ゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)は行く、東京に住んでても、まず訪れる機会のない街へと……。東京と一口にいっても、狭いようで広いもの。10年20年と暮らしても、一度も訪れたことのない街というのは多いのです。この『Season6』だけでも、東大和市とか世田谷区太子堂とか、マイナーな場所柄ゆえのワクワク感でおなかを空かせた人も多いのではないでしょうか。 さて、今回ゴローちゃんが訪れるのは、品川区は旗の台。個人的な話ですが、筆者は20代の数年間住んでいたことがあります。この街は東京の中でも特殊なカオス。何しろ、下町なのか山の手なのか。ザーマスと大衆とが渾然一体となった、不思議な土地なのであります。 実は先日、用があって久しぶりに駅に降りたのですが、カオスは健在。とりわけ、住民が利用する旗の台駅はカオスを象徴するものです。この駅は東急池上線と大井町線の交差するポイント。大井町線に急行が設定されたのを契機に駅は改築されたのですが、全面改築かと思えば池上線側はほぼそのまま、結果、昭和レトロと21世紀とか混在する奇妙な駅となったのです。 ちなみに、番組を見てお店を訪れるならば、ただメシを食って帰るだけじゃあもったいない。ここ、中原街道から第二京浜まで、途中は少々途切れながらも、ほぼ一直線に商店街が続くワンダーランド。近くには、これまた昭和レトロな中延商店街も。腹ごなしに、戸越公園でも見物しつつ大井町までトボトボ歩くのがオススメです。 と、余談はこれくらいにして、ゴローちゃんは、やってきました旗の台駅。ちょっと時間があるということで、ひとまずは喫茶店「アティック」でメールをチェック。 「あ、ジョセフィーヌからメールが来てる」 おお、今回は謎に包まれたゴローちゃんのプライベートがほのめかされる展開なのか? 英語のメールを日本語のナレーションで読み上げるゴローちゃん。今日は、ジョセフィーヌからの依頼で、銭湯のリノベーションのチェックという仕事の様子。 その仕事を前に、まずゴローちゃんが注文したのはクリームソーダ。ワイルドなはずのゴローちゃんがクリームソーダ。これ、原作の谷口ジロー先生の傑作『事件屋稼業』(双葉社)において、深町が深夜のファミレスで「うんと、甘いの」とパフェを注文するシーンのごとき、ハードボイルドなダンディズム。そう、背中で語る男には、一見似合わない注文こそがカッコイイのです。 「これこれ、このわざとらしいメロン味」 原作から拾った言葉を挿入しつつ「昭和の甘さ」「正しいクリソダ」。最初、なんといってるのかわからなかったのですが、クリームソーダをゴローちゃんはクリソダと省略。これは、いったいどこの方言なのでしょう? さ、驚くのは次の瞬間。「そしてそして」と、ゴローちゃんは、まだ一口しか食べていないアイスクリームを完全に混ぜ込んでしまいます。な、なんとぜいたくな。貴重なアイスクリームは自然に溶けるまで、はじっこのちょっと凍ったところから、少しずつ食べるんじゃないのか? いや、これこそ、いつでもクリームソーダを注文できるくらいの懐の余裕ができた大人のワザなのか? ま、オープニングを前にここまで文字数を使ってしまったあたり、すでに神回の予感です。 さて、オープニングを終えて、やってきたのは廃業した銭湯……って、ここ荏の花温泉じゃないか。この建物はまだあったのか!! と、元住民の筆者は驚きました。ロケで借りたのか、それとも何か別用途に使用しているのか、気になります。 こちらで待っていたのはオーナーの神尾佑。 リノベーションの参考資料ということで、さまざまな写真を撮影するゴローちゃん。ここの会話で明らかになるのは、ジョセフィーヌがフィンランド人であるということ。どうも彼女は、廃業した銭湯を用いて雑貨カフェを開くもくろみなのだとか。いろいろと謎です。 神尾演じるオーナーも、銭湯の一部を「ここは、いずれ釣り堀にでもしようと思っているんです」とか、やっぱり謎。で、ネットで調べてみたら、実際に工務店が所有していて現在は休業しているものの、元銭湯の釣り堀という形で営業していたんだとか。す、すごい……このタイアップがスゴイ! と、導入部も終わり……かと思いきや、ゴローちゃんの手にしていたデジカメには、懐かしいパリの写真が。「紗雪……元気かな……」と、ふと忘れていた恋を想い出すゴローちゃん。パリの思い出のはずなのに、かつての恋のドラマの回想はどう見ても日本という……なんなの? なんにしても、ここまでですでに脚本がいつもの10倍くらい濃いですよ。これは、料理だけではなくドラマの部分に重点を置こうという、新たな手法に違いありません。 こうして、腹が減ったら、いつものゴローちゃん。 「今、俺が欲しているのは胃袋がドギマギするような料理だ」 そして、目の前に現れる店。 「スペイン食堂、石井」 「今、ずっきーんと来たぞ……真っ赤な看板が腹を空かせた俺という牛をガンガンと煽り立ててくれる。旗の台にスペインの旗。俺は闘牛だ……よぅし、突っ込んでいこうじゃないか」 今シーズン屈指の名言を吐きつつ入店すると、店員はいまや太ったおばさんキャラを確立した佐藤仁美。風景に馴染みすぎなのが、大女優の風格です。 さあ、メニューを開こうとすれば何かを炒めるバチバチという音。なんだ、この演出の挿入は? 「ええ、なになに? スペイン流の派手なお出迎えか……牛なんだからこんな音にビクつくな、こっちに集中するんだ」 パエリアが一人前から注文できることがわかって、本丸を固めるゴローちゃん。あれこれと呪文みたいなメニューをかまずに読み上げ、どんどん興味を惹かれていきます。ここに新たに見つけるのは「ハーフサイズもできます」という貼り紙。一気に、いろいろと楽しめる枠が広がってゴローちゃんは大喜び。 「せっかくだから、いろいろと食べたい」 イカ墨のパエリアを本丸に、ゴローちゃんがハーフサイズで注文するのは……サルスエラ・マッシュルームの鉄板焼き・サルシッチョンのレヴェルト・タラのアリオリオオーブン焼き・スペイン産ガス入りウォーター……素人目に見てもやりすぎですが、佐藤仁美も止める気がありません。 ここで、近くのテーブルで子どもが「バチバチきたー」と運ばれてきたのは、エビの鉄板焼き。なんでも、塩が弾ける音なんだそう。 「え、そうなの。俺は塩にビクついてたのか……」 ちょっと弱気になるゴローちゃんの前に運ばれてきたのは、マッシュルームの鉄板焼き。なんと、お通しのパンも一緒です。いや、パンはヤバいって。この手の料理店のパンって、信じられない勢いで腹をいっぱいにしちゃうのですから。でも、ゴローちゃんなら、おいしく食べきってくれるはず。それをかたずをのんで見守りましょう。 生ハムなどが入ったマッシュルームを、苦労しながら一口で食らうゴローちゃん。 「マッシュルームの概念を超えている。俺、マッシュルームのおいしさって、今ままで知らなかったのかもしれない……」 続いてやってきたのは、サルシッチョンのレヴェルト。なんのこっちゃわかりませんが、イベリコ豚のサラミとキノコのとろとろ卵炒めということで理解すればよいようです。 「あっこれはおいしい。塩加減が絶妙」 「トロトロ卵にサラミとエリンギの食感そこに黒胡椒。このレヴェルト……レベル高いんじゃないの?」 「マドリッドあたりの朝食こんな感じかな?」 「このレヴェルトレベル高いんじゃないの?」なんて、セリフが吐けるのもゴローちゃんのダンディズム。ちゃんと、パンに乗せて食べるあたりがゴローちゃんのテクニックです。 ここで、さらにニンジンサラダも追加注文しちゃうゴローちゃん。だって、隣のテーブルに運ばれてきたそれは、ニンジンを千切りにしたもの。いや、その赤さがうまさを徹底的に主張しているワケですから。思わず注文しちゃいますよね。 そこにさらに、追加はこちらタラのアリオリソース焼き。 「トマトの舞台でタラがフラメンコを踊っている。情熱的な光景だな。そそるぞ……そそるぞ……」 「うわぁ、このトマト旨み吸いまくり大会」 「タラとの組み合わせが、まさにスパニッシュギターとダンサー」 「超絶うまし。アリオリソースのオーブン焼き。旗の台にアリオリハベリイマソカリ」 そんなに満足しているくせに、さらに子ども連れのテーブルに運ばれてくる魚介のパエリアを見て「おお~。あれぞ、ザ・パエリア」と、ゴローちゃんの食欲は止まる気配がありません。 そこへやってきました。ニンジンのサラダとサルスエラ。サルスエラとは、いわばエビや貝がたっぷり入ったブイヤベースのスープ。 「ブイヤベースって、名前からしておいしそうだが見た目もそれを裏切らない」 「お~、味も見た目を裏切ってないぞ。ヒヒヒヒといううまさだ」 「地中海のエキスが凝縮されている。日本の海とはまた違う栄養滋養を感じる」 「ここでタラかぶり。でも、まったく問題なし」 貝などは手で摘まんで食べるゴローちゃん。安心してください。だいたいのスペイン人とかも、こういうのは手を使って食べますから、マナー違反じゃありません。まだまだ残っていたパンをスープに付けて「ねっ、おいしいよね、これ。このおいしさ世界共通だよね」。ニンジンサラダもほおばって「あ~、これはみんな頼むはずだ~、横にあるとうれしい味」。 ここで唐突に挿入される演出が、子ども連れのテーブルでの「ハッピーバースデートゥーユー」の歌声とケーキカット。子どもの時からこんなおいしそうな店で慣らされているなんて、うらやまし!! でも、注目すべきは、そんな様子を見もしないで、手づかみで「う~んエビうまし」とやってるゴローちゃんです。 ここまで堪能した末に、ついに到達するのは本丸・イカ墨のパエリアです。 「一人前いい、サイズ最高!」 もう相当腹いっぱいだと思うのですけど、まったく、そんなそぶりは見せないゴローちゃん。ハイテンションな音楽と共に、食いっぷりには拍車がかかります。もう説明など、要りません!!!! 「さぁ、黒いお米をいただこう」 「うまい! イカスミのコクたまらない」 「赤パプリカにイカ、あっ、タコもか。イカスミの真っ暗な海底にさまざまなうまものが潜んでいる」 「こいつは、サルスエラとはまた別の滋味を形成している」 最後、鉄板に張り付いた、おこげまでこそげとって平らげたゴローちゃん。完全に満足して店を出たとき、ファンを驚かせる一言が……。 「いい食堂だったな。ジョセフィーヌが日本に来たとき一緒に来ようかな」 え、やっぱり、ジョセフィーヌとはそういう関係なの? ゴローちゃんの知られざる女性関係が、次々と明らかにされそうになった今回。最終話までに、ゴローちゃんが恋人と再会する日は来るのか……? でも、ジョセフィーヌってフィンランド人の名前じゃないよね。謎は深まるばかりです。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
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『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第9話 ヘイヨー! ダメ兄に捧げる妹ラッパーのライム
かっこ悪いということは、なんてかっこいいんだろう。最終回まで残り2話となった『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第9話だが、今週のIKKUとMIGHTYはいつも以上に超ダサい。周回遅れのドンジリもいいところだ。そんなメンタリティー&コンディションで、クラブチッタのステージに立つことができるのか? これまで一度も東京に足を踏み入れたことがなかった埼玉在住のほぼニート男・IKKU(駒木根隆介)が、川崎へ行く手前の東京都北区赤羽で途中下車した前回。クラブチッタでのライブまで残り2日、兄タケダ先輩(上鈴木伯周)が「SHO-GUNG」のために作ってくれた新曲を手に入れて盛り上がっていたIKKUとTOM(水澤紳吾)だった。ところが、ひとりシミジミとタバコの煙をくゆらせていたMIGHTY(奥野瑛太)は、かつてパシリをさせられていた極悪系ヒップホップグループ「極悪鳥」の大河(橘輝)、海原(板橋駿谷)たちに見つかり、拉致されてしまう。 MIGHTYが忽然と姿を消したことを気に病む一行だったが、とりあえずカブラギ(皆川猿時)が運転するカブラギ号に乗って会場下見のために川崎クラブチッタへ。青森育ちのトーコ(山本舞香)はクラブチッタの立派さに、「ここでやんの? すっげー!」と素直に驚く。クラブチッタのエントランスに貼られたポスターには、ちっちゃ~くだが「SHO-GUNG」の名前も載っていた。埼玉ではみんなからバカにされまくったけれど、ようやく辿り着いた夢のステージだ。IKKUとTOMは選ばれし者の恍惚と不安に酔っていた。 一行がクラブチッタの前で騒いでいると、そこへくわえタバコで現われたのはクラブチッタのマネジャーである芽衣子(黒沢あすか)。芽衣子が美人であることから目がランランと輝くカブラギ。雪国育ちのおっとりした雪(中村静香)から、都会派の大人の女性・芽衣子まで、ストライクゾーンがやたらと広いカブラギだった。 カブラギの発した「なんで、こいつらを(オープニングアクトに)選んだんですか? 人気も華もないのに」という素朴な疑問に対し、芽衣子はサプライズな答えを用意していた。 芽衣子「たまたま見てたのよ、栃木での野外フェス。イベントとしては滅茶苦茶だったけど、個人的にグッときちゃって。男の友情に弱いのよね」 なんと、芽衣子は『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)の怪しい野外フェスに足を運んでいた。IKKUとTOMは栃木在住のラッパー「征夷大将軍」とコラボしたステージに臨み、これから盛り上がるというところでMIGHTYが「極悪鳥」と騒ぎを起こし、フェスそのものを台無しにしてしまった。でも、「SHO-GUNG」が『SR3』で精いっぱい吐いた思いの丈は、ちゃんと伝わる人には伝わっていたのだ。 真剣に願った夢は必ず叶う。ただし、願った本人の思惑とは違った形や意外なタイミングで訪れることになるが。「SHO-GUNG」にとって、芽衣子はまるで『小僧の神様』(by志賀直哉)のような存在だった。女神が埼玉在住のダサ~い男たちにほほえんでくれた。もう、このエピソードだけでお腹いっぱいな第9話です。 一方のMIGHTYはまだ赤羽。「極悪鳥」のアジトに連れ込まれ、血まみれ状態で監禁されていた。鎖で足を繋がれ、逃げようにも逃げられない。今まで叶わない夢からずっと逃げ続けてきたMIGHTYだけど、夢が叶いそうになった瞬間に身動きできない状態に陥ってしまうとは、なんと言う皮肉か。6月10日から藤原竜也&伊藤英明主演の犯罪ミステリー映画『22年目の告白 私が殺人犯です』が絶賛公開中の入江悠監督、MIGHTYパートは思いっきりサスペンスモードに振り切っていく。 かつては東京のクラブシーンでそこそこ知名度のあった「極悪鳥」だったが、栃木の野外フェスで警察沙汰を招き、空中分解してしまった。埼玉の片隅で夢を捨てきれずに追い続けた周回遅れの「SHO-GUNG」とは対称的に、ずっと先を走っていたはずの「極悪鳥」はダークサイドに堕ちていった。 裏ビジネスを2~3回手伝えば、解放してもいいという「極悪鳥」の元リーダー・大河。ここで大河の求めに応じれば、IKKUやTOM、それに埼玉でブロッコリー畑を営んでいる実家の家族をまた裏切ることになる。 MIGHTY「ヒップホップの仁義~。失礼ながらお控えなさって。今度こそ、今度こそ咲かせてみせます、ブロの花~♪」 裏社会への誘いを断り、ボコボコにされながらもゾンビのように立ち上がるMIGHTY。口から出てくるリリックは全然ラップになってないし、ブロッコリーの花が咲いたら食べられなくなっちゃうよ。でも、MIGHTYは再びダークサイドに堕ちないよう、必死で自分の中のもうひとりの自分と闘っていることだけは充分に伝わってくる。IKKUやTOMを川崎で待たせているMIGHTYは、『走れメロス』の主人公メロスのような心境だった。 そして舞台は再度、川崎のクラブチッタへ。MIGHTYが当日ちゃんとライブに現われることを信じるしかないIKKUたちだったが、もうひとつ懸案事項が。相棒のTOMがIKKUの心の中を見透かしたようにせっつく。明日はクラブチッタのライブだが、IKKUの妹・茉美(柳ゆり菜)の結婚式でもある。 TOM「電話しろって。まだ、ちゃんと謝ってないだろ。ずっと後悔するよ。そんな中途半端な気持ちで、明日ライブすんのかよ」 TOMのお節介で、京都のホテルで独身最後の夜を過ごす茉美にテレビ電話することになるIKKU。子どもの頃からIKKUよりしっかりしており、自分の人生を着実に歩む妹に、今さら愚兄として掛ける言葉が思いつかない。 IKKU「人もうらやむ器量よし~。その名も加賀谷茉美という~♪」 さっきのMIGHTYもそうだが、IKKUもまるでラップになってない。“バカな兄貴でゴメンな音頭”とでも呼びたい即興ソングを歌うものの、撮影も終盤に入って余裕がないせいか、そうとうにひどい出来。IKKUのかっこ悪さ、全開である。恐ろしくダサい。でも、いつもは口数の少ない兄・郁美が本心を明かしてくれたことが茉美にはうれしかった。スマホの小さな画面の中で、妹ひとりのために顔を真っ赤にして歌う兄はひどくかっこ悪く、そして超かっこよかった。 ごめんな、お兄ちゃんはまだヒップホップやめられない。幸せになれよ、と締めくくるIKKUに対する茉美の返しが実にクールだ。 茉美「ヘイヨー! ニートなブラザー。明日はかませ~、会場沸かせ~♪」 10年間、IKKUの隣りの部屋でラップを聴いてきた茉美にも、ヒップホップ魂がほんのりと移っていた。茉美は「TOMさんも明日のライブ、がんばって」と、兄妹仲を気遣ってくれたTOMへの感謝の言葉も忘れない。クラブチッタの芽衣子に加え、「SHO-GUNG」にとって、もう一人の女神がほほえんでくれたライブ前夜だった。 夜が明け、いよいよライブ当日。監禁されたままのMIGHTYはどうやって生還するのか。悪の孔雀「極悪鳥」は実にあっけなく、そのこずるい悪の歴史を終えることになる。警察のガサ入れが迫り、大河や海原はMIGHTYを残したままアジトから慌ただしく逃げ出していく。羽根の折れた「極悪鳥」の末路は無惨だった。近くにあったヤスリを使って、ようやく鎖を断ち切ったMIGHTYは、「極悪鳥」との因縁も断ち切ることに成功した。血だらけの顔のまま、MIGHTYは街へ飛び出し、走行中の車の前に立ち塞がる。 中年のオッサン(川瀬陽太)の運転する車の助手席に乗っていた「あーちゃん」と呼ばれる女が、MIGHTYが口にした「SHO-GUNG」「クラブチッタでライブ」という言葉に反応する。助手席の女は『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10)に登場したコンニャク屋の娘・アユム(山田真歩)だった。「ミッツ、SHO-GUNGだって」というアユムの声に、後部シートで眠っていたミッツ(安藤サクラ)も目を覚ます。アユムとミッツが中心となって結成された群馬の女子ラッパー「B-hack」もまた、伝説のDJ・タケダ先輩にトラックを提供されたという縁がある。赤羽にひとり残されていたMIGHTYにも、女神たちがほほえんだ。これでトーコが「SHO-GUNG」のライブに参加すれば、女神たちのロイヤルストレートフラッシュの完成だ。 第9話にて、テレビシリーズ『マイクの細道』と劇場公開作『SRサイタマノラッパー』北関東三部作がひとつの輪に繋がった。『マイクの細道』のオープニング曲に登場するキャラクターもすべて回収。残すは、もうクラブチッタでのライブステージのみ。残り2週、グンググ~ンと盛り上がりたいッ。 (文=長野辰次)テレビ東京系『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』番組サイトより
テレ東が世界卓球&錦織圭で高笑い! フジテレビとの差は、どこでついたのか
テレビ東京がスポーツ中継で気を吐いている。「スポーツ祭」と称し、5月28日から世界卓球とテニスの全仏オープン中継を実施。5月29日~6月4日までのゴールデンタイムの平均視聴率が8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録し、開局以来初となる民放3位の座に躍り出た。テレビ局関係者が語る。 「卓球中継は、テレビ東京が2005年から育ててきたコンテンツです。当初は福原愛の“愛ちゃんブーム”から始まりましたが、昨年行われた団体戦決勝の中国対日本戦は、14.6%の視聴率を記録。全仏オープンについては、同局の人気番組『YOUは何しに日本へ?』でしっかり中継を宣伝したり、『さまスポ』でさまぁ~ずをパリに行かせるなど、テレ東の番宣の巧みさも目につきました」 卓球では石川佳純や平野美宇ら女子選手の活躍に加え、リオ五輪メダリストの水谷隼と、13歳の新鋭・張本智和との対戦も実現。一方の全仏オープンも、錦織圭もベスト8入りという実力通りの結果を見せた。追い風ムードのテレ東だが、それと対照的なのがフジテレビだ。 「フジのスポーツ中継といえば、柱はバレーボール、フィギュア、なでしこジャパンなどですが、どれも明るいニュースがありません。バレーボールは長年人気を支えた木村沙織が引退、フィギュアも浅田真央が引退を発表しました。なでしこジャパンも昨年のリオ五輪に出場できず、アルガルヴェ杯も6位どまり。現在開催中のサッカーのU-20W杯も放送権を持っているのはフジですが、期待されたにもかかわらず決勝トーナメントの初戦であっさり負けてしまいました」 勝負は時の運とはいえ、フジテレビの“引きの弱さ”は気になるところ。週刊誌記者がフジテレビの“惨状”を語る。 「週間視聴率ランキングの上位常連だった『サザエさん』は、『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ系)に押されて視聴率が2ケタを割るようになったうえ、スポンサーの東芝は倒産危機に陥っています。放送中の月9『貴族探偵』も現時点では2ケタ超えは初回だけ。3月には『アナと雪の女王』を放送しましたが、エンディングの合唱企画で炎上し、これには内部から『どうやったらアナ雪を炎上させられるんだ』といった声も聞きました」 テレビ業界には長年「振り向けばテレ東」という言葉があったが、ついにテレ東の背中を見ることになったフジテレビ。今月退任する亀山千広社長(60)の後任には、BSフジ社長の宮内正喜社長(73)が就任する予定となっているが、現社長より一回り上の新社長が“フジテレビ離れ”に待ったをかけられるのか、その手腕に注目が集まりそうだ。
『孤独のグルメ Season6』第8話 中華系の羊……? 想像のつかない味で視聴者の胃袋が大混乱
さあ、今週もやってきました深夜の飯テロの時間。今週のゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)は、どれだけ食べてくれるのか。どうせ番組を見たら夜食を食べちゃうのはわかっているので、今回からは夕飯を食べずにオンエア待機をしてみることに。みなさんも、番組視聴のために夕飯を抜いてみてはいかがでしょうか? さて、今回ゴローちゃんがやってきたのは御徒町。「この通りか……」とメモを見ているあたり、新規顧客のようです。「電話の話の通りなら、けっこうな大仕事になりそうだが」と、今回のゴローちゃんはやる気です。 いや、いつもやる気はあるのでしょうが、あんまり儲けようとギラギラしていないんですよね。でも、その誠実さこそが、仕事がうまく回っている理由かもしれません。 その新規顧客は、宝石加工の会社。社長を演じるゲストは岡田浩暉です。今回、デパートの催事に出店するということになり「どこからどう手をつけていいのやら」ということなのです。ゴローちゃん、雑貨商かと思いきや、内装込みのトータルな仕事の多いこと。要は、手広くやってるんですよねえ。社員を使えばもっと儲かりそうなものでしょうが、人を使うことのストレスを考えると、今の状態がよいのでしょう。 「原石を加工するところを見せたい」などなど、希望や情熱を語り続ける岡田社長。キャラクターが、社長というにはちょっと怪しげな雰囲気なのが、味があってよいです。でも、そんなキャラだから、情熱的な言葉もホントかな? と、ちょっと疑わしい。おそらく、それもワザとなんでしょうけどね。 ともあれ、情熱を語られ大仕事だと気合を入れたゴローちゃん。気合が入れば腹も減ります。 「飲食店は……宝石街にメシ屋はないか」 いろいろとメシ屋はあるはずですが、ゴローちゃんのお眼鏡にかなう店がないということなんでしょう。ラーメン、インド料理に、居酒屋ランチとピンとこないままにさまよっていたところに、飛び込んできたのは「羊」の文字。 「中華系の羊料理ということか……」 「いいような気がする。いやきっといい……ぜんぜんわかんないけど……この胸騒ぎを俺は抑えられない」 期待値優先で、果敢に店に飛び込むのが松重ゴローちゃんの持ち味です。 入ったお店は、おやキレイ。「台湾の洒落た食堂っていった感じ」と、感想を一言。 「ここ、俺的に前例のない店だ、ここは注文の組み立てが難しい」 ランチタイムでも、ただセットを注文してお茶を濁したりはしないのがゴローちゃんなのだと、その精神をあらためて知る瞬間です。 「前菜から順にいくか、先回りでメインを決めるか……」 ええと、まだランチタイムですよね。今日の仕事はもう終わりという気分で食べるのでしょうか。いや、それができるのも、個人経営者の特権です。 まず、目についたのは点心。それすらも、餃子か小籠包か、おやきか……。とにかくこちらのお店、ラム推しなのですが、それが余計にゴローちゃんの迷いを呼ぶのです。 いろいろとメニューを読むゴローちゃんですが、中華料理ならではの、文字だけでは想像できないもの多数。「アウトオブ想像力……」という言葉が出るのも当然です。 かくして、ようやく決まったファーストオーダーは、ラム肉と長ネギ炒め、ラム肉焼売、白身魚とラム肉のスープ、白いご飯。加えて、オススメの3番。そこに薬味の醤も3種類まとめて注文です。 「吉と出るか、凶と出るか……」 いやいや、いつも大満足で食べているんだから、今回も大丈夫でしょ。 果たして、この店、配膳は結構早い。瞬く間に注文したメニューがテーブルに並びます。 ここで気づくのは、けっこう白いご飯の量が多いこと。この時点で早くも頼みすぎているような気も。 「おお、すごい。テーブルに羊の群れだ」 「まずは、大将から頂こう」 箸を付けるのは、ラム肉と長ネギ炒め。 「おお、よしよし、中華の炒めもの界に、まだこんな逸材が隠れていたのか……」 これは、ご飯も進む味。見るとご飯は、麦ご飯ではありませんか。 「やっぱりドンピシャ、麦飯ってのも案外いいぞ……」 ああ、とんでもないスピードで、ご飯が……。 「ほうら、これは間違いないヤツだ」 「ここで醤投下……」 長ネギ炒めに投入されるのは、山椒しょうゆ。 「初めてだが、使える……」 今回のゴローちゃん。スゴく駆け足で満足に至っている感じです。 続いて手を付けるラム肉焼売は、黒酢で。 「こいつはたまげた。いわゆるシュウマイとは別物。こいつは確かに羊、だがうまい……」 「ラムで点心。そんなワザがあったのか、まるで底なし沼だ」 ううむ、見ているほうは、まったく味が想像できません。ただただ、うまいことだけはわかります。もう視聴者の脳内は「いつ、この店に行こうか」だけなのではないでしょうか。 ここで「何にかけてもおいしい」といわれた山椒しょうゆを、白ご飯にかけるゴローちゃん。一気にご飯は進みます。 「俺は今、猛烈に感動している。衝撃の山椒しょうゆご飯……」 いや、いったいどんなうまさなんだ!? 続いて手をつけるキノコの醤もおいしそうだけど、味の想像がつきません。そんな感じに視聴者を置いてけぼりで、ゴローちゃんの箸は進みます。 そして、漬け物で口をリセットしつつ、箸は動き続けます。スープを口にすれば「こういうタイプ初めてかも」と、またまた感動。 「透き通るようにうまい、魚と羊が奏でる弦楽二重奏……」 いや、だからどんなうまさなんだろう。 「中華料理の中で、羊たちが、こんなにも生き生きと輝いている……ラム醤の食卓最高」 満足に次ぐ満足のゴローちゃんですが、こうなれば胃袋は全開。 「御徒町ラム肉フェスティバル。これでお開きは寂しいな……」 さあ来た。ゴローちゃんの本気モード。スペアリブのハーフサイズと麦ご飯のハーフサイズを追加注文し、祭りはさらに続きます。 かくてやってきたスペアリブは、クミンまみれという視聴者の胃袋を直撃する見た目。もうダメです。飯テロでどうしようもなくなった胃袋を、ラーメンか何かで満たそうと思っていたんです。でも、猛烈に食べたいのはラム肉。思わず、深夜にラム肉を食べられるところはないのかと検索してしまうではありませんか。 「落ち着け落ち着け、散々食ってるのに何を焦ってるんだ」 「油がガツンときた。この強烈なパンチこそスペアリブだ。うまいな~」 この「うまいな~」の一言が、ガチモード。ホントにおいしかったのでしょう。 そこに唐辛子の醤をつけて「これだ!」と開眼するゴローちゃん。まったく落ち着きを失い、ただただ食らうのです。 「おほ~きた、クミンの刺激かける唐辛子の刺激……」 「豚のスペアリブとは異次元のうまさ」 そして楽しんだラストは、残った長ネギ炒めをご飯に載せた特製ラム丼です。そこに、残った山椒しょうゆもまぜれば、完全に至福の味。 「この丼いいぞ~、どんどんかっこみたくなるうまさだ……」 「御徒町でこんな店を発見できたのは、偶然というより奇跡だ……」 通常の感動を10とすれば、今回のゴローちゃんの感動は30くらいというところでしょうか。 ゴローちゃんは満足ですが、困ったのは視聴者。何しろうまいのは明らかなのに、想像できない味に困惑したハズ。登場店は、放送後は混雑するのが常。行列はしたくないとは思いつつも、今回ばかりは行ってみなくてはと心に決めた神回でした。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
やっぱり太川&蛭子じゃないと……テレ東『バス旅』が早くも存続危機で、現場から復帰熱望の声
「もうすぐ第2弾の旅に出るのですが、すでに暗雲が立ち込めている感じですね。第1弾の視聴率も歴代最低でしたし、何より制作側と演者側の間に、かなりの温度差があるようです」(テレビ東京関係者) 太川陽介、蛭子能収のコンビで人気を博したテレ東の『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』の続編、『ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z』が早くも存続の危機に立たされているという。 「続編は、俳優の田中要次さんと作家の羽田圭介さんがコンビを組んでいますが、田中さんはドラマの仕事が忙しくて、スケジュール調整がなかなか大変なようです。それと、この旅はマネジャーも一緒に行動するのですが、想像以上にきつかったみたいで、彼らのマネジャーが続編にあまり乗り気ではないそうです(苦笑)」(テレビ局関係者) 鳴り物入りで放送された第1弾の視聴率が7.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と低迷したこともあって、テレ東は早くも“禁じ手”に動きだしたという。 「もう一度、太川さんと蛭子さんのコンビでできないか、水面下でそれぞれの事務所に打診したそうです。2人は番組を卒業してからも『いい旅・夢気分スペシャル』(同)で2度バス旅をしており、数字もいい。そのため、局としては単発でいいので“復帰”してほしいとお願いしているそうです」(芸能事務所関係者) 実際、今回の田中・羽田コンビと太川・蛭子コンビの違いは旅に対する“熱量”だと、番組スタッフは話す。 「バス旅に対する太川さんほどの情熱は、田中・羽田コンビからは伝わってきませんよね。それが視聴者にも伝わって、数字が伸び悩んだのかもしれません。また、太川・蛭子コンビは2人の個性が強かったのでマドンナは多少弱くてもよかったのですが、田中・羽田コンビだと、マドンナがある程度強くないと番組的に厳しいというのが実情です。そういう意味では、ルート選びだけでなく、マドンナの選考も難航しています。第2弾は夏の特番で放送予定ですが、ここでも数字が悪かったら、応急的に太川・蛭子の“再登板”を現場からも懇願するかもしれませんね」(番組スタッフ) もう一度、あの“迷コンビ”のバス旅も見てみたいのだが、果たして――。『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』テレビ東京
『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第8話 待望の神曲が降臨! そして極悪鳥ふたたび……
1話につき正味20分しかないため、なかなか青森から川崎まで辿り着くことができない『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』。だが、第8話はかつてなかった大展開。伝説のタケダ先輩が兄弟で並び立ち、ついにIKKUが東京都内に足を踏み入れるという、『SR』史上に残るメモリアルなエピソード回となった。 ここまでの流れを簡単に振り返ると、埼玉県にある福谷市で暮らすほぼニート男・IKKU(駒木根隆介)が川崎クラブチッタでのライブイベントのオープニングアクトに応募したところ、抽選に当たったことが旅の始まり。もうすぐ嫁との間に子どもが生まれる相棒・TOM(水澤紳吾)を強引に誘って、ヒップホップグループ「SHO-GUNG」を再結成。そして、かつて仲間だったMIGHTY(奥野瑛太)を連れ戻しに、青森県大間へと向かった。前科者であることから実家に戻ることを拒んでいたMIGHTYだったが、「人生をリセットする」ために最初で最後のステージに立つことを決意する。 ドスケベなトラック運転手カブラギ(皆川猿時)のデコトラに乗って、家出娘トーコ(山本舞香)と共に東北道を南下する「SHO-GUNG」。途中、福島にあるヒップホップ寺に立ち寄り、1週間の修業に耐えれば、タケダ住職(上鈴木伯周)から新曲を用意してもらえるという約束を交わす。修業を通して「言葉は友達♪」になった「SHO-GUNG」だったが、IKKUの妹・茉美(柳ゆり菜)の結婚式とライブが重なっていることが判明し、IKKUは激しく動揺……というのが前回まで。 クラブチッタのステージに「SHO-GUNG」として立つか、それとも妹のためにライブを蹴って、結婚式に出席するか。IKKUは悩んでいる。IKKUの苦悶はある意味、必然でもあった。外界から隔離されたお寺で修業に励んだことで、自分にとってのリリックとは何か、表現とは何かをIKKUはいろいろ考えた。表現を突き詰めていくと、自分自身の問題、そして家族の存在にぶつかる。『マイクの細道』の前クールに放映されていた『山田孝之のカンヌ映画祭』(テレビ東京系)では映画プロデュースに初挑戦する山田孝之が“親殺し”をテーマに選んだように、IKKUにとっては父親の命令に逆らい、妹の結婚式を反故することは“親殺し”に等しい行為だった。家族という呪縛から、精神的にも経済的にもどう自立するかは、人間にとっての永遠のテーマだ。 TOMやMIGHTYと一緒にいると気まずいため、夜の本堂にひとり佇むIKKU。翌朝、タケダ住職に俳句を提出すれば、念願の新曲がもらえるはずだった。だが、なかなか筆が進まない。メタボ体型の体を小さく丸めていたIKKUに、「妹さんの結婚式、出なきゃダメだよ」と声を掛けるトーコ。好きでもない相手との結婚を嫌って、大間の実家を飛び出してきたトーコだが、実はみんなから祝福される結婚を願っていることが分かる。本音で語り合うことができるトーコは、すでに「SHO-GUNG」の旅の仲間だった。 そして朝。「SHO-GUNG」の3人はギクシャクしながらもタケダ住職の前に集まり、それぞれの心境を俳句に詠む。 TOM「草の芽を 歌ふるわせる 猪苗代」 MIGHTY「登っても いばらにいばら ラップ道」 ひと晩考えた割には、あまりパッとしない出来。そしてIKKUは……。 IKKU「福谷にも 待ちびとありや 兄妹の」 季語がないし、うまくもないけど、この一句はタケダ住職の胸に突き刺さった。タケダ住職の双子の弟、伝説のタケダ先輩は福谷市の実家で若くして病気で亡くなった。そのタケダ先輩が病床で作った最後のトラックを託されたのが「SHO-GUNG」だった。 IKKU「タケダ先輩の死に目には会えませんでした。でも、葬式のときは安らかな顔でした」 タケダ住職は修業に出てから一度も実家には戻っておらず、弟であるタケダ先輩の葬式にも出ていなかった。そんなタケダ住職は新曲の入った音源を渡しながら、「SHO-GUNG」に頼み事をする。 タケダ住職「用が済んだら、このトラックは弟の仏前に供えてほしい」 兄タケダ先輩はこの後、きっとひとりで泣くことだろう。 「SHO-GUNG」とトーコの新しい旅立ちだった。赤鬼(市オオミヤ)と「五福星」に別れを告げるTOMとMIGHTY。「最後に決めるのは自分自身」という赤鬼の言葉にうなずいてみせるIKKU。トーコは青鬼(野村周平)にコクろうとするが、すでに2人は以心伝心の仲だった。「何かに迷ったらいつでも来てください。美味しい料理をまた」と青鬼から先に言われてしまう。トーコの恋は実らなかった。でも、料理の道に進む決心がつき、心は晴れやかだった。そして、山門をくぐるIKKUの目には、タケダ住職&タケダ先輩(上鈴木伯周&上鈴木タカヒロ)が2人並んで自分たちのことを見送ってくれているように感じられた。 川崎に向かって爆走するカブラギ号に、兄タケダ先輩が作ってくれた新曲が流れる。生きるということは、死ぬまで悩み続けるということ。悩みながら、傷つきながらも、前へ進んでいこう。そんなポジティブな気分にさせてくれる明るいミディアムテンポの曲だった。新曲を聴きながら、クラブチッタで披露するリリックをそれぞれノートにしたためる「SHO-GUNG」。そして料理の勉強をしたいとカブラギに伝えるトーコ。音楽を聴いても、決してお腹は満たされない。でも音楽はコドクな人間の心を癒し、迷っている人間の背中を力強く押してくれる。『マイクの細道』のシリーズを通して、サイコーにハッピーな時間が流れていく。 このままハッピー気分で終わればいいのにと思うけど、そうはしないのが入江悠監督であり、『SRサイタマノラッパー』の世界。喜びと哀しみはいつも背中合わせの関係だ。待望の新曲は手に入ったが、まだIKKUの問題は解決されていない。ドライブインで昼食を兼ねた緊急会議が開かれ、「IKKUはライブを優先するべき」がMIGHTYとカブラギの2票、「IKKUは妹の結婚式に出るべき」はトーコとTOMという結果に。人と争うことが苦手だったはずのTOMがMIGHTYとケンカを始めてしまう。 TOM「家族のほうが俺らより歴史がなげぇだろ。生まれてから死ぬまでなんだからさ」 いつも当たり前のことしか言わない退屈な男・TOMだが、当たり前すぎてこの言葉にはハッとさせられる。このままでは自分の家族だけでなく、「SHO-GUNG」までバラバラになってしまう。IKKUは「俺、やっぱり行くよライブ」という言葉で、その場を収めるしかなかった。 栃木県日光を通過するカブラギ号に、危うく轢かれそうになる2人組の男。『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)でIKKU、TOMとコラボした「征夷大将軍」だ。「征夷大将軍」はもう解散したけど、残ったメンバーで地元の名産ギョーザをネタにしたラップづくりに励んでいた。走行中の車には気をつけて、頑張ってほしい。 トーコがスマホで見つけた調理専門学校を見学するため、一行は『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京系)でおなじみ赤羽で途中下車することに。ここでIKKUのスマホに着信音が。妹の茉美からだ。「ライブがあるから、結婚式には出られない」とIKKUが告げると、「もういい。勝手にすればッ」と号泣する茉美。自分よりしっかりしていると思っていた妹だったが、子どもの頃のように自分のせいで泣き出してしまった。電話口で泣く女の声ほど、男の胸を切り裂くものはない。ライブまであと2日だが、まだIKKUは迷っている。 そして“魔境”赤羽に現われたのは、極悪ヒップホップグループの「極悪鳥」。『SR3』でMIGHTYが起こした傷害事件が原因で「極悪鳥」もまた解散に追い込まれ、中心メンバーだった大河(橘輝)や海原(板橋駿谷)は闇金系裏ビジネスに従事して生き延びていた。ひとりでタバコを吸っていたMIGHTYは、大河と海原に睨まれて、金縛り状態に。ボコられた上に拉致られてしまう。 全11話で、最終回は川崎クラブチッタでのライブ編になるだろうから、残り9話と10話で、MIGHTY奪回作戦とIKKUの家族問題を同時に解決しなくてはならない。牧歌的ムードの音楽ロードムービーから、急展開のサスペンスドラマへ変調していく『マイクの細道』。残りのエピソードから目が離せない! (文=長野辰次)テレビ東京系『『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』』番組サイトより
『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第8話 待望の神曲が降臨! そして極悪鳥ふたたび……
1話につき正味20分しかないため、なかなか青森から川崎まで辿り着くことができない『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』。だが、第8話はかつてなかった大展開。伝説のタケダ先輩が兄弟で並び立ち、ついにIKKUが東京都内に足を踏み入れるという、『SR』史上に残るメモリアルなエピソード回となった。 ここまでの流れを簡単に振り返ると、埼玉県にある福谷市で暮らすほぼニート男・IKKU(駒木根隆介)が川崎クラブチッタでのライブイベントのオープニングアクトに応募したところ、抽選に当たったことが旅の始まり。もうすぐ嫁との間に子どもが生まれる相棒・TOM(水澤紳吾)を強引に誘って、ヒップホップグループ「SHO-GUNG」を再結成。そして、かつて仲間だったMIGHTY(奥野瑛太)を連れ戻しに、青森県大間へと向かった。前科者であることから実家に戻ることを拒んでいたMIGHTYだったが、「人生をリセットする」ために最初で最後のステージに立つことを決意する。 ドスケベなトラック運転手カブラギ(皆川猿時)のデコトラに乗って、家出娘トーコ(山本舞香)と共に東北道を南下する「SHO-GUNG」。途中、福島にあるヒップホップ寺に立ち寄り、1週間の修業に耐えれば、タケダ住職(上鈴木伯周)から新曲を用意してもらえるという約束を交わす。修業を通して「言葉は友達♪」になった「SHO-GUNG」だったが、IKKUの妹・茉美(柳ゆり菜)の結婚式とライブが重なっていることが判明し、IKKUは激しく動揺……というのが前回まで。 クラブチッタのステージに「SHO-GUNG」として立つか、それとも妹のためにライブを蹴って、結婚式に出席するか。IKKUは悩んでいる。IKKUの苦悶はある意味、必然でもあった。外界から隔離されたお寺で修業に励んだことで、自分にとってのリリックとは何か、表現とは何かをIKKUはいろいろ考えた。表現を突き詰めていくと、自分自身の問題、そして家族の存在にぶつかる。『マイクの細道』の前クールに放映されていた『山田孝之のカンヌ映画祭』(テレビ東京系)では映画プロデュースに初挑戦する山田孝之が“親殺し”をテーマに選んだように、IKKUにとっては父親の命令に逆らい、妹の結婚式を反故することは“親殺し”に等しい行為だった。家族という呪縛から、精神的にも経済的にもどう自立するかは、人間にとっての永遠のテーマだ。 TOMやMIGHTYと一緒にいると気まずいため、夜の本堂にひとり佇むIKKU。翌朝、タケダ住職に俳句を提出すれば、念願の新曲がもらえるはずだった。だが、なかなか筆が進まない。メタボ体型の体を小さく丸めていたIKKUに、「妹さんの結婚式、出なきゃダメだよ」と声を掛けるトーコ。好きでもない相手との結婚を嫌って、大間の実家を飛び出してきたトーコだが、実はみんなから祝福される結婚を願っていることが分かる。本音で語り合うことができるトーコは、すでに「SHO-GUNG」の旅の仲間だった。 そして朝。「SHO-GUNG」の3人はギクシャクしながらもタケダ住職の前に集まり、それぞれの心境を俳句に詠む。 TOM「草の芽を 歌ふるわせる 猪苗代」 MIGHTY「登っても いばらにいばら ラップ道」 ひと晩考えた割には、あまりパッとしない出来。そしてIKKUは……。 IKKU「福谷にも 待ちびとありや 兄妹の」 季語がないし、うまくもないけど、この一句はタケダ住職の胸に突き刺さった。タケダ住職の双子の弟、伝説のタケダ先輩は福谷市の実家で若くして病気で亡くなった。そのタケダ先輩が病床で作った最後のトラックを託されたのが「SHO-GUNG」だった。 IKKU「タケダ先輩の死に目には会えませんでした。でも、葬式のときは安らかな顔でした」 タケダ住職は修業に出てから一度も実家には戻っておらず、弟であるタケダ先輩の葬式にも出ていなかった。そんなタケダ住職は新曲の入った音源を渡しながら、「SHO-GUNG」に頼み事をする。 タケダ住職「用が済んだら、このトラックは弟の仏前に供えてほしい」 兄タケダ先輩はこの後、きっとひとりで泣くことだろう。 「SHO-GUNG」とトーコの新しい旅立ちだった。赤鬼(市オオミヤ)と「五福星」に別れを告げるTOMとMIGHTY。「最後に決めるのは自分自身」という赤鬼の言葉にうなずいてみせるIKKU。トーコは青鬼(野村周平)にコクろうとするが、すでに2人は以心伝心の仲だった。「何かに迷ったらいつでも来てください。美味しい料理をまた」と青鬼から先に言われてしまう。トーコの恋は実らなかった。でも、料理の道に進む決心がつき、心は晴れやかだった。そして、山門をくぐるIKKUの目には、タケダ住職&タケダ先輩(上鈴木伯周&上鈴木タカヒロ)が2人並んで自分たちのことを見送ってくれているように感じられた。 川崎に向かって爆走するカブラギ号に、兄タケダ先輩が作ってくれた新曲が流れる。生きるということは、死ぬまで悩み続けるということ。悩みながら、傷つきながらも、前へ進んでいこう。そんなポジティブな気分にさせてくれる明るいミディアムテンポの曲だった。新曲を聴きながら、クラブチッタで披露するリリックをそれぞれノートにしたためる「SHO-GUNG」。そして料理の勉強をしたいとカブラギに伝えるトーコ。音楽を聴いても、決してお腹は満たされない。でも音楽はコドクな人間の心を癒し、迷っている人間の背中を力強く押してくれる。『マイクの細道』のシリーズを通して、サイコーにハッピーな時間が流れていく。 このままハッピー気分で終わればいいのにと思うけど、そうはしないのが入江悠監督であり、『SRサイタマノラッパー』の世界。喜びと哀しみはいつも背中合わせの関係だ。待望の新曲は手に入ったが、まだIKKUの問題は解決されていない。ドライブインで昼食を兼ねた緊急会議が開かれ、「IKKUはライブを優先するべき」がMIGHTYとカブラギの2票、「IKKUは妹の結婚式に出るべき」はトーコとTOMという結果に。人と争うことが苦手だったはずのTOMがMIGHTYとケンカを始めてしまう。 TOM「家族のほうが俺らより歴史がなげぇだろ。生まれてから死ぬまでなんだからさ」 いつも当たり前のことしか言わない退屈な男・TOMだが、当たり前すぎてこの言葉にはハッとさせられる。このままでは自分の家族だけでなく、「SHO-GUNG」までバラバラになってしまう。IKKUは「俺、やっぱり行くよライブ」という言葉で、その場を収めるしかなかった。 栃木県日光を通過するカブラギ号に、危うく轢かれそうになる2人組の男。『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)でIKKU、TOMとコラボした「征夷大将軍」だ。「征夷大将軍」はもう解散したけど、残ったメンバーで地元の名産ギョーザをネタにしたラップづくりに励んでいた。走行中の車には気をつけて、頑張ってほしい。 トーコがスマホで見つけた調理専門学校を見学するため、一行は『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京系)でおなじみ赤羽で途中下車することに。ここでIKKUのスマホに着信音が。妹の茉美からだ。「ライブがあるから、結婚式には出られない」とIKKUが告げると、「もういい。勝手にすればッ」と号泣する茉美。自分よりしっかりしていると思っていた妹だったが、子どもの頃のように自分のせいで泣き出してしまった。電話口で泣く女の声ほど、男の胸を切り裂くものはない。ライブまであと2日だが、まだIKKUは迷っている。 そして“魔境”赤羽に現われたのは、極悪ヒップホップグループの「極悪鳥」。『SR3』でMIGHTYが起こした傷害事件が原因で「極悪鳥」もまた解散に追い込まれ、中心メンバーだった大河(橘輝)や海原(板橋駿谷)は闇金系裏ビジネスに従事して生き延びていた。ひとりでタバコを吸っていたMIGHTYは、大河と海原に睨まれて、金縛り状態に。ボコられた上に拉致られてしまう。 全11話で、最終回は川崎クラブチッタでのライブ編になるだろうから、残り9話と10話で、MIGHTY奪回作戦とIKKUの家族問題を同時に解決しなくてはならない。牧歌的ムードの音楽ロードムービーから、急展開のサスペンスドラマへ変調していく『マイクの細道』。残りのエピソードから目が離せない! (文=長野辰次)テレビ東京系『『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』』番組サイトより
『孤独のグルメ Season6』第7話 糖質制限って何!? 皿うどんとちゃんぽんの一気食いが見せるゴローちゃんの本気
深夜の飯テロ番組も、いよいよ第7話。今シーズンもイカしたメシ屋が次々と登場し、足を運んでみたくなっている人も多いのではないでしょうか。とはいえ、これまでのシーズンで放送された店も、いまだに番組の余波で大混雑。空いてから出かけたほうがよいのですが、タイミングが難しいものですね。 ともあれ、この番組を通して学ぶのは、見知らぬメシ屋に入るとき、まずスマホで口コミ情報を探すというクセはやめたほうがいいということ。飽くなきチャレンジ精神こそが『孤独のグルメ』を楽しむ上で、最も重要なのだと思う次第です。 さて、今回ゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)が商談にやってきたのは、なんかちょっと悪そうなヤツらがそろっている地下のクラブ。 「うわ、うるさいな……」 慣れない空間に、引き気味のゴローちゃん。 「すいませーん」 大きな声がよく通ること。そりゃ、松重ゴローちゃん。芸歴が長いですからね。 今回の依頼主は、窪塚俊介。クラブの内装を変えたいということで相談なんですが、なぜゴローちゃんに依頼をしようとしたのでしょう。 「エモい」とかいう、聞き慣れない単語に、慣れないテンション。おまけに提示された予算に「ちょっと~」と言うしかありません。 おまけに、予算を聞けば微妙にオラオラな感じで「渋谷イチのクラブにしたい」と言ってくるではありませんか。「いや、その額で渋谷イチって……」と、思いはすれども、断りづらいゴローちゃん。自営業者なんだから、ダメなものはダメと言わねば、損をするばかりじゃないですか。何やってんのよ!! そんなことを思っていたら、場面は転換。 店を出たゴローちゃんが会話してるのは、紹介者。ああ、人の紹介だと断りづらいものですよねえ。おまけに紹介者から「無理だったら、私から断りを入れますんで~」だって。そんなことを言われたら、余計に断りづらいではありませんか。 「案外、純粋でいいやつだとわかるんだが、なんだか同じ地面で話ができない……」 おや、今回のシナリオは冒頭から尖ったセリフが飛び出す。これも、クラブの効果でしょうか。 かくて、いつものように店を探し始めたゴローちゃん。 「俺がザザっと飯を入れていく店って、もうこの街にはないのか」 「渋谷、もう来るとこじゃないのかな」 おお、原作でも渋谷に出てきたゴローちゃんが漏らした名ゼリフが登場。谷口ジロー先生ならではの、独特の哀愁ある中年でなくてはサマにならないセリフ。松重ゴローちゃんも、こういうセリフはうまいですよね!! ついにあきらめかけたゴローちゃん。 「このあと、浜田山だから……」 いや、元・浜田山住人の筆者ですけど。いったい浜田山で何を食べろというのでしょう? お願いだから、それだけはやめようよ。 と、ここでゴローちゃんが思い出す、昔の素敵な食事の記憶。 「百軒店に餃子と焼きそばのうまい店があったな……まだあるかな」 ああ、絶対にないよ。ゴローちゃん。かつてのおいしい店はすべて記憶の彼方に。失敗が見えるゆえにか、泣いてしまうようなシーンです。 と、腹が減っているはずなのに「こんな路地あったけ」と路地に迷い込むゴローちゃん。 ふと見つけたのは、長崎飯店。名前の通り、ちゃんぽんの店。ご存じの人も多いですが、渋谷のほか、麹町や虎ノ門にもある東京で、本物のちゃんぽんを食べることができる名店です。 「およそ今どきの企業家がつける店名ではない。俺が歩いていた昔の渋谷だ」 ゴローちゃんの歩いていた渋谷とは、いつ頃のことを指しているのでしょうか。年代からすると、コンパでにぎわったバブル時代なのでしょうけど。確かに現在よりも、こんな雰囲気の個人商店は多かったハズ。 一気にお店を気に入ったゴローちゃん。ここで不穏なセリフが。 「いいなあ、長崎ちゃんぽん。餃子に春巻きもある」 うむ。長崎ちゃんぽんは具材の多さゆえに、サイドメニューを頼むと満腹MAXになってしまう料理。まあ、ゴローちゃんの胃袋ならば安心でしょう。 百軒店はまた今度として、入店。活気のある店内で女将を演じるのは川上麻衣子。まずは、相席が基本のルールに、戸惑いながらも納得するゴローちゃん。 「ちゃんぽん、皿うどん。気絶するほど悩ましい……」 なるほど、長崎の人でもなければ、あまり食べる機会のないメニュー。いざとなれば、悩むのも納得です。 「あのパリパリの麺にたっぷり酢をかけて食べる皿うどん……」 「でも、ちゃんぽんスープのあのコクもめくるめくうまさなんだよなあ……」 しかもこの店、皿うどんには硬い麺と柔らかい麺を用意しているので、悩みは増えます。 悩んで、やわ麺を注文するゴローちゃんですが、ほかの客がカタ焼きソバを注文するのを聞き「思いのほか、硬派な店だったか」と、すかさず春巻きも追加。パリパリの食感も同時に味わおうという趣好ですね。 さて、定番の調理中のワンカットを経て運ばれてくる、皿うどん。 「このとろみ、とろみから立ち上る湯気、たまらん」 いや、これはマジにうまそう。ああ、深夜に皿うどんを食べられる店がないのが悔しい。 「まずは、そのままいってみよう……おお、重い」 しっかりした太麺の感触を箸で味わいすすれば「うまい……初めて食ったけど、これはいい。麺がメチャクチャうまいぞ……」。 とにかく「うまい」と「うーん」の少ない言葉で、うまさを視聴者に伝えようとするゴローちゃん。「おこげ」「いか」「あさり」とポツリとつぶやいたり、絶妙な言葉のセレクトでうまさを伝えてくるのです。 「皿の中の有明海は豊漁だ」 と、ここで「一度仕掛けてみるか」と、卓上の調味料に手が伸びます。 「ベースの味がいいから、かけすぎは禁物だ」 そういいながら、選ぶのはカラシに酢です。 「おう、グッと皿うどんらしくなった」 食欲をそそる調味料の代表格ともいえる酢。 「もうちょっとかけても許されるんじゃないだろうか」 と、さらにぶっかけ堪能するゴローちゃん。 そこで挿入されるのは、具材に牡蠣が入っている喜び。でも、そこに安っぽいカマボコが入っているからこそ、さらに食欲はそそられるのです。 そんなゴローちゃんの食べっぷり劇場に、今回は周囲の客の食べっぷりをワンカット挿入。「うまそうな音させやがるなあ……」と、なぜか対抗心を燃やすゴローちゃん。 お次は、いよいよ春巻きの登場です。 「きたきたぁ、俺のパリパリ……」 「ふふっ、一人回転テーブル」 なぜか子どもみたいに、調味料の回転部分を回しただけでうれしい、かわいいゴローちゃん。 しっかり吟味した調味料をつけて食べる春巻は、やっぱり最高。 「口の中にスプリングトルネードが巻き起こっていく」 「数あるメニューの中から春巻きを見つけ出し、久しぶりに食う皿うどんに合わせる。これ以上にないオーダーだったんじゃないか」 何やら、いつも以上に満足度の高いゴローちゃん。でも、まだここまで放送時間は18分。残りの時間になにが起こるのか。さらに、期待は高まります。 突如挿入されるのは、別のテーブルの客の会話。 「えっ、ソースかけるんですか?」 「知らないの? 長崎じゃフツーだから」 ゴローちゃんに食のタブーはありません。早速試すゴローちゃん。 「長崎うまかー!!」 と、ソースをかけまくっていると、川上が「甘くておいしいですよ」と長崎のソースを出してくるのです。 「お、長崎ソースいいじゃないか、めちゃくちゃうまい。皿うどんを選んだ俺、でかした」 一気にかきこむ、残りの皿うどん。 「俺は、こんな店が好きなんだ」 ノスタルジックな言葉をつぶやき、満足するゴローちゃん。 でも、やっぱり俺たちのゴローちゃんは違った。別のテーブルから聞こえる「ちゃんぽんおいしかった」の声。 「おかわりちゃんぽん、いってみよう!」 麺少なめで注文したとはいえ、皿うどんに春巻きを食べた上に、結局ちゃんぽんも注文してしまうゴローちゃん。 「一度はあきらめた、このスープ」 「いい、すごくいい……」 「そうだよ、これだよこれ……一度はあきめた、この味……」 感動の上に感動を感じるゴローちゃん。「ならば本気モードでいこう」と、一気食い。 「追いちゃんぽんを追加したのは正解だ……」 「俺は今日、ちゃんぽんのことを本気で好きになってしまった」 まさかと思いましたが、皿うどんとちゃんぽんの同時食いをこなしてくれたゴローちゃん。いやいや、やはり『孤独のグルメ』の真髄は、食いすぎだろ~とあきれるほどの食べっぷり。ヘルシー志向とか、糖質制限などとかいう、草食系な言葉には踊らされぬゴローちゃんの、硬派な精神世界を見習わなくてはならぬと、思いました。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
『孤独のグルメ Season6』第7話 糖質制限って何!? 皿うどんとちゃんぽんの一気食いが見せるゴローちゃんの本気
深夜の飯テロ番組も、いよいよ第7話。今シーズンもイカしたメシ屋が次々と登場し、足を運んでみたくなっている人も多いのではないでしょうか。とはいえ、これまでのシーズンで放送された店も、いまだに番組の余波で大混雑。空いてから出かけたほうがよいのですが、タイミングが難しいものですね。 ともあれ、この番組を通して学ぶのは、見知らぬメシ屋に入るとき、まずスマホで口コミ情報を探すというクセはやめたほうがいいということ。飽くなきチャレンジ精神こそが『孤独のグルメ』を楽しむ上で、最も重要なのだと思う次第です。 さて、今回ゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)が商談にやってきたのは、なんかちょっと悪そうなヤツらがそろっている地下のクラブ。 「うわ、うるさいな……」 慣れない空間に、引き気味のゴローちゃん。 「すいませーん」 大きな声がよく通ること。そりゃ、松重ゴローちゃん。芸歴が長いですからね。 今回の依頼主は、窪塚俊介。クラブの内装を変えたいということで相談なんですが、なぜゴローちゃんに依頼をしようとしたのでしょう。 「エモい」とかいう、聞き慣れない単語に、慣れないテンション。おまけに提示された予算に「ちょっと~」と言うしかありません。 おまけに、予算を聞けば微妙にオラオラな感じで「渋谷イチのクラブにしたい」と言ってくるではありませんか。「いや、その額で渋谷イチって……」と、思いはすれども、断りづらいゴローちゃん。自営業者なんだから、ダメなものはダメと言わねば、損をするばかりじゃないですか。何やってんのよ!! そんなことを思っていたら、場面は転換。 店を出たゴローちゃんが会話してるのは、紹介者。ああ、人の紹介だと断りづらいものですよねえ。おまけに紹介者から「無理だったら、私から断りを入れますんで~」だって。そんなことを言われたら、余計に断りづらいではありませんか。 「案外、純粋でいいやつだとわかるんだが、なんだか同じ地面で話ができない……」 おや、今回のシナリオは冒頭から尖ったセリフが飛び出す。これも、クラブの効果でしょうか。 かくて、いつものように店を探し始めたゴローちゃん。 「俺がザザっと飯を入れていく店って、もうこの街にはないのか」 「渋谷、もう来るとこじゃないのかな」 おお、原作でも渋谷に出てきたゴローちゃんが漏らした名ゼリフが登場。谷口ジロー先生ならではの、独特の哀愁ある中年でなくてはサマにならないセリフ。松重ゴローちゃんも、こういうセリフはうまいですよね!! ついにあきらめかけたゴローちゃん。 「このあと、浜田山だから……」 いや、元・浜田山住人の筆者ですけど。いったい浜田山で何を食べろというのでしょう? お願いだから、それだけはやめようよ。 と、ここでゴローちゃんが思い出す、昔の素敵な食事の記憶。 「百軒店に餃子と焼きそばのうまい店があったな……まだあるかな」 ああ、絶対にないよ。ゴローちゃん。かつてのおいしい店はすべて記憶の彼方に。失敗が見えるゆえにか、泣いてしまうようなシーンです。 と、腹が減っているはずなのに「こんな路地あったけ」と路地に迷い込むゴローちゃん。 ふと見つけたのは、長崎飯店。名前の通り、ちゃんぽんの店。ご存じの人も多いですが、渋谷のほか、麹町や虎ノ門にもある東京で、本物のちゃんぽんを食べることができる名店です。 「およそ今どきの企業家がつける店名ではない。俺が歩いていた昔の渋谷だ」 ゴローちゃんの歩いていた渋谷とは、いつ頃のことを指しているのでしょうか。年代からすると、コンパでにぎわったバブル時代なのでしょうけど。確かに現在よりも、こんな雰囲気の個人商店は多かったハズ。 一気にお店を気に入ったゴローちゃん。ここで不穏なセリフが。 「いいなあ、長崎ちゃんぽん。餃子に春巻きもある」 うむ。長崎ちゃんぽんは具材の多さゆえに、サイドメニューを頼むと満腹MAXになってしまう料理。まあ、ゴローちゃんの胃袋ならば安心でしょう。 百軒店はまた今度として、入店。活気のある店内で女将を演じるのは川上麻衣子。まずは、相席が基本のルールに、戸惑いながらも納得するゴローちゃん。 「ちゃんぽん、皿うどん。気絶するほど悩ましい……」 なるほど、長崎の人でもなければ、あまり食べる機会のないメニュー。いざとなれば、悩むのも納得です。 「あのパリパリの麺にたっぷり酢をかけて食べる皿うどん……」 「でも、ちゃんぽんスープのあのコクもめくるめくうまさなんだよなあ……」 しかもこの店、皿うどんには硬い麺と柔らかい麺を用意しているので、悩みは増えます。 悩んで、やわ麺を注文するゴローちゃんですが、ほかの客がカタ焼きソバを注文するのを聞き「思いのほか、硬派な店だったか」と、すかさず春巻きも追加。パリパリの食感も同時に味わおうという趣好ですね。 さて、定番の調理中のワンカットを経て運ばれてくる、皿うどん。 「このとろみ、とろみから立ち上る湯気、たまらん」 いや、これはマジにうまそう。ああ、深夜に皿うどんを食べられる店がないのが悔しい。 「まずは、そのままいってみよう……おお、重い」 しっかりした太麺の感触を箸で味わいすすれば「うまい……初めて食ったけど、これはいい。麺がメチャクチャうまいぞ……」。 とにかく「うまい」と「うーん」の少ない言葉で、うまさを視聴者に伝えようとするゴローちゃん。「おこげ」「いか」「あさり」とポツリとつぶやいたり、絶妙な言葉のセレクトでうまさを伝えてくるのです。 「皿の中の有明海は豊漁だ」 と、ここで「一度仕掛けてみるか」と、卓上の調味料に手が伸びます。 「ベースの味がいいから、かけすぎは禁物だ」 そういいながら、選ぶのはカラシに酢です。 「おう、グッと皿うどんらしくなった」 食欲をそそる調味料の代表格ともいえる酢。 「もうちょっとかけても許されるんじゃないだろうか」 と、さらにぶっかけ堪能するゴローちゃん。 そこで挿入されるのは、具材に牡蠣が入っている喜び。でも、そこに安っぽいカマボコが入っているからこそ、さらに食欲はそそられるのです。 そんなゴローちゃんの食べっぷり劇場に、今回は周囲の客の食べっぷりをワンカット挿入。「うまそうな音させやがるなあ……」と、なぜか対抗心を燃やすゴローちゃん。 お次は、いよいよ春巻きの登場です。 「きたきたぁ、俺のパリパリ……」 「ふふっ、一人回転テーブル」 なぜか子どもみたいに、調味料の回転部分を回しただけでうれしい、かわいいゴローちゃん。 しっかり吟味した調味料をつけて食べる春巻は、やっぱり最高。 「口の中にスプリングトルネードが巻き起こっていく」 「数あるメニューの中から春巻きを見つけ出し、久しぶりに食う皿うどんに合わせる。これ以上にないオーダーだったんじゃないか」 何やら、いつも以上に満足度の高いゴローちゃん。でも、まだここまで放送時間は18分。残りの時間になにが起こるのか。さらに、期待は高まります。 突如挿入されるのは、別のテーブルの客の会話。 「えっ、ソースかけるんですか?」 「知らないの? 長崎じゃフツーだから」 ゴローちゃんに食のタブーはありません。早速試すゴローちゃん。 「長崎うまかー!!」 と、ソースをかけまくっていると、川上が「甘くておいしいですよ」と長崎のソースを出してくるのです。 「お、長崎ソースいいじゃないか、めちゃくちゃうまい。皿うどんを選んだ俺、でかした」 一気にかきこむ、残りの皿うどん。 「俺は、こんな店が好きなんだ」 ノスタルジックな言葉をつぶやき、満足するゴローちゃん。 でも、やっぱり俺たちのゴローちゃんは違った。別のテーブルから聞こえる「ちゃんぽんおいしかった」の声。 「おかわりちゃんぽん、いってみよう!」 麺少なめで注文したとはいえ、皿うどんに春巻きを食べた上に、結局ちゃんぽんも注文してしまうゴローちゃん。 「一度はあきらめた、このスープ」 「いい、すごくいい……」 「そうだよ、これだよこれ……一度はあきめた、この味……」 感動の上に感動を感じるゴローちゃん。「ならば本気モードでいこう」と、一気食い。 「追いちゃんぽんを追加したのは正解だ……」 「俺は今日、ちゃんぽんのことを本気で好きになってしまった」 まさかと思いましたが、皿うどんとちゃんぽんの同時食いをこなしてくれたゴローちゃん。いやいや、やはり『孤独のグルメ』の真髄は、食いすぎだろ~とあきれるほどの食べっぷり。ヘルシー志向とか、糖質制限などとかいう、草食系な言葉には踊らされぬゴローちゃんの、硬派な精神世界を見習わなくてはならぬと、思いました。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
“芸能界に潜入したルポライター” 芥川賞作家・羽田圭介が大暴れ! 暴露本に期待大?
長い歴史を誇る芸能界には、タレント本人執筆による「暴露本」がいくつか存在する。 故・長門裕之は著書『洋子へ』(データハウス)で、自身の女性関係を、実名を交えてあけすけにつづっており、業界内に大騒動を巻き起こした。島田紳助の元相方、故・松本竜介は著書『ウシロからマエから ヘンタイ光線銃発射!』(講談社)にて、実名を挙げながら芸能界の性の交遊録を赤裸々に明かし、読んでいるこっちがヒヤヒヤするレベルの情報を開示してくれている。 そして今、芥川賞作家の羽田圭介に期待したい。彼が今年発表した『成功者K』(河出書房新社)は、著者本人がモデルだと思われる小説家が成功を手にし、ファンに手を出しまくる様子が生々しく描かれているのだ。もちろん、テレビ出演時のギャランティを暴露するのは当たり前。とにかく、その筆の鋭さは尋常じゃないのだ。 ■テレ東のギャラを嘆き、「テレ朝が最もいい」と暴露 羽田は5月25日放送の『じっくり聞いタロウ』(テレビ東京系)に出演したのだが、ここでもあけすけだった。テレ東の番組に出ていながら、同局出演時の冷遇っぷりを躊躇せずに口にしてしまうのだから。 「ほかのテレビ局は帰りにタク券(タクシーチケット)が出ますけど、テレ東は……。この前、出なかったんですよ。『○○○』って番組なんですけど」 今回も、タクシーチケットが出るかのかどうかを不安視する羽田。というのも、この番組の収録後に、彼は某カーディーラーで試乗予約をしているという。そこには、どうしてもタクシーで行きたい。だから「タク券もらえなかったら、電車で行くには面倒くさい」と、堂々とこぼしてしまう。スタッフに確認すると、今回はめでたくタク券が出るとのことで、彼も一安心だ。 このようにテレ東に対して疑心暗鬼になっている羽田であるが、今年から同局でレギュラー番組をスタートさせている。俳優・田中要次とタッグを組み『ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z』に出演中なのだ。 しかし、彼はこの番組に対しても文句がある模様。言うまでもなく、ギャラに関してだ。路線バスを乗り継いで目的地を目指していく企画だけに、ロケは3泊4日という長丁場になってしまう。当然、受け取るギャラは3泊4日分。 「最後、ゴールしてその日のうちに東京に帰れないとなると、後泊もあるんです。そうなると、5泊6日になるんですよ。3泊4日のギャラしかもらえないのに、5泊6日拘束されて。しかも、5泊6日かけて受け取ったギャラが、テレビ朝日の2時間のクイズ番組のギャラと同じなんですよ。テレ朝だったら8時間(収録)で済むのに、テレ東だと5泊6日。同じギャラでこんなに違うのかなって……」 もう言いたい放題だ。純粋なタレントではなく、作家という“お客さん”的な立ち位置だからこそ許される放言だろうか? いや、それを加味してもアクセルを踏みすぎてるように思う。 ちなみに、今回の『じっくり聞いタロウ』のギャランティは、どうだったのだろう? 「割と安めです。でも、旅行とかもゴールデンウィーク明けって、結構安いじゃないですか? 自分もテレビの仕事が少なめの時期だったんで、安くてもいいかって感じで」 かなりあけすけにしゃべってくれているが、ここまで明かしたのは今回が初めてとのこと。ちなみに羽田いわく、ギャランティの最もいい局はテレビ朝日だそう。ものすごい情報開示ではないか。 「こういう時、芸能事務所に入ってないと『あそこカットしてください』って言いづらいですよね(苦笑)」(羽田) とはいえ、彼は今回のみならず、著書でもスレスレの情報を開示している。今後もこの芸風を続け、世に暴露し続ける姿勢を期待したい。それは金銭面のみならず、業界内の人間関係や交遊録についてもだ。 羽田圭介は、さながら“芸能界に潜入したルポライター”である。







