宮根誠司に隠し子!でも……"芸能人を潰さないスキャンダル報道"の在り方

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「女性セブン」1月19・26日号
第1位 「スクープ独占告白 宮根誠司(48)に隠し子!」(「女性セブン」1月19・26日号) 第2位 「宮崎あおい衝撃の『不倫疑惑』相手は超有名ジャニーズアイドル」(「週刊文春」1月5・12日号) 第3位 「首都厳戒 山口組VS関東連合『新時代の抗争』全内幕!」(「週刊アサヒ芸能」1月12日号)  年末年始の合併号は残念ながら、この時期らしい華やかな記事が見当たらなかった。わずかに「ポスト」がAKB48のクリアファイルを袋とじでつけたのが新年合併号らしく感じられただけだった。  子どもの頃、新年号というと近くの本屋へ飛んでいき、本屋のオヤジさんにハタキで叩かれそうになるまで、迷いに迷って1冊を選ぶときのワクワク感は忘れられない。  付録は雑誌の華であった。宝島のブランド品でなくていいから、こんなのがほしかったんだという夢のある「付録」をつけることを考えてみたらどうだろう。  考えればいくらでもあるはずだ。「フライデー」ならAKB48前田敦子がつけている香水の香り付き等身大ポスター。「現代」なら立川談志師匠の手拭い。「ポスト」なら小沢一郎のサイン入り色紙(笑)。  さて1月7日に韓国映画『哀しき獣』を見た。監督は『チェイサー』のナ・ホンジン。 「主人公のグナム(ハ・ジョンウ)は、中国・延吉に住む朝鮮族のタクシー運転手。生活苦の中、借金取りに追われているが、韓国へ出稼ぎに送り出した妻とは音信不通の上、賭け麻雀で大負け。そこに取引を持ちかけてきたのが、殺人請負業者のミョン(キム・ユンソク)。ソウルに行き、ある男を殺せば、借金を帳消しにするという。うまくいけば妻も見つけて、やり直せる。グナムは密航船で黄海を渡って韓国に入るが、待っていたのは、さまざまな黒い思惑がうずまく世界。罪をかぶせられて警察から追われる身となり、ミョン、そして標的を狙っていたもう一人の男、テウォン(チョ・ソンハ)からは、命までも狙われる」(読売新聞1月6日)  うらぶれた延吉や韓国の裏町がいい雰囲気を出している。徹底した暴力と血しぶき、迫力あるカーチェイス。これぞフイルムノワールの傑作である。  こうした映画を日本の作品で見ることができなくなって久しい。かつては『仁義なき戦い』や『仁義の墓場』などの深作欣二監督作品、一連の『昭和残侠伝』はヤクザの世界を素人衆に垣間見せてくれた。  めったやたらに人を殺す映画ばかりつくってきたビートたけしも、最近はバイオレンス度が低くなってきている。  昨年話題になった「暴力団排除条例」の以前から、ヤクザを賛美したり暴力を肯定するような映画は自粛するようになってきている。  新宿・歌舞伎町が石原慎太郎都知事のおかげで殺菌されたような無味乾燥な街になり、浅草も錦糸町も家族揃って遊べる街になってしまった。  ヤクザや暴力団関係者、その周辺の愚連隊(懐かしい言葉だね)が一人もいなくなったわけではない。彼らとて生きていかなくてはならない。いまでも多くのバーや飲食店が上納金を彼らに召し上げられ、売春やクスリは大きな収入源である。だがフツーの人たちは、何か事件でもない限りその存在を忘れて暮らしている。すぐ近くに彼らが生息しているのにだ。  暴力団の情報を知りたければ「アサヒ芸能」「大衆」「実話」を読めばいい。警察寄りではない暴力団の実態が時にはリアルに描かれている。  今週の第3位は「アサ芸」のそんな記事である。新聞やテレビでも報じられたが、昨年12月14日午前2時50分、六本木の雑居ビルにあるキャバクラ店で惨劇が起きた。  ジャージーやダウンジャケットを着たラフな格好の男たちが約20人乱入してきて、店のウイスキーのボトルなどを手にして、奥にあるガラスに囲われた席にいた4人の男をめった打ちにしたのだ。  被害者は山口系の幹部3人と極真連合会の元組員。3人は脳挫傷で意識不明、外傷性くも膜下出血、骨折などの重傷だった。  捜査関係者によると、六本木の路上でのトラブルが原因だったようだが、それにしてもすさまじい襲撃である。  襲ったのは「関東連合」と「怒羅権(ドラゴン)」といわれているが、住吉会系の組員も数人いたことがわかり、すわ山口組が抗争に突入するかと厳戒態勢が敷かれたという。  しかし12月19日に住吉会系組織のトップが詫びを入れ、和解条件を提示したことで話し合いに動いているようだと編集部は見ている。  ヤクザ同士では話がついても「関東連合」や「怒羅権」のような愚連隊とはどうなるのか。  「関東連合」がクローズアップされたのは2010年1月に起きた市川海老蔵暴行事件だ。それ以外でも元横綱朝青龍の暴行事件、押尾学の麻薬譲渡事件、上原美優の自殺などでも、ここの影がちらついているといわれる。  「関東連合」は1970年代に東京の複数の暴走族で結成された連合体だったが、最近世間を騒がせているのは90年代に不良少年だった30代から40代の関東連合OBたちだと、事情に詳しいジャーナリストが語っている。  彼らはクラブに遊びに来た上場企業の社長を美人局でハメ、大金を脅し取ったりして、実業家に転身して成功を収めている連中もいるそうだ。その連中に面倒を見てもらっている後輩たちが群がっている集団なのだ。  「怒羅権」のほうは帰国した中国残留孤児の2世3世が結成した愚連隊。最近では残留孤児とは関係ない日本人もメンバーにいるそうだが、その残忍さは相当なもののようだ。  こうした組織として不透明な愚連隊グループは、「暴対法や組織犯罪処罰法といった法律が成立していく90年代以降に、関東連合をはじめとする愚連隊が増長していった点は見過ごせない」(アサ芸)。こうした愚連隊のややこしいのは、組織自体が流動的で責任者の所在もハッキリしないことだ。  山口組も関東の組織も抗争厳禁の方針を打ち出しているのだから、報復はしにくいだろうと広域組織関係者が話している。  新時代なのかどうかはわからないが、警察に追い詰められている広域暴力団と、それをいいことに傍若無人にふるまう愚連隊グループを、警察はどう取り締まっていくのか。このままでは市民が巻き添えを食う危険性はますます高まってきている。そう思わざるをえない。  第2位は文春の宮崎あおい(26)「不倫疑惑」報道である。  年末に高岡蒼佑(29)と離婚した宮崎だが、その裏にジャニーズアイドルとの「不倫」があったというのだ。  語っているのは高岡の知人で、彼が所属するプロダクションの元社員。離婚を切り出したのは宮崎のほうからで、11月上旬、六本木の中華料理屋で「もう無理だよ......」と、やり直すつもりがないことを告げたという。  その後、離婚届が郵送されてきた。だが高岡は、自分名義で契約している携帯の支払い明細を見て「ある特定の電話番号」と頻繁に通話していることに気がついた。  高岡は意を決して電話をかけてみたが、相手は名乗ろうとせず「何か誤解されていませんか」と繰り返すだけだった。  高岡が相手の正体を知ったのは12月6日の夜。会いたいという高岡の申し出に相手がが応じて、都内の会員制のバーで会ったという。知人がこう話す。 「程なくして現れたのは、ニット帽に黒縁メガネをかけた、V6の岡田准一さん(31)だった。高岡は、さすがに岡田さんが来たことに驚いた様子でした。岡田さんは、高岡と宮崎の結婚式にも来ていましたからね」  始めは相談を受けていただけだと弁明していた岡田だったが、高岡が明細を突き付けると観念して謝った。 「高岡が彼の携帯電話を確認すると、そこには二人の親密さを示すメールのやりとりが残されていました。岡田さんから宮崎さんに送った〈今温泉に来てるよ〉というメールに対し、彼女が〈私も行きたい。また一緒に入ろうね〉と返していたのです」(知人)  岡田は映画『天地神明』(今年公開)で宮崎と夫婦役を演じている。岡田は平謝りで、芸能界を引退するとまでいったという。だが高岡は悩んだ末に離婚届に判をついた。  このスキャンダルはかなりのものだと思うが、テレビではほとんど取り上げられなかったようだ。当代の人気女優とジャニーズ事務所のアイドルとなればそれも致し方ないか。  NHKの『紅白歌合戦』を見ればわかるように、今のテレビはNHKでさえもジャニーズに乗っ取られた感がある。  その上、吉本興業の社長が「島田紳助の復帰を望む」発言をした。この非常識な発言に大マスコミが批判しなかったのはなぜだ。ジャニーズと吉本に牛耳られているテレビの惨状は、まだまだひどくなっていくようだ。  今週のグランプリは女性誌ながらスクープを発信し続ける「セブン」の記事。  『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)や『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で司会を務める宮根誠司(48)に隠し子がいたというのだ。発端は宮根が長年付き合ってきたA子さん(32)の知人から「宮根には奥さんでない人との間に3歳の子どもがいる」という情報からだった。  取材を申し込むと宮根は困った表情を浮かべながらも、一部始終をこう語った。 「A子さんと知り合ったのは6~7年前のことです。彼女は当時、夜のお店の接客スタッフとして大阪・北新地で働いていて、はじめはホステスと単なるお客という間柄でした。(中略)そのうち男女の関係になって、彼女の家にも行くようになりました」  宮根は93年に元モデルと結婚したが04年に離婚する。その後現在の妻であるB子さんと当時は恋人同士で、A子さんには「ぼくとは結婚できない」といってあったという。だが、結婚後A子さんから電話がかかってきた。 「07年の春ごろでした。ちょうど仕事が終わって夕方ぐらいに、ひさびさにA子さんから電話があって......。単刀直入に『子供ができた』といわれました。(中略)そのとき、ぼくが一瞬でも悩まなかったかといったら、嘘になると思います。正直、『困ったな......』とも思いました。だけど、尊い命が、すでに彼女のお腹の中にいると思ったら、ぼくがそれを奪ってええんかって考えて......」(宮根)  妻にそのことを伝えるまで1カ月ほど悩んだという。打ち明けると妻は沈黙を続け、1時間ぐらい経ってからこういった。 「(子供を中絶しなかったのは、)それはとりあえず正解や。あとはあなたのできる範囲で、自己責任でちゃんとやりなさい」  できた奥さんやわ! その前に宮根はA子さんの実家を訪れて両親に頭を下げている。  女の子が生まれたとき、彼は「ぼくにとってカノジョは宝だなって思いました」。2カ月後にその子を認知している。そして昨年5月に宮根と妻の間にも女の子が誕生した。  宮根はこう夢を語ってもいる。 「ぼくが70才ぐらいになったときに『お前ら、集合!』って、ふたりのむすめたちを呼んで、3人で飲みたいですね」  私は宮根の番組をほとんど見たことがない。だがこの記事を読んで見てみたくなった。宮根っていいやつじゃん。  テレビで有名になったためにスキャンダルで潰れていく人を何人も見てきた。だがこの記事にはホッとさせられる何かがある。  昔、結婚式でカミさんの叔父から、こういわれたことがある。 「スキャンダルを書いても、それが出たあと、その人間からありがとうといわれる記事を書く編集者になってくれ」。  自分にはできなかったが、こういう記事のことをいうのかも知れないと、読んでいて思った。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「週刊現代」1月7・14日号
第1位 「北朝鮮 次は『金正恩暗殺』『軍部クーデター』の異常事態」(「週刊現代」1月7・14日号) 第2位 「賢者51人 知りたい 知りたくない大予言」(「サンデー毎日1月1・8日号) 第3位 「化城の人 池田大作と創価学会の80年」(「週刊ポスト」1月1・6日号)  ブエナビスタが泣いた。  彼女にとってのラストラン・有馬記念が終わり、引退式の直前、暮れなずむ中山競馬場の空から雪が舞い降りてきた。  関係者たちに歩み寄ってきたブエナビスタの顔がアップになると、両目に涙が溢れ、右目からこぼれた一粒が光っていた。  その涙は、GI競走6勝の女傑が3歳の若駒・オルフェーブルに負けた悔しさか、まだ走れるレースへの未練だったのだろうか。  勝者オルフェーブルには何もやるな。敗れ去ったが、記憶に残る名馬ブエナビスタは、3.11の大震災で萎えそうになった日本人に勇気を与えてくれた名牝として長い間語り継がれるであろう。  その宵、中山競馬場全体がブエナのための「メリークリスマス」になった。さらばブエナビスタ、感動をありがとう。  ところで、ソニーが電子書籍専用端末「リーダー」を講談社の人間全員に配ったという。  電子書籍2年目でもなかなか進まない電子書籍市場にインパクトを与えようというものだろうが、この程度ではたいしたインパクトにはならないだろう。  講談社の中でも、配られて1度か2度見ただけで机の中に放り込む者、印鑑を持って取りに行かなければならないので面倒くさいという者それぞれだが、さほど関心は高くないようだ。  楡周平の『虚空の冠』(新潮社)は電子書籍のプラットホーム争いを描いた傑作小説だが、ソフトバンクの孫正義がモデルと思われるベンチャー企業の社長がアマゾンの「キンドル」のような端末を100万台無料で配ることを考え、実行する。  それに危機感を持った読売新聞の渡辺恒雄がモデルらしきメディアの帝王が、通信キャリアや大手出版社を巻き込んで、やはり無料で端末を大量に配り、電子書籍のプラットホーム戦争に勝利するというストーリーだが、これぐらいの台数を無料で配るぐらいの英断をしないと、この市場の先行きはまだまだ暗いだろう。  12月25日付の朝日新聞によれば、iPadなど新端末向けの売上額が2009年度の4倍の約24億円になったそうだ。携帯電話やパソコンを含めた電子書籍の販売額は約650億円だから、書籍売り上げ全体の1割弱だが、そのほとんどはマンガの売り上げである。  私が以前から言っているように、文庫本を超える優れた端末(ハード)が出てこない限り電子書籍の市場は大きく広がらない。  その点では「リーダー」も「キンドル」もまだまだ使い勝手が悪い。電子書籍に対する大手出版者側の腰の引け方を見ても、ビジネスモデルにはならないと踏んでいることが分かる。2012年も電子書籍に関しては暗中模索、試行錯誤が続くと思う。  さて、今週の3位には佐野眞一の新連載を挙げる。連載がこの賞の対象になることはほとんどないが、この「化城の人」には注目である。  なぜなら、池田大作創価学会名誉会長が公式の場から姿を消して、すでに1年半あまりが経つ。普通に考えれば病状が深刻化しているとしか考えられないが、創価学会側はだんまりを決め込んでいる。  池田名誉会長についてのノンフィクションを書こうとしているライターは、私が知っているだけで数人はいる。  創価学会という新興宗教についての面白さもさることながら、池田大作という人物への興味は尽きない。創価学会を日本最大の宗教団体にし、公明党という政党まで作り政界進出をし、あわよくば日本を創価学会一色にしてしまおうという野望は果たされることはなかったが、今こそ徹底的に検証してみるべきだろう。  矢野絢也という男がいる。公明党の委員長まで上りつめて学会の幹部でもある。  かつては池田の熱烈な信奉者であり忠臣であった。その彼が、今や反池田の急先鋒である。  そこへ至るには長い池田・学会との葛藤の歴史があるのだが、今回はそこまで書く紙幅がない。  確実に池田創価学会は瓦解し始め、後継者が誰になろうともこれまでのような一枚岩の体制を維持していくことができないのは、北朝鮮と似ているかもしれない。  佐野眞一がノンフィクション・ライターとして秀でているところは、獲物を捕らえるタイミングを外さない鋭い嗅覚にある。  池田大作創価学会名誉会長時代の終わりを告げようとしている今、彼が何をどう書こうとしているのか注目せざるを得ない。  化城(けじょう)とは法華経の教えの一つで、苦しい悪路を行く旅人が、最終目的地があまりに遠いのであきらめないよう途中に神通力による架空の城、蜃気楼の城を造り、そこで一旦休んだ上、旅を再び続けさせるという説話からとられたという。  1回目は、池田が生まれた大田区大森にある池田家代々の墓に目を向ける。その寺「密厳院」という寺は日蓮宗ではなく、真言宗の寺だというのだ。 「自分の家族や一族でさえ折伏できなかった男が創価学会の会長におさまる。そればかりか、以後半世紀以上その組織のトップに居座り続ける。それが、池田創価学会の最大の謎である」  この大河ノンフィクションがどういう展開を見せるのか、池田という人間がどう描かれるのか、佐野のライターとしての力量も試されることになるはずである。  第2位には年末恒例の予測特集の中で、比較的面白いものがそろっていた「サンデー毎日」の記事を挙げてみた。  1月から12月までに分けて、その分野の"賢者"が予言している。1月は「米国がイラン攻撃開始」するという物騒なことを、佐々木良昭東京財団上席研究員が言っている。  その根拠は11年12月4日にイランが米軍の最新鋭無人偵察機「RQ170」を押収したことだという。これは最先端の技術を満載しているため、米国としてはその情報がロシアや中国へ流失しないよう破壊するしかないのだという。  2月。北朝鮮は2月16日に金正日の誕生70年を盛大に祝うそうだが、「金正日誕生日『拉致被害者帰国なし』」と朴斗鎮コリア国際研究所所長が予言している。  金正恩になっても表面上は何も変わらないようだ。  気になる項目を拾っていく。3月には、富士山が300年ぶりに噴火すると警告する木村政昭琉球大名誉教授の「『3・11』から1年 富士山大爆発は4年以内」。  小沢一郎が政治資金規正法違反の罪に問われている裁判で無罪が出る。その結果、検察審査会が解体されると予測しているのはジャーナリスト魚住昭。  島田紳助が春の特番で芸能界へ復帰するという仰天予言するのは元吉本興業の木村政雄。  5月22日にオープンする東京スカイツリーは地元にとって恩恵がまったくなく、併設されるショッピング街に出店する墨田区内の業者はゼロだそうだ。東武鉄道は年間2,500万人の客を見込むが、下町情緒を壊すだけの乱暴な開発は、観光客から飽きられるだろうと予言するのは西恭三郎共産党墨田区議団長だが、私も同意見である。  6月には「解散・総選挙 野田辞任、『枝野首相』」と読むのは政治ジャーナリストの歳川隆雄。  在沖縄米海兵隊のグアム移転が白紙になり、普天間飛行場の移設が断念される可能性が現実味を帯びてきた。  6月の沖縄県議選では、「沖縄独立論」を唱える候補が出てくるかもしれない。そうなると、尖閣列島領有権を主張している中国がこれを好機とみて、まずは"尖兵"としてチャイナマネーを沖縄に投入してくるのではないかと予言するのは政治評論家の丸山勝彦。  8月には「ロンドン五輪で金メダルは19個」と楽観的な見方をしているのはスポーツジャーナリスト二宮清純。  9月の項では、メジャーリーグ入りをしたダルビッシュが15勝すると予言するのは野球評論家の与田剛。ただし、これまでのような中6日ではなく中4日のローテーションに戸惑うと5勝程度かと。  11月には米大統領選挙が行われるが、再選が危ういといわれるオバマが逃げ切ると読むのは渡部恒雄東京財団上席研究員。  共和党は前マサチューセッツ州知事ロムニーが有力だとする。失業率7%を超えると再選できないというジンクスがあるが、10%台から8.6%まで回復させてきた実績と巧みな話術で、オバマは再選を果たすというのだ。  12月には14年ぶりに日本人横綱・稀勢の里が誕生すると読むのは相撲ジャーナリストの中澤潔。  日経平均1万1,000円を回復するという、これまた楽観的な見方を示すのはマネックス証券チーフ・エコノミスト村上尚己。成長率が11年のマイナス0.9%からプラス1.3%と大きく改善し、内需系の増資が続き、消費税などの増税が決まれば自動車や住宅などの駆け込み需要が出てくるので株価も上がるというのだが、それって、増税された後は再び落ち込むってことだよね。元の木阿弥じゃん。  とまあ、当たるも当たらぬも八卦だが、今年以上の大災害が起こらないように祈るしかないようだ。  金正日の突然の死と若すぎる後継者・金正恩への不安感は近隣各国へ大きく広がっている。野田佳彦総理が珍しく韓国、中国と急いで話し合いをもったのも危機感の表れである。  金正日の死後、各誌この問題を扱っているが、「週刊現代」の特集に見るべきものがあったのでこれをグランプリに推す。  「現代」によれば中国は10月24日、次期中国首相に内定している李克強副首相が平壌へ行った際、ワインをがぶ飲みする金正日を見て、この独裁者の最後は予想されているより早いものになるだろうと中国首脳たちに報告していたという。  そのとき金正恩とも握手を交わしたそうだが、北朝鮮内部に異変が起きていることに気づいた。  首脳会談にも晩餐会の席にも金総書記の側近中の側近、金永春人民武力部長(国防相)の姿がなかったのだ。  金正日の命を受けて数々のテロを実行してきたのは金永春だといわれている。さらに金正日は将来の金正恩体制を全面的に支えてもらうために金永春を人民武力部長に昇格させ、後見人に指名した。  しかし、正恩と永春2人の考え方がまったく違うために、首脳部に大きな亀裂が生まれていると見る。  金永春は金正恩がやろうとした「10万戸の住宅建設」や「デノミ政策」「朝鮮国家開発銀行の発足」などを、経済改革が国外に門戸を開き、相対的に軍部の力が弱体化すると嫌って、ことごとく潰してきたという。  2人の確執はさらにエスカレートしていったために、ついに金総書記は金永春を疎んじるようになったのだが、その裏で驚く決断を中国側はしていた。それは金正恩を後継者として無能だと断じ、金永春に対して、金総書記亡き後は中国人民解放軍が全面的に支援すると伝えていたというのだ。  さらに金正恩が中国への亡命の道を選んでも、受け入れるつもりはない。軍の傀儡か亡命か。どちらにしても金正恩に明日はないというのが「現代」の読みである。  情報源が明示されていないので、このまま信じるわけにはいかないが、後ろ盾を突然失った若いボンボンがこの国を率いていくためには軍の協力が不可欠である。しかし、軍がさらにその力を強めていくことになれば、人民の窮状はさらに深まること、これも間違いない。  そうなれば北からの難民があふれ出し、金王朝はあっという間に崩壊するのだろうか。  26年前、私がたった一人で北朝鮮・平壌に3週間招待され見聞した体験をもとに言わせてもらえば「ノー」である。  国民は金日成が作り上げた「主体思想」を学び、学校教育だけではなく、日常的にテレビや映画、オペラ(北朝鮮はオペラ大国である)で、日本やアメリカ帝国主義の悪辣ぶりを見せられ、日韓併合時代の悪夢を常に思い出させられている。  白頭山から白馬にまたがり日本帝国主義を打ち破った金日成は彼らの神であり、その一族への尊敬の念はそう簡単に消し去ることはできない。  今すぐ日本がやるべきことは、難民やテポドン、ノドンが飛んでくることを恐れるのではなく、金正恩と話し合うパイプを作り、時間をかけて北を解放していく「太陽政策」を取ることにある。先ごろ韓国側が従軍慰安婦問題を出してきたように、朝鮮の人たちの日本への反感は根強いものがある。また、韓国と北は同じ民族であるということを忘れてはいけない。  平壌滞在中に多くの北の人間に話しを聞いたとき、一様に彼らの悲願は「民族統一」である。かつて韓国の要人が私にいった言葉を思い出す。 「韓国人は北に感謝すべきだろう。なぜなら南朝鮮の人間は本来が怠け者なんだ。北の脅威があったから、北に負けまいとして頑張って働くことができ、経済的な繁栄を築くことができたのだから」  南北が統一されてしまえば、中国、朝鮮、台湾に囲まれた日本は孤立するしかない。  2012年こそアメリカの呪縛から逃れ、中国、韓国と話し合い、朝鮮半島を安定させるために日本が主導的な役割を果たすべき年である。いまの野田政権にそんなことを期待してもと、はなからあきらめないで、だめならできる政権を選び直して、させるしかないと、私は思う。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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米軍イラン攻撃、富士山噴火、紳助復帰……"賢者"が2012年を大胆予言!

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「週刊現代」1月7・14日号
第1位 「北朝鮮 次は『金正恩暗殺』『軍部クーデター』の異常事態」(「週刊現代」1月7・14日号) 第2位 「賢者51人 知りたい 知りたくない大予言」(「サンデー毎日1月1・8日号) 第3位 「化城の人 池田大作と創価学会の80年」(「週刊ポスト」1月1・6日号)  ブエナビスタが泣いた。  彼女にとってのラストラン・有馬記念が終わり、引退式の直前、暮れなずむ中山競馬場の空から雪が舞い降りてきた。  関係者たちに歩み寄ってきたブエナビスタの顔がアップになると、両目に涙が溢れ、右目からこぼれた一粒が光っていた。  その涙は、GI競走6勝の女傑が3歳の若駒・オルフェーブルに負けた悔しさか、まだ走れるレースへの未練だったのだろうか。  勝者オルフェーブルには何もやるな。敗れ去ったが、記憶に残る名馬ブエナビスタは、3.11の大震災で萎えそうになった日本人に勇気を与えてくれた名牝として長い間語り継がれるであろう。  その宵、中山競馬場全体がブエナのための「メリークリスマス」になった。さらばブエナビスタ、感動をありがとう。  ところで、ソニーが電子書籍専用端末「リーダー」を講談社の人間全員に配ったという。  電子書籍2年目でもなかなか進まない電子書籍市場にインパクトを与えようというものだろうが、この程度ではたいしたインパクトにはならないだろう。  講談社の中でも、配られて1度か2度見ただけで机の中に放り込む者、印鑑を持って取りに行かなければならないので面倒くさいという者それぞれだが、さほど関心は高くないようだ。  楡周平の『虚空の冠』(新潮社)は電子書籍のプラットホーム争いを描いた傑作小説だが、ソフトバンクの孫正義がモデルと思われるベンチャー企業の社長がアマゾンの「キンドル」のような端末を100万台無料で配ることを考え、実行する。  それに危機感を持った読売新聞の渡辺恒雄がモデルらしきメディアの帝王が、通信キャリアや大手出版社を巻き込んで、やはり無料で端末を大量に配り、電子書籍のプラットホーム戦争に勝利するというストーリーだが、これぐらいの台数を無料で配るぐらいの英断をしないと、この市場の先行きはまだまだ暗いだろう。  12月25日付の朝日新聞によれば、iPadなど新端末向けの売上額が2009年度の4倍の約24億円になったそうだ。携帯電話やパソコンを含めた電子書籍の販売額は約650億円だから、書籍売り上げ全体の1割弱だが、そのほとんどはマンガの売り上げである。  私が以前から言っているように、文庫本を超える優れた端末(ハード)が出てこない限り電子書籍の市場は大きく広がらない。  その点では「リーダー」も「キンドル」もまだまだ使い勝手が悪い。電子書籍に対する大手出版者側の腰の引け方を見ても、ビジネスモデルにはならないと踏んでいることが分かる。2012年も電子書籍に関しては暗中模索、試行錯誤が続くと思う。  さて、今週の3位には佐野眞一の新連載を挙げる。連載がこの賞の対象になることはほとんどないが、この「化城の人」には注目である。  なぜなら、池田大作創価学会名誉会長が公式の場から姿を消して、すでに1年半あまりが経つ。普通に考えれば病状が深刻化しているとしか考えられないが、創価学会側はだんまりを決め込んでいる。  池田名誉会長についてのノンフィクションを書こうとしているライターは、私が知っているだけで数人はいる。  創価学会という新興宗教についての面白さもさることながら、池田大作という人物への興味は尽きない。創価学会を日本最大の宗教団体にし、公明党という政党まで作り政界進出をし、あわよくば日本を創価学会一色にしてしまおうという野望は果たされることはなかったが、今こそ徹底的に検証してみるべきだろう。  矢野絢也という男がいる。公明党の委員長まで上りつめて学会の幹部でもある。  かつては池田の熱烈な信奉者であり忠臣であった。その彼が、今や反池田の急先鋒である。  そこへ至るには長い池田・学会との葛藤の歴史があるのだが、今回はそこまで書く紙幅がない。  確実に池田創価学会は瓦解し始め、後継者が誰になろうともこれまでのような一枚岩の体制を維持していくことができないのは、北朝鮮と似ているかもしれない。  佐野眞一がノンフィクション・ライターとして秀でているところは、獲物を捕らえるタイミングを外さない鋭い嗅覚にある。  池田大作創価学会名誉会長時代の終わりを告げようとしている今、彼が何をどう書こうとしているのか注目せざるを得ない。  化城(けじょう)とは法華経の教えの一つで、苦しい悪路を行く旅人が、最終目的地があまりに遠いのであきらめないよう途中に神通力による架空の城、蜃気楼の城を造り、そこで一旦休んだ上、旅を再び続けさせるという説話からとられたという。  1回目は、池田が生まれた大田区大森にある池田家代々の墓に目を向ける。その寺「密厳院」という寺は日蓮宗ではなく、真言宗の寺だというのだ。 「自分の家族や一族でさえ折伏できなかった男が創価学会の会長におさまる。そればかりか、以後半世紀以上その組織のトップに居座り続ける。それが、池田創価学会の最大の謎である」  この大河ノンフィクションがどういう展開を見せるのか、池田という人間がどう描かれるのか、佐野のライターとしての力量も試されることになるはずである。  第2位には年末恒例の予測特集の中で、比較的面白いものがそろっていた「サンデー毎日」の記事を挙げてみた。  1月から12月までに分けて、その分野の"賢者"が予言している。1月は「米国がイラン攻撃開始」するという物騒なことを、佐々木良昭東京財団上席研究員が言っている。  その根拠は11年12月4日にイランが米軍の最新鋭無人偵察機「RQ170」を押収したことだという。これは最先端の技術を満載しているため、米国としてはその情報がロシアや中国へ流失しないよう破壊するしかないのだという。  2月。北朝鮮は2月16日に金正日の誕生70年を盛大に祝うそうだが、「金正日誕生日『拉致被害者帰国なし』」と朴斗鎮コリア国際研究所所長が予言している。  金正恩になっても表面上は何も変わらないようだ。  気になる項目を拾っていく。3月には、富士山が300年ぶりに噴火すると警告する木村政昭琉球大名誉教授の「『3・11』から1年 富士山大爆発は4年以内」。  小沢一郎が政治資金規正法違反の罪に問われている裁判で無罪が出る。その結果、検察審査会が解体されると予測しているのはジャーナリスト魚住昭。  島田紳助が春の特番で芸能界へ復帰するという仰天予言するのは元吉本興業の木村政雄。  5月22日にオープンする東京スカイツリーは地元にとって恩恵がまったくなく、併設されるショッピング街に出店する墨田区内の業者はゼロだそうだ。東武鉄道は年間2,500万人の客を見込むが、下町情緒を壊すだけの乱暴な開発は、観光客から飽きられるだろうと予言するのは西恭三郎共産党墨田区議団長だが、私も同意見である。  6月には「解散・総選挙 野田辞任、『枝野首相』」と読むのは政治ジャーナリストの歳川隆雄。  在沖縄米海兵隊のグアム移転が白紙になり、普天間飛行場の移設が断念される可能性が現実味を帯びてきた。  6月の沖縄県議選では、「沖縄独立論」を唱える候補が出てくるかもしれない。そうなると、尖閣列島領有権を主張している中国がこれを好機とみて、まずは"尖兵"としてチャイナマネーを沖縄に投入してくるのではないかと予言するのは政治評論家の丸山勝彦。  8月には「ロンドン五輪で金メダルは19個」と楽観的な見方をしているのはスポーツジャーナリスト二宮清純。  9月の項では、メジャーリーグ入りをしたダルビッシュが15勝すると予言するのは野球評論家の与田剛。ただし、これまでのような中6日ではなく中4日のローテーションに戸惑うと5勝程度かと。  11月には米大統領選挙が行われるが、再選が危ういといわれるオバマが逃げ切ると読むのは渡部恒雄東京財団上席研究員。  共和党は前マサチューセッツ州知事ロムニーが有力だとする。失業率7%を超えると再選できないというジンクスがあるが、10%台から8.6%まで回復させてきた実績と巧みな話術で、オバマは再選を果たすというのだ。  12月には14年ぶりに日本人横綱・稀勢の里が誕生すると読むのは相撲ジャーナリストの中澤潔。  日経平均1万1,000円を回復するという、これまた楽観的な見方を示すのはマネックス証券チーフ・エコノミスト村上尚己。成長率が11年のマイナス0.9%からプラス1.3%と大きく改善し、内需系の増資が続き、消費税などの増税が決まれば自動車や住宅などの駆け込み需要が出てくるので株価も上がるというのだが、それって、増税された後は再び落ち込むってことだよね。元の木阿弥じゃん。  とまあ、当たるも当たらぬも八卦だが、今年以上の大災害が起こらないように祈るしかないようだ。  金正日の突然の死と若すぎる後継者・金正恩への不安感は近隣各国へ大きく広がっている。野田佳彦総理が珍しく韓国、中国と急いで話し合いをもったのも危機感の表れである。  金正日の死後、各誌この問題を扱っているが、「週刊現代」の特集に見るべきものがあったのでこれをグランプリに推す。  「現代」によれば中国は10月24日、次期中国首相に内定している李克強副首相が平壌へ行った際、ワインをがぶ飲みする金正日を見て、この独裁者の最後は予想されているより早いものになるだろうと中国首脳たちに報告していたという。  そのとき金正恩とも握手を交わしたそうだが、北朝鮮内部に異変が起きていることに気づいた。  首脳会談にも晩餐会の席にも金総書記の側近中の側近、金永春人民武力部長(国防相)の姿がなかったのだ。  金正日の命を受けて数々のテロを実行してきたのは金永春だといわれている。さらに金正日は将来の金正恩体制を全面的に支えてもらうために金永春を人民武力部長に昇格させ、後見人に指名した。  しかし、正恩と永春2人の考え方がまったく違うために、首脳部に大きな亀裂が生まれていると見る。  金永春は金正恩がやろうとした「10万戸の住宅建設」や「デノミ政策」「朝鮮国家開発銀行の発足」などを、経済改革が国外に門戸を開き、相対的に軍部の力が弱体化すると嫌って、ことごとく潰してきたという。  2人の確執はさらにエスカレートしていったために、ついに金総書記は金永春を疎んじるようになったのだが、その裏で驚く決断を中国側はしていた。それは金正恩を後継者として無能だと断じ、金永春に対して、金総書記亡き後は中国人民解放軍が全面的に支援すると伝えていたというのだ。  さらに金正恩が中国への亡命の道を選んでも、受け入れるつもりはない。軍の傀儡か亡命か。どちらにしても金正恩に明日はないというのが「現代」の読みである。  情報源が明示されていないので、このまま信じるわけにはいかないが、後ろ盾を突然失った若いボンボンがこの国を率いていくためには軍の協力が不可欠である。しかし、軍がさらにその力を強めていくことになれば、人民の窮状はさらに深まること、これも間違いない。  そうなれば北からの難民があふれ出し、金王朝はあっという間に崩壊するのだろうか。  26年前、私がたった一人で北朝鮮・平壌に3週間招待され見聞した体験をもとに言わせてもらえば「ノー」である。  国民は金日成が作り上げた「主体思想」を学び、学校教育だけではなく、日常的にテレビや映画、オペラ(北朝鮮はオペラ大国である)で、日本やアメリカ帝国主義の悪辣ぶりを見せられ、日韓併合時代の悪夢を常に思い出させられている。  白頭山から白馬にまたがり日本帝国主義を打ち破った金日成は彼らの神であり、その一族への尊敬の念はそう簡単に消し去ることはできない。  今すぐ日本がやるべきことは、難民やテポドン、ノドンが飛んでくることを恐れるのではなく、金正恩と話し合うパイプを作り、時間をかけて北を解放していく「太陽政策」を取ることにある。先ごろ韓国側が従軍慰安婦問題を出してきたように、朝鮮の人たちの日本への反感は根強いものがある。また、韓国と北は同じ民族であるということを忘れてはいけない。  平壌滞在中に多くの北の人間に話しを聞いたとき、一様に彼らの悲願は「民族統一」である。かつて韓国の要人が私にいった言葉を思い出す。 「韓国人は北に感謝すべきだろう。なぜなら南朝鮮の人間は本来が怠け者なんだ。北の脅威があったから、北に負けまいとして頑張って働くことができ、経済的な繁栄を築くことができたのだから」  南北が統一されてしまえば、中国、朝鮮、台湾に囲まれた日本は孤立するしかない。  2012年こそアメリカの呪縛から逃れ、中国、韓国と話し合い、朝鮮半島を安定させるために日本が主導的な役割を果たすべき年である。いまの野田政権にそんなことを期待してもと、はなからあきらめないで、だめならできる政権を選び直して、させるしかないと、私は思う。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「週刊ポスト」12月23日号 中吊り広告より
第1位 「週刊ポスト」12月23日号 第2位 「『仙台復興』に咲いた懐かしき『バブルの華』」(「週刊新潮」12月22日号) 第3位 「吉永小百合 封印された肉食系『愛欲生活!』」(「週刊アサヒ芸能」12月29・1月5日号)  12月19日、金正日総書記が死去したことが伝えられた。享年69歳。オサマ・ビンラディン、リビアのカダフィに続く、絶対権力者の死である。 「三男の正恩(ジョンウン)氏が後継者に決まっているが、権力移行の展開によっては国内が混乱し、難民の流出や核兵器の行方をめぐって情勢が緊迫する可能性も排除できない」とasahi.comは書いている。  普通に考えればそうなのだろうが、北朝鮮は常識の通用しない国である。私が26年前にたった一人で北朝鮮に3週間滞在したときのことを思い出す。  そのころは金正日の父親・金日成の時代であった。向こうの人間のあいさつはきまって「偉大なる首領・金日成と親愛なる同士・金正日」から始まった。後継者は金正日に決まっていて、彼の偉業を讃える個人博物館や書籍も出版されていた。彼の偶像化は完成に近づいていたが、それでもなお韓国や西側には、金日成が亡くなれば北朝鮮は内部から崩壊するという見方が強かった。  だが私は、北で会った人たちの話しを聞き、向こうのテレビや映画、オペラを見て、北朝鮮の人たちが学校だけの教育ではなく、日々生活する中で金日成親子を称え、日本帝国主義やアメリカを憎み、南朝鮮(韓国のことを向こうではこういっていた)との統一を望んでいることを知り、この体制はそう簡単には崩れないと思った。  父親の死後、たいした混乱もなく金正日時代が到来し、長きにわたって君臨してきたのはご承知の通りである。  今回は三代にわたる権力継承と、そのころよりさらに悪くなっていると思われる食糧事情などを考えると、正恩体制にすんなり移行できるか予断を許さないが、そう簡単に金王朝が崩壊すると考えるのは楽観論に過ぎると思う。  今回来日した韓国の李明博大統領が、首脳会談の冒頭で従軍慰安婦問題を切り出したことが取り沙汰されているが、韓国にとって慰安婦問題は終わっていないのである。  歴史に学ばない歴史健忘症の日本人には、日韓併合など平安時代か鎌倉時代にあったことのように考えているだろうが、韓国、北朝鮮の人たちにとってはオンリー・イエスタデーなのだ。金正日の死を両国の不幸な過去を清算して新しい関係を築くきっかけと捉え、拉致問題を含めた話し合いをこちら側から提案するぐらいの積極外交に動くべきであろう。  北の内部崩壊を待ち望むだけの消極的な姿勢では、21世紀の日朝関係はさらなる膠着状態に陥る可能性大である。  さて、年の瀬も迫り一部の週刊誌は合併号になり、新鮮なネタに乏しい季節になってきた。こういうときこそ編集者の腕の見せどころで、腐りかけた鯛を活き作りに見せる手腕が試されるのだが、残念ながらそうした冴えを見せてくれた週刊誌はごくわずかである。  久しぶりに「アサヒ芸能」を取り上げる。この2週ばかり「アサ芸」にはちょっと読んでみたいタイトルが散見された。「スクープ激白『飯島愛を殺した』私」(12月15日号)「橋下VS大阪市役所大殺戮ナマ現場」(12月22日号)がそれだが、読んでみると賞をあげたくなるような内容ではなかった。  今週の吉永小百合も、私が知らなかっただけで、9月に発売された中平まみの『小百合ちゃん』(講談社刊)から男関係を抜いただけのお手軽な作りだが、私の一番弱いところをついているので取り上げざるを得ない。  それは私が子どものころから由緒正しい「サユリスト」だからである。私と彼女はともに昭和20年生まれ。彼女が3月で私が11月。子役時代の彼女がラジオ番組『赤胴鈴之助』に出たころからのファンである。  中学高校時代は、小百合が浜田光夫と組んだはち切れんばかりの青春映画を見た。『キューポラのある街』(昭和37年公開/浦山桐郎監督)の川口の鋳物工場の貧しい少女を演じたのもよかったが、高校で体を壊し、それでなくても暗かった大学浪人時代に見た『愛と死をみつめて』(昭和39年/斎藤武市監督)は何度見て泣いたことだろう。  早稲田大学には何の魅力も感じなかったが、小百合に会えるかもしれないという一心で入学し、彼女がときどき現れるという文学部角の立ち食いそば屋の近くで何度待ったことだろう。  編集者の仕事を選んだのも、彼女に会えるかもしれないという淡い期待があったからだった。会ったというよりも近くで見たといったほうが正しいのだろうが、一度は川端康成の鎌倉での葬儀のとき、それと週刊誌の表紙の取材で立ち会ったとき二言三言、言葉を交わしただけである。  28歳の時、彼女は15歳も年上のテレビ屋と結婚してしまった。たしか「週刊朝日」、遠藤周作の連載対談に出て、"亭主が歯槽膿漏でも同じ歯ブラシで歯を磨けるか"という遠藤の問いに、「はい、磨けます」と答えている小百合の顔の上に涙をこぼしたことで何かが吹っ切れ、しばらくは小百合なしで生きることができた。  だが、還暦近くなってからテレビコマーシャルで再び脚光を浴びる小百合を見て、青春のころの想いが戻ってきた。CMは録画し、JRのポスターは剥がして奪うほどの度胸はないので、こっそりデジカメで撮ってオフィスの壁に貼ってある。  私がいま目論んでいるのは『戦後-吉永小百合とその時代』という本を書くことである。小百合ちゃん、インタビューさせてくれないかな。  とまあ、自分史を述べてきたが、清純派という、今では死語になってしまった女優の最後が小百合だったと思っていた。だが、その彼女とて生身の女である。いくつかの恋愛があり、年上のオジンとの"幸少ない"結婚があり、不倫疑惑があった。  若いころに有名なのは渡哲也との恋愛沙汰であるが、そのきっかけになったのが俳優の中尾彬であるという。彼がこう話している。 「彼女の広島のロケ地に立ち寄った時、僕は猛烈に腹を立てた。(中略)宿の浴衣の裾もいぎたなく乱して、お銚子を並べ、タバコもスパスパふかしながら宿で酔ってるんだ」  怒った中尾が吉永を呼びつけて説教し、そこへ止めに入ったのが渡だったという。二人の仲は周知の事実で、渡は小百合のことを「うちのカミさん」と公言していた。  渡は小百合の実家へ出入りして両親とも会う仲になるが、両親が許さない。「吉永にとって初めての男だった」渡との恋は2年余りで終幕を迎え、小百合はつらくて泣き通したという。 「YouTube」にいい映像がのっている。石原裕次郎が生きているとき、石原軍団を集めたテレビの歌番組の中で、小百合がピアノを弾き、渡が「くちなしの花」を歌うシーンがある。小百合は30代になっていたと思う。端が冷やかし照れる渡を見つめる小百合の眼が哀しそうで、見ているこちらもジーンとしてしまう。   その後、石坂浩二に恋いこがれ、28歳で15歳年上のおっさんテレビプロデューサー岡田太郎と結婚するのだ。  清純派と呼ばれていた時代に作った俳句が有名である。 「松茸は 舐めてくわえて またしゃぶり」  結婚してからはNHKドラマ『夢千代日記』ぐらいのヒット作しかないが、東映の社長になっている岡田裕介や西武にいた清原和博、俳優の東山紀之、ラグビーの本城和彦とウワサになった。  私が「フライデー」にいたときだと思うが、西武グループの堤義明社長との仲がウワサになり、編集部員に張り込んでもらったことがあった。  今や団塊世代のアイドルとして復活した彼女には、今一度、観客の胸を振るわすような演技を見せてもらいたいと思うのだが。  「新潮」が復興景気に沸く東北・仙台のネオン街ルポをやっているが、これがとても面白い。これが第2位。被災現場の復興は遅々として進まないが、有名なネオン街・国分町の復興は早かったと皮肉りながら、クラブのママにこう語らせている。 「ゴールデンウイーク辺りから、他県から来た人たちが飲みに来るようになったんです。瓦礫の撤去の人とか仮設住宅を作るためにやってきた建築業者や、地震保険の審査をする人達もいっぱい来ました」  一晩で60万円もキャバクラで使う地元の土地持ち。千客万来でホステスの奪い合いが激しい。食べもの屋もキャバクラも満員御礼。ソープ嬢は一日5,6人も客を取って体が保たないとグチり、デリヘル嬢は市内に空いているホテルがないことを嘆く。何と百貨店は前年度比300%増、100万円のロレックスの腕時計が一日5本も売れることがあるという。  本格的な復興を前にこの大騒ぎである。しかし津波の被害を受けた沿岸部に目を転じれば、瓦礫がうずたかく積み上げられた荒涼たる光景が拡がっていると「新潮」は書く。  予想されたように、巨額な復興資金はゼネコンが吸収して、被災地のほとんどの住民には行き渡らない。どこかおかしくないか。その日本の歪んだ現実をこのルポは見事に捉えている。野田佳彦総理に読ませたいものだ。  さて、今週の一冊をあげろといわれたら、迷わず「ポスト」をあげる。なぜか合併号と書いていないが2週売りだからワイド風な記事が多いが、見ていると、このところ「ポスト」が頑張っていたことがよく分かる。  前号で女子職員へのセクハラ疑惑ありと報じた駐クロアチア田村義雄大使に、帰朝命令が12月20日に出されるようだと"追撃"記事を書いている。  「ポスト」は、この問題を取り上げない新聞・テレビの弱腰を批判しているが、外務省の記者クラブに安住して「毒まんじゅう」を食らってしまった記者たちは恥ずかしいとは思わないのか。  同様に前号の「覆面官僚座談会」で、厚労省が25年の納付期間が数カ月足りなかったのに年金を支払っていた受給者に、時効後に受け取っていた保険料を本人に返す代わりに、受給資格を取り消し、支払った年金を返してもらうという"酷な"方針を固めたという厚労省官僚の発言が、大きな波紋を呼んでいる。  突然、「あなたは明日から無年金」だと言われたら、動揺しない人間は多くはないはずである。年金だけを取ってみても、この国はすでに破綻していると言わざるを得ない。「現代」のように、だから60歳からもらったほうがいいといういい分もそれなりの説得力はあるが、根本は消費税増税も含めた年金制度の抜本的な改革が必要なのだ。だが悩ましいのは、それを今の政治家や官僚には絶対任せられないことなのである。  大リーグへ移籍を希望している楽天の岩隈久志が愛人と車中キスをしている写真をスクープしたのも「ポスト」である。  だが、その愛人が岩隈の妻の妹であるというウワサが広がっているようで、ご丁寧に「A子さんが『義理の妹』でないことは確認している」と注意を喚起している。  警視庁に逮捕された柔道・金メダリスト内柴正人の教え子への強姦疑惑を、いち早く報じたのも「ポスト」だった。今週は前回取材した際の内柴とのやり取りを、前回書かなかった部分を出しながら追及している。ポスト記者が「3Pをしたという情報もあるが」と聞くと、こう答えている。 「マジで? ありがたいね。させてもらえれば、したいですよ」  こんな人間を客員教授に採用した九州看護福祉大学の責任も追及されなければならないはずである。  最後に、「ポスト」に比べて影の薄かった他の週刊誌の奮起を促したい。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
山田なおこ 写真集『スナック』 復興への希望を語る場所。 amazon_associate_logo.jpg
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「週刊朝日」12月16日号
佳作 「東電がひた隠す福島第一原発吉田所長の『本当の病状』」(「週刊朝日」12月16日号) 佳作 「駐クロアチア大使『現地美女セクハラ事件』スッパ抜く!」(「週刊ポスト」12月16日号) 佳作 「警視庁がたくらむ2ちゃんねる撲滅作戦」(「週刊朝日」12月16日号)  今週は残念ながら賞をあげたくなるような記事がなかった。冬枯れといっては身も蓋もないが、このところ週刊誌は元気がない。野田佳彦どじょう総理が意外にしたたかで、TPP参加も消費税増税もやる気を見せ、それを新聞が後押ししているが、週刊誌は攻めあぐねているようだ。  週刊誌側にいわせると「野田では売れない」というのが一番の悩みだそうだが。  全体に低調な中でも、やや目立った記事を取り上げてみる。「朝日」は、暴排条例で勢いに乗る警視庁が巨大掲示板「2ちゃんねる」規制に乗り出したと書いている。  北海道・札幌の雑居ビルにガサ入れがあったのは11月24日早朝。この会社は「株式会社ZERO」という、2ちゃんねるのサーバー管理会社で、ガサ入れしたのは東京の警視庁だった。  10月下旬に樋口建史警視総監らの指示で各部署から精鋭の「ハイテク刑事」たちが集められたという。  精鋭ハイテクチームは早速「2ちゃんねる」をくまなくチェックし、「犯罪の萌芽となる事実」の洗い出しを始めた。  先のガサ入れは、麻薬特例法違反容疑。法律で規制されている薬物を買えるような環境を放置しておくことも「ほう助」に当たり、罪に問えるのだ。  年々、ネットの掲示板に違法行為と見なされる書き込みが増加している。警視庁から依頼を受け、ネット上の違法情報などの統計を取っている「財団法人インターネット協会」によれば、2011年度上半期の違法情報件数は1万9,286件で、前年同期よりも約4%増加しているという。  同協会はプロバイダーを通じて違法情報の削除を要請しているが、約42%は要請に応じていない。その半数以上が「2ちゃんねる」だといわれている。  ネットに対する規制強化は年々厳しくなってきている。ネット掲示板で違法な薬物の取引や、匿名だからと誰かを誹謗中傷することなど許されないのはもちろんだが、それを突破口にして、ネット上の言論表現にまで規制をかけようという強い「意思」が警察や国側に感じられる。  警察側が強気なのはこのような背景がある。 「国民がすぐに警察を頼ろうという姿勢、それを受けて警察が安易に刑罰権を行使しすぎていることに懸念を抱いています」(大貫啓行麗澤大学教授)  私見だが、日本はネットが健全に育つ前にさまざまな規制をして、かえってネット文化やネットジャーナリズムの発達が疎外されてきてしまった。  警察権力は、これは規制の対象だとハッキリとした指針を示し、それ以外のことは彼らの自主性に任せるのがいい。暴排条例もそうだが、やたら警察などがしたり顔して表に出張ってくるときは要注意である。  バルカン半島の小さな国・クロアチアは古くから親日である。そのクロアチアの首都ザグレブの中心地にある日本大使館が大揺れに揺れていると、「ポスト」が書いている。  それは田村義雄・駐クロアチア大使(64)のセクハラ疑惑である。田村の経歴は、大蔵省に入省後エリートコースを歩み、財務省関税局長、環境省に移り官房長、事務次官を歴任し、09年から現職に就いた異色の大使である。  日本の特命全権大使の中でも事務次官経験者は2人しかいないという大物。セクハラとはどういうものだったのか。  大使館に勤務している20代の美人事務員に対して、公用車に同行させ、クルマの中で抱き寄せて強引にキスをしたり、脚をなで回したり、抱きついて体に触ったというのだ。  彼女は半年間、セクハラに対して泣き寝入りするしかなかった。父親が休職中で一家の生活を彼女が支えていたからだ。  昨年11月に日本の外務省人事課宛に告発状が届いた。そこに大使のセクハラ行為が書いてあった。外務省が重い腰を上げ、今年の1月19日から21日まで、稲葉一生・監察査察官をクロアチアに派遣して大使館員全員の事情聴取を行った。  公用車の運転手は目撃した事実を証言し、当該の彼女も悩んでいたが、ついには語った。それに対して田村大使はこんなことをいったそうである。 「私としては、そんな(セクハラの)つもりはなかったが、そうだと言われれば不徳の致すところだ」  日本の大臣が追い込まれて辞めるときに使う常套語である。告発文書にはセクハラ以外にも、飲酒運転疑惑やカジノ好きなことまで書いてあったそうだ。  また、日本から来た知人との会食に報償費を使っていたことも問題視されたのだが、外務省が下した判断は、田村大使を一時召還して事情を聞いただけで、クロアチアへ返してしまったのだ。  アメリカやヨーロッパの先進国だったらそうはしなかったと、元外交官だった天木直人が言っている。  沖縄では、不平等な地位協定を盾に、在日米軍兵士が日本人女性を暴行しても日本で裁くことができずに帰国してしまうことなどへの批判が渦巻いている。  クロアチアの人たちがこの事実を知ったら、日本に対する見方が変わってしまうことは間違いない。大使を処分する権限を持つ野田総理はこの記事を読んで、事実だとしたら厳罰をもって臨んでほしいと思う。  福島第一原発の事故以来、日本人の命を守るために懸命な努力をした中のひとりが吉田昌郎所長であったことは衆目の一致するところであろう。  その吉田が12月1日に病気で退任してしまった。しかし、東電側は吉田の病名を個人情報保護のためだとして、言いなりになる大手マスコミの記者たちを言いくるめて、いまだに公表していない。  だが、福島第一原発の幹部に強いパイプのある「朝日」だから、やってくれているのではと期待を持って読んだが、内容はイマイチだった。  10月下旬にトイレで男が嘔吐していた。その男が吉田だった。吉田の異変は口コミで福島第一原発内に広がり、免震重要棟2階の緊急時対策室で休んでいるときもしばしばあったという。  吉田の異変はすぐに東電本社にも伝わり、かん口令が敷かれた。  吉田はしばしば東電本社と衝突した。3月12日、海水を入れるしかないと判断した吉田が、東電本社から「総理の許可を取っていないからストップするように」という指示があったとき、彼の独断で海水を注入し続けたのは有名な話だ。  福島第一原発はまだ安静状態ではなく、小康状態である。まだまだ楽観は許されないのに、現場を離れなければならない吉田の心中はいかばかりだろう。  剛毅な彼のことだから、よほどの病気でなければ現場を離れることをよしとしなかっただろう。だからこそ彼の病状が気になるのである。  原発事故以来、吉田が浴びてきた放射能は相当であろう。累計の放射線量はどれぐらいなのかを、東電は発表すべきだ。  「朝日」は福島第一原発関係者がこう語ったと書いている。 「フクイチ内に出回っている情報だと、肝機能が低下する病気か消化器系のがんだという人がいますが、病名は私たちも知りません。近く手術する予定があるともいわれています」  吉田は東電を退社したいと語っているという。吉田の病状は日本人全体の関心事である。個人情報保護などというデタラメな理由で吉田隠しをしている東電の隠ぺい体質を批判し、病状情報をスクープできるのは週刊誌しかない。期待しているよ!  「おまけ」に「週刊現代」(12月17日号)の「痴漢冤罪 警察も新聞も気楽に考えすぎていないか」を挙げておく。競艇選手・森下祐丞(26)が兵庫県迷惑防止条例違反で逮捕されたのは今年5月。森下は一貫して女性巡査の胸を触った痴漢行為を否認したまま神戸地検に身柄を送検された。11月15日に神戸地裁で下された判断は「女性巡査の証言の信用性には疑問がある」というものだった。  冤罪は晴れたが、それで一件落着にはならない。森下は判決が下るまでレースには出られないため、収入が途絶え、結婚したばかりだったが買ったマンションを解約せざるをえず、2人はそれぞれの実家で別居状態。無罪判決が出ても再起するのは最下位のクラスからとなり、賞金も減ってしまった。  事件を読売新聞大阪本社が実名で報じ、スポーツ報知は顔写真入りで断定的に書いた。  痴漢冤罪は、信頼性が担保できない被害者証言だけで逮捕できてしまう「条例」のために、一向になくならないと弁護士は語っている。  痴漢で捕まれば、無実を立証するのは、法廷関係者の間で「悪魔の証明」といわれるほど、不可能に近い。  私大職員だった原田信助(当時25)は、大学生3人組から痴漢の疑いをかけられ、激しい暴行を受け、警察官も痴漢と断定して新宿署に連行してしまう。取り調べは深夜に及び、翌朝、身柄をとかれた原田は地下鉄に飛び込んでしまうのだ。  遺族がその後、警察調書の開示を請求した。そこには被害者を名乗る女性が「見間違えた」と供述していた。  痴漢冤罪は疑いが晴れた後も、その人間を苦しめる。警察はもちろん、メディアが報じるときには細心の注意が払われなければならない。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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"連載を一度も休まなかった"「週刊現代」だけが知る故・立川談志の晩節

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第1位 「さよなら、談志師匠 がんと闘った『最後の日々』」(『週刊現代』12月10日号) 第2位 「ボーナスは『安すぎる日本株』を買え!」(『週刊ポスト』12月9日号) 第3位 「東国原英夫前宮崎県知事『まな板の上で開チン』写真」(『フライデー』12月9日号)  大方の予想通り橋下徹が大阪市長選で大勝した。大阪府知事の方も維新の会の松井一郎が大差で当選して、大阪は"独裁者"橋下の天下になった。  景気の悪化で失業率が高い大阪市民が、誰でもいいから今の状態を「チェンジ」してくれる人間に一票を投じた心理はよく分かる。  だが、彼がやろうとしている教育改革や生活保護費の見直しは、偏狭な教育の押しつけや財政再建の名の下に弱者を切り捨てることにつながらないだろうか。  これまでは、改革が思うように進まないのは平松邦夫市長のせいだと言い訳できたが、これから本当の手腕が試されるのだ。政権交代とだけ言い続けて政権をもぎ取った民主党のその後の惨状を見るにつけ、橋下強権政治にはちょっぴりの期待と、大いなる不安がある。  私の畏友・宮崎正弘がメルマガで大阪「都」構想をこう批判している。 「都という不遜な呼称を無造作に用いる、その語感と歴史認識への大いなる疑問である。大阪には嘗て浪速宮がおかれ、中世の都があった。信長が敵対しても落とせなかった大阪城は石山本願寺、一向宗の聖域であり、宗教の中心地だった。その後、秀吉は石山本願寺跡に壮大な大阪城を構築し、天下に号令を発する政治都市とした。だが都は京におかれたままだった。家康は政治中枢を江戸に移したが、京に天皇はおられたままだった。すなわち都とは、天皇陛下のおすまいがある場所を指す」  さて、その橋下に食らいついておこぼれにありつこうとしている宮崎県前知事でタレント・そのまんま東の仰天写真が今週の第3位。  2006年6月に撮られた写真だというからかなり古いが、二度と見たくないほどド迫力、かつ醜悪な写真である。  この時期は、東が「地方自治を実践する」といって早稲田大学で政治を学んでいた。知り合いになった政界関係者や官僚、政治に興味を持つ若者たちを自宅マンションに呼んで「勉強会」と称した呑み会をよくしていたそうである。  そんな勉強会の最中に撮影されたものだ。私の周りにも呑むと裸になって騒ぎ狂う連中は少なからずいる。故・立川談志さんは、彼を慕ってくる芸人、歌舞伎役者、歌手に、酒を呑んでいる席で「裸になれ」と命じていた。そういわれて素っ裸になれない奴は一流にはなれない、それが談志流人間観察術だった。  だがこの写真はそうではない。その日開かれた勉強会には、東が交際していたMさんという女性も来ていた。彼女は大手商社社員夫人だが、東との交際はMさんが大手都銀の独身行員だった頃からで、結婚後も関係は続いていた。  Mさんは結婚してからも、家庭でもめるたびに東のところへ転がり込んで、数カ月単位で居続けることがあったそうだ。  問題の写真が撮られた日、Mさんは参加者の目の前で「なんであんたは他の女に手を出すの!」と東を叱責し、その怒りが次第にエスカレートしていった。  防戦一方だった東が、彼女に向けて「だったら、(浮気をしないという)証拠をこれから見せてやる」と啖呵を切り、まな板を取り出して全裸になり、自分のイチモツをそこへのせ、包丁で切る真似をした。それを参加していたメンバーが撮って盛り上がったそうである。  その後、Mさんは夫の海外赴任でシンガポールへ行った。選挙に出るにあたってスキャンダルになることを恐れた東は、自らシンガポールへ飛んで関係を精算したそうである。  この写真は東という男の品性を丸ごと写し出している。不倫相手から責められ、開き直って真っ裸になった男の無様な写真を見て、県知事に彼を選んだ宮崎の人たちは、どう思うだろうか。  私は株とかのマネーゲームにはまったく関心がない。競馬は毎週やってはいるが、賭け金は雀の涙ほどである。  実は、これまで2回だけ株を買ったことがある。もはや時効だから話すが、一度は野村證券の某部長に勧められて二部上場の聞いたこともない会社の株だった。  2度目は、政商といわれ仕手株で大儲けしていた頃の某氏に言われて、仕方なく買わされた。これも知らない会社の株だったが、2度とも数日のうちに倍以上値上がりしたのだ。  そのわずかな経験で、2度と株はやるまいと決めた。大手証券会社や大物仕手筋が巨額なカネを動かして株価を左右する世界では、個人がいくら頑張っても勝てるわけはない。それよりもわずかなカネを握りしめて競馬場へ行く方が自分の身の丈に合っていると思ったからだ。  第2位に「ポスト」の株の記事を取り上げたのは、もし日本株を買うのなら、先日日本に来た投資家ウォーレン・バフェットが言っていたように、今なのかもしれないと、しばらく前から思っていたからである。  私には投資する資金はないから、客観的に見ることができる。これは競馬も同じである。馬券を買わずに予想すると的中率は格段に上がる。それが馬券を買い出すと欲との2人連れになるから、あらまほしい馬券ばかり買うようになって、最終レースが終わるととぼとぼとオケラ街道を歩くことになるのだ。  「ポスト」が言うように、日本企業の内部留保は257兆円もある。これは史上最高レベルだ。円高にも、すでに多くの輸出企業では対応ができている。なのにメディアは、不景気は自分たちの裁量が増えるから大好きな官僚たちに踊らされ、そうした情報しか受け取れない国民は、重税にも給与カットにも「仕方ない」と諦めてしまっている。だがその裏で、政・官・財・報の既得権益者たちが大笑いしているというのである。  では、どの銘柄を買うのか。個人投資家向けに投資情報を提供する「カブ知恵」の藤井英敏代表が5つの条件をクリアした銘柄39を紹介している。  5つの条件とは、時価総額300億円超、ROE(自己資本利益率)7%以上、PRB(株価純資産倍率)1.0倍以下、予想配当利回り2.0%以上、過去3年平均売上高成長率5%以上。  5銘柄だけ抜き書きしてみる。「サッポロホールディングス」(株価286円=以下同じ)「旭化成」(444円)「コスモ石油」(195円)「三井金属鉱業」(178円)「日産自動車」(666円)  いかがだろうか、ボーナスでなくても、ポケットマネーで買えるほどたしかに安い。あとは自己責任でどうぞ。  立川談志師匠が亡くなった。予想したことではあったが、以来、テレビ、新聞、雑誌で師匠の落語とその生き方が取り上げられ、あらためて立川談志という人間の大きさと、いなくなってしまった寂しさが広がっている。  私は大学時代から立川談志が好きで、紀伊國屋ホールや寄席に聞きに行っていた。親しくお付き合いするようになったのは40を過ぎてからである。  こんな思い出がある。私が「フライデー」の編集長だったとき、「幸福の科学」と大騒動があり、歌手の小川知子や直木賞作家の景山民夫ら信者たちが、講談社の前をデモする姿が毎日のようにワイドショーで放送された。  心配してくれた談志師匠が、景山と仲直りしないかと言ってきた。有楽町のマリオンでやる「ひとり会」へ景山を呼ぶから、一緒に舞台へ上がってくれ。そうすればオレが奴に話すというのだ。  立川流にはBコースというのがある。ビートたけしや景山はそのBコースで、談志は彼らの師匠ということになるから、落語の世界で師匠は絶対的な存在である。  厚意はありがたくいただいてお断りしたが、そのあとに景山は自宅で風呂に入っているとき火事が出て亡くなってしまったという。  「フライデー」編集部にビートたけし軍団が殴り込んだ事件のあとも、たけしとの仲を取り持とうかと言ってくれた。懐かしい思い出である。  「週刊現代」の編集長のときには、談志師匠に「談志100選」を連載してもらった。師匠が選んだ名人上手を毎回取り上げ、それに山藤章二画伯の絵を付ける豪華な連載だった。これは講談社から本になって出ているが、師匠も大変喜んでくれて、会うたびに「あれはオレの会心の作だよ」と言っていた。  一昨年の暮れ、上野の鰻割烹伊豆栄梅川亭で少人数で「談志を聴く会」を、作家の嵐山光三郎と共同で開いた。この頃は体調が悪く、トイレに行くのも障子を伝い歩きしてやっとだった。  にわかごしらえの高座へも弟子に手伝ってもらって何とか上がったが、座っているのが辛くて、ついには足を前に投げ出してしまうほどだった。  ダンディな師匠には辛かったに違いないが、1時間半ほどジョークから噺のさわりを、出ない声を振り絞って語ってくれた。  これが最後の高座になるかもしれないと、そのときは心の底で思っていた。  だが、年が明けて、あれだけ嫌いだった病院に自ら入り、毎日やっていたビールとハルシオンを飲むことを断ち、奇跡のように体調がよくなってきた。  もう一度高座で落語をやりたい、その一念がそうさせたのだろう。  立川志らくたち弟子の落語会へも出かけて、ジョーク集をやっては客を喜ばせた。そして昨年暮れの読売ホールで、これも奇跡のように見事な「芝浜」を演じたのだ。  満員の観客は感動で動けなくなり、師匠もしばらくはジッとして余韻を楽しんでいたという。  年が明けても順調そうだった。しばらく大丈夫かもしれないと思っていたのだが、病魔は確実に体を蝕んでいたのだ。  「現代」で師匠の息子は、昨年11月に医者から咽頭がんが再発していることを聞かされていたと話している。  声帯摘出がベストだと医者は言うが、それを父がよしとするわけもないから、告知しなかった。だが、暮れに告げると、予想通り手術はしないという答えが返ってきた。「プライドが許さねぇ」と言ったそうだ。  しかし今年3月になって切開手術を決断した。そのため、話せない、食べられないために、ほとんど寝たきりの状態になってしまう。  筆談でやり取りするしかない。「立川志らくがとってもよくなってきた」と身内が話すと、そうかそうかと喜びながら、「でも、オレが一番」と書いてよこしたそうだ。  10月27日に容体が急変する。ほとんど意識が戻らないまま11月21日に永眠。  「現代」には私が仲介して始まった連載「談志の時事放談 いや、はや、ドーモ」があるだけに、他誌の追悼特集を圧倒している。  驚くことに、この連載は一度も休んでいない。苦しい中でも乱れる字ながら書き続けてきたのである。  病気には一度も触れていない。珍しく10月の終わりの原稿で「女房(ノン)くんのこと」と、奥さんのことを書いている。 「ある時、俺が怒った。そのときの態度がよかった。"怒られちゃった"。可愛いの何の、俺、この一言でこの人を嫁さんにと決めてよかった」  書いておきたかったのだろう。  「現代」には、病状に触れているため、身内が担当者に渡さなかった原稿が掲載されている。海が好きだった師匠が、各地の海の思い出を書き綴っているのだが、最後にこう書かれていた。 「もう無理だ。家元、ノドに穴をあけられ喋れず、唯、家でじっとTVを見ているか、こんな文章を書いているだけになったのだ。人間、何が来るかは判らない。まさか喋れなくなるとは思わなかった。手術は断るべきであった。おまけに胃袋に管で食事を入れるだけ。そうなると味覚もない。その前に食欲がわかない。何だろう。生きる『シカバネ』そのまんまである。(中略)誰かが昔、云った。談志さんは何も云わなくてもいいのですよ。高座に座っててくれればネ。昔、俺も同じような事を志ん生に云ったのだ。勿論本気で云ったのだが。手前ぇがそうなるとは、つゆ思わなかった......」  私もそう言った。高座で寝ててもいいから生きていてくださいと。  モノクログラビア最後のページで、自宅近くの根津の銭湯で湯に浸かっている写真の表情がとてもいい。「銭湯は裏切らないね。いつ行っても絶対に気持ちイイ」。そう、その通りですね、師匠。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「ビジネス書籍も氷河期時代に……」老舗出版社にも倒産ラッシュか?

 長引く不況に加えて既存媒体の企画力低迷、インターネットの普及とウェブサイトの充実などいくつもの要因によって、出版界は未曾有の危機に直面している。例えば、不況に比較的強いといわれてきたアダルト系などをみると、かなり深刻な状況になっている。雑誌の廃刊や出版社の倒産・廃業も立て続けに起きており、2007年9月の桃園書房の破産や10年9月に行われた東京三世社の任意整理による廃業などは記憶に新しい。また、今年になってからも1984年創刊の『ザ・ベストmagazine』(KKベストセラーズ)が今年になって休刊するなど、状況はますます厳しさを増しているようだ。  その一方、やはり手堅いとみられ続けてきたビジネス関係も、没落の一途をたどっている。  ビジネス書籍の最近のヒット作といえば、ダイヤモンド社刊『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称「もしドラ」)が挙げられる。しかし、それとて販売戦略を駆使した結果のベストセラーであり、最初から売り出す仕掛け作りをしたために販売部数を獲得したものである。  ビジネス系に強いといわれたある中堅出版社の幹部社員も、「ビジネス書籍は悲惨な状態」と嘆く。 「本当に本が売れない。出版事業を縮小したケースは数え切れないし、中には会社そのものの整理や廃業を考えているという出版社もある」  例えばある中堅出版社は、気がつけば業績の落ち込みに加えて、社内に人材が枯渇していることを否定できず、計画的に事業を縮小し、10年後をめどに廃業を検討しているというウワサもあるという。そして、同様のケースはいくつもあるとのことだ。  こうした状況の中、編集者の配置転換が急ピッチで進んでいるという。しかも、これまでとはまるで違ったやり方だという。 「以前は、編集から営業に回されるケースが多かったのですが、それでも出版関連での仕事でした。でも、最近ではまったく違った部署や、関連会社に飛ばされるケースをよく耳にします」(前出・出版社幹部社員)  例えば、入社以来ずっと編集畑にいた編集者が、いきなり倉庫での在庫管理業務を命じられたり、通販部門の顧客管理へと異動になったりすることもあるそうだ。  一方、編集部門でも厳しい現実に直面している。あるビジネス専門誌の編集長が言う。 「最近では、原稿料を払わないことが多くなっています」  何も、書き手に対する原稿料を踏み倒しているわけではない。ビジネス専門誌にはでは、「原稿料なしでも記事を書きたい」という一般の人を書き手として採用するケースがある。例えば、有名企業に勤めていて自分の習得した知識を記事にしたい幹部社員や、自らのビジネスノウハウを公表したいコンサルタントなどである。そうしたやり方では、意図したような内容にまとまらないこともあるというが、「雑誌の維持が最優先。背に腹はかえられない」(前出・編集長)とため息をつく。  そうしたビジネス専門誌は年間購読が頼りだが、年々減る傾向にあるのはどこも同じようだ。ある総務関係で歴史と実績のある専門誌の編集長などは、「今日まで頑張ってきたが、部数の減少を見ると悲観せざるを得ない。来年は(部数減少で)第三種郵便物の認可が取れないかもしれない。そうすると、そろそろ潮時かも」とうつむいた。  こうしたビジネス専門の刊行物は、企業がまとめて購入することが多かった。だが、現在ではその企業の体力が著しく低下している。社員教育や啓発のための予算も削減され、社内で使う研修テキストなども使い回しにすることも珍しくなくなっている。ビジネス書が売れる要素は、ますます少なくなっていくのだ。  ビジネス関連の出版そのものが、成立しなくなる日が来るのかもしれない。 (文=橋本玉泉)
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"球界一の愛妻家"楽天・岩隈に愛人発覚! 糟糠の妻は何を思う?

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週刊ポスト」12月2日号 中吊り広告より
第1位 「楽天・岩隈『3年愛人』と愛欲の5泊6日」(「週刊ポスト」12月2日号) 第2位 「正力、務台、渡辺『読売天皇三代記』佐野眞一」(「週刊ポスト」12月2日号) 第3位 「史上最年少三冠ジョッキー池添謙一騎手が私にした『馬乗りDV』」(「フライデー」12月2日号)  池添謙一はエライ! 日曜日の競馬「マイルチャンピオンシップ」見た? 池添の騎乗した5番人気のエイシンアポロンが直線鋭く伸びてG1を快勝した。  エイシンから馬単で流していたから、思わず「All the Way!」と叫んでしまったが、2着がフィフスペトル(11番人気)でガックリ。結局、1着、3着、4着でおカネにはならなかったが、本命にしたエイシンの快走には納得だった。  だが、レース前はかなり迷ったのだ。道悪上手なエイシンで勝てると読んだのだが、鞍上が不安だった。それは金曜日に出た「フライデー」の記事である。  池添に見初められて不倫関係を続けてきたという札幌・すすきのの高級クラブホステスが、衝撃告白したからだ。  「フライデー」によれば、池添が店に来たのは09年の7月ごろ。いきなり「すすきのの風俗情報誌で君を見た」と指名してきて、彼女の誕生日には一晩で70万円も使ってくれたというのだ。出会って3週間くらいで関係ができ、1~2カ月滞在する夏の北海道シリーズのときには、札幌でたびたび逢瀬を重ねた。中山、京都、小倉にまで遊びに行き、「ミニクーパー」までプレゼントされていたというから、池添の入れ込みようが分かる。  ちなみの池添の年収は1億円を軽く超えるから、これぐらいは軽いのだろうな。  だが、次第に池添が嫉妬深くなり、他の客と同伴したりアフターに行く度に怒り出し、暴力を振るうようになってきたというのだ。殴る蹴る、ときには馬に見立てて(?)彼女に馬乗りになり、頭を拳で叩き、途中で本人が「骨が折れた!」と騒ぎ出すほどの激しさだったというから、ただごとでない。病院に行くと、5日間程度の自宅安静と通院を要すると診断された。その診断書の写真も掲載されている。  それでも池添とすぐに別れなかったのは、暴力を振るった後に必ず「俺が悪かった」と泣きながら謝罪するからだった。  「もうすぐ離婚するから」という池添の言葉を信じたが、あるひと言で、その言葉がウソだと分かり別れを決意したそうだ。  この秋オルフェーヴルで菊花賞を制し、史上最年少の三冠ジョッキーになった池添に思わぬアクシデント発生。馬でいえばレース前に骨折したようなスキャンダルで、精神的にも冷静に騎乗できるか心配だった。  だが、騎乗ぶりはパーフェクトだった。もともと追い込み馬に乗せると達者な騎手だったが、今年は一流ジョッキーの仲間入りを果たし、この秋も好調を持続している。  これだけのスキャンダルにも動じない(?)で騎乗できたのだから、これからの池添は買いかもしれないな。  今週の第2位は、清武英利読売巨人軍球団代表(その後解雇)の会見騒動の余波が続く中、ひと味違った切り口を見せてくれた「ポスト」の記事。  目次を見たとき、巻頭の「巨魁・渡辺恒雄への『引退勧告』」に期待したのだが、内容はさしたるものはなかった。佐野の記事は一連の清武騒動特集の一本だが、正力松太郎を軸に読売新聞の実相を明らかにした『巨怪伝』(文藝春秋)を書いた佐野だけに、ナベツネ批判にも頷けるところが多い。  のっけから佐野は読売の体質を「男の嫉妬の世界なんだよ、読売って会社は」と断じる。プロ野球興業に始まり、テレビの開局、原発導入という国家的な事業に関わった正力を「百年に一度出るかどうかの怪物だった」と評する。  その後を継いだ務台光雄は、正力と対立して徹底的に冷遇されたが、それに耐え抜いて社長の座に就いた。  ふたりの確執はすさまじいものがあり、務台は夢の中にまで正力が出てきたといい、正力は、いつか務台に殺されるのではないかと周囲に語っていたという。  務台は544万だった部数を1,000万にまで伸ばすために巨人軍をフルに活用した。毎朝務台の「御前会議」が開かれるのだが、議題はいつも前夜の巨人戦の講評だったという。  先週も書いたが、務台が巨人のテレビを見ていて、ピッチャーの交代までダッグアウトにメモを入れさせて指示していたのは、新聞の拡張には巨人が常に優勝することが絶対必要だと考えていたからだ。  そうしたふたりに比べると、ナベツネははるかに劣ると佐野は言っている。 「ほろ酔い気分で、スポーツ記者を怒鳴りつける渡辺を見ると、悲しくなってくる。大物ぶっているけれど、こういう男を日本語で普通チンピラとか小物って言うんじゃなかったっけ。正力は自分こそ最大の権力者だと思い込んでるから政治家なんてハナから相手にしなかった(笑)。(中略)今回の騒動の本質は人々が報道機関を眺める視線が厳しいからこそ浮かび上がってきたトップの老醜と、読売新聞の衰退なんだ」  「ポスト」の巻頭記事の中で、読売の売上げが「大手信用調査機関」の調べによると、グループ連結ベースで毎年100億円ペースで減り続けているそうだ。  それなのに大手町の本社建て替えに200数十億円を投じ、大阪の「よみうり文化センター」を54階建てのマンションや複合施設にする計画があり、総事業費は300億円は下らないといわれている。  こうした何が何でも1,000万部を死守し、買収と拡大路線をとるナベツネ流のやり方に、内部からも批判が出てきているという。  他紙の人間から聞いた話だが、読売の部数は実数で600万から700万程度で、あとは押し紙でごまかしているといわれる。そのために販売店の不満が募り、いつ爆発してもおかしくないそうである。  正力のような偉大な業績もなく、務台のような強引さもなく、氏家(日本テレビCEO)という親友もいない今、渡辺主筆の現状をあらわす言葉は「老残」がいちばんふさわしいのではないだろうか。  映画『ゴッドファーザー PART3』で、アル・パチーノがひとり寂しく公園のベンチで崩れるように死んでいくシーンが思い出される。渡辺恒雄さん、人間引き際が肝心です。  今週はスポーツ選手受難の週のようだ。「ポスト」にしては珍しくグラビアも使って楽天・岩隈久志(30)の女性スキャンダルを報じている。  これをグランプリに選んだのは、写真がいいからでもある。グラビア巻頭の、若い愛人が岩隈にねだるように口を近づけている写真といい、クルマの中でディープキスを交わしている写真といい、「フライデー」真っ青のカメラワークと迫力である。  この写真は、岩隈がオフの調整のために千葉・幕張のホテルに滞在しながら、病院に通っている時期に撮られたものだ。  この愛人、背も170センチ近くあり、190センチの岩隈と並んでも遜色ない。ふたりは仲良く飲食したり、愛車の中でキスしたり、深夜の都内のゴルフ練習場でタマを打ったり、初心者らしい彼女にゴルフの手ほどきをしたり、量販店で海外旅行用の大型旅行用スーツケースを購入したりと仲むつまじい。  岩隈はいったん夫人と子どものいる仙台に戻るが、すぐに東京へ戻り、成田空港からトレーニング地のアリゾナへ旅立って行った。  球団関係者の談によると、ふたりが知り合ったのは3年ほど前、千葉ロッテマリーンズの試合に遠征したときだという。  岩隈は日本を代表するピッチャーというだけではなく、球界一の愛妻家としても知られているだけに、この愛人報道は衝撃的だ。  しかも今年2月の沖縄・久米島キャンプでも、岩隈の義理の父が二軍の打撃コーチをしているにもかかわらず、彼女を連れて来ていたというから、単なる火遊びではないようである。  岩隈は06年に「第1回ベストファーザー in 東北」にも選ばれていて、夫婦でトークショーに出たときも「(妻のことが)好きなんです」と真顔で話していた。ふたりは創価学会の熱心な信者で、学会の中でも「目指すべき夫婦像」になっているという。  さあ、夫婦の最大の危機について糟糠の妻がどう答えるのか。  「ポスト」がインタビューすると最初は、「私の義理の妹です」と、そう思い込んでいたみたいで動揺は見られなかったが、岩隈と彼女がクルマの座席に座っている写真を見せると、表情が凍りついた。  岩隈が彼女とホテルに連泊していると聞くと、「家族が円満なら、旦那は何をしてもいいという主義なんです」と答え、懸命に夫の行為が大事にならないよう「賢妻の配慮」を見せていたという。  岩隈の方は、代理人の弁護士から回答拒否という書面が届いたそうだが、愛人の携帯電話にかけると、海外ローミングに変わっていたというのだ。彼女は岩隈と一緒にいるのか?  FA宣言間近の岩隈は、夫・父親としてもFA宣言するのか決断を迫られていると結ばれている。  この世に不倫は数知れずあるが、これほど「これから大変だろうな」と思わせる不倫も珍しい。  しかし、彼女の携帯電話の番号まで知っていたとすれば、「ポスト」の情報源はかなりふたりに近い人間に違いない。その意図は、スキャンダルを明るみに出してふたりを別れさせることにあるのか? 今後の展開に注目である。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「やむにやまれぬ会見だった」"清武の乱"は渡邉帝国崩壊の序章となるか

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「週刊朝日」11月25日号 中吊り広告より
第1位 「ドン・キホーテ『清武の乱』全真相」(「週刊朝日」11月25日号) 第2位 「関ジャニ∞錦戸亮『自宅ベッドで撮られた衝撃写真』」(「フライデー」11月25日号) 第3位 「昭和の『奇書』復刻 殿山泰司『日本女地図』」(「週刊ポスト」11月25日号)  日曜日(11月13日)の夕方から、一ツ橋・如水会館で「東京アドエージ」(出版界の業界紙を出している会社)にいる畏友・今井照容の出版記念会があった。  『三角寛「サンカ小説」の誕生』(現代書館)という本だが、その日の朝日新聞の書評欄で荒俣宏が褒めていたように、史実を丹念に調べて書かれた「ちょっとうさんくさい」男、三角寛についての大労作である。  そこには出版社の人間が大勢きていたが、何人かと話しているうちに週刊誌の話になった。「文春」の元社長の「今の週刊誌の記事は予定調和的なものばかりで、驚かせてくれない」という言葉に肯いた。ことに東日本大震災以降、多少の論調は違うが、似たり寄ったりの記事ばかりが多くなったと嘆く先輩たちが多い。  今週はその典型的な週のようだ。原発事故は話題にもならず、野田佳彦総理はとらえどころがなく、TPPに絡めて批判してはいるが、攻めあぐねているようだ。橋下徹前大阪府知事攻撃も矢折れ弾尽きたようで、「現代」はやけくそ気味に「ダブルスコアで圧勝らしい」とお手上げ状態。  独自ネタにも生彩がない。ということで第3位に選んだのは、このところ「回顧路線」で「現代」との差別化を図っている「ポスト」の色物記事。ちなみに「現代」は「ボインの社会史」でお茶を濁している。  殿山泰司といえば、「三文役者」と自称しながら73年の生涯で300本に上る映画に出演した名脇役で、エッセイストとしても有名な御仁である。  この『日本女地図』は1969年にカッパブックスから発行され、私もすぐ買って読んだが、大きな話題になった本である。ハゲで風采の上がらないこのオヤジ、なぜかすこぶるもてるのだ。それこそ港港に女ありである。 「女をつくづく味わうと、どれもがそのたびごとに、キラキラと新しい体験を与えてくれるのだ。肉づき、匂い、締まりぐあい、濡れかた、啼きかた、温度、おケケの濃淡、深浅、感度etc、無数の要素が組みあわされて、ひとりひとりのオンナを作りあげるのだ。同じであるなんてことが、あるはずがない」  北海道から九州まで、自分が接してきた女について研究した集大成がこの本だ。  こんな具合である。「北海道」おおらかで、男をだましたりしないから、安心して付き合っていい。「青森」粗マンで、ちょっとウンコの匂いがするんだ。「茨城」水郷のオンナはアソコのしまりがものすごくいいんだ。「東京」きわめて顕著な上ツキである。「静岡」絶品であります。タコ、キンチャクが多いんだ。「滋賀」昼は聖女、夜は娼婦なんだ。「三重」この名器に、ナメクジMANKOと命名したい。「島根」カワラケは出雲ソバよりはるかにうまい。「沖縄」ちょっと息を吹きかけただけで、すぐもう興奮する感受性。  殿山が死ぬとき、鎌倉のババアと赤坂の側近という2人の女が、手を取り合って最後の別れを惜しんだという。うらやましい男であった。  以前、日ハム・斎藤佑樹投手の寝顔が女性誌を飾ったことがあった。付き合っていた年上の女性が、ことが済んだ後であろう、熟睡している斎藤のかわいい寝顔を撮ったのである。  今回も冒頭に、関ジャニ・錦戸のむしゃぶりつきたくなるようなかわゆい寝顔がドーンと出ている。「フライデー」によれば、女優の加藤ローサ似の彼女は、6月ごろ渋谷のクラブへ遊びに行ったとき声をかけられた。そこですぐに錦戸のマンションへ行って関係を持つ。だが、仕事のストレスがたまっていたのか、電話で話すときもキツい言葉で当たられることがあったという。  彼女は「彼は女の子を女の子として扱ってくれないんです。それが寂しかったし、悔しかった」と話す。  何のことはない、付き合った期間も短そうだし、セックス以外には食事をするとか、デートをするとか、恋人同士らしいことはしていないようだし、話はこれっきりである。  どうということはないが、27歳とは思えないあどけなさが残る2枚の寝顔がとってもいい。そのうち、アイドルの寝顔ばかりを集めた写真集が出せるかもしれないぞ。  今週のグランプリは「たった一人の反乱」と大騒ぎになり、野田総理のTPP参加表明よりも話題をさらった読売巨人軍の内紛劇。  今やメディア界だけではなく、政界にも大きな発言力を持つ日本のドン・渡邉恒雄読売新聞主筆に対して内部から批判の刃を向けたのは、清武英利巨人軍球団代表である。  告発に至った経緯を簡単に書く。巨人の来期のヘッドコーチには岡崎郁コーチが内定し、渡邉にも了解をもらっていたのにもかかわらず、その後、渡邉が独断で岡崎に替えて江川卓を招く交渉を進めていたことへの批判である。  清武はこう言っている。 「これはプロ野球界におけるオーナーやGM制度をないがしろにするだけでなく、内示を受けたコーチや彼らの指導を受ける選手を裏切り、ひいてはファンをも裏切る暴挙ではないでしょうか。(中略)不当な鶴の一声で、愛する巨人軍を、プロ野球を私物化するような行為を許すことはできません」  やんややんやである。今や新聞界の老害とまで言われる渡邉に身内から「おかしい」という声が出てきたのは、どんなに取り繕おうと渡邉時代が終焉に向かっていることの象徴である。  渡邉主筆は次の日に会長談話なるものを発表したが、言い訳がましくて読むに耐えない。  この記事の中でスポーツジャーナリストの二宮清純は、これは「本能寺の変」だと思ったと書いている。  渡邉がこれまでも首脳陣や選手を軽んじる発言を繰り返してきたが、そうした恣意的なちゃぶ台をひっくり返したことへの反撃だともいう。  私も清武球団代表は、彼が社会部時代から知っている。ひとことで言えば、真っ直ぐな人である。巨人を愛すること人後に落ちない。彼が巨人に入ってやった最大の功績は育成制度をつくったことである。  それまでは他のチームの主力選手を金で横っ面をひっぱたいて連れてきて、主軸に据えていた。それでは自分のところの若い選手が腐ってしまったり、1軍に上がる機会が失われると、若い選手を育てることに力を注ぎ、見事に成果を出してきた。  新聞の中には、これは社内問題だから、こうしたことを記者会見でバラすのはおかしいという意見もあったが、そうではない。渡邉主筆のとんでも発言は、巨人軍だけに留まらず他球団や選手にまで及んでいることは、挙げればきりがない。  2004年、近鉄とオリックスの合併騒動のとき、古田敦也選手会長の意思を聞いて「無礼なことを言うな。たかが選手の分際で」と言ったのは有名である。  また、福田康夫内閣時、民主党代表だった小沢一郎との大連立を吹き込んだりするなど、永田町でも隠然たる力を持っている。  メディア人であることを忘れ、私利私欲とまではいわないが、新聞界や野球界、政界にまで発言する首領気取りの男に、まさかの身内からの反乱である。  清武球団代表にすぐメールを送った。「ありがとうございます。やむにやまれぬ会見だったのです」という返事が来た。  彼をドン・キホーテにしてはならない。これを読売渡邉帝国の崩壊の序章にしなければ、本当の意味でのメディア浄化はできないと思う。  最後に、今年春に亡くなった渡邉主筆の盟友、氏家齊一郎日本テレビCEOに聞いた話しを書いておこう。  渡邉の前の故・務台光雄読売新聞会長時代の話である。務台は社で野球中継を見ていて、巨人のピッチャーが打たれると、そのピッチャーを交代させろとメッセージを至急、ベンチにいる監督へ渡せと命ずるというのだ。  しばらくテレビを見ていると、監督がダッグアウトから出てきてピッチャーの交代を告げる。そうしたことが何度もあったという。こういう「伝統」は少し形を変えていまだに続いていると思うが、これが巨人軍の私物化でなくて何であろう。  たしかにだいぶ前から江川を監督にしたいと、氏家CEOは言っていた。しかし、桑田真澄の借金も巨人軍が肩代わりしたため、江川の借金までは手が回らない。あの借金がなければと何度も嘆息していたことを思い出す。  今回の「江川助監督」構想は、盟友だった氏家に対する友情からだったのかもしれない。だが、それが墓穴を掘ることになった。皮肉なものだ。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
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「カネ、女、モノで買収――」腐敗しきった愛知県警 暴排より先に求められる警察の健全化

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「週刊文春」11月10日号(文藝春秋社)
第1位 「スクープ 弘道会『風俗王』に喰われた愛知県警と大物芸能人」(「週刊文春」11月10日号) 第2位 「紅白歌合戦は大混乱必至 芸能界と裏社会」(「AERA」11月14日号) 第3位 「橋下徹『抹殺キャンペーン』の暗黒」(「週刊ポスト」11月18日号)  TPP(環太平洋経済連携協定)参加問題で永田町が大騒ぎになっている。私見だが、情報開示が不十分で拙速過ぎる、よって参加表明は延期すべきだと思う。日本のこれからを左右しかねない消費税増税と併せて、解散総選挙で国民に信を問うがいい。  興味深いのはTPPをめぐる各誌の報道姿勢である。私が見る限り、「週刊朝日」と「週刊新潮」は両論併記で、いいとも悪いとも言いかねているようだ。  「サンデー毎日」と「AERA」は反対のようである。今週の「AERA」で反対派の急先鋒、元経産省出身の中野剛志インタビューで「TPP参加は詐欺だ!」とまで言わせている。  ほとんどこの問題に触れていないのが「週刊文春」「週刊現代」「週刊ポスト」だが、意見を言わないのは反対ではないということか。  先週は「現代」の年金報道に「ノー」を突き付けた「ポスト」が、今週は「新潮」、「文春」の橋下徹の出自報道に対して度が過ぎていると批判している。  両誌は先週号で橋下の父親が同和出身で暴力団組員だったこと、その父親が橋下が小学2年生のときに自殺していることなどを報じているが、こうしたやり方は「集団リンチ」(ポスト)のようで「立派な差別、人権侵害」(同)だとして、橋下が権力者だから許されるという考え方はおかしいと噛みついている。  こうした情報が出てくる背景には当局のリークがあり、彼が当選すると困る大阪市の労組関係者、関西電力を中心とする関西財界の"意思"が背景にあって、民主党や自民党と手を組み橋下当選阻止に回っているのではないかしている。  産経、朝日、毎日も橋下のやり方に批判的で、これは小沢一郎に対してメディアが行ってきた「人物破壊」と同じ構図だと指摘する。「独裁者」「ハシズム」などとそのやり方の強引さが批判される橋下だが、今回の出自暴露キャンペーンはかなり堪えたようである。  「AERA」は「『同和と実父』報道に反論」で、橋下のツイッターによる反論を載せているが、その中でこう言っている。 「今回の報道で俺のことをどう言おうが構わんが、お前らの論法でいけば、俺の子供にまでその血脈は流れるという寸法だ。これは許さん。今の日本のルールの中で、この主張だけは許さん。バカ文春、バカ新潮、反論してこい。俺に不祥事があれば子どもがいても報じろ。俺の生い立ちも報じろ」  今週の「新潮」は相変わらず「瞬発力とご都合主義の扇動者!カメレオン『橋下徹知事』変節の半生」と批判しているが、「文春」はややトーンを下げ、橋下の母親の独白を掲載している。  「現代」は、大阪人100人に緊急アンケートをして、この出自報道がどういう影響を与えたかを調査している。それによると橋下54票、平松邦夫42票で、少し前のような勢いはやや減じたが橋下有利は変わらないとしている。  中で吹田市在住の作家・高村薫がこの報道に対してこう発言している。 「橋下氏は知事在職時代に府議会で『私はいわゆる同和地区で育ちました』と発言しています。首長が発言した以上、そこには政治的な意味が発生します。ですから、週刊誌が彼の出自について指摘すること自体は、なんら問題のあることではないと考えます。橋下氏の反応は過剰ではないでしょうか」  私も同感である。政を行う人間は公人である。プライバシーはかなり制限されるという覚悟がなくて政治家になどなるべきではない。子どもがいるではないかという反駁はわからないでもないが、大方の人間には肉親もいれば妻子もいるのだから、その言い分を認めれば、そうしたことはまったく書けないということになってしまう。  だが、そうはいっても、このケースの場合、私が編集長だったらどうしただろうかと考え込んでしまった。野中広務元衆議院議員は自ら京都府副知事時代に被差別部落出身であることを明らかにしたが、彼の出自が週刊誌や本に取り上げられたのは国政で力を持ってからである。  まだ政治の世界では新人といってもいいほどの彼の出自まで暴くのは、彼の力を評価している証左ではあろうが。この問題については、多くの編集現場で議論があってしかるべきだろう。  これを書いているときニュースが飛び込んできた。 「大相撲の鳴戸(なると)親方(第59代横綱隆の里、本名高谷俊英〈たかや・としひで〉)が7日午前、福岡市内の病院で死去した。59歳だった。日本相撲協会の関係者によると死因は急性呼吸不全とみられるという」(11月7日のasahi.comより)  「新潮」は先週と今週号で鳴戸部屋の隆の山へのインシュリン注射疑惑と、親方や稀勢の里などによる暴力行為や部屋付きの行司からのセクハラで引退に追い込まれた若者による告発記事を掲載している。  こうしたことについて相撲協会は鳴戸親方などに事情を聞いているところだった。こうしたことがストレスとなりトリガーになってしまったのだろうか。「新潮」の記事を読むと、相撲界の浄化はまだまだのようである。  2位には「AERA」のひと味違った芸能界と暴力団についての記事。  田岡一雄・山口組三代目組長が率いた「神戸芸能社」と美空ひばりとのことを持ち出すまでもなく、古くから暴力団と芸能人との結びつきは強かった。  その関係の潮目が変わったのは、後藤忠政・元後藤組組長によれば、山口組と一和会との「山一戦争」(1985年~89年)からだという。  自著『憚りながら』(宝島社)で後藤元組長は、組織犯罪処罰法ができて、ヤクザは社会から「組織犯罪集団」「反社会的勢力」と呼ばれキツくなってきたという。続けてこう書いている。 「だからもう日本では、本気でヤクザを潰そうと思えば、潰せるところまできている。ただ、今すぐなくさないのは警察の思惑に過ぎない」  ヤクザの生殺与奪の権限は警察に握られ、芸能界も同じ問題に直面しているというのだ。  今回の島田紳助引退は吉本興業による警察庁への人身御供だとし、警察庁は今回の暴力団排除条例で国民の間に「暴排」の機運を醸成し、あわせて裏社会に環流する芸能マネーを根絶やしにしたいという考えなのだろう。だが、それが可能なのだろうか、それは脈々と続いてきた日本の文化を潰してしまうことになりはしないかと疑問を呈する。  作家・宮崎学は芸能界やパチンコ、風俗業界などの「グレーゾーンビジネス」からグレーを取り除いてしまってはビジネスとして成り立たないと言う。また、横山やすしや藤山寛美などアナーキーな芸人がいなくなり、日本の笑いの質が劣化してしまった。映画界も任侠映画や『仁義なき戦い』などのヤクザ映画が排除された結果、きれいなモノしか描かなくなって映画も没落していったではないかと言う。  今ヤクザと付き合いのない大手芸能プロダクションはジャニーズ事務所ぐらいだと言われるそうだ。だからNHK『紅白歌合戦』の司会に2年連続で嵐が選ばれた。  今年の『紅白』に誰が選ばれ、誰が落とされるのか。もし人選が例年と変わらないならばNHK会長のメンツに関わるし、暴排への本気度が疑われかねない。だが常連歌手が落選となれば、NHKがヤバイやつだと認定したことになり、その人間の歌手生命が終わってしまうかもしれない。  さあ、どうするのかNHK。暴力団は悪だとほとんどの人が思っている。だが、暴力団とつながりが強いといわれている歌手の松山千春が言うように、大きな問題が残る。 「自分だって暴力団はいなくなったほうがいいと思う。でも、よく考えてみてください。北海道から沖縄まで排除しろ排除しろって。では、どこに排除しろというんですか」  山口組組員だけで3万人いると言われる。その連中を追い込み、彼らが地下に潜って悪さを始めたら、警察の手に負えるのか。「AERA」はこのテーマを続けるつもりのようだ。注目である。  暴力団と警察の癒着構造をえぐりだした「文春」の記事が今週のグランプリ。  安藤隆春前警察庁長官はこういった。 「弘道会の弱体化なくして山口組の弱体化はなく、山口組の弱体化なくして暴力団の弱体化はない」  それほどの力を持つ弘道会の資金源と疑われる「風俗王」が、清原和博、山本譲二、吉幾三などのスポーツ選手や芸能人と親しいだけではなく、捜査員をカネで籠絡していたと告発している。ノンフィクション・ライター・藤吉雅春の骨太な力作である。  この人物、今年4月に弘道会若頭・竹内照明被告とともに詐欺容疑で逮捕された佐藤義徳被告(54)である。  藤吉によれば、佐藤は竹内若頭たちがいつでも利用できるような病院を確保しておくために、大病院の御曹司に有名芸能人を会わせたりして手なずけ、その上、愛知県蟹江署から件の御曹司に感謝状を贈呈させる工作までしたというのだ。  警察にマークされている佐藤が、そんなことをできるのは警察との強い癒着が背景にある。「『名古屋は治外法権』(風俗関係者)と言われるほどの、腐りきった土壌があった」と書いている。  07年10月、佐藤の自宅に愛知県警の家宅捜査が入ったとき、捜査四課の警部の名前が記された850万円の借用書が発見された。  株取引で800万円の損失を出した警察署長は佐藤から2,000万円を提供され、受け取るところを盗撮されていたという。  佐藤は日頃からこう周囲に豪語していたという。 「俺は警察にカネを払っているから道の真ん中を堂々と歩けるんだ」  地元在住のジャーナリスト・成田俊一はこう語っている。 「昔から、どこの警察でも一人や二人の汚れ役は必要とされていた。ヤクザから情報を取るためです。しかし、愛知県警は幹部クラスまでカネ、女、モノで買収されていた。県警と弘道会のつなぎ役として浮上していたのが、佐藤だったのです」  さらに驚くのは、蟹江署の副署長が先の病院の御曹司に感謝状を出していたことを愛知県庁の監査、県警が極秘調査していたのだ。佐藤と副署長との接点は春日井カントリークラブでのゴルフだと判明したが、驚いたことに、県警の幹部クラスに春日井カントリークラブに行かないようにという注意が回っただけで、蟹江署署長は処分なしで定年退職、副署長は科捜研へ異動になっただけだった。  「県警は佐藤に浸食されていた"恥部"に蓋をしたのだ」と批判し、「警察の健全化なくして、暴力団の健全化はない」と結ぶ。  大阪特捜部の腐敗が明るみに出たが、愛知県警の腐敗はもっとひどいようだ。ここまで書かれた愛知県警が、いまのところ抗議や告訴をしたという情報は聞こえてこない。どうする愛知県警。 (文=元木昌彦) 〈謹告〉 日本インターネット報道協会(INAJ)三周年記念講演会のお知らせ  皆様におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。  INAJは2008年8月1日に「公衆ネットワーク(インターネット)を利用した報道コンテンツの品質向上と会員相互の交流」を目的として設立されました。  十全ではありませんが、講演会やシンポジウムの開催による啓蒙活動、会員相互間、他団体との交流促進、公衆ネットワーク技術、コンテンツの品質向上に関する研究などを行ってきました。  設立から3年余りが経ち、首相や閣僚の記者会見への参加など、インターネット・メディアの活動の場も様々に広がってきていることはご承知のことと存じます。  そこでこの度、INAJの会員の皆様、INAJを支援していただいているユーザーの皆様をご招待して、3周年記念の講演会を催したいと考えました。  講演していただくのはインターネット・メディアについての第一人者である佐々木俊尚さんです。  ふるってご参加下さるようお願い申し上げます。
INAJ代表幹事 竹内謙 事務局長 元木昌彦
●日時 11月16日〔水〕 17:30開場 18:00開演~19:30終了 ●場所 アルカディア市ヶ谷(私学会館)6F「霧島」(予定) http://www.arcadia-jp.org/top.htm ●入場 無料
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
警察の闇 愛知県警の罪 [単行本] いろいろ悪名高いです。 amazon_associate_logo.jpg
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