尽きない外見改善への欲求 美容食品、包茎手術の集金力

1105_itano.jpg
ヒアルロン酸は飲んだり塗ったりした
だけじゃダメだよね、ともちん!
 何度失敗談が出回ろうとも、その勢いが衰えることのない美容ビジネス。コラーゲンドリンクに始まる美容食品市場は順調に拡大し続け、包茎手術に始まったコンプレックス改善医療は相変わらずブームを生み続けている。なぜ人はそこまで外見に執着するのか。改めてその魔力を検証したい──。  女性に向けて、外見の美しさをサポートすることをうたった食品──いわゆる「美容食品」の売れ行きが好調だ。2011年2月に富士経済が発表した〝健康・美容食品の市場規模〟に関する調査結果によると、10年の同市場規模は1兆7807億円で、6年ぶりのプラス成長に転じると見込まれている。それを大きく牽引したのが〝美肌効果〟を訴求した食品で、中でもコラーゲンやヒアルロン酸などを配合したドリンク類は、前年比12・7%の大幅な増加が見込まれるという。  確かにコンビニやドラッグストアに行くと、栄養ドリンクやゼリー飲料に混じり、そうした美容ドリンクも当たり前に見かけるようになった。価格帯は1本200〜400円前後で、栄養ドリンクとさほど変わらないものの、「それを購入する女性の心理がよくわからない」という男性読者も多いだろう。そのカラクリについて、数々の美容商品の開発に携わっているコスメティックプランナーの恩田雅世氏は、次のように語る。 「コンビニでヒアルロン酸配合の美容ドリンクを買ったり、鍋料理店でコラーゲンボール【編註:コラーゲンを球状に固めたもの】を注文する女性たちの多くは、『これかわいい』っていう女子的な"条件反射"が働いているんです。もちろん、効果を期待する気持ちはあると思いますが、"コラーゲン=肌に良い"という印象だけで、実効性について深く考えたりはしていないでしょう」  そうした女性的感覚を刺激しようとしてか、美容ドリンクのボトルは、いかにも女性ウケしそうなデザインが多い。しかし、実際のところ、本当に効果はあるのだろうか? 「私は医師や科学者ではないので、はっきりとしたことは言えないのですが(当特集【3】参照)......例えばコラーゲンを経口摂取した場合、体内で吸収する時にはアミノ酸に分解されてしまいます。アミノ酸は身体のさまざまな機能調節に使われますから、必ずしも肌に作用するとは限らない。ただ、医薬品と違って効能があいまい......むしろ"どう効果を実感するかわからない"というグレーゾーンの代物であることこそが、コラーゲンが流行しているゆえんだと思います。スキンケアに割く時間や労力が費やせなくても、『コラーゲン摂ったから大丈夫』という気休めになりますから」(同)  とはいえ、何も各企業が足並みを揃えて"気休め商品"を作る必要はないはず。"本当に美肌効果のある商品"よりも"気休め商品"が市場で先行しているのはなぜなのか? 「マーケティングの視点からいうと、美容商品というのは"事実を突き付けたところで売れるとは限らないもの"なんです。最近では、鮭や鯛に含まれるアスタキサンチンを配合したドリンクや、アミノ酸を顆粒にしたサプリメントなど、優秀な美肌効果が期待されている商品もたくさんありますが、〝コラーゲン=美肌〟というイメージがすっかり定着してしまったため、『アスタキサンチン配合』よりも『コラーゲン配合』のほうが絶対に売れる。どんなに性能が高くても、後発である限り、初めにブームを作ったものに勝つことは難しいんですよ」(同)  そうした背景により、最近ではプラセンタ【編註:女性の胎盤から抽出される成長因子やほかの栄養素のこと】やビタミンCといった、科学的に効果が実証されている成分とコラーゲンを調合した"抱き合わせ商品"が増えているという。また、コラーゲンの分子サイズをナノ化、ピコ化と小さくして、体内での吸収率の良さをうたった商品も登場するなど、"コラーゲン頼み"の傾向は加速するばかり。それだけ女性の購買意欲を駆り立てる力があるのだろう。
「プレミアサイゾー」で続きを読む

欧米は大成功、日本では苦戦? グルーポンが陥った"落とし穴"と"胸算用"

1105_couponsite.jpg
百花繚乱のクーポンサイト。
──50%を超える大幅な割引率や「おせち事件」など、良くも悪くも話題を振りまくグルーポン。現在では、多くの類似サイトが立ち上がった共同購入型のクーポンビジネスだが、その展望は明るいのだろうか?  『クーポン・プロモーション戦略』(ラッセル・D・ボーマン著/ビジネス社)によると、世界で初めて割引券という形のクーポンが発行されたのは1895年。アメリカの大手シリアルメーカー「C・W・Post」社(現ゼネラルフーズ)が「クレープ・ナッツ」という商品を販売する際、インセンティブとして1セントの割引クーポンをユーザーに配布したのが発端だ。その後アメリカでは、第2次世界大戦後の大量生産・消費時代を迎えてマーケティングの需要が高まり、クーポンはセールス・プロモーションの一環として生活に浸透していった。  一方日本では、1984年よりクーポン券が登場したという記録があるが、普及の契機が訪れたのは87年10月1日。公正取引委員が「雑誌業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約第7条および同規約施行規則第8条第3号についての運用基準」において「クーポン付き広告の掲載に関するガイドライン」を施行・制定した時だ。これはクーポン広告の掲載に関する規制緩和であり、90年になると新聞でも「クーポン付き広告に関する規則」が承認されたことで、各雑誌媒体や朝日、読売といった大手新聞がクーポンを掲載するようになる。そして、96年にインターネットグルメサイト「ぐるなび」、99年にはぴあの「グルメぴあ」、00年にはリクルートの「ホットペッパー」と、クーポン雑誌やウェブサイトが続々と登場して一般に浸透していった。  そして08年、アメリカでグルーポンが産声を上げ、短期間でサービスを販売するフラッシュマーケティングによるクーポンビジネスがスタート。一定数の購入者が集まれば、50%もの割引となるそのサービスは、10年4月、日本でも「グルーポン」に影響を受けて、フラッシュマーケティングの手法を導入した「ピク」が登場。同年6月にはグルーポンが共同購入サイト「Q:pod」を運営するクーポッドを買収して日本参入を果たしたのを皮切りに、同年7月にはリクルート「ポンパレ」、8月にはUSEN「ピタチケット」とシェアリー&SBIインベストメント&光通信「シェアリー」、10月には一休の「一休マーケット」、12月には日本テレビ「日テレぐるチケ」と、わずか1年足らずで雨後の筍のように共同購入型クーポンサイトが林立した。 「新しいサービスとはいえ、ほとんどが既存のテクノロジーを応用したものです。販売している商品を購入する人が増えれば増えるほど安くなるという『共同購入(ギャザリング)』は楽天やヤフーのようなショッピングサイトで行われていて、そこに『フラッシュ(短時間)』という概念を組み込んだだけ。あとは商材を確保する営業力があれば、小資本でも始めることができます」(リクルート関係者)  もちろん、サイトの知名度を高めてユーザーを集めるための広告費は必要(後述)だが、この手軽さからSNSに次ぐビジネスチャンスを求めていたIT企業が飛びついたのだろう。とにもかくにも、雑誌やウェブの"枠"を売っていた既存のビジネス形態の中に、クーポンの販売手数料を徴収するという新サービスが誕生し、活況を呈するに至った。
「プレミアサイゾー」で続きを読む