早まったか? テレ東退社の紺野あさ美アナ、“2軍選手”との結婚でシーズンオフにはフリーで仕事復帰も……

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紺野あさ美ブログより
 今春退社を発表していたテレビ東京の紺野あさ美(29)アナウンサーが、3月いっぱいですべての収録を終えた。有給休暇消化などの関係で、退職日は5月末となるようだが、周囲からは「早すぎた寿退社」との声がチラホラ聞こえてくる。  紺野アナは1月1日、プロ野球・東京ヤクルトスワローズの杉浦稔大投手(25)と結婚。同月末には、「家庭を優先させるため」として、退社を発表した。  夫の杉浦は2013年のドラフト1位指名選手で、国学院大学から鳴り物入りでプロ入りしたものの、通算成績は28試合に登板、6勝7敗、防御率5.00と、球団の期待を裏切り続けている。昨オフ、背番号はエースナンバーの18から58に降格し、年俸は1,700万円(推定)から1,500万円にダウンした。そのため、今回の結婚には「1軍で結果を残してからにするべきでは?」との意見も多かったようだ。  まさに今年が“勝負の年”の杉浦だが、オープン戦での登板機会はゼロ。イースタン・リーグでの成績(3月30日現在)も、2試合の登板で0勝1敗、防御率8.10とボロボロ。当然のごとく、1軍のメンバーから外れ、悲願の開幕ローテーション入りは望み薄だ。  2軍スタートとなる夫が今季大活躍を見せれば、紺野アナは“内助の功”と賛辞されるだろうが、今季もダメなら年俸ダウンは必至。そうなれば、今オフには生活費稼ぎのため、紺野アナがフリーとして復帰する可能性も出てくる。  元モー娘。といえば3月13日、石川梨華も埼玉西武ライオンズの野上亮磨投手と結婚した。野上は13年には2ケタ勝利(11勝)をマークするも、昨年は3勝しか挙げられず、こちらも今年が勝負の年になりそうだ。2人には、新妻を安心させるような躍進ぶりを見せてほしいものだが……。 (文=田中七男)

早まったか? テレ東退社の紺野あさ美アナ、“2軍選手”との結婚でシーズンオフにはフリーで仕事復帰も……

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紺野あさ美ブログより
 今春退社を発表していたテレビ東京の紺野あさ美(29)アナウンサーが、3月いっぱいですべての収録を終えた。有給休暇消化などの関係で、退職日は5月末となるようだが、周囲からは「早すぎた寿退社」との声がチラホラ聞こえてくる。  紺野アナは1月1日、プロ野球・東京ヤクルトスワローズの杉浦稔大投手(25)と結婚。同月末には、「家庭を優先させるため」として、退社を発表した。  夫の杉浦は2013年のドラフト1位指名選手で、国学院大学から鳴り物入りでプロ入りしたものの、通算成績は28試合に登板、6勝7敗、防御率5.00と、球団の期待を裏切り続けている。昨オフ、背番号はエースナンバーの18から58に降格し、年俸は1,700万円(推定)から1,500万円にダウンした。そのため、今回の結婚には「1軍で結果を残してからにするべきでは?」との意見も多かったようだ。  まさに今年が“勝負の年”の杉浦だが、オープン戦での登板機会はゼロ。イースタン・リーグでの成績(3月30日現在)も、2試合の登板で0勝1敗、防御率8.10とボロボロ。当然のごとく、1軍のメンバーから外れ、悲願の開幕ローテーション入りは望み薄だ。  2軍スタートとなる夫が今季大活躍を見せれば、紺野アナは“内助の功”と賛辞されるだろうが、今季もダメなら年俸ダウンは必至。そうなれば、今オフには生活費稼ぎのため、紺野アナがフリーとして復帰する可能性も出てくる。  元モー娘。といえば3月13日、石川梨華も埼玉西武ライオンズの野上亮磨投手と結婚した。野上は13年には2ケタ勝利(11勝)をマークするも、昨年は3勝しか挙げられず、こちらも今年が勝負の年になりそうだ。2人には、新妻を安心させるような躍進ぶりを見せてほしいものだが……。 (文=田中七男)

テレ東『鑑定団』よりひどい! 他局の“レアアイテム鑑定企画”で紛失騒ぎ……「専門家が持ち逃げ」か?

テレ東『鑑定団』よりひどい! 他局のレアアイテム鑑定企画で紛失騒ぎ……「専門家が持ち逃げ」か?の画像1
話題になっている天目茶碗(『開運!なんでも鑑定団|テレビ東京』より)
 昨年12月に放送されたテレビ東京系の人気番組『開運!なんでも鑑定団』で、国宝級と鑑定された中国陶器「曜変天目」について、複数の専門家から異論があり“ホンモノ・ニセモノ論争”が巻き起こっているが、別のテレビ局では「オタク自慢のレアアイテム鑑定」という企画が、急きょ白紙になっていたことがわかった。その背後には驚くべきトラブルがあったようだ。  この企画は今春、ゴールデンタイムで放送されるバラエティ番組内の一企画として進められていたが「突如プロデューサーから企画のボツが伝えられた」とディレクター男性。 「理由を一切、伝えられない変な事態で、別のものをゼロから作らないといけなくなったんです」(同)  この企画では、アニメや鉄道、アイドルなど各種のオタクが、それぞれ所持するレアアイテムを自慢。これを専門家が鑑定、その価値を競うというものだった。  それが企画中止となったことで、ディレクターは取材をした一部オタク男性に謝罪に行ったのだが、その場で「別のスタッフから理由を聞きました」と言われたのだという。 「担当者が理由を知らないのに、ですよ。その方は、スタッフを名乗る人間から電話を受け『鑑定で違法な模造品と分かり、警察が捜査中と言われた』と……」(前出ディレクター)  模造品疑惑の浮上に、ディレクターはテレ東『鑑定団』騒動を思い出した。テレ東の番組では、徳島県のラーメン店経営者が出品した陶器について、出演の鑑定家・中島誠之助が「曜変天目」だとして、2,500万円の鑑定額を付けた。本物なら12~13世紀に制作されたもので、完全な状態は世界に3点(いずれも日本が所有)しかないといわれ、4点目の大発見となったはずだったが、曜変天目の研究を続ける陶芸家ら複数の専門家から「どう見ても偽物。本物ならもっと高い値が付く」という指摘が相次ぎ、文化財指定に動いていた話も頓挫。  ただ、番組側は「鑑定結果は番組独自の見解に基づくもの」と、これ以上の鑑定にはノータッチを貫いた。  これは「所有者に協力しないと言われ、番組サイドは手の打ちようがなくなった」という番組関係者の話も聞かれたが、いずれにせよ専門家同士の言い争いに発展中だ。  しかし、前出「オタク自慢のレアアイテム鑑定」ではその後、本物か偽物かの論争以前の問題である可能性が出てきた。 「なんと預かったアイテムが行方不明になってしまったんです。おそらく企画中止もそのせいかと思います」(前出ディレクター)  スタッフは鑑定のため、事前にアイテムを専門家に渡していたところ返却がないままで、その専門家は「モノは普通郵便で局に送り返した」と言っているのだという。 「おそらく、これが企画消滅の理由でしょうね」とディレクター。  郵送トラブルでの紛失の可能性はあるが、謎が残るのは、所有者が受けた「違法な模造品だから警察が捜査に乗り出している」という怪電話。ディレクターは「そんな電話をしたスタッフはいない」とする。 「正直、専門家がアイテムを盗んで、その方にウソを伝えて返還を諦めさせたとしか思えないんですが、その証拠がないまま。本来は警察沙汰にするべきですけど、そうなると番組自体が転んでしまうので、プロデューサーはあまり公にしたくないんでしょう」(同)  鑑定に最後まで責任を持たないだけでなく、預かったアイテムを紛失するというテレビ局の大失態。お宝鑑定番組の信頼が大きく揺らいでいる。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

テレ東『鑑定団』よりひどい! 他局の“レアアイテム鑑定企画”で紛失騒ぎ……「専門家が持ち逃げ」か?

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話題になっている天目茶碗(『開運!なんでも鑑定団|テレビ東京』より)
 昨年12月に放送されたテレビ東京系の人気番組『開運!なんでも鑑定団』で、国宝級と鑑定された中国陶器「曜変天目」について、複数の専門家から異論があり“ホンモノ・ニセモノ論争”が巻き起こっているが、別のテレビ局では「オタク自慢のレアアイテム鑑定」という企画が、急きょ白紙になっていたことがわかった。その背後には驚くべきトラブルがあったようだ。  この企画は今春、ゴールデンタイムで放送されるバラエティ番組内の一企画として進められていたが「突如プロデューサーから企画のボツが伝えられた」とディレクター男性。 「理由を一切、伝えられない変な事態で、別のものをゼロから作らないといけなくなったんです」(同)  この企画では、アニメや鉄道、アイドルなど各種のオタクが、それぞれ所持するレアアイテムを自慢。これを専門家が鑑定、その価値を競うというものだった。  それが企画中止となったことで、ディレクターは取材をした一部オタク男性に謝罪に行ったのだが、その場で「別のスタッフから理由を聞きました」と言われたのだという。 「担当者が理由を知らないのに、ですよ。その方は、スタッフを名乗る人間から電話を受け『鑑定で違法な模造品と分かり、警察が捜査中と言われた』と……」(前出ディレクター)  模造品疑惑の浮上に、ディレクターはテレ東『鑑定団』騒動を思い出した。テレ東の番組では、徳島県のラーメン店経営者が出品した陶器について、出演の鑑定家・中島誠之助が「曜変天目」だとして、2,500万円の鑑定額を付けた。本物なら12~13世紀に制作されたもので、完全な状態は世界に3点(いずれも日本が所有)しかないといわれ、4点目の大発見となったはずだったが、曜変天目の研究を続ける陶芸家ら複数の専門家から「どう見ても偽物。本物ならもっと高い値が付く」という指摘が相次ぎ、文化財指定に動いていた話も頓挫。  ただ、番組側は「鑑定結果は番組独自の見解に基づくもの」と、これ以上の鑑定にはノータッチを貫いた。  これは「所有者に協力しないと言われ、番組サイドは手の打ちようがなくなった」という番組関係者の話も聞かれたが、いずれにせよ専門家同士の言い争いに発展中だ。  しかし、前出「オタク自慢のレアアイテム鑑定」ではその後、本物か偽物かの論争以前の問題である可能性が出てきた。 「なんと預かったアイテムが行方不明になってしまったんです。おそらく企画中止もそのせいかと思います」(前出ディレクター)  スタッフは鑑定のため、事前にアイテムを専門家に渡していたところ返却がないままで、その専門家は「モノは普通郵便で局に送り返した」と言っているのだという。 「おそらく、これが企画消滅の理由でしょうね」とディレクター。  郵送トラブルでの紛失の可能性はあるが、謎が残るのは、所有者が受けた「違法な模造品だから警察が捜査に乗り出している」という怪電話。ディレクターは「そんな電話をしたスタッフはいない」とする。 「正直、専門家がアイテムを盗んで、その方にウソを伝えて返還を諦めさせたとしか思えないんですが、その証拠がないまま。本来は警察沙汰にするべきですけど、そうなると番組自体が転んでしまうので、プロデューサーはあまり公にしたくないんでしょう」(同)  鑑定に最後まで責任を持たないだけでなく、預かったアイテムを紛失するというテレビ局の大失態。お宝鑑定番組の信頼が大きく揺らいでいる。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

『山田孝之のカンヌ映画祭』最終話 映画『映画 山田孝之3D』に至る崩壊と再生と、それから芦田愛菜と……

『山田孝之のカンヌ映画祭』最終話 映画『映画 山田孝之3D』に至る崩壊と再生と、それから芦田愛菜と……の画像1
テレビ東京系『山田孝之のカンヌ映画祭』番組サイトより
 ある日突然、「カンヌ映画祭の最高賞を目指す」を言い出した俳優・山田孝之。自らプロデューサーを買って出て“親殺し”をテーマとした作品の企画を立ち上げると、その主演に芦田愛菜を連れてきて、監督を務める山下敦弘を驚かせた。  しかし、そうして始まった『穢の森』の撮影は、クランクイン初日に空中分解。自らの理想にこだわりすぎる山田について行けず、監督・山下と主演・芦田が降板してしまった。これまで、日本映画大学校で勉強したり、実際にカンヌに行ってその雰囲気を感じ取ったり、『穢の森』にそっくりなタイトルの『殯の森』(2007)という作品で第60回カンヌ映画祭グランプリを受けた河瀬直美監督に叱られたり、マンガ家・長尾謙一郎に何枚ものイメージ画を描かせたり、長澤まさみを脱がせようとしたり……そうした努力(?)は、水泡に帰してしまった。  というわけで、最終話。「山田孝之 故郷へ帰る」を振り返る。  この映画のために作られた「合同会社カンヌ」の事務所は、荷物も片づけられて閑散としている。  現場崩壊から1週間後、山田孝之は故郷・鹿児島へ飛んでいた。最初に訪れたのは、薩摩川内市内の中学校。母校である川内南中学校に一歩足を踏み入れるだけで、山田にはこみ上げるものがあったようだ。同行スタッフに「どんなことを思い出しますか?」と問われても、「なんか、それこそこう、放課後……」と言ったきり言葉を継ぐことができない。  次に訪れたのは、生まれ育った実家だった。小型車でもすれ違えないほどの細い路地を抜けると、しかし、山田の生家は取り壊されて更地になっていた。 「なくなっちゃいましたね」  また、山田はこみ上げるものを抑えきれなくなる。山田は生家が取り壊されていたことを知らされていなかったという。  その更地に建っていた家を、なんとか思い出そうとしているのだろう。山田はここまでずっと着けていた黒いサングラスを外し、もう涙を隠そうともしない。玄関のタイル、父親と作ったベッドの部品……わずかに、思い出の残骸が次々に顔を見せてくれる。 「ああ、悔しい……もっと早く来ればよかったなぁ……」  山田は、父親が鹿児島市内で経営するダイニングバーを訪れる。ビールで乾杯。山田は更地の写真を父親に見せながら「すごい、いいとこだな、と思った」と言う。  父親が、山田の机は持ち出していたという。その引き出しから出てきたのは、卒業アルバムや卒業文集。「みんなの夢」というページには「カバディーの選手 山田孝之」とあった。 「ずっとふざけてんな、俺」  通知表に並ぶのは「1」と「2」ばかり。遅刻は中3の2学期だけで41日を数えている。 「中学のアルバムはないんだよなぁ」  中学時代にスカウトされた山田は、卒業を前に上京している。  翌日、山田は父親を釣りに誘った。ほんの1週間前まで、山下敦弘を言葉の限り罵倒したり、芦田愛菜に刺すような視線で糾弾されたり、全身全霊で映画の現場に身を捧げていた姿は、そこにはない。桜島をバックに並ぶ親子は、ごく普通の地元住人に見える。 「生まれたときのこととか、覚えてる?」  ダイニングバーに場所を移し、山田は父に話を聞くことにした。どこにでもある、ひとりの子どもの出生エピソードが語られる。  山田はこのとき、父親が30年にわたって小説を書いては、新人賞に応募していたことを初めて知る。 「実験的な生き方が好きだったんだろうね」  そう振り返る父親に、「破滅的な感じの?」と山田が問いかける。 「まあ、実験がうまくいけば破滅にはいかないんだけど」  山田は1週間前、映画プロデューサーとして一度、破滅した。監督を現場から追い出し、主演女優に降板され、多くのスタッフに迷惑をかけた。実験が、うまくいかなかったのだ。故郷に戻り、生い立ちを振り返ることで、再び自分の人生を見つめ直そうとしているのだろう。 「まあ、謙虚に反省すれば?」  それは、山田がもっとも父親に言ってほしかった言葉だったはずだ。  2人の話は「山田が俳優になっていなかったら」という話題に及ぶ。「なんとなくできる仕事をしているだけ」と語る山田に、父親は「なんか独創的に、とんでもなく発想豊かに、何の分野かわからないけど、はちゃめちゃやってそうな気もする」と言う。父親は、山田以上に山田を理解していたようだ。  山田にもう、涙はない。「おもしろい人だなぁ」と父親を評し、「その人の息子だから」と気負いを捨てることができた。  さらに1週間後、合同会社カンヌに、芦田が山田を訪ねてきた。『穢の森』の現場が崩壊した最大の理由は、芦田が自ら降板を決めたことだった。山田は、山下が去った後、自ら監督をするつもりでいたのだ。それを理解している芦田、どこか所在なさげに、勧められたパイプイスに腰を下ろす。 「親父のことを知ったら、自分のことがどんどん見えてきて」  穏やかな表情で語りかける山田の変化は、芦田にも伝わっている。2週間前までは想像もできないような、柔らかい空気が合同会社カンヌに漂っている。 「自分で枷を付けてたんですよね、あの映画撮ってるとき、面白くなかったから」  その山田の告白に、芦田も思わず笑ってしまう。 「山田さんは、次、何をやりたいんですか?」  2週間前、「山田さん何がやりたいんですか?」と言い残して『穢の森』プロジェクトを断ち切った芦田が、優しく問いかける。芦田がこれを問いかける意味を、山田も、芦田本人も、よくわかっているはずだ。 「言うの、怖いんですけど……やっぱり僕は映画が作りたい。カンヌとかそういうの関係なく、僕が本気で面白いと思うものを作れば、みんな面白がってくれると思うんですよ」  小学6年生の芦田愛菜を相手に、山田孝之はずっと敬語でしゃべっていた。  番組のカメラは、撮影スタジオに移る。壁一面にグリーンの布が垂れ下がっている。クロマキー合成で新作映画を撮影するようだ。  山田は、監督を決めかねていた。 「会ってくれるかな、山下さん……」帰京後に芦田と対面したとき、山田は不安を吐露している。  スタジオに山下敦弘が現れる。ギクシャクした2人の間に芦田が入り、「監督の山下敦弘さん」「主演の山田孝之さんです」と、お互いを紹介してみせる。クランクインは10月20日、山田孝之の33回目の誕生日だった。  ひげをそり、すっかり俳優の顔になった山田がカメラの前に立ち、山下と芦田が並んでモニターを覗き込んでいる。山田と山下がケータリングの列に並び、芦田が盛り付けの手伝いをしている。そうして完成させた『映画 山田孝之3D』は、今年6月16日に東宝配給で公開が決定している。監督はこの番組同様、松江哲明と山下敦弘。もちろん、カンヌ映画祭にも正式に応募しているそうだ。  全12話にわたって放送された『山田孝之のカンヌ映画祭』は、今までに見たことのない番組だった。どこまでが決まっていて、どこまでがアドリブだったのかはわからないし、もはやそれはどうでもいいことだ。  この番組では、映画に関わるさまざまなプロたちの剥き出しの凄味が、確かに画面上に現れていた。山田孝之と山下敦弘という、すでに多くのキャリアを積み「好きなように仕事を選べる」立場にある2人の映画人が戯画的な役割に徹し、まるで子どものように「カンヌ、カンヌ」と騒ぎ立てることで、真摯だったりイイカゲンだったりする日本映画界の側面が次々に姿を現していた。そして最後には、自分たちを崩壊するまで追い込み、そこから再生してみせた。 「もっと自由にやっていい」  きっとこの番組は、すべての日本の映画人へのテーゼとして作られたのだろう。そして、芦田愛菜こそが女神だった。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

『山田孝之のカンヌ映画祭』最終話 映画『映画 山田孝之3D』に至る崩壊と再生と、それから芦田愛菜と……

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テレビ東京系『山田孝之のカンヌ映画祭』番組サイトより
 ある日突然、「カンヌ映画祭の最高賞を目指す」を言い出した俳優・山田孝之。自らプロデューサーを買って出て“親殺し”をテーマとした作品の企画を立ち上げると、その主演に芦田愛菜を連れてきて、監督を務める山下敦弘を驚かせた。  しかし、そうして始まった『穢の森』の撮影は、クランクイン初日に空中分解。自らの理想にこだわりすぎる山田について行けず、監督・山下と主演・芦田が降板してしまった。これまで、日本映画大学校で勉強したり、実際にカンヌに行ってその雰囲気を感じ取ったり、『穢の森』にそっくりなタイトルの『殯の森』(2007)という作品で第60回カンヌ映画祭グランプリを受けた河瀬直美監督に叱られたり、マンガ家・長尾謙一郎に何枚ものイメージ画を描かせたり、長澤まさみを脱がせようとしたり……そうした努力(?)は、水泡に帰してしまった。  というわけで、最終話。「山田孝之 故郷へ帰る」を振り返る。  この映画のために作られた「合同会社カンヌ」の事務所は、荷物も片づけられて閑散としている。  現場崩壊から1週間後、山田孝之は故郷・鹿児島へ飛んでいた。最初に訪れたのは、薩摩川内市内の中学校。母校である川内南中学校に一歩足を踏み入れるだけで、山田にはこみ上げるものがあったようだ。同行スタッフに「どんなことを思い出しますか?」と問われても、「なんか、それこそこう、放課後……」と言ったきり言葉を継ぐことができない。  次に訪れたのは、生まれ育った実家だった。小型車でもすれ違えないほどの細い路地を抜けると、しかし、山田の生家は取り壊されて更地になっていた。 「なくなっちゃいましたね」  また、山田はこみ上げるものを抑えきれなくなる。山田は生家が取り壊されていたことを知らされていなかったという。  その更地に建っていた家を、なんとか思い出そうとしているのだろう。山田はここまでずっと着けていた黒いサングラスを外し、もう涙を隠そうともしない。玄関のタイル、父親と作ったベッドの部品……わずかに、思い出の残骸が次々に顔を見せてくれる。 「ああ、悔しい……もっと早く来ればよかったなぁ……」  山田は、父親が鹿児島市内で経営するダイニングバーを訪れる。ビールで乾杯。山田は更地の写真を父親に見せながら「すごい、いいとこだな、と思った」と言う。  父親が、山田の机は持ち出していたという。その引き出しから出てきたのは、卒業アルバムや卒業文集。「みんなの夢」というページには「カバディーの選手 山田孝之」とあった。 「ずっとふざけてんな、俺」  通知表に並ぶのは「1」と「2」ばかり。遅刻は中3の2学期だけで41日を数えている。 「中学のアルバムはないんだよなぁ」  中学時代にスカウトされた山田は、卒業を前に上京している。  翌日、山田は父親を釣りに誘った。ほんの1週間前まで、山下敦弘を言葉の限り罵倒したり、芦田愛菜に刺すような視線で糾弾されたり、全身全霊で映画の現場に身を捧げていた姿は、そこにはない。桜島をバックに並ぶ親子は、ごく普通の地元住人に見える。 「生まれたときのこととか、覚えてる?」  ダイニングバーに場所を移し、山田は父に話を聞くことにした。どこにでもある、ひとりの子どもの出生エピソードが語られる。  山田はこのとき、父親が30年にわたって小説を書いては、新人賞に応募していたことを初めて知る。 「実験的な生き方が好きだったんだろうね」  そう振り返る父親に、「破滅的な感じの?」と山田が問いかける。 「まあ、実験がうまくいけば破滅にはいかないんだけど」  山田は1週間前、映画プロデューサーとして一度、破滅した。監督を現場から追い出し、主演女優に降板され、多くのスタッフに迷惑をかけた。実験が、うまくいかなかったのだ。故郷に戻り、生い立ちを振り返ることで、再び自分の人生を見つめ直そうとしているのだろう。 「まあ、謙虚に反省すれば?」  それは、山田がもっとも父親に言ってほしかった言葉だったはずだ。  2人の話は「山田が俳優になっていなかったら」という話題に及ぶ。「なんとなくできる仕事をしているだけ」と語る山田に、父親は「なんか独創的に、とんでもなく発想豊かに、何の分野かわからないけど、はちゃめちゃやってそうな気もする」と言う。父親は、山田以上に山田を理解していたようだ。  山田にもう、涙はない。「おもしろい人だなぁ」と父親を評し、「その人の息子だから」と気負いを捨てることができた。  さらに1週間後、合同会社カンヌに、芦田が山田を訪ねてきた。『穢の森』の現場が崩壊した最大の理由は、芦田が自ら降板を決めたことだった。山田は、山下が去った後、自ら監督をするつもりでいたのだ。それを理解している芦田、どこか所在なさげに、勧められたパイプイスに腰を下ろす。 「親父のことを知ったら、自分のことがどんどん見えてきて」  穏やかな表情で語りかける山田の変化は、芦田にも伝わっている。2週間前までは想像もできないような、柔らかい空気が合同会社カンヌに漂っている。 「自分で枷を付けてたんですよね、あの映画撮ってるとき、面白くなかったから」  その山田の告白に、芦田も思わず笑ってしまう。 「山田さんは、次、何をやりたいんですか?」  2週間前、「山田さん何がやりたいんですか?」と言い残して『穢の森』プロジェクトを断ち切った芦田が、優しく問いかける。芦田がこれを問いかける意味を、山田も、芦田本人も、よくわかっているはずだ。 「言うの、怖いんですけど……やっぱり僕は映画が作りたい。カンヌとかそういうの関係なく、僕が本気で面白いと思うものを作れば、みんな面白がってくれると思うんですよ」  小学6年生の芦田愛菜を相手に、山田孝之はずっと敬語でしゃべっていた。  番組のカメラは、撮影スタジオに移る。壁一面にグリーンの布が垂れ下がっている。クロマキー合成で新作映画を撮影するようだ。  山田は、監督を決めかねていた。 「会ってくれるかな、山下さん……」帰京後に芦田と対面したとき、山田は不安を吐露している。  スタジオに山下敦弘が現れる。ギクシャクした2人の間に芦田が入り、「監督の山下敦弘さん」「主演の山田孝之さんです」と、お互いを紹介してみせる。クランクインは10月20日、山田孝之の33回目の誕生日だった。  ひげをそり、すっかり俳優の顔になった山田がカメラの前に立ち、山下と芦田が並んでモニターを覗き込んでいる。山田と山下がケータリングの列に並び、芦田が盛り付けの手伝いをしている。そうして完成させた『映画 山田孝之3D』は、今年6月16日に東宝配給で公開が決定している。監督はこの番組同様、松江哲明と山下敦弘。もちろん、カンヌ映画祭にも正式に応募しているそうだ。  全12話にわたって放送された『山田孝之のカンヌ映画祭』は、今までに見たことのない番組だった。どこまでが決まっていて、どこまでがアドリブだったのかはわからないし、もはやそれはどうでもいいことだ。  この番組では、映画に関わるさまざまなプロたちの剥き出しの凄味が、確かに画面上に現れていた。山田孝之と山下敦弘という、すでに多くのキャリアを積み「好きなように仕事を選べる」立場にある2人の映画人が戯画的な役割に徹し、まるで子どものように「カンヌ、カンヌ」と騒ぎ立てることで、真摯だったりイイカゲンだったりする日本映画界の側面が次々に姿を現していた。そして最後には、自分たちを崩壊するまで追い込み、そこから再生してみせた。 「もっと自由にやっていい」  きっとこの番組は、すべての日本の映画人へのテーゼとして作られたのだろう。そして、芦田愛菜こそが女神だった。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

『路線バス』太川陽介・蛭子能収コンビ“不仲説”一蹴! テレ東の別番組で復活も?

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『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE 』(ハピネット)
『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(テレビ東京系)で人気を博してきたものの、今年正月の特番で番組を卒業した太川陽介と蛭子能収コンビに代わって、俳優・田中要次と芥川賞作家・羽田圭介の新コンビが決定。すでに収録に入っているが、太川・蛭子コンビは同局の別の企画で復活するという。 『ローカル路線バス』は2007年の秋からスタート。以来、放送を重ねるごとに視聴率を上げ、コンスタントに10%前後の視聴率が取れる人気番組に成長した。制作費も1本あたり800万円といわれ、通常のバラエティ番組の半分以下。このコスパのよさは、番組の企画もさることながら、真逆なキャラクターの太川と蛭子のかみ合わないチグハグなコンビが視聴者に受けた。  さらに、視聴者からは「番組を見ていると、マイペースの蛭子を太川が毛嫌いしているように見える」という声も上がっていた。確かに、地方ロケの番組だから、食事する際はその土地の名物料理を注文するというサービス精神が欲しいが、蛭子は頻繁にとんかつやカレーライスなどの、どこでも食べられるものを注文。太川がイラッとすることも、たびたびあった。  以前、ビートたけしが蛭子について「間を外すから、やりづらい」と言っていたことがあったが、蛭子は他局の番組でもマイペースで、共演したタレントからたびたび共演NGが出ていた。  そんな蛭子と太川の不仲説は番組終了で決定的とみられていたが、降板の本当の理由は蛭子が「この年で、3泊4日の地方ロケの旅はきつい」と直訴したからだ。ほかにも、芸歴が長い太川に比べて、蛭子のギャラの安さも要因だといわれている。しかし、2人はプライベートでは不仲というわけではない。蛭子は、太川のコンサートを見に行ってもいる。  実際に降板後の2人は、1月28日に放送されたテレ東の土曜スペシャル枠の『いい旅・夢気分SP』に出演し、“普通の旅”を楽しんだ。これまで同特番は毎回4%前後という低視聴率だったが、この日は7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、同時間帯のフジテレビとTBSを上回る高視聴率をマーク。太川・蛭子コンビが数字を持っていることをあらためて思い知らされたテレ東は、2人に新番組に出演してくれるよう熱烈に口説いたという。  これに対して、もともと『ローカル路線バス』を降板する気のなかった太川は了承。ネックになっていた蛭子も、ギャラをアップすることで納得したという。 『ローカル路線バス』はすでに新コンビで収録がスタートしているだけに、蛭子の要望を踏まえた別の旅番組企画で、コンビ復活の準備を進めているようだ。名物コンビの再始動に期待したい。 (文=本多圭)

『山田孝之のカンヌ映画祭』第11話 もう見てられない! 正論vs正論の正面衝突が痛すぎて……

『山田孝之のカンヌ映画祭』第11話 もう見てられない! 正論vs正論の正面衝突が痛すぎて……の画像1
『山田孝之のカンヌ映画祭』テレビ東京より
 山田孝之がカンヌ映画祭最高賞目指して、監督・山下敦弘や周りを巻き込み、自分勝手に突き進む。そんな、どこまでがドキュメンタリーなのかわからない「ドキュメンタリー風」番組。  親殺しの殺人者・らいせ役には芦田愛菜、母親の愛人役には演技素人のエロマンガ家が据えられた。そして、フルヌードが必要な母親役には長澤まさみをブッキングしてみたものの、あえなく「脱げない」と断られてしまったところが前回まで。今回は、そんなこんなで迎えた『穢の森』クランクイン初日の様子が描かれた。  ヌードを断り、番組のナレーションを引き受けた長澤によれば、この8月29日のクランクイン当日は山下監督の誕生日なのだという。 「山田プロデューサーの粋な計らいです」  と長澤。しかし、この日は山下監督にとって、もしかしたら映画人生で最悪の1日だったかもしれない。 「第11話 芦田愛菜 決断する」を振り返る。  撮影はクライマックスから始まるという。長澤まさみの代役として用意されたのは、全高3メートルはありそうなグロテスクなオブジェ。山田がマンガ家・長尾謙一郎に依頼して描かせたイメージボードそのものだが、上半身が異様に膨れ上がり、顔面は焼け焦げたように真っ黒で、目鼻の判別もできない状態。髪は金髪。芦田がそのドテッ腹に包丁を突き立てると、ぴょろろ~と乳首から水が飛び出す謎仕様だ。刺されたオブジェは、火柱を上げて爆発するのだそうだ。これにより「狂い死に」を表現しているらしい。改めて、長澤まさみの降板という判断は正しかったと感じてしまう。  山下と芦田は大喜びだが、リハ中も終始憮然とした表情の山田。ひと通り打ち合わせを見届けると、まずはカメラマン(是枝裕和監督とのコンビで数々の賞を受けている山崎裕だ)に「発泡スチロールの質感」について確認する。  さらに気に食わないのが、長尾のイメージボードそのままに作ってきたのに、サイズ感が足りないこと。確かに長尾の絵では、この「さちこ」は港湾に並ぶガントリークレーンより、はるかにでかい。たぶん50メートルとか、それくらいあるのだろう。それを作れというのか、山田。  乳首から出る水の勢いを増すことで妥協点を見出そうとする山下だが、山田は聞く耳を持たず、とりあえず「3倍くらいの大きさ」のオブジェを要求する。それには3週間の期間と、さらなる予算が必要になるというのに。 「これで撮りたい」と言い張る監督・山下と、「1回戻して(撤去して)もらっていいですよ」と、スタッフに撮影中断を指示するプロデューサー・山田。現場に険悪な空気が流れだす。右往左往するチーフ助監督に、ベテランカメラマン・山崎が「方向性が出ない、どうしようもない」と、穏やかな表情ながら吐き捨ててみせる。ものすごい緊迫感だ。 ■芦田愛菜をヘビに噛ませる  結局、「さちこ」は撤去された。  問題は、まだある。明日、芦田がヘビに噛まれるシーンがあり、そのヘビを確認することになる。  用意されたヘビは3匹。「噛まれたときにケガが小さいのはこれで、ものすごい大ケガしそうな可能性があるのはこちら」と、ヘビ担当者が淡々と説明する。芦田は、うろたえつつ「やってみます」と口にする。「明日までに仲良くなっておいて、甘噛みみたいな……ないですかね」と、与えられた条件の中で少しでも現実的な方法を模索しているようだ。小学校6年生。見上げたプロ根性である。 「血がけっこう、多く出るんです」という担当者の説明に、「それ、大丈夫? 芦田さん」と大丈夫なわけがない質問をぶつける山下。まずは自分が噛まれてみることにするが、案の定、血が多く出てしまう。「芦田さん、こんな感じ」と平静を装う山下だが、一同ドン引きである。  山下は、当然だが、噛まれるシーンを吹き替えにして、カットを割ることを提案。しかし山田は「ワンカットです」と、にべもない。 ■さらに険悪になっていく山田・山下コンビ  さらに悪いことに、愛人役のエロマンガ家が一度は了承したはずの「火だるま」シーンを「ちょっと無理」と言い出した。「火傷とかのリスクがあると思うんですよね」そりゃそうだ。  スタントマンを用意することを提案する山下に対し、山田は「覚悟の問題だと思うんですよ」と、これも譲らない。「噛まれてくれたら、俺も噛まれます。燃えてくれたら俺も燃えますよ」と、なんの生産性もない提案をしてくる。  話は再び「さちこ」へ。3週間待ってでも巨大「さちこ」にこだわる山田と、予算や日程などの現実的な問題を加味しながら、あくまでこの日にクランクインしたい山下。出資者である山田ファンの稲垣さん(ガールズバー経営)からの振り込みも滞っており、映画そのものの完成も危ぶまれてきた。  この日、40歳を迎えた山下は大人として、数々の現場を仕切ってきたプロの映画人として、冷静に山田を説得しようと試みる。誠意をもって話す山下に「仕方ないです」「無理なんだったら無理です」と冷たく言い放つ山田。  小柄な山田が、さらに小柄な山下を見下しながら、 「意味のないこと、なんのためにやるんですか?」 「意味わかんないです」 「とりあえず撮りたいってことですか?」 「妥協しかないじゃないですか」 「とりあえず撮りたいんだったら好きなもん撮ればいいじゃないですか。いつもやってるように」 「一生カンヌ獲れないですよ。妥協妥協妥協じゃ」  さすがにここまで言われて、山下も黙っていない。 「それはちょっと失礼じゃない?」  ちょっとじゃない。すごく失礼だ。 「なんで俺の映画作りを否定すんの?」 「今までの俺の映画が全部クソってこと?」  山下も感情が高ぶってくる。それでも山田は止まらない。 「いいっす、もういいっす。帰っていいっすよ。いらないっす」  すわ、乱闘か、という雰囲気である。殴ってしかるべき場面だ。 「ホントに終わりなの、これで」  スタッフを集め、ここまで進めてきた企画に未練を残す山下の肩を叩き「ホントもういいっす」「もうやだ」と、山田はまるで子どものように駄々をこねて、山下を現場から追い出してしまう。  山田をブン殴るかわりに、全力疾走で現場をあとにする山下。自分の現場から、いの一番にいなくなる映画監督とは、どんな気分だろうか。スタッフたちも、山田の話より山下のほうが気になって仕方がない。  突如、森の向こうから爆発音がして、火柱が上がった。「さちこ」が燃えてしまったようだ。監督もいないし、「さちこ」もいない。これで、この日のクランクインは絶望的になってしまった。 ■芦田愛菜からの糾弾が突き刺さる  撮影は延期に。監督も自分でやることにした山田は、主演女優・芦田に「気持ちを切らさないで」と話そうとするが、その山田の言葉を聞かずに、芦田が山田を糾弾する。 「山田さん何がやりたいんですか?」  冷たい声だ。芸能界の先輩で、大人で、ついさっきから監督でもある山田に、芦田愛菜からの容赦ない視線が突き刺さる。山田は芦田に視線を合わせることができない。気まずい時間が流れる。鳥の声がする。  ちょこん、と愛らしく芦田は頭を下げ、「ごめんなさい」と言って踵を返した。この回の表題「芦田愛菜 決断する」は、『穢の森』からの降板を意味していた。  クランクインの20日前、山下と芦田が並んで打ち上げ花火を見上げ、その後ろでつまらなそうな山田が座っているシーンで今回はエンドロール。 「さちこ」が爆発炎上したことで、今回はより“フェイク”の部分が強調され、なんとか見通すことができた。これ、全部が全部ガチのマジだったら胃が痛すぎて見ていられなかっただろう。とにかく山田孝之の言っている理想論が全部正論だし、山下敦弘の言っている現実論も全部正論なのだ。正論と正論が正面衝突すると、相手の人格やキャリアを否定するところにまで到達してしまう。2人とも、そこまで言いたいわけじゃないのだ。ただ「完成」が見たいだけなのだ。映画のみならず、物作りに携わった経験のある人間にとっては、涙なくしては見られなかった回だったはずだ。  次回は最終回。「山田孝之 故郷へ帰る」のだそうだ。山田は、そして『穢の森』の監督であったのと同時にこの『山田孝之のカンヌ映画祭』というテレビプログラムでも松江哲明と並んで「監督」にクレジットされている山下は、どんな結末を用意しているのだろう。楽しみで仕方がない。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

『山田孝之のカンヌ映画祭』第11話 もう見てられない! 正論vs正論の正面衝突が痛すぎて……

『山田孝之のカンヌ映画祭』第11話 もう見てられない! 正論vs正論の正面衝突が痛すぎて……の画像1
『山田孝之のカンヌ映画祭』テレビ東京より
 山田孝之がカンヌ映画祭最高賞目指して、監督・山下敦弘や周りを巻き込み、自分勝手に突き進む。そんな、どこまでがドキュメンタリーなのかわからない「ドキュメンタリー風」番組。  親殺しの殺人者・らいせ役には芦田愛菜、母親の愛人役には演技素人のエロマンガ家が据えられた。そして、フルヌードが必要な母親役には長澤まさみをブッキングしてみたものの、あえなく「脱げない」と断られてしまったところが前回まで。今回は、そんなこんなで迎えた『穢れの森』クランクイン初日の様子が描かれた。  ヌードを断り、番組のナレーションを引き受けた長澤によれば、この8月29日のクランクイン当日は山下監督の誕生日なのだという。 「山田プロデューサーの粋な計らいです」  と長澤。しかし、この日は山下監督にとって、もしかしたら映画人生で最悪の1日だったかもしれない。 「第11話 芦田愛菜 決断する」を振り返る。  撮影はクライマックスから始まるという。長澤まさみの代役として用意されたのは、全高3メートルはありそうなグロテスクなオブジェ。山田がマンガ家・長尾謙一郎に依頼して描かせたイメージボードそのものだが、上半身が異様に膨れ上がり、顔面は焼け焦げたように真っ黒で、目鼻の判別もできない状態。髪は金髪。芦田がそのドテッ腹に包丁を突き立てると、ぴょろろ~と乳首から水が飛び出す謎仕様だ。刺されたオブジェは、火柱を上げて爆発するのだそうだ。これにより「狂い死に」を表現しているらしい。改めて、長澤まさみの降板という判断は正しかったと感じてしまう。  山下と芦田は大喜びだが、リハ中も終始憮然とした表情の山田。ひと通り打ち合わせを見届けると、まずはカメラマン(是枝裕和監督とのコンビで数々の賞を受けている山崎裕だ)に「発泡スチロールの質感」について確認する。  さらに気に食わないのが、長尾のイメージボードそのままに作ってきたのに、サイズ感が足りないこと。確かに長尾の絵では、この「さちこ」は港湾に並ぶガントリークレーンより、はるかにでかい。たぶん50メートルとか、それくらいあるのだろう。それを作れというのか、山田。  乳首から出る水の勢いを増すことで妥協点を見出そうとする山下だが、山田は聞く耳を持たず、とりあえず「3倍くらいの大きさ」のオブジェを要求する。それには3週間の期間と、さらなる予算が必要になるというのに。 「これで撮りたい」と言い張る監督・山下と、「1回戻して(撤去して)もらっていいですよ」と、スタッフに撮影中断を指示するプロデューサー・山田。現場に険悪な空気が流れだす。右往左往するチーフ助監督に、ベテランカメラマン・山崎が「方向性が出ない、どうしようもない」と、穏やかな表情ながら吐き捨ててみせる。ものすごい緊迫感だ。 ■芦田愛菜をヘビに噛ませる  結局、「さちこ」は撤去された。  問題は、まだある。明日、芦田がヘビに噛まれるシーンがあり、そのヘビを確認することになる。  用意されたヘビは3匹。「噛まれたときにケガが小さいのはこれで、ものすごい大ケガしそうな可能性があるのはこちら」と、ヘビ担当者が淡々と説明する。芦田は、うろたえつつ「やってみます」と口にする。「明日までに仲良くなっておいて、甘噛みみたいな……ないですかね」と、与えられた条件の中で少しでも現実的な方法を模索しているようだ。小学校6年生。見上げたプロ根性である。 「血がけっこう、多く出るんです」という担当者の説明に、「それ、大丈夫? 芦田さん」と大丈夫なわけがない質問をぶつける山下。まずは自分が噛まれてみることにするが、案の定、血が多く出てしまう。「芦田さん、こんな感じ」と平静を装う山下だが、一同ドン引きである。  山下は、当然だが、噛まれるシーンを吹き替えにして、カットを割ることを提案。しかし山田は「ワンカットです」と、にべもない。 ■さらに険悪になっていく山田・山下コンビ  さらに悪いことに、愛人役のエロマンガ家が一度は了承したはずの「火だるま」シーンを「ちょっと無理」と言い出した。「火傷とかのリスクがあると思うんですよね」そりゃそうだ。  スタントマンを用意することを提案する山下に対し、山田は「覚悟の問題だと思うんですよ」と、これも譲らない。「噛まれてくれたら、俺も噛まれます。燃えてくれたら俺も燃えますよ」と、なんの生産性もない提案をしてくる。  話は再び「さちこ」へ。3週間待ってでも巨大「さちこ」にこだわる山田と、予算や日程などの現実的な問題を加味しながら、あくまでこの日にクランクインしたい山下。出資者である山田ファンの稲垣さん(ガールズバー経営)からの振り込みも滞っており、映画そのものの完成も危ぶまれてきた。  この日、40歳を迎えた山下は大人として、数々の現場を仕切ってきたプロの映画人として、冷静に山田を説得しようと試みる。誠意をもって話す山下に「仕方ないです」「無理なんだったら無理です」と冷たく言い放つ山田。  小柄な山田が、さらに小柄な山下を見下しながら、 「意味のないこと、なんのためにやるんですか?」 「意味わかんないです」 「とりあえず撮りたいってことですか?」 「妥協しかないじゃないですか」 「とりあえず撮りたいんだったら好きなもん撮ればいいじゃないですか。いつもやってるように」 「一生カンヌ獲れないですよ。妥協妥協妥協じゃ」  さすがにここまで言われて、山下も黙っていない。 「それはちょっと失礼じゃない?」  ちょっとじゃない。すごく失礼だ。 「なんで俺の映画作りを否定すんの?」 「今までの俺の映画が全部クソってこと?」  山下も感情が高ぶってくる。それでも山田は止まらない。 「いいっす、もういいっす。帰っていいっすよ。いらないっす」  すわ、乱闘か、という雰囲気である。殴ってしかるべき場面だ。 「ホントに終わりなの、これで」  スタッフを集め、ここまで進めてきた企画に未練を残す山下の肩を叩き「ホントもういいっす」「もうやだ」と、山田はまるで子どものように駄々をこねて、山下を現場から追い出してしまう。  山田をブン殴るかわりに、全力疾走で現場をあとにする山下。自分の現場から、いの一番にいなくなる映画監督とは、どんな気分だろうか。スタッフたちも、山田の話より山下のほうが気になって仕方がない。  突如、森の向こうから爆発音がして、火柱が上がった。「さちこ」が燃えてしまったようだ。監督もいないし、「さちこ」もいない。これで、この日のクランクインは絶望的になってしまった。 ■芦田愛菜からの糾弾が突き刺さる  撮影は延期に。監督も自分でやることにした山田は、主演女優・芦田に「気持ちを切らさないで」と話そうとするが、その山田の言葉を聞かずに、芦田が山田を糾弾する。 「山田さん何がやりたいんですか?」  冷たい声だ。芸能界の先輩で、大人で、ついさっきから監督でもある山田に、芦田愛菜からの容赦ない視線が突き刺さる。山田は芦田に視線を合わせることができない。気まずい時間が流れる。鳥の声がする。  ちょこん、と愛らしく芦田は頭を下げ、「ごめんなさい」と言って踵を返した。この回の表題「芦田愛菜 決断する」は、『穢れの森』からの降板を意味していた。  クランクインの20日前、山下と芦田が並んで打ち上げ花火を見上げ、その後ろでつまらなそうな山田が座っているシーンで今回はエンドロール。 「さちこ」が爆発炎上したことで、今回はより“フェイク”の部分が強調され、なんとか見通すことができた。これ、全部が全部ガチのマジだったら胃が痛すぎて見ていられなかっただろう。とにかく山田孝之の言っている理想論が全部正論だし、山下敦弘の言っている現実論も全部正論なのだ。正論と正論が正面衝突すると、相手の人格やキャリアを否定するところにまで到達してしまう。2人とも、そこまで言いたいわけじゃないのだ。ただ「完成」が見たいだけなのだ。映画のみならず、物作りに携わった経験のある人間にとっては、涙なくしては見られなかった回だったはずだ。  次回は最終回。「山田孝之 故郷へ帰る」のだそうだ。山田は、そして『穢れの森』の監督であったのと同時にこの『山田孝之のカンヌ映画祭』というテレビプログラムでも松江哲明と並んで「監督」にクレジットされている山下は、どんな結末を用意しているのだろう。楽しみで仕方がない。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

『山田孝之のカンヌ映画祭』第10話 “大女優”長澤まさみは「脱ぐ」のか!? 山田孝之、決死の説得で……

『山田孝之のカンヌ映画祭』第10話 大女優長澤まさみは「脱ぐ」のか!? 山田孝之、決死の説得で……の画像1
テレビ東京系『山田孝之のカンヌ映画祭』番組サイトより
 山田孝之がカンヌ映画祭最高賞目指して、監督・山下敦弘や周りを巻き込み、自分勝手に突き進む。そんな、どこまでがドキュメンタリーなのかわからない「ドキュメンタリー風」番組。  これまで、芦田愛菜に殺人鬼役やらせたり、大手に出資してもらえなくて山田のただのファンの社長に数千万出資させたり、カンヌ常連監督・河瀬直美に、カンヌに寄せたあざとい映像を見せて叱られたり、前科者役を探すのに本物の前科者を集めてオーデションしかけたり(結局、可能性が高いだろうということで「無職」の人から探すことに譲歩)、村上淳に首吊り特訓させておいて歌が下手だと即日解雇したり、とにかく「どうかしちゃってる山田」を堪能させてくれた。  そして前回のラスト、打ち合わせ中に突然、長澤まさみが現れた……! それは、またしても勝手に決めた山田が、母親役として呼び寄せていたのだった。 「第10話 長澤まさみ 悩む」を振り返りたい。  長澤は芦田の母親役ということしか聞いていないらしく、山田とも久々だし、芦田とも共演してみたいとの思いでやってきたらしい。まだ詳しくは何も知らぬ彼女に、簡単なあらすじと特殊な映画の撮影方法が説明される。  あらすじとしては、父親と娘・らいせ(芦田)を殺しかけた母親・さちこ(長澤)と、その愛人・北村(オーディションで選んだ渡邊さん)に、奇跡的に助かったらいせが復讐を遂げる物語だ。  そして、その撮影方法とは、奇才漫画家・長尾謙一郎による十数枚からなる絵からイメージして、台本などなしで撮影に挑むという山田流。絵を「読んで」おくように言われ、思わず「読む?」と問い返してしまう長澤。 ■ちゃんと演出をする山下  問題は長尾の描いた最後の絵、狂い死に、裸のまま水死体となった母親・幸子。これをどう描くかをリハーサルしながら長澤を交えて作っていくらしい。  役の気持ちを問う芦田に「自分を産んでくれた育ててくれた母を、もう自分は殺すと決めてる。その気持ちが悲しい」と演出する山下。  よく考えたら、この番組始まって以来の山下のプロフェッショナルな一面だ。いつも演出や決定は山田に奪われており、これが本職としての山下の姿なのだが、普段ただの子分のようなダメ男イメージがすっかり染み込んでいるので、こうしたちゃんと「できる」姿を見せられると、ついきゅんとしてしまう。「ダメに思わせておいて、実は最後にちゃんと出来る」マギー(司郎)一門の手口である。 ■長澤まさみのすごさ  芦田に殺されかかった長澤が、恐怖に追い込まれ狂ってしまう演技。「狂い死ぬ」というのがキーらしい。 「私は何も悪くない! 私は何も悪くない!」  こんなこと言ったら失礼だが、その芝居がさすがなのだ。編集されているとはいえ、直前までの漠然とした打ち合わせや、ふわーと現れた雰囲気を見ているだけに、いきなり役を仕上げ、具体的に演じる役者のパワーをはっきりと感じる。先ほどの山下もそうだが、やはりプロの仕事を、プロのレベルでこうやって見せてくれるあたり、実にまっとうな「ドキュメンタリー」である。  金を出したので現場をうろうろしてる出資者の稲垣さん(ガールズバー経営)も、これを間近で観れるとはいい買い物だったはずだ。せめてそうあってほしい。  長澤の演技を絶賛する山下と山田。「見えましたよね」これはいい作品になるのではといった空気が広がる。 ■脱ぐのか、脱がないのか?  ここで、先日の「前科者」オーディションで見事愛人の北村役を勝ち取った、渡邊元也(エロ漫画家)が到着。刺殺されてるのに「イテテテテテテテテ」と、まるで緊張感のない珍演技で相手役の芦田も笑ってしまうほどだったのだが、なぜか合格し、長澤と挨拶など交わしていやがる。長澤の輝けるキャリアの中で、最弱の相手役だろう。体育座りしてて長澤を見ながら発した「映画観てるみたい」とは正直な気持ちだろう。  しかし、ここで問題が。  ベッドシーンのリハーサルをする直前、山田と山下の会話から「今日は脱がせたらダメ」などとの内容が漏れて聞こえてくる。思わず「質問なんですけど、なんかこう、そういうシーンって、見えない感じ……ですよね?」と長澤が問う。  しかし、山田と山下は、「体がですか?」「見えない?」「プライド……?」とピンと来ていない様子。ついには長澤に「局部みたいなものが……」とまで言わせる始末。長澤は、全裸の絵を見て、あくまでイメージだと思っていたらしい。  しかし山田は「状況的に着衣ではない」「隠しはしないですよ?」と、断言する。視聴者は、この現場では彼が決めたことが絶対なのを知っている。そんなブルドーザーのような山田と、「やっぱ気になりますうー?」と抜かす無神経・山下の波状攻撃。 「そうなんですねー……」と困りながら言葉を選ぶ長澤と、その横で頷く、相手の素人・渡邊。まさか、自身初のフルヌードの対戦相手が素人のエロ漫画家だとは、夢にも思わなかっただろう。渡邊の目は怖いほど真剣だ。芝居下手なのに。 「ここまでストーリーがわからない中で、それ(ヌード)が必要なのかわからない」  長澤も判断しかねている感じだ。いや、おそらく「なし」なのだろうが、「今すぐには(返事は)難しいかなぁ……」と消極的だ。それはそうだろう。変な深夜番組の、変な映画で、変な顔の素人が相手だ(失礼)。これで引き受けでもしたら、それこそ長澤が変だ。 「今、この場では回答はできないかもしれない」と申し訳なさそうに答える女性マネジャーに、山田は「あー、それか」と吐き捨てる。意味ありげに「持ち帰って・社内で・話し合って・みたいなことですか?」と、さらに確認する。  山田は、所属する事務所に、どんな仕事をやるかの選択・判断は、山田自身に委ねさせてもらっていると『山田孝之の東京都北区赤羽』の中で語っていた。それは、今回の「長澤」という事例だけでなく、この手の回答を、かつて何度となく見てきたであろう。それは長澤どうこうではなく、一部の役者や事務所や映画会社、ひいては旧態依然とした業界の悪しき慣習などに対する苛立ちの蓄積を表しているようにも見えた。 ■エロ漫画家・渡邊という男  山下は、カンヌのために「魂」を込めたいと、長澤に全部出してほしいと説得する。  その流れで「もちろん渡邊さんも全部出すでしょ?」と目の前にたたずむ素人の決意までも引き合いにだすが、長澤はピンときていない。当たり前だ。長澤を抱ける千載一遇のチャンスだからか、とっさに「もちろん脱ぎます」と即答する素人・渡邊。  しかし、渡邊が火だるまで殺されるシーンもスタントなしでやるんだと「初耳」の決定事項を聞かされ、目を丸くする。エロにつられて安請け合いしたら、火だるまにされるという、もはやおとぎ話。  長澤と全裸で芝居することも「初めて聞いた」はずなのに、火だるまを聞いたときだけ「初めて聞いたんですけど」と食ってかかる姿は、煩悩の塊。さすがエロ漫画家。  山下は、さらりと最後に爆死することまで付け足し「これできたら、スタントマンの仕事とかめっちゃくるかも」と余計なリクルートを斡旋する。細かった渡邊の目はリアルな「死の危機」を耳にして以来、ずっと刮目している。ちなみにこのやり取りの最中の、長澤の目は死んでいた。かわいそう。 ■あの手この手で「脱がせ」にかかる!  長澤が脱ぐのに抵抗がある理由として「昔はいいと思っていた」が「大人になって見え方が美しいものなのか?」と自分で疑問があると言う。  一旦返事を持ち帰ることになった長澤に、例の絵を全て渡すが、おそらく断るのを決めているだろう長澤は気まずそうだ。  後日、東宝に場所を移しての打ち合わせ。ここで、長澤 VS 山山コンビの激しい脱がせの攻防が繰り広げられる。  まず、「全裸が必要条件の一番だと言われたらお断りした方がいいのかも」と先制パンチを繰り出す長澤に、 ・一番ではない。一番は気持ち。(山田) ・この前のリハを見て逆に服が邪魔だと思った。(山下)  と、やり返す2人。徹底抗戦のかまえ。  映画の規模の大きい小さいでは決めているわけではないと長澤が断言する。では理由は何か。  山下が仕掛ける。見えて当然のシーンでも無理に隠す日本映画を不自然に感じたことないか? それを「僕ら」で変えていきたいんだと、続く日本映画のために、パイオニアとして先陣切ってやってやるんだと、大義をちらつかせる。  さらには「俺も現場で全裸で演出してもいいですよ」と、長澤にとってどうでもいいことを言い出す。長澤は、先日の渡邊が火だるまになるのを聞いたときと同じ顔だ。  どさくさに紛れて「カンヌって、そういうやり方らしいんですよ?」と結構な嘘まで言っていた。  普段、山下を困らせてばかりの山田も「日本だとそういうのないから」「こっから先、(映画の)誤魔化しがきかなくなる」「脱ぐことで強さ・気持ち・表情が出る」と、かつてないほどの協力体制。北風と太陽が手を組み、なりふり構わず女性を脱がそうとしているような必死さだ。  さらには「一瞬」「ちらっと」「片方」など、一口アイスをもらおうとしてる子どものような言葉を口にして、長澤に怪しまれてしまう。  ついには、「僕らは男として長澤さんの裸を見たいわけじゃなくて、映画を作る上で、さちこに脱いで欲しいんです」と余計に怪しい言葉まで口にしてしまう。言えば言うほど、脱がせたい感があふれる2人。  結局「なんか身体だけなのかなーって」と、ますます長澤に警戒されてしまうはめに。がんばれ2人とも! ・リアルな丸見えな感じだと引くのでは? 内容が頭に入らないのでは? ・「今の私が脱ぐとストーリー関係なく、そこだけしか注目されないということがわかったから」「今やるべきことではないと思う」  以上の理由を口にする長澤の決意は固そうだ。 ■全裸→ナレーションに変更  話し合いを終え、席を立つ山下の「じゃあ」という言葉に、もう降板するつもりの長澤は「すいません」、山下は「よろしくお願いします」。噛み合わない。  直後、「こうして、私が映画に出演することはなくなりましたが、流れでこの番組のナレーションは引き受けることになりました」との経緯が長澤本人の声で説明される。まさか裸と引き換えのナレーションだったとは。しかし残念。  そして、長澤の代わりは巨大な「像」を使い、それを「さちこ」として撮影することに。その「像」のビジュアルはおそらく長尾作で、巨大な球に近い全裸、その乳首から水が噴き出してるという前衛的なもの。 「これをいじると、また違うって言い出すから」と、この通り忠実に再現するように助監督に発注の指示を出す山下。山田を見越してのことなのは言うまでもない。  そしてついに、8月29日クランクイン当日を迎えたところで次週へ。  次週は「第11話 芦田愛菜 決断する」  ふざけつつも、「もしも長澤まさみが知り合いに無理なヌードをお願いされたら?」という、よくできたドキュメンタリーを見せてくれた今回。クランクイン5日前にする作業とは思えないが、いよいよ撮影が始まる。  あのまま、村上淳や長澤まさみが出演していたら、十分メジャーでも勝負できそうな豪華さなのだが、山田はそれをよしとしなかった。それを蹴ってでもこだわった内容。果たして映画は完成するのか? 5月の「カンヌ」は期待していいのか? いよいよ残りあと2回。 (文=柿田太郎)