男を中心に、5人の女が食卓を囲んでいる。年齢も風貌もバラバラ。一人はセーラー服姿だし、一人は全裸だ。 彼女たちは、男が用意した夕食を食べながら、その料理にダメ出しをしている。 全裸の女は言う。 「味がぼんやりしてる。アナタみたい」 昨今のドラマでは『カルテット』(TBS系)や『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)、『住住』(日本テレビ系)など、いわゆるシェアハウスものが急増している。そんな中、同じジャンルでありながら、まったく違うムードを醸し出しているのが、この『100万円の女たち』(テレビ東京系)である。 本作は、これも急増している、ネット動画サービスと連携した制作スタイル。Netflixと共同で制作する、新たなドラマ枠「木ドラ25」の第1弾だ。 原作は『俺はまだ本気出してないだけ』の青野春秋が「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載していた同名マンガ。 売れない小説家・道間慎が、自宅の一軒家に「家賃」100万円を持って突然押しかけてきた5人の美女たちと奇妙な共同生活を送るというストーリー。 主人公の慎を演じるのは、ドラマでは見かけない顔だ。それもそのはず、映画『君の名は。』の主題歌「前前前世」の大ヒットが記憶に新しいロックバンド、RADWIMPSのボーカル・野田洋次郎なのだ。売れない小説家らしい、地味でさえない雰囲気を見事に表現している。 5人の女の中で、今のところ最も目立っている白川美波役の女性もドラマではあまり見かけないが、(なにしろ、部屋ではずっと全裸なので)強烈に印象に残る存在だ。彼女は福島リラ。主にファッションモデルとして活動し、女優としては映画『ウルヴァリン: SAMURAI』でハリウッドデビュー。その後、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』などにも出演している。 この普段見慣れない2人の強烈な存在感が、本作をミステリアスで新鮮な味わいにしている。 松井玲奈、我妻三輪子、武田玲奈、新木優子が演じるほかの4人の女も、それぞれ個性的で、何やら秘密を持っていそうな雰囲気だ。 夕食を食べ終えると、家に迷い込んだ猫の名前を決めようということになった。「たま」やら「漱石」やら案を出し合う、普通なら幸福感あふれるはずのシーンも、どこか不穏だ。常に緊張感が漂っている。 慎が何気なく女たちに子どもの頃の猫にまつわる思い出を訊こうとすると、「質問はしない約束でしょ」と一蹴される。 この共同生活には、いくつかのルールがあるのだ。 「女たちへの質問は禁止」 「女たちの部屋に入るのは禁止」 「夕食は全員一緒に食べる」 「女たちの世話は慎が全部やる」 「家賃は毎月100万円」 女たちはみな、「招待状」を受け取ってやってきたというが、もちろん慎が出したわけではない。誰が、どんな目的で彼女たちを集めたのかはまったくわからない。 彼女たちはなんらかの過去や秘密を抱えていそうだが、慎もまた壮絶なものを抱えている。 彼の書く小説には、人が死ぬシーンが出てこないという。なぜなら、彼の父親(リリー・フランキー)が、殺人犯だからだ。 「想像できる? 自分の父親が母親を殺しちゃうなんて」 父親は、自分の妻(つまり慎の母)とその不倫相手を殺害。さらに、駆けつけた警察官も殺害。死刑判決を受けているのだ。そのせいなのか、慎の自宅には繰り返し「死ね」「人殺し」などといったFAXが送られてくる。 こうしたサスペンス要素のほかに、このドラマの雰囲気を決定付けているのは、エロティックなムードだ。 そもそもがハーレム状態な上、慎は高級ソープランドに通っている。さらに第2話で、美波は慎の「価値観がぐるぐる揺れている」からいい小説が書けないのだと、秘密にしていた自分の職場へ慎を連れて行く。美波は、高級コールガールクラブのオーナーだったのだ。このクラブのコールガールには人気アイドルグループの一人が在籍しており、そのアイドルの値段は、なんと一晩1,000万円だという。 「質より人気という付加価値に弱い人間は、腐るほどいるの。特に、この国には」 こうした謎が謎を呼ぶサスペンスもののドラマは、その秘密を知りたいから次を見たくなる。だが、このドラマは、ちょっと違う。もちろんそうした意味で続きを見たいという欲求もあるにはあるが、それ以上に、なんだか中毒性があるのだ。 ドラマの画面から醸し出される強烈な退廃的ムードと緊張感を味わうと、理屈ではなく、またそれを味わいたくなる。 価値観がぐるぐる揺れる、麻薬のようなドラマなのだ。 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/) ◆「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから 『人生でムダなことばかり、みんなテレビに教わった』(文藝春秋) スキマさんの新刊出ました木ドラ25『100万円の女たち』(テレビ東京)
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『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第3話 ノスタルジーとの決別、新将軍としての旅立ち!
本州最北端の町・青森県大間で再会を果たしたIKKU(駒木根隆介)、TOM(水澤紳吾)、そしてMIGHTY(奥野瑛太)の3人は、伝説のラップグループ「SHO-GUNG」を再結成することに。第3話となる今回は、大間を後にして3人が“生ぬるい青春”リセットの旅へといよいよ出発。“将軍”だけに黄門さま、助さん、格さんのようなラップでの世直し旅になるのか。まぁ、3人ともうっかり八兵衛みたいな三枚目キャラだから絶対そうはならないだろうけど。 オープニングはIKKUとTOMがお世話になったスナックのひとり娘・トーコ(山本舞香)とトーコにしつこく言いよってきたメガネ中年・マキノ(杉村蝉之介)とのベッドシーン。「ふつつかものですが、末永くよろしくお願いします」とパジャマ姿で三つ指を付くトーコ。「初夜だな」と鼻の下を伸ばすマキノ。薄暗い和室に並べて敷かれた布団が妙にエロい。 地元資産家の凄技を見せてやろうと言わんばかりにマキノがアタッシュケースを開くと、中からは極太バイブにローション、さらには手錠……と大人のための快楽グッズがぞくぞく。ドラえもんならぬエロえもんである。トーコの白く細い手首に手錠を掛けながら「やっと、わいの嫁さんだな」とむっつりほくそえむマキノ。 「いや~ッ!!」と目が醒めるトーコ。フロイトだったらどんな心理分析するのか、ちょっと気になる生々しいトーコの性夢だが、前回のTOMが見た美人嫁トリーシャ(コトウロレナ)に棄てられる夢に続いての夢はじまり。渥美清主演のロードムービー『男はつらいよ』シリーズも、初期~中期は寅さんが旅先で見る夢はじまりが多かったことを思い出させる。デコトラに乗って、東北道を縦断していくこれからの展開は、菅原文太主演のロードムービー『トラック野郎』シリーズも彷彿させるし。今回の『マイクの細道』は実は『SRサイタマノラッパー』劇場版三部作の成功でメジャーシーンというネクストステージに立った入江悠監督自身が、日本映画史に残る過去の人気シリーズを再発見していく旅なのかもしれない。 前回、夜の大間崎で「SHO-GUNG」を再結成することに同意したMIGHTY。漁港にある倉庫で、IKKU、TOMと酒を飲み交わしている。再結成で盛り上がり、そのまま朝まで飲み明かしたらしい。東京でも栃木でも自分の居場所を見つけることができなかったMIGHTYは、「こうやって、SHO-GUNGとしてまた集まれて……。なんか、ありがとー」と素直に喜ぶ。埼玉のブロッコリー畑で育ったMIGHTYは刑務所暮らしを経験したものの、心の根っこの部分はひどく純真だったりする。でも、純真がゆえに不条理な状況に遭遇すると暴力沙汰を巻き起こしてしまう。そのことを理解してくれる旧友たちとの再会が、MIGHTYは本当にうれしそうだ。 男の友情は永遠であることを確かめ合う3人。まるで横山光輝の大河コミック『三国志』の「桃園の誓い」のような名シーンである。だが、そんな名シーンにミソを付けてしまう男がIKKU。体型の割に虚弱体質なIKKUは酔っぱらって、倉庫脇に駐車してあったトラックに思わずゲロをぶちまける。大間に来てからマグロ料理ばかり食べていたから、さぞマグロ臭いゲロだろう。マグロのブツ切りトロロがしばらく食べられそうもない。 劇映画における嘔吐シーンは非常に重要だ。ロードムービーの名作『スタンド・バイ・ミー』(86)に実話もの『アポロ13』(95)でもゲロシーンが強烈な印象を残している。IKKUが吐いたゲロも、『マイクの細道』を大きく動かすきっかけとなる。IKKUがゲロを浴びせたトラックは、案の定、IKKUと相性が最悪のデブドライバー・カブラギ(猿川皆時)のデコトラだった。 あわててTOMがバケツで水を掛け、MIGHTYが雑巾で拭き取ろうとするが、なぜかペイントがはげ落ちてしまう。水性絵の具で描いたデコトラなのか? お風呂で流れ落ちる刺青みたいなものか? それはともかく、情けない状態になったデコトラを見て、カブラギは大激怒。「このペイントは男の勲章だ。トラック野郎の命だ」と怒り狂うカブラギは、IKKUたちを港に正座させて本名を名乗らせる。IKKU=加賀谷郁美、TOM=本間友弥、MIGHTY=松本樹。本名が明かされると、魔法が解けたカボチャの馬車のように、3人はますますヘタレに見えてくる。 カブラギから「ペイントの修理代、120万円」を請求されたIKKUたちはお金を持たないため、トラックの荷物の搬入を手伝わされるはめに。再結成した「SHO-GUNG」としての初コラボがトラックの荷物運びとはトホホすぎる。当然1回の搬入だけでは120万円に足りるはずもなく、カブラギのトラックに乗って岩手県での荷物おろしも手伝うことになる。全然かっこよくないけど、IKKUたちにはぴったりの旅立ちの仕方だろう。 午後3時に港を出発することになった一行。大間で世話になった人にあいさつしてくると町へ戻るMIGHTY。7年間離れていた間にMIGHTYとの間に少し溝があることを感じていたIKKUだが、付き合いの長いTOMとはリラックスして即興ラップでやりとりができる。 TOM「SHO-GUNGには新しい曲が必要、おニューなトラックでライブかましたいな♪」 IKKU「イェイェ~、チャンスとマイクは自分の手でつかむ。でもトラックだけはDJに頼む~♪」 大間郵便局前を歩きながら明らかになるのは、新生「SHO-GUNG」の問題点。3人には劇場版『SRサイタマノラッパー』(09)で披露した「教育 金融 ブランニュー」という名曲があるが、クラブチッタでライブをやるには1曲だけでは間が持たない。できれば、その後の「SHO-GUNG」の歴史を感じさせる新しい曲がほしい。とはいっても、お世話になったTKDこと伝説のタケダ先輩は7年前に亡くなってしまった。新しい曲は誰に頼むか? TOMが創るのか? せっかく下北半島まで来ているんだから、恐山でイタコにタケダ先輩を呼び出してもらえばいいのに。天国からのライムは一体どんな味だろうか? そうこうしているうちに、午後3時となりカブラギ号が出発することに。MIGHTYは『SR1』の頃に着ていた懐かしいジャケットに着替えての旅立ちだ。まぁ、マグロのロゴが入った上着のままだとロックフィッシュバンド「漁港」の二番煎じになってしまうしな。だが、ここで気になるのは『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)でMIGHTYと同棲していた彼女・一美(斉藤めぐみ)の存在。東京で問題を起こしたMIGHTYと一緒に栃木へと流れ、刑務所を訪ねたこともある一美だが、大間にはいないらしい。福島の実家で、MIGHTYが迎えに来るのを今もずっと待っているのか。高倉健さん主演作『幸せの黄色いハンカチ』(77)みたいな展開が待っているのか。福島編が今からすごく気になる。 MIGHTYだけトラックの助手席に座り、IKKUとTOMは荷台へと閉じ込められるはめに。ふて腐れるIKKUだが、この最弱ダメダメコンビの唯一の長所はドン底にいる自分らの状況をラップよって相対化させることができるという点だ。社会から抑圧された黒人文化からジャズ、ソウル、ヒップホップが生まれ、日本の労働歌として民謡が育まれていったように、トラックの荷台で揺られるIKKUの口から自然と歌詞がこぼれ落ちていく。 IKKU「どこにあるんだ、俺たちのフリーダム。MIGHTYの野郎、助手席でズリぃーなぁ。寒いの上等、狭いの上等。SHO-GUNGの旅は三人旅~、ラップの道は曲がり道~♪」 ラップの即興性とみちのく旅情を感じさせる浪曲・演歌調の節回しをリミックスさせたメロディを口ずさむIKKU。何となくだが、新生「SHO-GUNG」の目指す方向性がぼんやりと見えてくる。そしてトラックの荷台には、メガネ中年・マキノとの結婚を嫌うトーコが密航者として潜んでいた。荷物の隙間から、つぶらな瞳をきょろつかせるトーコ。フランク・ヘネンロッター監督のカルト映画『バスケットケース』(82)のベリアル兄ちゃんみたいで超キュートだ。 クラブチッタでのライブ開催まで、2週間足らず。それまでに新生「SHO-GUNG」の新曲はできるのか。TOMの嫁トリーシャは埼玉でTOMの帰りをちゃんと待っているのか。MIGHTYの元カノ・一美の再登場はあるのか。そして、かねてより童貞の疑いが噂されているIKKUは晴れて童貞ラッパーから卒業することができるのか(ちなみに『男はつらいよ』の寅さんも素人童貞らしい)。それぞれの課題を抱え、甦った「SHO-GUNG」は遥か川崎クラブチッタを目指す。SFアニメ『宇宙戦艦ヤマト』のエンディングみたいでちょっとかっこいい。SHO-GUNGよ急げ、自分たちと埼玉の未来を懸けて。運命のライブまで残り13日! (文=長野辰次)テレビ東京系『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』番組サイトより
『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第3話 ノスタルジーとの決別、新将軍としての旅立ち!
本州最北端の町・青森県大間で再会を果たしたIKKU(駒木根隆介)、TOM(水澤紳吾)、そしてMIGHTY(奥野瑛太)の3人は、伝説のラップグループ「SHO-GUNG」を再結成することに。第3話となる今回は、大間を後にして3人が“生ぬるい青春”リセットの旅へといよいよ出発。“将軍”だけに黄門さま、助さん、格さんのようなラップでの世直し旅になるのか。まぁ、3人ともうっかり八兵衛みたいな三枚目キャラだから絶対そうはならないだろうけど。 オープニングはIKKUとTOMがお世話になったスナックのひとり娘・トーコ(山本舞香)とトーコにしつこく言いよってきたメガネ中年・マキノ(杉村蝉之介)とのベッドシーン。「ふつつかものですが、末永くよろしくお願いします」とパジャマ姿で三つ指を付くトーコ。「初夜だな」と鼻の下を伸ばすマキノ。薄暗い和室に並べて敷かれた布団が妙にエロい。 地元資産家の凄技を見せてやろうと言わんばかりにマキノがアタッシュケースを開くと、中からは極太バイブにローション、さらには手錠……と大人のための快楽グッズがぞくぞく。ドラえもんならぬエロえもんである。トーコの白く細い手首に手錠を掛けながら「やっと、わいの嫁さんだな」とむっつりほくそえむマキノ。 「いや~ッ!!」と目が醒めるトーコ。フロイトだったらどんな心理分析するのか、ちょっと気になる生々しいトーコの性夢だが、前回のTOMが見た美人嫁トリーシャ(コトウロレナ)に棄てられる夢に続いての夢はじまり。渥美清主演のロードムービー『男はつらいよ』シリーズも、初期~中期は寅さんが旅先で見る夢はじまりが多かったことを思い出させる。デコトラに乗って、東北道を縦断していくこれからの展開は、菅原文太主演のロードムービー『トラック野郎』シリーズも彷彿させるし。今回の『マイクの細道』は実は『SRサイタマノラッパー』劇場版三部作の成功でメジャーシーンというネクストステージに立った入江悠監督自身が、日本映画史に残る過去の人気シリーズを再発見していく旅なのかもしれない。 前回、夜の大間崎で「SHO-GUNG」を再結成することに同意したMIGHTY。漁港にある倉庫で、IKKU、TOMと酒を飲み交わしている。再結成で盛り上がり、そのまま朝まで飲み明かしたらしい。東京でも栃木でも自分の居場所を見つけることができなかったMIGHTYは、「こうやって、SHO-GUNGとしてまた集まれて……。なんか、ありがとー」と素直に喜ぶ。埼玉のブロッコリー畑で育ったMIGHTYは刑務所暮らしを経験したものの、心の根っこの部分はひどく純真だったりする。でも、純真がゆえに不条理な状況に遭遇すると暴力沙汰を巻き起こしてしまう。そのことを理解してくれる旧友たちとの再会が、MIGHTYは本当にうれしそうだ。 男の友情は永遠であることを確かめ合う3人。まるで横山光輝の大河コミック『三国志』の「桃園の誓い」のような名シーンである。だが、そんな名シーンにミソを付けてしまう男がIKKU。体型の割に虚弱体質なIKKUは酔っぱらって、倉庫脇に駐車してあったトラックに思わずゲロをぶちまける。大間に来てからマグロ料理ばかり食べていたから、さぞマグロ臭いゲロだろう。マグロのブツ切りトロロがしばらく食べられそうもない。 劇映画における嘔吐シーンは非常に重要だ。ロードムービーの名作『スタンド・バイ・ミー』(86)に実話もの『アポロ13』(95)でもゲロシーンが強烈な印象を残している。IKKUが吐いたゲロも、『マイクの細道』を大きく動かすきっかけとなる。IKKUがゲロを浴びせたトラックは、案の定、IKKUと相性が最悪のデブドライバー・カブラギ(猿川皆時)のデコトラだった。 あわててTOMがバケツで水を掛け、MIGHTYが雑巾で拭き取ろうとするが、なぜかペイントがはげ落ちてしまう。水性絵の具で描いたデコトラなのか? お風呂で流れ落ちる刺青みたいなものか? それはともかく、情けない状態になったデコトラを見て、カブラギは大激怒。「このペイントは男の勲章だ。トラック野郎の命だ」と怒り狂うカブラギは、IKKUたちを港に正座させて本命を名乗らせる。IKKU=加賀谷郁美、TOM=本間友弥、MIGHTY=松本樹。本名が明かされると、魔法が解けたカボチャの馬車のように、3人はますますヘタレに見えてくる。 カブラギから「ペイントの修理代、120万円」を請求されたIKKUたちはお金を持たないため、トラックの荷物の搬入を手伝わされるはめに。再結成した「SHO-GUNG」としての初コラボがトラックの荷物運びとはトホホすぎる。当然1回の搬入だけでは120万円に足りるはずもなく、カブラギのトラックに乗って岩手県での荷物おろしも手伝うことになる。全然かっこよくないけど、IKKUたちにはぴったりの旅立ちの仕方だろう。 午後3時に港を出発することになった一行。大間で世話になった人にあいさつしてくると町へ戻るMIGHTY。7年間離れていた間にMIGHTYとの間に少し溝があることを感じていたIKKUだが、付き合いの長いTOMとはリラックスして即興ラップでやりとりができる。 TOM「SHO-GUNGには新しい曲が必要、おニューなトラックでライブかましたいな♪」 IKKU「イェイェ~、チャンスとマイクは自分の手でつかむ。でもトラックだけはDJに頼む~♪」 大間郵便局前を歩きながら明らかになるのは、新生「SHO-GUNG」の問題点。3人には劇場版『SRサイタマノラッパー』(09)で披露した「教育 金融 ブランニュー」という名曲があるが、クラブチッタでライブをやるには1曲だけでは間が持たない。できれば、その後の「SHO-GUNG」の歴史を感じさせる新しい曲がほしい。とはいっても、お世話になったTKDこと伝説のタケダ先輩は7年前に亡くなってしまった。新しい曲は誰に頼むか? TOMが創るのか? せっかく下北半島まで来ているんだから、恐山でイタコにタケダ先輩を呼び出してもらえばいいのに。天国からのライムは一体どんな味だろうか? そうこうしているうちに、午後3時となりカブラギ号が出発することに。MIGHTYは『SR1』の頃に着ていた懐かしいジャケットに着替えての旅立ちだ。まぁ、マグロのロゴが入った上着のままだとロックフィッシュバンド「漁港」の二番煎じになってしまうしな。だが、ここで気になるのは『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)でMIGHTYと同棲していた彼女・一美(斉藤めぐみ)の存在。東京で問題を起こしたMIGHTYと一緒に栃木へと流れ、刑務所を訪ねたこともある一美だが、大間にはいないらしい。福島の実家で、MIGHTYが迎えに来るのを今もずっと待っているのか。高倉健さん主演作『幸せの黄色いハンカチ』(77)みたいな展開が待っているのか。福島編が今からすごく気になる。 MIGHTYだけトラックの助手席に座り、IKKUとTOMは荷台へと閉じ込められるはめに。ふて腐れるIKKUだが、この最弱ダメダメコンビの唯一の長所はドン底にいる自分らの状況をラップよって相対化させることができるという点だ。社会から抑圧された黒人文化からジャズ、ソウル、ヒップホップが生まれ、日本の労働歌として民謡が育まれていったように、トラックの荷台で揺られるIKKUの口から自然と歌詞がこぼれ落ちていく。 IKKU「どこにあるんだ、俺たちのフリーダム。MIGHTYの野郎、助手席でズリぃーなぁ。寒いの上等、狭いの上等。SHO-GUNGの旅は三人旅~、ラップの道は曲がり道~♪」 ラップの即興性とみちのく旅情を感じさせる浪曲・演歌調の節回しをリミックスさせたメロディを口ずさむIKKU。何となくだが、新生「SHO-GUNG」の目指す方向性がぼんやりと見えてくる。そしてトラックの荷台には、メガネ中年・マキノとの結婚を嫌うトーコが密航者として潜んでいた。荷物の隙間から、つぶらな瞳をきょろつかせるトーコ。フランク・ヘネンロッター監督のカルト映画『バスケットケース』(82)のベリアル兄ちゃんみたいで超キュートだ。 クラブチッタでのライブ開催まで、2週間足らず。それまでに新生「SHO-GUNG」の新曲はできるのか。TOMの嫁トリーシャは埼玉でTOMの帰りをちゃんと待っているのか。MIGHTYの元カノ・一美の再登場はあるのか。そして、かねてより童貞の疑いが噂されているIKKUは晴れて童貞ラッパーから卒業することができるのか(ちなみに『男はつらいよ』の寅さんも素人童貞らしい)。それぞれの課題を抱え、甦った「SHO-GUNG」は遥か川崎クラブチッタを目指す。SFアニメ『宇宙戦艦ヤマト』のエンディングみたいでちょっとかっこいい。SHO-GUNGよ急げ、自分たちと埼玉の未来を懸けて。運命のライブまで残り13日! (文=長野辰次)テレビ東京系『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』番組サイトより
『孤独のグルメ Season6』第2話 「ご飯の劣勢は必至」豚バラ生姜焼き定食の恐るべき破壊力!
金曜深夜にやってくる究極の飯テロ番組『孤独のグルメ Season6』(テレビ東京系)。朝まで空腹を耐えることできるのか、視聴者の胃袋を攻撃しまくる番組は早くも第2話。今回は、どんな夜明けと共に出かけたくなる店を投入してくるのか……。 では、第2話「東京新宿区 淀橋市場の豚バラ生姜焼定食」の世界をレビューしていきましょう。 さて、ゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)がやってきたのは、新宿区大久保。前回は大阪の下町まで営業に出かけてたけど、今回もシブい街。個人で営む輸入雑貨商のゴローちゃん。今回は、カフェで始まる洋食器の展示会の什器一切を取り扱っている様子。けっこうな儲けなのではないでしょうか。 そんな将来性もある大口顧客が相手だからということでしょうか。朝も早くから、搬入だけでなく、あれこれとお手伝い。喫茶店主が、真中瞳……じゃなかった東風万智子ですから。まあ、美人は得ということか。 ひとまず仕事はやり終えて、時間はまさかの午前8時30分。「4時起きだったからな」と、やり遂げた感を語るゴローちゃん。え、喫茶店での会話で東風が「今日のイベントに間に合いそうです」と語っていたけど、ホント、ギリギリでの開店なのか……。大丈夫かな、この喫茶店。 ともあれ、そんな早朝から働いていれば、腹が減るのは当たり前。それも、ガッツリと減るに決まってます。 「モーニングのトーストじゃ物足りない。米、ごはん食べたい……」 一瞬「牛丼の店か……」と、簡単に済ませようと思ったゴローちゃん。でも、そんなゴローちゃんの目の前に現れたのは、新宿は淀橋市場。総武線の窓からも、ちょっと見えるアレです。 素直に「食堂はどこですか?」と聞けばよいのに、なぜか市場をウロウロと店を探して歩くゴローちゃん。見つけたのは市場内の食堂「伊勢屋」です。 「いかにも、市場の食堂……。この人たちも、今がまさに昼飯時」 ワクワクとはしながらも、パリっとスーツ姿で、少し座り心地の悪そうな感じもしているゴローちゃん。未知の世界といえる市場食堂は、すべてが珍しい様子。ちょっとしたことにも感動です。メニュー表のライスの増減の値段を見ただけで、こんなセリフ。 「50円引き……増しと引きがあるのか」 そして、この食堂はメニューの数もたくさん。定番メニューに日替わりメニュー。固定のものとは別に黒板にもズラりとメニューが。定食だけでなく副菜もいっぱい。 そんな「溜め」のシーンの連続によって、ゴローちゃんの胃袋は一気に拡大しているのでしょう。 「アジフライにも惹かれるけど、今は労働後の肉。プラス小鉢の連打だな」 かくて、最初の注文は、豚バラ生姜焼き定食、納豆と竹の子の土佐煮、明太子、トマトの酢漬け……。 でも、ここで、ご飯は丼に普通盛りで注文してしまうゴローちゃん。ダメだよ、ゴローちゃんが普通盛りで耐えきれるわけがないではありませんか! それに、豚バラ生姜焼き定食は『孤独のグルメ』においては、忘れ得ぬメニュー。記念すべき原作第1話で、ゴローちゃんが豚汁とかぶったことを、ちょっと後悔しつつもモリモリ食べた、アレです。 こうなると視聴者視点では「さあ、くるぞ、くるぞ……」しかないではありませんか。 ここでまた、生姜焼きの出来上がっていくシーンを挿入するという、とんでもない飯テロ。制作陣は悪魔ですか……。 そうして、定食+小鉢の群れがやってきました。 「あららら……朝からすごいことになっちゃったな」 その一言と共に始まる、ゴローちゃんの名言劇場。 「おお、質実剛健。空腹にズバっと応えるパンチと香り」 「やっぱり、豚バラ生姜焼定食は定食界でも別格だな」 「この時期、タケノコの文字を見ると条件反射的に頼んじまう。四季のあるニッポン、旬のあるシアワセ……」 「味噌汁もいいじゃないか、ここ、ホントに誠実な店だ」 「この店の小鉢は、ちゃんと小鉢然とした量でうれしい」 「このサイズで、この破壊力。ご飯の劣勢は必至」 ここで、ゴローちゃん。豚バラの利点を生かして、メシの巻き食いを始めます。こんなことしたら、もうご飯が足りるはずもありません。 「付け合わせのキャベツも、この店では立派なごちそうだ」 そして、いよいよ手をつけたトマトの酢漬け。ああ、ここで酢の物を入れたら食欲がさらに増大するのは必至。 「最高だ……9時3分の食堂で生姜焼定食の充実」 「ううむ、うまい。生姜焼きのタレをつけたキャベツ。これは名も無きひとつの料理だ」 そして感動と共にやってくるのは、満腹ではなくコンティニュー。 「食べながら考えていたんだ。納豆を食うタイミング。大丈夫、この店にはあの手がある」 そして来た! ご飯のおかわり、茶碗の八分目。 ついに上着を脱いで、まくり食いに突入するゴローちゃん。納豆は、とにかくよくかき混ぜる派のようで、執拗に混ぜ続けるのです。 「白飯と相思相愛、地味だがしっかりと仕事する納豆は朝ご飯に欠かせない名脇役だ」 かくて、最後に1枚だけ残した豚バラを口に運ぶときに飛び出す一言……。 「街の食堂がなくなっている今どきに、こんな定食が食べられるシアワセ」 ああ、まさにその通り。筆者の近所も相次いで食堂が消滅。牛丼屋とオシャレカフェになってしまい、食生活は悪化の一途。きっと、多くのみなさんが同じ思いを抱いているでしょう。 誰か、志ある人が昔ながらの食堂を始めてくれないかなあ。そんな働く者に優しい世界の実現を夢想してしまう、第2話でした。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第2話 人生のリセットの仕方がどうにも分かりません!
何ひとつままならない人生を過ごしてきた中で、ほんの一瞬だけ自由を味わい、大きな夢にちょっぴり近づけたような気がした幸せな時間があった。埼玉で生ぬるい青春を送ってきたIKKU、TOM、MIGHTYの3人にとって、その一瞬とは「SHO-GUNG」としてラップをやっているときだった。死ぬほどヘタクソだったけど、3人でラップの掛け合いをしているときだけは埼玉を離れ、東京やNYの一流クラブのステージに立ったような恍惚感を味わっていた。でもそんな夢は長くは続かない。現実世界に身の置きどころを懸命に求めようとする年下のMIGHTY。引っ込みがつかず、どこまでも我が道を進もうとするIKKU。生まれてくる子どものために、青春時代にくさびを打ちたいTOM。夢と現実との狭間でもがき続ける3人の再会ドラマとしてスタートした『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』の第2話。今回は長回しのラップシーンが複数回ある、見逃せない豪華編だ。 前回、3週間後に迫った川崎クラブチッタのライブイベントに「SHO-GUNG」として立つために、かつて仲間だったMIGHTY(奥野瑛太)を連れ戻そうと青森県大間町までやってきたIKKU(駒木根隆介)とTOM(水澤紳吾)。スナックでMIGHTYを見つけたまでは良かったが、MIGHTYの放ったみぞおちへのパンチ一発で簡単にKOされるTOM。目も当てられないほどの弱々しさがTOMという男のいちばんの魅力でもある。TOMの美人妻トリーシャ(コトウロレナ)がTOMのもとを去っていくシーンから第2話は始まる。 「ラッパーになれないTOMはTOMじゃない。一度くらいライブを見てみたかったよ。昔は好きだったよ~」とカタコトの日本語で別れの言葉を告げるトリーシャ。ハッと気がつくと、そこはスナックを営む咲子(安藤玉恵)とトーコ(山本舞香)母娘の自宅。TOMが見たただの夢だったのか、TOMのリアルな記憶なのか、今後の伏線になりそうな気になる1シーンだ。しかし、第1話ではTOMたちをカツアゲしていたトーコが、気を失ったTOMを介抱して自宅に泊めるとは。東北人は口数は少ないけど、けっこー気立てはよかったりする。トーコもそんな下北ギャル(下北半島ギャル)らしい。 大間崎の観光ガイドとして、おばちゃんたちを相手にマメマメしく働くMIGHTY 。実家でのほほんと暮らしているIKKUに比べ、確実に苦労人だ。そんなMIGHTYを口説くよりも、食欲が勝るIKKU。同じくテレビ東京系の深夜ドラマ『孤独のグルメ』の視聴者を取り込もうという狙いなのか、第1話の「二色丼」に続いてIKKUの食レポシーンが描かれる。マグロの“ノド”は一匹からひとつしか取れない貴重な部位。そんなレア肉を2本続けて喰うIKKU。所持金の残高を気にして、せっかくのマグロ料理を楽しめないTOM。そこへまた例のトラック運転手(皆川猿時)が現われ、「メシを食うときはサングラスぐらい外せ」と至極まっとうな正論で説教を垂れる。『孤独のグルメ』の主人公・井之頭五郎なら「モノを食べるときはね、誰にも邪魔されず、自由で何というか救われてなきゃダメなんだ」と助け舟を出すところだが、横にいるTOMはペコペコと頭を下げるばかり。でぶラッパー 負けるな一茶 ここにあり。『マイクの細道』ということで、つい一句詠んでしまいました。 気分直しに港で即興ラップに興じるIKKUとTOM。海沿いを歩く2人と並行してカメラがドリー移動する前半の決めシーンだ。 IKKU「埼玉から青森経由 すべての道はドリームに通じている 周回遅れからの集大成。グンググーンとまだ伸びたいぜ。ショーグン、ショーグン♪」 カモメが舞う本州最北端の岬で、津軽海峡に向かってコール&レスポンスを求めるIKKUとTOM。海のない埼玉育ちの2人にとって、今回のみちのく旅が特別な意味を持つことを感じさせる名シーンとなっている。 日が暮れてIKKUとTOMがトーコの自宅に戻ると、トーコと咲子は親子ゲンカの真っ最中。スナックの常連客・マキノ(杉村蝉之介)と結婚して、スナックを継ぐことを母親から一方的に決められているトーコだが、「あんなヤツと結婚するより風俗で働くほうがまし」と捨て台詞を吐く。二階堂ふみ似のちょい小生意気なトーコが勤める風俗店!! お店で働くことになったら、ぜひ店名を教えてほしい。 娘の抵抗に遭い、気が立っている咲子に頭を下げて「もう一晩泊めてください」と頼み込むIKKUとTOM。2人はどこまでも情けない。宿泊費代わりにIKKUたちはスナックのボーイを勤めることに。現在はガールズバーで、かつてはおっぱいパブで働いていたこともあるTOMは妙にボーイ姿が似合い、逆に物哀しさを感じさせる。マキノたちスナックの客に煽られて、店内でラップをやらせられるIKKUとTOM。魂のリリックを放つはずの2人のラップが、場末のスナックに出てくる薄い焼酎のお湯割りのようにうらぶれたものへと墜ちていく。「はたらけどはたらけど わが生活楽にならざり ぢっと手を見る」と詩を詠んだ石川啄木は青森県のお隣・岩手県の出身だ。ちなみに大間崎には石川啄木の歌碑がある。26歳という短い生涯を金欠と職探しで悩み続けた明治時代の有名詩人と平成時代を生きる無名ラッパーとの哀しみがテレビ画面でクロスする。 酔客たちを相手に醜態をさらすIKKUとTOMにいたたまれず、店内へと飛び込んできたのがMIGHTYだった。「なめんなラップを、なめんなヒップホップ」と2人をディスるMIGHTY。まともな会話を交わすことができずにいた3人だが、不思議なことにラップだと言葉が勝手に口から溢れ出してくる。東京で人気ヒップホップグループ「極悪鳥」のパシリを務め、栃木では裏ビジネスに従事し、さらには刑務所暮らしも経験しているMIGHTYは「いつだって余裕 いつだって行く 今日だって行く」とIKKUたちに対し上から目線のラップで圧倒するが、IKKUたちと掛け合っているうちに歌詞が「二巡目スタート 今日だっていく 今日いく きょういく……教育 金融 ブランニュー」と劇場版第1作『SRサイタマノラッパー』の公民館ライブで披露した「SHO-GUNG」の大ヒットナンバー「教育 金融 ブランニュー」へと繋がっていくではないか。 IKKUたちを残して東京へ行っても、裏社会の住人になっても、刑務所に入っても、MIGHTYの心の奥には3人でやった公民館ライブの記憶がずっと息づいていた。一瞬だけテレビ画面に映る、『SR1』の公民館ライブ。あの頃、怖いもの知らずの大バカものだった「SHO-GUNG」の若き日の姿に、こちらの涙腺も刺激されてしまう。 スナックから逃げ出し、夜の海岸へと走っていくMIGHTY。北国の小さな町で地に足を着けて働こうとしていたけれど、「SHO-GUNG」の一員としてTOMやIKKUたちと曲づくりに夢中になっていた日々が忘れられずにいた。そんなMIGHTYを追いかけるTOMとIKKU。暗い夜の海に向かって「お前ら本気でクラブチッタのステージに立つつもりか? 無理だよ無理。チャレンジ枠? そんな枠、この世にはねーよ」と呟くMIGHTY。10年間ラップをやっても芽が出なかったことはIKKUもTOMも充分自覚している。ここでIKKUがメタボ体型の全身の脂を絞り出すかのような悲痛な台詞を吐き出す。 IKKU「オレら、最後に何かカマせねぇとどうやってリセットしていいのか、これからの人生わかんねぇんだよ」 人生のリセットの仕方に手慣れた人なんてどこにもいないし、他人に教えてもらうものでもない。自分自身の手で身を持って体験するしかない。世界で通用するようにと10年前に命名されたグループ名「SHO-GUNG」だったが、その名前は国内はおろか埼玉県内にも轟くことはなかった。完璧なネーミング負けだった。それなら、せめて自分たちの手で「SHO-GUNG」に引導を渡すしかない。 MIGHTY「どうせ、もうなぁんもねぇんだぁ……。最後にやるか、SHO-GUNG再結成。締めくくりやってやるよ、あー!?」 それぞれの青春に墓標を建てるため、IKKU、TOM、そしてMIGHTYはクラブチッタのステージを目指すことになった。ドラマ2週目でこの熱さ、クライマックスは一体どれだけ盛り上がるのだろうか? (文=長野辰次)テレビ東京系『SRサイタマノラッパー マイクの細道』番組サイトより
『孤独のグルメ Season6』第1話 スカした東京人どもの胃袋の常識を変えてやる!? お好み焼きは、ごはんのおかず
今シーズンの放送を前に、作画の谷口ジロー先生が亡くなられました。いまや、谷口先生の代表作のひとつとなった『孤独のグルメ』。 でも、最初に依頼が来たときには「なぜ、私に……」と思ったそうです。実際、掲載誌の「月刊PANjA」(扶桑社)は、まったく売れずに休刊。その後、同社から単行本は出たものの、まさか21世紀になって、こんな人気を得るとは誰が予想できたでしょうか。 かくて、空前の飯テロによって、世間にさらなる「孤独のグルメ実践者」を増殖させているテレビ東京のドラマも、いよいよ第6シーズン。いったい、どんな哀愁とうまいメシが待っているのか。 お待ちかね、第1話のタイトルは…… 「大阪府 美章園のお好み焼き定食と平野の串かつ」 です。 今回の冒頭、ゴローちゃん(松重豊)がやってきたのは大阪。それも、梅田ではなく、ディープな通天閣のたもとです。原作において、大阪は鬼門。大阪の独特のノリについていくことができず、ひたすら孤独を感じながら、タコ焼きをモグモグと食べるしかないゴローちゃんを、皆さんもよく覚えていることでしょう。 しかし、それはすでに過去の出来事なのか。松重ゴローちゃんは、食い倒れの街に大いに期待を寄せています。 ですが、簡単にモグモグ満足させてくれないのが、このドラマ。声をかけてきた客引きのお兄さんの案内で、首尾よくメシにありつけるかと思いきや、携帯電話が。 メシを食べたいときに邪魔されてしまう。フラストレーションは募ります。とはいえ、そのへんでささっと立ち食いうどんでもすすったりしないのがゴローちゃん。もはや遺伝子レベルで、空腹こそが最高の調味料と理解しているのか? 突然、電話でアポの時間を変更してきたお客は、旧知の不動産屋。モデルルームに置く調度品のために、わざわざ、東京からゴローちゃんを招いたのです。 「大事な仕事やから、ゴローさんに頼んでるんやないんですか~」 という不動産屋の「こっちは、お好み焼きをおかずにメシを食いますわ~」の一言に、ゴローちゃんは「ムリムリ」と渋い顔。これ、なんてフラグなんでしょうか? ともあれ、北海道生まれの彼を大阪人にしてしまう地域のパワーに感慨を覚えながら歩いていると、突然思い出すのは空腹。かくて、ゴローちゃんの店探しがスタートです。 そして、入るのはお好み焼き屋。決め手は、枯れたのれんに「風流美味」と書かれているところ……。 客が勝手に取るおしぼりが紅白なのも新鮮に見えるゴローちゃんは、さっそくの名言。 「初めて来たのに懐かしい。これは……本物の店だぞ」 王道の豚玉にしようかと考えたゴローちゃん。隣の席に運ばれてくるのは、豚玉の定食。いまだ、驚きは隠せませんが「こんな店に入れたんだから……」と、大阪人の味覚に果敢に挑戦します。それにしても「こんな店」と言ってしまうゴローちゃんの洗練された東京人らしさが面白いです。 そんなお好み焼き屋で、昼間っから飲んでいるのは、池乃めだか師匠ではありませんか! ゴローちゃん、めだか師匠に「兄ちゃん、背え高いな~」と突っ込まれますが、「どっかから声がするけど、どこや~」とは返せません。 さて、運ばれてきた定食。「関東人には理解不能」と覚悟を決めながらも、なおも違和感を隠せないゴローちゃん。恐る恐る小手でマヨネーズを広げます。ここで今日2度目の名言。 「小手づかいで大事なのは、思い切りだ」 口に運べば、お好み焼きは美味。「これだけでいいじゃないか」と言いつつも、大阪スタイルを試すゴローちゃん。「意外にいいかも!」と、一口で気に入ります。「もしかすると、俺の身体の中には大阪人のDNAがある」んじゃないかと、うまいモノの前には一瞬で世界が変わるゴローちゃんです。 いよいよスイッチが入ったゴローちゃん。こうなると貪欲な胃袋は止まりません。続いては焼きそばに挑戦。まずはミックスとデラックスの違いを聞くところから。ミックスは、豚にイカとエビ。デラックスはそこに貝柱も入っているというわけです。そして怒濤の名言。 「このソースのにおい、なんと暴力的な。お好み焼きを食ってなかったら即死だ!」 「大阪ソースの催眠術か、また腹が減ってきたぞ」 「デラックスだ、遠慮なくデラックスにいこう」 半熟目玉焼きを麺に絡め取って狂喜するゴローちゃん。さんざん語っているのに「この店の焼きそばのおいしさは、俺のような一見の客に語れるものではない……」と。いくら語っても、食の前には謙虚なのが、ゴローちゃんと山岡士郎の大きな違いです。そして、まだ止まらない名言。 「きっと、東京に戻ってから、強烈に食べたくなるに違いない」 お好み焼き定食に焼きそばを食べながらも、まだ、終われないゴローちゃん。続いては、「たこねぎ」の小をしょうゆ味で挑みます。ソースとは違うしょうゆのおいしさに流れる音楽もノリノリ。半分は一味をぶっかけ「なるほど、こうなるか」と、さらにモグモグは続きます。 「ハマる人はハマるなあ、俺も今日から、この一味」 かくて、お好み焼きに始まる「炭水化物トライアスロン」を食い倒れずに完走した達成感を得るゴローちゃん。すっかり、大阪の食文化に胃袋を支配され尽くしたのであります。 さんざん食べて今日も終了かと思いきや「さて、もうひと仕事」と言いだすゴローちゃん。満腹かつ、ソースのにおいをコートに染みこませて商談に向かうのも平気なのが素敵です。 で、2軒目の商談は町場のパーマ屋さん。個人経営なのに、なんとクライアントの幅の広いことか。小商いでも、わざわざ出張してきてくれるフットワークの軽さが信用なのでしょうか。 商談を終えて「さあ東京に戻るか」とつぶやくゴローちゃん(日帰り?)。だが、その目に飛び込んで来たのは「串カツ、どて焼き」と書かれた屋台。「やり残していることがあった」と、当たり前のように足は動き出すのです。 そしてCM明けは、油のはじける音から。 「串カツのウスターソースは、大阪人の血液だ」 屋台なのに具材が多いという大阪ならではの光景に、もはやゴローちゃんの胃袋はブラックホールとなります。 ヒレ肉ならぬヘレ肉、ニラ巻き。紅生姜。紅生姜の揚げたのが、ソースに合うという新発見に、さらにゴローちゃんが加速するのは当然です。 そして、ここで挿入されるのが飲み物のセレクト。 「ここはウーロン茶じゃないな、油ものには炭酸だ」 飲み物は店ではなく傍の自販機で買ってくれという、屋台ならではのスタイル。サイダーを流し込めば、さらに新たなステージへ。どて焼きは、2本注文。入ってきた親子連れ……じゃなくて、元阪神の下柳剛に引きずられるように、コンニャクも。 「なんだか、初めて大阪の懐に潜り込めた気がする」 と、感動は無限の食欲へと続くのでありました……。 初回から炭水化物でトライアスロンと思いきや、まさかの延長戦まで完走した第1話。 ますます盛んな松重ゴローの胃袋は、深夜の飯テロどころか、核弾頭のごとく視聴者に攻め込んできます。21世紀になり、少しは知れ渡った感もありますが、まだまだ東京では、お好み焼きをおかずにご飯というのは、奇人扱いされているフシがありました。でも、このトライアスロンによって、「お好み焼きには、ご飯と味噌汁」は、もはや常識になるのではないでしょうか。 お好み焼きは、間違いなくご飯のおかずです。 毎朝毎晩、お経のように唱えて実践し、この常識を普及させてほしいものです。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ season6』番組サイトより
『孤独のグルメ Season6』第1話 スカした東京人どもの胃袋の常識を変えてやる!? お好み焼きは、ごはんのおかず
今シーズンの放送を前に、作画の谷口ジロー先生が亡くなられました。いまや、谷口先生の代表作のひとつとなった『孤独のグルメ』。 でも、最初に依頼が来たときには「なぜ、私に……」と思ったそうです。実際、掲載誌の「月刊PANjA」(扶桑社)は、まったく売れずに休刊。その後、同社から単行本は出たものの、まさか21世紀になって、こんな人気を得るとは誰が予想できたでしょうか。 かくて、空前の飯テロによって、世間にさらなる「孤独のグルメ実践者」を増殖させているテレビ東京のドラマも、いよいよ第6シーズン。いったい、どんな哀愁とうまいメシが待っているのか。 お待ちかね、第1話のタイトルは…… 「大阪府 美章園のお好み焼き定食と平野の串かつ」 です。 今回の冒頭、ゴローちゃん(松重豊)がやってきたのは大阪。それも、梅田ではなく、ディープな通天閣のたもとです。原作において、大阪は鬼門。大阪の独特のノリについていくことができず、ひたすら孤独を感じながら、タコ焼きをモグモグと食べるしかないゴローちゃんを、皆さんもよく覚えていることでしょう。 しかし、それはすでに過去の出来事なのか。松重ゴローちゃんは、食い倒れの街に大いに期待を寄せています。 ですが、簡単にモグモグ満足させてくれないのが、このドラマ。声をかけてきた客引きのお兄さんの案内で、首尾よくメシにありつけるかと思いきや、携帯電話が。 メシを食べたいときに邪魔されてしまう。フラストレーションは募ります。とはいえ、そのへんでささっと立ち食いうどんでもすすったりしないのがゴローちゃん。もはや遺伝子レベルで、空腹こそが最高の調味料と理解しているのか? 突然、電話でアポの時間を変更してきたお客は、旧知の不動産屋。モデルルームに置く調度品のために、わざわざ、東京からゴローちゃんを招いたのです。 「大事な仕事やから、ゴローさんに頼んでるんやないんですか~」 という不動産屋の「こっちは、お好み焼きをおかずにメシを食いますわ~」の一言に、ゴローちゃんは「ムリムリ」と渋い顔。これ、なんてフラグなんでしょうか? ともあれ、北海道生まれの彼を大阪人にしてしまう地域のパワーに感慨を覚えながら歩いていると、突然思い出すのは空腹。かくて、ゴローちゃんの店探しがスタートです。 そして、入るのはお好み焼き屋。決め手は、枯れたのれんに「風流美味」と書かれているところ……。 客が勝手に取るおしぼりが紅白なのも新鮮に見えるゴローちゃんは、さっそくの名言。 「初めて来たのに懐かしい。これは……本物の店だぞ」 王道の豚玉にしようかと考えたゴローちゃん。隣の席に運ばれてくるのは、豚玉の定食。いまだ、驚きは隠せませんが「こんな店に入れたんだから……」と、大阪人の味覚に果敢に挑戦します。それにしても「こんな店」と言ってしまうゴローちゃんの洗練された東京人らしさが面白いです。 そんなお好み焼き屋で、昼間っから飲んでいるのは、池乃めだか師匠ではありませんか! ゴローちゃん、めだか師匠に「兄ちゃん、背え高いな~」と突っ込まれますが、「どっかから声がするけど、どこや~」とは返せません。 さて、運ばれてきた定食。「関東人には理解不能」と覚悟を決めながらも、なおも違和感を隠せないゴローちゃん。恐る恐る小手でマヨネーズを広げます。ここで今日2度目の名言。 「小手づかいで大事なのは、思い切りだ」 口に運べば、お好み焼きは美味。「これだけでいいじゃないか」と言いつつも、大阪スタイルを試すゴローちゃん。「意外にいいかも!」と、一口で気に入ります。「もしかすると、俺の身体の中には大阪人のDNAがある」んじゃないかと、うまいモノの前には一瞬で世界が変わるゴローちゃんです。 いよいよスイッチが入ったゴローちゃん。こうなると貪欲な胃袋は止まりません。続いては焼きそばに挑戦。まずはミックスとデラックスの違いを聞くところから。ミックスは、豚にイカとエビ。デラックスはそこに貝柱も入っているというわけです。そして怒濤の名言。 「このソースのにおい、なんと暴力的な。お好み焼きを食ってなかったら即死だ!」 「大阪ソースの催眠術か、また腹が減ってきたぞ」 「デラックスだ、遠慮なくデラックスにいこう」 半熟目玉焼きを麺に絡め取って狂喜するゴローちゃん。さんざん語っているのに「この店の焼きそばのおいしさは、俺のような一見の客に語れるものではない……」と。いくら語っても、食の前には謙虚なのが、ゴローちゃんと山岡士郎の大きな違いです。そして、まだ止まらない名言。 「きっと、東京に戻ってから、強烈に食べたくなるに違いない」 お好み焼き定食に焼きそばを食べながらも、まだ、終われないゴローちゃん。続いては、「たこねぎ」の小をしょうゆ味で挑みます。ソースとは違うしょうゆのおいしさに流れる音楽もノリノリ。半分は一味をぶっかけ「なるほど、こうなるか」と、さらにモグモグは続きます。 「ハマる人はハマるなあ、俺も今日から、この一味」 かくて、お好み焼きに始まる「炭水化物トライアスロン」を食い倒れずに完走した達成感を得るゴローちゃん。すっかり、大阪の食文化に胃袋を支配され尽くしたのであります。 さんざん食べて今日も終了かと思いきや「さて、もうひと仕事」と言いだすゴローちゃん。満腹かつ、ソースのにおいをコートに染みこませて商談に向かうのも平気なのが素敵です。 で、2軒目の商談は町場のパーマ屋さん。個人経営なのに、なんとクライアントの幅の広いことか。小商いでも、わざわざ出張してきてくれるフットワークの軽さが信用なのでしょうか。 商談を終えて「さあ東京に戻るか」とつぶやくゴローちゃん(日帰り?)。だが、その目に飛び込んで来たのは「串カツ、どて焼き」と書かれた屋台。「やり残していることがあった」と、当たり前のように足は動き出すのです。 そしてCM明けは、油のはじける音から。 「串カツのウスターソースは、大阪人の血液だ」 屋台なのに具材が多いという大阪ならではの光景に、もはやゴローちゃんの胃袋はブラックホールとなります。 ヒレ肉ならぬヘレ肉、ニラ巻き。紅生姜。紅生姜の揚げたのが、ソースに合うという新発見に、さらにゴローちゃんが加速するのは当然です。 そして、ここで挿入されるのが飲み物のセレクト。 「ここはウーロン茶じゃないな、油ものには炭酸だ」 飲み物は店ではなく傍の自販機で買ってくれという、屋台ならではのスタイル。サイダーを流し込めば、さらに新たなステージへ。どて焼きは、2本注文。入ってきた親子連れ……じゃなくて、元阪神の下柳剛に引きずられるように、コンニャクも。 「なんだか、初めて大阪の懐に潜り込めた気がする」 と、感動は無限の食欲へと続くのでありました……。 初回から炭水化物でトライアスロンと思いきや、まさかの延長戦まで完走した第1話。 ますます盛んな松重ゴローの胃袋は、深夜の飯テロどころか、核弾頭のごとく視聴者に攻め込んできます。21世紀になり、少しは知れ渡った感もありますが、まだまだ東京では、お好み焼きをおかずにご飯というのは、奇人扱いされているフシがありました。でも、このトライアスロンによって、「お好み焼きには、ご飯と味噌汁」は、もはや常識になるのではないでしょうか。 お好み焼きは、間違いなくご飯のおかずです。 毎朝毎晩、お経のように唱えて実践し、この常識を普及させてほしいものです。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ season6』番組サイトより
『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第1話 あの号泣メ~ンがテレ東の深夜に帰ってきた!!
SHO-GUNG
市民税はらってねぇ、国民年金はらってねぇ♪ 埼玉が生んだ偉大なるラップグループ「SHO-GUNG」の過激なリリックがテレビから流れてくる。『SRサイタマノラッパー』(09)を心のバイブルにしてきた人間にとっては感動の瞬間だ。超低予算なインディーズ映画『SRサイタマノラッパー』が連続ドラマ化され、地上波テレビでオンエアされる日がくるとは夢にも思わなかった。『SRサイタマノラッパー』のヒロイン・みひろが、『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10)での女子ラッパーたちとの対決シーンが、そして『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)で刑務所に収監されたMIGHTYがIKKUとTOMに別れを告げるエンディングが……。劇場版北関東三部作の名場面が次々と映し出されるオープニングに、思わず胸の奥が熱くなる金曜の深夜だった。 劇場版『SRサイタマノラッパー』を観てない人にとっては、「えっ、このデブとネズミ男がドラマの主人公なの?」と首を傾げることしきりだろう。いや、そのまさかです。このグラサンデブIKKU(駒木根隆介)とネズミ男風のTOM(水澤紳吾)がライブハウスもCDショップもない埼玉の田舎町でラップグループ「SHO-GUNG」を結成し、エミネムやカニエ・ウェストみたいに音楽の世界でのし上がろうという夢物語を描いたのが『SRサイタマノラッパー』。この2人に年下のMIGHTY(奥野瑛太)を加えてライブデビューを目指したものの、自分たちの中に歌にしたいテーマが見つからず、どんよりとした現実により苦しむはめに。 地方都市在住者の生ぬるいがゆえのしんどさに加え、日大芸術学部映画学科を卒業したものの思うように映画が撮れずに30歳を迎えようとしていた入江悠監督の「この映画が失敗したら、もう映画の道は諦める」という追い詰められた心情がリアルに投影された『SR1』は、入江監督と同じようにバイトやニート生活を悶々と送っていた若者たちのハートを直撃。低予算の自主映画ながら、口コミ&ネットで火が点き、全国の単館系映画館でロングランヒットするという奇跡が起きた。このヒットに入江監督は自信を得て、山田真歩&安藤サクラらを主演に迎えた群馬編『SR2』、IKKUたちと別れたMIGHTYが裏社会へ身をやつしていく栃木編『SR3』と“北関東三部作”としてシリーズ化されていった。 劇場版三部作の成功で入江監督はインディーズドリームの体現者となり、『日々ロック』(14)や『ジョーカー・ゲーム』(15)、『太陽』(16)といったメジャー映画を任されていく。いわば、入江監督は地方在住のニートやフリーターたちの“希望の星”となったわけだ。『SR2』の公開時には、各都道府県をIKKUたちがラップ行脚する全国制覇の夢を語っていた入江監督。そんな途方もない夢がTVシリーズ化されたことで、グンググーンと現実味を帯びてきたではないか。夢をただの夢で終わらせないなんて、入江監督やっぱりあんたはカッケーよ!! さて肝心の『SRサイタマノラッパー マイクの細道』第1話。IKKUが昼まで寝ていると、『SR1』で声でしか存在が認められなかった妹が登場。妹・茉美は兄宛てに手紙が届いたことを知らせる。何と「SHO-GUNG」が川崎のクラブチッタで開かれるライブイベントの前座に抽選で選ばれたことを記した手紙だった。狂喜するIKKU。だが、我々視聴者はもっと驚いた。チラッとしか映らなかった妹・茉美だが、人気グラビアアイドルの柳ゆり菜ではないか。あのデブラッパーに、こんなかわいい妹がいたとは! IKKU役の駒木根はDVDが絶賛レンタル中の『愛の渦』(14)で大胆なベッドシーンを演じたが、駒木根の汗まみれの裸体と柳ゆり菜の巨乳が揺れるセクシー水着グラビアが頭の中でマッシュアップして仕方ない。まぁ、それは置いておこう。さらに驚いたのは地元の性風俗店で働いていたTOMに奥さんがいたということ。しかも、かなり美人で性格もよさげな外国人妻・トリーシャ(コトウロレナ)だ。連ドラならではの意外性のある展開から目が離せない。 クラブチッタに出演するために「SHO-GUNG」を再結成しようと鼻息荒く持ち掛けるIKKUに対し、「嫁がいるし、子どもも産まれるから」と辞退するTOM。このシーン、第1話の見どころです。『SR1』のラストのように熱いラップでTOMの心に呼び掛けるIKKU。まだ「SHO-GUNG」は一度もクラブデビューを果たしていない。『SR1』では公民館で曲を披露して大恥を掻き、『SR3』では野外フェスのステージに立ったものの、絶妙のタイミングでMIGHTYが騒ぎを起こしてライブは中断してしまった。一度でいいから、きちんとライブをやって、中途半端な青春にケジメをつけよう。それが連ドラ版『SR』のテーマだ。 夢を見ている時間は楽しいけれど、ふと現実に立ち返ると帰り道がもうないことに気づいてしまう。夢を追い掛け続けることは両刃の剣のような恐ろしさがある。IKKUのラップに耳を塞さぎ、「もう地獄に戻さないでよ。この悪魔!」と罵るTOM。「もう終わったの、俺の青春。もう戻れないって、あの興奮」。普段はボケキャラのくせに「あっ、いま韻踏んだ」と冷静に指摘するIKKU。かくして、超かっこいいオープニング映像を挟んで、伝説のラップグループ「SHO-GUNG」は再始動することに。そして、一時期メンバーだったものの、姿を消したMIGHTYを探し出してクラブチッタのステージに立つことを2人のラッパーは目指す。 ブロッコリー農家のMIGHTY宅を久しぶりに訪ねるIKKUとTOM。『SR3』で傷害事件を起こして刑務所送りとなったMIGHTYだが、実家のお母さんに聞くとすでに出所しており、今は青森県大間町にいるらしい。ずっと姿を見せない息子のことを心配するMIGHTYの母親から交通費5万円をちゃっかり預かって、MIGHTYを実家に連れ戻すことを請け負うIKKU。埼玉から東京には一度も上京したことのないIKKUとTOMだが、東京以外の地方へ出向く分にはフットワークが軽い。ヒッチハイクでうまいこと本州の最北端・大間に辿り着いたIKKUとTOMは地元名物のマグロ料理店でデブの運転手(皆川猿時)に睨まれ、海岸では青森弁の地元ギャル・トーコ(山本舞香)にいちゃもんを付けられ5,000円をカツアゲされるはめに。それでも、偶然入ったスナックでMIGHTYにばったり遭遇するという非常に都合のいい第1話の幕切れだった。 3週間後に迫ったクラブチッタでのライブに間に合うよう、MIGHTYを連れ戻すことが超頼りないこの2人にできるのか。気性の荒いトラックの運転手と、スナックに通い詰めるメガネ中年(杉村蝉之介)から結婚を迫られているトーコを巻き込んで東北道を南下するロードムービーとなっていきそうだ。ちょっと気になるのは、一行は東北最大の都市・仙台で途中下車するかどうか。仙台は入江監督にとって、トラウマシティとして記憶されている街。『SR1』でブレークする前、長編デビュー作『ジャポニカ・ウイルス』(06)を完成させた入江監督は仙台の上映会でお披露目しているが、上映後の質疑応答の際に司会者と会場の観客たちから酷評されまくり、精神的にボコボコにされた体験がある。そのときの苦い記憶は『SR1』の公民館ライブでIKKUたちが吊るし上げられるシーンとして再現されており、いわば『SR』シリーズを生み出す言動力ともなった因縁の街である。「SHO-GUNG」のクラブチッタでのライブデビューはもちろん、入江監督が自分自身の20代の頃のトラウマにどうオトシマエを付けるかにも注目したい。 (文=長野辰次)テレビ東京系『SRサイタマノラッパー マイクの細道』番組サイトより
『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第1話 あの号泣メ~ンがテレ東の深夜に帰ってきた!!
SHO-GUNG
市民税はらってねぇ、国民年金はらってねぇ♪ 埼玉が生んだ偉大なるラップグループ「SHO-GUNG」の過激なリリックがテレビから流れてくる。『SRサイタマノラッパー』(09)を心のバイブルにしてきた人間にとっては感動の瞬間だ。超低予算なインディーズ映画『SRサイタマノラッパー』が連続ドラマ化され、地上波テレビでオンエアされる日がくるとは夢にも思わなかった。『SRサイタマノラッパー』のヒロイン・みひろが、『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10)での女子ラッパーたちとの対決シーンが、そして『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)で刑務所に収監されたMIGHTYがIKKUとTOMに別れを告げるエンディングが……。劇場版北関東三部作の名場面が次々と映し出されるオープニングに、思わず胸の奥が熱くなる金曜の深夜だった。 劇場版『SRサイタマノラッパー』を観てない人にとっては、「えっ、このデブとネズミ男がドラマの主人公なの?」と首を傾げることしきりだろう。いや、そのまさかです。このグラサンデブIKKU(駒木根隆介)とネズミ男風のTOM(水澤紳吾)がライブハウスもCDショップもない埼玉の田舎町でラップグループ「SHO-GUNG」を結成し、エミネムやカニエ・ウェストみたいに音楽の世界でのし上がろうという夢物語を描いたのが『SRサイタマノラッパー』。この2人に年下のMIGHTY(奥野瑛太)を加えてライブデビューを目指したものの、自分たちの中に歌にしたいテーマが見つからず、どんよりとした現実により苦しむはめに。 地方都市在住者の生ぬるいがゆえのしんどさに加え、日大芸術学部映画学科を卒業したものの思うように映画が撮れずに30歳を迎えようとしていた入江悠監督の「この映画が失敗したら、もう映画の道は諦める」という追い詰められた心情がリアルに投影された『SR1』は、入江監督と同じようにバイトやニート生活を悶々と送っていた若者たちのハートを直撃。低予算の自主映画ながら、口コミ&ネットで火が点き、全国の単館系映画館でロングランヒットするという奇跡が起きた。このヒットに入江監督は自信を得て、山田真歩&安藤サクラらを主演に迎えた群馬編『SR2』、IKKUたちと別れたMIGHTYが裏社会へ身をやつしていく栃木編『SR3』と“北関東三部作”としてシリーズ化されていった。 劇場版三部作の成功で入江監督はインディーズドリームの体現者となり、『日々ロック』(14)や『ジョーカー・ゲーム』(15)、『太陽』(16)といったメジャー映画を任されていく。いわば、入江監督は地方在住のニートやフリーターたちの“希望の星”となったわけだ。『SR2』の公開時には、各都道府県をIKKUたちがラップ行脚する全国制覇の夢を語っていた入江監督。そんな途方もない夢がTVシリーズ化されたことで、グンググーンと現実味を帯びてきたではないか。夢をただの夢で終わらせないなんて、入江監督やっぱりあんたはカッケーよ!! さて肝心の『SRサイタマノラッパー マイクの細道』第1話。IKKUが昼まで寝ていると、『SR1』で声でしか存在が認められなかった妹が登場。妹・茉美は兄宛てに手紙が届いたことを知らせる。何と「SHO-GUNG」が川崎のクラブチッタで開かれるライブイベントの前座に抽選で選ばれたことを記した手紙だった。狂喜するIKKU。だが、我々視聴者はもっと驚いた。チラッとしか映らなかった妹・茉美だが、人気グラビアアイドルの柳ゆり菜ではないか。あのデブラッパーに、こんなかわいい妹がいたとは! IKKU役の駒木根はDVDが絶賛レンタル中の『愛の渦』(14)で大胆なベッドシーンを演じたが、駒木根の汗まみれの裸体と柳ゆり菜の巨乳が揺れるセクシー水着グラビアが頭の中でマッシュアップして仕方ない。まぁ、それは置いておこう。さらに驚いたのは地元の性風俗店で働いていたTOMに奥さんがいたということ。しかも、かなり美人で性格もよさげな外国人妻・トリーシャ(コトウロレナ)だ。連ドラならではの意外性のある展開から目が離せない。 クラブチッタに出演するために「SHO-GUNG」を再結成しようと鼻息荒く持ち掛けるIKKUに対し、「嫁がいるし、子どもも産まれるから」と辞退するTOM。このシーン、第1話の見どころです。『SR1』のラストのように熱いラップでTOMの心に呼び掛けるIKKU。まだ「SHO-GUNG」は一度もクラブデビューを果たしていない。『SR1』では公民館で曲を披露して大恥を掻き、『SR3』では野外フェスのステージに立ったものの、絶妙のタイミングでMIGHTYが騒ぎを起こしてライブは中断してしまった。一度でいいから、きちんとライブをやって、中途半端な青春にケジメをつけよう。それが連ドラ版『SR』のテーマだ。 夢を見ている時間は楽しいけれど、ふと現実に立ち返ると帰り道がもうないことに気づいてしまう。夢を追い掛け続けることは両刃の剣のような恐ろしさがある。IKKUのラップに耳を塞さぎ、「もう地獄に戻さないでよ。この悪魔!」と罵るTOM。「もう終わったの、俺の青春。もう戻れないって、あの興奮」。普段はボケキャラのくせに「あっ、いま韻踏んだ」と冷静に指摘するIKKU。かくして、超かっこいいオープニング映像を挟んで、伝説のラップグループ「SHO-GUNG」は再始動することに。そして、一時期メンバーだったものの、姿を消したMIGHTYを探し出してクラブチッタのステージに立つことを2人のラッパーは目指す。 ブロッコリー農家のMIGHTY宅を久しぶりに訪ねるIKKUとTOM。『SR3』で傷害事件を起こして刑務所送りとなったMIGHTYだが、実家のお母さんに聞くとすでに出所しており、今は青森県大間町にいるらしい。ずっと姿を見せない息子のことを心配するMIGHTYの母親から交通費5万円をちゃっかり預かって、MIGHTYを実家に連れ戻すことを請け負うIKKU。埼玉から東京には一度も上京したことのないIKKUとTOMだが、東京以外の地方へ出向く分にはフットワークが軽い。ヒッチハイクでうまいこと本州の最北端・大間に辿り着いたIKKUとTOMは地元名物のマグロ料理店でデブの運転手(皆川猿時)に睨まれ、海岸では青森弁の地元ギャル・トーコ(山本舞香)にいちゃもんを付けられ5,000円をカツアゲされるはめに。それでも、偶然入ったスナックでMIGHTYにばったり遭遇するという非常に都合のいい第1話の幕切れだった。 3週間後に迫ったクラブチッタでのライブに間に合うよう、MIGHTYを連れ戻すことが超頼りないこの2人にできるのか。気性の荒いトラックの運転手と、スナックに通い詰めるメガネ中年(杉村蝉之介)から結婚を迫られているトーコを巻き込んで東北道を南下するロードムービーとなっていきそうだ。ちょっと気になるのは、一行は東北最大の都市・仙台で途中下車するかどうか。仙台は入江監督にとって、トラウマシティとして記憶されている街。『SR1』でブレークする前、長編デビュー作『ジャポニカ・ウイルス』(06)を完成させた入江監督は仙台の上映会でお披露目しているが、上映後の質疑応答の際に司会者と会場の観客たちから酷評されまくり、精神的にボコボコにされた体験がある。そのときの苦い記憶は『SR1』の公民館ライブでIKKUたちが吊るし上げられるシーンとして再現されており、いわば『SR』シリーズを生み出す言動力ともなった因縁の街である。「SHO-GUNG」のクラブチッタでのライブデビューはもちろん、入江監督が自分自身の20代の頃のトラウマにどうオトシマエを付けるかにも注目したい。 (文=長野辰次)テレビ東京系『SRサイタマノラッパー マイクの細道』番組サイトより
テレ東『路線バスの旅』蛭子能収に「人生を変えられた」伝説のマドンナって!?
テレビ東京の人気番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』の「大阪城~兼六園編」を収めたDVDが4日、発売された。 この回は『バス旅』フリークである伊集院光が自身のラジオ番組で絶賛するなど、ファンの間でも伝説回として知られている。 この旅が、マドンナを務めたマルシアの人生にも大きな影響を与えていたという。 「1月に放送された『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)で話していたように、昔の彼女は、何か気に入らないことがあると、すぐにキレていました。今は、まったくそういう面がなくなりましたからね。彼女は『あのバス旅が人生を変えた』って言っていましたよ」(テレビ局関係者) 彼女がマドンナとして登場したのは、2015年の正月に放送された回。 「収録は前年の12月に行われたんですが、極寒の中を長時間歩き回るわけですから、マルシアさんは当然、キレまくっていたようです」(芸能事務所関係者) 実際、ロケの最中は、カメラの回っていないところでも文句のオンパレードだったという。 「『歩けない』『足が痛い』『こんなの経験したことない』などと、終始言っていましたね。ただ、この回は乗り継ぎに成功して、ゴールした後は大泣きしていました。それからですかね、彼女の態度が変わったのは」(テレ東関係者) そのきっかけが、バス旅の主役のひとりである蛭子能収だった。 「自分よりも二回り近くも上の蛭子さんが、文句も言わず歩いているのを見て、感銘を受けたそうです。本人も『あれを見ちゃうと、自分は今まで何をしてたんだろうと。あのバス旅をやったから、つらい仕事でもなんでもできる』と話していました。今では、仕事でお世話になった人には、直筆でお礼の手紙を書いているそうです。それくらい、蛭子さんから受けた影響は大きいんでしょう。テレ東にとっても印象的な回だったようで、ロケ番組にはよく呼ばれるようになっています。今後も、彼女の需要はありそうです」(番組スタッフ) 高い視聴率だけでなく、『路線バス』には、人の人生も変えてしまうだけの力があったようだ。ワタナベエンターテインメント公式サイトより







