日銀会見と宮内庁会見は同類!? 記者、学者の癒着が生んだ"日銀タブー"の罪悪

──一部週刊誌では取り上げられるものの、全国紙の経済面や社説で日本銀行に対する批判はほぼ皆無。日銀の政策は、常に正しいのだろうか?実は日銀と新聞社、そして新聞に寄稿やコメントをする経済学者の間には、不健全な関係があるという。
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『日銀につぶされた日本経済』(ファ
トプレス)。
深刻化する欧州金融危機と世界的な株安、史上最高値圏で推移する円相場、さらには東日本大震災後の復興財源をどこに求めるかという問題─。日本経済に降りかかる数々の難題を受けて、我が国の金融政策をつかさどる日本銀行への関心が高まっている。  例えば復興財源をめぐっては、財務省が提唱する増税案に対し、エコノミストやジャーナリストの一部からは不況下の増税は景気を一層悪化させるとして、日銀による国債の直接引き受け策を求める声も出てきた。これに対しては、日銀引き受けが想定外の通貨安(円に対する信任低下)をもたらす危険性を指摘する声もあるが、日本経済新聞をはじめとする大手メディアでは、こうした議論自体が正面から取り上げられることはない。  元日本経済新聞論説委員で、現「FACTA」の編集主幹・阿部重夫氏は、「日銀は外部の批判にほとんど耳を貸しません。それは日銀クラブ(日銀の記者クラブ)に所属している記者を早々と日銀の論理に洗脳して、無批判の環境で自らを囲い込んでしまうからです」と話す。 「私自身もそうでしたが、多くの新参記者は日銀クラブに入った時点で金融の実務知識が十分ではないので、手取り足取り金融のイロハを教えてくれる日銀が師匠役になります。そこで純粋培養されてしまうと、『金利を上げるインフレファイターは正しくて、下げるデフレファイターは弱虫』という日銀の価値観に染まり、欧米の金融政策の常識や経済学の最先端と日銀がいかにズレているかが見えなくなります」(阿部氏)  さらに、新聞社の体質にも問題があるようだ。例えば日銀記者が少しでも批判めいた記事を書こうものなら、デスク、部長、編集委員、論説委員といったお歴々が、「こう書いたほうがいいんじゃないか」「こういう見立てが正しいんじゃないか」と暗に記事の方向性を変えるように仕向けるという。大手新聞社の経済記者はこう語る。 「日銀が直接何か言ってくることはないけれど、なんとなく記事の方向性が社論として決まっていくのが実際の新聞社の有様です。日銀はそうした新聞社の構造を熟知してか、経済部長だけを呼ぶ『経済部長懇談会』、経済担当論説委員を集めた『論説委員懇談会』などを、1~2カ月に一度、定期的に開いています」  部長や論説委員クラスになると、現場に足を運ぶ機会はほとんどないため、"ご進講"が貴重な情報源となる。彼ら上層部が日銀の話を鵜呑みにすることは、想像に難くないだろう。  こうした日銀に対するメディアからの批判の少なさが、日本の金融政策の即応性と健全性を損ねているのではないか。そう指摘するのは『デフレ不況 日本銀行の大罪』(朝日新聞出版)の著者で、上武大学教授の田中秀臣氏だ。「日経新聞の喜多恒雄社長が財務省と蜜月関係にあることに表れているように、新聞社の上層部では、財務省・日銀支持の姿勢が打ち出されている。そんな中、現場の記者は批判的な意見を持っていても、上層部に従ってしまう」という田中氏の話を聞こう。 「今回のギリシャ債務危機をきっかけに、世界経済はすでに不況局面に入ったと見ていいでしょう。景気に関するあらゆる指標が悪化しており、各国で緊縮財政策や金融引き締め策の見直しが始まっています。ですが、日銀は相変わらずデフレ状況を放置したままで、さらなる金融緩和などの対策を打とうともしない。金融政策は本来、民主主義のプロセスで決めるというよりも、一部の政策エリートが責任を持ってやるという性質がありますが、それが正しく機能するには、きちんとした批判が存在することが前提です。しかし、金利は上げるものという伝統的な金融政策にとらわれている日銀に対する批判の声は、逆に小さくなっているのが現状です」  それでは実際に、日銀に対する取材現場では、どんなやりとりが交わされているのだろうか。  経済ジャーナリストとして長年にわたって日銀を取材してきた須田慎一郎氏は、日銀総裁会見の様子を次のように語る。
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大手新聞社の「増税礼賛」は、財務省の"接待""洗脳"の賜物!?

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全国の銀行員は、一度はこの門をくぐるのが
夢だという。
「経産A:(略)財務省は1円も使わずに復興増税【編註:東日本大震災の復興財源として、所得税、法人税、消費税などの臨時増税を政府は検討中】の世論を作った。主要メディアに税務調査をかけまくって黙らせたわけです。読売が丹呉泰健・前財務次官を社外監査役に迎えたことも"偶然"のはずがない。メディア工作というならそっちの方が有毒だと思う」  「週刊ポスト」(小学館/8月5日号)に掲載された「覆面官僚座談会」でのこの発言が、税務調査の際は前面に立って国税局への対応を行う、企業の財務担当者たちの一部で話題になっている。  彼らの間には、「財務省や国税庁に批判的な言動をする経営者や個人がいると、各地区の国税局が急にその企業や親族などに税務調査に入り、嫌がらせをする」というウワサがあるらしい。そこに、新聞が「復興増税反対」の論陣を張らないよう、財務省が自省の外局である国税庁の税務調査権を使って新聞社を脅しているという、もし事実であればウワサを裏付けるような記事が出た。  発言者は現役の経産官僚。復興増税論議が起こった3月以降、実際に税務調査が行われたという事実は確認できなかったが、2009年には朝日新聞と読売新聞に東京国税局による税務調査が入り、所得隠しが発覚。朝日は約1億3,800万円、読売は約9,800万円の追徴課税を納付した。  読売は、「取材費として経費計上した一部について、社員同士の飲食費が含まれていることが税務調査で判明し、交際費と認定された」と釈明しているが、後出の全国紙新聞記者OBのB氏によると、「在職中に税務調査が入った際は、カラ出張や次長クラスの領収証改ざんまで発覚した」とのことであり、新聞社側にも調査を避けたいやましい事情があるようだが......。このような税務調査を利用した圧力は、実際にあるのだろうか?  まずは、各紙の復興増税への姿勢について確認しようと、大手全国紙5紙+東京新聞の社説を見てびっくり。明確に反対を表明しているのは、なんと産経新聞1紙のみである。  読売新聞に至っては、「新政権は、(略)消費税率の引き上げに向けた、具体的な道筋を早急に示してほしい」(9月4日朝刊社説)とまで書いている。まさか本当に圧力が......。  さっそく同省からの"天下り(?)"の件とあわせて、読売新聞に聞いてみたところ、「一体どのような意図でそのようなご質問をされているのか、まったく理解できません!」と、一蹴。「税務調査が恐いから論調を変えた」とは、万が一にも認めることはないだろう。  ということで、経済官庁担当の経験が長い、新聞記者OBのA氏に話を聞いたところ、「同省にとってみれば、新聞に増税賛成の記事を書かせるのは、赤子の手をひねるくらい簡単です。国税庁の力を借りる必要などありません」との答えが返ってきた。しかし、その赤子の手をひねるくらい簡単という手法を探ってみると、そこには、あっぱれと言わざるを得ない財務省流"情報活用術"の実態が見えてきたのだ。 ■「調査部」の膨大なデータが、有利な論調を作る  まずこのA氏によると、同省では営業マン顔負けの"接待"活動が行われているという。
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読売新聞東京本社。ナベツネ会長の趣味は、
歴代総理との東京ドーム観戦だとか。
「同省は、マスコミの中でも特に大手新聞社との懇親には、『ここまでするのか』と思えるほど、日々勤しんでいます。まず、財研(財政研究会)と呼ばれる財務省記者クラブのリーダーであるキャップ、社説を執筆する論説委員、部長クラスと、主に昼間勉強会と称する会合を定期的に開き、財政や税制に関するレクチャーを行います。もちろん内容は、同省の方向性に沿うものばかり。夜は、同省幹部が各社の社長や役員と懇親会を開き、飲めや歌えやとやるわけです。天下の同省幹部に誘われれば、そりゃぁみんな悪い気はしないですよね。そこに役員たちは、自分のいいところを部下に見せたいから、現場の記者を同席させる。記者もしょせんはサラリーマンなので、『あっ、うちの役員は財務省幹部とこんなに仲がいいのか』と刷り込まれれば、自ずとペンの方向も決まってくる」  こうして、族議員ならぬ族記者が生まれるとともに、結果的に新聞社は、上も下も無意識のうちに、同省寄りの考えをするようになってしまうというのだ。  このような"接待"活動は、1990年代後半に「ノーパンしゃぶしゃぶ」という流行語を生んだ「大蔵スキャンダル」により、マスコミがこぞって旧大蔵省をバッシングした以後から始まったという。  「当時危機感を持った旧大蔵省は、さすがに何か手を打たねばと思って始めたのでしょう。10年以上たった今、この"接待"活動は、予想以上の効果を上げたといえるでしょう」(A氏)  それにしても、いくら"接待"活動の影響とは言え、それが原因で、ほぼすべての全国紙が歩調を合わせて、復興増税容認のスタンスに立つなどということがあるのか? 何か他にも圧力があるのでは? 別の全国紙記者OBであるB氏によると、まるでCIAかのような、同省による情報活動が行われているという。 「圧力があるとするなら、圧倒的な情報量を利用した、目に見えない力でしょうか。税制の企画、立案を担当する主税局の中に、『調査部』という部署があります。初めて同省を担当したころは、『一体何をする部署だ?』と思っていましたが、まさにこの調査部が、同省に有利な論調を作る上で、大きな役割を担っていたのです。調査部の表向きの業務は、税制の企画や立案のために必要な情報を、国内や海外から収集し分析することです。しかし、それ以上に重要な裏の役割は、一言で言うと、その収集した情報を加工し、同省が望む政策に都合のよいデータに仕上げること」  そしてその情報収集のため、財務省という組織全体がフルに活用されていると、B氏は指摘する。 「同省本省には約1万5,000人の職員が働き、日本の税制、財政、各官公庁の予算を一手に管轄しています。また、外局の国税庁では約5万6,000人の職員が、全国津々浦々、中小企業から大企業、アンダーグラウンドに至るまで、税務調査を通じて日々情報収集に努めています。調査部は、これらの同省しか知り得ない膨大な情報をベースに、同省が推し進めたい政策の根拠となるデータをつくり、勉強会などを通じて記者たちに流すのです。内容があまりに完璧なため、記者たちは鵜呑みにしてしまいます」  しかし、同省から提供されるデータだけに頼らず、民間のエコノミストや学者などへもきちんと取材していれば、同省とは反対の論調になることもあるのでは? 「はっきり言って、エコノミストや学者の話など、同省のレクチャーに比べると説得力に欠けます。でもよく考えれば、そりゃそうですよね。同省のレクチャーがベースとする膨大かつ詳細なデータや情報は、同省にしか手に入らないものばかりですから。また、同省の批判をする学者に、それらを定期的に提供することで、彼らを手なずけたりもしていますよ」(B氏)  なんだか話を聞いていると、財務省と国税庁って、やろうとすれば何でもできてしまうように思えてくるのだが......。 「うーん、無敵と言ってもいいかもしれません。ある政治家は、取材した際に国税庁の批判をしていましたが、『税務調査をかけられると恐いから、絶対オレの名前を記事に出すな』と言っていました。また、『検察なんて、うちからの情報提供がなければ捜査なんてできないでしょう。検察官と一緒に飲んでも、"次は誰々を引っ張る!"とかいう話しか出ない、レベルの低いやつばっかりですよ』と、露骨に検察を見下す同庁職員もいます」(B氏)  『財務省が教える"最強の情報活用術"』なんてタイトルのビジネス書が出版されれば、今年の読書の秋一番のベストセラーになるかもしれない。 (文=編集部)
財務官僚の出世と人事 エリート集団の実態。 amazon_associate_logo.jpg
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新聞大不況時代にクーデター勃発!? 日刊スポーツ激震の社長交代劇

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崩壊へのカウントダウンがはじまった!?
(日刊スポーツ本社)
 "スポーツ新聞の雄"日刊スポーツに異変が起きている。  3・11東日本大震災の影響で大幅な部数減を強いられ、今夏のボーナスはゼロになる社もあれば40~50%カットは当たり前といった社も多く、スポーツ紙大不況の時代に突入した。当然、経営陣の入れ替えなどが急務となっているが、先日発表された日刊スポーツの社長退任の裏にはなにやらキナ臭さが漂っている。  同社は6月28日に定時株主総会を開き、三浦基裕社長が再任されず、1期2年という異例の短期で退くことになった。創業家出身の川田員之会長が社長を兼務することになったわけだが、実はこれが創業家側のクーデターだったというのだ。同社の関係者が声を潜めてこう語る。 「あれはビックリしましたね。何の前触れもなく、いきなり株主総会で緊急動議が提出されたんです。三浦社長も驚いていましたよ」  緊急動議の中身は、三浦社長への不信任と解任要求だ。しかも、採決を取ったらさらにビックリ! 「だってまさかもまさかですよ! 可決されちゃったんですからね。それで三浦社長の退任が正式に決定したんです」(前出関係者)  一体何があったのか? どうやら創業家側が事前に根回しをして、自分の息がかかっていた人物に緊急動議を提出させて三浦社長を退任に追い込んだというのが真相らしい。理由は、創業家サイドと三浦社長を中心とした現経営陣の確執だ。事情通が次のように証言する。 「三浦社長は、良くも悪くも革新的な思考の持ち主だったんです。これからは紙(新聞)だけではやっていけない。イベント事業などあらゆる分野でビジネス展開できるものはしていかなければダメだ、とね。それで、親会社でもある朝日新聞社の完全傘下に入ることを主張。要は、日刊スポーツは朝日の子どもになって、守られながら生きていく路線を走り出そうとしたんです。それが、創業家側にとっては気に入らなかったみたいですね」  つまり創業家側からすれば、「朝日新聞社の傘下になるくらいなら、日刊スポーツをたたんだほうがマシだ!」というわけだ。自分たちで立ち上げた日刊をそんなおもちゃのように扱われてはたまったものではない、ならば潰す方を選ぶという、まさに昔気質の考え方だ。こうしたドロドロ劇の中、社内では時代が時代だけに三浦社長の理念にはそれなりに賛成してもいいという声は多かった。ところが、そうならなかったのは三浦社長のあまりにも強引な社内人事のやり方だった。  前出事情通によれば「社長はとにかく好き嫌いが激しすぎる。年齢に関係なく子飼いを次々と重要ポストに置いて、仕事ができても社長派でない人は左遷の嵐......。これでは社内がメチャクチャになっちゃいますよ。で、支持する人が減り続けた。創業家サイドにとってはクーデターが非常にやりやすい環境だった」というのだ。再び創業家側が経営を掌握し、日刊スポーツ新聞社の実権を握ったわけだが、「あまりにも古臭いやり方に将来を不安視する社員は少なくない」(同社社員)という。果たして老舗スポーツ紙はどうなるのか......。 (スーパー芸能記者X)
新聞社―破綻したビジネスモデル 刷新しましょ。 amazon_associate_logo.jpg
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