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前編はこちらから
──もう「貸せ」じゃなくて「くれ」って言った方がいいですね。よく耐えていらっしゃる。
高橋 だから、その時にさんざん説教したんですよ。俺だっていつまで一緒にいられるか分からないし、今まで40年一緒にいてここまで来て、親孝行もしたいよ。あと、何年生きているかも分からないし、正直、父一人、子一人じゃ、何もできないよって、2時間くらい男と男で話して寝たんですよ。親父にも何か心打つものあるかなと思っていたら、朝、親父が「おい、50万いつ貸してくれるんだよ!」って。
──アハハハ! 何も響かない!
高橋 もう本当に駄目な人なんだなって。破産しちゃうとか、いろいろやりようはあるんだろうけど、自分が住んでいるところが親父の不手際で一方的に取られるのが癪っていうのが、抵抗している理由かな。
──ちょっと私の父と似てます。父は、三代続いた会社を潰したんですよ。
高橋 はいはい、羽振りがいいと駄目になりますね。
──羽振りがいいうちに会社が潰れちゃって、母も父に惚れていたもんですから、お金がなくなったあとも夢を追う父に騙されて、一家心中の一歩手前で私と姉を連れて逃亡したんです。助かりました。
今野 じゃあ、よかった。すごいエピソード持ってますね。
──今野さんのお父様もフィリピンに飛ばれてますし、ぜんぜん負けてないと思います!
今野 それ、どっちが勝ちなんですか?
高橋 こういうエピソードがない人が勝ちですよ。
今野 我々負けですよね、全員......。
──すみません、悲しい勝負をしてしまいました。えっと、話が変わるんですけど、お二人とも人見知りだと聞いてるんですけれど、どう克服されたのかを......。
今野 僕、人見知りしないです。僕は逆の発想でいきましたよ。
──え?
今野 「どうでもいい」っていう。人見知りって人と話そうとするから起きる現象じゃないですか。だから、僕はもう話さないですし。
高橋 それが人見知りだよ!
──今野さんは楽屋でやることがない時、ずっと鏡を見て「何かをしている人のふり」をしてやり過ごすんですよね。私も学生時代は休み時間の度に寝たふりしてました。
今野 寝たふりしますよね~。友達いなかったんですか?
──あんまりいなかったですね。とにかく寝てるふり!
高橋 どっかに行くふりとか、どこかに到着していないふり。
今野 休み時間なきゃいいのにって思いますよね。
──あと、無駄にトイレ行ってました。便所飯も余裕でした。
高橋 分かります、分かります。
──イヤホンつけて音楽がすごく好きな人のふり、とか。
今野 僕もずっとRPGやっているふりですよ。
──えっ! やってないんですか?
今野 やってるんですけど、同じところをぐるぐる。好きでもないのに。
高橋 分かる、分かる。
──とにかく何かをしている人って周りから認識されたいんですよね。だから話しかけられないんだよっていう言い訳づくり。
高橋 こっちは何かしてるんですからね。物理的に理由があるからね。
今野 こっちは寄せ付けないわけじゃないんだ。
高橋 忙しいからなんだ。
今野 話したい人はすごくいるけど、ゲームやってるから気を使って話しかけてこない。
高橋 話してもいいっていう状況にしちゃうと、話しかけられないこっちの責任になっちゃうからね。
今野 何回も机の中を見たり。
──あれ~? とか言いながら筆箱の中身を入れたり出したり。
高橋 分かる、よく分かる。あれ~? カバンの中かな? って、何も探していないのに。
──あと、かかってきてもない電話に出ます。友達からかかってきた風を装って。
高橋 分かる分かる。電波入んねーな、とか言っちゃう。
今野 僕はそういう時ね、留守電を聞いているふりをするんですよ。
──それ、いいですね! あっ、でも、「キングオブコント」の後に、お二人ともすごいたくさんメールがきてるじゃないですか!
今野・高橋 ああ......。
──今野さん40件、高橋さん200件! 友達たくさんいるじゃないですか!
高橋 その時だけですよ。
今野 ほとんど、仕事で会った人ですから。
──それでも羨ましいですよ! 気軽に電話やメールをもらえるようになるにはどうしたら良いんですか?
高橋 その留守電を聞いてるふりとか辞めて、話しかけられるようにすればいい。
──その電話をしているふりっていうのが、「友達が多くて話しかけやすい私」のアピールだったんですが......。
高橋 でも結局、バレるんすよ。バレてるんすよ。
今野 「あいつ誰ともしゃべってねぇ」って。
高橋 「あいつ、誰も話す相手がいないから話すふりしてるんだな、そのままにしとこう」みたいな。洩れますよ、やはり。本当に忙しい人とか話しやすい人とか話しますもん、本当に。
今野 本当に電話していると動きが違いますもん。
──バレていたのか......恥ずかしすぎてどうしたら良いのか分からない。すごく恥ずかしいです、今日。
高橋 分かるなぁ、分かりますよ。それを私はあなたよりも15年くらい長くやってきてますから、分かりますよね。でも、25歳でこういう仕事をしている時点で十分世に出ているし、大丈夫じゃないですか。25歳の時なんて、僕はまだ芸人にもなっていないですから。
──その頃は機械の静電気をチェックする仕事をされていたんですよね。
高橋 そうです、コピー機の。
──私も工場で働いていた時があるんですよ。小規模な工場だったんですけど。
今野 ベルトコンベア似合いそう!
──イラン人とかと一緒にタグを付けてました。
今野 似ー合うー!
高橋 似合うなぁ、上手そうですね。なんのタグですか
──洋服についている値札とかそういうのを......すごく早かったですよ。
今野・高橋 似合うなぁ!
──カッチンカッチン、映画の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』みたいな感じで。あれが一番向いていたんですけど、おばあちゃんとかリアルに指がなかったりして、怖いなあと思って。
高橋 どこまで使われるんですか? これは。
──高橋さんのはそういう現場ではないんですか?
高橋 まあ、室温35度、湿度80%みたいなところでパンツ一丁で、もう髪がしっとりしてきた時に「出ましたよ!」って一週間に1回言ったり。
──おお。ぜんぜん想像がつきません。どうしてそこから芸人さんに?
高橋 そこで2年間くらい働いたときに、社員さんに「いや~、高橋くんはこの仕事に向いているね」って言われて。逆にマズイと思って。すごい良い会社だったんですけど、やっぱ25、6歳って考える時期じゃないですか。
──現状、まさに考え中です! 将来の不安が半端ない! 続けられる自信が年々減少していきます! 今野さんは、他の仕事に就かれることもなく、芸人さんに?
今野 僕は高卒で入ってますね。バイトもしたことない。
高橋 エリートですよ。
──お笑いエリート! 今野さんはおしゃれですし、立ち振る舞いからも育ちの良さが出ますよね。
今野 育ちは良かったんですよね。
高橋 ある意味、社長の息子ですよね、それなりに。
──そしてそのうち、お父様がフィリピンに。
今野 ええ、フィリピンに行きまして。
──甲斐性がありすぎちゃったんですかね。
今野 単純に潰れて、借金から逃げたんです。うちは破産をしましたから。
──みなさんご事情がおありだ......。「キングオブコント」の優勝、本当に良かったです。自分のことのように嬉しい。コント日本一になってどうですか? 変わったこととかありますか? モテたりとか!
高橋 ないですねぇ。
今野 モテないですよ。
──でも、芸人さんとはすごくモテるものだと聞きました。
今野 それはないですよ。
高橋 もう1年以上セックスもしてないですし。
今野 僕なんてセックスもしてないのに最近性病になっちゃって、謎ですよ。めっちゃかゆいですよ、今。今朝もかゆくて目が覚めた。
──えっ......(ちょっと席を離す)。
高橋 温泉でうつったらしくって。俺、お前に衣装貸すのは本当に嫌だ。
今野 だからココは僕はね、あえて今は皮を完全にかぶせている状況です。広がるんじゃないかと思って。
高橋 ATフィールド!
──あやまれ! エヴァにあやまれ!
高橋 インキンってことはないの? 僕、昔、夏に汗でインキンになったことがあってね、金玉の裏がすごく赤くかゆくなる。それで、ホントすごいなと思ったのが、しわしわになっている皮が、最後にちょっとずつ剥がれて、それが全部剥がれた時にピカピカのライチみたいな、本当に顔が映るくらい輝くあの瞬間。あの一回の花咲く瞬間。卵肌。本当に自分の身体に自分の顔が映っているっていう、その瞬間があれば頑張れるよ。
今野 そこじゃないもの、僕がかゆいところは。
──お医者さん行ってないんですか?
今野 行ってないよ。
高橋・小明 行ったほうがいいよ!
今野 知らない人にチンチン見られたくないじゃない。
高橋 今、試しに見せてみ、免疫つくよ。
──ひー!! やめて!! グホッフ(咳込む)!
高橋 僕らは大丈夫なんですけど、大丈夫ですか?
──大丈夫です、なんていうか、日本一になられてもお変わりなさそうで、ええ、なにより......えっと、お二人は年代もけっこう違うのに仲が良いですよね、趣味が合うんですか?
今野 全然合わないですよ。
高橋 でも、面白がる部分が似ている感じがしますよ。全然冴えない生活を送ってきましたし。
──日本一になったのに?
高橋・今野 冴えないですよ。『ニコニコキング・オブ・コメディ』見てますよね? あの番組冴えてます?
──冴えては......いない......かも。でも、面白いですよ! お二人のコント以外の顔がたくさん見られて貴重です! 今野さんは髪型をツーブロックにされてるの、コントでは気付かなかったから、おしゃれだなぁって思って。
今野 してないですよ。こっち側でしょ? こっち側は薄いんですよ。ツーブロックじゃないです、ハゲです。
──おおう。失礼しました。
今野 僕はこの髪型は美容院行って「たけしさんみたいにしてください」って言ったの。だから、今日もたけしさんみたいにって(うれしそうに)。
高橋 へー、恥ずかしいな、芸人として。だから、こいつはもっといろいろしたいらしいんですけど、やっぱりコントやるのに邪魔じゃないですか。ところが、夏休みの間で突然羽を伸ばし始めて......。
今野 金髪とかモヒカンとかしたかったんですよ。でも、いつ戻ってくるか分からないから全部やりたいと思って、一気に、金髪のモヒカンになったんです。
──高橋さんが痴漢冤罪騒動で活動自粛を余儀なくされたときですね!
(
後編につづく/取材・文=小明)
●キングオブコメディ
高橋健一と今野浩喜からなるお笑いコンビ。2000年結成。「キングオブコント2010』王者。『キングオブコメディのカネとコメ』(ラジオ大阪)、サイゾーテレビ<
http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にてトーク番組『ニコニコキングオブコメディ』(隔週木曜)出演中
●小明(あかり)
1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<
http://yaplog.jp/benijake148/>
サイゾーテレビ<
http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中

キングオブコメディ単独ライブ Vol.6 「葉桜」
コント一筋。

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