日本のオタク文化はクールジャパンとして世界で大人気」――言葉としては聞くが、実態はどうなのだろうか? 日本のオタクグッズを海外に販売する通販サイト「Tokyo Otaku Mode」を2012年から運営している、Tokyo Otaku Mode Inc.共同創業者・秋山卓哉氏、MDチーム・高橋裕氏に前編(http://www.cyzo.com/2017/10/post_34943.html)から話を聞いている。こちらの後編では、「海外のオタクイベントの様子」や「世界のR-18の尺度の違い」について伺っていく。 ■海外のオタクイベントは来場者の半数近くがコスプレをしている? ――前編ではフィギュアが一番人気、と伺いましたが、Tokyo Otaku Modeでは書籍も扱っているんですか? 高橋裕氏(以下、高橋) はい。マンガではなく画集ですと、日本語のままで販売もできますので。日本のイラストレーターの画集の場合、むしろ海外のコレクターにとっては、オリジナル版である日本語の方が「コレクションとして価値がある」というのはあると思いますね。 ――「オリジナルを所有したい」というオタク、マニア心は万国共通なんですね。欧米でもオタクイベントは行われていますよね。例えば日本の『コミックマーケット』などと比べ、どのような雰囲気なのでしょうか? 高橋 海外のイベントは日本のイベントより来場者の方がコスプレをしていることが多いな、と思いますね。日本だとコスプレをする人はコスプレをしに、買い物をする人は買い物に、と目的が分かれている感じがしますが、欧米だとそこがいっしょくたになっている印象はあります。なによりコスプレをしている人数が多いですね。来場者の半数くらいがコスプレをしているようにも見えます。 ――会場は東京ビッグサイトぐらいの広さなのでしょうか? 秋山卓哉氏(以下、秋山) 大型イベントはそのくらいの会場で行っていますね。有名どころとして、ロサンゼルスで開催される『アニメエキスポ』は、4日間で30~35万人が来場するといわれています。フランスの『ジャパンエキスポ』も規模は同じくらいです。そういった大型イベントではコミケ同様、大きな企業ブースがあったりもします。日本のメーカーさん、版元さんも見かけますよ。 ――コミケが3日間で50万人強(杉並区の全人口くらい)ですから、コミケほどではないにしろ、大した動員力ですね。イベント参加者の半数近くがコスプレをしている、というのは日本だとない感覚ですよね。コスプレがここまで広がっているのはなぜだと思いますか? 高橋 米国は日本よりずっとハロウィンの文化が根付いていますから、仮装への敷居が低いというのはあると思います。オタク系イベントに限らず、スターウオーズやマーベルの新作映画が公開されると、ダースベーダーなどのコスプレをした人が映画館でずらりと並んでいたりしますから。 ――「コスプレ」というと日本が先進国のように思えますが、考えてみれば「仮装」は、ここ数年でハロウィンが一部で定着しだした日本より、米国の方がはるかに先輩ですよね。米国のオタクイベントでは、どういった日本のアニメやマンガのキャラクターがコスプレされていますか? 秋山 ほんとうに時期、トレンドによりますね。何年か前の『ニューヨークコミコン』では『進撃の巨人』が多かったです。 ■「ギャルの水着の上の部分がはだけてイヤ~ン」は、R-18か? ――Tokyo Otaku Modeでは扱わない商材はあるのでしょうか? 秋山 R-18は今のところ扱っていないですね。 ――なぜなのでしょうか? 秋山 性描写の規制は国によってルールが違いますし、国や地域によって宗教、文化的な背景や価値観に違いがあります。そのあたりを把握しないまま、相手国の文化的タブーに触れてしまえば国際問題にもなりかねません。そこまできめ細やかにみていくヒューマンリソースが今は社内にないので、そういったものに触れない範疇で扱っていますね。 ――日本の性表現はかなり過激とは言われていますよね。少女マンガでも掲載誌によってはセックスシーンがありますし。それに慣れてしまうと他国の「常識」が見えにくくなりますが、例えば他国のR-18事情はどんな感じなのでしょう? 秋山 例えば、シンガポールはヌードがNGです。 ――「ギャルの水着の上の部分がはだけてイヤ~ン」は、小学生が読むような週刊少年マンガ誌にも掲載される、古典的表現の一つですが、これもNGなんでしょうか。 秋山 NGですね。 ――「セックスシーンじゃないからいい」とか、そういう“文脈”の話ではないんですね。おっぱいポロリはアウトだと。 秋山 はい。ですので、ある一国を対象にするというのでなく、グローバルに展開するという場合「性的な表現」はとても難しい問題なんです。他にも、例えばゲームでは、結構露出度の高いコスチュームを着ている女性キャラクターがよくいますよね。 ――ビキニの水着に少し装飾がついたようなコスチュームの女性キャラクターは、「あるある」ですよね。 秋山 はい。そういったキャラクターのフィギュアを販売する際に写真つきでメルマガで告知したところ、読者である米国の子供のお母さんから「こういう情報が来ると、親としては戸惑ってしまう」というご意見をいただいたこともありました。 ――米国のAmazonを見ると『進撃の巨人』『東京喰種』が人気です。人を食うのがOKなら、ビキニみたいな衣装のひとつやふたつ……、と思ってしまいそうになりますね。 秋山 あと、日本のアニメやマンガの女性キャラクターは、特に欧米の方には幼く見えるというのもありますね。 ――小児性愛に関するさまざまな規制については、日本がゆるいのか、米国が厳しいのかというのはありますが、歴然な「差」がありますよね。 秋山 はい。グローバルに展開するサービスでは、法律の違いもそうですが、宗教観や文化の違いなどにも敏感でないといけないと思います。 ■2020年は、日本が世界に注目してもらうラストチャンス? ――Tokyo Otaku Modeさんが今後広げていきたい事業はありますか? 秋山 イベントへの出展に加え、店舗など、直接、リアルにお客様と接点を持てる場を増やしていきたいですね。 ――2020年のオリンピックに向け、日本への注目は上がっていますね。 秋山 今後数十年を見ても、2020年ほど日本が世界から注目される機会はおそらくないでしょう。2020年に向けいかに世界中の人に日本は楽しいか、また、行ってみたいと思ってもらえるかが、2020年以降においてもとても大切だと思います。このチャンスを逃さないようにしたいですね。 当社が今まで培ってきたノウハウなどを活かし、新しく海外に向けて日本のオタクグッズを製造、販売したい、という会社の支援も行っています。 ――それは「競合他社の育成」になってしまうように思えますが……? 秋山 いえ、オタクグッズは本当に商材が多彩ですから。一緒に2020年に向けて盛り上げられればと思います。 (文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/]) 「Tokyo Otaku Mode」ホームページ https://otakumode.com/「Tokyo Otaku Mode」ホームページより。米国のフィギュア週間ランキング(2017年10月)
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「人を食う」はOKで「おっぱいポロリ」はNG? 世界の「R-18」をTokyo Otaku Modeに聞く
日本のオタク文化はクールジャパンとして世界で大人気」――言葉としては聞くが、実態はどうなのだろうか? 日本のオタクグッズを海外に販売する通販サイト「Tokyo Otaku Mode」を2012年から運営している、Tokyo Otaku Mode Inc.共同創業者・秋山卓哉氏、MDチーム・高橋裕氏に前編(http://www.cyzo.com/2017/10/post_34943.html)から話を聞いている。こちらの後編では、「海外のオタクイベントの様子」や「世界のR-18の尺度の違い」について伺っていく。 ■海外のオタクイベントは来場者の半数近くがコスプレをしている? ――前編ではフィギュアが一番人気、と伺いましたが、Tokyo Otaku Modeでは書籍も扱っているんですか? 高橋裕氏(以下、高橋) はい。マンガではなく画集ですと、日本語のままで販売もできますので。日本のイラストレーターの画集の場合、むしろ海外のコレクターにとっては、オリジナル版である日本語の方が「コレクションとして価値がある」というのはあると思いますね。 ――「オリジナルを所有したい」というオタク、マニア心は万国共通なんですね。欧米でもオタクイベントは行われていますよね。例えば日本の『コミックマーケット』などと比べ、どのような雰囲気なのでしょうか? 高橋 海外のイベントは日本のイベントより来場者の方がコスプレをしていることが多いな、と思いますね。日本だとコスプレをする人はコスプレをしに、買い物をする人は買い物に、と目的が分かれている感じがしますが、欧米だとそこがいっしょくたになっている印象はあります。なによりコスプレをしている人数が多いですね。来場者の半数くらいがコスプレをしているようにも見えます。 ――会場は東京ビッグサイトぐらいの広さなのでしょうか? 秋山卓哉氏(以下、秋山) 大型イベントはそのくらいの会場で行っていますね。有名どころとして、ロサンゼルスで開催される『アニメエキスポ』は、4日間で30~35万人が来場するといわれています。フランスの『ジャパンエキスポ』も規模は同じくらいです。そういった大型イベントではコミケ同様、大きな企業ブースがあったりもします。日本のメーカーさん、版元さんも見かけますよ。 ――コミケが3日間で50万人強(杉並区の全人口くらい)ですから、コミケほどではないにしろ、大した動員力ですね。イベント参加者の半数近くがコスプレをしている、というのは日本だとない感覚ですよね。コスプレがここまで広がっているのはなぜだと思いますか? 高橋 米国は日本よりずっとハロウィンの文化が根付いていますから、仮装への敷居が低いというのはあると思います。オタク系イベントに限らず、スターウオーズやマーベルの新作映画が公開されると、ダースベーダーなどのコスプレをした人が映画館でずらりと並んでいたりしますから。 ――「コスプレ」というと日本が先進国のように思えますが、考えてみれば「仮装」は、ここ数年でハロウィンが一部で定着しだした日本より、米国の方がはるかに先輩ですよね。米国のオタクイベントでは、どういった日本のアニメやマンガのキャラクターがコスプレされていますか? 秋山 ほんとうに時期、トレンドによりますね。何年か前の『ニューヨークコミコン』では『進撃の巨人』が多かったです。 ■「ギャルの水着の上の部分がはだけてイヤ~ン」は、R-18か? ――Tokyo Otaku Modeでは扱わない商材はあるのでしょうか? 秋山 R-18は今のところ扱っていないですね。 ――なぜなのでしょうか? 秋山 性描写の規制は国によってルールが違いますし、国や地域によって宗教、文化的な背景や価値観に違いがあります。そのあたりを把握しないまま、相手国の文化的タブーに触れてしまえば国際問題にもなりかねません。そこまできめ細やかにみていくヒューマンリソースが今は社内にないので、そういったものに触れない範疇で扱っていますね。 ――日本の性表現はかなり過激とは言われていますよね。少女マンガでも掲載誌によってはセックスシーンがありますし。それに慣れてしまうと他国の「常識」が見えにくくなりますが、例えば他国のR-18事情はどんな感じなのでしょう? 秋山 例えば、シンガポールはヌードがNGです。 ――「ギャルの水着の上の部分がはだけてイヤ~ン」は、小学生が読むような週刊少年マンガ誌にも掲載される、古典的表現の一つですが、これもNGなんでしょうか。 秋山 NGですね。 ――「セックスシーンじゃないからいい」とか、そういう“文脈”の話ではないんですね。おっぱいポロリはアウトだと。 秋山 はい。ですので、ある一国を対象にするというのでなく、グローバルに展開するという場合「性的な表現」はとても難しい問題なんです。他にも、例えばゲームでは、結構露出度の高いコスチュームを着ている女性キャラクターがよくいますよね。 ――ビキニの水着に少し装飾がついたようなコスチュームの女性キャラクターは、「あるある」ですよね。 秋山 はい。そういったキャラクターのフィギュアを販売する際に写真つきでメルマガで告知したところ、読者である米国の子供のお母さんから「こういう情報が来ると、親としては戸惑ってしまう」というご意見をいただいたこともありました。 ――米国のAmazonを見ると『進撃の巨人』『東京喰種』が人気です。人を食うのがOKなら、ビキニみたいな衣装のひとつやふたつ……、と思ってしまいそうになりますね。 秋山 あと、日本のアニメやマンガの女性キャラクターは、特に欧米の方には幼く見えるというのもありますね。 ――小児性愛に関するさまざまな規制については、日本がゆるいのか、米国が厳しいのかというのはありますが、歴然な「差」がありますよね。 秋山 はい。グローバルに展開するサービスでは、法律の違いもそうですが、宗教観や文化の違いなどにも敏感でないといけないと思います。 ■2020年は、日本が世界に注目してもらうラストチャンス? ――Tokyo Otaku Modeさんが今後広げていきたい事業はありますか? 秋山 イベントへの出展に加え、店舗など、直接、リアルにお客様と接点を持てる場を増やしていきたいですね。 ――2020年のオリンピックに向け、日本への注目は上がっていますね。 秋山 今後数十年を見ても、2020年ほど日本が世界から注目される機会はおそらくないでしょう。2020年に向けいかに世界中の人に日本は楽しいか、また、行ってみたいと思ってもらえるかが、2020年以降においてもとても大切だと思います。このチャンスを逃さないようにしたいですね。 当社が今まで培ってきたノウハウなどを活かし、新しく海外に向けて日本のオタクグッズを製造、販売したい、という会社の支援も行っています。 ――それは「競合他社の育成」になってしまうように思えますが……? 秋山 いえ、オタクグッズは本当に商材が多彩ですから。一緒に2020年に向けて盛り上げられればと思います。 (文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/]) 「Tokyo Otaku Mode」ホームページ https://otakumode.com/「Tokyo Otaku Mode」ホームページより。米国のフィギュア週間ランキング(2017年10月)
世界130カ国にオタクグッズを配送! 世界のオタク事情をTokyo Otaku Modeに聞く
「日本のオタク文化はクールジャパンとして世界で大人気」――言葉としては聞くが、実態はどうなのだろうか? どの国の人が、どんな作品の、どんなグッズを購入しているのか? 日本のオタクグッズを海外に販売する通販サイト「Tokyo Otaku Mode」を2012年から運営している、Tokyo Otaku Mode Inc.共同創業者・秋山卓哉氏、MDチーム・高橋裕氏に話を聞いた。 ■130カ国、5大陸すべてにオタクグッズ販売実績あり ――Tokyo Otaku Modeでは、どの国に対してオタクグッズを販売しているのでしょうか? 秋山卓哉氏(以下、秋山) 配送はEMS(Express Mail Service:日本郵便が提供する国際郵便サービス)を利用しており、EMSが利用できる地域であればどこでも発送可能です。すでに130カ国、5大陸すべてに配送実績があります。 ――日本が承認している国が196カ国ですから、かなりの割合ですね。アジア圏、北米、フランスなどはオタク文化の人気が高い印象がありましたが、130カ国と聞くと、想像を超えて世界中なんですね。 秋山 「こんな国名初めて見た」という国の方にも配送したことがあります。例えば、カリブ海のマルティニークっていうフランス領の島とか。 ――マルティニーク、初めて聞きました。Tokyo Otaku Modeのホームページは英語ですが、130カ国、というと英語圏でない利用者も多いかと思います。 秋山 ECサイトは、今は基本的には英語だけですね。商品点数が何万件もあるので、全てを多言語対応にするのは社内のリソース的に難しくて。決済の部分など重要な部分から多言語化を進めています。中国向けには、中国のECモールに出店しており、そちらは全て中国語対応です。 ――確かに、お金周りのことについて利用者は母国語で把握したいですよね。商品はどのエリアで特に売れているのでしょうか? 秋山 割合でいくと、北米が圧倒的です。米国が一番ですね。 ――海外の人に販売をしていて、こんなこと日本人はしないな、と思ったことはありますか? 秋山 セールをはじめたときに、セール前に買われた方が「差額を返して」と連絡してきて、驚いたことがありますね。 ■日本のオタクグッズを自由に海外で販売できるというわけではない ――オタクグッズを海外に販売するにあたって、大変なことは何でしょうか? 秋山 販売のための調整ですね。メーカーさんがマンガやアニメのキャラクターをもとにしたグッズを作るときに、版元さんにこういう商品をつくりたい、と申請するのですが、そのときに「販売する地域」も合わせて申請するのが一般的です。 メーカーさんが国内展開しか考えていない場合は、契約を見直すことが必要です。こういった手続きにはとても時間がかかってしまうんですね。 また、「この地域向けにはすでにディストリビューター(販売代理店)がいるので、現地で仕入れてください」というケースも多くあります。単純に「日本で仕入れたものを世界で自由に売れる」というわけではないのです。 ――商品一つ一つにおいて、気が遠くなるような調整が必要になるんですね。そうなると、その「契約」がネックになり扱えない商品というのも多いのでしょうね。 秋山 はい。当社は渋谷の本社のほか、米国のオレゴンにもオフィスがあります。なぜ米国にもオフィスを作ったかというと、米国で販売権を持つ卸の会社さんから仕入れ、米国内で販売するのは問題ないためです。 ――日本のオタクグッズを販売する代理店が米国に存在する、ということは米国内でオタクグッズの普及は進んでいるとも言えます。一方で、それだけでは足りないから、通販を行うTokyo Otaku Modeさんへの注文があるのでしょうね。 秋山 はい。情報はネットにより世界中に瞬時に行き渡るようになりましたが、モノはまだまだ追いついていません。ですので、「ネットで情報は見たものの、購入できる場所がないので、Tokyo Otaku Modeで取り扱って欲しい」という問い合わせはよくいただきますね。それに、オタクグッズは商材の幅がとても広いですから。 ――ネットが普及する前の「情報すら分からずもどかしい」でなく、「分かっているのに手に入れることができない」という別のもどかしさが今はあるのですね。 ■「日常系」「キャラ推し」は米国では今一つ? 世界のオタク事情 ――北米圏が売上の中心と伺いましたが、北米のオタクと日本のオタクの好みに「ずれ」を感じることはありますか? 高橋裕氏(以下、高橋) 北米では日常系や、キャラクター推しの男性向けのタイトルは爆発的にはヒットしない印象ですね。文化的に好きなキャラクターに違いがあるように感じます。一方、中国、韓国などアジア各国はだいたい日本と流行る作品は似ています。 ――そうなると、北米圏で人気の作品はなんでしょうか? 秋山 『進撃の巨人』『東京喰種』『ソードアート・オンライン』は人気が高かったです。最近ですと『僕のヒーローアカデミア』ですね。 高橋 『僕のヒーローアカデミア』は北米人気が高いですね。マーベル(『スパイダーマン』などアメコミ作品を展開する米国の出版社)の話でも、いじめられっ子がヒーローになる、という“成り上がり”は定番のストーリーです。『僕のヒーローアカデミア』は米国の文化的にフィットするものがあったのだと思います。 ――冴えない主人公が成長していく物語は、日米ともに支持される定番なのですね。では、Tokyo Otaku Modeでの人気商品は何でしょうか? 高橋 フィギュアですね。売上個数で見るとぬいぐるみも結構売れているのですが、フィギュアは単価が高いですから。売上額でのランキングの上位はフィギュアが占めています。「フィギュアは世界で人気」というのは各社さんも分かっていますので、正規のルートでフィギュアを購入できる地域は広がっています。 ただ、フィギュアの場合すごくクオリティが低い偽物もあるので、当社を含め「本物を提供している」ことがひとつの価値になると思います。フィギュアは高いものでは2万円くらいするものもあります。そうなると、正規か分からないサイトで購入するのは怖いですよね。 ――買うからには正規品が欲しいですよね。利用者の性年代などはどうなっているでしょうか? 高橋 20代が一番多く、次が10代ですね。この2世代で60%ほどを占めます。男女比は、購入で見ると男性がちょっと多いくらいですね。 ――そう考えると、女性も結構多いのですね。 * * * 後編では引き続き秋山氏と高橋氏に「海外のオタクイベントの様子」や、「日本と海外のR-18の違い」などを伺っていく。 (文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/]) 「Tokyo Otaku Mode」ホームページ https://otakumode.com/「Tokyo Otaku Mode」ホームページより。米国でも人気な『ソードアート・オンライン』の商品の一部
また浮上したコミケのエロ紙袋問題……キモイのは紙袋じゃなく、オマエだ!?
8月に開催されるコミックマーケット90を前に、また定番の問題が浮上してきた。 コミケ会場で頒布されるエロ紙袋をめぐる問題である。 コミケでは企業やサークルがさまざまな紙袋を頒布するのが恒例。それを問題視する声は、繰り返しネットで話題になっている。2012年には、夏コミ開催前日に「コミケ会場へ行く駅の地元民」を自称する人物がTwitterで苦情とも取れる意見を公開。これは7,000件を超えるリツイートを集めて話題となった。 コミケで頒布される紙袋の中には、水着姿など大胆な絵柄のキャラクターが描かれているものもあるのは事実だ。そうした紙袋を持って会場から自宅までを歩く姿には、オタクであっても拒否反応を示す人もいる。 再び、エロ紙袋問題が議論されるようになった、7月下旬のTwitterでは「エロ本開いて子供や女性に見せ歩いてるみたいなもんだから」「普通AVとか買ったら目立たない袋に入れるものだしな」という意見も存在する。 ただ、最近のコミケで頒布される紙袋を見ると、絵柄が過激化の一途を辿っているというわけでもない。むしろ控えめな傾向になっているという意見もある。つまり、何がエロ紙袋なのか曖昧なまま、さまざまな意見が飛び出ているのが現状だ。 中には2010年の東京都青少年健全育成条例改定問題の発端のひとつに、コミケのエロ紙袋の問題があったという意見も。もちろん、これはデマである。当時の議論の中で、規制強化を進めた東京都からも、コミケのエロ紙袋に関する言及は一切なされていない。 明らかなのは、一定水準以上に二次元に慣れ親しみ、水着のキャラ絵を当たり前のものとしているのは、限られたコミケ参加者だけということである。コミケを「なんかテレビでも報道しているマンガのお祭り」程度にしか認識していない人にしてみれば、やっぱり「キモイ」と見られるのは仕方がない。それは絵柄が水着ではなく健全なものだとしても仕方がない。 なぜなら、街角で見られるコミケ帰りの紙袋は、それを持っている人と共に認識されるわけだ。頒布されるでっかい紙袋を肩からかけた自分の姿を想像してみれば、自ずと答えは出てくるだろう。 まず、コミケは無数の人が押し寄せる非人道的なレベルの地獄である。冬コミが大叫喚地獄だとして、夏コミは灼熱が加わるので、大焦熱地獄といったところ。そんな空間に、朝も早くから出かけ、目当ての同人誌やグッズを手に入れて疲労困憊になった帰り道。疲労と共に、早く家に帰って同人誌を読みたいとか、グッズを愛でたいという欲望に心はあふれている。そんなテンションで、紙袋を下げていれば……紙袋がエロくなくても、ちょっとヤバイ人に見えるのは間違いない。少なくとも自分は、そう思われている自覚はある。 やっぱり何かしら、ポーズだけでも配慮したほうがいいのは間違いないだろう。今回のコミックマーケット90では、同人誌印刷の共信印刷が「雨・埃・人の<視線>から紙袋を保護する」という真っ黒な「紳士袋」を頒布することを告知している。 これによって、ある程度は配慮できるけど。妙なテンションを、ぐっと抑えないとやっぱりキモさは消えないよな。 筆者も気をつけようと、思った。 (文=ルポライター/昼間たかし http://t-hiruma.jp/)
角川書店社長×ブシロード社長 立てよオタク! 運命の邂逅 オタク社長”頂上”対談
【サイゾーpremium】より
日本経済の低迷が叫ばれていた近年、その中でマンガやアニメといった、いわゆる”オタク産業”は、日本を代表するコンテンツへと着実に成長を遂げた。そこへ綺羅星のごとく現れたのが、株式会社ブシロード。同社社長の木谷高明氏は、圧倒的な広告量によって今、カードゲーム市場を拡大せんとしている。そんな氏が、オタク業界で盤石の地位を固める角川書店社長・井上伸一郎氏と邂逅。2人のオタク社長が交差するとき、日本経済を救うオタトークが始まる──。
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
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カードゲームに興じる2人の紳士。カードの采配に一喜一憂する彼らこそ、日本が誇るオタクカルチャーとビジネスを牽引するキーパーソンなのだ。クールに手札を切る御仁(写真右)は、角川書店社長・井上伸一郎氏。今年3月には、角川書店をはじめ、メディアファクトリー、エンターブレインといったアニメ、ゲーム、ライトノベルを多角的にメディア展開するグループ傘下9社を「株式会社KADOKAWA」へと統合することで話題を集めた。そんな氏と対峙するのは、世界一のTCG(トレーディングカードゲーム)企業を目指す株式会社ブシロード社長・木谷高明氏(写真左)。タレント・DAIGOが、プロレスラー・棚橋弘至と荒野でカード対戦をしているCMを見たことがある人は多いだろう。このCMのTCG『カードファイト!! ヴァンガード』や、アニメやゲームなどを起用したTCG『ヴァイスシュヴァルツ』(写真)などを製作しているのがブシロードだ。現在、TCGの国内市場規模は1000億円といわれている。業界シェア1、2位のコナミ、タカラトミーを猛追するブシロードは、創業からわずか5年目の12年度、グループ連結売上高で、初年度のおよそ50倍に当たる150億円超を記録。同年にはプロレス団体・新日本プロレスリングを買収するなど、最強のエンターテインメント企業へと急成長中のオタク企業なのだ。そんな日本のオタク産業を背負って立つ2人のオタク・マイスターに、オタクビジネスの「現実」と「未来」を熱く語り合ってもらった。 ──今回は、日本のオタクビジネスを牽引するお二方にお話をうかがいます。お2人は、もともとお知り合いなんですよね? 木谷高明(以下、木谷) 最初に会ったのは、井上さんがアニメ誌『ニュータイプ』(角川書店)の編集長をやっていた97年くらいですね。僕が当時代表を務めていたブロッコリー【編注:木谷氏が創設したアニメやキャラクタービジネスを展開する企業】で作ったアニメの掲載をお願いしに行ったのが最初。2回目は、作家のあかほりさとる先生と飲んでいて、『前にお会いした時に失礼なことしませんでしたか』っていきなり言われたのを強烈に覚えてます。 井上伸一郎(以下、井上) それは全然覚えてない(苦笑)。 木谷 2回目は酔っ払ってたから(笑)。井上さんは今でこそ社長という紳士を装ってますが、当時はやんちゃなオタクという感じでしたよ。 井上 今も中身は変わってないです。夜の街に出ても女子がいるお店に行くのがあまり好きじゃなくて、当時はいろいろな人と会って明け方近くまで飲んでいましたね。 木谷 作家と仲良くなるために飲むという、昔ながらの編集者のイメージです。そんな出会いだったから、印象に残ってます。 井上 私も、(木谷氏は)よく飲みに行って、夜になると元気になる方と感じてました(笑)。 ──お2人は、”オタ友”というわけではないんですか? 井上 私は普通のアニメやマンガのファンよりも、作品を見ている数はずっと少ないと思います。昔見た作品の細部を普通の人より覚えているので、たくさん知っているように見えるのかもしれません。20代からアニメ雑誌を作り始めたので、仕事と実生活が一緒になったという感じですね。 木谷 僕もゲームやマンガは好きでしたが、オタクとは言えないと思います。アニメも全然見てない。ただ、プロレスはずっと見ていて、専門誌は必ず買ってました。 井上 私もプロレスファンだから、そっちの趣味のほうが近いかも。 木谷 僕らの子ども時代の60~70年代は、親の世代に”アニメ”という言葉がなく、”テレビマンガ”と呼ばれていた時代だった。だから、小学校高学年でアニメを見ていると『いつまでそんなのを見てるんだ』と言われてました。 井上 アニメや特撮をよく見ていて、中1くらいまで自分で『怪獣ノート』を編集してたんです。『ウルトラマン』などに出てくる怪獣の特徴をまとめて、雑誌の写真を切り貼りして作った自作の怪獣事典です。当時から編集者気質だったんでしょう。でも、母親に見つかって捨てられましたね(笑)。 木谷 僕が今の子どもだったら、プロレスファンでなく、アニメファンになっていたと思います。プロレスは夕方にやっていて、親に見せてもらえた。それがプロレスが深夜に追いやられて、アニメはゴールデンでも深夜でも放送されるようになっている。内容にもよりますが、今は親の世代もアニメを見て育っているから、ドラマと同じ感覚でアニメを見られる。昔とは時代背景が違うでしょう。 ■カードはインフラビジネス?オタク産業のビジネスモデル(写真/田中まこと)
──そんな状況を反映してか、ブシロードはCMスポットを至るところに投下していますね。放送中のアニメを見ると、ほぼ必ずブシロードのCMが入っていますし、ゴールデンのバラエティ番組でも見かけます。木谷さんの自著『煽動者』(ホビージャパン)の中で、「目に入りすぎてウザい」という批判もあるほどの大規模な広告投下の目的は、認知度拡大とTCG市場自体の拡大のためだ、と。 木谷 これだけ広告にお金をかけるという采配は、僕が現場をわかっていて、なおかつオーナーだからできることなんです。『機動戦士ガンダム』で例えると、社長自らが手動で機体を動かして、有視界で飛んでいるようなもの(笑)。それは時として無計画になるリスクがあるので、これ以上会社が大きくなれば無理だと思います。ブシロードもちゃんとリスク管理をしつつ、今年中には自動運転に切り替えないといけません。 ──社長の独断でジャッジを下せるのは、ベンチャーだからこそできることですね。一方で角川書店は、大規模なグループ会社に属しています。社長としての仕事も違ってくるのでしょうか? 井上 私は角川書店の社長であると同時に、角川グループホールディングスの専務でもあるので、半分以上はホールディングスの仕事をしています。角川グループホールディングスは6月、『株式会社KADOKAWA』に社名変更を行い、その後10月1日に、出版・映像系子会社9社を吸収合併します。これはデジタル時代に対応した、IP(知的財産)の活用を可能にするためです。私は、書籍と映像部門を統括するエンターテインメント・コンテンツクリエイション事業統括本部の本部長を拝命します。そうなった時に、いろいろな出版社やゲーム会社、映画会社といったグループの総合力をいかに発揮していくか。今は地ならしに注力しています。 木谷 軍隊で言うと角川書店さんは大軍だから、大戦力でユーザーを取り囲んじゃえばいいんです! でも、うちは少数精鋭。全力で挑んで、ひとつ勝ったら次はその兵力で別の所に挑まないといけない。 井上 そのほうがやりやすくてうらやましいと思います(笑)。角川グループは急激に企業規模が拡大し、出版社だけ見ても重複する機能を持っている会社が共存している。どの社もマンガをやってライトノベルもやってる、と思われるかもしれない。けど、会社ごとに一つひとつ違う歴史と文化があって、その少しの違いを理解して最大限の力を発揮してもらうにはどうしたらいいかと考えたり、新たな課題やハードルを越える方法を考えるのは楽しい。社名をKADOKAWAと英字にするのは、ネットや海外を意識して、日本のローカルな出版社から脱却することを目指していくからです。一方、角川書店やエンターブレインなどの企業名はブランドカンパニーとして存続します。電撃文庫や「Walker」などのレーベルや雑誌名のブランドも大切にし、各出版社が築いてきた読者との信頼関係は堅持していきたい。 木谷 角川書店さんは、メーカーや作家さんに対するインキュベーター(起業支援者)としての役割を持ってらっしゃる。それは総合力を持った出版社の強みでしょう。オタクベンチャーだと、コンテンツ制作から流通までを全部自前でやらないといけない。うちの『探偵オペラ ミルキィホームズ』のように、柱になるタイトルコンテンツをきっちり作って、本数を増やしていくことを常にやっていかないといけないんです。 井上 今はニコニコ動画など、ネットの世界に若い才能が集まっています。そういう人の作品を世界に向けて発信してみたらどうだとか、我々が手助けできればと思います。社名がKADOKAWAになっても、オタク心を忘れてエスタブリッシュメントになるのではなく、そうやって次世代にオタク心の文化を引き渡していきたいです。 木谷 ブシロードは『カードゲーム世界一を目指す』という目標を掲げていますが、つまるところ、やっているのはインフラビジネス。現在、当社のTCG大会に参加されている方は世界で延べ25万人ほどいます。うちは大会をやってコミュニティができることをプラットホームと呼んでいて、そのコミュニティにコンテンツを提供して消費してもらっている。いろんなプラットホームの切り口があると思いますが、もうプラットホームしか儲からないと思います。最近立ち上げた『ブシモ』というスマホのゲームブランドも同じことです。 まだまだ続くオタク社長”頂上”対談!! 続きはコチラから!『カードファイト!! ヴァンガード』のマンガは「ケロケロエース」(角川書店)で連載されている。
木谷高明(きだに・たかあき) 1960年、石川県生まれ。株式会社ブシロードグループパブリッシング社長。武蔵大学卒業後、山一證券に勤務。94年にブロッコリーを設立するも、07年に同社の連続赤字などを受け退社。同年にブシロードを設立。ブシロードが主催するプロレス興行において、コスプレをして”キッダーニ男爵”として登場することもある。著書に『煽動者 徹底プロモーション 仕掛人の哲学』(ホビージャパン)。
井上伸一郎(いのうえ・しんいちろう) 1959年、東京生まれ。角川書店代表取締役社長、角川グループホールディングス代表取締役専務。大学在学中からアニメ雑誌「アニメック」(ラポート)の編集者として活動。87年にザテレビジョン社(現・角川書店)に入社。アニメ誌「月刊ニュータイプ」の創刊に参画し、同誌編集長となる。07年より角川書店の社長になる。特撮ファンとしても知られている。
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『ヤマト』も『まど☆マギ』もオタクの内輪受け!? 総集編アニメ映画急増の理由
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──2012年の映画界を席巻したアニメ映画。映画不況にあって、アニメ映画は公開・製作本数が増加するなど、気を吐いている。しかし、中には客入りが見込めるのか疑問符のつくような作品もあり……。アニメ映画急増の内幕とは? 2012年の国内映画業界は、「アニメ映画が猛威を振るった一年」だったといえる。オリコンが昨年末に発表した12年の映画興行ランキングを見ると、邦画の歴代初動興収5位を記録したヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』や、興行収入40億円を突破した細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』など、上位10作品のうち4作品がアニメ映画だ。また、13年の正月映画として公開された『ONE PIECE FILM Z』は、公開1カ月で興行収入60億円を突破し、東映史上最大のヒット映画となった。こうしたアニメ映画の隆盛の背景として、日本国内における劇場公開本数の増加がある。興行収入、入場者数共に減少傾向で、映画業界全体が下火なのにもかかわらず、アニメ映画の製作本数は09年は50本から、10年は54本、11年57本、12年には64本と、着実に増加している。 これらの劇場用アニメ映画を大別すると、3つのパターンがある。最初から劇場公開用に製作される”オリジナル映画”、テレビ作品の続編・特別編として製作される”新作エピソード映画”、そして、テレビアニメを新規カットなどを交えつつ再編集、再構築した”総集編映画”だ。近年の例を見ると、先述の『おおかみこどもの雨と雪』のほか、『人狼 JIN-ROH』で高い評価を得た沖浦啓之監督の『ももへの手紙』などがオリジナル映画だ。次に新作エピソード映画では、『ONE PIECE』や『ドラえもん』『ポケットモンスター』シリーズなどの定番ものに加え、女子高生の青春を描く『映画けいおん!』といったアニメオタク向けの作品も人気を博している。そして、総集編映画としては、テレビ放送時から話題となったダークな魔法少女もの『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』や、腐女子にも人気のヒーローもの『劇場版TIGER & BUNNY -The Beginning-』などが公開された。 特に近年新しい動きとして目立つのは、アニメオタク向け作品の総集編映画の増加である。総集編映画に目を向けると、10年は0本、11年はわずか1本だったが、12年はイベント上映作品も含めると8本公開されるなど、漸増している。テレビ版も人気を博した『魔法少女まどか☆マギカ』や『TIGER&BUNNY』ならまだしも、現在公開中の『スタードライバーTHE MOVIE』のように、地上波放映時にヒットしたとは言えない作品までもが製作されている。なぜ、今アニメの総集編映画が増えているのか? その背景をひもといていこう。 京都精華大学マンガ学部准教授でアニメ史を研究している津堅信之氏は、「昔からアニメ映画の主流はテレビ放送が先行した作品であり、日本のアニメ映画はテレビ版の強い影響下にある」と指摘する。歴史を遡れば、戦前より製作されていた日本のアニメ映画だが、終戦後、東映動画(現・東映アニメーション)が『白蛇伝』など、子供向けアニメ映画を続々と製作。それらが「東映まんがまつり」などのラインナップに組み込まれ、冬休みなどの定番映画として普及していく。だが、東映動画としては、年一回のオリジナル映画のみではアニメ映画を商業的に成立させることは難しかった。 「そこで、テレビアニメの再編集版を劇場用アニメとして上映することが、窮余の策として取られました」(津堅氏) その元祖が、63年に『わんわん忠臣蔵』と併映されたテレビアニメ『狼少年ケン』第2・3話だ。『劇場アニメ70年史』(徳間書店)によれば、この興行は予想以上のヒットを記録し、以降、劇場長編とテレビ作品の組み合わせというスタイルが、後の「東映まんがまつり」の原型になったという。翌64年には、テレビアニメのエピソードを再編集した映画『鉄腕アトム 宇宙の勇者』も上映された。そして、「テレビアニメから劇場映画へ」という流れを決定づける作品が公開される。 「こうした実績もあり、77年、事実上テレビ放映は打ち切りとなった『宇宙戦艦ヤマト』の総集編が、ファンの声にこたえる形で劇場公開されます。翌年には続編であるオリジナル作品『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』が、国産アニメ映画初の配給収入2ケタの21億円を達成。81年公開の劇場版『機動戦士ガンダム』3部作では、テレビ版の総集編という形をとりつつ新規作画を加えるなど、マニア向けの仕掛けが組み込まれるようになりました。この経緯を見てもわかる通り、個人で楽しむテレビアニメと、ファンが集まることでマニアックなネタでも盛り上がれる劇場版という役割分担ができたと考えられます」(同) これまで見てきたように、総集編映画は、アニメ黎明期より存在していた。では、なぜ12年に総集編映画が急増したのか? 大きな流れとして、「テレビ局の深夜放送枠の価格が、00年代のアニメブームを受けて上昇したことも遠因となっているのでは」と語るのは、コンテンツビジネスに詳しいジャーナリスト・まつもとあつし氏だ。よく知られているように、アニメにおけるビジネスモデルの主流はパッケージビジネスだった。安い価格帯である深夜放送枠をアニメの製作委員会が買い取り、そこでアニメを放送することで世間に認知させた後、DVDなどのパッケージで資金を回収するモデルだ。しかし、競争激化による放送枠の価格上昇とパッケージ販売の冷え込みで、このビジネスモデルが危うくなっていると、まつもと氏は言う。あるアニメ関係者も「確かに、アニメ制作会社の人も、今のテレビ枠は(値段が)高いと愚痴っています。人気の放送枠で流す場合、パッケージのマージンを取られることもあるらしくて、困っていました」と話す。そこで、改めて劇場という伝統的なメディアに注目が集まることとなった。ネット配信といった、さまざまな課金スタイルと比較した時、現状最も効果的なマネタイズが図れるのが劇場アニメという形態だと、まつもと氏は分析する。 加えてまつもと氏は、近年、総集編アニメ映画の意味合いが変化していると語る。ツイッターなどのソーシャルメディアによって、総集編アニメ映画が「ファン同士で盛り上がるためのツール」としての側面を強化されつつあるというのだ。「パソコン文化との親和性が高いアニメファンは、以前から2ちゃんねるなどで”テレビアニメ実況”をして盛り上がっていました。その流れをツイッターといったリアルタイムメディアが加速させた。この盛り上がりを大勢で同時に肌で感じられる場として、劇場が再評価されているのでは」(まつもと氏)と、昨今の劇場アニメブームの理由を推測する。 ■アニメ業界の地殻変動でプロデューサーの露出増 ソーシャルメディアや劇場アニメの隆盛は、新しい動きを生み出しつつある。プロデューサーの前面化だ。 「今、有能なプロデューサーたちは、ネットの声を非常によく見ています。『TIGER&BUNNY』を手がけたサンライズの尾崎雅之プロデューサーは、ツイッターでのファンの声に目を通した上で、必要なアナウンスを行って、間接的にコミュニケーションを取っています。彼らは今、どういう作品が楽しまれているのかというところにも気を配り、仕掛け作りをしています」(まつもと氏) かつては、今ならステルスマーケティングとして糾弾されかねないやり方で劇場版『宇宙戦艦ヤマト』を大ヒットさせた西崎義展氏や、宣伝のために声優ではなく人気タレントを作品に起用していると噂されるスタジオジブリの鈴木敏夫氏(本人は宣伝的意味合いでの起用を完全否定)などが、アニメプロデューサーとして脚光を浴びていた。そこへ前述の尾崎氏やアニプレックスの宣伝プロデューサー・高橋祐馬氏といった若い世代が、インタビューやイベント、はたまたソーシャルメディアを積極的に活用することで、コミュニケーションのハブとしての存在感を増してきている。例えば、尾崎氏は『TIGER&BUNNY』でテレビシリーズ最終話のオールナイト上映会を企画。この様子をライブビューイングで配信するという、ファンを巻き込んだイベントを成功させ、高橋氏はアニプレックス関連のイベントなどへ名物広報として出演している。プロデューサー自らが前に出ることでファンとの距離を縮めるなど、さまざまな試みを行って業界を盛り上げようとしているのだ。 このような流れの中で、総集編アニメはオタクたちに支持され、定着することとなった。しかし、次ページの山賀氏の発言からも、現状、急増する総集編映画は”オタク向け内輪受け”(=ファンイベント)という枠に収まっているようにも思われる。もちろん、アニメ市場を牽引してきたのが、オタクたちであることは間違いない。「オタクたちは『自分たちがブームを作り、業界を動かしている』といってもよいほどのエネルギーを自覚しているはずです。テレビアニメの劇場映画化という動きは、確実にオタクのエネルギーが、その前提として存在しています」と、前出の津堅氏も語る。しかし、日本映画界に元気がない今、従来の”内輪受け”の論理を突き破るような、そんなタブー破りのアニメ映画こそ、到来が待ち望まれているのではなかろうか? 前出のまつもと氏は「『TIGER&BUNNY』の試みは、アニメファンだけでなく、ドラマ愛好者にもファン層を広げるものだったと思います」と、評価する。とまれ、現場で試行錯誤を重ねるプロデューサーたちには、内輪向けのPRにとどまらず、より一層こうした期待にこたえてもらいたいものだ。 (文/富士峰 雄) 【今なら無料で読める!「サイゾーpremium」では他にもアニメ業界の裏側に迫った記事が満載です!】 ・ガイナックス社長・山賀博之に直撃!! 総集編映画って儲かるの? ・セル画あげるからステマして!? アニメ映画と特典商法の意外な原点 ・アイドル男性声優の極秘結婚は当たり前! 一般芸能化する声優が直面するゴシップ危機オリジナルから新作エピソード映画、総集編映
画と、アニメ映画は花盛りだ。現在、数多くの
アニメ映画が劇場で公開されている。
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引くほどオタクな海洋堂が平然とドキュメンタリーになる日本
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引くほどオタクな海洋堂が平然とドキュメンタリーになる日本 - Business Journal(10月7日)
――『カンブリア宮殿』『ガイアの夜明け』(共にテレビ東京)『情熱大陸』(TBS)などの経済ドキュメンタリー番組を日夜ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で裏読みレビュー! 今回の番組:9月27日放送『カンブリア宮殿』(テーマ:海洋堂) 村上龍が「はぁー」とため息をついたかと思えば、「すげーすげー」と子供のような笑顔でモニターを指差す。『カブリア宮殿』の歴史でもなかなかない映像だ。だが、そんな気持ちもよく分かる。僕もつい先日、今回のテーマになった「海洋堂」のフィギュアをガチャガチャで購入したばかりだったから。 東京現代美術館で行われた『特撮博物館』(〜10月8日まで)は、昭和のミニチュア技術を「これでもか!」と魅せる最高の催しだった。会場には家族連れがいっぱいで、子供に負けじと大人も楽しそうだった。僕も十分に満喫し、夏の思い出になった。中でも新作映画『巨神兵東京に現る』は素晴らしく、CGでは実現不可能なアナログの贅沢さをいっぱい味わえた。 で、売店に置かれたガチャガチャで売られていたのが海洋堂のフィギュア。そこで見た映像の力強さが造形として再現され、1回500円とちと高めだが、博物館を満喫した勢いも手伝って「えい」とガチャガチャしてしまった。家に帰っても興奮は収まらず、展示品のあれこれを思い出しながら作る巨神兵はなかなか楽しいものだった。そんな経験をしたばかりだったから、番組中の龍氏の興奮にも共感できたのだ。 番組でも触れていたが、海洋堂のフィギュアは格が違う。「これも重要なんですか?」とディレクターが呆れようとも、職人は金魚の尾びれの裏まで描き込む。美少女フィギュアを作り続けて30年 の天才に対してもキャメラが向けられた。彼はプラモ好きの少年が大人に混じって造形を始めたきっかけをどこか誇らしげに語るが、ほとんど外に出ることもなく造形を続けている。女性と接することもなく、グラビアを参考にお尻のラインを、バストを、研究しフィギュアを作って来た。今回、番組を見て「時代が変わったなー」と思わされたのは、かつてこういった「オタク」が取材がされる時は「やってることは凄いけど、気持ち悪いよね」というどこか小馬鹿にするような視点が映像に見え隠れしていた。しかし今は社会や状況が変わった。 そして今回、衝撃的だったのは、第二次世界大戦時のドイツ軍の大砲が出て来たことだ。海洋堂は模型では飽き足らず実物を購入してしまったらしい。軍服を着た社員一同の写真も紹介されていたが、これ、国によっては完全にアウトではないのか。 番組では「強さの秘密はオタクパワー」なんてテロップも乗っていたが、そういうことではないと思う。でもこういう人っているよな、と思う。僕の友人にも飛行機や戦車が好きで、形から入って思想も極端に……という人が。海洋堂が右でも左でも、それともそんなんを超えてしまったのかは、短い尺では紹介されなかったが(あえてしなかったのか)、映像のインパクトは強烈で僕はちょっとヒいた。 宮脇社長は自分たちの仕事に対して客観性を持っているように思った。水着の美少女フィギュアをテーブルに置いて「いい大人がこんなことをやって」と自虐的に語っても、小池栄子は「そんな……お仕事ですからね」と平然とフォローする。村上龍は「これを作った人は仕事だと思ってないんだよ!」と笑うが、僕もそう思う。誰もやっていないこと、好きなことを続け、独創性を追い求める。海洋堂はそれを実践して来ただけなんだろう。だからオタクの走りと言われ、今も敬意を集めている。だが、先人は打たれ、否定される。造形職人もアーティストと呼ばれることに困惑するらしい。しかし、現在は『カンブリア宮殿』に海洋堂が紹介されることに違和感を覚える人はいない。時代が彼らに追いついた。 海洋堂のフィギュアも、その存在も、面白過ぎることは30代 のサブカル好きにとっては周知の事実だ。プラモデル屋の主人とそこに集まった少年たちが「こんなの子供だましや!」と自分が欲しいものを作ってしまった。 マーケティングも成長も未来もいっさい興味がなく、ただ「今」やりたいことを続けてきた海洋堂。ミュージシャンもマンガ家も映画監督も、かつては「待つ」の が基本だったが、今はそんなこと言ってられない。自分で作り、発表するのも珍しくなくなってきた。これからはそんな動きがさらに加速するだろう。海洋堂の歴史を見て、今のDIYの先駆けなんだな、と思った。 (文=松江哲明/映画監督) ■おすすめ記事 ソーシャル化で大炎上中! ウェザーニューズが“誤解”に弁明 創価学会員「恫喝、ハレンチ…カン違い幹部たちが学会を滅ぼす?」 4人に1人は再犯10回以上! 刑務所の老人ホーム化が止まらない 「納期は死守!」アップルを支える過酷な生産現場 日本の先端技術“から攻める”韓国サムスンに駆逐される日本企業?日本のものづくりに求められるのは“オタク力”と痛感。
(「カンブリア宮殿HP」より)
ステイタス男よりオタクがモテる!? 盛り上がるオタ婚市場
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ステイタス男よりオタクがモテる!? 盛り上がるオタ婚市場 - Business Journal(10月2日)
『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ系列)などでおなじみの世代・トレンド評論家、牛窪恵氏。本連載では、8月23日に『男女1100人の「キズナ系親孝行、始めました。」』(河出書房新社)も出版した牛窪氏が毎回、賢くも楽しく生きる女子たちの“生態”を通じて、彼女たちが新しいマーケットやブームをつくりだしていく現実と可能性について探る。日本の将来は、女ゴコロしだい!? 「三平(さんぺい)女子」という言葉をご存じだろうか? かつてバブルの時代には「三高(高学歴、高年収、高身長)」こそが、女性が結婚相手に求める典型的な条件だった。ところが、イマドキの20代女性は、未来の夫に「平凡な見た目」「平均的な年収」「平穏な性格」の「三平」を求める。 実はこの言葉を命名したのは、私だ。昨夏、20代~アラサーの女性にたびたびインタビューさせていただく中で浮かんだ言葉で、その後、毎日新聞やフジテレビの人気番組『Mr.サンデー』などで取材していただくと、少しずつ認知され始めた。 さらに今年に入ると、婚活業界ではオーネットやノッツェが結婚に関して「三平女子」がどれぐらいに及ぶか、という調査を行った。 その結果、「自分が三平女子だと思う」と答えた女性は、オーネットで56.3%、ノッツェでは72.8%に及ぶなど、圧倒的多数。この結果には正直、言い出しっぺの私も驚いた。オタク婚活パーティー「アエルラ」のサイトより
もっとも、両調査では「女性が男性に希望する年収は682.6万円!」(ノッツェ)、「理想の結婚相手、1位は向井理さん」(オーネット)という結果も。 ネット上では「それって三平かよ!」といった男子からの突っ込みもあったが、これは聞き方の問題が大きい。いくら三平であっても、「理想の~」「希望の~」と聞かれれば「そりゃ、いいほうがいい!」と思うのが女のさが。 だが、私たちが複数の雑誌で、未来の夫の「理想年収」と「妥協年収」に分けて聞くと、妥協年収はおおむね「年収400万円前後」となる。 「三平」が求められる理由 なぜイマドキの若い女性たちは「三平」を求めるのだろう。端的にいえば、彼女たちは私のようなバブル女と違い、極めてリアリストで賢いから。結婚にいたずらに夢を見ないし、無謀な高望みもしない。気の合う「フツメン(普通の男性。注:褒め言葉)」と、安全・安心なフツーの結婚生活を送りたい。そのほうがリスクが低いことを知っているからだ。 その流れで、20~30代の三平女子が「結婚相手にいい!」と言い出したのが、安心•安全な公務員男性と、AKB48 などのアイドルオタクに代表される男性たち。 私が「ゆるオタ君」と呼ぶ男性で、その人気の秘密は以前、私のインタビュー記事『AKB男が大モテ?「ゆるオタ君」が人気の婚活市場で幸せゲット!』でもご紹介いただいた。総じて女性への「リスペクト」魂があり、妻の趣味にも寛容で、風俗やギャンブルにあまり関心がなく、仕事人間でもない。家事・育児にも一定以上の関心がある。 さらにいま、未婚女性たちは、話題の「オタ婚活」市場にも熱い視線を送っているのだが……それに関して、詳しくお話ししよう。 三平女子がよく口にする驚きの結婚観は、次のとおりだ。 (1)ヘタにモテるイケメンは、浮気リスクが高い →それなら、自分だけを大事にしてくれるフツメンのほうが安心 (2)年収1000万円以上の男性は、得てして浪費傾向があり「上から目線」 →それなら、自分を尊重(リスペクト)してくれる男性のほうが心地いい (3)仕事がデキても「仕事人間」の男性は、概して家事や育児を手伝ってくれない →それなら、仕事はそこそこ、イクメン予備軍の男性のほうがラク 震災後の「おひとりさま不安」も、理想のパートナー像に変化を与えた。いざというとき頼りになる、いわゆる「サバイバル男子」が注目され始めたのだ。 サバイバル、と聞くと「マッチョな腹筋男」をイメージする人も多いだろう。確かに以前、オーネットのベテランアドバイザー岸野芳子さんが教えてくれたのは、「震災後、自衛隊員の人気が急上昇している」との事実。 被災地の人々に尽くす姿(映像)を見て、「頼れる」「カッコイイ」と感じた女性も多かったようだ、とのこと。いささか女性は単純だ。 理系、オタク男子が人気? 一方で、私が取材した20~30代女性たちからは、こんな声も上がった。 「(震災の)計画停電の影響で、会社のパソコンが壊れた。もう目の前が真っ暗。それをササッと直してくれたシステム部の新人クンに、マジで惚れそうになった」 「最近、地味でも理系で、家電とか登山とかアウトドアとか好きな男子に憧れる。大災害がきても、電源確保したり火を起こしたり、いろいろ知ってて助けてくれそう」 そう、サバイバル男子は、体力だけでなく「知力」が大事。とくにパソコンやネットのシステムに強い、理系やオタク寄りの男性のほうが、見栄ばかり張っていざとなると逃げ出す「ステイタス男」よりも結婚相手に向く。三平女子は、そのことに気づいた。 そこで再び浮上するのが、私が拙著『「ゆるオタ君」と結婚しよう!』(講談社)で取材した、ゆるいオタク男子、いわゆる「ゆるオタ君」だ。 ご存じのとおり、最近は「オタ婚活」と言われる市場も花盛り。 アニメやマンガ、ゲーム、アイドル、鉄道など、同じ趣味を理解し共有し合える者同士で相手を見つけよう、との動きだ。 以前から、水瀬洋さんが主催するカップリングパーティ「オタ恋」のように、個人で活動する例はあった。だが、10年秋に埼玉・鷲宮(わしのみや)の商工会が旗振り役となり、アニメ『らき☆すた』(テレ玉ほか)の聖地(舞台)である地元の鷲宮神社やその周辺で「オタ婚活」を始めると、民間企業もこの市場に注目するように。(12年 オーネット「独身女性が結婚相手に望む条件に関する意識調査」)
そしていまオタ婚活は、意外な理由から、マーケットを拡大している。 その意外な理由とは……? 実は、オタクはもはやニッチ層ではない。 しかもそれは、男性に限ったことではない。以前もご紹介したが、ある調査で「自分で自分をオタクだと思う」「自分ではオタクだと思っていないが、そう言われる」と答えた15~39歳男女が、1万人のうち38.1%と、約4割(11年 電通「オタクがラブなもの研究所」調査)。 意外に多い「隠れオタ」女子 調査結果に“男女”とあるとおり、女性の間でも昨今、BL(ボーイズラブ)やコスプレ人気を背景に、ライトな「ゆるオタ女子」が急増しているのだ。 ただし取材してみて分かったのだが、女性には「隠れオタ」が圧倒的に多い。「恥ずかしい」「腐女子と思われたくない」などの理由から、趣味を隠している。裏を返せば、三平女子の中にも、少なからず「ゆるオタ女子」が含まれているわけだ。 だからこそ、オタ婚活の場にも、三平女子が「参加したい」と訪れる。それに伴って、市場人気はうなぎのぼり。 先の「オタ恋」や結婚相談所のファーストコンタクトが運営する「ヲタ恋」、元衆議院議員のたるい良和さんが代表を務める「Im single」のオタ婚活パーティ、そしてテレビや雑誌でも報道される機会が多い「アエルラ」などが着々と参加者を増やし、カップリングにも成功している。(鷲宮商工会「オタ婚活」サイト)
みずからも「オタ(ゆるオタ)」を自認する、ナゲット(「アエルラ」のサイトを運営)の代表取締役、長谷川剛さんによると、「最初から同じオタク同士が集まると分かっていれば、気兼ねなく趣味の話ができて、心を開ける」という。 同社は11年6月のサービス開始以来、ほぼ毎週末の割合で婚活パーティを開催。今年8月からは、東京だけでなく関西にも開催拠点を広げた。参加基準は、「20歳以上の未婚男女で、アニメやマンガ、ゲーム、アイドル、鉄道など、なんらかの分野のオタクであること」。 人気の回は、男女10人ずつほどの枠に2倍以上の応募があるそうだ。カップル成立は1回につき平均4~5組程度と、なかなかの成功率と言えるだろう。 もちろん、課題もある。私が過去に取材したオタクの祭典「コミケ(コミックマーケット)」や秋葉原の「ガンダムカフェ」で見聞きした印象だが、オタクの男女は趣味に対して極めてピュア。それを“商業主義”の道具にされるのを嫌がる。 「15~39歳男女の4割を占める市場」と聞いて、魅力を感じるのは当然だが、たとえビジネスチャンスが眠っていても、彼らの思いを理解しないまま「儲かりそうだから」と市場に参入するのは難しい。 逆に、成功している企業は、得てして「ゆるオタ(オタ)男女」がそのビジネス構築に関わっている。三平女子も含め、ゆるオタ君を狙う人たちはまず、彼らの気持ちを理解することから始めてみてはどうだろう? (文=牛窪恵/マーケティングライター、世代・トレンド評論家、有限会社インフィニティ代表取締役) ■おすすめ記事 森永卓郎になりたかった金子哲雄が、秘かにしたためていた企画 1週間外出禁止!?競艇選手、年収1800万でもモテない理由 レアアースと引き換えにHV技術を中国に売るトヨタ・ホンダ 日清、“健康的即席麺”で貧困層ビジネスに着手 iPhone 5を1週間使い倒して判った、大ヒットのワケ(オタ婚活パーティ「アエルラ」サイト)
不祥事で人気声優が移籍!? アニメ誌が絶対書かない、隠されたオタク業界の”闇”
【サイゾーpremiumより】
日本を代表する文化であるアニメ、ゲームといった”オタク”文化だが、これらオタク業界のゴシップやタブーといった話題がメディアの俎上に上ることはそう多くない。業界内で封殺されることも多いというオタク界隈のタブーを、関係各所に聞いて集めてみた――。
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アニメ、声優、ゲームといったオタク文化が、日本を代表する文化と呼ばれるようになって久しい。 テレビアニメ『けいおん!!』の主題歌CDが2010年8月16日付のオリコン週間ランキング2位を獲得するなど、アニメや声優のCDがチャート上位を席巻することは、もはや珍しくない。『NHK紅白歌合戦』にも3回連続出場している人気声優・水樹奈々は、10年に声優として史上初のオリコンシングルチャート1位を獲得。さらに11年末、東京ドームで2日間にわたるコンサートを成功させた。 その勢いは映画業界にも及んでいる。現在公開中のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』は公開1カ月で興行収入30億円を突破。12年の映画の年間興行成績ランキングでトップ10入りするのはほぼ確実視されている。さらに、ハリウッドでは『メタルギアソリッド』『ワンダと巨像』など、国産ゲームを題材とした実写映画が続々と製作決定している状況だ。 また、今年8月には、国民的RPGの『ドラゴンクエストX』がシリーズ初のオンラインゲームとして発売され、わずか3週間で50万本以上を売り上げた。同記録はパッケージでのソフト販売を行うオンラインゲームとしては異例の数字で、コアユーザー向けと思われていたオンラインゲームを一般層に普及させることで、ゲーム業界のさらなる鉱脈を切り開くことが期待されている。 そのほか、『らき☆すた』の埼玉県久喜市鷲宮や『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の同県秩父市などを筆頭に、アニメの舞台となった街が「聖地」として観光PRに利用されるなど、オタク文化の一般社会への貢献は著しいものとなってきた。 そんな華やかなニュースが続くオタク業界だが、同業界のゴシップやタブーに触れた話は、広告を入れてもらい、宣材や取材を取り計らってもらう立場であるアニメ誌やゲーム誌といった専門誌で書かれることは当然ない。せいぜい信ぴょう性の薄いネットでの流言をお目にかかるぐらいだろう。だが、不況下で好調を呈し、産業として巨大化しているのならば、表に出てこない黒い噂のひとつや2つあってもおかしくないはず……。 「アニメ業界に顕著ですが、制作現場では同業者間の交流が多いため、悪い噂などが広がりやすい環境です。なので、業界全体で、悪評が立つ人物などは自然と業界を干されるという”自浄作用”が働いているといえるかもしれません。 一方で、オタク業界は『夢を売る』業界であり、『イメージ』を最も重要視するため、ゴシップなどを内々で処理してしまう傾向も見受けられます。声優のスキャンダルは声優事務所同士がスクラムを組んで外に漏れないようにするなど、閉鎖的な世界を作っていると感じることも多いです。事実、人気アニメ『けいおん!』に出演していた声優が不祥事を起こして事務所を放出されたものの、外に向けては単純な移籍と報じられましたから」 そう語るのは、アニメ・声優系業界関係者。オタク業界では、”二次元の夢”を守るため、業界全体が軌を一にしている部分があるという。 そんな中、関係各所への聞き込みを通じて見えてきた、「イメージ」というヴェールの向こう側にある「タブー」をご開陳。”オタク業界のタブー”を、とくとご覧あれ。 (文/菅 桂真) 【続きはこちらから!! 「サイゾーpremium」では他にもオタク業界のタブーをぶった斬る記事が満載!】 ・「歌ってみた」に群がる素人と芸能界――芸能事務所にも所属済み! ニコ動”歌い手”たちの傲慢と嘘 ・【完全保存版!?】声優の恋愛事情に、消された作品たち……オタク業界のタブー ・「紅白出場」声優アーティスト・水樹奈々が登場! 「二股活動」にかけるオモイとは?シリーズ初のMMO(大人数同時参加型オンライン)
RPGとして、今夏発売された『ドラゴンクエストX』。
"ダイス賭博"といった微妙な問題も取り沙汰され
たが、業界内外では評判も高い。
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作品人気を証明しただけ? 「小6女児監禁男はプリキュア好き」報道は怒るだけムダ?

『ふたりはプリキュアSplash☆Star
DVD-BOX vol.1』
( ポニーキャニオン)
今月4日、広島市の小学6年生の少女を旅行カバンに押し込み連れ去ったとして、監禁の疑いで成城大2年の男が現行犯逮捕された事件。この事件を日刊スポーツが「小6カバン監禁男はプリキュア好き」と報じたことで、大きく波紋が広がった。
これに対して、ネット上では「関係ないだろ」「オタク叩きか?」といった怒りの声が噴出。『ふたりはプリキュア』などに出演し、成城大に在学経験のある声優・池澤春菜氏は自身のTwitterで「私、成城大。で、プリキュア出てた。だから私も犯罪を犯す可能性が高いかと言うと、そうではない つまりそこ全く関係ないよね」と発言し、支持を集めている。
振り返れば、オタク趣味と犯罪を結びつけた報道の歴史は長い。そして、オタクを称賛する記事と入れ替わり立ち替わり現れてくる。オタクと犯罪を結びつける報道の嚆矢は、いわゆる「宮崎勤事件」が知られている。だが、実際にこの事件を遡ること半年前に、すでに報道は存在する。週刊誌「SPA!」(扶桑社)の1989年3月23日号に掲載された「麹町小学校4年生殺人事件 増加するゲーム世代“オタク族”のやっぱりおこった『倒錯殺人』」が、これだ。これは、東京都麹町でゲーム機やミニ四駆などを多数所有する22歳の青年が、自宅に遊びに来ていた男児を殺害したもの。
この事件の後、8月に宮崎勤が逮捕されると「ロリコン」「オタク(あるいは、おたく・おたく族)」を「病理」ととらえて犯罪の原因とする報道が、頻出するようになる。
ところが、この報道は数カ月程度で収縮し、年が明けると、今度はオタクを称賛する記事が次々と登場していく。象徴的なのは「SPA!」90年3月7日号に掲載された「『おたく』が日本を動かす」という記事。この記事は、前年とは一転して、オタクを称賛するものであったのだ。また、90年8月に開催された同人誌即売会・コミックマーケットは、参加者20万人あまりと、前年比で倍となった。この要因として挙げられるのは、宮崎勤の事件を通して、オタク、そして宮崎が参加していたコミックマーケットが一般メディアに初めて登場し(大宅壮一文庫で検索すると一目瞭然だが、89年に一般誌でオタクやコミケを扱う記事は、ほとんどない)、存在を知った人々が参加するようになったことだ。当時、中高生だったマンガ・アニメ愛好家の中には、この時期に学校や家庭で肩身の狭い思いをしたと証言する者が多い。ところが、その原因である忌まわしい宮崎勤事件が、皮肉にもコミックマーケットの参加者を倍増させ、現在に連なるオタクの隆盛を生み出したのである。
2000年代に入ってから、オタク文化は国内のみならず海外も巻き込んで、愛好者を増やしているわけだが、一方でオタクと犯罪をイコールにする、あるいはにおわせる報道も繰り返されてきた。04年に発生した「奈良小1女児殺害事件」では、ジャーナリストの大谷昭宏氏がテレビ出演した際に「フィギュア萌え族(仮)」なる言葉を用いて、多くのオタクやフィギュア愛好家から怒りを買った。筆者がこの件を取材したところ、大谷氏が「オタクを批判する気はない」と繰り返し主張したことは印象に残っている。この発言は「SPA!」05年1月25日号で「誤解と偏見の『オタク迫害』に異議アリ!」という特集が組まれたり、大谷氏が出演したシンポジウムの席上で「権力の行う危ないヤツへのレッテル貼り」と同一であると批判されるなど、たぐいまれな規模に拡大した事例である。
ただ、オタク文化の愛好者たちが、オタク=犯罪報道にいつも怒り狂っているかと思えば、そうでもない。05年に発覚した、いわゆる「監禁王子事件」では、犯人宅から1万本ものエロゲーが発見されクローズアップされたが、「1万本も買ってるなんて、どれだけ金持ちなんだ?」とむしろ、愛好家を爆笑の渦に叩き込んだ。
大谷氏の事件の後に最も世間を騒がせたのは、07年9月に京都府の京田辺市で発生した14歳の女子中学生が斧で父親を殺害した事件だ。この事件をめぐっては、当時放映されていた『ひぐらしのなく頃に解』と『School Days』が外部からの圧力や報道もないうちに、多くの放送局が放送中止を決定し注目を集めたものだ。むしろ、これによって、作品のタイトルが知られるようになったからか、その後の報道を追ってみると、やたらと事件の犯人が『ひぐらし』を所有していた事例が見られるようになる。
08年1月に青森県八戸市で発生した母子3人放火殺人事件では、犯人宅から『ひぐらし』の漫画版が押収されたことが一部の新聞で報じられている。同年の3月に、茨城県土浦市で発生した連続通り魔殺人でも、犯人の趣味として、格闘ゲームと共に「ひぐらし」を記す報道が見られた。この月には、岡山駅構内で突き落とし殺害事件が発生しているが、少年宅から『ひぐらし』や『DEATH NOTE』などの漫画本が押収されたことも報じられている。さらに探すと、7月に埼玉県川口市で発生した女子中学生の父親殺しでも『ひぐらし』の単行本が押収されたと報道されている。08年の6月には、秋葉原連続殺傷事件が発生しているが、犯人の加藤智大に至っては、犯行直前に携帯サイトに「ひぐらしとか買っておけばいいのか」と書き込んでいたことも報じられている。なぜ、『School Days』ではなく『ひぐらし』ばっかりかと考えると、エロゲーゆえに販路が限定されている『School Days』に比べて、そこらへんの書店でも棚に並んでいて、手に入りやすかったからという、穿った見方もできなくもない。
こうなると、オタク=犯罪をくくる記事で「犯人に影響が」と名指しされる作品は、それだけ知名度がある、あるいは、大手マスコミの勝手な報道によって、知らないうちに「炎上マーケティング」に参加させられていると見ることもできるだろう。
しかし、宮崎勤の事件から数えても20年あまりの間にさまざまな事件が発生しているにもかかわらず、これらを時系列でまとめて記した文献は少ない(マスコミのオタク観をまとめた文献として松谷創一郎氏の「<オタク問題>の四半世紀」(『どこか<問題化>される若者たち』所収 恒星社厚生閣、08年)があるが、失礼だがマイナーな書籍のため、読んでいる人は少ない)。
正直、今回の「プリキュア」報道からは、“またか”というよりも“懐かしさ”のような感覚すら覚えてしまう。過去を経験している立場からは、Twitterなどで怒りを露わにしている人々よりも、失笑している人のほうが多いのではないかと思うのだ。
まあ、それだけ「プリキュア」シリーズが、おっきなお友達にも大ウケしていることを、世間は知っているということか。
(文=昼間たかし)














