園子温監督の“青の時代”はすでに終わった!?「僕には憎悪のエネルギーはもうありませんよ」

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「今年は3本、来年は5本の映画を撮る!」と豪語する園子温監督。さらに作家、タレント、ミュージシャン……と多彩な活躍を見せている。
 4時間の超大作『愛のむきだし』(09)、実在の連続殺人事件を題材にした『冷たい熱帯魚』(11)、染谷将太と二階堂ふみにベネチア映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞をもたらした『ヒミズ』(12)等など、問題作・話題作を次々とヒットさせている園子温監督。今や世界でもっとも忙しい映画監督といっていいだろう。園監督の大ブレイクは長年のファンにとってうれしい反面、ここ数年の作風の変化に戸惑いも感じているのではないだろうか。黒い帽子にボーダーシャツというおなじみのファッションも見なくなってしまった。はたして園監督はどこに向かっているのか? 『TOKYO TRIBE』の劇場公開を控え、多忙さを極める園監督にそのへんのことを含めて、ぶっちゃけて聞いてみた。  『TOKYO TRIBE』は1990年代に発表された井上三太原作の伝説的コミック『TOKYO TRIBE2』の実写化。近未来のトーキョーを舞台に、池袋を牛耳るブクロWU-RONZのボス・メラ(鈴木亮平)、ムサシノSARUのメンバーである海(YOUNG DAIS)らがストリートファイトを繰り広げるアクションエンターテイメントだ。『アナと雪の女王』の感動を上回る“バトル・ラップ・ミュージカル”を謳っている。NHK連続テレビ小説『花子とアン』で注目度が急上昇中の鈴木亮平と北海道を拠点にした現役ラッパーYOUNG DAISのダブル主演作で、ヒロインの清野菜名はキレのあるアクションとパンチラも披露している。園監督らしいカオティックな世界が広がる作品だ。 ──園監督は以前は『愛のむきだし』をはじめとするオリジナル作品にこだわってきたわけですが、『TOKYO TRIBE』は『ヒミズ』に続くコミック原作の映画化。オファーを受けた経緯について教えてください。 園子温 『ヒミズ』のときは、僕から「一度コミックものの映画化をやってみたい」と切り出したんです。それで先方が提案してきた原作があんまり面白くなかったんで、それなら『ヒミズ』をやりたいと自分で進めた企画でした。だから、最初から『TOKYO TRIBE』の映画化を持ち掛けられた今回とは事情が異なるんです。それで『ヒミズ』の後、テレビ東京で『みんな!エスパーだよ!』をやったんです。これが僕にとっての最初の原作つきのオファーでした。最初は「えっ、これ?」と思ったけど、やっているうちに「なるほどな」と思えてきて、面白くなってきた。で、その次に来たのが『TOKYO TRIBE』。確かに原作は面白いんですよ。でも、僕はストリートファッションとかヒップホップとか分からない。これは無理だなと思いました。 ──『TOKYO TRIBE』は井上三太さんの独自の絵のタッチがあってこその完成された世界ですからね。  そう。でも、三太さん自身が言ってたんですが、「ヒップホップやストリートカルチャーをリスペクトしている人が映像化するとシラけたものになる」と。確かにそうだなと思ったんです。フランシス・F・コッポラ監督はマフィアが嫌いで、『ゴッドファーザー』(72)を撮るのが嫌だったそうです。『仁義なき戦い』(73)を撮った深作欣二監督もヤクザが好きだったわけじゃない。マフィアやヤクザをリスペクトした人が映像を撮ると、裏社会の美学にこだわり過ぎてかっこ悪くなる。以前から僕には、“距離感があって醒めた目で撮るからこそ面白いものが作れる”という理論があるんです。その理論に従えば、ラッパー自体にそれほど興味を持たなくてもいいんだということになる。それでヒップホップについて勉強するのは今回はやめました。 ──完成披露の際に「この話は断ろうと思っていた」と園監督は話していましたが、企画当初はさほど乗り気じゃなかったわけですね。  うん、本当にどうしようかなと思った。そんなとき、今回出演してくれたラッパーたち全員に会う機会があったんです。練マザファッカーとか実在するんですよ。新宿とか渋谷にもそれぞれのエリアに族がいる。リアルに凶暴な人たちで、会ってみたら「面白い!」と思ったんです。役者を使うよりもリアルな不良たちをそのまま映画に出したほうがストリート感が出るだろうなと。それだったら、実際のラッパーたちがやるラップミュージカルにしちゃおうと。そいつはいいなと思えてきたんです。『爆裂都市』(82)や『ストリート・オブ・ファイヤー』(84)みたいに、街はオールセットにしちゃおうと。そこまで考えたら、めちゃめちゃ楽しくなって、面白いものができそうな気がしてきた。
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世界初のバトル・ラップ・ミュージカル『TOKYO TRIBE』。“村岡印刷”で人気急上昇中の鈴木亮平とリアルラッパーのYOUNG DAISが激突!
──ラップミュージカルというアイデアが湧いてから、一気に企画が進み出したわけですね。  そうです。漫画原作をそのまま映画にしたら、死ぬほどつまらない映画になっていたと思いますよ。役者たちがそれぞれキャラクターに扮して、「ヘイヘイ♪」とか言いながら本当の渋谷や新宿でロケして、ケンカするわけでしょ? しょっぼーいのしか撮れないですよ。『ルーキーズ』や『クローズZERO』みたいなすでにあるものになっちゃう。そうじゃなくて、もっとぶっ飛んだ世界にしたかった。言ってみればポジとネガみたいな関係で、普通の映画は本当の渋谷の街にウソのラッパーが出てくるわけだけど、それを逆にして本物のラッパーたちがウソの街でラップするということをやったわけです。 ■街頭パフォーマンス「東京ガガガ」は体に染み付いたもの ──園監督も売れっ子になって、人気コミックを原作にしたメジャー路線に転じたというわけではない?  『TOKYO TRIBE』は全然メジャー路線じゃないですよ(苦笑)。全然違う。これがメジャー路線になれればいいんだけど。でも、世界的に見たら、こっちがメジャー路線ですよ。日本の映画が偏りすぎ。ハリウッドだと『ワイルド・スピード』(01)や『ハングオーバー!』(09)みたいな下らなくて笑える映画が多いわけじゃないですか。ビール飲みながら観て、すっきりするエンターテイメント作品。それが主流ですよ。でも、日本だと病気になったり、喜怒哀楽を掻き乱すような作品が主流になっている。この間、ポスター見たら、『ドラえもん』(『STAND BY ME ドラえもん』)でさえ「ドラ泣きしてください」って。ふざけんなよ、ドラえもんはフツーにしてろよ(笑)。本当に面白い映画を作ることよりも、観た人を泣かせることのほうが大事になっている。それって、いびつですよ。『TOKYO TRIBE』みたいなエンターテイメント作品のほうが海外では主流なんです。 ──主人公の海(YOUNG DAIS)たちが戦う相手は、竹内力を家長に叶美香、窪塚洋介、中川翔子らで構成されたブッバ一家。インディーズvs.メジャーという図式が園監督らしいなと感じました。  それはまったく意識してなかった(笑)。でも、面白い見方だね。ラッパーは本当のラッパーたちにやってもらって、ブッバ家は別にラッパーはいらないから、コテコテ系の面白い家族にしようと思って役者を起用しただけです。 ──海たちがブッバ一派と激突するクライマックスの市街戦はかなりの迫力。園監督が90年代にやっていた街頭パフォーマンス「東京ガガガ」をイメージしたものでしょうか?  東京ガガガは全然イメージしてないですね。東京ガガガはイメージするものではなく、体に染み付いているものなんです。それだったら、『自殺サークル』(02)のほうがガガガに近いでしょうね。『自殺サークル』はJR新宿駅のホームに女子高生52人を本当に集めてゲリラ撮影したんです。無許可撮影だったんで関係者はみんな怖がっていたけど、僕はガガガで何度もゲリラ撮影を経験していたので何が危ないのか、どうすればいいのかを空気感で分かっていましたから。『HAZARD』(06)でもオダギリジョーを使ってNYや渋谷でゲリラ撮影やりましたしね。今回は様式的アクションですよ。
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「米国を放浪していた頃に観た、ヴァンパイアとチアガールが戦うZ級映画が衝撃的だった。あんな純粋なエンタメ作品を撮りたい」と語る
──You Tubeオーディションを行なったことでも話題になりましたが、オーディションで集まったキャストたちはどうでした?  役者もさることながら、役者でも何でもないラッパーたちが頑張ってくれましたね。最初は「どうなってもいいや」と思ってたんですよ(笑)。僕は大島渚監督の映画が好きなんですが、大島監督の『新宿泥棒日記』(69)には当時の紀伊国屋書店の社長(田辺茂一)がけっこー大事な役で出ているんですよ。芝居はうまくない(笑)。でも、それでいいんだと思えたんですね。大島監督の言葉ですが「映画は役者のドキュメンタリーだ」と。『TOKYO TRIBE』もそのつもりで撮ったんです。それがね、YOUNG DAISは意外と芝居うまいし、他のラッパーたちも一生懸命にやってる。彼ら本物の不良は我慢強いんですよ。出待ちで長い時間待たされていると、役者でもイライラするのに、彼らは落ち着いて待っていてくれましたしね。「キレたりしない」と言ってました。「そんな子どもっぽいことはしない」と。チンピラまがいの役者とは全然違いましたね。 ■いつ映画をやめるときが来てもいい覚悟がある ──園監督は2000年にサンフランシスコ留学を終え、ゼロ年代に『自殺サークル』で商業路線に転じたわけですが、『愛のむきだし』でブレイクするまでに7年の歳月を要しましたね。  本当、長かった。『愛のむきだし』の前に撮った『紀子の食卓』(06)も無視されたしね。 ──『紀子の食卓』は吉高由里子のデビュー作。レンタル家族を題材にした素晴しい作品でした。  『愛のむきだし』が話題になったのも、劇場公開後にビデオレンタル化されてからですよ。まぁ、『愛のむきだし』が評価されたんで『冷たい熱帯魚』を撮ることに繋がったんですけどね。40歳代後半になって、ようやくメシがちょっとだけ喰えるようになった。ちょっとだけ(苦笑)。今、52歳でそこそこ喰えるようになった。ここ1〜2年でたらふく喰えるようになりたいですよ。そうじゃないと、不公平じゃないですか(笑)。 ──ブレイク作である『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』、それに『恋の罪』(11)にはそれこそ地下マグマのような熱いドロドロしたエネルギーが篭っているように感じました。でも、ここ数年でずいぶん変わりましたよね。今や超売れっ子になった園監督は、その点はどう感じていますか?  うん、そういった憎悪のエネルギーはもうないですよ。でも、僕はそれでいいと思っているんです。僕はピカソも好きなんだけど、ピカソが貧乏時代に描いていた「青の時代」ってあるじゃないですか。さすがに「キュビズムの時代」になってお金持ちになったピカソに、「青の時代」みたいな絵を描けといっても描けないですよ。めっちゃ売れっ子になって、貧乏時代の絵を描き続けるのはおかしいですよ。ピカソってはっきり時代が分かれて、どんどん進化していくじゃないですか。だから、今回の『TOKYO TRIBE』も、これは僕にとっての前進なんです。 ──具体的に作品名を挙げると、『ヒミズ』での希望を感じさせるラストシーンから、園作品は変わってきたように感じます。憎悪のエネルギーが浄化されていったような……。  いや、明確に変わったのは『希望の国』(12)を撮り終わってからですね。『希望の国』を被災地で上映して、被災地の人たちに観てもらい、「ありがとう」と喜んでもらえたんですが、その喜びは純粋な喜びではなく、悲しみなわけです。見終わった後、被災地の人たちは涙を流しているんです。「あはは、楽しかったね」じゃないんですよ。僕はそのときに彼らが何も考えずに心から楽しめるような映画を撮ろうと考え、完全なエンタメを撮るようになったんです。それが『地獄でなぜ悪い』(13)であり、今回の『TOKYO TRIBE』なんです。最近、ダビングが終わったばかりの『ラブ&ピース』(2015年公開予定)は完膚無きまでのエンタメに仕上がってます。観た人、みんなほっこりする映画です。サザエさん一家がみんなで観てもいい映画が、初めてできたんです(笑)。
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人間家具が目を惹く、ブッバの息子・ンコイ(窪塚洋介)の部屋。園監督いわく、『時計じかけのオレンジ』(72)へのオマージュシーンとのこと。
──ほっこりする園作品!? いずれにしろ、園監督にとっての「青の時代」はもう終わったということですね。  そうです。最近は「Revolution Q」というバンドでライブ活動やってますし、美術館で個展を開くための作品もつくり始めたところです。『毛深い闇』(河出書房新社)という小説も書き下しました。それにタレントとして、毎週バラエティー番組の収録をやっています。今年は映画を3本撮って、来年は5本撮る予定。いつ映画をやめるときが来てもいいつもりでいるんです。実際、映画づくりは少し中断してもいいなと思っているんです。僕は過去にも何度か映画づくりから離れてますから。東京ガガガを始めたときも映画はやめていたし、サンフランシスコを放浪していたときも映画づくりからは離れていたわけです。でも、映画をやめる度に世界が開けてきて、表現の自由度が上がった。僕にとっては映画をやめることは、決してネガティブなことじゃないんです。まぁ、生活は大変になるでしょうけど、それでもいいやって(笑)。 ──「青の時代」に続く、園監督の新しい時代は何時代と呼びましょうか?  ピカソでいう「キュビズムの時代」はまだ来てませんね。順番でいえば「桃の時代」かな? いや、あれはなんだっけ……。ピカソの絵で有名な『アビニヨンの娘たち』(キュビズム革命の発端になった作品)だ。あれこそ、ピカソって感じがしますよね。だから、次の時代は「園子温の時代」。まごうことなく「これが園子温の映画だ」という作品を撮るんじゃないですか。 ──最後にもうひとつ。園監督のトレードマークだった黒い帽子を最近は被っていませんが、これも心境の変化ですか?  『新宿スワン』(2015年公開予定)を撮っているときにね、沢尻エリカが僕の帽子を取っていったんですよ。それまで20年近く被っていた帽子なのに。撮影に追われていたんで、「まぁ、帽子なしでもいいか」と思って、そのまま帽子なしで今も過ごしているんです。園子温の歴史を変えてしまった、沢尻エリカはまさに魔性の女ですよ(笑)。  1作ごとにスタイルが大きく変わっていく園子温監督。鬼才の新時代はいつから幕を開けるのだろうか。『TOKYO TRIBE』は8月30日(土)からの公開だ。 (取材・文=長野辰次/撮影=名鹿祥史) tokyotribe03.jpg 『TOKYO TRIBE』 原作/井上三太 脚本・監督/園子温 出演/鈴木亮平、YOUNG DAIS 清野菜名、大東駿介、石田卓也、市川由衣、ベルナール・アッカ、丞威、松浦新、石井勇気(パンダユナイテッド)、坂口栞琴、佐々木心音、中野英雄、大方斐紗子、山本亨、城明男、山口祥行、北村昭博、髙山善廣、深水元基、片山瞳、屋敷紘子、矢吹春奈、サイボーグかおり、三田真央、横山美雪、間慎太郎、舘形比呂一、泉澤祐希、Stephanie、佐藤隆太、染谷将太、でんでん、窪塚洋介、竹内力 配給/日活 R15 8月30日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー (c)2014 INOUE SANTA/〝TOKYO TRIBE〟FILM PARTNERS http://tokyotribe-movie.com ●その・しおん 1961年愛知県豊川市出身。『俺は園子温だ』(85)がPFFに入選、『男の花道』(87)でPFFグランプリを受賞。PFFスカラシップ作品『自転車吐息』(90)はベルリン映画祭に出品された。路上パフォーマンス集団「東京ガガガ」時代にはジャン・ジャック・ベネックス監督のドキュメンタリー『おたく Otaku』(93)に出演している。1999年に文化庁新進芸術家在外研修員として米国に留学。帰国後に『自殺サークル』(02)、『紀子の食卓』(06)などの問題作を発表。『愛のむきだし』(08)はベルリン映画祭で2冠を受賞し、主演の満島ひかりと共にブレイク。以後、『冷たい熱帯魚』(11)『恋の罪』(11)『ヒミズ』(12)とヒット作を連発する。『希望の国』(12)では原発事故を正面から描いてみせた。『地獄でなぜ悪い』(13)はトロント映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞。『TOKYO TRIBE』に続き、『ラブ&ピース』『新宿スワン』の公開が控えている。2014年6月には故郷・豊川市を舞台にしたミステリー小説『毛深い闇』(河出書房新社)を上梓した。 ■園子温率いるバンド「Revolution Q」のライブイベントが9月30日(火)に東京・恵比寿LIQUIDROOMで行なわれる。対バンライブとして「ART-SCHOOL」のほか、多数のゲストが参加。18時開場/19時開演、前売り3800円(税込み)。http://www.sonosion.com

二階堂ふみとのデートは“地獄めぐり”で決まり!“史上最凶”のアイドル映画『地獄でなぜ悪い』

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トロント映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞した『地獄でなぜ悪い』。美少女地獄はカナダ人も魅了した。
 『地獄でなぜ悪い』は、二階堂ふみの暴力的なキュートさが煮え立つ作品だ。ロープで緊縛された姿、男に靴を履かせるよう命じる様子、ガラス片を口に含んでの危険なディープキス、CMソングを無邪気に口ずさむ表情、そして日本刀を片手に敵対するヤクザ事務所に殴り込むクライマックス……。現在19歳(撮影時17歳)、沖縄出身、特攻服の似合う男にシビれてしまうというヤンチャな女優・二階堂ふみの全てが愛おしくスクリーンに映し出されていく。クレジット順はキャリアの長い諸先輩たちに先を譲っているが、園子温監督作『地獄でなぜ悪い』は女優・二階堂ふみの魅力を楽しむためのアイドル映画である。ひとりの女優の美しさを記録するために、園子温作品は存在すると言っていいだろう。  永井豪の人気コミック『あばしり一家』と深作欣二監督の『蒲田行進曲』(82)を合体させたかのような、エロス、バイオレンス、映画愛がグルグルネリネリした『地獄でなぜ悪い』。ストーリーは正直いって、田舎の高校生が考えた自主映画のような代物だ。でも、そんな企画をオールスターキャストで映画化できちゃうのが、今の園子温監督の凄さ。恐るべし、51歳!  物語の鍵を握るのは、自主映画製作集団「ファック・ボンバーズ」を主宰する映画監督志望の男・平田(長谷川博己)。“平成のブルース・リー”ことアクション俳優志望の佐々木(坂口拓)と共に、「永遠に刻まれる一本」を撮り上げる日を夢想してきた。30歳にもなってうだつの上がらない生活を送っていた平田たちだったが、ついに奇跡が起きる。「映画の神様、いつか映画を撮らせてください」とかつて神社で願掛けしていた平田に、まさかのオファーが10年越しで舞い込んだのだ。製作費と機材はすでに用意されている。条件は2つだけ。新人女優のミツコ(二階堂ふみ)の主演作として、8日間のうちに完成させよということ。ミツコは地元ヤクザの組長・武藤(國村隼)の愛娘で、近々刑期を終える母親(友近)の出所までにミツコ主演作を仕上げなくてはならなかった。平田は満面の笑顔で、この無謀なオファーを引き受ける。
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武藤組長(國村隼)率いる武藤組が映画製作を開始。映画と組長のためなら命を投げ打つことを惜しまない頼もしい人材がそろった。
 わずか8日間で、どーすれば「永遠に刻まれる一本」を撮り上げることができるのか。今さら脚本を書き上げる余裕はない。だが、逃げ場のない状況でこそ、アイデアが生まれるもの。映画のスポンサーである武藤たちに敵対する池上組を襲撃させ、その様子をドキュメンタリー映画として撮影すればいい。『ゆきゆきて、キルビル』だ。かつてないシチュエーションに、映画界を舐めきっていたミツコの女優魂に火が点く。武藤組の襲撃を受けて立つ池上(堤真一)もミツコの隠れファンで、撮影には協力を惜しまないと申し出てくれた。一連の騒ぎに巻き込まれた平凡な若者・公次(星野源)もミツコに魅了され、ついつい撮影に参加してしまう。大コーフンの抗争が始まり、もはやヤクザも撮影スタッフも区別がない。ヤクザたちと一緒になってカメラはシューティングし、そして一瞬一瞬のカットを切り取る。みんな生きるか死ぬかの瀬戸際で、ドーパミングがドパドパと流れ、シャブが粉雪のように舞う。虹色に輝く桃源郷で、ヤクザたちをバッタバタと斬り倒していくミツコの美しさは格別だった。ミツコの輝きは、破壊を無上の喜びとする阿修羅のようだ。ミツコは地獄に足を踏み入れたのではなく、ミツコ自身が地獄そのものだったのだ。カメラは自然にミツコに引き寄せられていく。  これまで自分の体験談を作品に投影してきた園子温監督だが、『地獄でなぜ悪い』はより自伝色が強いものになっている。若い頃、短期間だけ交際した女性から数年後に呼び出され、とある建物に連れて行かれたそうだ。そこはヤクザの事務所で、女性は組長の娘だった。劇中の星野源のように難癖付けられまくった園監督は、危うくコンクリート詰めになるところを九死に一生を得たらしい。でも、まぁ、男って危険な匂いのする女性にどうしようもなく惹かれてしまうもんスなぁ。自主映画サークル「ファック・ボンバーズ」も実在した集団。園監督が16ミリフィルムで『自転車吐息』(90)を作っていた頃、「ファック・ボンバーズ」を名乗ってメンバー募集のチラシを配ったそうだ。このとき、チラシを片手に園監督のもとを訪ねたのが後に『片腕マシンガール』(08)で世界を震撼させることになる高校時代の井口昇監督だった。ビッグネームになる前の鬼才たちが、映画づくりを夢見て出逢っていたというちょっといい話。
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武藤と敵対する池上(堤真一)はミツコ(二階堂ふみ)の大ファンだった。
全力歯ぎしり、レッツゴ~♪(作詞作曲/園子温)
 園子温作品を愛好する者にとって、女優陣の顔ぶれもうれしい。園監督の公私にわたるパートナーである神楽坂恵、園作品のみならずこれからの日本映画界のミューズになるだろう二階堂ふみ、極妻役を長年待っていたかのような友近の貫禄、またシネフィルぶりで知られる成海璃子も園作品に初参加。さらに、『紀子の食卓』(06)で特異な存在感を放っていたつぐみが短いシーンながら久々にカムバックを果たした。原発事故問題を真っ正面から描いたシリアスな社会派ドラマ『希望の国』(12)から一転、本作は祝祭性を感じさせる底抜けエンターテイメントとなっている。女優賛歌と映画愛に充ちた『地獄でなぜ悪い』は、園監督が映画の神さまに捧げる大豊饒祭であり、「永遠に刻まれる一本」を追い求めることを改めて誓う所信表明でもある。  園作品ではこれまで実に多くの地獄絵図が描かれてきた。『愛のむきだし』(08)の満島ひかりはカルト教団によって洗脳され、『恋の罪』(11)の神楽坂恵はセレブ主婦から売春婦へと身をやつした。でも、地獄の底でもがき苦しむヒロインたちの生々しさが美しかった。震災後の世界を描いた『ヒミズ』(12)でマルチェロ・マストロヤンニ賞を染谷将太とふたりで受賞した二階堂ふみの場合は、ぶっ壊れてしまった社会がそもそも彼女のホームグランドとなっている。ディストピアこそ、女優・二階堂ふみをサイコーに輝かせるステージなのだ。血しぶきを浴びながら、ニコッと微笑む二階堂ふみは映画が生んだ奇跡に他ならない。地獄でなぜ悪い。いや、地獄で眩しく輝く二階堂ふみに逢いたい! (文=長野辰次) jigokudenazewarui04.jpg 『地獄でなぜ悪い』 監督・脚本/園子温 出演/國村隼、長谷川博己、星野源、二階堂ふみ、友近、堤真一 配給/キングレコード、ティ・ジョイ 9月28日より新宿バルト9ほか全国公開中 (c)2012「地獄でなぜ悪い」製作委員会  <play-in-hell.com>

「3.11後」の‟見えない戦争”の先にあるものは? 園子温監督『希望の国』

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(C)2012 The Land of Hope Film Partners
10月20日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
 コミック原作の『ヒミズ』(12)の脚本を震災後に大幅に書き換え、批判を恐れずがれきの荒野と化した被災地の映像を商業映画のシーンにいち早く取り入れた園子温監督。そんな園監督が描く「3.11後」の第2弾が、オリジナル脚本で10月20日公開の『希望の国』だ。  東日本大震災から数年後の20XX年、長島県。酪農家の小野泰彦(夏八木勲)は、認知症の妻・智恵子(大谷直子)と息子の洋一(村上淳)、その妻いずみ(神楽坂恵)と慎ましくも穏やかな日々を送っていた。だがある日、長島県をマグニチュード8.3の地震が襲い、再び深刻な原発事故が発生。原発から半径20キロ圏内が警戒区域に指定され、強制的に避難させられる中、道路ひとつ隔てただけで小野家は避難区域外に。国の事故対応を信用しない泰彦は、息子夫婦を説得して避難させ、自らは家に留まる。一方、避難先で妊娠がわかったいずみは、放射能への恐怖を募らせ、周囲から孤立していく。  園監督は、『冷たい熱帯魚』(11)、『恋の罪』(同)で際立っていたバイオレンスとエロスの表現を今作では封印し、福島の農家や避難先で生活する被災者らに取材した「言葉」を脚本に反映させていった。ジャンルとしてはフィクションだが、原発事故で家や土地を奪われた人々の無念さと悔しさ、子を持つ親が抱く放射能への恐怖と周囲の当惑といった真実が、ドキュメンタリー作品以上のリアルさを持って見る者の胸に突き刺さる。  20キロ圏の境界に杭を打ち黄色いテープを張っただけで、強制避難させるかどうかを区分けするという、杓子定規なお役所仕事をカリカチュアライズした場面もあり、不条理な状況に思わず苦笑させられるが、そんな国に私たちが今まさに住んでいることを痛感し、笑いを引きつらせるしかない。一方で、がれきに埋もれた町を一歩一歩と歩き続ける若いカップルや、雪原の上で踊る泰彦と智恵子など、悲しく美しいシーンも印象に残る。  映画を見終えて、『希望の国』というタイトルの意味を改めて想像する人も多いだろう。確かに、商業映画にありがちな分かりやすい「希望」は、本作には用意されていない。だが、今まで隠されていた、あるいは無意識のうちに私たちが見過ごしてきたさまざまなこの国の問題が、原発事故によって明らかになってきたという一面もある。パンドラの箱を開けたら諸悪が飛び出し、その後に希望だけが残ったというギリシャ神話のように、きっとこの国には、あるいは私たちの心の中には、「希望」が確かに残っていると思いたい。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『希望の国』作品情報 <http://eiga.com/movie/57744/>

園子温が描く“希望のない国”に残された希望とは?「後から嘆くのではなく、今やるべきことがあるはず」

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精力的な活動が続く園子温監督。「今回の映画だけで原発ものは終われない。
娯楽作品も撮りながら、被災地に通い続けるつもりです」と語る。
 常にその言動が波紋を呼ぶ映画監督・園子温。彼の作品において“エロス&バイオレンス”は物語を突き動かす大きな要因となっていたが、最新作『希望の国』では原発事故という“社会の暴力”に真っ正面から向き合っている。被災地を自分の足で回り、避難所で暮らす人たちの生の声に耳を傾けるなど丹念に取材して脚本を書き上げ、これまでの園作品とはひと味違った作風となった本作。そのことに戸惑うファンもいるかもしれない。しかし、常に新しいスタイルを提示してみせる姿こそ、園子温そのものだろう。“映画には社会を変える力がある”ことを肯定し、「今回でおしまいにできない。原発が全廃されるまで撮り続ける」と言明する。徹夜明けのまま取材に応じてくれた園監督のストレートな言葉の数々を味わってほしい。 ──前作『ヒミズ』(11)に続いて被災地を舞台にした最新作『希望の国』。“原発問題”というタブーに正面から挑むのと同時に、これまでの園子温作品になく邦画らしい邦画の雰囲気を持つ作品に仕上がっていますね。 園子温 ティーザーのキャッチコピーに「タブーに挑む」と入っていますが、自分としては、特にそういう意識はなかったんです。単純に自分がそのとき撮りたいと思ったものを撮っただけなんです。原発の映画を撮りたい、という率直な想いで作った作品です。原発問題を扱ったドキュメンタリーはすでに何本かありますが、やっぱりドキュメンタリーではある種の限界があると思うんです。当事者たちをインタビューばかりしていても、「その話はもう聞いたよ」になっちゃう。でも、まだ劇映画は作られていない。だから作ったんです。タブーを扱った社会派ドラマを狙ったわけではないんです。 ──園監督は『紀子の食卓』(05)以降、『愛のむきだし』(08)、『冷たい熱帯魚』(11)、『恋の罪』(11)、そして『ヒミズ』と“空洞化した家庭”の悲劇を描いてきたわけですが、『希望の国』は原発事故によって引き離される温かい家族の物語となっている点が意外でした。  そうですね。『紀子の食卓』の場合は家庭が内部から崩壊していくんですが、今回は外からの圧力で潰されていくわけです。『紀子の食卓』とは家庭の在り方が逆転しています。『紀子の食卓』は一見幸福そうに見える家族だけれど、もう空洞化してしまって立て直しができない状態になっている。でも『希望の国』は幸福だった家族が内側から徐々に崩壊していく余裕もないまま、あっという間に外圧で破壊されてしまう。徐々に空洞化していく不幸せな家族と、幸せだけれどもあっという間に壊されてしまう家族、いったいどっちが幸福でしょうかということなんです。
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園監督が被災地を取材して撮り上げた『希望の
国』。放射能事故によって引き離された家族
がそれぞれ選択した道を進んでいくことに。
──これまでテーマにしてきた家族の描き方が変わるほど、「3.11」は園子温監督の意識を大きく揺さぶったということでしょうか?  意識が変わったと言っても過言じゃないでしょうね。『ヒミズ』の撮影に入る1カ月前に大震災が起き、シナリオに修正を加えて震災から1カ月しかたっていない状況の中で『ヒミズ』の撮影に入ったわけです。それまでは実際に起きた事件にすぐ足を突っ込むことはせず、一度じっくり自分の中で咀嚼してから数年後に作品にまとめるように心掛けていました。ですから『ヒミズ』の撮影直前に生々しい現実を目の前にして、すぐ撮るということは初めての経験でした。それで『ヒミズ』は石巻でもロケをさせてもらったんですが、「はい、撮影終わり。じゃあ、別の作品に取り掛かります」というわけにはいかなくなった。少なくとも、もう1本は撮らないことには落ち着きようがなかった。『ヒミズ』よりも、もっと踏み込まざるを得なかったということですね。3.11の衝撃をそのまま撮った『ヒミズ』とは違って、今回は津波と放射能をセットにしないで、まずは放射能を、原発の映画を撮ろうということでした。それも、原発に対する感情が風化しないうちに映画にしようと思ったんです。 ──『ヒミズ』が公開されていた今年の1月には、すでに『希望の国』の撮影に入ったわけですね。なるべく早く『希望の国』も公開しようと……。  公開は、早いに越したことはなかったんです。10月公開じゃなくて、もっと早く公開してほしかった。でも、まぁ、この時期に公開するのは、それでまた意義がある。チェルノブイリ事故のときは広瀬隆の『危険な話』(八月書館)がベストセラーになり、忌野清志郎が原発問題を歌ったアルバムが発売中止になったりしたけど、結局はそのときの日本では原発事故は起きず、「みんな騒ぎ過ぎです」という形でしかなかった。今は首相官邸前で集会やっているけど、人が少なくなってくると原発反対が言えなくなってきますよね。それは日本人が個人で何かを宣言したりできない性質を表してますよね。 ──園監督は「映画には社会を変える力がある」と信じている?  そう思いますね。こうやって原発を描いた作品を公開することは、決してムダなことだとは思いません。映画の世界でしか表現できないこともあるわけですから、「こんな劇映画もあるのか」と思わせるだけでも意味があると思うんです。いろんな人たちが原発についてのテーゼを語る時代なんだと知ってもらうだけでも、十分な効果があるはずです。ひとつの業界が完全に黙っていれば、「あぁ、やっぱりそういうもんだよな」ということになってしまう。扉が少し開くだけでも、どこかの窓をひとつ開けることにつながると思うんです。 ■声高に叫ばなくても、個人でやれる抗議活動はあると思う
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園子温監督が自身の姿を投影したという小野家
の息子・洋一(村上淳)とその妻・いずみ(神
楽坂恵)。洋一は実家を出ることに抵抗を感
じる。
 9月30日にNHK ETVで放映されたドキュメンタリー番組『映画にできること 園子温と大震災』を見て、意外に感じた人もいたのではないだろうか。『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』など過激な作品を撮り続け、撮影現場では厳しい演出で知られる園監督だが、『希望の国』の取材でお世話になった被災地の人たちには非常に丁重で繊細な一面を見せていた。『希望の国』のモデルとなった一家の居間で、恐縮して正座する姿が画面に映し出されていた。大胆さと繊細さが同時に両立しているところが、この人の魅力なのだろう。今回のインタビューでも詩人らしい時代への批評性、映画づくりに対する真摯さ、そして熟成することのないやんちゃぶりを感じさせる園子温監督だった。 ──2011年の園監督は、『冷たい熱帯魚』の公開、『ヒミズ』の撮影とベネチア映画祭への参加、『恋の罪』の公開……と怒濤の1年を過ごしたわけですが、合間を縫って被災地を取材して回っていたんですね。
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被災した原発から20km圏上に境界線が引か
れる。強制退去を命じられた人々の怒りや不
安が、園監督流演出によって浮かび上がる。
 半年間くらい取材に時間を費やしました。『ヒミズ』の冒頭の被災地に主人公が佇むシーンは石巻で撮影させてもらったんです。そこで地元の人たちにずいぶん協力してもらい、避難所の人々にもお世話になった。それもあって俳優の深水元基くんが被災地の人たちにボランティアで何かしたいと言うので、みんなで行ったんです。そのときに石巻とは別に福島の映画も撮りたいと考え始めました。2011年の8月くらいから避難所などで、3.11とそれから1カ月の間に何が起きたのかを、避難所の方たちや被災地を回って取材するようになったんです。12月31日は石巻で除夜の鐘を聞き、それから移動して福島で初日の出を見ました。『希望の国』のセリフのほとんどは、実際に被災地や避難所の人たちを取材した際に聞いた言葉です。前半は特にそうですね。ボクが頭の中で考えた言葉は、なるべく使わないようにしました。主人公一家である小野家の庭の真ん中で20km圏内と圏外に分けられていますが、あれは実際にそういう家があって、そこを取材させてもらったんです。この家族を主人公にすれば、放射能がもたらす不条理を映画にできるなと思ったんです。 ──園作品にはシュールなイメージがありましたが、実際の被災地には現実として不条理なことがいろいろと存在したわけですか。  不条理なことがいっぱいありました。どうしてマスコミは報道しないんだろうなと、不思議に思いましたよ。それで家の敷地の真ん中で20km圏内と圏外の境界が引かれてしまい、庭の半分は水がやれずに花が枯れてしまっているシーンを映画の中にも登場させたんです。目には見えない放射能がもたらす不条理さですよ。20km圏の境界線近くに一軒だけ残っていたゲームセンターで、ゾンビを撃ち殺すシューティングゲームをしている女子高生もいました。ゲームセンターのすぐ外はゴーストタウン化しているのに、あまりにもシュールでしょ(苦笑)。今回は舞台を「長島県」という架空の地名にしています。もちろん福島で取材した話もすごく良かったんですが、福島を舞台にすると他の被災地で取材した話を使えなくなってしまう。それで長崎と広島と福島を組み合わせた「長島県」にしたんです。東日本大震災から数年後に再び原発事故が起きたという近未来SFなんです。 ──2012年の元旦を福島で迎えたということですが、園監督は初日の出を見ながら何を考えたんでしょうか?  『希望の国』の撮影を2週間後に控えていたんですが、まだ脚本の最後の部分を書き上げていなかったんです。最終的に若い息子夫婦(村上淳、神楽坂恵)はひとつのあきらめと妥協を感じざるを得なくなってしまう。いろんな残念な気持ちを抱え込まざるを得ない。でも、自分たちさえしっかりしていけば、なんとか生きていけるんじゃないかと。放射能はもうどうしようもない。どこまで逃げてもやってくる。それでも、そこに希望があるんじゃないかと感じられたのは、ゴーストタウンみたいになった南相馬の20km圏内で初日の出を見たときだったんです。20km圏内だから、それなりに放射能があったと思います。でも、海から昇ってくる太陽が、ものすごく美しかった。数カ月前に初めて20km圏内に入ったときは、それまで東京にいたからでしょうけど、ブルブル震えていたんです。汚染された土地に足を踏み入れてしまった、なるべく息を吸わないよう、物に触れないようにしようとしていました。それが訪ねるたびに、悪い意味での“慣れ”、良い意味での放射能との“共生”をせざるを得ないという心境に至ったわけです。20km圏内で見たあの日の出は大きかったですね。
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いずみ(神楽坂恵)は妊娠していることに気づ
き、避難先でも防護服が手放せなくなる。ど
こまで防護すれば安全なのか?
──20km圏内と圏外の境界線上で酪農を営む小野家の家長・泰彦(夏八木勲)が息子に言う「杭が打たれたんだ。逃げろ。逃げることは強さだ」という台詞がとても印象的です。あの台詞は……?  被災地で取材して聞いた言葉をなるべく盛り込むようにしましたが、「杭が打たれた」はボクが考えたものです。詩人の金子光晴のエピソードから思い付きました。戦時中に金子光晴は息子に赤紙が届いたので、葉っぱをいぶして息子に吸わせて喘息状態にしたそうです。そのかいあって、光晴の息子は徴兵検査で落ちて、帰ってきた息子に向かって光晴は「バンザーイ!」と出迎えて赤飯を炊いているんです。戦時中にそんなことをすれば後ろ指をさされますが、終戦になった途端に「うちも金子家みたいにしておけばよかった」ということになるわけです。必ずしも集団でデモをして「戦争反対!」と叫ばなくても、個人個人で家族を戦争へ行かせないなどの反戦のやり方はあるんです。そういう意味では、いつの時代でも召集令状だったり原発問題だったりと、杭を打ちにくるヤツが現れる。そういうときは、政治家だとか市長だとかエラい人を頼るわけにはいかない。自分たちで考えて行動するしかないんです。金子光晴の赤紙に対する行動への、ひとつの回答のつもりです。戦争が終わってから「息子を返せ」と泣き叫ぶのではなく、そのときにやるべきことをやるんだということです。 ──『野性の証明』(78)の夏八木勲さん、『肉弾』(68)の大谷直子さんが熱演していることもあって、とても日本映画らしい作品になっています。  昔は緒形拳さんや太地喜和子さんとか骨太でスクリーンで輝く役者さんがたくさんいたんですが、最近はいないですよね。数少ない中から選んだのが夏八木さんと大谷さんです。夏八木さんは70歳過ぎてますけど、大変な現場だったにもかかわらず、すごく元気でした。イーストウッドみたいに、もっと主演作が作られていいはずの人なのに、もったいない。最近の映画はどれも、キャスティングが一辺倒すぎますよ。あっ。業界の悪口はもう言わないと決めてたんだけど、つい出てしまうなぁ(苦笑)。東京スポーツで痛い目に遭ってから、悪口は言わないようにしてるんです。「キムタクを安易に使うプロデューサー」みたいな批判をしたら、「園子温はキムタクが大キライ」って記事になって東スポに出たんです。そんなことは、ひと言も言ってないのに(笑)。
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園監督に“今の日本映画の状況をどう感じる?”
と問い掛けたところ、「日本映画は年に1本
観るかどうか。ボクにとっては拷問ですよ。若
い監督の追い上げも感じない。ボクのほうが
ピチピチしてます(笑)」。
──その点、日刊サイゾーは大丈夫(だと思います)! 今回は資金集めに苦労したそうですね。  そうです、情けないですよね。原発を扱うということで日本だけでは製作費が集まらず、海外にも協力を求めざるを得なかった。出資した会社は「反原発」を支持するようなものですから、カドが立つということでしょうか。つまんないですよ。企画があればなんでもいいから持ってきてと言っていたプロデューサーも「いや、これだけは困る……」ということだったようです。そういう意味では、原発はエログロよりもタブーだったみたいです。でも、それは向こうが勝手に自粛してタブーにしてしまっているだけですよ。別にボクは原発をタブーだとは思わない。 ──最後の質問です。園子温にとって、女性、そして女優とはどんな存在でしょうか?  やっぱり女性は強いですよ。原発問題を取材していても、実際に強いのは女性です。子どもを連れて外へ向かっていくのは奥さんの方なんです。女性の場合は妊娠・子育ての問題があるから、自分が動かなくちゃいけないという意識が強いように感じましたね。それに対して男はマッタリしがちというか、根を張ってしまう。それで被災地では、家族離散や離婚問題が生じているんです。もちろん、ボクにとっても女性は強い存在ですよ。創作意欲をかき立てる存在です。最近で言うと『冷たい熱帯魚』『恋の罪』『ヒミズ』『希望の国』。どれをとっても、女の年齢や状況は違えど、ストーリーの主軸となって展開していきます。女優が作品の色を決めると言っていいくらいです。 ──“園子温作品は女によって創られている”と言っていい?  えぇ、大丈夫です。そう言っていただいて構いません(笑)。 (取材・文=長野辰次) kibounokuni05.jpg ●『希望の国』原作・脚本・監督/園子温 出演/夏八木勲、大谷直子、村上淳、神楽坂恵、清水優、梶原ひかり、菅原大吉、山中崇、河原崎建三、筒井真理子、でんでん 配給/ビターズ・エンド 10月20日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー公開  (c)The Land of Hope Film Partners http://www.kibounokuni.jp ●その・しおん 愛知県出身。1987年に『男の花道』でPFFグランプリを受賞。詩人としても活動し、路上パフォーマンス集団「東京ガガガ」を主宰した。17歳で家出を経験した園監督の自伝色の強い『紀子の食卓』(06)では吉高由里子、上映時間4時間の大作『愛のむきだし』(08)では満島ひかり、と次々と若手女優を育て上げている。実在の猟奇殺人事件をベースにした『冷たい熱帯魚』(11)と『恋の罪』(同)もR18指定ながら大ヒットを記録。『ヒミズ』(12)では染谷将太と二階堂ふみにベネチア映画祭最優秀新人賞をもたらした。最新作『地獄でなぜ悪い』は、13年3月に公開予定。本作の原作小説「希望の国」、自伝『非道に生きる』が発売中のほか、11月2日(金)に『園子温監督初期作品集DVD-BOX』も発売される。

園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い

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"動物好きに悪い人はいない"なんて誰が言った? ペットショップを経営する村田は、気のいいオッチャンという表の顔とは別に、邪魔者は消すという冷酷な裏の顔を持っていた。
(c)NIKKATSU
 『紀子の食卓』(06)で吉高由里子、『愛のむきだし』(09)で満島ひかり......とフレッシュスターを輩出してきた園子温監督が、R18指定の新作『冷たい熱帯魚』でまたまたフレッシュスターを生み出した。いや、フレッシュスターというよりは、フレッシュモンスターを解き放ったと言うべきか。'90年代に起きた"愛犬家連続殺人事件"をはじめ実在の犯罪事件を組み合わせた『冷たい熱帯魚』で、ニコニコ顔で殺人を重ねる庶民派俳優・でんでんの怪演ぶりが突出している。一見、人の良さそうな熱帯魚屋のオヤジだが、自分に逆らう人間は何のためらいもなく血祭りに上げてしまうシリアルキラーとしての裏の顔を持つ男なのだ。強烈なエロス&バイオレンス映画ながら、あまりに怖すぎて、ポン・ジュノ監督の『グエムル 漢江の怪物』(06)のように思わず笑ってしまうブラックコメディーでもある。テレビでレギュラー番組を持つ人気タレントを起用したがる近年の日本映画の流れから大きく逸脱した衝撃作だ。  本作の主人公は、小さな熱帯魚店を営む平凡な中年男・社本(吹越満)。若い巨乳妻・妙子(神楽坂恵)と再婚したが、先妻との間に生まれた娘・美津子(梶原ひかり)との折り合いが悪く、家庭内の空気は極めて重い。そんな折、美津子がスーパーマーケットで万引き騒ぎを起こし、警察沙汰になりそうなところを丸く収めてくれたのが村田(でんでん)だった。派手な経営で知られる大型熱帯魚店「アマゾンゴールド」のオーナーである村田は面倒見がよく、すっかり社本一家は魅了される。村田は人を惹き付けるカリスマ性の持ち主だった。社本一家を完全に手なずけた段階で、村田は本当の素顔を見せる。違法ビジネスで金儲けしていた村田は、妻の愛子(黒沢あすか)と組んで、邪魔者を次々と毒殺していたのだ。すでに村田夫妻の周辺では、30人以上の人間が行方不明となっていた。村田は「ボディを透明にしちまえば、警察には捕まらねぇよ」とのたまい、バラバラにした死体の処理を社本に手伝わせる。気の弱い社本はなすがままに共犯者に仕立てられ、ズブズブと"血の池地獄"へとハマっていく。
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不思議なカリスマ性を持つ村田(でんでん)。
園子温監督いわく「実在の事件の犯人、ボクが
被害に遭った口の巧い詐欺師など複数の犯罪者
像を組み合わせた」。言わば"怪しい人物の
集合体"だそうだ。
 にっこり笑顔で殺人を犯す村田を演じた でんでんは、30年のキャリアを持つ名バイプレイヤー。90年代に舞台『星屑の町』で注目され、『湯けむりスナイパー』(テレビ東京系)の陽気な番頭、『ゴールデンスランバー』(10)の涙もろい巡査など、人のいいオッチャンを演じることが圧倒的に多い。人間臭さからヤクザ役を演じることはあるものの、ここまでの本格的悪役は初。巻き込まれ型の主人公を演じた吹越満といい、底力を発揮したでんでんといい、俳優のネームバリューに捕われずにキャスティングを決めた園子温監督の英断が冴える。でんでんにとっても普段とまるで違う大役での映画出演は、役者冥利だったに違いない。また、園子温監督作はシナリオが重視され、役者がシナリオ上の台詞をアドリブかと思わせるほど自然に口にできるようになるまで撮り直すことで知られていたが、今回はコメディアン出身のでんでんの持ち味を活かすために、あえてアドリブ演技を求めたそうだ。「オレはいつだって勝新太郎だ!」などの村田ギャグは、でんでんがその場で考えたもの。園監督は、でんでんのことを「日本のジム・キャリー」と誉め讃える。  妻の愛子と共に猟奇殺人の限りを尽くした村田は、警察に捕まれば死刑確実。今さら守るべき法律も社会的モラルもない。あらゆる束縛から解放されている村田夫妻には性のモラルもなく、毎日を欲望のおもむくままに面白おかしくゲラゲラと大笑いしながら生きている。社本一家だけでなく、いつの間にかスクリーンを見ている我々も、誰にも気兼ねせずに自由気ままに暮らす村田夫妻の快楽ライフに危険な魅力を感じ出してしまう。フィクションの世界だから許される"背徳の輝き"がそこにはある。
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村田の妻・愛子は、これまた強度のマゾ体質の
クレイジーな女。『六月の蛇』(03)で美しい
姿態を披露した黒沢あすかが、今回も熱演&妖演!
 園子温監督は、代表作である『紀子の食卓』や『愛のむきだし』でどん底に陥った家族が懸命に再生しようとする様をドラマにしてきた。『冷たい熱帯魚』の社本も、娘の美津子や妻の妙子に危害が及ぶのを恐れ、村田夫妻の言いなりとなる。しかし、秘密を知ってしまった社本も、やがては村田夫妻から"ボディを透明に"されてしまうことは明白。意を決した社本は反撃に出ようとするが、それがさらにサイアクの結果を呼び寄せることに......。  2010年11月の「東京フィルメックス」で『冷たい熱帯魚』がプレミア上映された後、園子温監督にコメントをもらう機会があった。今まで以上にシニカルな結末について、園監督はこう語った。「確かに『紀子の食卓』『愛のむきだし』も家族の再生の物語だけど、その2作は娘や息子の立場で描いたもの。今回の『冷たい熱帯魚』は社本という父親の視点で描いたことが大きかったように思いますね。大人は今さら愛とか希望なんかなくても生きていけるんです」「日本映画で希望を持たせるようなエンディングの作品を見るとガッカリする。気分が悪くなる。"人生捨てたもんじゃないよ"と変に救いを持たせるより、"愛とか希望なんかあるかよ、そんなものにこだわらずに生きてみろよ"とハッキリ言ったほうがボクはすっきりする。ボク自身も『冷たい熱帯魚』を完成させて、とてもスッキリしましたから」。愛や希望といった甘っちょろい言葉では救えない人もいる。それが園子温監督の考えだ。  救いのない結末をくっきり描くことで、日本映画の新しい可能性を切り開いてみせた『冷たい熱帯魚』。ただし、水槽の中でぬくぬく生きる熱帯魚のような生活を過ごす人間には、あまりに刺激が強い作品かもしれない。 (文=長野辰次) tsumetai04.jpg『冷たい熱帯魚』 監督/園子温 脚本/園子温、高橋ヨシキ 出演/吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲  +R18 配給/日活 1月29日(土)よりテアトル新宿ほか全国公開 <http://www.coldfish.jp>
愛のむきだし 名作です。 amazon_associate_logo.jpg
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』 [第100回]エロスとタブーを交配した"至高の美女" 禁断のサイエンスホラー『スプライス』 [第99回]2010年に活躍した女優を勝手に表彰! 満島ひかりに"面倒くさい女"大賞を [第98回]大人だって"ドラえもん"にいて欲しい 残念男の逆転劇『エリックを探して』 [第97回]平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』 [第96回]村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある? [第95回]実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』 [第94回]"アル中"カメラマンの泣き笑い人生『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』 [第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走 [第92回]バラエティーでの実績は通用するか? テリー伊藤の初監督作『10億円稼ぐ』 [第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 [第90回]"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』 [第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』 [第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』 [第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』 [第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』 [第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』 [第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』 [第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』 [第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』 [第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』 [第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』 [第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』 [第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』 [第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』 [第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ [第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』 [第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』 [第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』 [第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張 [第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』 [第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』 [第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』 [第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』 [第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼! [第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学