米国の大学に通うある韓国人男性が、北朝鮮の金正恩氏にそっくりだとして人気を集めている。話題の渦中にあるのは、キム・ミンヨンさん。イリノイ大学で、正恩氏と似たような髪形および服装で出歩き、大学の“名物”になっているという。 キムさんはソウルで生まれ、2009年にイリノイ大学に入学。翌年から韓国で徴兵義務を全うするために一度帰国し、12年に復学した。ソウルに戻って生活している際、ハロウィン・パーティーで正恩氏のスタイルをモノマネしたところ、大ウケ。復学後にキャンパス内で同じような格好をしたところ話題となり、新聞にまで紹介された。米国で人気者になっているというニュースはキムさんの母国・韓国でも伝えられ、広告モデルやテレビ番組主演のオファーが舞い込み、一躍有名人となった。 現在、イリノイ大学で生活しているキムさんだが、キャンパスを歩いていると1日100人くらいから声をかけられ、記念撮影をせがまれるという。キムさん自身は、これに悪い気がしないらしく、キャンパス内で友達が増えることに喜びを感じているという。当初、正恩氏に似ているといわれることは嫌だったそうだが、最近は逆に楽しんでいるのだとか。 「僕が金正恩のマネをすることで、みんなが一瞬でも大学生活のストレスを忘れてくれれば幸せです」(キムさん) なお、キムさんは正恩氏を支持しているというわけではないらしい。ただ、バスケットボールとシカゴ・ブルズのファンであるという部分に関しては、共通点があると話している。ちなみに、正恩氏とキムさんは年が近い同世代。そのため「今後20~30年の間はモノマネできる」とキムさんは言う。キムさんは大学を卒業後は英語塾を経営する予定だが、「副業でドラマやコメディーショーに出演したい」と、メディアの取材に答えている。 そんなキムさんや、周囲の騒ぎぶりに対しては批判的な意見もある。脱北者支援団体「北朝鮮の自由」のイリノイ大学支部長は「キム氏のモノマネが、北朝鮮に住む2000万人の人々の残酷な現実に対して、アメリカ人を鈍感にさせている」とし「人々を笑顔にしたいという理由はわからなくもないが、少し無責任な行動では」と話している。USAトゥデイより
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日本で優秀なスパイが育たない理由とは? 安倍内閣の下で諜報機関が台頭!? 世界と日本の最新スパイ事情レポート
――北朝鮮によるミサイル危機をはじめ、緊迫化するアジア情勢。そんな中であらためて露呈したのが、我が国・日本の情報力のお粗末さだった。情報を扱うプロであるスパイをテーマに据え、アメリカで話題となっているテレビドラマの内容とともに、各国のスパイ最新事情と日本の諜報機関の今を追った。 今年4月以降、国内では北朝鮮の情勢をめぐって緊張状態が続いている。国土交通省からは操作ミスなども含め、複数回にわたって北朝鮮からのミサイル発射についての誤報が流れるなど、かなりの混乱が見られ、メディアなどでもさまざまな憶測や見解が出されている状態だ。この緊迫した国際情勢の中で、改めて専門家から警鐘が鳴らされているのが「日本の諜報力の弱さ」だ。 諜報機関というと日本ではあまり馴染みがないが、海外ではその存在感や果たす役割は大きい。諜報機関などの専門誌である「ワールド・インテリジェンス」(ジャパン・ミリタリー・レビュー)編集長などを歴任した軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、「世界を見ると、諜報活動に力を入れていない国はない」と語る。 「たとえばアメリカの場合だと、海外へ行っていわゆる諜報活動に当たるのがCIA。イギリスならMI6、ロシアならSVR(旧KGB)、中国などアジア圏の国々も強い諜報組織を持っています。こうした各国政府の下で諜報活動に当たる人間は、大きく2タイプに分かれています。公務員としての正式な肩書を持つ”オフィシャルカバー”と呼ばれる人たちは、大使館の外交官などとして各国に潜入していくケースが多い。日本に潜入するのであれば、駐日軍人として入ってくるのが一番楽でしょう。これに対して、正式な政府職員としての肩書を与えられない”ノンオフィシャルカバー”と呼ばれる人たちは、民間企業の一員などとして海外に赴きます。オフィシャルカバーは正式な政府職員であるため、外交特権などで守られていますが、ノンオフィシャルカバーの場合、万一潜入した国で捕まった場合は即各国の法律で裁かれることになる。スパイ行為は多くの国で非常に罪が重く、極刑を科すのが普通なので、リスクが大きい仕事です」(黒井氏) 想像通り危険なスパイ活動だが、現在の主流は潜入調査というよりも内通者づくりだという。「自分が潜入していくよりも、もともと内部にいた人を寝返らせて情報を引き出すほうが効率がいい。だから、”アセット(資産)”と呼ばれる協力者を各国に作っていくのが現在一番多い手法です」(同) そんな中、黒井氏が危惧するのが日本の諜報力だ。氏によれば日本の諜報力は「第二次世界大戦後から、伝統的に弱い」のだという。 「内閣官房の内閣情報調査室や外務省の国際情報統括官組織、法務省の公安調査庁、防衛省の情報本部など、日本にもいわゆる情報活動を行う組織はいくつかありますが、現状で強いのは警察です。警察はアメリカのFBIに当たる業務も兼ねており、外国のスパイや危険な組織を監視するといった防諜を得意としています。しかし、CIAに相当する専門の対外諜報機関が存在せず、海外の独自情報はなかなか国内に入ってこない。イラク戦争のときに自衛隊が派遣されましたが、現地の情報がほとんどないため、オランダ軍やイギリス軍から情報をもらって活動していた、なんて話もあるくらいです。また、情報漏洩に対する意識も低く、内部情報を漏らしてしまっても、それに対する罰則規定も各国に比べて格段に甘い。そもそも日本では、政治家と記者がべったりで、本来秘密であるべき会議の内容までマスコミに筒抜けだったりする。最近ではさらにハッカーなどによるサイバー活動も盛んになっていますが、この分野でも日本は弱い。今年初頭にPCの遠隔操作事件が取り沙汰された通り、ネット関連はザル状態で非常に危険といえます」(同) 日本の諜報能力が弱いのは、歴史と風土の影響が大きいと、黒井氏は指摘する。戦前の1938年には、世界初のスパイ養成学校・陸軍中野学校が設立され、海外での秘密工作なども盛んに行われていたが、戦後、GHQの管理下で旧軍が解体されるとそうしたノウハウも失われてしまった。 「軍が解体されたといっても、51年のサンフランシスコ講和条約での独立後は、諜報組織を作ることは可能だった。しかし、日本では諜報活動に対して戦前の憲兵隊などの検閲や思想弾圧といったイメージが強く、左翼からの反発が強かったのです。そのため、なかなか強力な諜報組織を作ることができなかった。加えて、戦争中であれば諜報活動は絶対に必要でしたが、戦後はその必然性もなくなってしまった。普通、諜報部門はどこの国でもエリート中のエリートが就くもの。しかし、日本では各組織の情報部門は傍流扱いで、エリートコースではないということからもそうした意識がうかがえます」(同) こうした状況下で、黒井氏が日本の諜報活動強化に期待を寄せているのが、日本版NSC(国家安全保障会議)の発足だ。 「NSCは各省庁、情報機関からの情報を集めて分析し、戦略化するための組織で、第一次安倍政権時代から現在まで安倍内閣が創設に向けて動いています。アメリカでも同様の組織は400人程度の人員を配備していますが、日本版はいきなり200人規模で創設する構想を持っているといわれており、かなりの気合を感じます。日本の諜報能力を立て直すきっかけになってほしいですね」(同) 国際的な緊迫感が高まっている現在、より速くより正確な情報を手に入れられるかどうかは、一国の運命を左右する問題だ。アメリカでは、下記で紹介している『HOMELAND/ホームランド』のように、諜報をめぐる争いがエンタメとして人気を博すなど、その注目度は高い。半世紀以上にわたって後れを取ってきた日本の諜報能力を立て直すことはできるのか? 日本における諜報機関の今後の動向に一層注視していく必要があるだろう。 (取材・文/小林 聖) 黒井文太郎(くろい・ぶんたろう) 1963年、福島県生まれ。「軍事研究」記者、「ワールド・インテリジェンス」(共にジャパン・ミリタリー・レビュー社)編集長などを歴任。現在はフリーの軍事ジャーナリストとして活躍中。『ビンラディン抹殺指令』(洋泉社新書y )、『日本の情報機関』(講談社)など著書多数。『HOMELAND/ホームランド vol.1』
『24─TWENTY FOUR─』の製作陣が送るスパイサスペンスが日本上陸! HOMELAND/ホームランド 寝返り工作が激しいスパイの世界では、誰がどこのスパイとなっているかを見極めるのも重要だ。国防総省管理下のCTU(架空の政府機関)所属の捜査官とテロ組織との戦いを描いた『24-TWENTY FOUR-』シリーズの製作陣が手がけた新たなドラマ『HOMELAND/ホームランド』は、そんな寝返り工作疑惑をめぐるサスペンス。物語は、イラクで消息不明になっていたアメリカ海兵隊の軍曹が、8年にわたるアルカイダでの捕虜生活を経て、祖国に帰ってくるところから始まる。“英雄”として迎えられる軍曹ニコラス・ブロディだが、CIAエージェントのキャリー・マティソンは、ニコラスが洗脳され、アルカイダに寝返ったのではないかという疑惑を抱く。果たして彼は本当に“英雄”なのか? それとも……複雑な心理と息をもつかせぬ展開のスリリングなスパイドラマになっている。
プロデューサー:ハワード・ゴードン 出演:ダミアン・ルイス、クレア・デインズほか 発売:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社 価格:ブルーレイBOX 3枚組 1万2600円 DVD BOX1 2枚組 3360円 DVD BOX2 4枚組 5040円 DVD vol.1 1490円(すべて税込) 発売日:5月31日(レンタル開始:6月5日)(c)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
ひとりを殺すための犠牲 失われたアメリカの正義
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『ゼロ・ダーク・サーティ』 CIAの女性分析官・マヤを主人公に、国際的テロ組織の指導者オサマ・ビン・ラディンの捕獲・暗殺作戦を遂行するCIAの姿を描く。自爆テロなどを受けながら、CIAはついにビン・ラディンの居場所を突き止めるのだった。 監督/キャスリン・ビグロー 脚本/マーク・ボール 出演/ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラークほか 日本では2月15日より全国ロードショー予定。 2011年5月2日深夜、パキスタンのアボッターバードに、米国海軍特殊部隊を載せたヘリコプターが突如飛来した。01年9月11日の同時多発テロ首謀者とされるオサマ・ビン・ラディンを急襲するためだ。作戦決行時刻は軍事用語でゼロ・ダーク・サーティ(午前0時半)。それが本作のタイトルになった。 監督は、米軍の爆発物処理班を描いた『ハート・ロッカー』(08年)で10年度アカデミー監督賞などを受賞したキャスリン・ビグロー。『ハート・ロッカー』の脚本家マーク・ボールと再び組んで、CIAによるビン・ラディン探索と襲撃を、事件からわずか一年半で映画化した。 『ゼロ・ダーク・サーティ』の主人公はCIAの女性エージェント、マヤ。彼女は、ビン・ラディンの居場所を突きとめた実在の女性CIA局員をモデルにしている。官僚主義や女性蔑視と戦いながら宿敵を追い続けるマヤの姿には、男中心のハリウッドで、リアルで硬派な男性アクション映画だけを撮り続けるビグロー自身が重なってくる。 そしてクライマックス。観客はビン・ラディン襲撃を体験する。同居している妻子を傷つけずに、ビン・ラディンだけを仕留めなければ。さらに、パキスタン政府に気づかれる前に脱出するタイムリミットが迫る。まさにホワイトナックル(握りしめた拳の関節が白くなる)緊迫感で批評家から絶賛され、ビグローとボールは『ハート・ロッカー』に続き、本作でアカデミー賞に輝くだろう……と言われていた。 それに水を差したのは、配給会社宛にジョン・マケイン(共和党)、ダイアン・ファインスタイン、カール・レヴィン(共に民主党)が連名で出した抗議文だ。『ゼロ・ダーク・サーティ』は事実を歪曲してCIAによる拷問を正当化しているという。 どの部分が問題なのか。『ゼロ・ダーク・サーティ』は04年、CIA局員ダンがアマールというアルカイダのテロリストを拷問するシーンから始まる。アメリカの法律は拷問を禁じているため、シリアやエジプトなど親米独裁政権の国の秘密基地で行われた。このやり方は当時のブッシュ大統領の承認を得ている。 ダンはアマールを水責めにする。顔にタオルをかけ、水を注ぐ。これはゴダールの映画『気狂いピエロ』にも登場する拷問だ。死ぬことはないが、死に近い恐怖を与えられる。こうした拷問を見たマヤは最初、嘔吐するが、だんだん自ら拷問を指揮するようになる。 CIAが欲しいのは、ビン・ラディンのクーリエ(連絡係)の名前。拷問の果てに、アマールは、連絡係の名前を漏らす。 しかし、実際は、CIAが連絡係の名を聞き出す際、水責めを使わなかったという(09年のオバマ政権以降、拷問は使われていない)。「『ゼロ・ダーク・サーティ』は、拷問が有効だという間違ったメッセージを観客に伝える」とマケインらは批判する。拷問された者は、苦痛から逃れようと、尋問者が求める答えをでっち上げる。イラクが9・11テロの黒幕という誤情報も拷問で得られたものだった。その結果、間違ったイラク攻撃で10万人以上が死んだ。 マケイン自身、ベトナム戦争時に捕虜となり、約6年間も拷問された。だからブッシュ政権がテロリストを拷問した時も「アメリカの正義がなくなる」と激しく反対した。 ただ、連絡係の名の入手に拷問を使わなかったという事実は、『ゼロ・ダーク・サーティ』撮影後に初めて判明した。また、この映画から観客が感じるのは、拷問するCIAへの賛辞ではなく、凄まじい脱力感である。世界一の大国が国を挙げて、たったひとりの男を10年も追い回し、卑怯で不法な暗殺によってやっと仕留めたものの、それまでに何十万もの命が無駄に失われ、暴力に暴力で対抗する間にアメリカは正義も威信も失った。その損失は、ビン・ラディンひとりを殺したところで何も戻ってこない。 すべてが終わった後、主人公マヤは「これからどこに行く?」と尋ねられて何も答えられない。筆者はサム・ペキンパー監督の『わらの犬』を思い出した。平和主義者の数学者(ダスティン・ホフマン)がアメリカの暴力を嫌って、スコットランドの田舎に引っ越す。しかし、田舎の素朴な人々は都会以上に暴力的で、ホフマンに襲いかかる。彼はあらゆる手段を使って反撃し、敵を皆殺しにするが、彼の手は血に塗れた。「帰り道はわかるか?」と尋ねられたホフマンはつぶやく。「わからない」と。 まちやま・ともひろ サンフランシスコ郊外在住。『〈映画の見方〉がわかる本』(洋泉社)など著書多数。TOKYO MXテレビ(金曜日23時半~)にて、『松嶋 ×町山 未公開映画を観るTV』が放送中。 「サイゾーpremium」ではあらゆる識者人たちによる連載が満載です。】 ・"小田嶋隆の友達リクエストの時代「社会に出た人間は新しい友だちを作ることができない!? 友だちとは"学校"の副産物なのだ」 ・町田康の続・関東戎夷焼煮袋「お好み焼きの王である豚玉 焼きそばのせお好み焼き・モダン焼 "モダン"が示す大阪人の魂」 ・法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン「尼崎事件に見る普遍性と現代性」
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命令ならばレイプまがいも権威への従属が招く暴挙
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『コンプライアンス』 ある日、田舎のファストフード店に警察を名乗る男から一本の電話が入った。警官は、女性店員に窃盗の疑いがかかっていると言い、上司に身体検査を命じる。しかし、この電話はアメリカで10年にもわたって起こっていた「身体検査電話事件」のものだった……。 監督/クレイグ・ゾベル 出演/アン・ダウド、ドリーマ・ウォーカーほか(日本での公開は未定) 「警察官のスコットです」 2004年4月、人口1万2000人の田舎町、ケンタッキー州ワシントン・マウンテンのマクドナルドに警察から電話がかかってきた。 「お宅の店員に財布を盗まれたという人がいるんですけどね」 副店長のドナ・ジーン・サマーズ(51歳・女性)は聞き返した。 「どんな店員ですか?」 「レジにいた、若い女性の……」 「ルイーズですか?」 「そうそう、そのルイーズが、カウンターに置かれた財布を盗んだと」 そんな馬鹿な、とサマーズは思った。ルイーズはまだ18歳になったばかりの女子高生。時給600円で真面目に働いてきた女の子なのに。 「警察に協力してくれ。君が私の代わりに、彼女を身体検査するんだ」 『コンプライアンス(法令順守)』は、アメリカで実際に起こった、この「身体検査電話事件」を再現した映画だ。 「私、知りません」と否定するルイーズを、サマーズは裏の倉庫に連れて行き、ドアを閉めた。ルイーズの制服を脱がし、服の中を調べたが何もない。 「下着はどうした?」警官スコットが電話の向こうで尋ねる。「協力しないと、あなたもルイーズと共犯と見なして逮捕されますよ」 サマーズはルイーズの下着を脱がせ、代わりに店のエプロンを着せた。 「お巡りさん、ルイーズはどこにもお金を隠してません」 「いや。女性には隠せるところがあるだろう。そこを探せ」 この身体検査の一部始終は店内の監視カメラに記録されており、映画『コンプライアンス』は、店名、個人名などを変更しただけで、この事件を忠実に再現している。 警官と称する電話による身体検査事件は、95年から全米各地のファストフード店で起こっていた。 ルイーズは泣き始めた。サマーズはスコットに「これ以上できません。お店も忙しいし」と命令を拒否し始めた。するとスコットは「あなたは結婚してますか?」と言い出した。「いえ、でも、来月結婚する予定です」 「では、その婚約者を呼びなさい」 今度は、サマーズに呼び出された婚約者ウォルター・ニックスがルイーズの検査をすることになった。「彼女はドラッグをやっているかもしれない」と、スコットは言う。「息を嗅ぐため、彼女にキスしろ」彼は言われた通りにした。次にスコットは、ルイーズにニックスのパンツを脱がせてアヌスに指を入れるよう命じた。「従わないなら、ニックスに殴らせるぞ」と脅されて、彼女は従った。 この事件で驚くのは、警官と称する電話に命じられた人々が、泣き叫ぶ女の子に対し、簡単にレイプまがいの行為をしてしまうことだ。04年5月、ファストフード店のコックは電話で指示されるまま、16歳のウェイトレスにオーラル・セックスを強要した。 その理由を説明してくれるのは「ミルグラム実験」だろう。61年、イエール大学の心理学者スタンリー・ミルグラム教授は、ある実験の手伝いを募集した。問題に誤答した被験者に罰として電気ショックを与える仕事だ。回答者が間違えると15ボルトずつ電圧を上げていく。電気が流される度に回答者は悲鳴を上げたが、これは演技で、本当に実験されていたのは「拷問者」だった。驚くべきことに、被験者40人中25人が最大の電圧まで上げた。「これは実験だ」「君に責任はない」と言われると、人はどこまでも残酷になれる。 ユダヤ人を大量に拷問虐殺したナチの士官や兵士たちも、冷酷な怪物ではなく、凡庸な小市民ばかりだった。権威がお墨付きを与えると、人は自分の秘めたる欲望を解放してしまう。戦争や独裁政権下の暴虐の原因はそこにある。それを確かめるため、ミルグラム博士はこの実験を行った。犯人は、この実験を知っていたと推測されている。 次にスコットは、店の掃除夫を呼ばせた。しかし、彼は命令を拒否した。「これは間違っている。彼女に服を着せてやれ」ルイーズは2時間以上の恥辱から解放された。 電話主探しが始まった。いたずら電話はプリペイドカードでかけられていて、追跡は不可能だった。しかし、カードの販売店が判明。警察が店に張り込み、04年6月、ついに犯人を逮捕した。デヴィッド・R・スチュワート。警官志望の看守だった。 ルイーズは、サマーズとニックスを性的暴行で訴えた。彼らは「警官に命令されたと思ったから罪はない」と主張している。コンプライアンス(従順)という無責任。あなたは自分の意志で拒否できるか? まちやま・ともひろ サンフランシスコ郊外在住。『〈映画の見方〉がわかる本』(洋泉社)など著書多数。TOKYO MXテレビ(金曜日23時半~)にて、『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』が放送中。 【「サイゾーpremium」では他にも強力な識者陣が連載中!】 ・【法社会学者・河合幹雄】“役に立たない”監視カメラをそれでも警察が推進したいワケ ・【宇野常寛】「平家にあらずんば人にあらず」 ・【高須基仁】原発問題に底が抜けている感覚を覚えるこの状況に団塊の世代はなぜ立ち上がらないのだ!?
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民主党は、年次改革要望書廃止に反発したアメリカに潰された!?
サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます!
■「Business Journal」人気記事(一部抜粋)
「プリン在中」「洗濯機の中に宅配」佐川にヤマトのトンデモ運送
司法修習の給費制廃止により、弁護士や裁判官が多重債務者に?
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民主党は、年次改革要望書廃止に反発したアメリカに潰された!? - Business Journal(10月26日)
民主党政権は、米国からの命令を聞かなかったために潰された――こう主張する衝撃的な新書が出版された。その新書のタイトルは『民主党大崩壊! 国民を欺き続けた1000日』(双葉社新書)。著者は2012年8月、民主党の消費税増税法案に反対し、離党した小泉俊明・衆議院議員(元民主党副幹事長、減税日本幹事長 茨城3区)だ。鳩山由紀夫元首相の側近としても知られ、与野党に幅広いネットワークを有し、政治の裏まで知り尽くしている人物だ。今回、小泉議員にインタビューし、その真実を語ってもらった。 ――今回の新書は『民主党大崩壊!』という過激なタイトルで、民主党が崩壊した内幕を語っていますが、その崩壊は鳩山由紀夫政権の改革がきっかけだったとは驚きです。 小泉俊明氏(以下、小泉) マスコミ報道では、鳩山政権は沖縄・普天間基地移設問題の迷走の末に総辞職したようになっていますが、実際には、鳩山政権のいくつかの意欲的な改革によって米国側が反発し、総辞職するように仕向けたのです。マスコミ的には評価されていませんが、米国との関係の上では、既存の政治を見直した大きな改革が2点あります。東アジア共同体構想と年次改革要望書の見直しです。 まずは、東アジア共同体構想です。鳩山氏は総選挙3日前の09年8月27日、米国の「ニューヨークタイムズ」紙に「日本の新しい道(A New Path for Japan)」と題する論文を寄稿しました。これは、日本の外交戦略について持説を語ったものでしたが、米国主導のグローバリゼーションを批判し、格差是正や東アジア諸国によるコミュニティ形成の必要性を説いたものです。 9月には、国連総会出席のために訪問したニューヨークで鳩山首相は、中国の胡錦涛国家主席と会談し、欧州連合をモデルに単一通貨の導入の可能性も含めた東アジア地域の統一を目指す「東アジア共同体」の創設を提案。さらに、10月の東アジア首脳会議で「東アジア共同体」構想を発表したのです。 この鳩山氏の行動は、それまでの「米国依存」の政治から脱却する意欲的な改革でした。米国にはっきりものを言い、対等な立場で交渉に臨む姿勢を表したのです。 こうした姿勢は、年次改革要望書の見直しにも見られました。年次改革要望書とは、毎年10月に米国政府から米国企業の日本市場への参入を拡大するために日米規制改革委員会を通じて、提出されていた要望書です。この要望書に基づいて審議会に諮問され、答申書がつくられ、郵政民営化や公正取引委員会の強化といった米国に都合の良い法改正が行われてきました。鳩山政権が日米規制改革委員会を廃止したことで、年次改革要望書も廃止されたのです。野田佳彦首相(中央)。(「首相官邸HP」より)
●拒否できない日本
――日本の規制緩和などの改革は、年次改革要望書を通じた米国の指示によるものだった。ノンフィクション作家の関岡英之氏がその著書『拒否できない日本――アメリカの日本改造が進んでいる』(文春新書)で、これらの事実が明らかにされ、国会でも取り上げられました。 小泉 鳩山政権は、それまでの年次改革要望書通りの改革が行われてきた対米追随型の政治を見直そうと、年次改革要望書を扱う日米規制改革委員会を廃止したのです。米国側はこれに猛反発し、その後、米国側は交渉のテーブルには乗ろうとしなくなります。国内的には脱「財務省」の政策を打ち出したことで、財務省も猛反発。鳩山政権は空中分解を始めます。 そして、鳩山首相の後任の菅直人首相に交代するや、オバマ大統領との第2回首脳会談(10年9月)で米国は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加の検討を約束させます。それまでの年次改革要望書は個別法の改革を要求し、それに沿った形で法改正が行われてきました。 ところが、TPPは条約です。条約は国内法に優先するために、TPPで話をまとめれば、法改正よりも早く変更ができてしまう。個別に国内法を変えると3年から5年はかかることが、一度の交渉で変更できてしまうのです。米国にとっては年次改革要望書を拒否するならば、より国民にわかりにくい形で要望ができるTPPを日本に呑ませようと仕掛け始めたのです。 ただし、私は巷に流布するような「すべて米国がたくらんで世界を動かしている」といったような米国の陰謀論にくみするつもりはありません。日本の政治家は米国の指示に従うばかりではなく、自国の利益の主張をしていくべきではないかと言いたのです。 最近話題のベストセラーに、外務省OBの孫崎亨氏の著書『戦後史の正体』(創元社)という本があります。その中で孫崎氏は、日米の外交は常に米国からの圧力に対して、親米的な「対米追従」路線と、米国と距離を置こうとする「独立自尊」路線という2つの路線の間で、どのような選択をするかが最大のテーマだったと書かれています。小泉内閣のように親米的な政権は長続きし、細川護熙連立政権のように自主独立、アジアとの協調重視の政権は短命に終わるとも解説しています。 これは外交だけではありません。日本の政治、経済でのスタンスも、親米的な「対米追従」路線と米国と、距離を置こうとする「独立自尊」路線があり、その2つの路線の間でどのような政策をとることができるかが問われているのです。米国は当然ながら自国の利益のために主張し、行動します。ですから、米国の政策に同意する部分と反論すべき部分はあるはずなのです。 ところが戦後の日本は、親米的な「対米追従」路線が圧倒的に強いのです。当時のブッシュ大統領との蜜月関係を重視した小泉政権が典型でしょう。小泉政権がいかに日本経済を米国に叩き売りしたかについては、小泉政権時代に私は国会質問で追及しましたし、この新書でも小泉政権の新自由主義の問題点をまとめています。●アジアからの侵犯が増えた原因は野田政権にあり
――鳩山政権に代わった菅直人、野田佳彦政権は「対米追従」路線を突き進み、消費増税に円高ドル安、TPPと米国にとって都合のよい政策を進めています。その結果と、して何度かの党分裂を繰り返してしまいました。 小泉 米国依存、財務省依存で、民主党は別の政党に成り代わったかのように大きく変わりました。まるで「対米追従」路線の小泉政権を引き継いだような政治を行います。その最たる例が消費増税です。 政権交代を果たした総選挙において国民に約束したのは、まずは増税をせず、特殊法人や天下りなどを廃止・見直し、無駄遣いを徹底的に削るとともに、予算の組み替えをして予算を捻出することだったはずです。ところが鳩山政権がツブれるや、財務省のレールに乗って安易に消費増税に突き進み始めるのです。15年以上続く、この不景気下での消費増税は消費者の負担が増し、景気がさらに悪化するのは火を見るより明らかなのに、です。 ですから私は、消費税増税法案の衆院採決で反対票を投じ(12年6月26日)、衆院国土交通委員会の筆頭理事を辞任しました(党員資格停止2カ月の処分)。8月8日の野田内閣への内閣不信任案には賛成の投票をし、翌日の8月9日には、離党届を提出したのです。 これほど野田政権には問題が多いにもかかわらず、8月8日に開かれた民主党の両院議員総会では「野田総理は決断をした。決断できる政治の復活だ!」などと、1年生議員の野田首相への礼賛発言が相次ぎました。反対意見が出てこないこの光景に、消費増税に賛成している国会議員たちからも、「この両院議員総会は反対意見もなく野田礼賛を繰り返すだけ……まるで新興宗教ではないか」という声が聞こえてきたほどです。確かに狂信者の群れのようです。狂信者たちが、日本を亡国の道へと突き進めるのです。●各国首脳との会談もそっちのけの野田総理
野田政権がしたことは米国の言いなりの政治、消費増税だけ。これでは近隣諸国からもなめられます。消費増税の議論が最優先で、外交も後回しです。3月には、韓国でオバマ大統領をはじめ世界中のトップが集まり、核サミットが開かれました。各国首脳によるトップ会談が個別に開かれているのに、野田総理はどの国のトップとも正式な会談もせずに、この消費税増税の会議のために帰国してしまいました。しかも総理は、結局この会議には出席しなかったのです。外交が直接国民生活に大きな影響を与える時代に入ったにもかかわらず、この判断は明らかに国民の利益に反するものでした。 国内的にガタガタで、海外に目を向ける時間もないとなれば、近隣諸国は黙っていないでしょう。日本の領土である竹島に韓国の李明博大統領が上陸したり、尖閣諸島には台湾の活動家らが上陸をしようと試み始めるのです。自ら党が分裂するように動く政府です。これほどこっけいな政権運営はありません。海外からすれば、こうした政権のうちに、さまざまな上陸の既成事実をつくってしまおうと考えるでしょう。 野田政権には、早くNOを突きつけるべきでしょう。そう考えた私は、河村たかし名古屋市長、小林興起衆議院議員らとともに、新党・減税日本を立ち上げました。既成勢力に牛耳られた自民党でも民主党でもない第三極をつくるべく、尽力をしていきたいと考えています。 (文=松井克明/CFP) ■おすすめ記事 「プリン在中」「洗濯機の中に宅配」佐川にヤマトのトンデモ運送 司法修習の給費制廃止により、弁護士や裁判官が多重債務者に? 累計3200万部の『かいけつゾロリ』を創る作者に感動! レアアース企業が軒並み経営不振! 自滅した中国 高給を払わないでも“超”優秀な人材に働いてもらう方法とは?おバカな独裁者が問いかける民主主義
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『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』 架空の国ワディヤの独裁者アラジーン(サシャ・バロン・コーエン)は、自国での核開発を疑われ、ニューヨークの国連本部へと召喚される。そこで拉致されて、路頭に迷った彼は、心優しい女性の元で難民として働き始めるのだが……。 監督/ラリー・チャールズ 出演/サシャ・バロン・コーエン、アンナ・ファリス、ベン・キングズレーほか 日本では、9月7日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか、全国順次公開 今年2月のアカデミー賞授賞式。開場前のレッドカーペットに、勲章をいっぱいつけた軍服を着て、オサマ・ビン・ラディンみたいな長い髭を生やした男が現れた。 独裁者に扮したサシャ・バロン・コーエンだ! コーエンはイギリス出身のコメディアン。映画『ボラット』でカザフスタン国営テレビのレポーターと偽ってアメリカ各地を取材した。つまり「どっきりカメラ」方式の疑似ドキュメンタリーで、「カザフスタンのテレビなら何を言っても大丈夫さ」と油断したアメリカ人から黒人やユダヤ人差別発言を引き出した(コーエン自身はユダヤ系)。 その次の『ブルーノ』でのコーエンは、オーストリアのゲイのファッション・レポーター。ゲイ嫌いの保守的な南部のハンターに夜這いをかけて殺されそうになったりした。 『ディクテーター(独裁者)』でコーエンが演じるのは、中東の架空の国ワディヤの独裁者アラジーン将軍。『ヒューゴの不思議な発明』に、ギャグを封印して普通の俳優として出演し、アカデミー賞にも出席したコーエンは、レッドカーペットにはカダフィみたいに美女の護衛を2人連れて登場した。 「親愛なる金正日に捧ぐ」 冒頭の献辞で『ディクテーター』は最初の笑いを取る。主人公アラジーンは中東の独裁者だが、どっちかといえば金正日に似ている。独裁者の息子として生まれ、幼い頃からわがまま放題。核兵器の開発をしていると疑われ、国連から召喚され、ニューヨークにやってくる。 アメリカに着くやいなや、アラジーンはアラブ嫌いの男に拉致され、トレードマークの髭を剃られ、身ぐるみを剥がされてニューヨークの路上に放り出される。アラジーンの側近は、一緒に連れてきた影武者をアラジーンに仕立てる。 アラジーンはニューヨークで誰にも頼れない。ワディヤ人も大勢住んでいるが、みんなアラジーンの独裁から逃げてきた難民だ。アラジーンだとバレたら殺される。 彼を救ったのは、ゾーイという優しい女の子。彼女はオーガニック食料品店を切り盛りし、世界中の独裁国家から逃れてきた難民たちに職場を提供し、支援していた。アラジーンも哀れな難民と思われて、そこで働くうちにゾーイと恋に落ちる。 『ディクテーター』を観ると、チャップリンの『独裁者』(1940年)を思い出さずにいられない。チャップリンはヒットラーにそっくりの独裁者ヒンケルと、彼に瓜二つのユダヤ人の床屋の二役を演じた。ユダヤ弾圧をするヒンケルに床屋が間違われて……というコメディ。当時はヒットラーの最盛期で、チャップリンは、ドイツと戦争する気がないアメリカにナチ打倒を促すために、この映画を作った。 ただ、コーエンは『ディクテーター』を「独裁者は悪い。民主主義はいい。アメリカは素晴らしい」などという単純な映画にはしない。アラジーンは自分がしてきた罪に気づいて反省するが、母国から来た核物理学者に独裁を続けろと励まされる(彼は核兵器を作りたいだけ)。 「あんたは最後の独裁者なんだから頑張れ! カダフィも倒れた。金正日も、チェイニー副大統領も! あんたがいなくなったら、言論は自由になり、女性の権利も認められてロクでもないことになるぞ!」 一方、影武者は国連でワディヤの民主化を宣言しようとしていた。それを裏で操るのは、エクソン・モービル、BP、ペトロ・チャイナという石油メジャー。民主化されればワディヤの石油利権が手に入る。世界の巨大企業のベストテンにランクされる彼らがアメリカや中国の政治を動かし、湾岸戦争やイラク戦争を引き起こした。彼らに比べたらアラジーンなんてちっぽけな小悪党だ。 チャップリンの『独裁者』は、ヒンケルに間違われたユダヤ系の床屋がラジオで世界の虐げられた人々を励ます演説をして感動的に終わる。アラジーンも最後に演説をするが、その内容は辛辣だ。 「アメリカでは上位1%の金持ちが富のほとんどを独占し、貧乏な庶民は医療保険もない。国民に選ばれた大統領はウソをついて戦争を起こした。独裁とどっちがマシだ? 民主主義は欠陥だらけのシステムだ。でも……」 その「でも」から後が感動的。ちょっと涙が出たよ。 まちやま・ともひろ サンフランシスコ郊外在住。『〈映画の見方〉がわかる本』(洋泉社)など著書多数。TOKYO MXテレビ(金曜日23時半~)にて、『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』が放送中。
■「サイゾーpremium」とは? 雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
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愛の三日間には何があった!? レイプか愛の逃避行か 世間を騒がす女の半生
雪に隠れた岩山のように、正面からは見えてこない。でも、映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる。超大国の真の姿をお届け。
『タブロイド』 1977年にイギリスで起こった「モルモン教徒男性誘拐手錠レイプ事件」の容疑者であるジョイス・マッキニーのインタビューと、当時の資料映像によって構成されたドキュメンタリー。彼女の劇的な半生を、ドキュメンタリー監督エロール・モリスが追った。 監督/エロール・モリス 出演/ジョイス・マッキニーほか 日本での公開は未定 2008年、韓国のバイオテック企業、RNLバイオ社がクローン犬を作って話題になった。依頼人のバーナン・マッキニーは、凶暴な犬に襲われて瀕死の重傷を負った。その時、ブーガーという彼女の愛犬が、身を挺して彼女を守った。その忠犬ブーガーがガンで余命わずかと宣告されたので、彼女はブーガーのクローンを作ろうとしたのだ。 ブーガーの細胞から、ブーガーと同じ遺伝子の5匹の子犬が生まれた。子犬を抱いて喜ぶマッキニーの写真は世界を揺るがせた。つまり、人間のクローンも技術的に可能な時代になったのだ。これは神の領域を冒したのでは? クローンの人権はどうなる? 法律による規制の必要は? だが、イギリスでの反応は違った。 「このマッキニーという女性、見覚えがある」 その大きなタレ目と大きな口は忘れられなかった。彼女は77年にイギリスのタブロイド紙の一面を毎週のように飾った「モルモン教徒男性誘拐手錠レイプ事件」の「犯人」、ジョイス・マッキニーだったのだ。 ベトナム戦争を"デッチ上げた"マクナマラ国防長官のインタビューを記録した映画『フォッグ・オブ・ウォー』でアカデミー賞に輝いたドキュメンタリー映画作家エロール・モリスの新作『タブロイド』は、このジョイス・マッキニーという奇妙な女性の生涯を追った作品だ。 77年、イギリスで布教活動をしていた19歳のモルモン教徒カーク・アンダーソンが行方不明になり、4日後に戻ってきた。彼は警察にこう語った。 「私はジョイス・マッキニーという女性に拳銃を突きつけられて誘拐され、田舎のコテージに監禁され、ベッドに手錠で両腕を固定され、3日間にわたりレイプされ続けていた」 彼はモルモン教の教えから、結婚まで童貞を守るつもりだったという。 警察が逮捕したジョイスを見て、イギリス人は驚いた。ジョイスは、ブロンドのキュートでセクシーな女性だった。ミスコンの常連で、ミス・ワイオミングになったこともある。
「プレミアサイゾー」で続きを読む■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) プレミアサイゾー初月無料キャンペーン実施中!! (2011年9月30日まで) 詳しくはこちら 【プレミアでは人気連載も読み放題!】 ・【連載】町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 ・【連載】CYZO×PLANETS 月刊カルチャー時評 ・【連載】宇野常寛の批評のブルーオーシャン
カウボーイ外交は何を生み出した? 暴力的支配の果てに馬が映し出す己の姿
雪に隠れた岩山のように、正面からは見えてこない。でも、映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる。超大国の真の姿をお届け。
監督/シンディ・ミール 出演/バック・ブラナマン、ロバート・レッドフォードほか 日本での公開は未定。 ロバート・レッドフォード監督・主演の『モンタナの風に抱かれて』(98年)という映画がある。乗馬を愛する13歳の少女が、馬と一緒に交通事故に巻き込まれる。少女は片足を切断し、心を閉じてしまう。馬も事故のショックで制御不能な暴れ馬となる。少女の親は、馬の薬殺を検討するが、そんなことをしたら娘の心も永遠に死んでしまうだろう。 悩んだ親は、ホース・ウィスパラーという職業の存在を知る。馬とコミュニケーションし、その心を開くプロだ。彼の住むモンタナで馬の治療が始まる。それは少女を癒やす日々でもあった。 この映画でロバート・レッドフォードの顧問を務めた本物のホース・ウィスパラー、バック・ブラナマンを追った『BUCK』というドキュメンタリー映画が作られた。BUCKとは暴れ馬が乗り手を振り落とすことをいう。やたらとBUCKしていた馬がブラナマンにかかると、大人しく人を乗せてギャロップするようになることから、このあだ名がついた。ワイオミングに住むバックは、暴れ馬を癒やすためなら、全米どこにでも出張する。 昔から、ムスタング(野生馬)の調教はカウボーイの仕事のひとつだった。野生馬の鞍付けを「ブレイク」という。ブレイクを記録した古いフィルムを見ると、抗う馬をロープで引き回し、絶えず鞭で叩いている。それはまさに馬の心をブレイクする(へし折る)行為だ。 しかし、バックは、ロープも鞭も使わない。毛布で馬の背中を温め、マッサージでリラックスさせ、鼻をこすりつけて馬と同じやり方でコミュニケーションする。 そして、小さな旗がついた棒を2本使って方向を誘導する。手綱を使うときも、バックは決して引っ張らない。行きたい方向、曲がりたい方向に一瞬力を入れるだけだ。

『BUCK』
伝説の調教師であり、馬の心を開くプロ"ホース・ウィスパラー"であるバック・ブラナマンの半生をたどるドキュメンタリー映画。幼少時の虐待をへた彼が、どのようにして馬と心を通じ合わせているのかを丁寧に追っている。監督/シンディ・ミール 出演/バック・ブラナマン、ロバート・レッドフォードほか 日本での公開は未定。 ロバート・レッドフォード監督・主演の『モンタナの風に抱かれて』(98年)という映画がある。乗馬を愛する13歳の少女が、馬と一緒に交通事故に巻き込まれる。少女は片足を切断し、心を閉じてしまう。馬も事故のショックで制御不能な暴れ馬となる。少女の親は、馬の薬殺を検討するが、そんなことをしたら娘の心も永遠に死んでしまうだろう。 悩んだ親は、ホース・ウィスパラーという職業の存在を知る。馬とコミュニケーションし、その心を開くプロだ。彼の住むモンタナで馬の治療が始まる。それは少女を癒やす日々でもあった。 この映画でロバート・レッドフォードの顧問を務めた本物のホース・ウィスパラー、バック・ブラナマンを追った『BUCK』というドキュメンタリー映画が作られた。BUCKとは暴れ馬が乗り手を振り落とすことをいう。やたらとBUCKしていた馬がブラナマンにかかると、大人しく人を乗せてギャロップするようになることから、このあだ名がついた。ワイオミングに住むバックは、暴れ馬を癒やすためなら、全米どこにでも出張する。 昔から、ムスタング(野生馬)の調教はカウボーイの仕事のひとつだった。野生馬の鞍付けを「ブレイク」という。ブレイクを記録した古いフィルムを見ると、抗う馬をロープで引き回し、絶えず鞭で叩いている。それはまさに馬の心をブレイクする(へし折る)行為だ。 しかし、バックは、ロープも鞭も使わない。毛布で馬の背中を温め、マッサージでリラックスさせ、鼻をこすりつけて馬と同じやり方でコミュニケーションする。 そして、小さな旗がついた棒を2本使って方向を誘導する。手綱を使うときも、バックは決して引っ張らない。行きたい方向、曲がりたい方向に一瞬力を入れるだけだ。
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ウォール街の保安官を"ハメた"のは誰だ!?
──雪に隠れた岩山のように、正面からは見えてこない。でも、映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる。超大国の真の姿をお届け。
『クライアント9/エリオット・スピッツァーの興亡』 圧倒的な票差により、07年のニューヨーク州知事に就任したエリオット・スピッツァーをめぐる政治ドキュメンタリー。あまりの人気ぶりに、一時は「米国大統領に」との声も聞かれたスピッツァーだが、高級デートクラブの上客だったことがニューヨーク・タイムズで報じられた。州知事就任前の州司法長官時代、多くの売春組織を摘発したという彼の経歴が、件のスクープにつながったと見る向きもあるが......。 監督/アレックス・ギブニー 日本での公開は未定。
2008年3月10日、ニューヨーク・タイムズ紙が、FBIによる高級デートクラブ摘発を報じた。裁判所に提出された書類によると、首都ワシントンのホテルでコールガールと会っていたクライアント(顧客)ナンバー9は、ニューヨーク州知事エリオット・スピッツァーだった。FBIは電話盗聴でその事実を確認した。 スピッツァーはニューヨーク州の司法長官として徹底的に大企業と戦ったヒーローだった。株の違法捜査や独禁法違反を取り締まり、NYSE(ニューヨーク証券取引所)の会長すら収賄で起訴し、「ウォール街の保安官」とたたえられた。ソニーがラジオ局に払っていたペイオーラ(賄賂)を摘発して莫大な罰金を払わせたこともある。 その勢いでスピッツァーは州知事に立候補し、史上最高の得票数で当選。腐敗しきった州政府の浄化を始め、州民の圧倒的支持を集めた。「ユダヤ系で初の大統領になるかも」とすら言われた。 その英雄がコールガールにはまっていたとバレた。成人男女が同意の上で金銭を介在したセックスをすること自体を罰する法律はない。しかしスピッツァーは州司法長官時代にウォール街の高級コールガール組織を取り締まったことがある。「偽善者め」。州民の信頼は既に地に落ちた。スピッツァーは州知事辞任を表明した。記者会見では、スピッツァーの横に奥さんが般若の形相で立っていた。 しかし、スピッツァーのウォール街取り締まりは正しかった。それは08年の金融崩壊で証明された。彼がその後も政治家として活躍していたら、世の中はプラスになっていたかもしれない。 「今回のスピッツァー追及は政治的陰謀だ」。クリントン大統領の選挙ブレーンだったジム・カーヴィルは、スピッツァーは敵を増やしすぎたから標的にされたのだ、と論評した。 確かにおかしい。国家的犯罪を担当するFBIがなぜ、小さなデートクラブをわざわざ捜査したのか? 顧客の中で、なぜスピッツァーだけを盗聴し、特定したのか? そもそも誰がその書類をニューヨーク・タイムズにリークしたのか?
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アメリカを賢くする! スーパーマンの狙い
雪に隠れた岩山のように、正面からは見えてこない。でも、映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる。超大国の真の姿をお届け。
■『スーパーマンを待ちながら』 荒れた教室、少ない教育予算、やる気のない生徒と教師たち......。優秀な留学生が各国から集まるため、高等教育はピカイチだが、国民の教育水準は先進国最低クラスだというアメリカでは、現在、政治レベルで教育の見直しが議論されている。だが、拡大する貧困層には、子どもの教育にかまっている余裕はない。結果、負のスパイラルへと陥っていくが、そこで注目を集めたのが独自の教育カリキュラムだ──。アカデミー賞受賞作『不都合な真実』の監督が教育問題に斬り込んだ意欲作。 監督/デイヴィス・グッゲンハイム 日本での公開は未定。 『スーパーマンを待ちながら』──このドキュメンタリー映画の奇妙なタイトルは、ニューヨークの黒人街ハーレムで育った教師ジョフリー・カナダの言葉から取られている。 「幼い頃、人々が困っていればスーパーマンが飛んで来て解決してくれると思っていた。スーパーマンは実在しないと知った時はショックだったよ」 彼がスーパーマンを必要としているのは、公立学校の改善のためだ。 『スーパーマンを待ちながら』の監督はデイヴィス・グッゲンハイム。ゴア副大統領が地球温暖化の危機を訴える『不都合な真実』でアカデミー賞を受賞したグッゲンハイムは、『不都合な真実』を製作したパーティシパント・メディアから次回作に公立学校問題を扱ったらどうかと持ちかけられた。 先進国30カ国中、アメリカの子どもの算数の能力は25位、理科の点数は21位。アメリカの中学生の69%の英語読解力は平均以下。大学のレベルは今も世界一だが、アメリカ人の大学進学率は下がり続け、一流大学の留学生の比率は増える一方。どうして、こんなに勉強ができないのか? 原因は公立学校にあるといわれてきた。アメリカの子どもの89%が公立学校に通っている。 「うちの2人の娘は月謝の高い私立に通っている」。監督は言う。彼の妻はハリウッド女優エリザベス・シューだ。 「学校への送迎の途中、3つの公立学校の前を通過する。罪悪感があった。金持ちでなければ公立に行くしかないから」そしてグッゲンハイムは取材を始める。意外な事実が暴かれていく。まず、アメリカ政府は公教育の改善に尽力してきたということ。70年代からの約40年間に生徒一人当たりに費やす予算は123%増え、その額は今や先進国中第5位。また教師ひとりが受け持つ生徒の数は平均16人で、日本に比べてはるかに少ない。それなのに学力低下は止まらない。 筆者はかつて、アメリカで最も教育レベルの低い地域に住んでいた。オークランドという同国で4番目に殺人の多い街で、黒人とヒスパニックの貧困層のスラムがある。そういう家庭では親が子どもの勉強を見る学力も余裕もない。低学力と低収入は次世代に引き継がれる。その悪循環から子どもたちを救いだすのが公立学校の使命だ。 グッゲンハイムは、教師の質の低下はテニュア(終身在職権)にあると見る。大学では教育の自主独立を守るため、教授はテニュアで守られている。教員組合の力で、小学校の教師にもテニュアがある。一般企業では実績によって給与が上下し、場合によっては解雇されるが、教師にはその心配がない。これでは良くなるはずがない。 「プレミアサイゾー」では現在、限定メモボックスプレゼントキャンペーン中!











