気がつけば、暑い季節がやってきました。 そんな季節に食べたいのは、冷たいものとか辛いもの。そんな視聴者の気持ちに合わせてテーマを決めてくれるスタッフには、感謝の気持ちすら湧くのが、今回です。 さあ、今回ゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)がやってきたのは、文京区は茗荷谷。つくづく思うのですが、初見の人にはまったく読めない地名です。だいたいの読めない人は「……(読めない)……たに?」とか言うのですが、一度だけ「いらにや」と読む人に遭遇したことがあります。 ともあれ、今回ゴローちゃんがこの街にやってきた理由は取材。片桐仁演じる編集者に、インテリア雑誌の取材を受けることになったのです。しょっぱなから「撮影から始めさせていただきます」と言われて「こんなハズじゃなかった……」と戸惑うゴローちゃん。おまけに、インタビューになれば「モテそうな部屋のデザイン」を聞かれてしまい、苦笑するしかありません。 なお、このシーンの冒頭で挿入される出版社の外観と編集部は文溪堂。学校教材とか児童書の出版社なんですが、どういう都合でこちらを借りたのでしょうか? 慣れないだけでなく、アホな取材ですっかり疲れたゴローちゃん。播磨坂桜並木をトボトボ歩けば腹も減ります。取材のシーンで使っていたカフェとかもそうなんですが、播磨坂桜並木あたりは、文京区で最もスカしたハイソな人々(笑)が集うところなので、ぜひ見物にお出かけください。 いつも通り店を探しに歩き始めたゴローちゃんですが、今回はあまり迷わず。播磨坂桜並木の突き当たり、共同印刷のある信号を左に曲がって歩くこと100メートルあまり。見つけたのは「中国料理 豊栄」です。 「今の腹ぺこ具合には、やっぱり中華の油が欲しいかな」 この年齢でなお体が油を求めるゴローちゃんを見習いたいと本気で思う、今日この頃。 「お、黒板メニューか……冷やしタンタンいいなあ」 いきなりこの店はおいしそうではありませんか。入る前、隣の蕎麦屋と迷ったゴローちゃんは「一挙両得」と喜びます。 迷うことなく注文するのは、冷やしタンタン麺とウーロン茶。ホント、ゴローちゃんてば、ランチで1,000円札を消滅させるのに躊躇がありませんよね。普段から儲かっているのか? 「よし、とりあえず冷やしタンタン確保。お次は……」 ランチタイムなのに、どれだけ頼むんだよ。今さらだけど。 一風変わったメニューの名前に、いろいろと迷い始めるゴローちゃん。「アボカドのせいろ蒸し」「中華茶碗蒸し」「回鍋肉」「白ご飯」。 水沢エレナ演じる店員は涼しい顔で注文を受けているわけですが、この客は明らかにオカシイ。 近くのテーブルを見て「昼間っから大胆に店を広げちゃってるなあ~」と言うけど、アンタもな。 そうして届いた「食卓のプール開き」である冷やしタンタン麺。器もしっかり冷やされている逸品です。汁なしタイプのそれを、ゴローちゃんはとにかくまぜまぜ。 「うん、うまい、あれ……ぜんぜん辛くない。ていうかなんだ? 見た目は確かにタンタン麺だけど、味は冷やし中華っぽいぞ……んおほお、これメチャクチャうまい……」 「これ、ひょっとして大傑作じゃないの?」 とにかく褒めまくりながら、えらいスピードで食べ進めるゴローちゃん。 「冷やしなのに食欲を燃え上がらせる……全然、まだ食える」 こうしてゴローちゃんは、いつも以上に不穏なセリフ。 「オレ、今さらながら相当腹が減っていた。ここがゼロ地点だ……」 並べられるのは、「アボカドのせいろ蒸し」「中華茶碗蒸し」「回鍋肉」「白ご飯」。 「まずは、チャイニーズアボカド」 タレに浮かんでいるアボカドという、未知のうまさを視聴者にアピール。 「わほう、何これ? アボちゃん蒸すと、こんなにうまくなるの……とろっとろ、アボの大トロだ……」 それをご飯にのせれば「アボカドゴロネーゼ……おお、これ最高! さいこうたかもり!」と、例えようのないおいしさは、例えようのない寒いギャグで煽られます。 続く「中華茶碗蒸し」は、日本の茶碗蒸しとは違う食べ物。 「これはいくらでも入るヤツだ」 なにせこの料理、旨みは凝縮されているけど、具はないのです。自信がなければ出せない料理であることは間違いありません。 でも、こんなのはまだ前座。今日のゴローちゃんのメインは回鍋肉なんですから。 「うん、うまい。これぞ空腹にクサビを打ち込む男メシだ。中華の中の中華キングオブ中華……座っているのがやっとなほどうまい」 この回鍋肉、使っている肉がバラ肉を厚めに切ったもののよう。そりゃ、味が染みこんでうまくなるのは必然ではないでしょうか。 本来なら、ここでラストスパートに入るハズが、今回はちょっとイレギュラー。栗原英雄演じる常連客が、水煮牛肉を注文するのです。水煮牛肉といえば、最近はちょっとメジャーになった辛い料理。この店では特に辛いのか、周囲に唐辛子に味と臭いをまきちらし店員も恐れおののいています。 「ここの水煮牛肉好きなんですよ……」 ガチでむせながら食べる栗原。 これはズルイ……。このシーンで、いつものラストスパートのゴローちゃんの印象が、まったく吹き飛んでしまうのです。 「ああ、腹パンパン……」 次回は、あの辛いヤツを着替え持参で汗ダラダラかきながら食べてみようと決意するゴローちゃん。いや、このままじゃレギュラーの座がヤバイ? ま、単に食べるだけなのにライバルが出現する展開は『食の軍師』でもやってますしね。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
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フジ『フルタチさん』が、テレ東『池の水ぜんぶ抜く』に完敗! 2週連続で「年配者の小言」放送
古舘伊知郎が司会を務めるフジテレビ系バラエティ番組『フルタチさん』が、テレビ東京系の裏番組『“池の水ぜんぶ抜く!”緊急SOS!ヤバイ現場に行ってみた!』に視聴率で完敗してしまった。 『池の水ぜんぶ抜く!』は、25日に第3弾を放送。平均視聴率20.3%を記録した『世界の果てまでイッテQ!』(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の裏にもかかわらず、9.7%と健闘した。なお、第1弾(1月15日)は8.3%、第2弾(4月23日)は8.1%で、第3弾がシリーズ最高だった。 「池の水を抜くだけのシンプルな企画ですが、これが『新しい』と視聴者の支持を集めた。日テレの一強が続く日曜ゴールデン帯において、この数字を叩き出せる同企画は“発明”と言っても過言ではないでしょう」(テレビ誌記者) 一方、この日の『フルタチさん』では、「人生の先輩の怒り35連発!!」と題し、60歳以上の一般人の声を次々と紹介。「昔のような親子の絆がなくなった」「テレビの料理番組で、若い出演者が髪を触りながら料理する」「外食の値段が高い」といった怒りの声が放送された。 また、67歳の歌手・松崎しげるもVTRで登場。先輩の飲みの誘いを断る若者に憤りを感じているといい、「昔は先輩から言われたら、『じゃあ1時間でも』って言いながら2時間3時間引き回すっていうのが僕ら先輩の役目だった」「しゃべってても目線がスマホにいっちゃってたりさ、冗談じゃないよ、お前。先輩がしゃべってたらこっち向けよ!」と声を荒らげた。 スタジオでは、古舘、毒蝮三太夫、梅沢富美男が横並びでトークを繰り広げていたが、それを見ている一般観覧客も全員が年配者。視聴者のターゲットを、完全にM3層(50歳以上の男性)やF3層(50歳以上の女性)に絞ったということだろうか? 「前週の放送でも『60歳以上の怒り第2弾!古舘×梅沢×毒蝮…全国怒りの大調査SP』と同じような内容を放送。しかも、古舘、毒蝮、梅沢の衣装が全く同じであることから、2本撮りだった模様。予算に余裕がないのでしょうか……」(同) 昨年11月のスタート以来、幾度となくリニューアルを繰り返している『フルタチさん』。今月18日の放送では平均視聴率4.9%を記録するなど、いつ打ち切られてもおかしくない状況だ。 「『俺たちの時代は~』『今の若者は~』というVTRを2時間近く見せられる視聴者は不快でしかなく、とても高視聴率を狙っているようには思えない。また、陳腐な切り口が目立ち、目新しさは見当たらない。その点は、テレ東の自由な発想を見習うべきでは?」(同) 2週連続で「年配者の小言」を放送した『フルタチさん』。日テレに対抗するつもりはあるのだろうか?フジテレビ公式サイトより
番組と局の垣根を飛び越えた、『YOUは何しに』ドイツ人カップルの『探偵!ナイトスクープ』愛
「『探偵!ナイトスクープ』を見るために日本に来ました」 ドイツ人の大学生カップルは「YOUは何しに日本へ?」と尋ねられ、そう答えた。 『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系)を見続けていると、そういう「そんなことで、はるばる日本まで来るの?」という事例は少なくない。佐世保バーガーを食べるために来たとか、お祭りに参加するために来たとか、ゲームセンターで対戦プレイをするために来たとか、一体どこでそんな情報を? と思うようなことばかりだ。 時はインターネット時代。少なくとも“情報”という部分においては、遠く離れた場所にいようとも、それを入手するのはさほど大変なことではない。この『ナイトスクープ』好きYOUたちも、ネットの動画で番組を“発見”し、好きになったという。 『ナイトスクープ』は、言うまでもなく朝日放送が制作する人気番組。関西ローカルながら、全国に熱烈なファンがいる長寿番組だ。 最初は彼女が見つけ、それを彼氏に紹介。すると、2人のデートは「『ナイトスクープ』を見ること」になった。 2人は日本語を勉強し、いよいよ日本にその収録を見るためにやってきたのだ。 『YOUは~』のスタッフは、当然のように密着取材を申し込んだ。 番組観覧のために日本まで来るというのもクレイジーだが、他局の番組収録を見に行く相手に密着するのもクレイジー。だが、この番組、過去にはTBSの『SASUKE』に挑戦するYOUたちについて行ったこともあるだけに、局の垣根といったハードルを越えることへの躊躇はない。 早速、彼らは大阪に向かい、『ナイトスクープ』を制作している朝日放送へ。だが、聞けば、アポなどを取っていないという。 「行って直接お願いしようと思っている」と。 だが、この日はそもそも、収録日ではなかった。加えて、人気番組の観覧希望者は多数いる。特別扱いはできないと断られてしまうのだ。たとえ、テレビカメラが来ていてもそれは同じ。至極真っ当だ。 落ち込んでいるように見えた2人だが、めげずに正規ルートで応募し、当選を待つことに。朝日放送に向かって「ABC、お願いしますー!」と祈る姿は、なんとも愛おしかった。 その後、2人は奈良公園へ。実はここ、番組屈指の傑作と名高い「20年間会話のない夫婦」の仲直り現場となった場所だ。彼が初めて番組を見た回だという。2人は夫婦が座ったベンチを探し出し、夫婦になりきる「聖地巡礼」を果たす。その姿から、心底番組が好きなんだということが伝わってくる。 これが『YOUは~』で放送されたのは5月22日。その日以降、全国各地から同じ内容の依頼が『ナイトスクープ』の元に大量に届いたという。もちろん、このYOUたちを番組観覧させてやってくれという内容だ。 視聴者からの依頼とあらば「特別扱い」ではない。ちょうど1カ月後の6月23日の放送で、番組は彼らに会いにいくことにしたのだ(※この放送は「TVer」で6月30日まで配信中)。 邪推するならば、『YOUが~』のスタッフも、この展開を望んでいたのではないか。番組をよく見ていればわかるが、この番組は収録から放送までの期間が長いことが多い。ヒドい時には、1年前に密着したものを放送することさえある。しかし、この『ナイトスクープ』好きYOUの場合、4月に密着したものを5月に放送している。かなり早いほうだ。彼らは2カ月日本に滞在すると言っていた。もし放送後、『ナイトスクープ』側からリアクションがあっても十分間に合う計算だ。 そんな思惑があったのか、なかったのか、『ナイトスクープ』から派遣されたハライチの澤部佑探偵は、テレビ東京に出向き、担当ディレクターに話を聞く。もちろん『YOUは~』側も全面協力だ。そして、ついにYOUたちは、澤部探偵と対面したのだ。さらにロケ準備中のカンニング竹山探偵や、「アイドルみたいな存在」という番組常連のパティシエ・林裕人先生などに会いに行く。 2人は目をキラッキラに輝かせ、「人生で一番素晴らしい日」と満面の笑顔。そして、そんな愛情を受けた探偵や出演者たちもうれしそうだ。 そこにあふれていたのは、“テレビを見る”という喜び、そして、テレビの力だ。テレビが夢のおもちゃ箱だった時代を呼び起こすようなダイナミズムを感じさせてくれたし、今だって十分、テレビは夢のおもちゃ箱だと思わせてくれた。 局の垣根だとか、地方局とキー局だとか、タブーだとか、そんな大人の事情なんて関係がない。そんな軽やかさと自由さが、2つの番組にはあるし、それを飛び越えるに足るYOUたちの愛の力があった。 後日、ついにYOUたちの夢がかない、『ナイトスクープ』収録の観覧へ。 「あなたたちは面白い!」 そんなふうに興奮して言う2人に、感極まって秘書の松尾依里佳も局長の西田敏行も涙を流した。 局長が泣く姿を見てどう思うかと聞かれたYOUたちは、見慣れた光景に笑って言った。 「泣くのはわかってた」 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/) ◆「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらからTVer『探偵!ナイトスクープ』より
『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』最終話 祭りを終えたSHO-GUNG、これからどーする!?
テレ東や ラッパーどもが 夢のあと。 地方都市で燻り続ける30男たちが、ダラダラした青春にケジメをつけるために東日本を縦断した深夜ドラマ『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』も今回が最終話。川崎クラブチッタでの初ステージというサイコーの祭りを終えた直後の高揚感と地味な日常へと帰っていく侘しさが入り交じった珠玉のエンディングとなった。 毎週流れたライムスターが歌う主題歌は、今回は特別バージョンの「SR Remix」。オープニングからスペシャル感が漂っている。前回から引き続き、「SHO-GUNG」のチッタでのライブが臨場感たっぷりに映し出される。1曲目の『SRサイタマノラッパー』のテーマ曲で観客の心をつかんだIKKU(駒木根隆介)、TOM(水澤紳吾)、MIGHTY(奥野瑛太)たち。DJの和夫(ロベルト吉野)はすでに汗だくになっている。 IKKU「誰も知らないと思うが、俺がレペゼンサイタマのMC IKKUだ。とうとう辿り着いたぜ、川崎クラブチッタ!」 IKKUのマイクアピールと共に、兄タケダ先輩(上鈴木伯周)がつくってくれた新曲『マイクの細道』の多幸感あふれる前奏がチッタに流れる。2曲目の立ち位置を失念していたのか、トーコ(山本舞香)がIKKUに促され、カブラギ(皆川猿時)の横に並ぶ様子がすごくリアルだ。 IKKU「チャンスとマイクは自分でつかむ♪」 TOM「俺たちサイコーのバカだな。やっぱり仲間は宝だからな♪」 MIGHTY「叫び続けるのが男の性。今度こそ咲かせてみせますブロの花♪」 カブラギ役の皆川猿時は「グループ魂」でライブ慣れしているが、今回は「SHO-GUNG」の盛り上げ役に徹している。トーコ役の山本舞香が「たくさん感謝です。ありがとう!」と叫ぶ台詞には実感がこもっている。会場にはアユム(山田真歩)とアユムの夫(川瀬陽太)もいる。アユムは「SHO-GUNG」の晴れ舞台に今にも泣き出しそうだ。「極悪鳥」の元リーダー・大河(橘輝)はいちばん後ろで見ている。自分たちが立てなかったチッタのステージに、あいつらはかっこ悪く這いつくばりながらも上がってみせた。 SHO-GUNG「ひとりで ふたりで 三人で、トラックと家出ガールと みんなで巡った細道♪ あいつとあいつとあいつと出逢った細道♪ マイクとマイクとマイクと旅した細道♪」 会場を埋め尽くしていた観客たちには、2曲目から演出部のGOサインが出たのだろう。セーブすることなく盛り上がり始める。フィクションと現実がシンクロする。ステージとオーディエンスが一体化した幸せな時間が過ぎていく。 SHO-GUNG「勝負、勝負! SHO-GUNG、SHO-GUNG! 俺たちなりの最終回、もう間もなく最終回♪」 かませ犬たちの宴は終わった。たった2曲きりだったけど、自分たちのすべてを出し切った至福の時間だった。息も絶え絶えにステージを降りたIKKUは、観客たちから握手を求められる。「ねぇねぇ、CDとか売ってないの?」と尋ねられ、初めてのスター気分を味わうサイタマのラッパー。でも、それも一瞬。次のステージがすぐに始まり、IKKUを取り巻いていた観客たちは走り去ってしまう。 ライブ翌日、カブラギが運転するカブラギ号に乗って、トーコは大間の実家、和夫さんは猪苗代のヒップホップ寺へとそれぞれの日常に戻っていく。IKKU、TOM、MIGHTYはそれまで見せたことのなかったサイコーにいい表情でカブラギ号を見送る。そして、IKKUたちも長い長い旅を終え、自分たちの青春に終止符を打つ時間が迫っていた。 埼玉県のフクヤ駅に戻ってきたIKKUたち。ラストシーンは劇場版『SR』三部作と同じように、ラップの長回しで締めくくられる。延々と続く6分間にわたるIKKU、TOM、MIGHTYの即興ラップ。このシーンが終われば、IKKU、TOM、MIGHTYだけではなく、10年間にわたって同じ役を演じてきた駒木根隆介、水澤紳吾、奥野瑛太の3人もそれぞれの役とお別れとなる。 MIGHTY「SHO-GUNG、これからどーする? SHO-GUNG、これからどーする?」 名残を惜しむように、別れ際に振り返ったMIGHTYがもう一度、IKKUとTOMへラップで問い掛ける。MIGHTYが放ったこのリリックは、IKKUとTOMだけでなく、生みの親である入江悠監督にも、そして『SRサイタマノラッパー』を見続けてきたファンに向かっても投げ掛けているかのようだ。 かくして「SHO-GUNG」の旅は終わった。深夜ドラマとして全11話でオンエアされた『マイクの細道』だったが、1話につき正味20分ほどしかないためノーカットの長回しで撮ったラップシーンを毎回のように入れていくと物語はなかなか進まなかった。自由度の高い自主映画として始まった『SRサイタマノラッパー』にとっては、尺の短い深夜ドラマは必ずしも最適のフォーマットではなかったように思う。でも、クラブチッタでのライブは、自主映画では到底できない華やかなステージだった。一長一短なところも、「SHO-GUNG」らしい。 東日本を旅したIKKUたちが被災地に直接向き合ったのは第6話の1シーンだけに終わったが、現在大ヒット中のワーナー映画『22年目の告白 私が犯人です』では阪神大震災を事件の重要なモチーフとして入江監督は描いている。藤原竜也演じる主人公・曾根崎は、「酒鬼薔薇事件」の加害者・元少年Aを連想させるトリックスターだ。震災をはじめとする社会状況が、その時代を生きる人間たちの心理にどんな影響を与えるのかに入江監督は強い関心を持っている。インディーズシーンを飛び出した入江監督は『22年目の告白』をヒットさせたことで、メジャーからのオファーがますます増えるだろう。入江監督が今後撮る作品の中には、復興が進まない被災地や東京オリンピックには無縁な地方都市を舞台にした企画も俎上に上がるに違いない。 入江監督に『22年目の告白』の公開前、『SRサイタマノラッパー』の今後について尋ねたところ、「IKKUのラップがうまくなりすぎて、続けていくのが難しい」と苦笑しながら、「自主映画として撮り始めたのが10年前。(クラブチッタでライブができて)すごくいい形で区切りをつけることができた」と語った。『SRサイタマノラッパー』がこれからどうなるかは現時点では入江監督も分からず、ファンの反響次第だという。 10年前、映画監督になったものの、思うような映画を撮ることができずにもがき苦しんでいた入江監督の分身として生まれた「SHO-GUNG」だが、すでに作者である入江監督の手元を離れ、独立した生きたキャラクターとなっていた。家族に依存しきっていたデブニートのIKKUが『マイクの細道』の旅を通して精神的な自立を果たしたように、入江監督も「SHO-GUNG」もお互いにうまく距離を保った関係になったのかもしれない。 ぼくのりりっくのぼうよみのエンディング曲が流れる。いつもは仲間と一緒だったIKKUが、最終回ではひとりサイタマの田舎道を歩いている。ひとりっきりだが、以前のようなコドク感は感じられない。満開の桜並木が美しい。桃栗3年、柿8年。IKKUは30数年を費やして、ようやくひと晩だけの花を咲かせた。周回遅れからの集大成を果たしてみせたIKKUに、最後の最後にごほうびが待っていた。 IKKUの歩く道の反対側から、『SRサイタマノラッパー』(09)のヒロインだった千夏(みひろ)がキャリーケースをゴロゴロと引っぱりながら現われる。高校時代のIKKUにとっては唯一の女友達だった千夏との久々の再会。男女の関係にはほど遠い2人だが、やはりどこか波長が合うらしい。IKKUと千夏が、『男はつらいよ』シリーズの寅さん(渥美清)とリリーさん(浅丘ルリ子)の関係にダブって映る。 IKKUの「頑張れよ」という言葉に、千夏は「お前が頑張れ、バーカ」と『SR1』のクライマックスと同じ台詞を返す。同じシチュエーションでも、千夏の言葉は『SR1』のときよりちょっとだけ優しい。そのニュアンスを味わう余韻もなく、瞬く間に夢のようなIKKUの青春が終わる。でも、それはIKKUにとって新しいステージへの旅の始まりでもあった。 IKKKU「終わらねぇ、いや終わらせねぇ。ここがスタート、俺がMC IKKU。セイホー、セイホー、セイSHO-GUNG、セイSHO-GUNG……」 IKKUは『マイクの細道』を観ていた視聴者の心の中へと消えていった。 (文=長野辰次)テレビ東京系『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』番組サイトより
地上波最狂バラエティ『キングちゃん』が最終回 「メタ視点とシンプルな笑い」というすごさ
ここ数年で最も狂っていた地上波バラエティ番組──。一部のお笑いファンからそんな絶賛を受ける深夜番組『NEO決戦バラエティ キングちゃん』(テレビ東京系)が、6月19日に最終回を迎えた。 お笑いコンビ・千鳥の東京キー局初MC番組である『キングちゃん』。毎週、千鳥と数人の芸人がロケに出かけ、あるテーマに沿った「〇〇王」を決めるというロケバラエティ番組だ。 2016年7月に1クール限定の予定でスタートしたが、2クールに延長。その後、今年1月にスペシャル版として深夜で復活。さらに、4月には日曜22時というプライムタイムでもスペシャル版が放送され、そのまま深夜でシーズン2のレギュラー放送がスタート。しかし、残念ながら1クールで終了となってしまった。 「ささやいて面白くしろ! エキストラプロデュース王」「ノブ嘆かせ王」「芸人 又吉を救え! 又吉プロデュース王」など、さまざまな企画が放送された『キングちゃん』。その最大の魅力は、出演する芸人たちの狂いっぷりだ。 「番組の基本は、ロケをしながら、芸人たちが思い思いのボケを繰り出していくというもの。その中で、信じられないようなハプニングが起こり、笑いが増幅していく。代表的な企画である『嘆かせ王』では、千鳥のノブなどツッコミ芸人から“嘆きツッコミ”を引き出すべく、芸人たちがとんでもないボケを見せていくというものですが、この企画での野性爆弾・くっきーが、とにかくとんでもない。最終回ではいきなり生卵をかじり始めたり、白いタオルを巻いた状態のペニスを出したりと、完全に常軌を逸しています。もはや恐怖を感じるレベルの衝撃映像を地上波に乗せるという英断に、あっぱれです」(お笑い関係者) さらに、「今こそ気持ちを見せろ! 今ヤリにいけるアイドルGP」という企画も画期的だった。バイきんぐ・西村瑞樹が気功を使えるようになったという設定で、気功で吹っ飛ばされるアイドルのオーディションを実施。もちろん西村は気功など使えないのだが、アイドルたちが番組側の意向に沿って、吹っ飛ばされる演技をするかどうかを検証するというものだ。 「テレビに出たいと願いながらも、過剰な演技をしていいものかどうか葛藤するアイドルたちに迫った、ひとつのドキュメンタリーでしたね。その上で、しっかり笑いも生まれていて、感動すら覚えました。確かに“ヤラセ”という言葉がちらつく危険性がある企画ではありましたが、番組を成立させたいというアイドルの使命感や、売れたいと思う野心、さらには芸能界で生きていくんだという覚悟など、心の細かな動きがしっかり捉えられていて、とても興味深いものでしたね」(テレビ関係者) この『キングちゃん』のプロデューサーを務めるのは、テレビ東京の佐久間宣行氏。『ゴッドタン』『ピラメキーノ』といったバラエティ番組のほか、『ウレロ』シリーズ、『SICKS ~みんながみんな、何かの病気~』など個性的なドラマも手がけている。 「『水曜日のダウンタウン』を手がけているTBSの藤井健太郎とともに、バラエティ界を背負って立つ人物であることは説明するまでもないでしょう。『ゴッドタン』も攻めた番組ですが、『キングちゃん』はそれ以上ですね。バラエティをメタ視点で解体するかのような挑戦的な試みをしているのに、シンプルに笑える番組に仕上げているというのは、本当にすごいことです」(同) 画期的なバラエティ番組『キングちゃん』。シーズン3の放送が待たれる。
スポーツ番組にもユルさを! さまぁ~ず『さまスポ』に学ぶ、スポーツの多様性
これからの時代、スポーツにも「ユルさ」が必要……そんなことを考えさせられる事象が、ここのところ多い。 象徴的だったのは、スポーツ庁が示した「スポーツが嫌いな中学生を現在の半分に減らす」という目標設定に、各方面から反発の声が上がったこと。『久保みねヒャダ こじらせナイト』(フジテレビ系)で「体育への恨みつらみ川柳」なるコーナーを持つ久保ミツロウ、能町みね子、ヒャダインがその急先鋒だ。 そりゃあ反発するよ、と思う。そもそもスポーツ庁のいう「スポーツ」は体育の延長線上でしかなく、あまりに十把一絡げ。スポーツには<「する」スポーツ>もあれば<「見る」スポーツ>も<「語る」スポーツ>も、いろいろあるはずなのだから。その懐の深さこそがスポーツの魅力なのだ。 筆者個人としては熱闘や熱血も大好物なわけだが、別軸から攻める「ユルいスポーツ番組」が増えると、スポーツの楽しみ方はもっと柔軟に、多様性が出てくると思う。 そこでオススメしたいのが、テレビ東京系で4月から始まった『さまスポ』(毎週土曜夕方6時〜)。さまぁ~ず初のスポーツ番組だ。 さまぁ~ずの2人がさまざまなスポーツに体当たりで挑戦し、その魅力を学んでいく、というコンセプト。ただ、「体当たり」といっても、そこはやはりさまぁ~ず。ある意味、「熱血」とか「精神論」といったものと対極に存在しそうな2人を起用したところに、この番組の意義がある。一歩間違うとグダグダになりそうな……それでいてなぜか心地いい、さまぁ~ずの世界観がスポーツを題材にしても成り立っているのだ。 お笑い芸人がスポーツ番組を持つ、というのはもはや見慣れた光景。ただ、その多くは芸人としてのトークスキルやまわしの技術を生かして、スタジオでアスリートの素を引き出す、という企画が多かった。言うなれば、バラエティのフォーマットの中でスポーツやアスリートを扱う、というものだ。 一方の『さまスポ』は、あくまでも“スポーツ番組”を標榜。スタジオ収録ではなく、各競技の現場に出向き、アスリートの「技」や「身体」にスポットを当てていく。 実はテレビ東京、今もっともスポーツに力を入れている民放局、といっても過言ではない。先月末から今月頭にかけては「世界卓球×全仏テニス」の二大世界大会を生放送。卓球では、テレビ東京が今年放送した全番組の中で最高視聴率となる13.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、5月29日から6月4日のゴールデンタイムの週間平均視聴率は8.6%を記録。1964年の開局以来、初の民放3位に輝いたことがニュースとなった。 ある意味、スポーツに社運を懸けているテレビ東京だからこそ、『さまスポ』におけるアスリートのキャスティングに妥協がないのも好印象だ。ここまで登場したのは、卓球・リオ五輪銀メダリストの水谷隼。レスリング・リオ五輪金メダリストの登坂絵莉と土性沙羅。プロバスケットボールBリーグのアルバルク東京。野球界のレジェンド・山本昌。プロボクシング・ロンドン五輪銅メダリストの清水聡……この豪華一流アスリートたちの「技」が見られるのだから、それだけでも十分楽しめる。 番組の製作総指揮を務めるのは、『モヤモヤさまぁ~ず2』でもさまぁ~ずとコンビを組む伊藤隆行。その伊藤が「ザテレビジョン」(KADOKAWA)のインタビューで、こんな言葉を述べていた。 《僕は、これからのテレビは『素直』がキーワードだと思っていて。素直に面白い、素直にすごい、というストレートな感性で番組を作っていかないと。今のテレビって、勝手にいろんな心配をしてヤスリで削っていっちゃうんですよ。万人に受けるように、どんどんおとなしい番組になっちゃう。だからそのための『勇気』も必要かもしれない。テレビに必要なのは『素直』と『勇気』ですね》 『さまスポ』も、まさに「素直」を軸にした番組。アスリートの技と身体を「素直」に訴求しているからこそ、さまぁ~ずのリアクションも生きてくるわけだ。 むしろ、今以上にアスリートや競技の持つ魅力だけで勝負してほしいほど。ボクシング回では、パンチがヒットするタイミングで“当たる音”を後から加えていたのは明らかだったが、そういった編集すら不要だと思う。その点は、もっともっと勇気を持った編集を目指してほしい。 というわけで、いま、スポーツ庁の方々に見てほしいのが『さまスポ』だ。なんなら、鈴木大地スポーツ庁長官のゲスト回なんてどうだろう。あえて今、バサロ泳法を学ぶさまぁ~ず、ちょっと面白いと思うのだが。 (文=オグマナオト)『さまスポ』テレビ東京
スポーツ番組にもユルさを! さまぁ~ず『さまスポ』に学ぶ、スポーツの多様性
これからの時代、スポーツにも「ユルさ」が必要……そんなことを考えさせられる事象が、ここのところ多い。 象徴的だったのは、スポーツ庁が示した「スポーツが嫌いな中学生を現在の半分に減らす」という目標設定に、各方面から反発の声が上がったこと。『久保みねヒャダ こじらせナイト』(フジテレビ系)で「体育への恨みつらみ川柳」なるコーナーを持つ久保ミツロウ、能町みね子、ヒャダインがその急先鋒だ。 そりゃあ反発するよ、と思う。そもそもスポーツ庁のいう「スポーツ」は体育の延長線上でしかなく、あまりに十把一絡げ。スポーツには<「する」スポーツ>もあれば<「見る」スポーツ>も<「語る」スポーツ>も、いろいろあるはずなのだから。その懐の深さこそがスポーツの魅力なのだ。 筆者個人としては熱闘や熱血も大好物なわけだが、別軸から攻める「ユルいスポーツ番組」が増えると、スポーツの楽しみ方はもっと柔軟に、多様性が出てくると思う。 そこでオススメしたいのが、テレビ東京系で4月から始まった『さまスポ』(毎週土曜夕方6時〜)。さまぁ~ず初のスポーツ番組だ。 さまぁ~ずの2人がさまざまなスポーツに体当たりで挑戦し、その魅力を学んでいく、というコンセプト。ただ、「体当たり」といっても、そこはやはりさまぁ~ず。ある意味、「熱血」とか「精神論」といったものと対極に存在しそうな2人を起用したところに、この番組の意義がある。一歩間違うとグダグダになりそうな……それでいてなぜか心地いい、さまぁ~ずの世界観がスポーツを題材にしても成り立っているのだ。 お笑い芸人がスポーツ番組を持つ、というのはもはや見慣れた光景。ただ、その多くは芸人としてのトークスキルやまわしの技術を生かして、スタジオでアスリートの素を引き出す、という企画が多かった。言うなれば、バラエティのフォーマットの中でスポーツやアスリートを扱う、というものだ。 一方の『さまスポ』は、あくまでも“スポーツ番組”を標榜。スタジオ収録ではなく、各競技の現場に出向き、アスリートの「技」や「身体」にスポットを当てていく。 実はテレビ東京、今もっともスポーツに力を入れている民放局、といっても過言ではない。先月末から今月頭にかけては「世界卓球×全仏テニス」の二大世界大会を生放送。卓球では、テレビ東京が今年放送した全番組の中で最高視聴率となる13.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、5月29日から6月4日のゴールデンタイムの週間平均視聴率は8.6%を記録。1964年の開局以来、初の民放3位に輝いたことがニュースとなった。 ある意味、スポーツに社運を懸けているテレビ東京だからこそ、『さまスポ』におけるアスリートのキャスティングに妥協がないのも好印象だ。ここまで登場したのは、卓球・リオ五輪銀メダリストの水谷隼。レスリング・リオ五輪金メダリストの登坂絵莉と土性沙羅。プロバスケットボールBリーグのアルバルク東京。野球界のレジェンド・山本昌。プロボクシング・ロンドン五輪銅メダリストの清水聡……この豪華一流アスリートたちの「技」が見られるのだから、それだけでも十分楽しめる。 番組の製作総指揮を務めるのは、『モヤモヤさまぁ~ず2』でもさまぁ~ずとコンビを組む伊藤隆行。その伊藤が「ザテレビジョン」(KADOKAWA)のインタビューで、こんな言葉を述べていた。 《僕は、これからのテレビは『素直』がキーワードだと思っていて。素直に面白い、素直にすごい、というストレートな感性で番組を作っていかないと。今のテレビって、勝手にいろんな心配をしてヤスリで削っていっちゃうんですよ。万人に受けるように、どんどんおとなしい番組になっちゃう。だからそのための『勇気』も必要かもしれない。テレビに必要なのは『素直』と『勇気』ですね》 『さまスポ』も、まさに「素直」を軸にした番組。アスリートの技と身体を「素直」に訴求しているからこそ、さまぁ~ずのリアクションも生きてくるわけだ。 むしろ、今以上にアスリートや競技の持つ魅力だけで勝負してほしいほど。ボクシング回では、パンチがヒットするタイミングで“当たる音”を後から加えていたのは明らかだったが、そういった編集すら不要だと思う。その点は、もっともっと勇気を持った編集を目指してほしい。 というわけで、いま、スポーツ庁の方々に見てほしいのが『さまスポ』だ。なんなら、鈴木大地スポーツ庁長官のゲスト回なんてどうだろう。あえて今、バサロ泳法を学ぶさまぁ~ず、ちょっと面白いと思うのだが。 (文=オグマナオト)『さまスポ』テレビ東京
『孤独のグルメ Season6』第10話 タイアップが露骨すぎる(笑)まるで旅行番組みたいな鋸山アピール!!
ホント、ゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)ってば、商売のためなら、どこにだって足を運ぶのですね。 ええ、今回やってきたのは千葉県は富津市の浜金谷駅。東京湾フェリーの千葉県側の港のある街ではありますが、いわば地の果て。 それでも、プチ出張は苦にならないのがゴローちゃん。 「これはまた、ずいぶんと静かな駅前だ」 まだ仕事もする前からワクワク感が募ります。 「鋸山、ここだったんだ」 なんのタイアップなのでしょう? ひとまず観光案内も挿入。のんびりとした風景を存分に描いてから、本編はスタート。 「仕事先は、温泉旅館だし……なんだったら泊まっちゃうか」 独身かつ一人働きならではの、自由な生き方。ここに憧れる人も多いのでしょう。 さて、やってきた温泉旅館・かぢや旅館。 じゃらんの口コミを見たら、評価は「4」となかなかです。でも、宿泊は2名以上から。あーあ、これだから温泉旅館はイヤなんだよ。商売の都合もあるのでしょうけど、じゃらんとか楽天トラベルで紹介や口コミを見て、さあ予約しようとした時に宿泊は2名からのときのイラッとする感じ。最初から「一人客はお断り」と書いていてほしいものですな。 さてさて、旅館で待ってたのは、石川正則演じる旅館の人。商談の場となるロビーは、いろいろなものが置かれていてカオスとなっております。そんなロビーをラウンジ風に改築しようというわけで、よいコーヒー豆とコーヒーカップを求めてゴローちゃんを呼んだというわけです。 え、ゴローちゃんてば、コーヒー豆まで扱ってるんだ。マンガで仕入れた知識だと、コーヒー豆の取り扱いは高度な知識が必要だと思うのですが、すごいねゴローちゃん。あらためて尊敬ですよ。 てなわけで、商談を終えて鋸山登山を勧められるゴローちゃん。でも、スーツで登山というのもまったく合いそうになく、断念。そう、登山じゃなくて必要なのは空腹と店探しですよ。 そして、ゴローちゃんが見つけたのは「漁師めし」の文字。店の名前は「漁師めし はまべ」。なんとも、味のありそうな名前です。 ガラッと戸を引いて入る店内は、やっぱり味がある。 そんな店にいる漁師風の髭面の客が、いきなり一言絡んできます。 「この人ね、口うるさいけどね、味はうまいぞ~」 おっと、よく見れば佐藤蛾次郎ではありませんか。そして「余計なこと言ってんじゃないよ」と返してくる店の女将は松本明子。 味があるというには、濃すぎる店内です。 しかし、『男がつらいよ』が終わってから、久しぶりに佐藤蛾次郎を見たような。この人、なんでこんなに短時間でインパクトを振りまけるんだ? まあ、あまりのインパクトの強さに、そそくさとお勘定をして出演シーンは終了。最後のアドリブと思しき「うまいよっ」の一言が、やっぱりうまい。 さて、料理のほうも何を見てもうまそうです。 「アジ三昧。刺身たたきなめろうか。いい三昧だ。地魚フライ……」 「いやちょっと待て。フライが無性に気になってきた……」 さんざん悩んだ挙げ句に、地魚フライ定食がアジフライということで、これに決定。ついでに、さんが焼きも注文しようとしたら、今日は定食にさんが焼きがついているんだそうです。 さんが焼きというのは、あわびの殻になめろうを持って焼いたヤツ。漢字では山家焼きと書くそうです。 しっかし、この店はホントにできます。先に漬け物と肉じゃがの小鉢を出して、お客を期待させてくれるのです。 食べ物もうまいけど、すっかりオバサンになった松本明子がキャラ立ちしていてビックリ。こんなオバサン、定食屋によくいるよねえ。 「はい、アジフライお待たせしましたどうぞ~」 「うわっほ~ぉ!! これはでかいッ!!」 マジで視聴者が驚くようなデカさのアジフライ。こんなん、東京じゃあ絶対に食べられませんよ。 「なんてでかさだ。これが房総の底力か」 わざわざ、カバンから巻き尺を取り出して視聴者にアピールするゴローちゃん。ご飯の丼と味噌汁もデカイ。それに、タルタルソースも好きなだけ使えとばかりに、容器ごと置いてくれます。 「うわっ、何これ? フワフワ?? え~こんなアジフライって……いやぁ、びっくりした~おいしいびっくり久しぶりぃ~おぉ脂が……肉厚うますぎるこの軽さ~」 どうも松重ゴローちゃん、演技じゃなくてマジでうまかったのでしょう。そんな気持ちが伝わってくるセリフ回しです。 ちなみに、ゴローちゃんの食べ方ですが、最初はハジにちょこっとしょうゆを垂らしてから味わう。少しずつ、いろんな味を楽しもうというわけですが、そんなのなくともうまいアジフライであることが伝わってきます。 そして味噌汁。カジメ……ねばねばの海藻の味噌汁は、またうまい。そこに投入される、添え物のさんが焼き。 「う~ん、よいよい……さんが実によい。千葉の民は、よくぞなめろうを焼くという、いわば乱暴な料理を思いつきそうろう……」 こんなうまいおかずばかりで、ご飯が足りるハズもありません。 どんぶりメシのおかわりを頼むゴローちゃん。 さあ、追加ごはんと2枚目のアジフライで、さらなる満足感を目指しましょう。 「2枚目がある幸福……今はただこのアジフライを食べ続けていたい」 ここからは味変。今度はソース。そして、タルタル。 ここでまた、視聴者を驚かせる一言が!! 「うわっ、これすごくうまい!! すごくいいっひぃ!! うん、このアジ……タルタルの濃い味にもビクともしない」 さんざん満足したゴローちゃん。でも、満足したところで目に飛び込むのは「カジメ入りのしょうゆラーメン」の文字。でも、夜だけということで断念です。 「金谷の街に来て、こんなうまいアジフライ定食にありつけるとは思ってもいなかった」 競争相手の少ない田舎町だというのに、手を抜かない本気の味に満足するゴローちゃん。 今回も、視聴者にアジフライを食べさせたくする飯テロ。 でも、店を出るゴローちゃんに、松本明子がまた言うのです。 「今度よかったら、鋸山登りに来ることがあったら、また寄ってください~」 なんだ、この鋸山アピール。やっぱり、タイアップなのか? こういう露骨なタイアップは、嫌いではありません。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
“にわか”なアルコ&ピースが『勇者ああああ』で伝える「ゲームで遊ぶ楽しさ」
テレビのバラエティ番組の系譜のひとつとして脈々と続いているジャンルが、「ゲーム情報番組」である。 ファミコン発売以降に登場し、新作のゲームを紹介する番組で、その多くはゲーム会社がスポンサーになっている。番組の性質上、当然ゲームファンに向けたものだ。だから、ゲームファン以外が目にすることは基本的にはない。 だが一方で、古くは『大竹まことのただいま!PCランド』(テレビ東京系)をはじめ、「ゲーム情報番組」とは名ばかりで、それを隠れみのにお笑い要素をふんだんに取り込んだ、もはや「お笑い番組」と呼ぶべき番組も少なくなかった。最低限、新作ゲーム情報を入れれば、あとはゲームに関係あろうがなかろうがやりたい放題。そんな番組だ。 今年4月から始まった『勇者ああああ』(同/木曜深夜1時35分~)も、その系譜にあるといっていい。サブタイトル通り「ゲーム知識ゼロでもなんとなく見られるゲーム番組」だ。 司会はアルコ&ピース。アルピーといえば、通常の番組では平子祐希が目立っているが、この番組では、自身のラジオ番組同様、奔放に振る舞う酒井健太も負けず劣らずの存在感を放っている。そう、ラジオのような自由さが、アルピーの魅力を最大限引き出しているのだ。 ところで先ほど、「ゲーム情報を隠れみのにゲームとは無関係なお笑い番組の系譜」とこの番組を紹介したが、それは正確ではない。なぜなら、この番組のすべての企画が「ゲーム」を題材にしているからだ。 たとえば「コマンド危機一髪」。これは、アルピーとゲストが、リレー形式でコマンド入力を正確に行っていくというもの。スーパーマラドーナがゲスト出演した回では、『ストリートファイターII』で無抵抗な相手をリュウの「竜巻旋風脚」だけで倒すというミッション。一見簡単そうだが、一発一発リレー形式で行い、コマンド入力をミスして別の技が出てしまった時点で挑戦失敗。連帯責任で、全員に電流が流れるのだ。 「メチャクチャ得意」という武智に対し、田中一彦は「(『ストII』は)持ってたんですけど、いつか友達できたらやろうと思ってたので……」と哀しい思い出を語り、ほとんどやったことがないという。 頼りになる武智を先頭に酒井、平子、田中の順で挑戦する。武智、酒井が順調に成功する中、3人目の平子。慎重にコマンド入力するも、繰り出した技は「巴投げ」。 その瞬間、全員に電流が走る。 「何、変なタイミングでミスってるんですか!」 2回目の挑戦では平子も無事成功。だが、初挑戦となる田中がやはりミス。普通のハイキックを繰り出した。 「俺、リュウのあのキック見たの初めてだわ!」 その後も、平子は巴投げを繰り出し、激高した田中から「デブ、こら!」と罵倒され、まさかの「隠れデブ疑惑」が浮上する始末。その2人が足を引っ張り続け、なかなか成功しない。 それでも制限時間残り3分となった15回目の挑戦で、ついに成功。4人は歓喜した。コマンド入力は決して難しいわけではないが、ちょっとしたタイミングで失敗してしまうもの。実際のゲームではそこを多少ミスしても問題がないため、あらためて正確さを要求されると、普段とは違う力が入る。しかも、電流という連帯責任のプレッシャーもかかる。結果、ゲーム上級者ではない彼らは、失敗を繰り返してしまうのだ。見ている方も、いつしか感情移入し、手に汗を握る。で、達成したときに妙な感動を覚えるのだ。 ほかにも「にわかゲーマー一斉摘発 芸能界ゲーム風紀委員」というコーナーでは、アルピーの2人が「ゲーム風紀委員」となり、ゲームがたいして好きでもないのに、仕事を増やそうとプロフィールに「ゲーム好き」などと書く女性アイドルらをオーディションと称して呼び出し、本当にゲーム好きかを検証する企画。 実際、「にわか」のアイドルたちがほとんど。それを“摘発”し、追い詰めていくのは痛快だが、そこではアルピーの「にわか」っぷりが浮き彫りになることも。だが、それを逆手に取り、翌週の放送ではネットで批判されたと公言し、間違いを訂正し、仰々しく謝罪からスタートするふざけっぷりも面白い。 「ゲーム芸人公開オーディション」では、ゲームに絡んだネタならなんでもOKというハードルの低さから、“にわか”の粗い芸を見せる芸人が大挙出演。かつての『あらびき団』(TBS系)を思わせる雰囲気が心地よい。 こうしたお笑い要素が強い企画だけではなく、ゲーム情報要素の強い企画ももちろんある。そのひとつが「ゲーマーの異常な愛情」。ゲーム愛の強い芸人が登場し、人生で最高の一本を紹介するというものだ。 ここでは、今でもカルト的人気を誇る『リンダキューブ アゲイン』や『鈴木爆発』などが、かなりの時間を割いて紹介された。 先にも触れた通り、アルピーは決してゲームに詳しいわけではない。けれど、ゲームを知らないわけではない。彼らは現在、30代。物心ついたときからファミコンで遊び、ゲームの成長とともに大きくなった世代といっていい。その世代における標準的なゲーム知識とゲーム愛を持っている。 だから、マニアックに振れることもなく、メジャーなものだけを扱うわけでもない。ちょうどいいのだ。“にわか”だからこそ伝えられる面白さがあるのだ。 「ゲーム情報」だけを求めるなら、物足りないかもしれない。けれど、『勇者ああああ』が目指し実現させているのは、きっと「ゲームで遊ぶ楽しさ」を伝えることなのだ。 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/) ◆「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから『勇者ああああ』テレビ東京
『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第10話 レペゼンかませ犬、これが周回遅れからの集大成!
青春の残像を追い求めて東北路を旅した「SHO-GUNG」たちも、ついに旅の終着点・川崎クラブチッタに到着した。ラス前となった『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第10話では、ライブステージが幕を開け、同時に彼らの青春のフィナーレのカウントダウンも始まる。 前回、極悪系ヒップホップグループ「極悪鳥」の赤羽アジトからひと晩がかりでようやく脱出することに成功したMIGHTY(奥野瑛太)。群馬から大森へと向かう元女子ラッパーのアユム(山田真歩)とミッツ(安藤サクラ)の乗る車に同乗し、川崎へと向かう──。ところが車が走り始めた途端に、アジトを棄てて逃亡をはかる「極悪鳥」の大河(橘輝)と海原(板橋駿谷)を見つけ、車を停めてしまうMIGHTY。自分を拉致した上に暴行を加えた大河たちに、わざわざクラブチッタに行くことをバカ正直に伝える。「なんで、すぐ逃げずに戻ってきた?」といぶかしむ大河。 MIGHTY「もう逃げるのやめようと思って。新しい人生やり直したいんで」 かつて草鞋を脱いでいた「極悪鳥」にMIGHTYはペコリと頭を下げ、血まみれながら爽やかな笑顔を見せる。逃げても逃げても自分が背負った業はどこまでも付いてくる。それなら、自分の背負った業にきちんと向かい合うしかない。それがMIGHTYが今回の旅で見つけた答えだった。 MIGHTYがなかなか現われないことを心配していたIKKU(駒木根隆介)とTOM(水澤紳吾)だが、川崎クラブチッタにはどんどん人が集まり始めた。福島の「タケダ寺」からは、タケダ住職(上鈴木伯周)の代わりを務めるDJとして和夫さん(ロベルト吉野)が到着。横浜中華街に出掛けていたカブラギ(皆川猿時)とトーコ(山本舞香)はステージ衣装姿で戻ってきた。「ラップなんてできない」と拒否していたトーコもやる気まんまん。そこへ、アユムの夫(川瀬陽太)が運転する車に乗ってきたMIGHTYも合流。アユムと「SHO-GUNG」の邂逅をご都合主義と笑うなかれ。地方都市で鬱屈した青春を過ごしてきたIKKUもTOMもMIGHTYも、そしてアユムも、ラップだけが生き甲斐だった。これは心理学者のユングがいうところの集団的無意識が呼び寄せたシンクロニシティってやつだ。 群馬を舞台にした『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10)以来の再会となるアユムとIKKU、TOMだったが、のんびり旧交を温めている余裕は両者にはなかった。クラブチッタにKEN THE 390、Creepy Nutsと出演者が次々と会場入りしていく。ロビーで練習をしていたIKKUたちは挨拶代わりのフリースタイルをかませられるも、まるで相手にならない。プロの人気ラッパーと地方の素人ラッパーとの実力差をまざまざと見せつけられる。さらにライブイベントのトリを飾るライムスターも登場。「SHO-GUNG」とはオーラがまるで違う。トーコが「レベル、違ぇ~わ」と呟き、TOMの顔が青ざめるのも仕方なかった。 控え室でじっとしていられずに、関係者出入り口周辺をうろつくIKKU。入場客がどんどん会場に入っていく。そこへ屋台で買ってきたタコ焼きをほおばりながら、トーコが戻ってくる。 トーコ「ほんとにライブやるんだね。ずっと嘘だと思ってた。なんだかんだいって、ここまでみんな連れてきたよね。あのとき、あの変なラップを聞いてなかったら、家を出てなかったし、自分に嘘をついていたと思う。ありがとね」 いつになく素直なトーコ。ライブ直前にタコ焼きを食う度胸も頼もしい。「みんな、待ってるよ。早くおいで」と優しくIKKUにささやく。青森弁でTOMをカツアゲしたヤンキー娘のトーコが、今ではすっげーかわいく思えてくる。 夜7時30分。オープニングアクトを務める「SHO-GUNG」のクラブでの初ステージが始まる。ふとそのとき、ステージへ向かうIKKUを呼び止める声が。「SHO-GUNG」のオリジナルメンバーであり、IKKUとは中学校時代からの幼なじみであるTOMだった。 TOM「10年前、『ヒップホップ、熱いよ』って誘ってくれてありがとう。俺、自分に才能ないのわかっているから。ここが俺のゴール、ピークだってわかるんだよ。うまくいきすぎだよ」 TOMらしいネガティブ発言ながら、IKKUへ感謝の気持ちを伝える。これが戦争映画だったら、確実に死亡フラグが立つ台詞でしょう。ある意味、TOMはこのステージで、長くこじらせた自分の青春を葬り去るつもりでいる。MIGHTYの「かませ犬ども、調子はどうだい!」の掛け声を合図に、「SHO-GUNG」はステージへと飛び出していく。 ついに始まったクラブチッタのステージ。IKKU、TOM、MIGHTYに加え、DJの和夫、そしてカブラギ&トーコとの一夜限りのユニットだ。チッタの会場は観客でいっぱいだが、みんな初めて耳にする「SHO-GUNG」の名前に無反応状態(エキストラへの演出がうまい!)。IKKUもTOMもMIGHTYも、自分たちに恵まれた才能も音楽的キャリアもないことは承知している。観客の冷たい反応は怖いし、できればここから逃げ出したい。でも、今は埼玉や大間でコドクを抱えて、世間を呪っていた頃の彼らとは違う。旅を終えた彼らは、もうひとりぼっちではなく、「SHO-GUNG」として仲間と一緒にステージに立っている。そんなIKKUたちがオープニング曲に選んだのは、『SRサイタマノラッパー』のテーマ曲だ。 IKKU「周回遅れからの集大成♪ 仲間とマイクを繋げばヒッポホップ。誰だってできる、バカだってできる、俺だってできる。ただ、マイクをつなげ!」 夭折した伝説のタケダ先輩が遺してくれた軽快かつメロディアスなトラックに、IKKUたちが考えた新しいリリックが乗って、チッタの会場中に響き渡る。TOMが、MIGHTYが、そしてトーコ、カブラギへとマイクが回っていく。静観していた観客たちが「SHO-GUNG」の放つ熱気に少しずつ揺さぶられていく。 現実世界に「SHO-GUNG」は存在しない。フィクションの存在だということはわかっている。でも、8年前に劇場版『SRサイタマノラッパー』(09)に出会い、そして4月から始まった『マイクの細道』を毎週観ているうちに、「SHO-GUNG」はとても身近な存在になっていった。彼らのうまくはないけど、懸命に今の自分に正直なリリックを吐く姿は、もはや他人事とは思えない。 「エス・エッチ・オー、ジー・ユー・エヌ・ジ~。俺らSHO-GUNG。伸びるぜ、グンググーン♪」 いよいよ、次週は最終回。彼らの青春も残すところ1曲! (文=長野辰次)テレビ東京系『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』番組サイトより






