさんのほうから前妻に『やり直してほしい』と何度も言ってきていた。食道がんとわかってからより熱心になりましたが、その頃、前妻はすでに再婚。それでも『僕が死ぬまでだけでも一緒にいてくれ。今の夫と籍抜いてくれ。財産はお前に全部やりたい』と、私もたかじんさんに『あいつしか看取ってくれる人はおらん。なんとかしてくれ』と説得を頼まれた。13年8月頃までそういう連絡があったが、前妻には新しい家庭もあり、断ったんです」  13年8月といえば、たかじんはがんの再発後で、同10月にさくら氏と結婚して、3カ月後に亡くなっている。  また、維新の会の衆議院議員で、たかじんのホームドクターのような存在だったという伊東信久氏は、さくら側がたかじんと実の娘は不仲だったと言っていることに対して、たかじんは娘のことをとても気にかけ心配していたと話している。  たかじんの弟子、打越元久氏もこう証言している。 「長女は00年頃から数年間、中国・上海で暮らしていたのですが、たかじん氏が心配して上海の家まで様子を見に行ったことがありました。『娘を連れ戻そうと思っていたが、中国語がめちゃめちゃうまくなっていたので感心し、頑張れよ、と言い、帰ってきた』と話していました」  次々に、『殉愛』に書かれたこととは食い違う証言が出てくる。さくら側の言い分だけで書かれた、「愛を知らなかった男が、本当の愛を知る物語である。『永遠の0』『海賊とよばれた男』の百田尚樹が、故人の遺志を継いで記す、かつてない純愛ノンフィクション」は、今厳しい批判に晒されている。  お次は、ポスト恒例のたけしの「ヒンシュク大賞」。今年もSTAP細胞や佐村河内守騒動、号泣県議など、ヒンシュクには事欠かない。  まずは、文春に49歳女性と不倫、100億円払って離婚かと書かれたたけしの自虐ネタからと思ったら、編集部側がパス。やはりまずいと思ったのであろう。  他人になりすまして脅迫メールを送った「パソコン遠隔操作事件」の片山祐輔被告については、 「たいした知能犯かと思いきや、やっぱりあの顔じゃムリだったな(笑)。最後にマヌケがバレちゃったよ。捜査員に見張られてることぐらい小学生だってわかるだろって」  号泣野々村竜太郎県議には、 「大泣き会見は今見ても笑っちゃう。芸人を超えたね。最近の若手は凝った笑いを狙うヤツが多いけど、こういうわかりやすい笑いが実は一番強いんだよ」  大韓航空機の会長令嬢が、ファーストクラスなのにナッツが袋のまま出されたことに激怒して出発を遅らせた問題については、 「この事件、『ナッツ・リターン』って呼ばれてるんだろ? オイラの映画『キッズ・リターン』の丸パクリじゃないか。使用料払えっての」  「現代のベートーベン」佐村河内騒動については、 「“今度は自分で書きました”って新曲でも出したら話題になるのに。交響曲『HIROSHIMA』ならぬ『YOKOSHIMA』なんちゃってさ。儲かるぞ~」  錦織圭の大活躍で、それにあやかって売れっ子の松岡修造が出した日めくりカレンダー『まいにち、修造!』が売れていることについては、 「それならオイラも出してやろうか。『芸人格言カレンダー』なんちゃってさ。“オネエチャンと遊んだっていいじゃない、スケベだもの たけし”“家にカネ入れなくてもいいじゃない、芸人だもの たけし”とか」  最後に登場したSTAP細胞の小保方晴子については、 「真打ち登場か。だけど、佐村河内や野々村と違って、なんだかこの人のことを笑いにくくなっちゃったんだよな~。実際に人生狂わされちゃった人もいるしね。あの“STAP細胞はありま~す!”って会見の時のオネエチャンの目を見てると、なんだか“新興宗教にハマった人”みたいに思えてくるんだよな」  最後に、2014年のグランプリは佐村河内と野々村の両巨匠に決定! 「この2人はヒンシュク界の風神・雷神、ウソつき界の竜虎と呼ぶにふさわしいよ。2人のコンビで来年の『THE MANZAI』に出てきてくれないかな~。文句なしの優勝候補だぞ」  昔「ひんしゅくは買ってでもうんぬん」というキャッチで文庫を売り出した出版社があったな。あそこだな、『殉愛』を出したのは。これって来年のヒンシュク大賞候補?  たけしも取り上げていた「ナッツ・リターン事件」は12月5日に起きた。大韓航空の趙顕嫉・副社長(40)が、ニューヨークから韓国・仁川に向かう自社機内で、マカダミアナッツ提供をめぐる客室乗務員の接客サービスに対して激高。離陸寸前だった旅客機を搭乗口に引き返させ、機内サービスの責任者である男性事務長を降ろした「ナッツ・リターン事件」について、新潮は「韓国財閥ではそんなことは日常茶飯事」だとレポートしている。  大韓航空をはじめ、韓進海運や韓進交通など、物流を中心に、観光・ホテル部門やIT部門まで幅広く事業展開する巨大コングロマリット「韓進グループ」は、韓国の資産上位10大財閥の一つに数えられ、年間売上高は約25兆ウォン(日本円換算で約2兆7,000億円)にも上る。  ここの長男・趙源泰も今回問題を起こした姉同様、何かと問題の多い人物らしい。 「2005年、彼が高級乗用車でソウル市内をドライブしていた時のこと。遠世大学校の正門前付近で車の割り込みをした。割り込まれた方の運転手は驚いて急ブレーキを踏み、はずみで助手席の妻が窓ガラスに頭を打ちつけたという」(新潮)  割り込まれた車から母親が出てきて、趙の運転の乱暴なことをなじった。すると趙は激怒して、あろうことか老女の胸を両手で突き、車道に押し倒してしまったという。  彼女は後頭部を地面に打ちつけて入院する事態になり、警察も駆けつけた。  日本でも馴染みのあるロッテでは、副会長の長男が問題児だそうだ。94年、海外留学から一時帰国した際、友人らと飲酒運転をした。その時、自分たちの前に割り込んだ軽自動車の運転手に「軽自動車のくせになまいきだ」と因縁をつけ、頭に瓦を叩きつけるなどして暴力をふるったという。さらに、97年にも大麻使用で起訴されている。  韓国財閥で2位の地位にある自動車メーカーの現代グループでは、麻薬スキャンダルが目立つそうだ。これまでも創業者の孫3人が大麻喫煙で起訴されており、その中には22歳の女子大生もいた。  建設・金融大手の韓火グループでは、金升淵会長の次男が11年、車で接触事故を起こした後、現場から逃走して700万ウォンの罰金を科せられた。  韓国経済を牽引する最大財閥であるサムスン電子グループでも、家族絡みの不祥事が社会からの非難を招いたことがあるそうだ。トップの李健煕会長の長男、在鎔副会長が将来の後継者と目されているそうだ。その在鎔副会長の長男は超エリート私立中学に通っていたが、昨年、これが裏口入学だったという疑惑が浮上した。結局、長男は自主退学に追い込まれ、アメリカに留学したという。  なぜこのように、韓国財閥には不祥事が多いのか? 元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏がこう解説する。 「韓国の財閥系企業は、政府からの“特恵”を受けてのし上がってきた会社ばかり。現場の苦労を知らないので、株式を公開し、有名企業の仲間入りを果たした今も、一族は従業員に対し、絶対王政を敷くような高慢な態度が取れるわけです」  日本の大企業グループの「御曹司」にも同じような輩が多いと思うが、メディアが弱いのか、日本人が忘れっぽいのか、すぐにそうした話は消えてしまうが、韓国は「恨(はん)の国」だから、国民がなかなか忘れてくれないのだろう。ナッツ・リターン事件はまだまだ尾を引きそうである。  さて先週も触れたが、自民党の大勝で当分の間、総選挙はなさそうだ。一部には安倍首相が憲法改正をやりたいから、2016年7月の衆参同日選挙を仕掛けてくるとの見方もあるが、それはないと私は思う。  なぜなら、自民党内で安倍首相の強引なやり方に批判が出始めているからである。来年9月の総裁選で安倍首相がすんなり選ばれるかどうか、予断を許さない。  その筆頭が、若手のホープ小泉進次郎だとポストも書いている。  ポストは自民党が勝利はしたが、それは多くが棄権したからで、支持した数はわずかであると難じている。 「自民党の小選挙区の総得票は約2546万票だったが、選挙協力した公明党の基礎票(比例代表の731万票)を差し引くと1815万票にとどまる。自民党の比例得票(1766万票)とほぼ一致し、これが本当の『自民党票』と見ていい。全有権者のわずか18%だ」  沈黙した多くの有権者は、安倍政権のやり方をじっと見ている。そして、これ以上安倍首相が勝手放題やるなら、進次郎が党内から動き出すというのだ。  総選挙後も「消費税を上げる2年半後までに経済を立て直さなければすべて自民党の責任。それを考えれば笑っている場合ではない」と苦言を呈している。呈している相手は安倍首相に決まっている。  選挙中も、安倍首相に対して厳しい発言を多くしている。 「アベノミクスの先を考えなければいけない。人口減でも活力と豊かさを引き継げる国づくりには、どの国もやったことがない成長モデルが必要だ。社会保障も若者にツケを遺さないようにしなければいけない」  アベノミクスなどはじめから「幻想」だと、ポストは切って捨てる。  被災復興担当政務次官の進次郎は、中央公論14年7月号でこう語っている。 「戦後と『災後』の最大の違いは、人口増加・経済成長を前提にできるか否か。それができない中で日本がこれからも繁栄を築いていこうとしたら、国全体のモデルチェンジが避けられません」  かつての成功体験を前提とするアベノミクスでは日本は立て直せないと断じたい言い方であると、ポストは書く。  民主党は海江田代表が落選し、1月に代表選挙が行われる。もしここで細野豪志が勝てば、進次郎対細野という次の世代の対立軸ができ、旧世代の安倍の政治が終わるとポストはいうのである。  そうことが簡単に進むとは思われないが、進次郎への期待が大きいことはわかる。だが、まだ33歳である。あと10年は、雑巾がけが必要ではないのか。  文春で進次郎の追っかけ記者の常井健一が、進次郎のこんな地元での演説を記している。 「5年間の議員生活の中で、私に決定的に足りないのは余裕とゆとりです。余裕綽々だった日は一度として、ない。よくここまで耐えた、なんとかやってきたというのが率直な本音なんです。勉強不足な面もまだまだあるし、駆け出しの三十三歳だし、人生経験が足りない」  本人はそのことをわかっている。そこが、ほかの七光り議員と違うところである。またこうも言っている 「これからまた私に対して批判が吹き荒れることがあるでしょう。全国行っても多くの皆さんが温かく歓迎してくれる、メディアも好意的に報道することを、妙に冷めて見ています。褒めた後は粗探しが始まり、叩き落とされるものだから」  安倍首相の周辺では、進次郎に対する冷たい空気が漂うという。 「どうせ石破(茂)さんの子分でしょ。安倍さんのことは嫌いだと思うよ」(安倍首相の側近)  それに、父親・純一郎は脱原発派。真っ向から、安倍の原発政策を批判している。こうした厳しい環境が進次郎の人間性を磨いていくとしたら、10年後には天下取りをしているかもしれない。  私が親しくお付き合いしてきた河野洋平が田川誠一、西岡武夫、山口敏夫、小林正巳、有田一寿と自民党を離党、新自由クラブを結成し党首に就任したのが1976年、河野39歳の時だった。  進次郎は、江戸中期の歌舞伎役者である仲村仲蔵をロールモデルとするそうだ。梨園の外から入り、先輩たちに疎まれたが、不屈の精神で芸を磨き研鑽を重ね、端役から人気役者にのし上がった大名跡で、落語にもなっている。  若いにしては渋い好みだが、そこがこの男のいいところである。安倍首相の危険なやり方をチェックできるのは、アメリカか天皇、それに小泉進次郎しかいないのかもしれない。期待大である。  一方の安倍首相はそんなことは意に介さず、毎晩美食に明け暮れていると週刊新潮が皮肉っている。  安倍首相の好物は焼肉らしいが、人と会うときはそれなりの店を選ぶらしい。平河町にある「下関春帆楼」では、毎日新聞の朝比奈豊社長や共同通信の福山正喜社長と卓を囲んでいる。夜のコースは8,000円から。これは安倍の政治資金管理団体「普和会」の報告書から見つけ出したそうだが、払いは安倍首相?  芝浦にある「牡丹」は新鮮な魚を出す老舗だそうだが、「それほど美味しい料理を出せるはずがありません。総理が行くような店ではないと思います」(料理評論家の友里征耶氏)と手厳しい指摘もある。  銀座の中華料理店「飛雁閣」では川崎隆生西日本新聞社長と食事をしているが、ここは絶品だが、干し鮑のステーキが含まれる最上級のフルコースが12万円だという。  安倍首相と麻生財務相が行ったのが、帝国ホテル内にあるフレンチ「レ セゾン」。芝公園の「クレッセント」も行くらしい。  このところはイタリアンもよく使う。赤坂の「パスタテーブル イルカシータ」はカジュアルな店だが、政治家が使う店としてはどうかという評価がある。 「キャンティ飯倉片町本店」でも政治家たちと会食している。古くからあるイタリアン風洋食屋だが、夜のコースは1万5,000円からだ。  浅草の鳥料理専門店「野鳥 鷹匠 壽」と銀座のステーキ「かわむら」は最上の店といわれるそうだが、ステーキ屋のほうは一人5万円以上だというから庶民の行ける店ではない。  このメニューを見る限り、持病の悪化はないようだが、この病はストレスがたまると再発するらしい。来年も美食三昧できるか、入院して流動食になるかはアベノミクス如何にかかっている。私は流動食のほうになると思うのだが。  女優・児島美ゆきが高倉健と交際していた日々を告白している週刊現代を、MAISON TROISGROSのインスタントコーヒーを飲みながら読み始めた。 「男女の仲になったデートの日の別れ際、彼が、『これからは僕のことを剛ちゃんと呼んでください。本名は小田剛一ですから』と言ったんです。二人の仲を縮めたかったのか、それとも『俳優・高倉健』ではなく、一人の男として私と付き合いたかったのか、それはわかりません」  とうとう出てきたという気持ちと、なぜ児島なんだという気持ちがない交ぜになる。健さんだったら、大原麗子か吉永小百合との「忍ぶ恋」が似合うのに……。  そういえば、歌手の石野真子を熱心に口説き落としたと書いた週刊誌もあった。女性の好みは人それぞれ。健さんはこういうタイプが好きなのかもしれない。  当時、健さん52歳、児島31歳。児島がテレビドラマ『北の国から』で富良野のスナックのホステスを演じたのを健さんが見て、田中邦衛を介して「会いたい」と伝えてきたという。日に何度も電話があり、「うちにコーヒーを飲みに来ませんか」と誘われ、彼のマンションへ行く。結ばれたのは2度目に訪れたとき。 「寝室の大きなダブルベッドで。彼は体は筋骨隆々でしたが、やさしい人でした」(児島)  彼女は彼のためにステーキや生姜焼き、肉じゃがなどを作る。黙々と食べる健さん。終わると、いつの間にか食器を洗ってくれていた。 「とにかく、時間のあるときには、映画を観るか(マンションに小さな映写室があった=筆者注)、腹筋や腕立て伏せをしているか、あとは洋服の整理(笑)。セータを畳んだり、シャツなどを並べたり、整理整頓が趣味のような人でした」(同)  健さんは警察無線や消防無線を聞くのが好きだったという。児島が茶目っ気たっぷりにヌードダンサーの真似をすると、顔をほころばせ手を叩いて子どもみたいに喜んだそうだ。 「ある日、彼に膝枕をしてあげたら、彼はふいに、『幸せだなぁ。こんなに幸せでいいのかなぁ……』驚いて彼の顔を見ると、目に涙まで浮かべていたんです。膝枕ぐらいで泣くなんて、と驚くと同時に、『普通の幸せを、こんなに恋しいほど求めている人なんだ』と、私まで切なくなって……」(同)  スーパーへ一緒に行って、児島が買い物袋を抱えてクルマまで戻ってくると、こう言ったそうだ。 「剛ちゃんはこういうことがしたかったんだ」  それほどまでに彼の生活は孤独で、ストイックだったと児島は話している。  そんな生活が300日続いた。だが2人のことが芸能誌で報じられ、健さんから「しばらく会えない」と言われ、世間体が大事で私を捨てたと怒った児島は、彼のもとから去る。そして30年がたち、「あなたの気持ちをわかってあげられなかった」という詫び状を送った直後、高倉健の悲報が届く。  児島は「人間・小田剛一も、本当に優しく、温かい人だったことを知ってほしい。面白くて気取らず、人間くさい、愛すべき人でした」と語る。  こうした健さんとの思い出を持つ女性はほかにもいるはずだから、名乗り出てほしい。人間・高倉健をもっともっと知りたくなってきた。 【追記】私がプロデュースしたノンフィクション作家・佐野眞一氏の『ノンフィクションは死なない』(イースト新書)が発売されました。週刊朝日で始めた橋下徹大阪市長についてのノンフィクションが第一回で打ち切りになって以来、沈黙を守っていた佐野氏が、その間にもう一度ノンフィクションについてじっくり考え、どういう結論に達したのか。ぜひ読んで下さい。

「魂の限界」で理研を辞めた小保方晴子氏、実は元気だった!? Gカップ写真集出版オファーも

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 上半期の話題をさらった理化学研究所・小保方晴子氏の“STAP問題”が決着した。  理研は19日、都内で会見を行い、小保方氏が9月から行っていた再現実験に失敗。今月21日付で退職することを明らかにした。  これを受け、小保方氏は書面で一連の騒動を詫びた上で「どのような状況下であっても必ず十分な結果をと思い必死に過ごした3か月でした。予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかった事などが悔やまれますが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、このような結果に留まってしまったことに大変困惑しております」とコメント。文面からは、小保方氏が肉体的にも精神的にも衰弱した様子がうかがえる。  だが同日、フジテレビはここ1~2カ月以内に撮影された小保方の近影を放送。そこには、胸元まであった髪の毛をバッサリ切り、マスクで変装しながらも、普通に外出する彼女の姿が映っていた。 「ご丁寧にフジは『落ち込んでいる様子は感じられなかった』と補足している。彼女も今回の結末は予想していて、退職は以前から決めていたようだ。残念な気持ちよりも、今は理研を離れることで世間の反発が薄まることを期待している」(テレビ関係者)  再び科学の第一線で活躍することは不可能だが、一連の騒動で小保方氏の名前は誰もが知るところとなった。出版関係者によれば「彼女のもとには、理研内部の実態を記した暴露本や写真集のオファーが殺到しているそうです。彼女のバストは、推定Gカップともいわれる。ヌード写真集なら、ギャラは5,000万円はくだらないでしょう」という。  今回STAP問題が一応の決着を見たことで、出版各社の“小保方争奪戦”の火ぶたが切って落とされたようだ。

薄給の現役CAが社内で売春サークル?「顧客はパイロットで、1回5~8万円」

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週刊文春」12/18号 中吊広告より
今週の注目記事 第1位 「進次郎の乱」(「週刊文春」12/18号) 第2位 「高倉健『秘録』」(「週刊文春」12/18号) 第3位 「現役CAたちが赤裸々告白」(「週刊ポスト」12/26号) 第4位 「『ミシュランガイド』は本当にありがたいか?」(「週刊新潮」12/18号) 【大論争】 「やしきたかじん」の妻をめぐる報道合戦 真実はどっちだ! 「故やしきたかじん『遺族と関係者』泥沼の真相」(「週刊新潮」12/18号) 「『林真理子さんの疑問にお答えします』百田尚樹」(「週刊文春」12/18号) 「百田尚樹さん、なぜ、私に取材しなかったのか」(「週刊朝日」12/19号) 「袋とじ 家鋪さくら独占手記『重婚疑惑』『直筆メモ捏造疑惑』すべてに答えます」(「フライデー」12/26号) 「書かれなかった『殉愛』妻(33)の裏面」(「女性自身」12/30号)  先週、林真理子が文春で、やしきたかじんの闘病生活をつづったノンフィクション『殉愛』(幻冬舎)にまつわる「騒動」を、どこも報じないのはおかしいと書いた。  その“剣幕”に驚いたのであろう、文春は著者である百田尚樹に弁明させ、新潮は5ページも割いて「『遺族と関係者』の泥沼の真相」と題した特集を組んでいる。週刊朝日は、たかじんの最初の妻との間にできた一人娘、H子さん(41)のインタビューを掲載。  重婚、たかじんのメモの筆跡、カネ目当ての結婚ではないのかという「疑惑」は一掃されたのか。娘と妻の言言い分はどちらが正しいのか、読み比べてみた。  百田は文春で、重婚の事実はないと言っている。さくらはイタリア人と結婚していたが、2012年の3月に離婚し、たかじんと入籍したのは13年10月。これは、戸籍を見て確認しているという。ちなみにたかじんが亡くなったのは、入籍からわずか4カ月足らずである。  彼女には離婚歴があるが、彼女の過去を問題にして「悪女」にしようという世間の悪意は理解できない。たかじんの最後の2年間を献身的に支えたのは、紛れもない事実だと突っぱねる。  だが、後述するように遺産をめぐって不可解なことが起きているため、「もちろん人の心の奥底に何が潜んでいるか、見えないところはあるでしょう。しかし私は、自分の目に曇りがあったとはとても思えないのです」と、予防線を張った結び方をしている。  新潮では、メモの疑惑は「あるサイト」(どこかは書いていない)の求めに応じた日本筆跡鑑定協会指定鑑定人の藤田晃一氏が鑑定した結果、「あのメモはたかじん氏の真筆」だという。  問題を複雑にしているのは、百田が本でも書いている、たかじんとさくらさん対H子さんのこじれた関係である。  さくらさん側は、たかじんは娘を嫌っており、彼が食道ガンだとマスコミで報じられたとき、H子さんから「なんや食道ガンかいな。自業自得やな」というメールが来て、たかじんが激怒したことや、見舞いに一度も来なかったことを挙げて、娘の不実を言い募っている。  H子さんは朝日で、離れて暮らしてはいたが、クリスマスにはプレゼントを買ってもらったり、大人になってからも年に1~2回は会っていて、決して仲の悪い親子ではなかったと反論している。  また、たかじんを偲ぶ会でさくらさんが挨拶した際、H子さんが大きな声で野次を飛ばしていたと本で書かれたが、そんな声は出していないと言っている。H子さんの弁護団は、その会の進行を記録した録音を確認したが、野次は聞き取れなかったとしている。  両者の言い分はまったく違っているが、ここで私が疑問に思うのは、百田はノンフィクションと銘打っているのに、H子さんに一度も取材をしていないことである。看護の話だから、数メートル四方だけのことさえ分かればいいというのかもしれないが、たかじんは女性関係も含めて、極めて複雑な人生を抱え、死と向き合っていたはずである。  そうしたノンフィクションを書く場合、最終的には取り上げないかもしれないが、たかじんの唯一の娘の話は聞いておくのが常道である。百田の得意な「ノンフィクション・ノベル」という不思議なジャンルのものを書くなら、そうしたことは必要ないのかもしれないが。  さくらと実娘の間で一番こじれているのは、たかじんの遺産をめぐる問題で、遺産は総額で8億円ともいわれているそうである。遺言には「6億円程度を大阪市などに寄付し、娘H子には相続させない」と書かれているという。  そのほかにも金庫に2億8,000万円のおカネがあったというが、そのうち1億8,000万円は、さくらさんがたかじんと「業務契約を交わしていて、毎月一定額の支払いを受ける約束になっていた」から、彼女のものだと主張している。  夫婦なのに業務委託契約を結んでいた? 仕事内容は「セクレタリー業務」となっていると新潮は書いている。そのほかにもさくらさんは、元マネジャーに対して使途不明金の返還請求訴訟を起こすこと考えているそうだ。  失礼だが、こうしたことが事実なら、このさくらという人物、カネに恬淡とした女性ではないようである。  朝日は「Hさんに取材せずに作品を世に出したことに問題はなかったのか。幻冬舎と百田氏に見解を尋ねたが、『現在係争中であり一切の回答を差し控えさせていただきます』」と書いている。  ちなみにH子さん側の弁護士は、私と旧知の講談社の顧問もやっている人間である。  フライデーにはさくらの「告白手記」とたかじんの「遺言書」が、ご丁寧に袋とじになって載っている。  売りは丸ごとさくら側の言い分と、遺言書にある「全ての現金は・家鋪さくらに相続させる。遺言者は、子である家鋪(旧姓)(実名)には、遺言者の財産を相続させない」と書かれてある部分であろう。  文春は百田尚樹の弁明。新潮はさくら寄りの記事の作り方。フライデーは100%さくら側。娘の言い分をそのまま載せているのは、週刊朝日だけ。これを見るとメディアに対する百田の「圧力」が強いことがよくわかるが、ここに女性自身が参戦した。 「これまで本誌は3年近くにわたり、たかじんさんの親族へ取材を重ねてきた。そこで彼らが語っていたのは、ぶっきらぼうながらも親族への愛情を忘れない彼の姿があった」  H子さん側に、頼もしい助っ人が現れた。  女性自身は、さくらさんがたかじんと出会った当初、彼女は彼を知らなかったと証言しているところを衝いている。  彼女は兵庫県明石市に育ち、地元の商業高校を卒業している。彼女の同級生がこう語る。 「彼女は幼い頃から明石に住んでいましたよ。たかじんさんは、当時からかなりの人気者でしたから、この辺で彼を知らないのは、東京でタモリさんや北野武さんを知らないと言っているようなものです。ありえないでしょう?」  重婚疑惑についても、こう指摘する。 「さくら氏は12年3月に日本国内での離婚が成立したと疑惑を否定。だが、行政書士の荒木康宏氏はこう語る。『原則的に国際結婚や離婚は双方の国で書類を提出しなければなりません。イタリアで離婚届を提出していた場合、離婚するにはまず別居の申し立てが必要です。そこから3年後を待って裁判所へ申請をし、離婚が成立するのです』さくら氏は『離婚に向けての話し合いを始めたのは’11年5月』と語っている。イタリアで結婚届を提出していれば、離婚が成立するのは、どんなに早くても’14年5月以降となる。日本国内で重婚とはならないため違法性はないが、彼女が主張するように“正統な結婚・離婚だった”と言えるのだろうか」 と、疑問を呈している。  たかじんが2度目の結婚&離婚した女性がいる。本の中ではたかじんが「彼女がヨリを戻したいと言ってきているが、その気はない」といい、彼女が葬儀でさくらに「グロイよ」と言ったと書かれている。彼女の親族は憤りを隠さず、こう語っている。 「本が出て、すぐ彼女から怒りのメールが来ました。『そんなことは絶対に言っていない』と言っていました。それに、ヨリを戻したいと言っていたのは逆。たかじんさんは彼女にずっとラブコールを送っていましたから。彼女は別の男性と結婚しています。それでもたかじんさんは諦めきれず、私にも『なんとか(前妻との)仲を取り持ってほしい』と言ってきたんです」  女性自身も、前の妻へのたかじんさんの思いについては、生前の彼を知る複数の人が同様の証言をしていると書いている。闘病中もたかじんから連絡があって、細かく検査の数値や治療法などを知らせてきて、何度も復縁したいと伝え、ついには彼女に最期を看取ってほしいとも言っていたそうだ。  最期の頃にはたかじんからの連絡は途絶えたが、それはさくらがたかじんの携帯に登録されていた彼女の電話番号を変えてしまっていたからだと分かったという。  H子さんはこう話す。 「さくらさんに、父との間を取り持ってもらいたかった、とは思いません。ただ、もし彼女が本当に父を愛していたならば、たとえ父が何と言おうと、最期は家族と会わせようとするのではないでしょうか。そして父が亡くなったら、その家族をおとしめるような本などは決して書かせないと思います」  彼女が提訴したのは、百田が『殉愛』に書いた自分に対する記述が「プライバシー侵害と名誉毀損に当たる」ということである。  この著者は、02年に最高裁判所が柳美里著『石に泳ぐ魚』(新潮社)について、モデルとされた原告の主張通り「この小説はモデルの女性のプライバシーを侵害している」と認定し、出版差止めと慰謝料の支払いを命じたことを知らないわけではあるまい。この場合、モデルの女性には事前に書くことを伝えてあったはずだ。  ましてや、この本はノンフィクションである。にもかかわらず、実娘側の取材や了解を取っていないのだから、個人的には、この裁判は百田側に厳しいものになると思う。  そこのところを出版社系週刊誌はどう考えているのだろうか。見解を聞かせてほしいものだ。  わたしは東京に住んでいるから、「やしきたかじん」という人がどれほどの人気があるのか分からない。本音でズバズバものをいうキャラクターでカリスマだったらしいが、もし生きていたら、この騒動に対してなんと言うのであろうか?  ここまで騒動が広がったのも、作家がものを書くときに欠いてはならない関係者への「配慮」を怠ったことからである。  百田の『永遠のゼロ』や『海賊とよばれた男』を出している講談社の週刊現代はこの話題について、今週も触れていない。よほど百田が怖いのか。  後藤正治が朝日新聞の「天声人語」を書いた希代の名文家、深代惇郎について書いた好ノンフィクション『天人』(講談社)の後書きに「文品(ぶんぴん)」という言葉が出てくる。深代の文章には文品があった。百田という物書きにこれを求めるのは、ない物ねだりであろう。  お次は新潮。このほど出された『ミシュランガイド』東京版は、「本当にありがたいか」と突っ込みを入れている。  今回話題になっているのは、ラーメン屋が22店も収録されたことだ。立川談志は「ラーメン屋なんてまともな料理ができないヤツがやるもの」と切って捨てた。私はそこまで言わないが、ラーメン屋を入れたり、08年版は150店だったのが今年は226店にもなり、5,000円以下で食べられる店を入れると551店ものバブルとしか言いようのないミシュランの編集方針には首を傾げざるを得ない。  判断基準が明確でないという批判は前からあるが、あまりにも大衆迎合であり、どじょう料理の名店『飯田屋』を「池波正太郎が愛したという『どぜう汁』もおすすめ」とあるが、「飯田屋といえば、本来は永井荷風が連想されて然るべきです」(ある好事家)と指摘しているように「勉強不足」も目立つようだ。  私は三つ星レストランとは無縁な食生活を送っているからミシュランなどどうでもいいが、居酒屋情報は比較的まめに集めている。  こちらも、なかなかいい店に出会うのは難しい。居酒屋評論家なるものを自認している某氏が京都で勧めていた、中京区にある「H」という店に先日行ってみた。漬け物と肉がうまいという。確かにぬか漬けの盛り合わせは450円でなかなかだったが、豚やホヤの塩辛、なまこなどを頼んでみたが、居酒屋にしては量が少なすぎる。キャベツのなんとか炒めなら腹の足しになるであろうと頼んだが、これまた小皿にほんの少しで500円。  おまけに焼酎のお湯割りも、料亭並みの少なさ。白ワインのグラスを頼んだら、まずいのなんの。仕方ないのでそこを出てラーメン屋に飛び込み、餃子とラーメンとビールを頼んで一息ついたが、あんな店には二度と行かない。  この評論家氏のおすすめの店にはいくつか行ってみたが、確かに料理のうまい店もあるが、値段が高い。これでは居酒屋ではなく、割烹ではないか。高くてうまい店なら教えてもらう必要はない。安くてうまくて居心地のいい居酒屋など、こうした評論をしている人間には探せないのだろう。困ったものだ。  スッチーが高嶺の花だった時代は、確実に終わりを告げている。昔のデパートガールと同じ道をたどりそうである。古いね~。  ポストによると、CA(キャビンアテンダント)が高給取りで、30歳で年収1,000万円といわれていたのは20年以上も前の話。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、04年の25~29歳のCAの平均年収は約498万円だったが、13年は約391万円。10年間で100万円以上も減少したそうだ。  そのためばかりではないだろうが、身体を張ってアルバイトをするCAがたくさんいるのだそうだ。深田恭子似の30歳のCAはこう告白している。 「私なんてまだおとなしいほうですよ。羽田空港には巨大なCAのロッカールームがあるんですが、みんなでバイトの結果を報告し合っています。この前、大きな声で“3日もステイしたのに2人だけ。6万円しか稼げなかった”とかこぼしていた子がいました」  CAの給料の低下は、08年のリーマンショック以降に加速した。同じ彼女が続ける。 「07年入社のCAが数年前、稼ぎたいCAを集めて“売春サークル”を作っていたと社内で噂になっていました。顧客はパイロットで、彼女に電話を1本入れれば、ヤレるCAを紹介してもらえるんです。女衒役ですよね。1回5~8万円ぐらいだったと聞いています。ただ、少し前に幹部の耳に噂が入ったことがきっかけで、その女性は辞めちゃったようです。それでも、サークルにいたCAは今も社内に残っているので、そういうバイトが今も続いているんです」  現役CAの在籍を謳うデリヘルもあるという。別のCAがこう語る。 「女の子に、CAの専門用語や立ち居振る舞いなどを教えるバイトを先輩に紹介してもらったのがきっかけでした。もちろん自分が働くつもりなんてまったくなかった。でも、お店のイケメンマネージャーに“会員制の高級デリヘルを紹介する。キミは本物だし若いから90分6万円でも使命が付く”と言われて……。今しかできないことだから、お休みのときだけ出勤しています」  そうした状況を、会社が知らないわけではないという。国内大手航空会社の人事関係者の話だ。 「CAとパイロットの交際や浮気、ステイ先での情事などが多数報告されており、問題視されています。特にステイ先でパイロットを誘惑するCAを『ピンクCA』と呼び、彼女たちの名前をリスト化した『ピンクファイル』も作成されています。今やネットの掲示板にCAの性生活が暴露されるケースもある。会社として、彼女たちの業務外の行動にも注意しなくてはいけなくなった。フライト前に“あの子はピンクちゃんだから、気をつけてください”とキャプテンに忠告するケースも実際にあります」  スッチーがCAと名前を変えたのが凋落の始まりだと、私は思っているのだが。  さて、文春で鷲田康が「ファンの多くは映画の中の高倉さんの姿を見て、日本人としてのあるべき姿を学んだのではないでしょうか」という長嶋茂雄の言葉を紹介しているが、高倉健は「昭和の男」の最も良質な面を我々に遺していってくれたと思う。  月刊の文藝春秋が「病床で綴った最後の手記」を載せている。期待して読んでみた。短いものである。  健さんらしく諸行無常で始まり「僕が最初にそれを味わったのは、終戦、あの八月十五日」だったと書き出す。  大学を卒業して東映のマキノ光雄に見出されたが、演技ができず見学してろといわれ屈辱を味わう。昭和残侠伝などでスターの座に駆け上がるが、同じような筋立てで精神的にも肉体的にも追い詰められ、撮影所を抜け出して数十日間の孤独なストライキをした思い出や、大阿闍梨酒井雄哉氏との出会いと親交、映画『八甲田山』の厳しかった撮影現場について書き進めている。  死の4日前に書き上げて編集部に送ってきたそうだが、読む限り、死が迫っているという切迫感や悲壮感は感じられない。『八甲田山』の監督・森谷司郎がロケ中に酔っ払って、「健さんは、どうしてそんなに強いの?」と泣きながら抱きついてきたとき、「僕はしらふで、『生きるのに必死だからですよ』と、つい本音が口を衝いた」とあるが、ここが人間高倉健の真骨頂か。  これよりも、文春の「40年来の“付き人”が初めて明かす高倉健『秘録』」のほうが読ませる。これが今週の第2位。  西村泰治といい、健さんとの出会いは1968年の『祇園祭』で、彼は東映京都の製作スタッフだったが、映画にちょい役で駆り出されて間近で見た健さんのかっこよさに痺れ、主演の中村錦之助に頼んで会いにいったのが最初だという。  健さんがことのほか気に入ったらしく、西村のことを「やす」と呼んで、京都に来るときには彼のところによく泊まったそうである。  異父姉が数億円の借金を作り、結婚していた江利チエミがこれ以上健さんに迷惑をかけるわけにはいかないと離婚したばかりの時、チエミから電話がかかってきたところに居合わせたという。 「『健さん、もう一度、一緒になれないかしら』と言ってきたことがあった。そしたら健さんは『一度別れるって新聞で発表したんだから、いまさら戻るわけにはいかんだろう』と。健さんは、自分にも他人にも厳しい人。チエミちゃんに諭すようにこう言ったんです。『おまえがいくら謝っても……。もっと……もっと早くに、なんでそう考えなかったんだ。こうなった以上は、もう一緒になれない。戻れない』」  だが健さんは、ずっとチエミのことを愛していたと思うと語っている。撮影所の楽屋で、チエミの『テネシー・ワルツ』を黙って聞いていることが何度もあったという。チエミが亡くなったときも、チエミの自宅の裏に回って1時間以上手を合わせ、その後、2月の厳寒の中、比叡山の飯室不動堂の滝に打たれに行ったという。  ある騒動で健さんから絶縁され、3年もの間近寄れなかったとき、取りなしてくれたのは吉永小百合だったという。西村の息子の結婚式には、健さんと小百合が出席してくれたというから羨ましい。  この中にも出てくるが、撮影が終わると必ず立ち寄った「花の木」という健さん行きつけの喫茶店がある。 「夜ふけまでずっとコーヒーを飲んでリラックスするのが日課だったんです。何杯もコーヒーを飲むから、解散するのは朝の三時くらい」(西村)  先週、所用で京都へ行ったとき「花の木」へ行ってきた。烏丸線の「鞍馬口」からすぐのところで、下賀茂神社が近くにある。l  一見どこにでもある古い喫茶店。前の道路が広いからクルマを止めるにはいい場所だが、やや侘しい佇まいの店で、本当にここかなと思った。  朝8時からやっている。混むといけないので10時過ぎに入店。扉を開けて入ると先客は2人。右手にカウンターがあり中年の女性がいる。ボックス席は6席ぐらいか。若い女性が和やかに迎えてくれた。  やや暗めの照明は落ち着いた雰囲気で居心地がよさそうだが、健さんが好きだった乃木坂の「カフエ・グレコ」とも「イノダコーヒー」とも違う。どこかしら「らんぶる」に似ている気がした。モーニングセットが3種類。ホットドッグとコーヒーのセット、450円を頼む。  テレビで見た「花の木」にいる健さんは店の奥に座っていたと思うが、そこにはすでに先客がいる。出てきたホットドックはどうということはないが、コーヒーは香りよくすっきりした味わい。これが健さんの愛したコーヒーかと、思わず涙が出そうになった。  カウンターの奥には、古びたジャン・ギャバンのポスターが貼られている。見たところ、健さんのサインなどは見当たらない。その潔さが健さん好みか。  コーヒーのおかわりを頼んで、健さんが好きだったギャバンの写真を見つめる。健さんは一人でもクルマを飛ばして、ここへ来たという。世界的な名優と謳われたギャバンを、どんな気持ちで見つめていたのだろうか。二人に共通するのは、出てきただけで絵になるところだ。健さんありがとうございました。そうつぶやいて店を出た。  案の定というか、新聞などが予想していた通り、投票率は戦後最低で自民党が圧勝した衆院選が終わった。これからの4年間で安倍首相は憲法改正をやると「明言」しているが、それを阻止する勢力はあるのだろうか。  文春は、選挙中から安倍批判とも思えるような発言を繰り返していた小泉進次郎が、その「期待の星」だと言うのだが。これが今週の第1位。 「たった一人の横綱、自民党はガップリ四つで懐深く、堂々と構えて王道の政治をすればいいのに、降って湧いた解散総選挙は誰も腑に落ちていない」 「今回の総選挙はみなさん冷めている。数字を並べ立て、ハイテンションで、マイクでガンガンやればいいってもんじゃない」 「アベノミクス、実感ありますか? 首を振っている人が多いですね。我々はそこに向き合わないといけない。今回の選挙も、なぜ今解散なのか。そう思っている方が多い」  これは野党候補者の選挙演説ではない。近い将来の総理候補と呼び声の高い小泉進次郎の応援演説なのだ。  進次郎の密着取材を続けている常井健一が、安倍首相並みのハードスケジュールで候補の応援に飛び回っている進次郎のルポをしているが、今回は明らかに変化があると書いている。  200回近い演説を聴いてきた常井が、言葉は巧みだが「聞けば聞くほど、何をしたいのか、わからなくなる」のが進次郎の言葉だったが、政権構想のようなビジョンを語り、新しい自民党を掲げて戦っているという。  だが「末は博士か大臣かと呼ばれた昔の政治家になりたい」「自民党を消去法の結果、選ばれる政党ではなく積極的に支持される政党に変えたい」という言葉から、彼の国家感を感じ取ることは、私にはできない。だが、なんとなくではあるが、現在の安倍政治には批判的で、違う方向を自分は目指すのだと言っているようには聞こえる。  海江田万里民主党代表が絶叫すればするほど、民主党の票が逃げていった。おまけに、本人も落選。共産党に至っては、不破哲三まで引っ張り出して演説させるとは、何を考えているのかと思わざるを得なかったが、反自民の票が流れて躍進した。  わずかな望みは、大勝した自民党が仲間割れして、小泉進次郎が新党結成してくれることしかないとすれば、日本の前途はますます暗い。 (文=元木昌彦)

枕営業か、美人局か――スキャンダル発覚「LEON」元編集長・岸田一郎氏の“ちょいワル”では済まない話

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「MADURO」公式サイトより
 中年男性向けファッション誌「LEON」(主婦と生活社)の創刊を手掛けた名物編集者の岸田一郎氏が、前代未聞の女性スキャンダルに見舞われている。  口火を切ったのは、岸田氏本人だった。先月25日発売の写真週刊誌「FLASH」(光文社)で、美人モデルAさんと肉体関係を持ったところ、Aさんと背後の人物に恐喝されそうになり、告訴したという内容が掲載された。  だが、ライバル誌「FRIDAY」(講談社)では、まったく逆の内容が飛び出した。Aさん本人が登場し、岸田氏から「東京ガールズコレクション(TGC)」への出演を確約する代わりに、「肉体関係を強要された」というのだ。  岸田氏との“関係”は複数回に及び、Aさんは何度も断ろうとしたものの、同氏に「聞いてるよね? このまま帰るとTGCには出さないよ」と脅され、従うしかなかったという。  両者の主張は真っ向から食い違い、何が真実かは定かではない。ただ、わかっていることは、どちらも本人もしくは、本人に極めて近い人物が情報をリークしたことだ。 「『FLASH』には、岸田氏本人が話を持ち込んだそうです。Aさん周辺が被害を告発する動きを見せていることを察知し、先手を打った形。だが、結果的には“後出しジャンケン”で、後発の『FRIDAY』の記事のほうが話題になってしまいました」とは出版関係者。  一方のAさん周辺もキナ臭い。 「先日、飲食会社の役員男性に対し『車の中でレイプされかけた』と言いがかりをつけ、慰謝料を脅し取ろうとした罪で投資アイドルの鈴木雅子が逮捕されましたが、あの時も裏で糸を引いていたのは裏社会の面々。このところ美人局被害は急増中で、岸田氏が『ハメられた』と主張しているのも、あながち間違っていない」とは舞台裏を知る人物。  近年、警察は美人局被害の裏に闇社会が存在していることを把握しており、肉体関係を強要されたと主張する女性より、ゆすられた男性側を“守る”傾向がある。  しかしながら、妻子持ちの身で岸田氏がAさんと“関係”を持ったことは事実。敏腕編集者の肩書は地に堕ちたと言っていい。  泥沼の訴訟合戦は回避されそうな雲行きだが、「TGCをエサに女性を釣っていたことが判明し、TGC側はカンカン。もうTGC利権には絡めないでしょう」(ファッション業界関係者)というから、岸田氏が失ったものは大きいようだ。
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林真理子、『殉愛』騒動をタブー視する週刊誌に物申す「この言論統制はなんなんだ!?」

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「週刊文春」12/11号 中吊広告より
今週の注目記事 第1位 「林真理子『夜ふけのなわとび』」(「週刊文春」12/11号) 第2位 「菅原文太死す!」(「週刊文春」12/11号) 「『高倉健』の後を追うように『菅原文太』の棺を蓋いて」(「週刊新潮」12/11号) 第3位 「『読売新聞』全社が固唾を呑んだ『ナベツネ主筆』重症入院の悪い知らせ」(「週刊新潮」12/11号) 第4位 「株価2万円に備えよ」(「週刊現代」12/20号) 第5位 「自民党に総額20億円献金した『アベノミクス大儲け企業』」(「週刊ポスト」12/19号) 第6位 「全選挙区295完全予測」(「週刊文春」12/11号) 「全295選挙区 これが最終『当落』予測だ」(「週刊現代」12/20号) 第7位 「私の体を貪ったちょいワルオヤジ元『LEON』編集長・岸田一郎を許さない!」(「フライデー」12/19号)  今週はポストが「ポルノグラフィア 美波ねい×大石圭」と「AKB48生水着選抜」。現代は「20歳美少女『藍沢潤』が初グラビアで初ヘア・ヌードに!」「セクシー&ヌード・アワード2014」と袋とじ「究極エロス傑作選」。さてどっちがセクシーか?  ポルノグラフィアは、グラビア美女と小説家のコラボレーション。そこそこセクシーだがね。AKB48はファンだったら喜びそうだ。  20歳を「少女」というのか疑問はあるが、藍沢潤って、なかなかいい。最初のページでいきなりヘアご開陳だが、下(しも)よりも表情が初々しくてかわいい。アワード2014は、井上和香ほか。袋とじは、春菜はなたちが競艶。  ボリュームと藍沢潤の初々しさを買って、今週は現代の勝ちじゃ~。  さて今週の第7位は、ファッション誌「LEON」(主婦と生活社)を創刊して「ちょいワルオヤジ」という言葉を流行らせた編集者・岸田一郎氏(63)のスキャンダル。  彼は現在、9月に創刊された男性誌「MADURO」(セブン&アイ出版)の編集長。その岸田氏が、23歳の美女A子さんに「枕営業」を強要していたというのだ。  A子さんは現在モデルとして活躍中で、岸田氏が好きなタイプらしい。「MADURO」の関係者から「東京ガールズコレクション(TGC)」の仕事の話をもらったA子さんは、雑誌関係者らと、今年2月に岸田氏と会食し、出演と引き換えに岸田氏に無理やり肉体関係を持たされたと「涙の告発」をしている。  会食前に、「MADURO」の関係者から「岸田氏をもてなすように」と指示されていたという。岸田氏は「聞いてるよね? このまま帰るとTGCには出さないよ」と脅されて、従うしかなかったそうだ。  岸田氏はその後もA子さんの体を貪り続けたというが、結局、A子さんはTGCに出られなかったそうだから、怒るのも無理はない。  A子さんは岸田氏に対し、訴訟を起こすつもりだという。私の編集長時代にはこんな誘いは一度もなかったな。これが事実なら、編集者としての一線を越えてしまった岸田氏は編集長を辞任すべきだろう(反論があるなら、堂々とすべきであろう)。ファッション雑誌のイメージを傷つけた代償は大きいはずだ。  新聞の選挙予測では軒並み自民党が300議席を取ると出たが、週刊誌の予測もそれに近い。  文春の「295選挙区全予測」で、久保田正志政治広報システム研究所代表と取材班が調べるにあたって、まず投票率を戦後最低だった2年前の衆院選の59.3%よりも少ない55%に設定したそうだ。  したがって無党派層は選挙に行かないことになり、組織や地方議員、強い後援会を持っている党しか生き残ることができない。その結果がこうである。  自民党296議席(現有295)、民主党81議席(60)、維新の党29議席(42)、公明党34議席(31)、次世代の党6議席(19)、共産党17議席(8)となる。自公あわせて330議席となり、依然として3分の2を超える大勢力は温存されたままになるというのである。  現代でも、政治評論家の浅川博忠氏と政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が当落予測をやっている。  ここでも自民党は313議席、公明党が31議席、民主党は75議席、維新の党が27議席、共産党が9議席となっている。  共産はもう少し取ると思うが、自民党の圧勝は変わらない。ポストは「総選挙の終盤情勢はどうやら自民党の『不戦勝』の様相を見せてきた」と書いている。  これでいいのかニッポン! 困ったものである。  円安で輸出大企業はウハウハのようだが、中で働いているサラリーマンの実質賃金はさほど上がっていないといわれている。ポストは、企業は儲かった利益を自民党へ「悪質なキックバック」をしていると難じている。  自民党への企業・団体献金リストを公開しているが、そこには輸出で潤っている業界や、バラマキ公共事業で儲かっているゼネコンが名を連ねている。  日本自動車工業会、石油連盟、日本電機工業会、トヨタ自動車、日本鉄鋼連盟、キヤノン、不動産協会、住友化学、新日鉄住金、三菱重工業などだ。  さらに許せないのは、大手旅行代理店の「JTB」が、取締役旅行事業本部長名で社員にこういう文書を配ったというのである。 「国内研修会をはじめとした各種需要を頂戴している創価学会様より、支援政党である公明党への支援要請がJTBグループにあり、営業政策上の観点から各事業会社においても可能な範囲での協力を求められております」  とんでもないことだ! もはやこの国には、「節操」という言葉が死語となってしまっている。企業倫理に照らしてもおかしいとJTBは思わないようだが、困ったものだ。  さて、株価だけが上昇している。現代は「2万円」時代が来るというのだが、これまでのように「株を買え、株を買え」という内容ではなく、それによって国民はさらに苦しめられるというのである。  株が上がっても景気は一向によくならない「不況の株価」という、歴史的にも世界的に見ても「超異常事態」は、そう長く続くはずがないと現代は書いている。  11月下旬に財務官僚と証券会社の国債担当者が集まる「国債インナーサークル」という会合が開催され、そこで「急速に円安が止まらなかったら、当局にそうした流れを止める手段がない」という声が上がったそうだ。  そうなると、どうなるのか。「非常に不幸な物価上昇につながる恐れがある」のだ。  もはや海外投資家たちは、アベノミクスで景気がよくならない日本経済に嫌気がして、円を売り始めているという。最悪の場合、円の売り浴びせが起こり、日銀もこれを制御できずに、さらなる物価高で庶民の生活が圧迫される。  今年年初からの日経平均株価を円建てとドル建てで見てみると、円建てでは右肩上がりになっているが、ドル建てで見るとほとんど上がっていないことがわかる。  世界はアベノミクスの限界に気付いているから、海外の金融機関は日本株を積極的に買っていない。  さらにドル建てで見ると、安倍政権が誕生してから日本のGDPは約1兆ドルも縮んでいて、今や中国のGDPの半分にも及ばない水準まで落ちているという。  円安で円は4割も安くなったというのは、日本人が4割貧乏になったということと同じなのだ。  国が縮み国民は貧しくなる。これがアベノミクスの正体なのだ。今の株バブルは人為的につくり出しているものだから、日経平均株価が2万円あたりになると臨界点になり、大暴落が起こる可能性があると警告している。  それはいつ来るのか? 選挙後に、あっという間にアベノミクス崩壊という事態も起こりうると、私は思っている。だから選挙へ行って、アベノミクスに「ノー」だという意思表示をしようではないか。  新潮に気になる記事がある。読売新聞の首領・ナベツネこと渡辺恒雄主筆(88)が11月14日に自宅で倒れて救急車で運ばれ、未だに退院できない状態にあるというのだ。  何しろ年も年だし、以前大腸にポリープが見つかっているし、耳も不自由になってきているというから、何が起こっても不思議ではないが、長年読売だけではなく政界にも強力なパイプを持って影響を与えてきた人だけに、気になる病状ではある。  いろいろ情報が交錯する中、広報に確認すると、主筆自らが病床から回答を寄せたというではないか。そこには泥酔した上に睡眠薬を飲んだため、寝室で滑って転んだ。その際本棚に左肩をぶつけ上腕部を骨折したため、リハビリを続けているから長引いているが、年内には退院できるだろうと書かれていたという。  この通りなら、時間はたってもまた出社できるのだろうが、本人自らが返事を寄越したという点に、いささか疑念が生じる。週刊誌の取材などにまともに答える人ではないのに、ナゼ今回だけは答えたのか?  あたかも読売内部では「ポスト・ナベツネ」をめぐって、政治部と社会部が争っているそうだ。ナベツネがこのまま引退するにしても、後継を自ら指名しておかなくては内紛が収まらず、社を揺るがす事態になるやもしれないのである。  後継など作らず独裁を続けてきた超ワンマンが消えるとすれば、読売社内の問題だけではなく、永田町にもなんらかの影響が出ることも考えられる。続報を注目したい。 「立ち小便が出来なくなったら菅原文太じゃねえ」  2007年に膀胱がんと診断された文太は、こう言って自分を鼓舞したと週刊新潮が書いている。  11月10日に亡くなった高倉健に続いて、28日に菅原文太が逝ってしまった。享年81。健さんより2歳年下である。宮城県仙台市で生まれ、県立仙台高校を卒業して早稲田大学第二法学部へ入るも中退。178センチの長身と端正なマスクが画家・中原淳一の目にとまり、モデルになったことがきっかけで芸能界入りする。  新東宝、松竹と移り、安藤昇(元安藤組組長で俳優)に勧められて67年に東映に移籍する。だが長いこと鳴かず飛ばずで、任侠映画でトップスターになっていた高倉健は仰ぎ見る存在であった。  週刊文春で、東映の古参幹部がこう語っている。 「本当に天と地くらい格が違っていた。健さんの前では文ちゃんは直立不動でしたから。ただ健さんは誰にでも優しく、『文ちゃん、東映ではこうなんだよ』と先輩として教えてあげていましたね。二つ違いの兄貴と弟みたいな関係に見えました」  文太も71年の『まむしの兄弟』シリーズで注目を浴び、73年から始まった『仁義なき戦い』で演じた広島のヤクザ広能昌三役で、スターの座をものにする。  これも東映の中では当初、外様の文太起用に異論があったというが、当時力を持っていた俊藤浩滋プロデューサーが彼のことを気に入っていて、押し切ったという。  75年には高倉健と『大脱獄』『神戸国際ギャング』で共演した後、健さんは独立し、文太は『トラック野郎』シリーズで喜劇の才能も開花させ、日本映画界の看板スターになっていく。  共にヤクザ映画から国民的スターになったが、健さんは生涯「高倉健」を演じ続けたのに比べ、文太は映画だけではなく、有機農法を始めたり政治的な発言も多くするようになっていく。  映画監督の崔洋一は、新潮でこう語る。 「東日本大震災の後は、文太さんなりに日本という国を悲観なさっていましたね。ご自分も東北出身で、自分に何ができるかを考えておられました」  文春で鎌田實諏訪中央病院名誉院長が、こんな話をしている。 「八月に会った時、初めて父親の話を聞きました。お父様は四十歳を過ぎていたのに徴兵されたそうです。そして『帰国した時には夢も生きる気力も失っていた』『自分も戦争によって疎開させられ、惨めな生活をした。今日本は、戦争を再びやる国になろうとしている』とおっしゃっていましたね。(中略)最後に話したのは十月の電話でしたが、『原発が再稼働しそうだけど、まずいよな』『ミツバチが減っているのは農薬の使いすぎじゃないだろうか』という、至って真面目な内容でした」  私生活では66年に9歳年下の文子夫人と結婚し、1男2女に恵まれた。子煩悩な親だったが、長男が31歳の時、踏切事故で亡くなった後は1年も話ができなくなったという。  そして膀胱がんを発症し、その時は切らずに治したが、2年前には転移が見つかった。だがこのことは、文子夫人の判断で本人には知らせなかったそうだ。  私が菅原文太を見かけたのは3~4年前、西麻布の秋田料理の店だった。確か、中畑清と一緒だったと記憶している。髪は白くなってはいたが豊かで、背筋のピンとした後ろ姿はやはり格好良かった。店を出て行くとき、大きな声で話していたことを気にかけたのだろう、われわれの席に向かって少し頭を下げて出ていった。  文春によると、死ぬ10日前、病室で健さんの悲報を聞くとこういったという。 「健さん、東映、映画のことは自分で書きます」  今度の選挙で大勝すれば、安倍は「白紙委任」されたといい出し、憲法改正にまで突き進むかもしれない。そんなことを許してはいけないと、私は考える。  そこで先日の沖縄県知事選の応援に行った菅原文太の応援演説のなかの「仲井真さんよ」を「安倍さんよ」と読み替えて読んでほしい。 「『仁義なき戦い』の裏切り者の山守、覚えてらっしゃるかな? 映画の最後で、『山守さんよ、弾はまだ残っとるがよ。一発残っとるがよ』というセリフをぶつけた。その伝でいくと、『(対立候補の)仲井真さん、弾はまだ一発残っとるがよ』と、ぶつけてやりたい」  文太のこの言葉を胸に投票所に行き、安倍自民を真っ青にさせるような一票を投じようではないか。  今週の第1位は林真理子の連載コラムに捧げる。 「一ヶ月近くたって巷でこれだけ話題になっても、どの週刊誌も一行も報じないではないか。やしき氏(やしきたかじん=筆者注)の長女がこの本によって、『名誉を傷つけられた』と提訴し、出版差し止めを要求した。が、相変わらずテレビも週刊誌も全く報道しない。私はこのこともすごい不気味さを感じるものである。この言論統制は何なんだ! 大手の芸能事務所に言われたとおりのことしかしない、テレビのワイドショーなんかとっくに見限っている。けれど週刊誌の使命は、こうしたものもきちんと報道することでしょう。ネットのことなんか信用しない、という言いわけはあたっていない。そもそも、『やしきたかじんの新妻は遺産めあてではないか』と最初に書きたてたのは週刊誌ではなかったか」  林真理子が文春の連載「夜ふけのなわとび」で怒る怒る。週刊誌が自分の役割を果たさないのはどういうこっちゃ! と真っ当に怒り狂っている。  この騒動は、百田尚樹という物書きが幻冬舎から出した『殉愛』という本についてである。  先日亡くなったやしきたかじんの闘病の日々と、彼を献身的に介護する新妻との日々を描いた“ベストセラー狙い”のお涙ちょうだいノンフィクションだ。  だが、この新妻というのが実はイタリア人と結婚していて、「重婚」の疑いがあるというのである。  また、やしきの友人でもあり彼の楽曲に詞を提供していた作詞家の及川眠子が『殉愛』の中で資料として提示されているたかじん「自筆」とされるメモの字の筆跡について、真贋を疑問視するツイートをしたのだ。 「『殉愛』の表紙に感じたすっごい違和感。なんでだろーと思っていたが、はたと気付いた。たかじんってあんな字を書いたっけ? もっと読みづらい変ちくりんな字だった記憶が・・・。病気になると筆跡まで変わっちゃうのかな?」  その上、やしきの長女が幻冬舎に対して「出版差し止めと1100万円の損害賠償を求める」訴訟を東京地裁に起こしたのである。  これに対して百田は「裁判は面白いことになると思う。虚偽と言われては、本には敢えて書かなかった資料その他を法廷に出すことになる。傍聴人がびっくりするやろうな」とツイートしたものの削除してしまった。  Web上のまとめサイトでは「百田尚樹氏はほぼ作家生命終了」とまで断定されてしまっている。  これだけ話題になっている本についての「醜聞」は週刊誌の格好のネタであるはずだ。だが、不可解なことに出版社系はどこも取り上げないのだ(『サンデー毎日』と『週刊朝日』はやしき氏の長女のインタビューなどをやっている)。  週刊現代を出している講談社は『海賊とよばれた男』が大ベストセラーになっている。週刊新潮は百田の連載が終わったばかり。タブーは他誌に比べてないはずの文春だが、林によると「近いうちに連載が始まるらしい」から、これまた書かない。  小学館の週刊ポストも、百田の連載をアテにしているのかもしれない。  私がここでも何度か言っているが、いまやメディアにとってのタブーは天皇でも創価学会でも電通でもない。作家なのである。  昔「噂の真相」という雑誌が出ていたときは、毎号作家についてのスキャンダルや批判が載っていたが、いまや作家について、それもベストセラー作家のスキャンダルを読みたくても「サイゾー」以外どこを探しても見つからない。 「私は週刊誌に言いたい。もうジャ-ナリズムなんて名乗らないほうがいい。自分のところにとって都合の悪いことは徹底的に知らんぷりを決め込むなんて、誰が朝日新聞のことを叩けるであろうか」(林真理子)  私も週刊誌OBであるから、恥ずかしくて仕方ない。ネットで現場の記者や編集者は、そんな状況を打破しようとしているというコメントを見つけた。 「文春や現代、ポストの週刊誌編集部には関西生まれの記者や編集者も多く、彼らは子供の頃からたかじんの番組に慣れ親しみ、親近感を持っており、今の状況は許せないと思っている。若手記者たちは『企画を出しても通らない!』と憤っています。中には仕方なく自腹で取材に動いたり、情報収集をしはじめる記者もいます。ある版元の、ノンフィクションが得意の敏腕編集者の下には、こうした情報が続々と集まっていると聞きました。騒動の裏側が本格的に暴かれる日も近いのでは」(夕刊紙記者)  これに似たようなことを私も聞いているが、どこまでやれるかはなはだ心許ない。この本の版元は見城徹という人間がやっている幻冬舎で、彼の裏には芸能界の「ドン」といわれている周防郁雄がいるそうだ。百田はベストセラー作家であり、安倍首相のお友達である。  この程度の「圧力」に屈して、この「事件」を書かないとしたら週刊誌など廃刊したほうがいい。  私は百田の『永遠の0』を30ページほど読んで捨ててしまった程度の読者である。したがって、百田の物書きとしての才能をうんぬんすることはしない。だが、「文は人なり」である。安倍首相のような人間と親しいことをひけらかし、下劣な発言をたびたび繰り返している人間のものなど読むに値するわけはない。  『殉愛』は現在市場に30万部ほど出回っているそうだが、出版関係者によれば「半分も売れれば上出来ではないのか」と言われるほど失速しているという。この件は、百田という物書きの「終わりの始まり」であること間違いないようだ。 (文=元木昌彦)

高倉健が元・名物編集長に漏らした本音?「俳優をやるのはカネのため、一生の仕事ではない」

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「週刊文春」11/27号 中吊広告より
今週の注目記事 第1位 「血税700億投入でなぜ今?『大義なき解散』全内幕」(「週刊文春」11/27号) 「295選挙区&比例区完全シミュレーション 安倍自民『過半数割れ』驚愕データ」(「週刊ポスト」12/5号) 「自民『50議席減』一気に倒閣へ」(「週刊現代」12/6号) 第2位 「高倉健緊急追悼特集」(「週刊ポスト」12/5号) 「さようなら健さん」(「週刊現代」12/6号) 第3位 「『出世する』セックス」(「週刊現代」12/6号) 第4位 「中田考・同志社大客員教授『外務省はイスラム国の日本人人質・湯川遙菜氏を見捨てた』」(「週刊ポスト」12/5号) 第5位 「変態バーで『全裸』現行犯逮捕された秋篠宮家宮務官の勤務態度」(「週刊文春」11/27号) 第6位 「『エイズ感染者』告知後に5人をレイプ」(「週刊現代」12/6号) 第7位 「喋りすぎる『毒妻』誰にも言えない過去」(「週刊現代」12/6号)  今週は40年前の「林檎ヌード」で一世を風靡し、テレビCMや歌手デビューしたが、わずか6年で芸能界を引退した麻田奈美を、現代とポストがグラビアで再び取り上げ競っている。現代のほうは、ポストより発売日が遅れる関係からか、袋とじである。  彼女のブームが来ているのだろうか? 12月24日に写真集の第2弾が発売され、来年3月には第3弾が出るそうである。  点数は現代のほうが多いが、迫力という点ではポストにやや分がある。先にアサヒ芸能でやっていたが、大場久美子「54歳の堂々ビキニ」もあることだし、今週はポストの勝ちだ!  さて、だいぶ前から週刊誌で話題になり、疑惑を報じていた筧千佐子容疑者(67)を、京都府警が殺人容疑で逮捕した。  直接の容疑は「京都府向日(むこう)市鶏冠井(かいで)町の民家で昨年12月、無職筧(かけひ)勇夫さん(当時75)が死亡し、体内から青酸化合物が検出される事件」(朝日新聞11月19日付)  連日ワイドショーが報じているが、彼女の周りで結婚相手や交際していた男の不審死がほかにもたくさんあるようだ。彼女は男を探すために結婚相談所にも申し込んでいたようで、相手の条件は70歳以上で資産家か、年収1,000万円以上というものだという。こんなバーサマになぜ男たちが群がったのか、本当に彼女は連続殺人犯なのか。週刊誌の格好のネタである。  現代によれば、彼女と交際していたパートナー10人以上が「怪死」しているというし、介護ヘルパーをしていた時期にも、訪問先の独居老人が死んでいたと報じている。  彼女の動機は単なるカネ欲しさのためなのだろうか? 金融商品に投資して大損し、今は借金を抱えているという報道もある。それに、どこで青酸化合物を手に入れたのであろう?  現代によれば、2人目の夫が兵庫県西宮市で薬局を営む11歳年上の男性(結婚して2年後に死亡)だったというから、ここから持ち出したのだろうか?  現代が「逮捕前に、勇夫さんの件以外で取り調べを受けたことは?」という質問をすると、 「ないです。だって、今回以外で殺人していませんし。あ、ちゃうちゃう一度も殺人はしてません!」 と答えている。薬物で死亡させたとすると、なかなか立証が難しいことを、彼女は読んでいるのであろうか? したたかな女性を、警察は追い詰められるのだろうか。注目である。  お次も現代。エイズ感染告知後に、5人の女性をレイプした強姦魔のことを報じている。  11月14日、横浜地裁は判決文で「被害者らが感じた恐怖と絶望と屈辱は、想像を絶するものがある」と言っているほど、許し難い犯行である。  被告人は三木英夫(49歳)。罪状は強姦、強姦致傷、住居侵入、窃盗で、懲役23年の実刑判決だった。  三木は5人の見知らぬ女性を次々と強姦した後、金品を盗んだ容疑で神奈川県警に逮捕されていた。  5人の女性をレイプしたという事実だけで十分すぎる非道な事件だが、逮捕後、それを超える特殊な事情が明らかになった。三木はエイズウイルス(HIV)に感染していたのだ。しかも、そのことを知っていながらレイプに及んでいたというのである。事件を取材した全国紙記者がこう語る。 「自身がHIVに感染していることを認識していながら、無差別に女性をレイプするなんて、国内では前代未聞です。しかし、この事件はテレビも新聞もほとんど報道していません。被害者への配慮というのがタテマエですが、『あまりにショッキングで、扱えない』というのが正直なところでした」  検査の結果、被害女性の中にHIV感染者はいなかったというから不幸中の幸いではあるが、ひどい奴がいたものである。  お次は文春。「変態バーで全裸現行犯逮捕された秋篠宮家宮務官」の事件を大きく報じている。これはハプニングバーといわれる、新宿区のバーで起こった。 「ベッドルームで男女それぞれが下半身丸出しで、セックスに耽る者あり、それを食い入るように鑑賞する者あり、それは異様な光景だったそうです」(社会部記者)  会員制だそうだが、11月8日に捜査関係者が踏み込み、経営者や従業員のほかに客3名も公然わいせつの現行犯で逮捕された。その中に宮内庁職員がいたのだ。  その男は、2011年から今年3月まで秋篠宮家の宮務官(事務方のトップ)だった人間で、現在は宮務課職員として宮家をサポートしているという。彼は周囲に「あの日は、仕事終わりに飲んでいて、あるカップルと意気投合して店に行った」と話しているようだ。書類送検されるのは間違いないだろう。  そういえば30年前にも、東宮侍従長が新宿のトルコ風呂(今のソープランド)で入浴中に亡くなって大騒ぎになったことがあった。  秋篠宮家の紀子さんは、この事件を聞いてどう思ったのだろうか?  ところで、「イスラム国」に日本人の湯川遙菜氏(42)が拘束されてから、3カ月が過ぎた。ポストによれば、外務省は「イスラム国」幹部とのパイプを駆使して湯川氏救出に乗り出したイスラム研究者の提案を黙殺していたという。その中田考同志社大客員教授をインタビューしているが、中田氏は10月に警視庁公安部によって家宅捜査されている。  北大生が「イスラム国」へテロ志願したという件だったが、中田氏は、くだんの学生はアラビア語もできず、戦闘経験もないのに、戦闘員になどなれるはずがないと話している。 「私は研究で培ったイスラム諸国とのパイプを活かして長年、外務省の要請により協力してきました。今回、イスラム国に拘束された日本人人質の解放のために危険を冒してシリアにも渡った。それなのに、日本政府は人質救出を支援するどころか、私を私戦予備の疑いで捜査している。どういうことなのでしょうか」  そもそも大前提として、コーランは同じイスラム教徒を殺すことを禁じているのに、彼がその「イスラム国」に協力するために行動することなどありえないとも話している。 「イスラム国の人間と連絡を取っているというだけで“テロリスト扱い”されて、私戦予備・陰謀の容疑をかけられたら、誰ひとりとしてイスラム国と連絡をとることができなくなります。日本ではイスラム国は全員が戦士のように誤解されていますが、そこで暮らす99%は普通の生活を営んでいる普通の人です。そうした現地の実態を伝える人間がいなくなれば、ますます無知と無理解が広がってしまいかねません。私はシリアのアサド政権が人々を殺戮していたときも、『空爆の前に人々を助けに行くべきだ』と発言してきました。トルコを含めてすべての国が国境を開かなければ、普通にそこで暮らす人たちが国を出ることができず犠牲になる。イスラム国やカリフ制を研究するだけで“テロリスト”とされるのであれば、これは表現の自由や学問の自由を脅かす事態ではないでしょうか」  もっともな怒りである。いくら無謀な人間でも、日本人である限り手を尽くして救出を図るべきである。日本人が忘れっぽいのをいいことに、こうした人質を見捨てることが許されていいはずはない。外務省を含めた国は、あらゆるルートを通じて交渉するのが当然である。  私は現役の編集時代に「出世するお中元 出世するお歳暮」という企画を考え、部員にやってもらったことがある。しかし、頭でこね回した企画だったから、できあがった原稿は面白くもなんともなかった。  しかし、この企画そのものは今でも大変気に入っている。現代の「出世するセックス」というタイトルで、そのことを思い出した。さて、その出来栄えはどうか?  現代によれば、セックスのうまさと仕事の能力は驚くほど比例していると、女性たちは口をそろえるそうだ。どちらも「感情を持つ人間」を相手にする営みであるために、その場面その場面でさまざまな能力が必要とされるというのだ。  出世する人は相手の女性の気持ちだけでなく、一緒に過ごす時間を最初から最後まで、総合的にマネジメントできなければいけないそうである。経営コンサルタントで心理コーディネーターでもある織田隼人氏がこう語っている。 「男性は女性を『コントロール』したがりますが、コントロールとマネジメントは以て非なるものです。コントロールは工場生産の場面では有効ですが、知的生産の分野ではうまくいきません。知的生産である経営も男女関係も、部下や女性の気持ちを汲み取るマネジメントが必要です。具体的には、男性と女性では見えている世界が全然違うことを意識して相手を思いやること、嫌がらない範囲でやや強引に振る舞うこと、褒めながらモチベーションを上げること、これらすべてです。経営学者のピーター・ドラッカーは、『知的労働者は、自らの意思で参加するボランティアとして扱え』と言いました。これは女性に対しても同じで、『目の前の女性は、私とボランティアで遊んでくれている人だ。では、どうすればこの人がもっと自分と楽しもうという気持ちになれるのだろうか』と考えましょう」  都内で働く25歳のOLは現在、会社の取締役(54歳)と不倫中だそうだが、彼女の言葉がいい。 「自分がしたいことをする男は二流だけど、こちらがしてほしいことをする男は一流ですよね」  まことにその通りであるが、なかなか難しい。女性とのセックスでコミュニケーションを取るより、仕事をしていたほうが楽かもしれない。これを読みながらそう思った。  さて、今週号最大の話題は、安倍首相の大義なき解散ではない。高倉健の突然の死である。享年83歳。不足ないといってもいい歳だが、われわれ70年安保世代は、健さんが年老いて首の周りのシワが幾重になろうとも、彼の後ろ姿に自分の青春時代の残像を見ていたのだから、ショックは大きかった。  高倉健は昭和の男だった。彼の生涯を書き連ねる気はないが、私のささやかな健さんとの思い出について書いてみたい。私が編集者になって、どうしても会いたい人が3人いた。吉永小百合と長嶋茂雄、そして高倉健である。  小百合(こんな言い方をしてゴメン!)とは残念ながら何度かすれ違っただけだが、長嶋さんとは食事をしたり、対談に出てもらったことがある。健さんとはニ度会うことができた。  初めは公開される映画についてのインタビューだったが、若造の私の拙い質問にも嫌な顔をせず答えてくれた。憧れの人に会えた緊張感で何を話したかは覚えていないが、背筋がピンと張った姿勢のよさと礼儀正しさは強く印象に残っている。  ニ度目は、青山にあった喫茶店。珈琲がうまく、健さんがときどき立ち寄る店としても知られていた。なんの取材だったか忘れたが、表通りの見える席で2人きり1時間ぐらい珈琲を飲みながら話を聞いた。  覚えていることは、珈琲が好きで日に40~50杯飲むが、インスタント珈琲でもなんでも構わない。酒は飲まないが、京都・嵐山に酒を霧のように吹きかけて出すそば屋があり、そこだけは気に入っていて、京都へ行くたびに食べに行く。しかし、食べすぎると酔っ払っちゃってね。印象に残った言葉は、俳優をやるのはカネのためで、男子一生の仕事とは考えていなかった。健さんが40代のときである。  健さんの映画は遺作になった『あなたへ』も含めてほとんど見ているが、晩年の作品では『ホタル』がよかったぐらいで感心しない。私のベスト3は一連の昭和残侠伝シリーズ、『居酒屋兆治』『八甲田山』。残侠伝は今でも気が滅入ったときに、気合いを入れるために見る。  私が「週刊現代」編集長になった当初、プレッシャーのためか、うつ状態になったことがあった。会社が近くなると冷や汗が吹き出てきて、動悸が速くなってしまう。  そんな自分の弱さを鼓舞するために、残侠伝を見てから出かけたことが何度もあった。ヤクザ、右翼、中核派などとトラブルになって話し合いに行くときには『唐獅子牡丹』の中の「なんで今更 悔いがあろ ろくでなしよと 夜風が笑う」という歌詞を口ずさんで“敵地”へ斬り込んだものだった。  安倍首相が解散に踏み切ったが、テレビで安倍と高倉健の映像を見ながら、不謹慎だが、こんなことを想像した。安倍さんの姿に健さん演じる花田秀次郎が殴り込みに行くときのシーンを重ね合わせ「安倍総理、死んでもらいます」解散はどうだろうかと。  ポストの12/5号で、ビートたけしは健さんについてこう語っている。 「30年近く前の映画『夜叉』(1985年公開 降旗康男監督)の撮影から、付き合いが始まったんじゃないかな。健さんは、雪がしんしんと降る中、オイラのロケ地入りを駅で花束持って待っててくれたんだ。(中略)団塊世代の男ならみんなそうだと思うけど、『高倉健』ってのは、ガキの頃からオイラにとっちゃ憧れだった。長嶋茂雄か、高倉健か。男の中の男っていうのはああいうもんだと子供ながらに思ってた。で、実際に会ってみると、想像以上の人だったんだ」  『鉄道員』『ホタル』で助監督を務めた佐々部清さんが、健さんの人柄を語る。 「『鉄道員』の完成をお祝いした時でしょうか。撮影所の中で、降旗さん、高倉さんを真ん中に記念写真を撮ったんです。倉庫整理の人、美術、カメラ整備など東映を下支えして定年を迎えられたり、退職した人たちを含めて100人ほどが集合しました。何十年、ともに映画をつくってきた人たちです。みな、おじいちゃんです。高倉さんは全員の名前を憶えていました。昔から、『そこの照明』とか絶対いわない人でしたが、その時もみなさんの名前を呼んで、おじいちゃんたち泣いておられました。高倉さんはおっしゃった。『あと何年、自分は役者でいられるか。もうあと何本出られるかわからない。だから何を撮ったかではなく、なんのために撮ったかが大事なんです』と」  現代では、芥川賞作家の丸山健二氏(70歳)の話が興味深い。健さんとの交流で強い印象を受けたという。 「我が家に来て早々、健さんは『世間では僕のことをホモと言っていますが、ちがいますからね』と言ったので驚きました(笑)。面食らいましたが、世間の噂話も気にされていたんでしょう。家内の料理も食べてくれたのですが、『糖尿病なんですよ』と言うので蕎麦にしました。病気を気遣っているようで、ペットボトルに自分用の水を入れて持ち歩いていました。(中略)俳優は、仕事としてやっているという意識だったのだと思います。プロの自覚が強い人なので、世間が抱く『高倉健』の印象に自分を合わせていたのでしょう」  健さんにかわいがられた谷隼人(68)のこんな話が、健さんらしくていい。 「ある時、『おい、明日何してんだ』と健さんに聞かれたので、『赤坂プリンスのプールに行って、肌を焼いてきます』と答えました。すると健さんに、『ばかやろう!』と叱られたんです。『おカネをとって映画を見てもらうのに、俳優がプールなんかで日光浴をしていたら申し訳ないだろう。お前の映画を観ている人が隣にいたら、どうするんだ。プールに行くぐらいなら、自分の家のベランダで肌を焼いて、ハワイに行ってきたような顔をしていろ!』俳優は観客の夢を壊してはいけない──。目からウロコが落ちる思いでした」  先の丸山氏は、任侠路線から実録路線の時代が来て、健さんが仕事に困っていた時、キャバレー王といわれていた人から声をかけられ、「うちのキャバレーで『網走番外地』を1曲歌ってくれたら1,000万出す」と口説かれた。金額に釣られてステージに上がったところ、店内は酔っ払いだらけで歌どころではなく、二度とやるもんかと痛切に思ったといっていたそうだ。  下積み時代、結婚・離婚、任侠路線のブームと終わり。いくつかの試練を乗り越え高倉健は「高倉健になっていった」のであろう。最後の映画俳優であった。合掌。  今週の1位は、安倍首相の大義なき解散についての各誌の記事を取り上げた。これほど解散する大義のない税金無駄遣い選挙は、前代未聞である。各誌選挙予測をやっているが、自民党が現有議席を減らすことは間違いないものの、それでも単独過半数確保はするだろうという見方が大勢のようである。  飯島勲内閣参与は文春で「電撃解散で自民は議席を上積みする」とまで言っている。その根拠はこうだ。 「四十三年間の永田町暮らしの経験から見て、間違いなく自民党は現有勢力から上積みをするよ。(中略)民主党がいくら慌てて候補者をかき集めて擁立しても、知名度のない新人が当選するわけないからさ。またもや議席減でしょうね。だいたいね、解散して公示、投票と流れていくこんな短期間で選挙結果がどうこうなんて、ほとんど何の関係もないんだよ。どんなに遅くても公示日の時点で九割の議席は当落が固まっている。その後の十日間余りは残り一割の戦いでしかないのよ」  ポストの連載で長谷川幸洋氏も、こう書いている。 「民主党はもともと増税に賛成だ。舞台裏では財務省があの手この手で増税根回しに動いていた。そこで安倍首相が先送りを言い出せば、政権を揺るがす大政局になったのは間違いない。大手マスコミはほとんど増税賛成だから結局、安倍は先送り断念に追い込まれただろう。そうなったら政権の求心力が低下する一方、景気は悪化するので最終的に政権が崩壊してもおかしくない。それどころか、増税せざるをえなくなった安倍政権は財務省にとって、もはや用済みである」  そうさせないために、安倍は解散に打って出た。その結果、増税派も雪崩を打って先送り容認に動いた。「戦う前から安倍首相の完勝である」というのである。  そんなバカなことがと、私は思うが、選挙民の最大の悩みは「自民党は嫌だけど、入れたい政党がない」ということだろう。そういう人は共産党か、それが嫌なら公明党でもいい。今度の選挙は争点がないといわれる。飯島氏の言うように、野党がバラバラだから自民は負けないとタカをくくり、単独過半数を維持したらアベノミクスが支持されただけでなく、原発再稼働も特定秘密保護法も憲法九条を蔑ろにしたこともすべて信任されたと、安倍首相は言い出すに決まっている。  そうさせてはいけない。この選挙を通じて国民の意思を表明するためには、自民党を勝たせないことだ。  潮目が変わったと思わせてくれたのが、沖縄県知事選挙だった。翁長雄志氏が現職の仲井真弘多氏を10万票もの大差で破り、当選した。日米両政府が普天間返還に合意した1996年以降の5回の知事選挙で、はっきり辺野古移転反対を掲げた候補が勝利したのは初めてである。  翁長氏は当選直後のインタビューで、おおよそこう述べた。 「本土の0.6%の土地に74%の基地を69年もの間押しつけてきた日本の民主国家としてのあり方が問われた。この沖縄の民意を無視することは認められない。安全保障は日本国民全体で引き受けるべきだ。安倍首相のなかには沖縄が入っていない気がする」  これに対して政府は「知事選は基地問題に対する県民投票ではない」「過去の問題だ」と切り捨て、国が動き出し(仲井真)知事が承認したものを覆すことは法的にもできないと主張している。  確かに辺野古移設を白紙に戻し、県外移設を実現することは容易ではない。しかし、今度の選挙ではっきりしたことは、基地を押しつけられ、切り捨てられ、忘れられ「侮辱のなかに生きてきた」沖縄の人々の怒りが沸点まで高まっているということである。  私は常々「沖縄から日本が変わる」といってきた。沖縄の意思はひとつにまとまった。今度は、本土の人間が意思を表明する番である。本当の意味で「戦後」を終わらせるために、これまで沖縄の人たちが味わった悲しみや怒りを我がこととするのは言うまでもない。  今度の衆議院選では、沖縄の基地固定化をもくろむ安倍自民党へ、本土の人間が「ノー」を突きつけるかどうかも問われるのである。  しかし、沖縄知事選の最中もそうだったが、週刊誌の沖縄への関心のなさはどうしたことだろう? 先週、文春が「沖縄知事選“最強の官房長官”敗れたり」をやっただけである。  菅官房長官は選挙中に沖縄入りし、県が望んでいるユニバーサル・スタジオ誘致に協力するなどと、露骨にカネをちらつかせて仲井真氏の応援をしたが、仲井真氏は惨敗した。菅の威信は地に堕ち、解散が早まったために間違いなく辺野古移転問題は総選挙の争点になる。  今度の選挙に橋下徹大阪市長が出馬するのか? 小渕優子はどうか? 石原慎太郎は引退するのかなど、各誌書いているが同工異曲で目新しい情報はない。  ポストは「295選挙区&比例区完全シミュレーション」して、「安倍自民過半数割れ」すると報じている。  それは、自民党王国と呼ばれる自民党岐阜県連の県議や市議、支持団体幹部たちが解散表明の3日前(11月15日)に、こう決議したことである。 「県内の業界団体の大半から『仕事はあるが、利益が出ない。いつもの年より厳しい年末になる。選挙をやっている余裕はない。選挙が年末商戦に響く。何のための解散なのか、意味がよくわからない』と反対や疑問視する声が相次いで出ている」  さらにポストによれば、自民党は去る11月15~16日に重点選挙区の情勢について独自の世論調査を行ったという。しかし幹部たちは、結果を見て色を失った。 「1か月前の10月に行った調査では、いま解散しても重点選挙区の取りこぼしはほとんどないという圧勝の数字が出た。官邸は気を強くして解散へと舵を切ったが、今回の調査では有権者の空気がまるで変わり、厳しい選挙区が大きく増えていた。明らかに逆風が吹き始めている。自民党支持層を固めていないのが大きい。逆風を止められなければ、短期決戦でもわが党は40~50議席ぐらい減らす可能性があると党執行部は青くなってきた」(自民党選対幹部)  政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏もこう語る。 「小沢(一郎=筆者注)氏はここぞというときには隠密行動で仕掛ける。最近も、維新の橋下共同代表や政敵の間柄と見られている民主党の前原誠司・元代表と会談して非自民勢力結集の必要性を説いたという情報がある。リアリストの小沢氏は新党がすぐには無理でも、民主と維新が中心になって全国に野党統一候補を立てることで自民党と互角に戦う体制をつくることが重要と分析しており、非自民勢力結集を自分の最後の仕事と考えているのではないか」  ポストのシミュレーションでは、自民党は現有295議席から60議席以上減らして、単独過半数割れの231議席という衝撃的な惨敗予測となったというのだ。  意外な安倍自民党の逆風に、安倍首相は北朝鮮と組んで選挙中に拉致被害者の「生存発表」という大陰謀を考えているとポストは報じているが、この数字は安倍を慌てさせる数字であることは間違いない。  現代も50議席減り、選挙後一気に倒閣へ動くと読んでいる。  米プリンストン大学教授のポール・クルーグマン氏は安倍総理と会談をしたが、「いますぐにでも消費税を5%に戻すべきだ」と言っている。同様のことを、世界的投資家のジム・ロジャーズ氏も言っているのである。  政治アナリストの伊藤惇夫氏は、こう分析している。 「常識的に考えれば、与党は議席を減らします。前回の12年の衆院選で自民党は大勝しましたが、実は小選挙区での得票率は、大惨敗を喫した09年の衆院選に比べて、わずか4%強しか増えていません。(中略)今回の選挙では野党の候補者調整がうまくいけば、自民党の負ける小選挙区が出てきます。もし40議席から50議席を減らすことになると、安倍政権の先行きに暗雲が漂い、来年9月の総裁選での再選に暗い影を落とすでしょう」  政治評論家の浅川博忠氏も、 「協調が完全にうまく行けば、野党合わせて200議席に届く可能性もある。今のままでは難しいと私は予測していますが、何かきっかけが起これば、わからない」  安倍政権批判では、舌鋒鋭い大橋巨泉氏が現代でこう書いている 「安倍の真意を読み解こう。今までもたびたび書いてきたが、彼の本当にやりたい事は、『憲法改正』であり『集団的自衛権』である。しかしこれを争点に選挙をしても勝てない。原発再稼働をテーマにしたら確実に負ける。だから支持率が高く、野党が分散して弱いうちに、特に争点のない選挙やって、とりあえず勝っておこうという、憲政史上かつてない、ふざけた解散なのだ。日本はマスコミがだめだから、あたかも安倍が、豪州のG20で大活躍したように報じているが、実際に豪州にいたボクは、あちらの新聞やテレビに、安倍が大きく取り上げられていたのを、見たことがない」  安倍首相のもくろみ通りには行かない雰囲気が出てきたと、私もそう思う。 (文=元木昌彦)