
震災後、得意の"クールギャグ"で
日本中に笑いを届けたデーブ氏。
東日本大震災から3カ月。この間、地震と津波、そして原発事故という三重苦をさまざまな形で報じてきた日本のテレビメディア。衝撃的な映像とともに多くの情報を視聴者のもとへ届けてきたが、その内容には懐疑的な声も少なくない。一部では海外メディアの報道姿勢と比較しながら、政府の"大本営発表"をタレ流ししてきたと指摘する声も多い。そこで、日米両国のテレビ事情に詳しいデーブ・スペクター氏に、災害報道における日米の違いや、制作サイドから見たテレビの問題点を語ってもらった。(聞き手=浮島さとし/フリーライター)
――東日本大震災から3カ月が経ちました。デーブさんも連日テレビに出演されていたわけですが、当時のスタジオの空気はいかがでしたか?
デーブ氏(以下、デーブ) 経験したことがない異様な雰囲気でしたよね。スタッフもみんな寝てないし、判断力も落ちてたし、疲労でイライラしてて。それでいて、原発の危険さをあおってはいけないというようなムードもありましたし。何をしゃべっていいのか、よくないのか。そんな空気が充満してましたよね。
――スタッフから「こういう発言はしないように」という指示はあったのですか。
デーブ それはなかった。ただ、重たい空気はありましたよね。常識に照らして暴走した発言はしないようにって、みんなピリピリしてました。山本太郎みたいな人もいたわけなんですけど。
――スポンサーサイドからは何か圧力があったとかは?
デーブ 無いってことになっているんですけどね。直接の圧力がなくても、東電が大スポンサーなんで配慮はあったとしか思えないけど。気を使いすぎだとボクは思いますね。
――海外メディアは震災発生当初から原発の危険性を遠慮なく報じていたようですが。
デーブ 日本よりもっと扇情的にやってましたね。早くから「メルトダウンはしてるかも」とか。今思えばその騒ぎ方が正しかったわけですけど。日本は伝える側も放射能や原発のことを理解できていなかったでしょう、もちろんボクらコメンテーターも。分かるのは津波の被害とか瓦礫のこと。だからそれを流すしかない。だって、専門家だって分かってないんだから。
――アメリカでも自然災害は多いわけですが、日米で報じ方に違いはありますか。
デーブ 文化の違いだと思いますが、たとえば日本人って生まれ育った土地へのこだわりが強いでしょう。とても不便な面があるけれど自然が豊かな山間部の土地に何世代も住んで、そういう生き方をリスペクトする文化がある。そこで土砂災害とかあっても、間違っても「そんなところに住んでいるからだ」なんて言われない。でも、アメリカでは結構言うんですよ。言われる側も、それをある程度承知してるというかね。トレーラーハウスに住んでる人は、ハリケーンで飛ばされるリスクを承知して生活をしてますからね。
――土地に対する信仰心がまるで違うんでしょうね。日本は森羅万象に神が宿る自然崇拝の国なんで。アメリカ人はもっと合理的に引っ越しちゃうわけですか。
デーブ そう、合理的。1990年代にフロリダにハリケーン「アンドリュー」が来たのですが、もともとフロリダはハリケーンが多くて、あまりに多いから「もう住んでられない」って、あの時は10万人くらいが移住したんです。日本では埼玉の夫婦が定年後は沖縄に住もうとか、あんまり思わないですよね。田舎暮らしって一部だし。でもアメリカだと、寒い土地の人が老後にアリゾナとかへ抵抗なく移住してる。どちらがいいという問題じゃなくて、違いですよね。それによって報じ方も違ってくるということで。
――テレビ業界のプロとして伺いますが、今回の震災報道の中で「テレビ」と「活字」の違いをどうお感じになりましたか。
デーブ これはね、ものすごく感じました。まず、テレビというのは映像の必要性が先行するでしょ、『朝生』(テレビ朝日系)を除いて。どうしてもいい画を求める。これは仕方ない。そういう縛りの中で、今回のように内容が専門的で、暴走するとクレームが来るという状況だと、もう無難に収めるしかないんですよね。批判精神なんかゼロ。でも、新聞にはすごく細かくて具体的で批判的な情報がたくさんあったでしょ。週刊誌はさらに細かくて、スクープもあったし。つまり、テレビで伝えきれない情報が紙の上にたくさんあった。でも、地上波を責めるのも酷なんですよ。だって、専門家にコメントもらおうにも「尺」がないんですよ、2、3分しか。伝えきれない。
――アメリカとの違いがあるとすれば、一番は何ですか。
デーブ 一番の違いは、日本に24時間ニュース番組がないってこと。これにつきますよ。CNNとかFOXとかがない。全然ない。一つもない。ゆっくりニュースを放送する局が一個もない。アメリカで今回みたいな災害が起きたら、地上波は最初の数時間は流すけど、あとはニュース専門局に完全にシフトするんです。視聴者はニュースをそこで見る。
――日本もBSやCSでそれに近い形のものはありませんか。
デーブ だってあれ、本気じゃないでしょ。同じニュースを繰り返し流してるだけだし、自前で取材したわけじゃない。しいて言えば、『BSフジLIVE PRIME NEWS』が近いかな。一つのテーマを2時間じっくりやってる。あれなら新聞情報にもじっくり触れられるけどね。
――アメリカ人はネットでも結構ニュースを読んでますよね。
デーブ めちゃめちゃ読みます。アメリカのテレビだってすべては伝えきれないけど、新聞系のサイトは相当読まれてますよ。ネットから取得する情報がものすごく多いんです。日本人は「Yahoo! JAPAN」しか見ないでしょ。あれは、要約されたニュースがトピックスとして並んでいて、見出しみたいなものですよね。一つの情報を掘り下げて読むのとは違うから。
――日本にニュース専門局ができない理由は、国民がニュースを見ない、読まないということに加えて、一番はやっぱりお金ですかね。スポンサードする企業がない。
デーブ そう、お金はものすごくかかる。通信社から買わずに独自で取材するようになったら、もう大変ですよ。この不景気な時代に視聴率が取れないニュース専門局にお金を出そうなんて企業は、今の日本にないでしょう。やれるとしたらNHKだろうけど、そしたら地上波を見なくなるからね。NHKの視聴率はニュースが支えてるから。地震があったらとりあえずテレビはNHKをつけるとかね。そのNHKが専門局を始めたら、視聴者はそっちに流れるだろうから。だから、共食いになっちゃうんですよ。
――民放はともかく、NHKは共食いしてでもやるべきかもしれませんけどね。
デーブ だと思いますけどね。これだけテレビ文化が成熟してる国なのに、24時間ニュース局がないなんて不思議なんです。ラジオでさえやってないんだから。ラジオなんて、一社提供の持ち込み企画とか、事務所のお荷物のタレントに番組を持たせたりとか、古いやり方をずっとやっている。流動性がないんだよね。ラジオでやれないんだから、テレビだと100年かかるかもね。
――メディアと言えば、今やTwitterも一つのメディアと言える時代ですが、デーブさんの震災直後のつぶやきが大反響でした。「低気圧にお願いです。被災者ではなく、原発を冷やしてください。ボクも一所懸命、寒さを原子炉に送りますんで」とか、「日本で略奪があるのは愛だけですからね、山路さん」とか(笑)。日本全体が重苦しい空気の中で、デーブさん流のギャグで癒やされたという日本人は多かったようです。
デーブ クールギャグと呼んでるんですけどね(笑)。あれはびっくりしました、反響がすごくて。普通にいつものようにつぶやいてただけなんですけど。あのころはまだ「冗談言っちゃいけない」みたいな空気で。日本全体が首を絞められてるような、なんていうのかな......。
――閉塞感のような。
デーブ そうそう、閉塞感。それがあったでしょ。みんな笑いたかったのに笑えなかった。そこにニーズがあったんでしょうかね。
――それを一冊にまとめた『いつも心にクールギャグを』(幻冬舎)が発売中ですが。本を出されるのが10年ぶりくらいとのことで、意外ですね。
デーブ ボクは基本的に本は出さない主義なんです。だって、さほど伝えることもないのに、タレントだから本を出すというのも、ちょっと抵抗があるというか。今回はちょっと特別で、社会現象としてあまりに反響が大きかったし、残しておこうというのもありまして。ま、脱力して気楽に読んで、癒やされていただけたらうれしいです。
●でーぶ・すぺくたー
アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身。日本を拠点に活動する米国人テレビプロデューサー・放送作家・コメンテーター。1983年、米国ABC放送の番組プロデューサーとして来日。ポイントをおさえた的確なコメント、鋭い批評は多方面から好評を博し、テレビ出演の他、全国各地の講演や執筆活動等で多忙な毎日を送っている。2009年「オリコン好きなコメンテーターランキング」第1位獲得。話題のTwitterは「ツイナビ」アカウントランキングで『総合TOP100』『有名人・芸能人』『エンタメ』各部門で第1位(2011年3月22日ツイナビ調べ)。
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「まるで選挙妨害!?」週刊誌が暴露したAKB48メンバーの"衝撃"私生活
問題の「週刊新潮」6月9日号中吊り広告
6月9日に日本武道館で結果発表が行われる、今年で3回目を迎えたAKB48の総選挙。だが、"選挙妨害"とも思われかねない記事が、2日発売の「週刊新潮」6月9日号(新潮社)に掲載された。
問題の記事は「バカ騒ぎ『AKB48』総選挙の裏に『酒と男』の私生活」と題され、複数のメンバーと交際したという私大生と学生企業家がメンバーとの"情事"を生々しく語っている。
「今や、マスコミ各社は扱えば売り上げが確実にアップするAKBにすり寄り、スキャンダルはまったく報じられない。新潮のライバル誌で、昨年は前田敦子、大島優子らの男性スキャンダルを次々と報じ、篠田麻里子と運営会社社長の"不適切な関係"を暴いて法廷闘争に持ち込まれた『週刊文春』でさえ、最近はAKBを猛プッシュ。そんな中、『新潮』だけは平気でAKBを批判し続けている」(出版関係者)
記事は衝撃的な内容のオンパレードで、私大生は「すぐに家までついてくる」、「(キスしたら)舌使いもうまくて、慣れてる感じ」、「SEXの時ゴムを"つけてるの?"と聞いてきたので"外に出すから大丈夫"と答えたら、すぐ納得」と乱れた下半身事情を明かし、さらには有名人も足繁く通うことで知られる六本木のクラブ「L」に未成年のメンバーが出入りし、飲酒していたことも明かした。
また、学生起業家の方は「最初に寝た子は、いわゆるバンギャ(=バンドマン好きギャル)で、ネットでビジュアル系バンド関係者が集う『たぬきの掲示板』をよく使っていた」、「偶然クラブで知り合って自宅に誘ったメンバーもいましたが、この子は喘ぎ声がエロかった」、「下位のメンバーは月給も安く、『密』=貢ぐ人、つまり援交相手を探して稼いでる子もいました」とAKBのメンバーにはびこる援交の実態を明かし、さらにはモデルの家出合コンをした相手に「中出しされた」と相談を受けたメンバーが昨年の総選挙で上位に入っていたこともあったというのだ。
「記事によると、援交は複数の下位メンバーのみならず、主要メンバーもしているとされている。たしかに、某アイドルグループの元メンバーもオタファンに相当額を貢がせたことがまことしやかにささやかれていただけに、この2人が語っていることはAKBにとって"不都合な真実"と言えるかもしれない。各メンバーの所属プロダクションがバラバラなので、どうしても管理が緩くなってしまうのでしょう。暴露されたメンバーの1人はすでに男性問題が原因でクビになったと言われている未成年のXのようで、交際相手が各社に話を持ち込もうとしたが、当然、まったく相手にされなかったようだ」(週刊誌記者)
推しメン(=推してるのメンバー)のために投票券のついた新曲「Everyday、カチューシャ」を100枚、1,000枚と大人買いするファンにとっては耳目に触れたくない記事に違いないが、今後のAKBには、ヒートアップするファンにとって"肩すかし"のようなサプライズが用意されている気配なのだという。
「『Everyday、カチューシャ』のPVのエンディングに近い部分で、主要メンバーの大島優子、前田敦子、篠田麻里子、板野友美、高橋みなみがほかのメンバーの乗った船を見送るシーンがあるが、ファンの間では『今回のシングルでの卒業を暗示しているのではないか』と大騒ぎになっている。たしかに、そろそろ人気がピークに来た感じなので、トップのメンバーを入れ替えて"新陳代謝"させる必要がありそう。その辺は総合プロデューサーの秋元康氏もしっかり計算しているはず」(スポーツ紙デスク)
過去最高の注目を浴びる今回の総選挙だが、選挙後の動向が気になりそうだ。
万年赤字の"お荷物"「週刊ポスト」「女性セブン」が小学館社内でクーデター画策中!?

小学館公式サイトより
伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ギョーカイの内部情報を拾い上げ、磨きをかけた秘話&提言。
大手出版社・小学館の分裂騒動が話題になっている。
「小学館発行の『週刊ポスト』『女性セブン』『SAPIO』を本社から切り離し、分社化するという案が急浮上しているらしい。しかしこの3誌は小学館の主要雑誌であり、看板雑誌でもある。『小学館はそこまで危機的状況なのか』と出版業界でも話題になっています」(出版業界に詳しい記者)
分社化といえば2008年、朝日新聞社が「週刊朝日」「AERA」など出版部門を切り離し、朝日新聞出版としたが、この時も本社と比較すると著しく低下した出版会社社員の待遇などをめぐって多くの波紋を呼んだ。小学館は特に業界内でも高給・高待遇で知られる出版社であることから、もし分社化すればその波紋はさらに大きいだろう。
「主要雑誌とはいえこの出版不況で、『ポスト』『セブン』は今期決算でも5億円以上もの赤字が予想されています。今やお荷物雑誌ですからね」(前同)
しかし、取材を進めると意外な事実が浮かびあがってきた。
「分社化という話は実際にあって、小学館内でもここ数カ月その話で持ち切りです。だが、小学館がお荷物雑誌を切り離すということでは決してない。というのも、分社化を主張しているのは『ポスト』発行人であり担当役員の秋山修一郎氏と『セブン』発行人の森万紀子氏の二人だからです」(小学館関係者)
一体どういうことか?
「この二人の発行人は、雑誌が赤字というのは自分たちの責任ではない、むしろ雑誌連載を書籍化したりムックにするとそれなりにヒットする。しかし、その業績は別の部署が持っていってしまい自分たちには金が回ってこない、という不満を持っているのです。さらに小学館ではアドバトーリアル室というタイアップ企画を専門に行う部門があり、『ポスト』だけでなく『セブン』『SAPIO』のブリッジ企画を売りにしていますが、それが上手く機能していない。そのため秋山役員は『分社化すれば自分たちの采配で上手くやれる』と本気で思っているのです」(前同)
実際、秋山役員は副社長である白井勝也氏に分社化を直談判したが「上手くいくはずはない」と相手にされなかったという。
「しかし秋山役員と森氏だけは本気なようです。白井副社長も最後は『勝手にすればいい』と匙を投げたとも言われている」(前同)
いわば二人の発行人による予算の利権争いクーデター騒動というわけだ。だが二人の不満は予算だけではないようだ。別の小学館の内部事情に詳しい関係者はこう証言する。
「『ポスト』『セブン』はここ数年人材不足が顕著です。特に若手は誰も希望しない『嫌われ雑誌』となっている。社員編集者など隙あらば逃げ出したい、という雰囲気ですからね。そのためスタッフの年齢も高くなる一方です。秋山役員は『分社化すれば専属のスタッフも雇えて、人材不足も解消する』と主張しているようですが、そんな問題ではない。何しろ人が逃げてしまう大きな原因は、秋山と森に"人がついてこない"という人徳のなさなのですから(苦笑)」
この関係者によれば「実際に分社化が実現する可能性は低い」という。それにしても、なんとも低レベルな分裂騒動である。
(文=神林広恵)
「本来すべきことができていない」東電OB・蓮池透氏が古巣に呈した苦言
東日本大震災による原発問題で会社存亡の危機を迎えている東京電力だが、ここぞとばかりにこれまでの"御用メディア"が一斉に東電たたきに走っている。
「東電の広報は毎年、マスコミ対策に多額の費用を使ってきた。一般各紙の担当記者や幹部を原発見学ツアーに招待。地方都市の原発を見学後、その地の高級温泉宿などで接待してきた。だから、これまで原発関係の問題については歯切れが悪い記事しか書けなかった。ところが今回はそれもむなしく、メディア各社から袋だたきに遭っている」(全国紙経済部記者)
ところが、他紙と足並みをそろえていなかったのが朝日新聞だったという。
「朝日はもともと"反原発"のスタンスで、原発見学ツアーへの参加をことごとく拒否。一貫して原発に厳しい記事を書き続け、今回も厳しくたたきまくっている」(同)
そんな朝日の4月30日付紙面に興味深い記事が掲載された。
掲載されたのはオピニオン面「私の視点」で、意見を述べたのは北朝鮮による拉致被害者・蓮池薫さんの兄で元東京電力社員の透さんだった。
「透さんは東京理科大工学部電気工学科卒業後、77年に東京電力に入社。02年に国策会社の日本原燃に出向し同社燃料製造部副部長を務め、核廃棄物再処理プロジェクトを担当。06年に東電の原子燃料サイクル部部長に昇進したが、09年夏に退社した」(全国紙社会部記者)
透さんは「東京電力よ もはや隠しても仕方ない」と題した記事を掲載。記事によると新潟県柏崎市の実家は東電・柏崎刈羽原発から3キロ圏にあり、教師だった父のすすめで東電に就職したという。
入社後、最初に赴任地はなんと現在問題となっている福島第一原発で3、4号機の計測制御装置の保守管理を担当。「現場では、原発は完全に安全だと信じ切っていた」と当時を振り返り、78年発生した宮城県沖地震で「自然災害への防御策の重要性を痛感した」というが、「原発から見える海は穏やかで、15メートルの津波など想像もできなかった。我々の想定が甘かったと言わざるを得ない」と指摘。
東電に対しては「事故発生以来、本来すべきことができていない」、また政府と東電に対しては「何を目指し、何をやっているかが見えてこない」とバッサリ。その一方、マスコミに対しても、自身が深く関わった北朝鮮の拉致被害者問題に絡め「拉致問題でメディアが一斉に北朝鮮バッシングした時を思い出す」とし、「『東電はけしからん』という批判は感情的には理解できるが、非難して留飲を下げるだけでは解決にならない」と呼びかけた。
自らが勤務した原発での問題にどうやら我慢できずに意見を述べたようだが、今後もOBが続々と古巣批判を始めそうだという。
「東電の根幹に関わるようなトップシークレットを握ったOBは多いだけに、今後、新聞よりもいろいろ書ける週刊誌を中心に続々とヤバイ情報がリークされるだろう。そうすれば、ますます東電は窮地に追い込まれる」(報道番組関係者)
そうした情報公開が、一刻も早い事故の収束につながることを願いたい。
原発事故はなぜくりかえすのか
東電さん、いいかげんにしてください。

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田原総一朗が「震災報道」に見た既存メディアの問題点と可能性とは【3】

■【1】、【2】はこちらから
浮島さとし(以下、浮島) 田原さんご自身のお話に戻るんですが、今でこそ政治評論の重鎮としてご活躍ですが、お若いころはかなりメチャクチャをされてたというお話を耳にします。
田原総一朗(以下、田原) どうかな。例えば、どんな?
浮島 あの、元全共闘のヒッピーが全裸で行った結婚式の取材で、花嫁がノリで列席者全員とセックスすることになり、田原さんも花嫁に請われてその場でセックスしたという話は、あれはガセですか。
田原 しましたね。スタッフもみんな。それで、そのまま撮ってオンエアしましたよ。
浮島 そうですか(笑)。じゃ、ニュージャージー州でマフィアに取材を申し込んだら、マフィアの人間がビリヤード台を指して、この場で売春婦とセックスしたら取材を受けてやると言われて、実際にその場でヤったというのも本当ですか。なんかセックスの話ばかりで恐縮ですが。
田原 本当ですよ。だって取材するためだからしょうがない。取材はなんでもありですよ。
浮島 よくその状態で●●●が立ちますね......。ビビったりしなかったんですか。
田原 なんでビビるの?
浮島 なんでって、周りにマフィアがいるからです。
田原 だって、こっちは取材をしたいんですよ。そのためにはなんでもやりますよ。あのね、取材ってのは最終的にどこか命を張るという部分がないとダメですよ。だから向こうもこっちを信用する。そういうもんです。
浮島 今のお話で思い出したのですが、先日、(政治評論家の)三宅久之さんとお会いしたときに、70年代に起きた「西山事件」についてお聞きしたんです。当時、毎日の記者だった西山氏が、外務省の女性職員と懇ろになって沖縄返還協定に絡んだ機密情報を入手し、それをスクープとして出した。三宅さんは当時、毎日新聞デスクで西山記者の上司だった。
田原 あの時は取材方法が問題視されて、毎日新聞が世論からも同業他社からも批判されましたね。最後には男と女のスキャンダルに話が矮小化されてしまった。
浮島 三宅さんによると、その時ただ一人味方してくれたのが、ナベツネさん(渡辺恒雄・読売新聞社主)だったそうです。記者仲間の飲み会の場で「おまえら、おマ●コまでしてスクープ取ってこれるのか! オレのライバルは西山だけだ!」と言ってくれたと。ナベツネさんといえば今回のプロ野球開幕強行発言で男を下げましたが、これは若かりしころの男前なお話だなと。
田原 だってねえ、取材っていうのは、方法が三つあるの。盗むか、だますか、買収するかなんですよ。その意味で、西山事件は批判されるような問題では全然ない。
浮島 今、日本で盗撮のような手法で取材をして、仮に重大な反社会的行為の事実を引き出したとしても、当局以上に視聴者やネットユーザから取材した側に批判が来ますよね。「おまえら法律に違反してネタ取ってるじゃないか」と。
田原 だろうね、でも叩かれてもいいじゃない。昔ね、アメリカのあるスーパーが腐った肉をミンチにして商品として売ってるという噂があって、アメリカのテレビ局の人間がスーパーの店員に化けてカメラを持ち込んで、腐った肉を加工してる現場の撮影に成功して放送したの。そしたらそれがドキュメンタリーの権威ある賞を取った。
浮島 それはすごいですが、訴訟をされたりとかは。
田原 もちろん訴えられた(笑)。しかも裁判に負けた。で、僕はその取材をした責任者を取材したの。「負けたね、やっぱり違法だね」って。そしたら「そうですね」って。「これからどうする、もうしないの」と聞いたら「方法がまずかった。もっとバレない方法でやる」と。
浮島 コンプライアンスもクソもない(笑)。でも取材方法としては正しいと。もっとも、コンプライアンス自体が悪いわけじゃないですしね。法令遵守は必要なのであって、その解釈がゆがんで独り歩きしていることが問題ということで。
田原 西武ライオンズに東尾修っていうピッチャーがいたでしょ。彼に「ボークの定義って何だ」って聞いたの。そしたら、「アンパイアがボークと言ったらボークです」と。「あなたはボークしないの」と聞いたら、「バレないようにやるんだ」と。そういうもんです。
浮島 圧力に萎縮せずに、したたかに一貫してやり続ける姿勢が求められると。
田原 あと、楽しむことも大事じゃないかな。僕も裁判起こされたりしたけど、誤解を恐れずに言えば、裁判そのものはすごく面白かった。そしたら弁護士がね、こんなの面白がるの田原さんぐらいしかいないって。
浮島 ああ、なるほど。実は田原さんが提訴された時もすぐに事務所にインタビューを申し込んだんです。絶対に今は断られると思ったら、秘書の方は「田原は全然OKだ」と。でも、弁護士がNG出すかもしれないとおっしゃるので、担当弁護士の●●さんに電話で聞いたんです。そしたら●●弁護士も「田原先生は絶対OK出しちゃうと思うけど、今は遠慮してもらえますか」と言ってました。今のお話を伺って、なんか、そのときの空気が理解できました(笑)。
田原 ああ、●●さんがね。そんなことがあったの。
浮島 田原さんといえば『朝まで生テレビ』(テレビ朝日系)です。1980年代後半のかなり初期の放送を、学生だった私は友人と見ていた記憶があるのですが、田原さんが討論のテーマに予定されていなかった天皇制の問題を急に語り始めたんです。当時は天皇制といえば、今とは比較にならないくらいタブー視されていて、テレビで正面から議論するなんてあり得なかった。だから、見ているこちらにも「この司会者、何かやり出したぞ!」とびっくりして。あれ、確信犯ですよね。最初から企んでたのですか?
田原 あれはね、あのとき昭和天皇のご容態が思わしくないころで、今ここで天皇制の議論を避けるのはどう考えてもはおかしいだろうと、前もって局のプロデューサーに持ちかけたんですよ。そしたら彼も悩んでたけど、やっぱり無理だと。だから分かったと。その代わり、「生放送だから、たまたま話がそっちへ流れてしまうことは、アクシデントとしてはあり得るよね、その場合の責任は僕が持つしかないよね」と言ったの。そしたら彼は黙ってた(笑)。それを僕は暗黙の了承と受け取った。
浮島 あのとき田原さんが「今、天皇陛下が......」と切り出した途端、パネラーの間に緊張が走ったのが画面を見ていてもわかりました。猪瀬(直樹)さんですら動揺してましたから。田原さんも視線を盛んにチラチラとスタッフの方に動かしていて、スタジオが右往左往している空気が伝わってきたのを鮮明に覚えています。結局、栗本慎一郎さん(当時:明治大学教授)が「聞いてない!」って顔を真っ赤にして退席しちゃうし。あれはしびれましたね。
田原 しかけてナンボですからね。テレビというものは。
浮島 「朝生」はご自身で構成を考えるのですか。
田原 そう。全部こちらでやる。出演者もほとんど自分で選びます。で、このメンバーだか、ら、だいたいこういう話の流れで、という感じで。ついでにスポンサーまで自分で見つけてくることがありますよ。
浮島 その構成通りにいくものですか?
田原 一回もいったことない。むしろ、いきそうになるとこっちからかき回すから。当たり障りない答えばかりされるとつまらないでしょ。
浮島 スポンサーという言葉が出ましたが、よく「スポンサーの圧力」という言葉が使われますよね。スポンサーや広告代理店から電話がかかってきて「番組やめろ」みたいな。朝生では実際のところどうなんですか。
田原 あのね、スポンサーだって出資している以上は視聴率には敏感だけど、圧力をかけて番組をつぶすなんてことはまずありませんよ。それを言ってる局の人間がいたら、ただの言い訳。自分の力の無さを責任転嫁してると思っていい。そりゃね、トヨタ批判をする番組をトヨタのスポンサードでは作れませんよ。でも、そういう極端な形でない限り、スポンサーは文句なんて言ってきませんよ。
浮島 『朝生』を長くやってこられて、局のスタッフも世代交代してきて変化もお感じになると思うのですが、何か一貫したテーマとして掲げているものはありますか。
田原 まぁ、全体的に昔よりやりづらくなったけど一言で言えば、やりにくいものをどこまでやるかがテーマですかね。さっきもあなたが言ったけど、コンプライアンス部の監視体制も厳しいしね。
浮島 正直言って、段々つまらなくなってきたんじゃないですか。
田原 それはないでしょ。僕はね、テレビ局の監視体制が強まってくるのは、半ば歓迎してるの。つまりケンカでしょ。ケンカする局面がいっぱい出てくるっていうのは楽しいことだよ。
浮島 でも、昔はできたことができなくなると、自分の伝えたいものとは違う番組になるとか。
田原 それはならないでしょう。こういうふうにやってできなければ、こっちからやるか、あっちからやるか。要はやりようですよ。
浮島 それを若いスタッフやディレクターさんに伝えていかれるのですか。
田原 いつも言ってますよ。僕は昔から言ってるの、民放のディレクターなんてのは自分の表現したいことができるはずがないって。なぜなら、テレビは総務省が監督官庁として完全に管理してるから。スポンサーもいるから視聴率も無視できない、上層部からの圧力だってある。三重に縛られてるんです。じゃあ、自分のやりたいことが全然できないかというと、逆に考えれば三重に縛られてるから面白いんだって。縛りの中でいかに自分のやりたいことをやるか。縛りがないところでやりたいなら同人誌が一番縛りがないからね。でも、それじゃ面白くないでしょ。やっぱり文句を言われるから面白いんですよ。
田原総一朗が「震災報道」に見た既存メディアの問題点と可能性とは【2】

撮影=笹村泰夫
■【1】はこちらから
浮島さとし(以下、浮島) 取材力の話に関連するのですが、警察情報を記者が記事にする場合、被疑者が警察に拘束されていると、情報の裏を取るのが非常に難しい。結果、警察が言っていることをそのまま書くしかない。それがパターン化しているという現状があります。
田原総一朗(以下、田原) もともとマスコミってのは、取材源に対して立場が弱いんですよ。典型的なのが、今言った警察や検察に対して。例えば今、ホリエモンが逮捕されたとしますよね。検察は堀江さんを有罪にしたいから、いかに彼が悪人で汚い人間かという情報を一方的にリークする。身柄は当局に拘束されているから裏が取れない。なので、メディアは取材をせずに、リーク情報をそのまま世にはんらんさせ、それで世論が形成される。
浮島 検察が意図した通りに世論が作られる。あるいは、検察に批判的な記事を書く記者は(記者)クラブに出入り禁止とか。
田原 それもある。検察の意図に沿って流さないと、嫌がらせをして取材を拒否したりね。拒否されたら、検察情報が一切入ってこないから紙面が作れない。従って、検察の批判記事は基本的に新聞に出てこないという構図があったわけだけど、例の村木厚子さんの冤罪事件では、さすがに各紙ともここぞとばかりに検察をたたいてましたね。ただ、あの事件については批判できたけど、また別の事件については前と同じで、検察の圧倒的な優位性は変わらないでしょう。
浮島 検察タブーと関連するのですが、田原さんがメイン司会者だった『サンデープロジェクト』(テレビ朝日系)の打ち切り理由は、検察批判の急先鋒である元検察官の郷原信郎氏を、田原さんが番組に呼んで自由に発言させたことに対して、局の上層部から圧力がかかったからだという話もありますが。
田原 郷原氏を今後も番組に出すのであれば朝日の司法記者を出入り禁止にすると、検察からそう言ってきたという話は聞いています。
浮島 検察から記者を出入り禁止にされたら、朝日新聞は記事が作れない。困った上層部は、田原さんを切ったと、こういう構図ですか。
田原 まぁ、必ずしもそれだけとは言いませんけどね。あの番組がいろんな意味で局の上層部にとって重たい存在だったのは確かでしょうね。
浮島 局の上層部からしたら、田原さんが"空気を読まない"番組作りばかりするので負担だったのではないでしょうか(笑)。その意味では、鈴木宗男前衆議院議員が収監される前にもインタビューをされていますが、あれも地上波では放送できないのでニコニコ動画で流したのですか。
田原 そう。収監前にどうしてもメッセージを撮りたかった。彼は裁判について言いたいことがいっぱいあるわけだから。テレビに持ちかけたらNGだというので、それでニコニコ動画に「やらないか」と言ったら「やりましょう」と。それで70分流しました。
浮島 宗男さんがNGだというのは、刑事被告人や容疑者だからという理由は分かるのですが、そういうNGの基準って各局の規則やガイドラインにでも明記されているのですか。
田原 明記はされてないけど、起訴されて裁判中の人間は出さないのが一応はテレビ界の大原則なんです。
浮島 しかし、それを言ったら堀江貴文さんもそうだし、もっと言えば田原さんも裁判中じゃないですか(編注:北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さんの両親が田原氏の発言をめぐって2009年7月に神戸地裁へ提訴)。
田原 そう。だからそこらへんはあいまいというか、ガイドラインとして明文化されてるわけじゃないから。今のところでいうと、「堀江さんはOK、ただし裁判のことは言っちゃいけない」みたいな空気にはなっていますね、テレビでは。
浮島 でも、そういう「空気」も黙ってて自然に出来上がるわけではないですよね。田原さんが堀江さんをテレビに引きずり出したいと思っても、局から「被告人だからダメ」と言われ、そこから折衝して出演までこぎ着けるわけですよね。今でこそ堀江さんは普通にテレビへ出ていますけど。
田原 もちろんそう。僕はね、「番組を作る」とか「表現をする」ってことは、(テレビ)局側とのケンカだと思ってるんです。あるいは新聞社の「社」でもいいですね。雑誌だったら編集部。そことどこまでケンカできるかだと思います。逆に言えば、それがあるから面白いんじゃないですか。
浮島 田原さんは1964年に東京12チャンネル(現:テレビ東京)に入社以来、45年以上テレビ業界に携わっていらっしゃるわけですが、当時と今では世の中の状況もテレビ局員の社会的地位も全く違うと思うのですが。
田原 違うね。僕が東京12チャンネルに入ったころは、テレビがとてもいいかげんな時代だったの。ステータスも全然なかった。特に東京12チャンネルはできたばかりの「テレビ番外地」みたいな、インディーズ的な会社だった。誰にも相手にされないから、今のニコニコ動画みたいにいろんな番組が自由に作れたんですよ。でも、徐々にテレビ会社も就職試験が難しくなり、一種のステータスになってくると、だんだん縛りが強くなってきた。
浮島 テレビが自由にできたというのは、当時はまだ活字媒体の方が社会的地位がはるかに高くて、視聴者もテレビをそんなに信頼していなかったという要素があったと思います。まさに今のネットと同じで。自由な番組作りができるというネットメディアも10年後は、テレビと同じ道をたどるとは言わないまでも、今と違った形になると考えられますよね。
田原 確かに違った形にはなると思うけども、ただネットメディアは誰もが発信者になれるというのが最大の特徴だからね。これはテレビなどの既存のメディアとは大きく違うところなんで、同じ道をたどることはないと思う。ただ、ネットは「金を払わない」というのが主流だからね。ビジネスモデルの構築が大きな課題ですね。堀江(貴文)さんなんかは有料メールの会員を相当抱えているようだけど、誰もができるモデルではないからね。ニコニコ動画なんかは、ようやくビジネスになり始めたというけど。
(【3】につづく)
田原総一朗が「震災報道」に見た既存メディアの問題点と可能性とは【1】

撮影=笹村泰夫
『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)の顔として、テレビジャーナリズムの可能性を切り開いてきた田原総一朗氏。1964年の東京12チャンネル(現:テレビ東京)入局以来、約半世紀にわたりテレビ業界を見続けてきた。また、緻密な取材を基にこれまで150冊を超える著書を出すなど、活字ジャーナリズムの世界でも第一人者として活躍を続けている。その田原氏が、3月11日以来続く一連の「震災報道」の問題点や、『サンデープロジェクト』(同)打ち切りの真相、さらには若かりしころの破天荒な仕事ぶりなどを激白。既存メディアの可能性や問題点を浮き彫りにしてもらった。
(聞き手=浮島さとし/フリーライター) 浮島さとし(以下、浮島) 3月11日の大地震から早くも1カ月がたちました。一連のマスコミ報道をご覧になっていてお感じになることはありますか。 田原総一朗(以下、田原) 新聞やテレビが政府の発表をそのまま垂れ流していますよね。たとえば、11日の大地震の翌日に福島第一原発の1号機が水素爆発を起こした。これで建屋が吹っ飛びました。ところが、建屋の内部で爆発するほど気圧が上がる理由は、普通はないわけですよ。であれば、どこからか高い気圧が漏れてきたということになる。建屋内部で気圧が高い箇所といえば、圧力容器の中と考えるのが妥当なんです。 浮島 あの時点では、まだ政府は圧力容器の損傷はないと言っていたわけですが。 田原 政府は確証情報しか出さないからね。でも、順を追って普通に考えれば原子炉が原因と推測できるはずです。ということは当然、圧力容器が破損していると見なければならない。圧力容器が破損するということは、燃料棒が溶融している。もちろん、それは推測です。しかし、そういう推測を政府は発表しない。政府が発表しないと、マスコミも報じない。でも本来マスコミは、その可能性を報じないといけないんですよ。 浮島 専門家の中にはツイッターやブログなどで炉心溶融の可能性を示唆していた人もいましたが。 田原 そういう声がテレビになかなか出なかった。破損している可能性が高いと論理的に確証を持って言える専門家は居たわけで、たぶん記者もそこは取材しているはずなんですよ。でも、怖いからそれを発表しない。なぜか。「危機感をあおっている」「風評被害だ」と言われるのが怖いから。その結果、無難な報道に徹してきた。無難な発表というのは政府の発表をそのまま伝えるということなんですよ。 浮島 いわゆる、大本営発表。 田原 その通り。大本営発表ですよ。でも、戦争中は言論統制が厳しくて戦争反対なんて言えなかったけど、今は統制なんてないわけ。なのに、なぜかマスコミは大本営発表をだけを垂れ流す。理由は無難だからですよ。 浮島 それと、地震から4日目くらいですか、一斉にどこの局も番組編成を通常の形に戻し、バラエティー番組も始まりました。NHKも大河ドラマを始めて、気付いたら地震報道をしている地上波が一局もないという状態になりました。あの時は、建屋内部が冷却できずに温度が上がり続けていて、恐ろしく緊迫していたはずなのですが。 田原 それも無難だから。バラエティーを始めたら時期尚早と世間からたたかれるかもしれない。やるならみんなで一緒にやりましょうと。自分のところだけたたかれないで済むわけだから。自粛だってなぜするかといえば、無難だからですよ。自粛しないと批判される。とにかく無難でさえあればいいという。その結果、事実が視聴者に伝わらない。それが一番の問題です。 浮島 田原さんはよく「今のメディアは守りに入りすぎて面白くない」という趣旨の発言をいろいろな場でされています。昨今は各局ともコンプライアンスを専門に取り扱う部署が発言力を持ち、思い切った番組作りができないという話も聞きます。コンプライアンスという言葉が独り歩きをしているとの指摘もあるようです。 田原 コンプライアンス部ってのは、クレームをつけるのが仕事の部署なんですね。例えば「視聴者からこんなクレームがあった」と大騒ぎする。大騒ぎしないとサボってるってことになる(笑)。それもあって、テレビも新聞も非常に神経質になってる。最近ね、相撲に対しても政治に対しても、あるいは19歳の受験生がカンニングしたことに対しても、新聞記事やテレビの番組にクレームがいっぱいくるわけ。世間の目が非常に厳しいよね。僕は一種のいじめだと思うけどね。 浮島 制作サイドが思い切ったコンテンツ作りをできない大きな理由は、クレームを恐れた過剰なまでの組織防衛の風潮だということになりますか。 田原 それが一つね。もう一つ大きいのが経費の問題。結局ね、新聞もテレビも不況なんですよ。広告費が落ちて景気が弱くなると経営がそれだけ弱気になる。新聞なら取材費、テレビなら制作費を落とそうとする。これにより取材が十分にできなくなる。すると、取材に自信を持てなくなる。自信がなくなると臆病になって、その結果、「危険なことはやめよう」「無難にやろう」という動きになる。それが今のコンプライアンスとやらの実態だよね。 浮島 実際、取材経費が出ないという状況が珍しくなくなりました。先日、野村総研の上海支社で幹部が強制わいせつを働いたという事件があったのですが(記事参照)、取材をしたら被害者が上海に居るという。一次情報を得るために上海まで行ったのですが、ビジネスとして見たらまるっきり赤字でした。これがネット媒体ならまだしも、週刊●●とか、××とか、結構な大手出版社でも「上海? 遠いな、無理」って感じですから。 田原 ああ、そう(笑)。昔は(週刊)ポストでも(週刊)現代でも、経費で海外取材が当たり前だった。僕はずいぶん行きましたよ。今はだんだんケチになってる。あとね、これ良くないことに、テレビが制作費を削減するでしょ。それでも番組ができるでしょ。「しめた」と思っちゃう、管理職が。だから、これから景気が良くなっても制作費を上げませんよ。 浮島 安く作れるノウハウを覚えてしまうと......。 田原 そう。覚えた、と思っちゃう(笑)。本当はそんなもの、ノウハウでもなんでもないのにね。それだけ取材がおろそかになって番組は劣化するんですよ。 浮島 私も良くないとは思いながら、特に遠方だと移動経費と時間がもったいなくて、ついつい電話取材で済ませてしまうことがあります。 田原 それが良くない。あのね、新聞記者を一番ダメにしてるのはケータイですよ。記者は政治家の携帯番号を知ってるわけだ。会わずに「どうですか」と聞いちゃう。そりゃ聞けば答えはするけど、ケータイ程度にしか答えないからね。Face to faceで押し込んでいくのと、ケータイで聞くのとは全く違いますよ。なのに、それで取材できたと思っちゃう。ここが問題ですよ。便利になりすぎたんだ。 浮島 確かに楽なんです。電話で20~30分聞いて、それなりに記事が書けちゃう。でも、会って顔を見て話すのとは、出てくる言葉が違いますよね。 田原 全然違う。ケータイが普及したことはね、新聞やテレビの記者の取材力を相当減退させたと僕は思ってますよ。 (【2】につづく)
現場放棄、東電批判を"自粛"……震災であぶり出される大手メディアの素顔

「週刊新潮」4月7日号(新潮社)
伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ギョーカイの内部情報を拾い上げ、磨きをかけた秘話&提言。
福島第一原発事故以降、メディアの現場でもそのスタンスが問われかねない"事件"が起こっている。その最たるものが「週刊新潮」(新潮社/4月7日号)で報じられた共同通信福島支局の現場放棄事件だ。爆発事故をテレビで見た東京の社会部幹部が、福島支局員たちの県外退避を指示、一時、福島市にある共同の福島支局が不在になる異常事態となったというもの。「新潮」も「ニュースの担い手が真っ先に逃げたら、パニックを増長する」と苦言を呈した。
だが、これにはさらなるトンデモ後日談があった。
「退避後、共同上層部が『すぐに戻れ』と指示を撤回し、支局長以下支局員たちは福島に戻りました。この職場放棄事件はもちろん、福島の他テレビ・新聞社にも知れわたっていた。そのため、福島支局長は仕方なく記者クラブで関係者に謝って回ったんです。その際、支局長は首にガイガーカウンター(放射線量測定器)をぶら下げていて、さらなるひんしゅくを買ったんです」(大手紙社会部関係者)
市民にさえも避難勧告が出されていない中、日本を代表する通信社の"放射能パニック"は大ひんしゅくモノだ。中には「あんたら(共同通信)は原発を推進してきた張本人だろう」と言い放つ関係者もいたという。というのも、数年前、共同は電通と組んで「原発は安全」というPR広告を共同加盟社に流した"前科"があるからだ。
その後、この支局長には自宅待機の処分が言い渡された。だが、この処分も支局長にとってはラッキーなことだったという。
「支局長の自宅は東京ですからね(笑)。福島から離れて放射能の恐怖から逃れられたと思ったのか、なんだかうれしそうにも見えました。その後、支局長は校閲部に左遷されましたが、直後に銀座で行われた脱原発デモに参加し、写真を自分のTwitterにアップまでしていた」(同大手紙関係者)
なんともはや、である。だがこの事態を招いたA級戦犯は「独断でパニックになり現場を混乱させた社会部幹部A氏」(某大手通信関係者)だ。
「支局長が更迭されたのに、Aさんがなぜ処分できないのかと、社内でも不満を漏らす記者は多い。Aさんは爆発直後からパニック状態になり、避難指示の前も『一人の被爆者も出すな!』『水は絶対飲むな』『支局から出るな』と、とんでもない指示を出しまくっていた。社内でも『Aさんがメルトダウンした』と嘲笑されていました」(前同)
しかし、共同の体たらくを報じた「新潮」も、彼らを批判する資格などない。原発事故以降の「新潮」を見ると、東電批判が一切ないという異常事態が続いているからだ。いや、批判しないどころか、東電社員の美談を掲載する始末。その理由はもちろん「広告」だ。
「これまでテレビはもちろん新聞・雑誌など多くのメディアは、東電、そして各電気会社の連合会である電事連から莫大な広告出稿という恩恵にあずかってきました。東電だけで年間220億円以上もの広告費が垂れ流されていた。ゆえにめったなことで東電批判はしない、タブーとなっていた」(メディア事情に詳しい関係者)
そのため原発事故当初、多くのメディアはあからさまな東電批判を控える傾向にあった。しかし事態は長期化し、放射能汚染が続くと、そんな平時の論理は通用しなくなった。さらに「東電という企業が今のまま存続しないのではないか」(前同関係者)という、何ともご都合主義的な判断から、雑誌メディアを中心に東電批判も展開されるようになる。そんな中、「新潮」だけが一貫して東電批判を控えているのだ。
「逆に言えば、手のひら返しをするメディアに比べ一貫しているのかもしれません。もちろん皮肉ですが(笑)。『新潮』はかつて批判していた阿含宗の広告をいつの間にか掲載していたり、パチンコメーカーに擦り寄るなど、広告に関しては商業主義丸出しでしたからね。しかも、今回の地震では千葉にある倉庫でスプリンクラーが誤作動し、出荷直前の書籍が水浸しになる大損害を被ったと言われています。事態が収束した後、また東電から広告をもらおうとする意図がミエミエ」(前同)
今回の大震災・原発事故が硬派ジャーナリズムを気取る「新潮」、そして日本を代表する共同通信といったメディアに内在する問題を、見事にあぶり出したと言える。
「しかし、メディアとはいえ企業です。社員(記者)を守り、利益を出すという義務がある。一方で、情報を発信し報道を続けるというメディアとしての使命もある。今回の原発事故は、こうしたバランス・メディアや記者個人のスタンス・存在意義を究極的に試されている事態なのです」(メディア事情に詳しいジャーナリスト)
骨のないメディアにとっては、頭の痛い日々が続きそうだ。
(文=神林広恵)
「だったら辞めてやるよ?」『とくダネ!』小倉智昭の傍若無人にスタッフはブチギレ寸前!?
「こんなもん、メディアが取り上げるほどのことかねえ」 自分の番組でそのネタを取り上げておいて突き放す。フジテレビ系の情報番組『とくダネ!』のキャスター、小倉智昭の得意技だ。 昨年12月、タレント麻木久仁子とジャーナリスト山路徹氏の不倫騒動でも「こんなの放っておけばいい」と言い放ち、市川海老蔵と小林麻央の交際報道には「海老蔵さんの付き合う人をいちいち取り上げていたら大変」と冷笑。亀田兄弟の騒動にも「どうでもいいよ」と言い放っていた。 いかにも野次馬的な情報番組で多額のギャランティを受けながら、自分だけは距離を置いて上から目線の感想を述べる。これが鼻につくという視聴者の声も少なくないのだが、実は番組スタッフの間でも評判は決してよくない。 「数字(視聴率)が取れるからみんな我慢しているけど、彼のいない席ではみんな悪口ばかり」とは、数年間『とくダネ!』でディレクターを務めた関係者だ。 「スタッフはみんな労力かけて取材しているのに、"どうでもいい"の一言ですからね。大半は関係者や識者にコメントを取っているが、小倉さんが毎回"こんなの取り上げるのがおかしい"という度に、そのコメントした人から抗議が来るんですよ。"だったら最初から話を聞いてくるな!"って」(同関係者) それもそうだろう。画面では、コメントした人がまるでくだらないものに熱心であるかのように映るのだ。 一方で、自分の愛車が盗難に遭ったことを番組冒頭10分近くも割いて愚痴っている。それこそ視聴者の方が「どうでもいい」と言いたくなる。 「オンエア以外でもスタッフに対して言葉がきつい。オマエ呼ばわりは当たり前、少しでも自分の気に入らない台本だと"誰だ、これ書いたの?"とわざわざ人が集まっている場所で怒る。自分が読み間違えたものまでディレクターのせいにします」(同) 極めつけは、その二言目に「だったら辞めてやるよ、と言うことです」と同関係者。自分が辞めたらおまえら困るんだろ? と言わんばかりの態度が印籠になっているようだ。 そういえば以前、朝青龍に「星が買えればいいのにね」と発言したことを謝罪した際も、「そういう表現が私の持ち味」と弁解。「それでお詫びしろというなら司会を辞めさせてください」と加えていた。 問題があっても「持ち味だから責めるなら辞める」とはあまりに身勝手だ。 先日、小倉はネット関連の事件に「僕はパソコンがなくても生きていける」とコメントしていたが、パソコンによる仕事上のトラブルがあっても「パソコンなんかに頼るからだと怒鳴っていた」(同)という。 しかし、小倉は80年代にはパソコン入門番組の司会者をやっていた。自分のことを棚に上げるのも"持ち味"のひとつということだろうか。 (文=鈴木雅久)フジテレビ『とくダネ!』HP
「会社がウソ申告!?」破産のナイタイ出版に社員の年金記録改ざん疑惑 法廷闘争へ

日本年金機構HPより
かつて風俗界を牽引したスポーツ紙「ナイタイスポーツ」の元社員が悲鳴を上げている。
約10年間、同社に勤務した40代の元社員男性S氏が「年金記録を改ざんされた」と厚生労働省に通告していることが分かったのだ。
「月収は41万円だったのに、年金記録では月額報酬が15万円となっているんです。おそらく会社がウソの申告をして保険の支払い額を下げていたのだと思います」(S氏)
これに対し、厚労省は「こちらに明確な記録がなく、Sさんもそれを示す証拠をお持ちでないため、確認が困難な状況になっている」と回答、対応ができない状況になっている。
ナイタイスポーツは風俗情報を主体としたレジャー紙「歌舞伎町タイムス」として1981年に創刊。以後、名称を変えながら95年にスポーツ紙の形態で芸能やプロレス記事なども充実させていた。風俗業の発展に大きく貢献し、一時は大手コンビニエンスストアにも置かれるほどの伸びを見せたが、インターネットの成長や不況による広告減少から徐々に部数を減らし、08年9月に休刊。翌年、発行していたナイタイ出版の破産が伝えられた。
「記録が改ざんされていた当時、給与を減額されたこともないし、厚生年金保険料は給与の額に応じて控除されていました。厚労省が何の対応もしてくれないので、現在は総務省の年金記録委員会に申し立てています。最悪の場合、国を相手に裁判を起こすしかないと弁護士も言っています」(S氏)
これが事実なら、S氏以外にも同様の被害を受けている元社員がいることになる。S氏によると「会社には自分が知っているだけでも述べ500人以上の社員がいた」という。
そこで同社に勤務したことがあるフリーカメラマンの男性を取材したところ、なんとこちらも苦情を訴えていたことが分かった。
「退社して何年も経っていたので気付かなかったけど、昨年、年金保険事務所に行ったら、自分が支払ってきたはずのものと大きく違っている。それを指摘しても"うちは会社からの報告が全て、会社とそちらの問題はうちに関係ない"と無責任に言われた。でも、今は会社自体がないわけですから、会社に言えというのは無理。支払ったものが実際は支払っていないことになっているのは納得いかない!」(同カメラマン)
現在、専業主婦の年金切り替え漏れに救済策が話し合われているが、これはあくまで支払いを忘れていた人間に対するもの。支払った人間からすれば、こっちはもっと深刻で、元社員が怒るのも当然だろう。
ある専門家は「問題が発覚する前から、社保庁がずさんだったことを知っていた経営者は多かった。それを悪用して巧みに社員を騙していた会社もある」というから悪質だ。
意外なところから噴出した新たな年金問題、まさに底なし沼である。
(文=鈴木雅久)








