
まさかの降板劇となった石原氏。
第146回芥川賞が先日発表されたのはご存じの通り。発表前には候補者に「話題性の高い作家がいない」ことなどから、地味な受賞になるのではとの声もあった。が、一転、歴史的大騒ぎの芥川賞となったのだ。もちろんその立役者は田中慎弥。地味な風貌の田中だが、受賞決定後の不機嫌会見&石原慎太郎"東京都知事閣下"への宣戦布告ともいうべき発言で、ワイドショーなどでも大きく取り上げられる事態となった。
さらにこれを受けて、当の石原都知事は「芥川賞選考委員を辞める」との辞意を表明したのだ。
「ただ石原さんはこれまで何度も辞める、辞めると狼少年のように繰り返していたから、当初は今回もブラフだと思われていました」(文芸評論家)
しかし騒動は拡大。本当に辞任を正式に表明した。
「彼のプライドもありますが、騒動が大きくなったため、結局は引くに引けなくなり、辞任に追い込まれたのでしょう」(前同)
その後も文藝春秋には芥川賞受賞作家2人宛てにプラスチックケースに入った「黒い粉」が送りつけられ、またまた騒動に。さらに封筒には「赤報隊」と記されていたことからも騒動は拡大したが、今のところ悪質ないたずらとの見方が強い。
そこで問題になっているのが、「今後の芥川賞選考委員」だ。2011年には池澤夏樹が主催者側の慰留にもかかわらず委員を辞任、さらに同年末には黒井千次も今回の選考会をもって辞任することを表明していた。さらにイレギュラー的に石原慎太郎が辞任したことで、芥川賞選考委員は、短期間に小川洋子、川上弘美、高樹のぶ子、山田詠美、島田雅彦、宮本輝、村上龍の7人と少人数なってしまったのだ。
「通常、芥川賞選考委員は10人前後の要員でしたので、今後早急に補充が必要だと主催者サイドは考えているようです」(前同)
そのため石原辞任表明直後から、次期選考員候補の名前が文芸関係者の間で取り沙汰されているのだ。
「有力なのが町田康、多和田葉子という2人の芥川賞作家と、そして角田光代といわれています。角田は直木賞作家ですが、それ以前には何度か芥川賞にノミネートされたこともある。直木賞作家の山田詠美が芥川賞選考委員になった前例もありますから、可能性はあるでしょう。そして、もしこれが実現すれば男4人vs 女6人と女性が多くなる。これは芥川賞史上初めてのことになるのです」(文芸編集者)
そうなると、文壇においても女性の発言力はさらに大きくなり、中でも芥川賞の山田詠美と直木賞の林真理子という"2大女帝時代"の到来か!! との声も出てきそう。ともあれ今後の選考委員人事という事態にまで発展させた新キャラが登場した今回の芥川賞。田中氏の受賞作『共喰い』(集英社)の売れ行きも早くも10万部と突破と順調だとか。同じく、破天荒な芥川賞受賞作家としてそのキャラが注目され、結局は大手芸能プロダクション・ワタナベエンターテインメントに所属し、テレビでも活躍中の西村賢太と同様、人前で話すのが嫌いな田中氏にも、芸能事務所からのオファーも舞い込んでいるとの情報もあるらしい(笑)。
(文=神林広恵)
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「次の選考委員は町田康? 角田光代?」石原慎太郎辞任で芥川賞はどう変わるか?
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まさかの降板劇となった石原氏。
第146回芥川賞が先日発表されたのはご存じの通り。発表前には候補者に「話題性の高い作家がいない」ことなどから、地味な受賞になるのではとの声もあった。が、一転、歴史的大騒ぎの芥川賞となったのだ。もちろんその立役者は田中慎弥。地味な風貌の田中だが、受賞決定後の不機嫌会見&石原慎太郎"東京都知事閣下"への宣戦布告ともいうべき発言で、ワイドショーなどでも大きく取り上げられる事態となった。
さらにこれを受けて、当の石原都知事は「芥川賞選考委員を辞める」との辞意を表明したのだ。
「ただ石原さんはこれまで何度も辞める、辞めると狼少年のように繰り返していたから、当初は今回もブラフだと思われていました」(文芸評論家)
しかし騒動は拡大。本当に辞任を正式に表明した。
「彼のプライドもありますが、騒動が大きくなったため、結局は引くに引けなくなり、辞任に追い込まれたのでしょう」(前同)
その後も文藝春秋には芥川賞受賞作家2人宛てにプラスチックケースに入った「黒い粉」が送りつけられ、またまた騒動に。さらに封筒には「赤報隊」と記されていたことからも騒動は拡大したが、今のところ悪質ないたずらとの見方が強い。
そこで問題になっているのが、「今後の芥川賞選考委員」だ。2011年には池澤夏樹が主催者側の慰留にもかかわらず委員を辞任、さらに同年末には黒井千次も今回の選考会をもって辞任することを表明していた。さらにイレギュラー的に石原慎太郎が辞任したことで、芥川賞選考委員は、短期間に小川洋子、川上弘美、高樹のぶ子、山田詠美、島田雅彦、宮本輝、村上龍の7人と少人数になってしまったのだ。
「通常、芥川賞選考委員は10人前後の要員でしたので、今後早急に補充が必要だと主催者サイドは考えているようです」(前同)
そのため石原辞任表明直後から、次期選考員候補の名前が文芸関係者の間で取り沙汰されているのだ。
「有力なのが町田康、多和田葉子という2人の芥川賞作家と、そして角田光代といわれています。角田は直木賞作家ですが、それ以前には何度か芥川賞にノミネートされたこともある。直木賞作家の山田詠美が芥川賞選考委員になった前例もありますから、可能性はあるでしょう。そして、もしこれが実現すれば男4人vs 女6人と女性が多くなる。これは芥川賞史上初めてのことになるのです」(文芸編集者)
そうなると、文壇においても女性の発言力はさらに大きくなり、中でも芥川賞の山田詠美と直木賞の林真理子という"2大女帝時代"の到来か!! との声も出てきそう。ともあれ今後の選考委員人事という事態にまで発展させた新キャラが登場した今回の芥川賞。田中氏の受賞作『共喰い』(集英社)の売れ行きも早くも10万部突破と順調だとか。同じく、破天荒な芥川賞受賞作家としてそのキャラが注目され、結局は大手芸能プロダクション・ワタナベエンターテインメントに所属し、テレビでも活躍中の西村賢太と同様、人前で話すのが嫌いな田中氏にも、芸能事務所からのオファーが舞い込んでいるとの情報もあるらしい(笑)。
(文=神林広恵)
『猫とあほんだら』著者・町田康さんに学ぶ、猫との微妙なカンケイ
売れないアイドルも9年続けるといろいろ不思議なことがあるもので、この度、なぜか、かねてからファンである作家の町田康さんの新刊エッセー『猫とあほんだら』(講談社)についてインタビューをすることに! 緊張で頭が真っ白になった私は、取材前に編集とカメラマンを集めて言いました。 「いいですか、町田さんのエッセー『実録・外道の条件』(角川書店)によると、町田さんは段取りの悪い現場と礼儀知らずなライターが大嫌いと見え、写真を撮られることに関しても『こんなことをしなければ飯を食っていかれないというのは、まことにもって情けない』と書かれています!」 緊張をほぐすには風邪と同様に他人に伝染すのが一番と考え、わざと脅すような箇所を引用してみたわけですが、特に自分の緊張がほぐれることはなく、むしろ同じく町田さんのファンである編集とカメラマンが「ヒッ」と悲鳴を上げ、全員がより緊張しただけでした。不安が隠せない我々の元に、遠方から、ヘビ柄の傘をさし、雨の中でも隠しきれない眼光を放った町田康さんがゆらゆらと現れ、かつてない緊張感の中でインタビューは始まったのでした。 ――あの、自分も猫を飼ってまして、今回は『猫とあほんだら』と併せて、あらためて『猫にかまけて』と『猫のあしあと』(すべて講談社)も読み返したんですが、町田さんちの猫たちは本当によくしゃべりますね。どのように猫語を翻訳されてるんですか? 町田康氏(以下、町田) ......そうですね。基本的にフィクションなんで、どこまで正確に訳せているかはかなり怪しい部分なんですけど......。 ――えっ、フィクションなんですか? 町田 ええ、いわゆる......。でも、まぁ、ずっと一緒に生活していると、だいたい日常会話というか、それぐらいのことは分かりますね。そんな複雑なことは言いませんから、基本的には。 ――今作では奥様がかなりパワーアップされていましたね! エッセーやブログにはご家庭の描写があまり出てこないので、「町田さんと暮らしているのはどんな女性なんだろう?」とずっと疑問だったんです(笑)。撮影=尾藤能暢
町田 ......はぁ。
――......あ、えっと、では猫の話を! うちにも何匹か猫がいるんですけど、どんなに手間を掛けても凶悪で......。猫をヒザの上に乗せてパソコンを打っていると、目の前で動いている私の手が気に入らないらしく、突然かみついてきたりして、「なんか悩んでるの?」って心配されそうな手首ができあがってしまいます。
町田 ははは、リストカットみたいな(笑)。でも、それが猫のかわいさでもあるんですけどね。かんできたり、激怒したり。うちなんかだと、猫がヒザの上に乗っているときに、5ミリくらい動いただけで「動物虐待をしてしまった!」っていう話になるんですよ。「1ミリにしなさいよ!」って。
――動くことさえ許されない......なんてハードな生活を! 町田さんは物事を俯瞰から見たり、斜めから見たりするニヒルなイメージなんですが、猫に対しては基本的に下僕のスタイルですよね。猫の数が増えてから、そのスタイルは変わりましたか?
町田 そうですね、自分がどう、と言うより、みんな性格が違うので、それぞれの主張もありますし、やっていることもありますから......。この本の最後に出てくる"ビーチ"はものすごく人間が大好きで、ものすごい甘えたがり。でも抜け毛がすごくって......。僕のバッグをイスの上に置いて3日くらい放置していたら、素敵なファーのバッグになっていたっていう(笑)。
――あはは! リアルファーですね。
町田 ブリジット・バルドーに怒られそうな。
――基本、人間の気に入っているものが好きですよね。パソコンのキーボードとか。以前、原稿用紙をビリビリに破られたことがあるとおっしゃってましたけど、そういう時に怒ったりしないんですか?
町田 犬は怒ると「これやっちゃいけないんだ」って分かりますけど、猫は怒っても怒り返してくるとかで、結局無駄なんですよね。最初のころは僕も怒ったりしていたんですが、無駄です。
――猫と暮らしていると、どうしても「なんでこのタイミングでこんなことするの!?」って時あるじゃないですか? 今日もこの自分の本(『アイドル墜落日記』)を町田さんにお渡ししようと置いていたら、猫が本の上に尿をしていて......。
町田 ......えっ!?(本から離れる)
――いや、これは新しいものです! 大丈夫です! アハ! ただ、PCの電源を得意げに長押しされたり、そんな時の怒りのやり場というか......。
町田 そういうときは、もう怒っても駄目ですから、あきらめるしかないですよね。「そういうことはこれからちょっとやめていこうか。やめていく方向で、ときどきそんな事をふっと思い出してくれたまえ」みたいな。
――......その口調で語りかけるんですか?
町田 そうですね。"なな"っていう猫はだいぶ高齢だし女性だし気難しいんで、かなり敬語ですね。彼女は六本木の猫なんで、かなり用心深くて、やっぱり警戒心が強くないと、あの辺では生きていけないんですよ。"ビーチ"は熱海の猫なんでのんびりしていて、"エル"は保健所から焼却処分寸前に引き取って......(中略)で、今度は"エル"が"トナ"を「お前だけは許さん、殺す」って言いだして......。あと、"シャンパン"と"パンク"は......。
――わー......今、総勢何匹の猫と暮らしているんですか?
町田 その本を書いてから現在までにタイムラグがあって、亡くなった猫も、新しく来た猫もいますから、現在は、ちょっと待って、えーと......(両手の指を折りながら)10匹ですね。
――ご自分でも把握しきれてないぐらい(笑)。10匹くらいがなんとかなる数なんですか?

最後の勇気を振り絞って、取材後にサインを
頂きました。
町田 いや、なんとかなんなかったから田舎に引っ越したんです。家の中がぐちゃぐちゃになってしまって、地価の安いところに。これでなんとかならなかったら、また別のところに移らなきゃね。どこまで移ればいいんだか(笑)。
――アハハ! ところで、猫と暮らしていると、もし猫が死んでしまったら......なんて考えるだけで怖いですよね。町田さんは何度も猫との別れの辛さを味わった上で、まだ保護団体から猫を預かるじゃないですか? 辛くなりませんか?
町田 そうですね。すごく悲しいですけど、「じゃあ、それを放って置いたらどうなるか?」って話ですよね。放って置いたら、その猫は死ぬわけですから。自分のことを考えれば猫が死んでしまうのは悲しい。ですが、それは猫でも友達でも家族でも同じことですよね。引き取った猫と、預かっている猫、彼らはいずれにしても行き場がないわけですから。......でも、まあ、主に僕の都合というか、僕ができるかどうかの話なんですが。もちろん、すべてできるわけじゃないですからね。
――今回の東日本大震災では飼い主が亡くなってしまった犬や猫も多いですしね......。
町田 こういう震災って、いろんなボランティア団体が入って、現地に入っている人も、そういう人たちを支援している人もいますよね。ただ、それでも行政から「立ち入らないでください」「そもそも犬や猫のために来ないでくれ」っていう場所があったり、「ペットを連れていく」って言っても、「持ち出すな」って言われている。「なんで?」って感じですよね。結局、割を食うのは年寄りや子ども、自分で生命の主張もできない犬や猫なんですよ。だから、やっぱり飼っている人が責任を持たないといけない。自分の精神の安定を得るためにペットを飼って、いざ危なくなったら見捨てるっていうのは、人としてどうなのかな。
――そういう、助けきれない動物へのジレンマはありますか?
町田 それって一番難しいところで、例えば一番矛盾を感じるのは、「かわいそうな猫がいます、みなさん助けてください」ってネットとかで言って、なんになる? ってことなんですよね。つまり、自分が何をするかなんですよ。僕だって毎回、猫を見るとすごく嫌なんです。全部は助けきれないですもん。しょうがない時はしょうがない。自分ができないってことも自分で認識しないと。でも、それは「見殺しにする」っていうことですよね。「俺は見殺しにした!」と思うしかないです。僕は、何回も、見殺しにしました......。
――わーなんていうか......えーと......慈悲深いですね! えっと、猫にそう思う気持ちって、人間に対してもあるんですか?
町田 まっっったくないですね。人間は言葉をしゃべるし、憲法で人権も保障されているじゃないですか。単純に自分が猫や犬がかわいそうだからやっているってだけで、人間には思わないですよ。「バカは死んでも直らない」ってよく良いますけど、本当にそう思ったこともありますよ。「こいつ死ななきゃ駄目だ!」って......(笑)。
――そうですよね! アハアハ、アハ......。
***
町田さんの独自の間合いとテンションに完全に飲まれたままインタビューと撮影を終え、ゆらゆらと去っていく町田さんの背を眺めながら、真っ白になる私たち。「......なんとも町田康でしたね」「ええ、町田康でした......」「猫の話しか聞けませんでしたけど、あの最後の『死ななきゃ駄目なやつ』って、もしかして私のことじゃ......」「それはさすがに考えすぎじゃ......」。
後日、恐る恐る聞いた録音テープには、静かにまじめに猫について語られる町田さんの声と、その独自の間合い(突然お黙りになる、遠くをじっと見つめる、笑い出す、など)に恐怖して、「アハハ アハハ」と意味不明な笑いで場をにごしながら間違った敬語で的を射ない質問を繰り返すという、まさに『実録・外道の条件』に出てくる失礼なライターのような声が入っていました。
やっぱりアレは、私のことじゃ......。
(取材・文=小明)
●まちだ・こう
1962年大阪府生まれ。作家、歌手、詩人として活躍。96年に発表した処女小説『くっすん大黒』(文藝春秋)でドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞。2000年『きれぎれ』(同)で芥川賞。01年『土間の四十八滝』(メディアファクトリー)で萩原朔太郎賞。02年『権現の踊り子』(講談社)で川端康成文学賞。05年『告白』(中央公論新社)で谷崎潤一郎賞。08年『宿屋めぐり』(同)で野間文芸賞を受賞。


