経産省ではスキャンダルは出世に響かない!? 愛人発覚・西山審議官の厚顔無恥ぶり

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「週刊新潮」6月30日号 中吊り広告より
第1位 「経産省『美人職員』を弄ぶ『西山審議官』」(「週刊新潮」6月30日号) 第2位 「朝日新聞が『(親)原発』に転向した日」(「週刊文春」6月30日号) 第3位 「ガイガーカウンターでは被曝量は測れない<知っていましたか?>」(「週刊ポスト」7月8日号)  先週は1本もなかった「ポスト」に、今週は1本だけ放射能関連の記事が出ている。あおり派批判は一貫しているが、内容は、私も以前から触れていることなので興味を持って読んだ。  通称「ガイガーカウンター(正式にはガイガー=ミュラー計数管)」を持った週刊誌記者たちが日本中で放射線量を測り、特集を組んでいる。  「現代」は「大反響第2弾 列島縦断 放射能はこんなに出ている」。「AERA」も「放射線量マップ 第3弾」をやっている。  また県民の不安に答えるために、福島県は子どもたちと妊婦合わせて30万人に、計数管を配るそうだ。  だが、カウンターの性能は千差万別、オモチャのような計数管も多く売られている。  GM管式とシンチレーション式でも、測れる放射線の種類が違う。そうしたことは、これまでほとんど報じられてこなかった。  「ポスト」によれば、計数管(ここではGM計数管のこと=筆者注)が計測しているのは、放射線の数であり、人体が放射能によって受ける影響を表す単位のシーベルトは分からないのだそうだ。したがって、計測値から対象物のベクレルを「推計」するのがせいぜいだという。  さらに、代表的な放射線にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線、エックス線、中性子線があるが、このGM計数管が主に検出するのはベータ線だという。  したがって、人体への影響を正確に調べるためには、「シンチレーション検出器」や「ゲルマニウム半導体検出器」でなくてはいけないのだが、高価なことと動作環境にも制限がある。  だが、いま行政がやっているモニタリングポストはシンチレーション方式だから、素人たちがGM計数管で測った値より信用できるとしている。  週刊誌(ここではそうは書いていないが、「ポスト」はこう言いたいのであろう=筆者注)や市民団体などが公表している数値は、ベータ線を遮断しないなど、測り間違いが多いと、ある技術者に言わせている。  要は、いまあおり派が放射線量が高い高いと騒いでいるが、安物の計数管を使って、しかも測り方を間違えているから、「無知な者が危険をあおるために用いれば、害にしかならない」と決め付けている。  確かに私が知る限り、いまのモニタリングポストも県や市町村が独自に測っているやり方も、ベータ線を遮断している。  こうしないと、さまざまな種類の放射線を計測してしまうため、高い値が出てしまうからだ。そこで疑問なのは、アルファ線やベータ線は測らなくていいのだろうか? これらには危険はないのだろうか?  放射線に詳しい私の知人によると、アルファ線はガンマ線の20倍、人体への危険性があるという。アルファ線やベータ線は衣服やマスク、手袋で遮断できるかもしれないが、すべての子どもたちが外にいるとき、必ずマスクをしているわけではないから、口などから入って内部被曝する危険はあるはずだ。  また、GM管方式では、シーベルトが分からないという決め付け方には違和感を持つ。私の友人が開発した放射線量公開システムはGM管を使っているが、アメリカの認証を取り、この中でも書いてあるように、計算式を用いて10秒ごとの放射線量を記録し、シーベルトで表示できる。  この記事中では、いまのほとんどのモニタリングポストが地上からかなり高いところに置かれ、1日のうち1時間だけしか測定せず、それに24時間かけたものを1日の放射線量としていることに触れていないのは、故意なのだろうか。  シンチレーション方式は、アルファ線やベータ線を測るのには適さないようだ。だが政府や行政がこの方式を使うのは、ガンマ線だけに特定すれば、値が低く抑えられるからではないのか。  一番大事なのは、放射線の影響を受けやすい子どもたちが生活している高さや周辺で、正確に計測して公表することであるはずだ。  年間20ミリシーベルトが人体に影響があるかないかは、10年、20年後までフォローしてから決めるべきもので、少しでも健康に影響があると予想される被曝量なら、即刻子どもたちだけでも、そこから安全なところへ集団疎開させるべきである。  先ほど情報が入った。数日前、福島市の廃棄物処理業者が市民の説明会で、公園の廃棄物の中からプルトニウムが検出されたと発表したそうである。  「ポスト」の記事は、目の付けどころ、問題提起としての意味はある。「ポスト」から批判されるあおり派週刊誌は黙殺しないで、批判や論争を挑むべき記事である。これからの論議を期待したい。  第2位は、「文春」の小さな記事で、自社の宣伝臭が強いが、重要な意味を持っていると思うので、取り上げた。  読売新聞の正力松太郎社主(当時)が「原子力の父」と呼ばれることは、さまざまなところで書かれてきた。  正力の政治的な野心から、原子力の平和利用という名目で、ノーベル賞受賞者・湯川秀樹まで巻き込み、読売の紙面でも原発を礼賛し、次々に原発をつくる世論を形成していった。  それに対して、朝日新聞は反原発派の牙城であった。だがやがて現実に押し流され、原発には「No,but」(基本的には反対)というスタンスでようやく踏みとどまっていたが、1973年の石油危機をきっかけに、原発容認派が大勢を占め、ついに74年7月に1ページの3分の2を占める原子力のPR広告が、朝毎読の三大紙の中でいち早く掲載された。それを契機に、原発に対して「Yes,but」(基本的に賛成)へと大転換していく。  79年には、原子力問題を担当する記者21人が集められ、記者個人が原発に反対するのは自由だが、その記事をボツにするかどうかの権限は編集局にあると、当時の編集担当専務が言い放ったと書いてある。  この「東電帝国 その失敗の本質」を書いたのは元朝日新聞電力担当記者の志村嘉一郎(69)。先の朝日新聞への原子力広告は、読売が2番目で、反原発の連載などをやっていた毎日が、再三毎日側がお願いしても出してもらえず、だいぶ遅れて出広してもらったと本にある。  この朝日の原発容認への転向は、反原発運動にも大きな影響を与えた。原発関連のPR費用は年間3,000億円と志村氏は書く。その莫大なカネを使って政治家、官僚、マスコミからマスゴミまでをたらし込み、安全神話が何の批判にもさらされず、歯止めのきかない原発大国への道をまっしぐらに突き進んできたのである。  その朝日の現在の紙面に、原発批判、東電の責任問題、復興増税問題への追及がゆるいと感じるのは、私だけではないはずだ。  さて、今週の文句なしのスクープ賞は「新潮」の記事。  福島第一原発事故以来、原子力安全・保安院のスポークスマンを務め、日本中に顔が知れ渡ってしまった西山英彦審議官(54)が、あろうことか「経産省の美人職員を弄んでいる」というのだから、驚いた。  書き出しは6月17日の23時過ぎ。20代後半と思しき清楚な女性と西山審議官が、ホテルオークラのオーキッドバーに連れだって現れた。  女性が飲んだのはアマレットなどのカクテルで、西山審議官はテキーラや赤ワインを注文したとある。これほど詳しいのは、目撃していたのだろう。  午前0時半過ぎにホテルから出てきた二人は、アメリカ大使館の前を通り、坂を歩き始める。その間に、西山審議官は彼女の手を握り腰に手を回す。  あるマンションの前、オープンスペースに彼女を引き込むと、西山審議官が嫌がる彼女に迫り、唇を二度三度と奪った。  ぬぬ、ここからは、ホテルへ一直線かと思ったが、期待に反して、彼女はホテルへ戻り、そそくさとタクシーで帰ってしまうのである。  日本を代表する有名官僚の一夜だけの御乱行か。そう思って読み進めると、二人の仲は経産省の仲では有名で、1年前から「特別な関係」が続いているというではないか。  特にデートの回数が増えたのは昨年11月からで、11月7日から1週間開かれたAPECの高級実務者会合で議長を務めていた西山審議官は、何と彼女と6回も夕食を共にしたという。  さらに12月のデートの回数は10回にも上り、1日、3日......27日、28日だとある。しかし、これほど詳しい日にちは、当事者のどちらかが明かさなければ分かるはずはない。  はてどちらか? 二人は食事の後よくカラオケに行ったそうだが、歌も唄わず、ラブホテル代わりにしていたという。さらに、こんなことまでバラされてしまうのだから、有名にはなりたくないものだ。 「西山さんは古いカツラを使っているので、激しい動きをすると、カツラがズレてしまうとか。だからゴルフとかはやらない。笑っちゃいけないけど、セックスする際、上の肌着を脱ぐとカツラが引っ掛かってズレてしまう。そのため、パンツは脱いでも上は着たまま、しちゃうそうです」(事情通)  経産省のスーパーエリートは、原発事故以来のそつのない答弁で、次官の目も出てきていたようだ。彼の長女も東京電力に入社、清水正孝社長ともじっこんで、東電ベッタリ人間だった。  こんな人間が、原発をチェックする側にいたのでは、まともなことができるわけはない。  西山審議官は「新潮」の取材に対して、 「いつもの冷静さを失い、当初、中村さんと(愛人の仮名=筆者注)カラオケ店に行ったことを認めたものの、なぜか直ぐに前言を撤回。最後は『ノーコメント』を連発し、開き直るのであった」  この記事で西山審議官はスポークスマンを外れ、エリート転落かと思っていたら、そうではないというのだから、二度ビックリである。記者に問われた西山審議官は、こう言ったそうだ。 「こういう記事が出ること自体が私の至らなさを示している。深く反省している」  古い流行語だが、反省はサルでもする。聞けば、経産省というのは元々不倫の多いところで、こうしたスキャンダルは出世に響かない伝統があるのだそうだ。  いくら厚顔無恥な御仁でも、この国難の時、これほどのスキャンダルが表沙汰になれば、身を引くのが筋ではないか。そんな常識さえもわからない経産官僚たちに、原発の安全など任しておいたのが間違いだった。つくづくそう思わざるを得ない。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
重要会議ではヅラをかぶろう ヅラより不倫より、やることがあるでしょうが。 amazon_associate_logo.jpg
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「"生命"は維持できても"人生"は奪われている」いまも南相馬市に暮らす住民の訴え

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「週刊現代」7月2日号 中吊り広告より
第1位 「私は放射能から逃げない」(「週刊現代」7月2日号) 第2位 「我が子を守る[『放射能汚染』解毒法」(「サンデー毎日」7月3日号) 第3位 「やめたくないよー、菅直人は僕の前で泣いた」(「週刊現代」7月2日号)   政治家が口を開くとき、そこには何らかの思惑がある。石井一なんて爺さんは海千山千のたぬきである。自分の前で菅直人が泣きながら「辞めたくない」と言ったと明かすのは、自分がそれほどの大物であると見栄を張るだけではなかろう。第3位は「現代」の、なかなか奥が深そうな面白いインタビューである。  石井は、不信任決議案が否決されたのだから、菅は辞める必要がないと言い切り、7月から8月ころまでは続投すると言う。  震災復興の遅れや原発事故の対応の不手際があるではないかという聞き手に対して、石井は、被災地のガレキが片付かないのは処分する場所がないからで、仮設住宅が足りないのも、建設用地が限られているからだと突き放す。  原発問題にしても、誰が総理をやったって放射能がすぐ止まるわけではないのだから、菅が悪いわけではない。従って、辞める必要はない。  だが、彼の言いたいことは他にある。小沢派を敵に菅の回すやり方はまずかったとし、これからは党内融和を進め、マニフェストを見直し、野党自民党に迎合することなく、政策を貫き通して、その先、総選挙をすればいいと語る。  もちろん、そこまで菅がやるわけではなく、遅くとも8月ごろに菅が辞め、しかるべき人材を選ぶべきだと言うが、彼の本意は、次の言葉にあるとわたしは見た。どうだろう。 「今後の1年は、暫定の震災復興特化内閣になるわけです。本当はこういう時、小沢一郎氏が党内では最適な人材なんです。混乱期こそ、小沢氏の出番です」  水谷建設から1億円の資金提供うんぬんの話があるので、求心力は低下しているが、いま必要なのは、ああいう腕力のある人材なんですとも言い添えているのは、ここは小沢しかいないというメッセージであろう。  混迷する民主党をまとめるためには、ポスト菅は小沢か、小沢が無理なら、小沢がウンという操り人形を担ぐしかない。そうして自分の影響力を温存したい、それが本心ではないか。  民主党副代表の思惑を忖度しながら読んだ。久しぶりに面白いインタビューである。  さて、20日、政府の原子力損害賠償紛争審査会は、東京電力の原発事故で避難した住民に対して、彼らが被った精神的苦痛に対する賠償額を1人当たり月額10万円とすることを決めた。避難所に避難した人には、より苦痛が大きいとして2万円を加算するという。  この記事を読んで無性に腹が立った。原発事故の収束がいつとも分からない中で、住民たちは住むところを追われ、不安な日々を過ごしているのである。  賠償はもちろんのことだが、住民が知りたいのは、自分の家にいつ帰れるのか、昔の生活を取り戻せるのかであろう。そうしたことには何も答えず、おカネを配るから我慢してなさいという態度を、傲慢と言わずして何と言う。  浜岡原発を停止させた舌の根も乾かないうちに、各地の原発を再稼働させると言って恥じない菅総理という人間に、ゾッとするほどの冷たさを感じるのは、私だけだろうか。  2位に挙げた「サンデー毎日」の記事は、リンゴにセシウムを排出する効能があるとか、ストロンチウムの吸収率を下げるのにはスキムミルクがいいという、失礼だが、気休めにしかならない記事である。  だが、この中のコラム、鎌仲ひとみという映画監督の言葉を伝えたくて、これを選んだ。彼女は原発問題にも詳しいようだが、その彼女がこう言っている。 「1998年、映画の撮影で訪れたイラクで見つけた劣化ウラン弾の放射線を測ると、毎時3.37マイクロシーベルトでした。福島市の小学校の校庭などで計測された線量とほとんど変わりません。白血病になったイラクの子どもたちは、日々の何気ない暮らしの中で少しずつ被曝していった。倒れるまで元気に走り回っていたのです」  「現代」の「本誌が独自調査 日本全国隠された『放射能汚染』地域」によれば、千葉県の流山市や柏市の公園では、それぞれ毎時1.88マイクロシーベルト、毎時1.08マイクロシーベルトが計測されている。  汚染は確実に広がり、放射性物質が子どもたちの口や鼻から吸い込まれ、内部被曝している可能性が高い。国が、直ちに影響はないと言い続けても、年間被曝量を1ミリシーベルトから突然20ミリシーベルトに上げてしまう国など、信用してくれと言う方が無理というものだ。  ところで今週の「ポスト」は、放射能に関する特集は1本もない。安全デマを流す雑誌と言われても、ことさら恐怖をあおる報道はやらないという一貫した編集姿勢には敬意を表する。  だが、どこまでの放射線量なら安全なのかが分からない現段階では、正しいパニックを起こすのは、特に、小さな子どもを持つ親なら仕方ないのではないか。私が聞いた話では、都内に住む妊婦が関西の方へ移ってお産をするケースが増えているという。  国や大メディアは真実を伝えていないと多くの国民が感じている。そして日本人は歴史に学ばない。「朝日」の中で、原爆症訴訟の証人・物理学者矢ヶ崎克馬氏がこう言っている。「私たちの社会は、広島と長崎の被爆者の訴えを、ないがしろにしてきたように思います。その延長線上に今回の事故があります」  今週の第1位は、「現代」の記事。南相馬市に住む佐々木孝さん(71)は、スペイン思想研究家である。彼の家は原発から25キロ圏内にあり、緊急時避難準備区域にされているが、今も認知症の妻とそこで暮らしている。  彼が反原発なのはもちろんだが、今回の事故後の行政の対応には問題があると憤っている。  原発から同心円で根拠のない線引きをされ、子どもや妊婦、要介護者や入院患者は、この区域に住むなと言われて追い立てられたが、実際に避難した老人や病人はひどい目に遭った。 「患者たちがカルテも付けずに搬送され、十数人が亡くなっている。こうなると医師法違反どころじゃない。もっと重い犯罪ではないか」  避難した人の中には、福島市や郡山市に避難した人もいるが、そこは南相馬市より放射線量が高いのだ。  そこで、知人が南相馬市役所の職員に、なぜこっちが緊急時避難準備区域に指定されているのかと聞くと、向こう(福島市や郡山市)を指定すると、ここの何十倍の住民を動かさねばならず、混乱に陥るからだと、逆ギレされたそうだ。  動物の鼻面を引きずり回すように、国民にあっちへ行け、こっちへ行けと命じる政治家や役人に腹立たしいと言う。 「彼らがやっているのは、民主主義でも何でもない。人間の自由というものを認めていない。それへの怒りもあって、私は避難を拒否しているのです。(中略)しかし彼らは、もっと大事なことがあることを知りません。命を英語で『ライフ』というでしょ。この『ライフ』なる言葉の意味には、生物学的な『生命』と、『人生』の二つがある。大切なのは、前者より後者です。それは、すべての生物が『生命』を持つのに対し、『人生』を持つのは人間だけだからです。避難を余儀なくされた人も、飯舘村など高い放射線量を記録している土地の人も、『生命』を維持できていますが、『人生』は奪われている。そこが彼らの悲劇なんです」  佐々木さんはかつて東京に住んでいたが、南相馬に帰省すると、原発建設で町が潤い、開拓時代のアメリカ西部のように賑やかだった。東電のカネで立派な施設がつくられ、住民にはよくお小遣いが配られていたという。  地元の有力者や町村の首長たちは、おおむね原発推進の先頭に立っていたのに、事故が起きると一転して被害者のような顔をしていることにも怒る。 「彼らはまず、自分たちの不明を詫びるべきです。しかし、みんな被害者になり、誰も責任を取らない。日本人の悪いところです。こんなことをやっているから、政治がまったく国民と向かい合わないのです」  佐々木さんが南相馬に越してきたのは妻の認知症が進んできた02年ごろから。すべて、彼が世話をしなければならなくなった。そして原発事故が起きた。もうジタバタせず、認知症の妻と一緒に、逃げずに自宅にとどまろうと決めた。  家の中はもちろん、外へ出るときも必ず妻と一緒だ。 「そうすると不思議ですね。人間、言葉や記憶を失ってもどうってことはない、と思えてきます。『認知できるかどうかなんてたいしたことではない。人間は存在するだけで意味があるんだ』と妻に教えられるんですね」  いまは、福島原発を全廃して、浜通りの美しい海岸を取り戻すために尽力したい、そう思っていると話す。この人に一度会って、話を聞いてみたい。そう思わせる、ひと味違うインタビューである。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
生きる 生易しいことじゃない。 amazon_associate_logo.jpg
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「ご先祖様に会ったときに恥ずかしくないように」被災地で死者に語り掛ける納棺師

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「週刊文春」6月16日号 中吊り広告より
第1位 「石川遼『無免許運転2カ月』なぜ見逃された」(「週刊文春」6月16日号) 第2位 「被災地の納棺師」(「週刊ポスト」6月24日号) 第3位 「スクープ 原発から60km人口29万人福島市内が危ない」(「週刊現代」6月25日号)  私の友人が緊急開発した「安心生活」という放射線測定システムがある。テレビ、新聞などでもずいぶん取り上げられたから、ご覧になった方もいるかもしれない。  これは10秒ごとに正確な放射線量を測定し公開表示、誰でも見ることができる。また、5分間隔で24時間計測した場合、計測データは2,000日分蓄積でき、累積放射線量の測定表も簡単につくれる。  このシステムは、5月末から6月初めにかけて、福島市、飯舘村、伊達市、南相馬市に設置された。6月下旬からは東京都庁周辺にも設置されるという。  福島市長は、設置することを大変喜んでくれたそうだが、大いなる悩みもあると打ち明けたそうだ。  それは、文科省が毎日発表する福島市の放射線量は、見事に年間20ミリシーベルトを越さない数値で推移しているが、市独自で測ったら、場所によっては20ミリシーベルトをはるかに超える数値になっているからだ。  この公開システムを設置することで、住民がその数値を自分の目で確認できるから、これ以上は隠しようがなくなる。しかし30万人近くがいる福島市の住民がすべて避難できる場所などあるだろうか。  設置したのは市庁舎前の植え込みの中で、高さは幼い子どもと同じぐらいの地上から50センチ。市長の言っていた通り、放射線量は年間20ミリシーベルトを超える数値が出て、連日、それを見ようと市民の人だかりができた。  友人によると、都庁前の植え込みの中でも、かなり高い数値が出たそうだ。今週の「朝日」と「AERA」が広範囲にわたる放射能汚染地図を特集しているが、東京でも葛飾区、足立区、江戸川区などの一部地域で、高い数値が出ていると報告している。  3位は、その福島市内が危ないという「現代」の記事。6月7日に、国際環境NGOグリーンピースが主体となって緊急調査が市内で行われた。  それによると、市役所から車で5分ほどの公園の盛り土から毎時6.3マイクロシーベルト。公園の隅の枯れ葉の固まりからも毎時4.2マイクロシーベルト。トイレ裏の雑草で毎時9.1マイクロシーベルト、入り口の排水路では毎時12.5マイクロシーベルトという高い数値が出たというのだ。  さらに、この公園ではセシウム134、セシウム137に加えてコバルト60も検出されている。  原発から60kmも離れた福島市でコバルトが検出されたのは、原子炉のメルトダウンで放出されたことを証明するものだと、九州大学特任教授の工藤和彦氏は言っている。  私立保育園「こどものいえ そらまめ」の正門周辺では、毎時19.6マイクロシーベルトを計測しているという。  グリーンピースのクミ・ナイドゥ氏は、「いまフクシマは、親が住むのに世界で一番つらい場所かもしれない。誰もサポートしてくれない。子どもに何もしてやれない」と語る。  もはや自主避難しかないと「現代」は書くが、今の政府の方針では、自主避難では原発補償の対象にはならない。しかも29万人全員ではなくても、例えば10万人が避難できる所などどこにあるのだろう。  永田町は、ポスト菅をめぐるバカとアホウの駆け引きがヒートアップしているようだが、そんなくだらないことは即刻やめて、日々刻々放射能を浴びている子どもたちを守るために、早急に手を打つべきだ。それとも永田町を福島に移して、放射能の恐怖を実体験しながら対策を考えさせれば、わが事として考えるようになるかもしれないが。    どちらにしても、国民の多くはポスト菅などに関心はない。  2位は、ノンフィクション作家・石井光太による被災地の納棺師の話。納棺師といえば映画『おくりびと』で一躍その存在を知られたが、これは岩手県釜石市に住む納棺師・千葉淳についてである。  石井氏は、被災地で遺族や遺体と出会うたびに、津波で命を落とした者たちの弔われ方が気になっていた。そのころ、千葉と知り合い、それならば僕の仕事を手伝ってみないかと言われたそうだ。  千葉は3年ほど前に葬儀社を退職して年金暮らしをしていたが、今は依頼があるときだけ納棺師として働いている。  廃校になった旧釜石第二中学校の体育館が遺体安置所になったとき、多くの遺体の取り扱いや葬儀社との交渉を、経験がある自分にやらせてくれと市長に申し出たのだ。  彼は死後硬直した遺体を、「腕や関節を揉み解して柔らかくしたり、それでも入りきらないときは棺を替えたり、向きを変えて袋に入れなければならない」が、千葉はそうするときも必ず遺体に語り掛け、こうささやくという。 「もうちょっと頑張って腕を伸ばそう。旅立つ前に着替えた方がすっきりするからな」  ある女性と亡くなった母親との話が出てくる。彼女が遺体と対面したのは、津波が起きてから1週間以上経ってからだった。時間と気温のせいで少しずつ腐敗が進み、褐色の斑点が皮膚に浮かび上がってきていた。  彼女は母親の遺体をしばらく見つめた後、自分の化粧道具を取り出して、このままの顔ではあまりにも寂しいから、お母さんに化粧をしてあげてくれないかと、千葉に頼んだ。  千葉は化粧をしながら、こう語り掛けた。 「最後にきれいにしてあげるからね。あなたの気に入るようにはできないかもしれないけど、精いっぱいやるから我慢してね。あの世でご先祖様に会ったときに恥ずかしくないようにきれいになるんだよ」  そうして化粧を終えると、千葉は化粧道具をお棺の中に入れるよう提案した。もしやり残した個所があれば、あの世で存分にお化粧するようにと声を掛けながら、それを入れた。  千葉の次の言葉が重く響く。 「遺体は誰からも忘れられてしまうのが一番つらい。だからこそ、僕を含めて生きている者は彼らを一人にさせないようにしてあげなきゃならないんだ」  千葉のような納棺師に送られた死者たちは、少し慰められ、旅立っていったのではないか。6ページだが、もっと読みたくなる、いいノンフィクションである。  今週の第1位は、17日(日本時間)から開幕する全米オープンを前にして、我らが石川遼に降り注いだ、「文春」発のスキャンダル。  大筋はこうだ。今年の2月5日から渡米し、マスターズなど6試合に出場したが、その時に石川は、現地の免許と国際免許を取ったのだそうだ。  4月12日に帰国してからは、自分で運転してゴルフ場へ来る姿がよく見られるようになった。だが、これが無免許運転だというのだ。  その理由は、海外で取得した免許には以下のような条件があるからだ。 「日本人が海外で国際運転免許を取得した場合、道交法により、3カ月ルールが適用されます。つまり、免許取得時の渡航が3カ月未満の場合、その国際免許は無効となり、日本国内で運転すると無免許運転になります」(警察庁交通局)  石川のアメリカ滞在は2カ月と少し。しかし、これを知って記事を書こうとした記者に、豪腕パパの勝美氏が「書かないでくれ」と連絡してきて、初めその記事は出なかった。  石川は「文春」が出た後、アメリカで会見をして無免許運転のことを謝罪した。だが、父親の圧力で記事を書かなかったゴルフ記者も情けない。  大相撲、野球、サッカー、競馬、ゴルフなど人気スポーツでは、事件化しない限り、そこに所属する記者クラブの記者たちは、内部のことや選手を批判する記事は書かない。ようやく20歳になろうかという若い石川には、まだまだ覚えなければいけない世の中のルールが多くあるはずだ。それを教えず、ただチヤホヤしているだけでは、中年おばさんたちの遼ちゃん応援団と同じではないか。  やはり、そうしたことができるのは週刊誌しかない。そう思わせる記事である。  
おくりびと 最期に。 amazon_associate_logo.jpg
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「週刊ポスト」6月17日号中吊り広告より
第1位 「あと50日足らず『地デジ化率95%』の重大疑惑」(「週刊ポスト」6月17日号) 第2位 「史上空前の大アンケート 原発やめますか、続けますか」(「週刊現代」6月18日号) 第3位 「激撮スクープ!自民党代議士 後藤田正純『ハレンチすぎる不倫!』」(「フライデー」6月17日号)  永田町では国民をないがしろにした「バカとアホウの絡み合い」が延々と続いている。総理の座にしがみつく菅直人はぶざまだが、そんな人間のウソを見抜けなかった鳩山由紀夫、小沢一郎も同類である。  菅を辞めさせるのはいい。しかしその後、民主・自民で大連立を組むのはやめさせなければいけない。確かに復興支援法など緊急を要する法案が成立しやすくはなるだろうが、まっとうな野党といえば共産党しかいないとなれば、与党の政治屋たちの私利私欲で、彼らに都合のいい復興プランや原発収束になるのは目に見えている。  NHKのスクープだと思うが、原子力安全委員会の班目春樹委員長が、国の原子力安全指針が1990年に改定され、そこでは全電源喪失の場合をまったく想定していなかった、また、そのような対策も取られていなかったと白状した。その上、今回の原発事故は「人災」だとはっきり認めたのだ。  ここまで来たら、菅首相辞任後、多少の政治空白はできても、復興対策、消費税増税か否かを争点に、解散・総選挙をやるべきだろう。  政治家への憤りを並べ立ててきたが、カミソリと言われた故・後藤田正晴代議士を大叔父に持つ後藤田正純自民党代議士(41)の破廉恥行為にもあきれ果てる。  後藤田が所属する自民党内で、内閣不信任案提出の機運が高まっていた5月23日の夜、彼はこっそり銀座の中華料理店で高級クラブの美人ホステスと食事していた。その後、彼女のクラブへ同伴。  そこに5時間も長居した後、彼女と六本木のバーへ向かう。そのバーのカウンターで、周囲も驚く痴態を繰り広げ、その揚げ句、彼女がトイレに立った後に続いて一緒に入ってしまったのだ。このトイレは男女共用。そこから20分以上も出てこなかったと書いている。  まだまだ続きがある。早朝4時過ぎにバーを出た2人は、そのまま赤坂の議員宿舎に入っていったのである。彼女が出てきたのは朝8時ごろ。その5時間後、本会議場で眠りこけている後藤田議員の姿も「フライデー」はバッチリ撮っている。  2004年に結婚した女優・水野真紀とは不仲説もあり、現在、別居状態だという。「フライデー」の直撃を受けた後藤田議員、神妙に、今の役職はすべて辞めるとして、こう話す。 「私はフライデーさんに撮られて良かったとも思っているんですよ。これを機会に、本当に反省して、出直さないと」  むかしむかし国会議員のことを「選良」と言った時代があったが、今では死語である。  今週の第2位は、かけた労力だけはすごかったと思われる「現代」の記事。一流企業のトップ100人、有識者50人に「原発をやめるか、続けるか」アンケートをしている。  三菱重工からソニー、東芝、三井物産、読売新聞まで聞いたようだが、社長自ら選択肢を選び、コメントも寄せたのは100社中22社。  中にはアンケートを受け取らなければよかったと言われた社もあったそうだが、私から見ると、回答数は意外に多かったと思う。  こうした状況の中で条件付きでも稼働すべきと答えるのは、なかなか勇気がいるのではないか。その勇気ある会社は、他の大手ゼネコンが手を引いたにもかかわらず、東京電力福島第一原発の処理を引き受けて、多くの作業員を派遣している清水建設をはじめ、大和ハウス、東芝、東レ、富士フイルムHD、森ビル。  富士フイルムHD社長の古森重隆社長はこう回答している。 「国内発電の3割を占める原発を代替するエネルギー源の確立には時間がかかる。次世代のエネルギー開発を進めながら、その安全性の向上を図り、自然災害への備えも含め徹底的に検討すべき。世界的な原発安全基準の設定も必要」  有識者の中で条件付き稼働派は、有馬朗人元東京大学総長、池谷裕二東京大学大学院薬学系研究科准教授、岡本行夫(外交評論家)、竹内薫(サイエンス作家)、外山滋比古お茶の水女子大学名誉教授、堀田力さわやか福祉財団理事長、森永卓郎(経済アナリスト)などがいる。編集部の諸君、ご苦労さまでした。  今週の第1位。地デジ完全移行の日が迫っているが、まだまだ移行していない人が30%はいるのではないかと、遅らすべきではないかと疑義を呈している「ポスト」の記事。  大震災や原発事故で、本来ならもっと議論されるべき問題が、国民的な合意もないまま通ってしまっている。大相撲の八百長問題もそうである。まだ完全に片付いたとは思えない八百長問題だが、相撲協会は名古屋場所開催を強行することで、けりをつけようとしている。それを後押しするようにNHKの中継が決まってしまった。  菅直人首相の在日韓国人からの違法献金問題もうやむやになったままである。  完全地デジ化移行は、被災地3県を除き、あと50日足らずで強行される。その根拠は「ポスト」によれば、昨年12月に実施され、今年3月に発表された総務省によるアンケート調査で「地デジ普及率95%」という数字が出たからだが、この数字自体が怪しいというのだ。  第1の問題点は、このアンケート調査では、母集団から約260万もある80歳以上の高齢者世帯が除外されている。  第2に、この調査は、固定電話を持っている人だけに電話をかけ、答えるという返事をもらった人にアンケートを送付していることだ。いまや携帯電話やIP電話保有者が増え、固定電話の普及率は全世帯の35%なのに。  そこで「ポスト」編集部がもろもろ試算してみると、一般家庭のテレビの約30%が地デジ対応ではないとみられるという。また、地デジ対応テレビを持っていても、アンテナをVHFからUHFに交換していない、UHFアンテナの向きを調整する工事をしていないなどの世帯がかなりあると思われるのだ。  私事で申し訳ないが、わが家にあるテレビは6台。そのうち地デジ対応テレビは3台あるが、アンテナを取り替えていないから、このままいけば7月24日を過ぎると地デジ難民になる。  カネがもったいないということもあるが、そもそも郵政省(現総務省)と組んで、故・氏家齊一郎日本テレビ社長(当時)が中心となって、キー局温存と民放ローカルネットワーク網維持、テレビメーカーの金もうけのために始めたことに、なぜわれわれが不必要な費用を負担させられるのか、いまだ納得がいかないからである。  7月24日が過ぎたら、何も映らないテレビを眺めながら、子どものころ、テレビがない時代があったことに思いをはせるのも一興ではないだろうか。そう今は思っているのだが。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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原発事故「みんなも無責任であるのです」議論を呼ぶ小学6年生"ゆうだい君"の投稿 「ユッケが怖くて原発で仕事ができるか!」防護服に書かれた原発作業員のホンネ 「週刊現代」が素人目線で追求した、孫正義義援金100億の行方

原発事故「みんなも無責任であるのです」議論を呼ぶ小学6年生"ゆうだい君"の投稿

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「週刊現代」6月11日号 中吊り広告より
第1位 「悪いのは東電ですか、政府ですか、それとも国民ですか」(「週刊現代」6月11日号) 第2位 「食べていいものはこう見分けろ!」(「週刊朝日」6月10日号) 第3位 「法定基準50ミリシーベルトが安全なら息子はなぜ死んだ」(「週刊文春」6月2日号)  原発事故の処理が長引く中、政府・文科省が発表する放射線の数値に疑問の声が次々挙がっている。  その上、安全だとされる年間被曝量20ミリシーベルトにも、高く設定しすぎていると、福島県内の子を持つ親たちからの怨嗟の声も大きくなり、ついに文科省は年間1ミリシーベルト以下に抑えることを目指す方針を打ち出した。  今週の3位は、浜岡原発で働いていた長男が白血病になり、2年以上も闘病を続けた末に亡くした母親の話である。  長男は、静岡県の浜岡原発で働いていた1989年11月に、慢性骨髄性白血病と診断された。全身に痛みが広がり80キロあった体重が50キロ台まで落ち込んだ。  彼の仕事は原子炉の計測器の保守・点検だったが、約9年間の勤務での累積被曝量は50.63ミリシーベルト、年間被曝量は最大でも9.8ミリシーベルトに過ぎなかったのだ。  母親の手元に長男の放射線管理手帳が戻り、見てみると、白血病と診断される1年半前に、血液検査で異常な数値の白血球数が判明していたにもかかわらず「異常なし」と記載されていた。  その後、長男の死は被曝による労災だと磐田労働基準監督署に認定を申請して、翌年認められる。国が長男の死と原発労働に因果関係があると判断したのである。  しかし、「被曝から数年後に発病した場合、現在は白血病以外、放射線に関する労災認定には明確な基準がないのです。例えば肺がんでは、炉内汚染の証明までされたのに、労災が認められなかったケースもある」(海渡雄一弁護士)。数年、10年、20年後にがんが発病しても、東電や国に、原発事故との因果関係を認めさせるのは難しいかもしれないのだ。  だから、今すぐに、万が一を考えて、子どもたちだけでも安全な場所へ移すべきなのだ。  第2位は、広がり続ける放射能汚染の中で、口に入れてもいいものはこう見分けろという、「朝日」の記事。  小見出しごとに見ていこう。 「大型魚の放射線量は遅れてくる 汚染度チェックの指標はヒラメ」。「ヒラメは、移動の少ない底魚で、寿命が長く、日本中の沿岸にいる。セシウムの濃縮係数も高く、生物学的半減期も長いので、目安になります」(海洋生物環境研究所の中原元和研究参与) 「魚の骨を食べるとまずいの? ストロンチウム90に気をつけろ」では、「シラスや小アジなど丸ごと食べる小魚は、汚染の有無を確認する必要があります。カサゴなど骨のままで食べる場合も、気をつけたほうが良いでしょう」(日本大専任講師の野口邦和氏) 「葉物野菜、果物、根菜......『汚染度要注意』なのはどれ?」。学習院大理学部の村松康行教授は、断定はできないがとして、こう話す。「過去の実験では、葉菜類よりもニンジンやダイコンといった根菜類のほうが、土中のセシウムを吸収しにくいことがわかっています」  そのほか、野生のキノコや山菜にはご用心。チーズやヨーグルトは大丈夫だそうだ。面白いのは、日本酒なら大吟醸に限ると書いている。なぜなら、ぬかと白米のセシウムの含有比率はおよそ9対1だから、同じ日本酒でも、より精米の度合いを高めた純米大吟醸などの方が放射性物質の影響は少ないのではないかと、編集部は推測する。だが、日本酒造組合に確かめてみると、「そのような推測は成り立ちますが、実証するデータはありません」。日本土壌肥料学会の見解も、「大吟醸でも普通の日本酒でも、セシウムの濃度に差はないと思われます」とつれない返事。まあ、セシウムを気にして飲むより、飲みすぎに注意する方が体にはいいはずだ。  今週の第1位は、毎日新聞の小学生新聞編集部に届けられた、都内に住む小学6年生の「投書」をめぐる少々重たい話だ。  その投書は、同紙の3月27日付紙面に掲載された元毎日新聞論説委員で経済ジャーナリスト・北村龍行氏が書いた「東電は人々のことを考えているか」というコラムに反論するものだった。  北村氏は、東電という会社が起こした原発事故が、日本社会に与えた影響の大きさをつづった後、自己処理につまずいていることを指摘し、その理由を、東電が地域独占で競争がなく、危機対応能力を磨く訓練を受けていなかったからだと書いた。  これに対してゆうだい君(仮名)は、父親は東電社員と名乗った上で、こう反論している。 「(北村氏のコラムを読んで)無責任だと思いました。(略)原子力発電所を造ったのは誰でしょうか? もちろん東京電力です。では、原子力発電所を造るきっかけをつくったのは誰でしょう。それは、日本人、いや、世界中の人々です。その中には、僕も、あなたも、北村龍行さんも入っています」  こう書いた後、少年は、発電所が増えたのは、日本人が電力を過剰に消費してきたからであり、中でも原発が増えたのは、地球温暖化を防ぐためだと主張する。ここまでは原発推進派と同じ理屈だが、少年は、地球温暖化を進めたのも世界中の人々で、だからとこう続ける。 「原子力発電所を造ったのは、東電も含み、みんなであると言え、また、あの記事が無責任であるとも言えます。さらに、あの記事だけではなく、みんなも無責任であるのです」  ゆうだい君は、「僕は、東電を過保護しすぎるかもしれません」と、自分の立ち位置まで冷静に分析している。この投書が5月18日付で掲載されると、毎日新聞本紙に転載され、大きな反響を呼んだのだ。  「現代」ではゆうだい君がした問題提起を、各方面に聞いている。保安院や東電社員は、よくぞ言ってくれたと大喜び。当の北村氏は苦笑。鎌田慧氏は「責任は東電と国にある」と反論。  藤原正彦お茶の水女子大名誉教授はこう言っている。 「少年のほうが正しい。東電にも責任はあるけれど、彼らは政府や保安院、安全委員会など国家の基準に沿ってやってきた。その意味では国にも責任がある。しかし、一番責任があるのは国民です。原発はテロの危険性もあるし、他国では警察や軍が警備するのが常識。そういう体制がないのは、国民の危機意識が低いからです。だから、今回のような危機にも対応できない。(中略)あのコラムのように東電だけがクロというようなオール・オア・ナッシングではいけないのです」  議論百出だが、多くは東電が悪いという意見だった。そして編集部はこう結ぶ。 「ゆうだい君、納得できないかもしれないが、その時は編集部に反論を送ってくれればいい。言ったこと、起こしてしまったことには責任を持つ。東電だけじゃない。それが大人の社会のルールなんだ」  「現代」編集部もずいぶん大人になったじゃないか。そう思わせる好特集だと思う。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
「責任」はだれにあるのか なすりつけ合いはもういいよ。 amazon_associate_logo.jpg
「ユッケが怖くて原発で仕事ができるか!」防護服に書かれた原発作業員のホンネ 「週刊現代」が素人目線で追求した、孫正義義援金100億の行方 根拠のない安全神話はもううんざり! 永田町に問う「政治とは何か」

「ユッケが怖くて原発で仕事ができるか!」防護服に書かれた原発作業員のホンネ

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「週刊新潮」5月26日号 中吊り広告より
第1位 「防護服の背中に書かれた『御国の為にがんばりやす』」&「グラビア 防護服の道化もいる極限の地『福島原発』」(「週刊新潮」5月26日号) 第2位 「『大津波 みんな流して バカヤロー』涙涸れたその後に 震災川柳傑作選」(「週刊ポスト」6月3日号) 第3位 「子どもにがん保険を掛けるべきか」(「サンデー毎日」6月5日号)  5月24日から6月2日までIAEA(国際原子力機関)が福島第一原発の事故の経緯を調べるため、原発内のカメラ映像の解析や、政府への聞き取りを行う。  これまでも重要なことを隠してきた菅内閣・保安院・東電は、何を暴かれるのか戦々恐々であろう。  ここへきて、政府が毎日発表している各地の放射線量への疑義や、避難の対象になる20ミリシーベルト/年という数値が、子どもたちにとって高すぎる数値ではないかという批判の声が高まってきている。  チェルノブイリ原発事故で、ベラルーシの子どもたちに、それまで11年間で7人しかいなかった小児甲状腺がん患者が、事故後の16年間で2,010人に増えたと、第3位に挙げた「毎日」の記事の中で書いている。  感心するタイトルではないが、子どもを持つ親ならばドキッとするだろう。冒頭で、「福島でがん保険に加入してくれる親が増えた」と大手生命保険の支社長が言っている。  政府や東電は、原発事故での放射能は「ただちに健康に影響することはない」と言い続けてきたが、これが深刻な事態を先延ばしにするための方便であることを、国民が知ってしまったから、自衛のためでもあるのだろう。 「がん診断確定時に100万円、入院・通院1日につき1万円が支払われる基本タイプだと、0歳児の保険料は月額800円程度だ。保険料は契約時の年齢が若いほど安い。期間が『終身』なら毎月の保険料は一生涯変わらない」(毎日)  確かに、がんの危険が高まるのは40歳からだし、子どもの医療費には自治体の助成制度があるから、がん保険は必要ないという意見もある。だが、子どもは育つ環境を選ぶことができないのだから、万が一に備えてと、親が考えるのは無理もないのではないか。  被災地では、解体作業や撤去の過程で、大量のアスベストが飛散し、吸い込んでしまう危険性もある。アスベストはじん肺や悪性中皮腫の原因になり、吸い込んでから30年以上の潜伏期間を経て肺がんを発症することが多いため、やはり、がん保険への関心が高まっていると書いている。  地震が発生してから2カ月半が過ぎるのに、復興への柱となる政策を打ち出せないでいる菅直人無為無策政権への不信感が、こうしたことの底流にあるのは間違いない。  ところで、「ポスト」の「現代」に対する批判は、週を追うごとにボルテージが上がっている。今週も、「現代」が燃料棒の大半がメルトダウンしている疑いが判明したから、放射能汚染のケタが一ケタあるいは二ケタ跳ね上がる恐れがあると書いたことに、現実的ではないと断じている。  さらに、政府や東電が放射線量を低く出るように細工していたと書いたのは「謀略史観すぎる」としている。タイトルに、たとえ「煽り派」から「安全デマ雑誌」と呼ばれようが「ポスト」は真実を書くとある。その心意気はいいが、今の読者の関心は「放射能はどこまで危険なのか」にあるのではないだろうか。  しかし、「現代」も含めて、原発や放射能の危険性を声高に叫ぶ雑誌の多くが、同じような学者や評論家を登場させ、同じような切り口でしか見せられないのは、ちと芸がなさ過ぎると思う。  そんな中では、少し角度を変えた「ポスト」の震災川柳が目を引いた。 「大津波 マニフェストまで 流し去り」「災害が 冷えた夫婦の よりもどす」「困ってます 救援物資で 嫁がほしい」「酷い海 憎みきれない浜育ち」「夢は瓦礫の山の 下にある」「福島を 『フクシマ』にした 世界地図」  宮城県南三陸町では、週に一回程度、地区の集会場の前で川柳大会を行っているという。それ以外に、地元紙に掲載された川柳もある。技巧的にはまだまだのものもあるが、体験した者でなくてはつくれない切実な川柳が多く、胸に迫る。こうした、少し違う角度から今度の震災を考える視点は、このところの「ポスト」はとてもいい。  今週の第1位は、「新潮」の記事とグラビア。特にグラビアがいい。防護服の背中に「日本政府文句があるなら現場で言え」「事件は現場で起きている」と書いている作業員たち。  ガスマスクをつけ防護服を着てしまうと、誰が誰だか分からなくなるので、マジックで氏名を書いていたのが、頭のところに似顔絵を描いたり、卑猥な女性器のマーク、さらにこうした不満を表現するようになってきたのだという。  記事の中で、「御国の為にがんばりやす」と書いた人物の同僚、24歳の作業員はこう語っている。 「仕事としてここに来ているわけで、国のため、国民のためとか、命をかけて特別に大金を得るために作業しているわけでもない。それなのに、一方でテレビを見ていると、国民は『現場の作業員、がんばって!』と言いますよね。応援の気持ちからなのでしょうが、私たちとすれば、そのギャップに複雑な思いを抱かざるを得ない。それで、皮肉の意味を込めて『御国の為に』と自虐的に書いているのですよ」  40代の作業員・林良夫氏は、元請け会社から「10日ぐらいで終わる福島出張の仕事が来ているけどどうする?」と打診され、来てみたが、今なお原発で働いている。作業現場での一日を語ったのち、休みは10日に1日ぐらい、給料は日当で1万3,000円から1万5,000円程度、危険手当はまだ支給されていないと話している。  別の作業員・佐藤英夫氏(33)は、2号機で放射能汚染水を集中的に管理する作業をやっているが、防護服に防塵マスクをつけ、さらに顔を全面的に覆うプラスチック製のガードを装着するため、今でも熱がこもってきついという。会社から小まめに休憩して水分を摂るように言われているが、マスクを取ると内部被曝するから、我慢してなるべく水分を摂らないようにしている。  先の24歳の作業員によれば、作業を始めるに当たって、大手ゼネコンから放射線に関する簡単な講義を受け、危険だと感じたら自己責任で逃げるように指導されたが、避難訓練もなく避難経路さえも教えられていないというのだ。そうした日々の憂さをこうして晴らすという。 「つい先日、同僚3人で仕事の後、いわき市内の焼き肉屋に繰り出しました。そこで無理やり生肉のユッケを頼み、3人前を一気に食いましたよ。"ユッケが怖くて、原発で仕事ができるか!"と雄叫びを上げながらね」  23日の「asahi.com」にこんな記事が載っている。 「『原発作業60歳以上で』165人応募、議論呼ぶ」 「復旧作業が難航している東京電力の福島第一原発をめぐり、東京都内の元技術者が独自に『暴発阻止行動隊』として高齢者に作業への参加を呼びかけたところ、現在までに165人の応募があり、論議を呼んでいる。行動隊が実際に作業できるかどうかは未知数だが、原発では長期化する作業の人員確保が難しくなっている現状がある。(中略)条件は60歳以上で、原発での現場作業ができる体力・意思がある人」(asahi.comより)  子や孫を守るために、我が身を放射能にさらしてもいいという年寄りたちの気概はよく分かるが、その前にやるべきことは、東電や政府に、原発の実態をすべて明らかにせよと迫ることである。  その上で、どうしても年寄りたちの力が必要だというのなら、行ってもいいという男気のある連中もいるかもしれない。なにしろわれわれは、学生時代に高倉健の『昭和残侠伝』に熱狂した世代なのだから。  しかし、今のまま、国民に重大な事実を隠し続けるのなら、東電のトップや政府、官僚たちに、こう言わなければならない。「死んでもらいます」と。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「週刊現代」が素人目線で追求した、孫正義義援金100億の行方 根拠のない安全神話はもううんざり! 永田町に問う「政治とは何か」 「人生を甘く考えている部分がある」佑ちゃんに抱かれた年上女性が苦言

「週刊現代」が素人目線で追求した、孫正義義援金100億の行方

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「週刊現代」5月28日号 中吊り広告より
第1位 「いつ届く孫正義の『義援金100億円』」(「週刊現代」5月28日号) 第2位 「内橋克人が警告『放射能が招くスロー・デス』」(「週刊朝日」5月27日号) 第3位 「世界SEX二大文明歴訪PART1 ローマ人のSEX」(「週刊ポスト」5月27日号)  よく知られていることかもしれないが、テレビのワイドショーは週刊誌をお手本に始まった。ワイドショー草創期には、スタッフが週刊誌をごっそり買い込んできて、それをみんなで見ながら企画を考えたと、当時のプロデューサーから聞かされた。  1冊に政治・経済はもとより、小説からヘアヌードまである"幕の内弁当"スタイルの日本の週刊誌は、世界でも珍しい。  新聞・テレビがやらないことをやるのが週刊誌ではあるが、面白くなくては週刊誌ではない。東日本大震災以降、エンタメ系にこれはと思うものがなかったが、今号の「ポスト」の「ローマ人のSEX」にはちょっぴり驚きがある。PART2は「中国人の性生活」であるが、こちらは言い古されている。  リードで、すべてのSEXはローマに通ずと書いてあるが、『ローマ人の物語』塩野七生もビックリかもしれない。  ローマ人は風呂好きで有名だが、古代ポンペイ市には6つの公衆浴場があり、そこは混浴だったそうだ。  脱衣所には木製の木箱が並んでいて、目印として後ろに番号と絵が描かれていたが、絵のテーマはSEXだった。騎乗位で交わる男女や変則的な体位を楽しむ乱交の画もあったという。  木村凌二東大教授は、ローマ市民と江戸時代の町民との共通点は、無類の風呂好きだったことだという。  そこから「ポスト」は「穿った見方だが」と注釈をつけて、こう大胆な推理をする。両都市ともにオーラルセックスが盛んだったのは、清潔好きが影響したのではないか、と。ポンペイでは「クンニリングスの絵」が発見されている。  度外れたサディズムと放恣、無節操な性行動で有名だった3代皇帝カリギュラ。暴君ネロは母子相姦から、お気に入りの少年に性転換させ、自分の"妻"として輿入れさせたという。  ポンペイは18世紀から発掘が進み、町並みがソックリ再現されているが、至る所に落書きが残っていて、そこには赤裸々なSEXへの思いの丈が描かれている。  「男根が命じるのだ、愛せよと」「来た、やった、帰った」「射精する」などなど。  ほかにもローマ人のSEXを題材にした映画『サテリコン』や『カリギュラ』について。ローマ屈指の恋愛ハウツー本『アルス・アマトリア』。人気漫画家『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ氏インタビューなど、しばしの間、浮き世の憂さを忘れるにはいい読み物である。  第2位は「朝日」。やや硬派だが、一読をお勧めしたい経済評論家・内橋克人氏のインタビュー(表紙の綾瀬はるかもいいぞ!)。  氏は、菅直人首相が立ち上げた東日本大震災の復興構想に疑義を呈する。五百旗頭(いおきべ)真議長が「創造的復興」を掲げているが、これは阪神大震災の時にもよく使われた言葉だと指摘し、枝野幸男官房長官も「阪神・淡路大震災の経験を生かしてほしい」と言っているが、阪神大震災は成功モデルではないと言い切る。  作家の小田実氏らと、被災者の生活基盤回復を助ける市民・議員立法を実現するための運動に加わり、1998年5月、最高100万円(当時)を支給する被災者生活再建支援法に結び付いたが、それまで国には、そうした「概念」さえもなかったという。  その後この法律の改正があり、最高300万円まで出るようになったが、使い道が限られ、給付を受けるのも容易ではなかった。  そのため二重ローンに苦しむ人が数多く生まれ、いまは貧困ビジネスと言われる高金利のシステム金融が始まった。災害復興住宅では孤独死や独居死が相次ぎ、いまでも被災の大きかった地域の自殺率は突出して多いのである。  また、震災1カ月後に神戸市が出してきた都市計画事業は、震災前に住民からの反対や非難で難航していたもので、市はこのときとばかり一挙に実現しようとしたため、西須磨まちづくり会議は「住民にとっては第二の大災害」だったと記録している。  建てられたのは無機質な高層ビルばかりで、「本当に大切な路地などが消えました。もはや『呼吸する町』ではなくなってしまいました」、「阪神大震災の復興は、肝心の『人間復興』において大いなる悔いを残しました。こういうやり方のどこが、今回の震災復興に生かせるのか。不思議でなりません」と憤る。  東日本大震災は、自然災害と犯罪的人災という性質の違う二つの災害があり、復興が大切なことは言うまでもないが、そのことと原発をここまでに至らせた国・行政・電力会社の責任を糾弾する作業は、厳しく峻別しなければならないとしている。  最後に、「社会、政治、権力の構造を根本から変えなければ、本当の意味での被災地の『人間復興』は期待できないと思います」と結ぶ。  放射能の深刻な数値を隠ぺいする政府や保安院。福島第一原発の危機的状況を隠し続けて恥じない東電首脳。この連中が考えているのは自己保身だけである。  先日、私の友人が福島県へ行って市長や村長に会ってきた。彼が開発した放射能を測定し、長期に累積データ化できる精巧なシステムを寄贈するためである。  中でも福島市の市長は喜んでくれたという。なぜなら、いま出されているモニタリングポストの放射線数値では、福島市は避難するほど高くはないが、信用できないというのだ。さまざまなところが計測している放射線量は、かなり高いからである。どちらを信じればいいのか悩んでいたようだ。これがあれば自分たちで計測・累積することができる。だが、もし避難しなければならないほど数値が高かった場合、約30万人もいる福島市民は、どうすればいいのか。市長はどういう決断を下すのか。新たに深刻な悩みが市民を襲ってくるのだ。  今週の第1位は「現代」の孫正義に関する記事。週刊誌の役割の一つは、読者の素朴な疑問に答えることである。これは、そのお手本のような記事だ。  ソフトバンクの孫正義社長が「被災者に100億円の義援金を寄付する」と言ったのは4月3日。それから1カ月半以上経過するが、あのおカネはどこへ行ったのでしょうか?  いくら資産が日本人トップ、約6,800億円の孫社長でも、100億のカネをすぐ右から左へ動かせるとは思わないが、そのうちの2~30億円は支払い済みなのではないか、そう思うのが由緒正しい貧乏人の考えることである。  ユニクロの柳井社長は3月23日に10億円、楽天の三木谷社長は4月11日に10億円の送金を済ませている。  そこで、貧乏人の味方「現代」が、方々尋ね歩いてくれた。発表した段階で、孫社長が言っていた「日本赤十字」「赤い羽根共同募金」に聞くと、赤十字は5月6日時点で総額1,700億円集まったが、100億円寄付した事実はないようだ。赤い羽根も同じ。  その他、日本ユニセフもNGO・JENも「ノー」だという。日本一のおカネ持ちに二言はないだろうと、各地の自治体にも問い合わせるが、これも同じ。  どうやら、ソフトバンク側の「方針が決まっていない」ためだということが分かってくる。  寄付を発表したこともあって日経BPの企業好感度調査で第1位になったソフトバンクだが、もたもたしていると嫌われ度第1位になっちゃうよ。  それならばとソフトバンク広報室へ直接聞くと、やはりまだ1円も寄付してないというのだ。  イメージアップに利用したのではないかというきつ~い質問への答えが面白い。 「時間がなくて本人に確認できませんでしたが、察するにそういうことはなく、孫の被災地を思う善意の気持ちからだと思っています」  これって広報的返答じゃないね。孫さんに叱られるぞ。  孫氏と親交のある証券アナリストは、彼はキャッシュではなくソフトバンクの株を売ってカネをつくろうと思い、少しでも損をしないように時期を見ていたのだが、このところの値下がり基調で目論見が外れたのではないかと見ている。  100億円を捻出するために孫氏が大量に株を売り、株価が下落するのではと懸念した個人投資家が、売りに走ったというのだ。  確かに、寄付発言の翌日、4月4日の終値が3,255円で、5月12日の終値は3,065円。190円の値下がりだ。  その他の説では、そもそもハナから出す気がなかったのではないかという、大胆な説まであるという。ソフトバンクは元々業績はいいが、有利子負債が2兆円超ある。これまで自転車操業でやってきたが、一つ壊れればガラガラ崩れる会社だと言われてきたから、寄付は世論を味方にするための見せガネのようなものではないかというのである。  いくら何でも世界の孫さんに失礼だろうと思うが、こんなウワサを立てられるのも、さっさと寄付しないからである。この記事が出て、慌てて寄付するのもみっともないが、やらないよりはなんぼかいい。  本人がTwitterでつぶやいているように「孫正義、死すとも、正義は死せず」。早うやんなはれ。 (文=元木昌彦) ※編集部註 この記事にある「週刊現代」が発売された16日の夕方になって、ソフトバンクは100億円の配分先を発表いたしました。時事通信などの報道によると、孫氏は6月上旬に発足する「東日本大震災復興支援財団(仮称)」に40億円を寄付。同財団はソフトバンクが中心となって設立され、震災により親を失った子どもへの奨学金や、NPOによる被災地活動の支援などを行うとのこと。このほか、日本赤十字社と中央共同募金会、岩手、宮城、福島各県にそれぞれ10億円、茨城、千葉両県に2億円ずつ、日本ユニセフ協会などに計6億円を寄付するとなっています。
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
孫正義名語録 本当に信用してもいいんですか? amazon_associate_logo.jpg
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「表現の自由」では許されない エロマンガ「自粛案」の顛末と、児童ポルノ法改定強化の危機

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『あきそら』秋田書店
 先月、多くのマンガ・アニメファンが驚愕した成年向けコミックを発行するアダルト系出版社を含めた出版業界の「自粛案」をめぐる問題(記事参照)。直後に開かれたアダルト系出版社の業界団体・出版倫理懇話会(以下、懇話会)の会合では、あくまで現実味のない「素案」に過ぎないことが確認された。その上で、大手から中小まで、各出版社が恐れる都条例の先にある危機が浮かび上がってきた。  前回の記事でも記した通り、問題となった「自粛案」は、日本雑誌協会などで構成される出版倫理協議会(以下、出倫協)内に設けられた「児童と表現のあり方検討委員会」で示されたもの。本来、一部の委員にしか配布されなかった文書だったが、何者かによって、この資料は懇話会に加盟する各社に配布され、騒動の引き金となった。  筆者の元にも複数の出版関係者から情報が提供されたが、中には「早く(自粛案を)つぶせ」などと口走る者もあり、さまざまな混乱が巻き起こっていることを感じさせた。さらには、この「自粛案」が配布された「児童と表現のあり方検討委員会」にオブザーバーとして出席していた懇話会の長嶋博文会長が「出倫協に5時間にわたって叱責された」という噂も飛び交い、「大手出版社が、中小アダルト系出版社をスケープゴートにしようとしている」という怒り交じりの陰謀論まで、巻き起こっていた。  こうした中、4月14日に開催された懇話会の会合に招かれた日本雑誌協会の渡辺桂志氏は、「日刊サイゾーの記事は先走りすぎている」と強く否定した上で、そもそも誰も「自粛案」に賛同しておらず、申し合わせ案を作るための、さらに素案レベルのものに過ぎないと話した。 「検討委員会では、参加者の誰もが"自粛では文言が強すぎる"と一致して、すべてリセットして話合おうということになったはずです。そのことは、その場にいた長嶋会長も確認していました」(渡辺氏)  対して、長嶋氏は、「リセットということであれば、それで構いません。それならば、申し合わせをするか、しないか。もし、するなら文言をどうするかということを話し合えばよいでしょう」と、その場を収めた。  こうして、懇話会の会合は先に示された「自粛案」が現実味のあるものとして各社に配布されたことが誤解だったことを確認。その上で、申し合わせ案の是非の検討、懇話会が「児童と表現のあり方検討委員会」にオブザーバー以外の方法で参加する等も含めて話し合うことなどを確認し幕を閉じた。 ◆本当の恐怖は児童ポルノ法改定  そもそも、なぜ「自粛案」と呼ばれるような申し合わせを考慮する必要が迫られ、さらに出版各社の間に混乱を招いたのか。  後日、取材した出倫協「児童と表現のあり方検討委員会」の委員で日本雑誌協会編集倫理委員長の山了吉氏は語る。 「長嶋氏に検討委員会へ参加していただいたのは、さまざまな意見をお伺いする目的です。もし、我々の疑問や質問を、責められていると感じたのなら誤解ですし、大変残念です」  その上で、山氏は都条例改定が成立したことで、児童ポルノ法を改定しマンガを含めた規制が行われることの危機が強まっていると警鐘を鳴らす。 「今回の都条例改定が、国会でなかなか実現されない児童ポルノ法の改定と密接に絡んでいるのは間違いありません。その中で、規制を進める主張を行う人々から再びマンガが攻撃材料にされるのは防げません。その時には、都条例と違い成年マークの付いた雑誌や単行本も、攻撃対象にされるでしょう。そのため、協議会、懇話会の枠にこだわらず抜本的な対策が必要になってきていると思います」(山氏)  与野党共に、まだ新たに児童ポルノ法の改定案を提出する動きは見せていない。しかし、規制強化を目指す側が、とにかく絵(マンガ・アニメ)を対象に入れたいという考えを改めておらず、東京都から国の法律へ、をもくろんでいることは容易に想像できる。そうした中で、成人マークの有無にかかわらず、なんらかの対策を設ける必要はあると多くの出版関係者は考えているようだ。  例えば、出版元の秋田書店が重版を行わないことを決めた糸杉柾宏氏の『あきそら』について、山氏は次のように話す。 「ページを変えて手を替え品を替え、さまざまな性表現が出てきます。雑誌ならばさまざまなジャンルの作品が掲載されているので性的刺激は薄められますが、単行本になれば、しつこいほどの性表現が出てくることになる。こんなに大胆な描写が繰り返される必然性は、どこにあるのか? マンガ家と編集者で表現のあり方を考えたほうがよいと思います」(前出・山氏)  ならば「成年コミックマーク付きならば問題ないのか?」となりそうだが、山氏は大山田満月氏の『ちいさなおててにやわらかほっぺ』(茜新社)を例に挙げ「成年コミックマークがあるからといって、幼児を性の対象としてもてあそぶことが"表現の自由"とはならない」と説く。  こうした作品が出版業界内部でも批判されるのは、児童ポルノ法改定でマンガ・アニメが規制されるのを防ぐための努力を無にしかねないと見られているからだ。  いずれにせよ、具体的な対抗策は、これからの話し合いに持ち越された。最後に、前出の懇話会の会合中、ロリ系の成年マーク付きマンガを出版する各社からの発言は、ほとんどなかったことだけは記しておく。 (取材・文=昼間たかし)
あきそら 2 アウアウ?(編) amazon_associate_logo.jpg
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根拠のない安全神話はもううんざり! 永田町に問う「政治とは何か」

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「週刊現代」5月21日号
佳作 「福島の海を『第2の水俣』にするのか」 (「週刊現代」5月21日号) 佳作 「菅官邸を牛耳る『オバマGHQ』の密使」(「週刊ポスト」5月20日号) 佳作 「『放射能と妊婦・乳児・幼児』その危険性について」(「週刊現代」5月21日号)  福島第一原発事故から2カ月もたたないのに、大本営発表の成果か、原発事故は順調に収束に向かっているかのような根拠のない安心感が、原発周辺地域を除いて広がっている。  そこへ、菅直人首相が突然「浜岡原発全炉停止」と発言したから、よく言った、ようやくリーダーシップを発揮したという声も出始め、菅政権支持率が少し上がったという報道もあった。  浜岡原発を止めるのは当然のことで、なぜ、中部電力社長が再稼働すると言った時に、すぐストップをかけなかったのか、その方が不思議である。  連休中に重大な「事件」が起きた。一つは、5月2日に細野豪志補佐官が、原発事故が起きた当初、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のデータを公開しなかったことについて、「パニックを心配して公表しなかった」と認めたことだ。  もう一つは、4月29日の内閣官房参与の辞任である。会見の席で小佐古敏荘東大大学院教授は涙ぐみながら、「年間20ミリシーベルトを、乳児・幼児・小学生に求めることは受け入れ難い」と発言した。  必要があって、連休中に放射線量を測るモニタリングポストについて調べてみた。驚いたことにモニタリングポストが設置されているのは、ビルの屋上などかなり高いところが多い(福島、茨城などでは1.3~2メートルぐらいのところもあるようだ)。それも一日1時間程度。  4月13~14日、私が原発の周辺30キロ、20キロ、10キロ圏内で測った放射線量は、飯舘村で地上約1メートルが毎時20マイクロシーベルト。だが、畑や小川のそばで測ると毎時200マイクロシーベルトを計測した。  浪江町では、場所によって、道路上や畑で毎時600マイクロシーベルトを超えたところもある。このように、計測する高さによって放射線量は相当な開きがあるのだ。  友人の元衆議院議員から聞いたところ、浪江町のモニタリングポストはどこに設置してあるのか、公表されていないという。  これが指し示していることは明らかである。いま発表されている放射線量は、実際よりも低い数値が出る場所に"意図的"に設置したモニタリングポストが計測した数値だということだ。  もっと言えば、ガイガーカウンター(正式名称はガイガー=ミュラー計数管)を実際に作っている私の友人の話では、低い数値を出すようにカウンターを作り替えることなど簡単にできるというのだ。  いま発表されている数値への不信感。根拠のない数値で、しかも、20ミリシーベルト以内は安全だと言いくるめられ、放射線にさらされている小さな子どもたちと、その親たちの不安感はいかばかりであろう。中には100ミリシーベルトまで安全だと言い放つバカ学者がいるそうだが、いい加減にしたがいい。  少なくとも放射能、それも内部被曝したら、何らかの健康被害が起こることは間違いないのだ。そうした危険から、住民を避難させ、安全・安心に暮らせるようにさせるのが政治ではないのか。まやかしの数値や、根拠のない安全性を百万遍語るより、大事なことを即刻やらなければ、政治家としてはもちろん人間としても失格である。  つい、連休中にたまっていた腹膨るる思いが爆発してしまったが、今週の週刊誌評へ話を戻そう。残念ながら大賞に該当する記事は見当たらなかったので、今週は3本を佳作とした。  まずは「現代」の記事。4月20日に「母乳調査・母子支援ネットワーク」(以下は母乳調査ネット)が発表し、それに慌てて厚労省が実施した母乳の放射性物質濃度の調査でも、福島・茨城・千葉の母親の母乳から高い濃度の放射線が検出された。  母乳調査ネットの代表・村上喜久子氏によれば、最初に調査を行ったのは3月24~30日で、高い母親で36.3ベクレルのヨウ素131が検出されたという。事故後2週間もたってからにもかかわらず、これほど高いというのは、元が非常に高いレベルの汚染だったに違いない。  内閣府原子力安全委員会専門委員を務めたことのある武田邦彦中部大学教授は、乳幼児は大人に比べて放射線の感度が3~10倍も高く、ガンの発生率も高くなることが分かっているとした上で、「たとえば福島県の空間放射線量が高い地域にお住まいの方ならば、空間からの放射線量だけで規制値いっぱいなのに、そこにたくさんの内部被曝が加わる。しかも大人より感度が高いわけですから、すべてが悪い方向にしかいかない。言いにくいことですが、それが現実なのです」と話す。  胎児へのがんのリスクについては、「オックスフォード小児がん調査」によると、「10~20ミリシーベルトという低線量でも白血病や固形がんのリスクが増えるとされている」。  ここで言っているように、ベント(原子炉格納容器の弁を開けて放射性物質を含む蒸気を排出する=筆者注)する前に、被曝の危険性を住民に知らせなかった東電や保安院の行為は犯罪的であり、その後も何の対策も取らず、ただ安全性を訴えるだけの政府も同罪であろう。  次は「ポスト」の記事。アメリカから派遣された、身分も名前も明らかにされない「アドバイザー」が、官邸に専用の部屋を与えられ、福島第一原発1号機の水素爆発を防ぐために窒素封入や格納容器の水棺作戦をアドバイスしていたことは、新聞でも報じられた。  しかもこの人物は当時、菅首相に代わって決裁権を握り、4月20日ごろに帰国したはずなのに、その後も官邸に顔を出しているというのだ。  彼は「ただの原子力の専門家」ではなく、オバマ大統領からの命を受け、「日米関係を悪化させることがないように指導する」(米民主党ブレーン)人間なのだそうだ。  「ポスト」はこういう状態をアメリカによる「第2の進駐」ではないかとし、震災復興よりも菅首相は、アメリカへの「貢ぎ物」を優先させたと批判する。  震災直後の3月末に、年間1,880億円にも上る在日米軍への思いやり予算を、5年間にわたって負担する特別協定を国会承認したのがそれだ。  大新聞は占領時代、GHQにすり寄り、彼らの批判など書かなかったが、震災後もそれに似て、米軍の「トモダチ作戦」を手放しで賞賛し、ビンラディン殺害も「首謀者の死は、大きな成果だ」(5月3日付読売社説)と礼賛報道一色ではないかと疑問を呈する。  続いて「ポスト」の記事。今回ウィキリークスが暴露した日米外交の秘話でも分かるように、政治家も官僚もアメリカにおべっかを使い、多額の日本人の税金を貢ぎ物として差し出している。このままでは、日本の農業を根絶やしにすると言われているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を、国民にほとんど説明もしないまま締結するのも間近かもしれない。  最後も「現代」の記事。冒頭、オランダ政府が公式に申し入れた海洋汚染調査を、外務省がひそかに拒絶していた外交文書があることから書き始めている。言うまでもなく福島第一原発から高濃度の放射能汚染水が海に垂れ流され続けているからである。同じようにグリーンピース・ジャパンの申し入れも拒絶した。  そうしておいて、斑目春樹原子力安全委員長の言葉に代表される「放射性物質は海で希釈、拡散される。人が魚を食べてもまず心配はない」といい続けているが、これは最大の公害事件と言われる水俣病の時と同じ言い訳だと断じる。 「希釈、拡散されるといって汚染物質をどんどん流し続ける、現在の福島の状況は水俣とソックリです。構図もよく似ていて、問題を起こした大企業のバックに国がいる。大企業も国も、問題を隠そうとする。水俣の時もすぐに海洋の汚染調査をしておけば、これほど患者が増えることはなかったでしょう」(水俣病訴訟で患者側弁護団長を務めた千場茂勝弁護士)  水口憲哉東京海洋大学名誉教授はこう言う。 「水産庁や国は本当はこう言いたいんですよ。『いま出るセシウムはチェルノブイリ由来のものだ』って。でもそう言うとまたややこしくなる。これまでチェルノブイリによる海洋汚染を隠してきましたから。『あんな遠いところでも影響があるのに、福島の放射能で汚染されないわけがない』と国民に思われたくないから、チェルノブイリの話ができないんですよ。でも1年後、高い数値が出てきたらこう言いだすと思います。『皆さん、チェルノブイリのときも知らずに食べてたんです。だから大丈夫ですよ!』と」  この国の政治家も官僚も、そして多くの国民も、水俣の教訓に何も学んでいないのだ。そんな歴史に学ばない国が、これからも先進国として生き残っていくのは、誰が考えても難しいと思う。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「人生を甘く考えている部分がある」佑ちゃんに抱かれた年上女性が苦言 "原発特攻隊"に誰がなる? 問われる日本の「正義」 「頑張って」はもういらない! 被災者支援、急ぐべきはカネと家と安心

万年赤字の"お荷物"「週刊ポスト」「女性セブン」が小学館社内でクーデター画策中!?

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小学館公式サイトより
伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ギョーカイの内部情報を拾い上げ、磨きをかけた秘話&提言。  大手出版社・小学館の分裂騒動が話題になっている。 「小学館発行の『週刊ポスト』『女性セブン』『SAPIO』を本社から切り離し、分社化するという案が急浮上しているらしい。しかしこの3誌は小学館の主要雑誌であり、看板雑誌でもある。『小学館はそこまで危機的状況なのか』と出版業界でも話題になっています」(出版業界に詳しい記者)  分社化といえば2008年、朝日新聞社が「週刊朝日」「AERA」など出版部門を切り離し、朝日新聞出版としたが、この時も本社と比較すると著しく低下した出版会社社員の待遇などをめぐって多くの波紋を呼んだ。小学館は特に業界内でも高給・高待遇で知られる出版社であることから、もし分社化すればその波紋はさらに大きいだろう。 「主要雑誌とはいえこの出版不況で、『ポスト』『セブン』は今期決算でも5億円以上もの赤字が予想されています。今やお荷物雑誌ですからね」(前同)  しかし、取材を進めると意外な事実が浮かびあがってきた。 「分社化という話は実際にあって、小学館内でもここ数カ月その話で持ち切りです。だが、小学館がお荷物雑誌を切り離すということでは決してない。というのも、分社化を主張しているのは『ポスト』発行人であり担当役員の秋山修一郎氏と『セブン』発行人の森万紀子氏の二人だからです」(小学館関係者)  一体どういうことか? 「この二人の発行人は、雑誌が赤字というのは自分たちの責任ではない、むしろ雑誌連載を書籍化したりムックにするとそれなりにヒットする。しかし、その業績は別の部署が持っていってしまい自分たちには金が回ってこない、という不満を持っているのです。さらに小学館ではアドバトーリアル室というタイアップ企画を専門に行う部門があり、『ポスト』だけでなく『セブン』『SAPIO』のブリッジ企画を売りにしていますが、それが上手く機能していない。そのため秋山役員は『分社化すれば自分たちの采配で上手くやれる』と本気で思っているのです」(前同)  実際、秋山役員は副社長である白井勝也氏に分社化を直談判したが「上手くいくはずはない」と相手にされなかったという。 「しかし秋山役員と森氏だけは本気なようです。白井副社長も最後は『勝手にすればいい』と匙を投げたとも言われている」(前同)  いわば二人の発行人による予算の利権争いクーデター騒動というわけだ。だが二人の不満は予算だけではないようだ。別の小学館の内部事情に詳しい関係者はこう証言する。 「『ポスト』『セブン』はここ数年人材不足が顕著です。特に若手は誰も希望しない『嫌われ雑誌』となっている。社員編集者など隙あらば逃げ出したい、という雰囲気ですからね。そのためスタッフの年齢も高くなる一方です。秋山役員は『分社化すれば専属のスタッフも雇えて、人材不足も解消する』と主張しているようですが、そんな問題ではない。何しろ人が逃げてしまう大きな原因は、秋山と森に"人がついてこない"という人徳のなさなのですから(苦笑)」  この関係者によれば「実際に分社化が実現する可能性は低い」という。それにしても、なんとも低レベルな分裂騒動である。 (文=神林広恵)
ドラえもん (1) やだやだ。 amazon_associate_logo.jpg
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