すでに100誌近くが……「ぴあ」「PS」だけじゃない2011上半期 休刊雑誌クロニクル

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「PS」小学館と「ぴあ」(ぴあ)。
 もはや有名雑誌の"休刊"のニュースを耳にしたところで、「ふ~ん」「また?」と大した驚きもないほどに不況イメージが定着した出版業界。そんな状況下であっても、39年もの長きに渡りエンタテインメント情報を提供してきた「ぴあ」(ぴあ)の休刊は、同誌のお世話になった多くの人々の心に一抹の寂しさを残し、同時に"情報ゼロ円時代"を浮き彫りにした歴史的な一件であった。  また、7月21日に発売された「ぴあ」最終号の初版は、予想以上の短期間で完売。コンビニやネット書店からも在庫は消え、現在は入手困難となっている。  そんな「ぴあ」休刊の話題から息つく間もなく、小学館が発行する月刊誌「PS(ピーエス)」が11月1日発売号を最後に休刊することが明らかとなった。「PS」は、前身の「プチSEVEN」を誌名・方向性共にリニューアルし、2002年に創刊。裏原宿系ファッション誌として、蒼井優や宮崎あおいを度々表紙に起用し一時は好調だったものの、近年は広告収入不振でページ数も大幅に減少。遂に最後の決断に至った。  しかしこれは氷山の一角。2011年に入り休刊に追い込まれた定期刊行誌は、発行部数1~2万程度の専門誌も含めると既に100誌を超える勢いだ。そんな現状を打破する糸口を探すべく、今年の休刊雑誌を改めて何誌か振り返ってみたい。
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「この映画がすごい!」(宝島社/3月19日発売号にて休刊)  ページを開くと海外セレブのおっぱいポロリや、新恋人事情などゴシップ写真のオンパレード。スキャンダルと映画情報をハイテンションな誌面で紹介してきた同誌だが、かつての競合誌「プレミア」(ハースト婦人画報社)や「ロードショー」(集英社)の後を追っかけるように休刊。その12年の歴史に幕を閉じた。ちなみに発行中の映画雑誌の中では、「次は『キネマ旬報』(キネマ旬報社)がヤバイ」と一部でウワサされているとか。 hanachu.jpg「Hana* chu(ハナチュー)」(主婦の友社/4月1日発売号にて休刊)  女子中学生向けのファッション誌として、2003年に創刊。南明奈や成海璃子などがモデルを務め、一時は約15万部を発行した。しかし、新垣結衣などを輩出した「nicola」(新潮社)をはじめ「ラブベリー」(徳間書店)、「ピチレモン」(学研パブリッシング)といった競合誌にグイグイ押され完全敗北。休刊時の部数はピーク時の約半分になっていた。ローティーン向けファッション誌市場はまだまだ活気を見せているだけに、同業者からは「もっと頑張れたのでは?」「もったいない」といった声もちらほら。 efil.jpg「EFiL (エフィル)」(扶桑社/6月1日発売号にて休刊)  2009年に隔月誌として創刊された、40代以上女性向けライフスタイルマガジン。同版元が発行する「ESSE」よりもワンランク上のミドルエイジ層に向けて、料理、旅行、ファッション、占いなどを特集していた。しかし、宣伝不足のせいもあってかイマイチ定着しないまま休刊に。創刊から一貫して表紙に今井美樹を起用し続けた柔軟性の低さも原因の一つかもしれない。 owarai_poporo.jpg「お笑いポポロ」(麻布台出版社/8月8日発売号にて休刊)  アイドル誌「ポポロ」のお笑い版として2002年に創刊。旬な芸人のインタビューを中心に誌面展開し、2010年6月には年4回の季刊から隔月発行へ変更となるなど一時は好調であった。途中、よしもと芸人ビジュアルムック「お笑い男子校」(ワニブックス)創刊に伴う大人の事情で、よしもと芸人がほとんど誌面に登場していない地味な号が存在(2010年2月号)。読者をハラハラさせたが、以降はきちんとよしもと芸人も登場している。そんな苦難も乗り越えてきた「お笑いポポロ」だが、お笑いブームの終息と共に同誌も静かに幕を閉じる。 tohoku_jaran.jpg「東北じゃらん」(リクルート/3月1日発売号にて休刊)  震災の影響をストレートに受けてしまった月刊の地域情報誌。7月以降は「関東じゃらん」と統合、「関東・東北じゃらん」として発行されている。いつか「東北じゃらん」が復活することがあるなら、それは東北が復興し元気を取り戻したという証明。そういった意味でも今、最も復刊を願う雑誌の一つである。  実は筆者も数誌の休刊・廃刊に関わってしまった経験がある。新雑誌の創刊には実に多大な労力と時間がかかるものだが、それに引き換え休刊とは、大概の場合、それはそれは拍子抜けするほどあっさりと訪れるものだ。今一度、書店から姿を消した多くの雑誌たちを見つめ直すことで、先行き不透明な出版業界が少しでもいい方向へ進んでいくと信じたい。 (文=林タモツ)
ぴあ [最終号] ありがとう。 amazon_associate_logo.jpg
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「40時間以上も睡眠ナシ」不況直撃のテレビ制作現場 ディレクターの離職が止まらない!

 不況のしわ寄せがスタッフを直撃しているのか、今テレビ界の制作現場から悲鳴が聞こえている。  民放局では2年前ほどからアシスタントディレクター(AD)の離職が顕著だったが、今年はさらに一つ上の立場であるディレクターが次々に業界を去っているのだ。 「もう限界です。今年に入って休日はわずか2日だけ。週に家に帰れるのは多くて4日」  こう語るのは、フジテレビ系列の番組制作を請け負う制作会社勤務の30代男性。キャリア10年以上で関係者の信頼も厚かったが、ついにギブアップ。秋の番組改編に合わせて局を去るという。 「今までこんなにキツい状況になったことはないです。数年前から不況で経費削減になり、そのしわ寄せでスタッフの数が徐々に減りました。例えば、以前なら3人でロケに行っていたのが、今では1人。編集作業まで全部自分一人でやらなくてはいけないんです」(同ディレクター)  こういう忙しい時に雑務をこなしてくれたのがADだったが、そのADの数も減少しているのだという。 「3年前にADの過酷労働が問題になって、制作会社120社以上で組織する全日本テレビ番組製作社連盟が調査した上で、ADを厳しく使いすぎるな、と通達があったんです。それ以来、弁当や小道具の手配などADの仕事も、ディレクターである自分に回ってくるようになりました」(同ディレクター)  以前は"代わりはいくらでもいる"と言われたADも、最近ではテレビ業界に対する憧れが低くなったのか、人材不足が続いている。  日本テレビ系列の情報番組『ヒルナンデス!』のディレクターも、「ADが辞めてしまっても代わりがいないので、1泊2日で行うロケが日帰りになり、40時間以上もまったく睡眠ナシで仕事している」とやつれた顔で語っていた。  また、テレビ朝日の関係者に聞いても同様で「一番キツそうなのは朝の『情報満載ライブショー モーニングバード!』。多彩な出演者のギャラに金をかけている分、制作の人件費が抑えられてしまい、多くのスタッフが睡眠不足のまま」だという。  これらは、労働時間の上限が定められた労働基準法を大きく超える違法な過酷労働というわけだが、給料が高水準である局の正社員と違い、制作会社から派遣されたスタッフたちは報酬も高くはない。  ADのみならずディレクターのピンチには「このままでは人材がどんどんいなくなっていき、番組のクオリティーも落ちる一方」と警鐘を鳴らす関係者もいる。  しかし、制作指揮をとる、ある番組プロデューサーに聞くと「人員の補充をしてあげたいんだが、人が足りないというと無能だというレッテルを貼られるのがテレビ界の悪しき風潮」と改善に踏み切れない理由を打ち明けた。  出演者たちが華々しく活躍する裏で、番組制作側の疲弊は限界に達しつつある。 (文=鈴木雅久)
2011年新聞・テレビ消滅 グッバイ! amazon_associate_logo.jpg
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